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【発明の名称】 フレキシブル配線基板
【発明者】 【氏名】北村 幸子
【住所又は居所】東京都品川区東五反田2丁目17番1号 ソニーイーエムシーエス株式会社内

【要約】 【課題】電子機器のコネクタ側に発生した結露に影響されることなく、フレキシブル配線基板の電極端子表面への結露を防止するようにした。

【解決手段】フレキシブル配線板4の裏面の絶縁フィルム2に補強板8を備えて電極端子部5を構成するようにしたフレキシブル配線基板において、電極端子部5の裏面で、絶縁フィルム2と補強板8との間に密閉された気泡層9(又は空気層9a)を設けたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成されたフレキシブル配線板の裏面に補強板を備えて電極端子部を構成し、上記電極端子部が電子機器のコネクタに電気的に接続されるようにしたフレキシブル配線基板において、
上記電極端子部の裏面で、上記フレキシブル配線板と上記補強板との間に密閉された気泡層又は空気層を設けたことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブル配線基板において、
上記気泡層又は空気層は、上記電極端子部の各電極端子の周囲に跨がるように島状あるいは帯状に設けたことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項3】
配線パターンが形成されたフレキシブル配線板の裏面の絶縁フィルムに補強板を備えて電極端子部を構成し、上記電極端子部が電子機器のコネクタに電気的に接続されるようにしたフレキシブル配線基板において、
上記電極端子部の裏面に上記コネクタ部材の熱伝導度より低い層部材を設けたことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項4】
請求項3記載のフレキシブル配線基板において、
上記層部材は、上記絶縁フィルムと上記補強板とを固着する接着層であることを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項5】
請求項3記載のフレキシブル配線基板において、
上記層部材は、上記フレキシブル配線板の裏面の絶縁フィルム自体であることを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項6】
請求項3記載のフレキシブル配線基板において、
上記層部材は、補強板自体であることを特徴とするフレキシブル配線基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板に関し、フレキシブル配線基板の電極端子部表面の結露を防止するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、フレキシブル配線基板の電極端子部は、電極端子部の裏面に絶縁材からなる補強板を固着して電極端子部の強度を高め、この電極端子部の接続相手である例えば、コネクタとの接続性を確実にかつ容易に行えるようにしている。
【0003】
図8にフレキシブル配線基板の電極端子部とコネクタとの外観斜視図を示し、図9に電極端子部とコネクタとの一般的な接続構造の拡大断面図を示す。
【0004】
全体を符号20で示したフレキシブル配線基板は、絶縁フィルム21上に銀や銅箔等の配線パターン22が形成されたフレキシブル配線板23の先端部に電極端子24を備えた電極端子部25を有する。そして、この電極端子部25の裏面には硬質な樹脂材からなる補強板26を接着等の方法により固着して電極端子部25の強度を高めている。
【0005】
このように構成したフレキシブル配線基板20は、図示しない電子機器に取り付けられているコネクタ27と接続することにより、補強板26の裏面がコネクタ27と面接触すると共に、電極端子部25の電極端子24がコネクタ27内に設けられているばね性を有するコネクタ側端子28と電気的に接続することができる。
【特許文献1】特開平7−106456号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−353386号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フレキシブル配線基板の電極端子部25は、接続相手であるコネクタ27が周囲の環境温度に対して冷えた状態のとき、コネクタ27自体に結露が発生する。そして、コネクタ27の結露は露点温度であるので、コネクタ27に面接触している電極端子部25の補強板26を介して電極端子25が急激に冷されることから、電極端子表面が結露し易いといった問題がある。この結果、電極端子表面が結露すると、隣接する端子電極間の絶縁性が損なわれたり、あるいは、端子電極間で金属のイオン・マイグレーション現象(配線内を金属原子が移動する現象)により電極間の短絡が発生するといった問題もある。
【0007】
また、上述したような〔特許文献1〕の(図1)には、受信回路または送信回路を有する基板1がハウジング2内に収容され、ハウジング2の内壁と基板1との間に、基板1よりも比熱の大きい金属の保護部材3を配置した技術が開示されている。これによれば、ハウジング2の外部からの冷気は保護部材3に遮られて基板1に伝わりにくくなり、結露が基板1では起こらず保護部材3に結露が発生し、基板1への結露を防止するようにしたものである。
【0008】
また、〔特許文献2〕(図3)には、冷却部材3と熱的に接触しているマルチチップモジュール20の基板2を保持するフランジ7をアダプタ6を介してヒータ5と接し、ヒータ5で冷却部材3との間に断熱材4を充填するようにした技術が開示されている。これによれば、断熱材4を充填することで、マルチチップモジュール20の内側の結露を防止したり、ピン12やボード8の結露を防止することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明は、フレキシブル配線板の裏面の絶縁フィルムに補強板を備えて電極端子部を構成するようにしたフレキシブル配線基板において、電極端子部の裏面で、絶縁フィルムと補強板との間に密閉された気泡層又は空気層を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、気泡層又は空気層は、電極端子部の各電極端子の周囲に跨がる島状あるいは帯状に設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、配線パターンが形成されたフレキシブル配線板の裏面の絶縁フィルムに補強板を備えて電極端子部を構成するようにしたフレキシブル配線基板において、電極端子部の裏面にコネクタ部材の熱伝導度より低い層部材を設けたことを特徴とする。
【0012】
また、層部材は、絶縁フィルムと補強板とを固着する接着層であることを特徴とする。
また、層部材は、フレキシブル配線板の裏面に施した絶縁フィルム自体であることを特徴とする。
また、層部材は、補強板自体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフレキシブル配線基板によれば、電極端子部の裏面で、絶縁フィルムと補強板との間に密閉された気泡層又は空気層を設けたことで、接続相手である例えば、コネクタ側に結露が発生し、補強板が温度変化に影響されたとしても、気泡層又は空気層の介在により絶縁フィルム側が急減に冷やされることもなく、電極端子の表面への結露を防止することができる。これによって、隣接する端子部電極間の絶縁劣化が回避でき、また、端子部電極間でのイオン・マイグレーション現象を防止することができるといった効果がある。
【0014】
また、本発明のフレキシブル配線基板によれば、電極端子部の裏面にコネクタ部材の熱伝導度より低い層部材を設けたことで、コネクタ側に結露が発生し、補強板が冷やされても熱伝導度の低い層部材により電極端子が急減に冷やされることもなく、電極端子の表面への結露を防止することができる。これによって、隣接する端子部電極間の絶縁劣化が回避でき、また、端子部電極間でのイオン・マイグレーション現象を防止することができるといった効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明によるフレキシブル配線基板の最良の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
〔第1の実施の形態〕
図1は本発明に適用されるフレキシブル配線基板の電極端子部分の拡大平面図、図2は図1のA−A線における断面で、コネクタと接続された状態の断面図である。
【0017】
全体を符号1で示したフレキシブル配線基板は、ベース材となる例えば、PET(ポリエチレン・テレフタレート)等の絶縁フィルム2上に銀や銅箔等の配線パターン3が形成された可撓性を有すフィルム状のフレキシブル配線板4からなり、このフレキシブル配線板4の端部に電極端子部5を有する。電極端子部5は配線パターン3が露出した複数の電極端子6を有し、この電極端子6以外の配線パターン3は例えば、塩ビ系やアクリル系、ウレタン系の樹脂層7で被覆されている。また、電極端子部5は電極端子6に対応する絶縁フィルム2の裏面にPET材等からなる非可撓性の板厚材からなる補強板7が接着固定され、電極端子部5の強度を高めている。
【0018】
ここで、本発明の特徴として、電極端子部5において、絶縁フィルム2と補強板8との間に気泡層9(ボイド)が密封された状態で形成されていることである。この気泡層9は、絶縁フィルム2と補強板8との接合面を凹凸のある粗面に形成し、絶縁フィルム2に補強板8を接着固定することで両者の間に空気層の空間ができ、これによって、気泡層9が形成される。また、気泡層9は図1に示したように、各電極端子6を跨ぐようにしたり、あるいは、電極端子6の周囲に意図的に例えば雨敵状に配置したり、ここでは図示しないが、各電極端子6に沿って島状あるいは帯状に形成することであってもよい。
【0019】
また、気泡層9は、図3に示すように補強板8に複数のリブ8aを有する凹面10を形成し、補強板8を絶縁フィルム2に接着したとき、凹面10内が空気層9aとして形成されるようにしてもよい。
【0020】
このように構成した電極端子部5にすることで、図4に示すように電極端子部5が電子機器の一部にあるコネクタ11に挿着され、電極端子6がばね性を有するコネクタ端子12と電気的に接続された状態において、コネクタ11が周囲の環境温度により結露が発生し、補強板8が結露の影響を受けたとしても、気泡層9や空気層9aの存在により絶縁フィルム2や電極端子6には温度変化の影響が序々に受けることになるから、電極端子6への結露の発生を防止することができる。このことにより、隣接する電極端子6間の絶縁劣化が回避できると共に、電極端子6間でのイオン・マイグレーション現象を防止することができるといった作用がある。
【0021】
また、気泡層9や空気層9aが各電極端子6を跨ぐようにしたり、あるいは、電極端子6の周囲に雨敵状に配置したり、各電極端子6に沿って島状あるいは帯状に形成すること炭酸水素カリウムによって、電極端子6へ伝わる温度変化の影響を少なくでき、結露の発生をさらに効果的に防ぐことができる。
【0022】
また、気泡層9や空気層9aの形成手段としては上述した実施の形態に限ることはなく、別の手段として、絶縁フィルム2への補強板7の接着固定工程において、接着剤中に硬化温度領域で熱分解性の添加剤を加えることで、添加剤が化学変化し接着剤中に気泡層を形成させることであってもよい。例えば、一例として添加剤として、炭酸水素カリウム(KHCO3)や、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)等がある。炭酸水素カリウムは100℃
くらいから熱分解して水(H2O)と炭酸ガス(CO2)が発生することで接着剤中に気泡層を形成することができる。また、炭酸水素ナトリウムは50℃くらいから熱分解して水(H2O)と炭酸ガス(CO2)が発生し接着剤中に気泡層を形成することができる。
【0023】
また、絶縁フィルム2への補強板7の接着固定工程において、接着剤硬化温度領域で接着剤を吸湿させて硬化させるようにすることで、接着剤が硬化後、吸湿分が蒸散し多孔質状の気泡層を有する接着剤層に形成させるようなことも可能である。
【0024】
さらに、別の手段として、接着剤にマイクロカプセルを分散させたものを使用することによって、気泡層若しくは空気層を形成することも可能である。
【0025】
〔第2の実施の形態〕
図5は、上述した気泡層や空気層以外により電極端子6への結露の発生を防止するための電極端子部5の構成であって、図2と同一部分には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0026】
これによれば、絶縁フィルム2と補強板8とを接着固定するための接着剤を、電極端子部5の接続相手であるコネクタ部材の熱伝導度より低い接着剤13を使用したものである。接着剤としては、例えばエポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0027】
このように構成したことで、コネクタが周囲の環境温度により結露が発生し、補強板8が結露の影響を受けたとしても、コネクタ部材の熱伝導度より低い接着剤13を使用したことで、電極端子6には温度変化の影響が序々に受けることになるから、電極端子6への結露の発生を防止することができるというものである。
【0028】
図6は、電極端子6への結露の発生を防止するための電極端子部5の構成において、絶縁フィルム自体をコネクタ部材の熱伝導度より低い絶縁フィルム2aを使用したものである。絶縁フィルム2aとしては、ポリエステル樹脂系やポリイミド樹脂系等が挙げられる。
【0029】
このように構成したことであっても、コネクタが周囲の環境温度により結露が発生し、補強板8が結露の影響を受けたとしても、絶縁フィルム2aには温度変化の影響が序々に受けることになるから、電極端子6への結露の発生を防止することができるというものである。
【0030】
図7は、電極端子6への結露の発生を防止するための電極端子部5の構成において、補強板自体をコネクタ部材の熱伝導度より低い補強板8aを使用したものである。補強板8aとしては、PET樹脂等が挙げられる。
【0031】
このように構成したことであっても、コネクタが周囲の環境温度により結露が発生したとしても、補強板8a自体が温度変化の影響を序々に受けることになるから、電極端子6への結露の発生を防止することができるというものである。
【0032】
尚、本発明は、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0033】
本発明のフレキシブル配線基板の配線端子部5の接続相手は、必ずしもコネクタ11に限るものでなく、電子機器に付設されている端子部分やあるいは、フレキシブル配線基板同士、例えば一方のフレキシブル配線基板に備えた雌型端子部にフレキシブル配線基板の配線端子部を接続することであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明におけるフレキシブル配線基板の配線端子部の第1の実施の形態の拡大平面図である。
【図2】同じく図1のA−A線断面図である。
【図3】同じく第1の実施の形態における配線端子部の別の例の拡大断面図である。
【図4】同じく図2の配線端子部がコネクタに接続された状態の拡大断面図である。
【図5】本発明におけるフレキシブル配線基板の配線端子部の第2の実施の形態の一例の拡大断面図である。
【図6】同じく第2の実施の形態の配線端子部の別の例の拡大断面図である。
【図7】同じく第2の実施の形態の配線端子部のさらに別の例の拡大断面図である。
【図8】状来のフレキシブル配線基板の配線端子部とコネクタとの外観斜視図である。
【図9】同じく配線端子部とコネクタとの接続状態の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…フレキシブル配線基板、2…絶縁フィルム、2a…熱伝導度の低い絶縁フィルム、3…配線パターン、4…フレキシブル配線板、5…電極端子部、6…電極端子、8…補強板、8a…熱伝導度の低い補強板、9…気泡層、9a…空気層、10…凹部、11…コネクタ、12…コネクタ側端子、13…熱伝導度の低い接着材
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
【出願日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【代理人】 【識別番号】100122884
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 芳末

【識別番号】100113516
【弁理士】
【氏名又は名称】磯山 弘信

【公開番号】 特開2005−51177(P2005−51177A)
【公開日】 平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願番号】 特願2003−284253(P2003−284253)