| 【発明の名称】 |
電磁波シールド材 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 広晃 【住所又は居所】愛知県名古屋市中区千代田二丁目24番15号 北川工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足する電磁波シールド材の提供。
【解決手段】有効成分として加水分解性官能基を有するフルオロシラン化合物を含むA液と、有効成分として上記フルオロシラン化合物に対して触媒作用を有する触媒成分を含むB液と、導電性フィラーとしてのニッケルコートグラファイト(Ni/C)と、を混練し、硬化させてシート状の電磁波シールド材を成形する場合、A液とB液との重量比を10:12〜10:14とすると、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足することができた。また、硬化時間も短縮して生産性を向上させることもできた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性フィラーと、 有効成分として加水分解性官能基を有するフルオロシラン化合物を含むA液と、 有効成分として上記フルオロシラン化合物に対して触媒作用を有する触媒成分を含むB液と、 を混練し、硬化させてなる電磁波シールド材であって、 上記A液と上記B液との重量比を10:12〜10:14としたことを特徴とする電磁波シールド材。 【請求項2】 上記導電性フィラー、上記A液、及び上記B液に、更に硬化遅延剤を混ぜて混練し、硬化させてなることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド材。 【請求項3】 上記導電性フィラーが、金属ニッケルでコーティングしたグラファイトであることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールド材。 【請求項4】 上記導電性フィラーを、その導電性フィラーも含めた電磁波シールド材全体に対して80重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波シールド材。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電子部品から放射される電磁波や外部から飛来する電磁波を反射して、電子部品またはその周辺の回路でのノイズの発生を防止する電磁波シールド材に関し、詳しくは、タック性(自己粘着性または自己融着性ともいう)を有する電磁波シールド材に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、樹脂,ゴム等の基材に導電性フィラーを混入して成形された電磁波シールド材が知られている(例えば、特許文献1参照)。これらの電磁波シールド材でIC等の電子部品を被覆すれば、その電子部品から放射される電磁波や外部から飛来する電磁波を反射して、電子部品またはその周辺の回路でのノイズの発生を防止することができる。 【0003】 また、シリコーンゴムを基材として使用したこの種の電磁波シールド材では、そのシリコーンゴムに添加剤を充填してタック性を付与し、粘着剤等を別途使用することなく装着可能とすることが考えられている。(例えば、特許文献2参照)。 【特許文献1】特開2003−078282号公報 【特許文献2】特開平10−120904号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1,2のような電磁波シールド材は、装置の筐体等のようにアース電位またはその他の所定電位に保持される部材に貼着して使用するのが望ましい。この場合、電磁波シールド材が有する導電性により、その電磁波シールド材全体が一定の電位に保持され、電磁波を一層良好にシールドすることができる。ところが、特許文献1のように電磁波シールド材がタック性を有さない場合は、その電磁波シールド材をガスケットなどとして使用する場合、粘着テープや粘着剤を介して上記筐体等に貼着しなければならない。粘着テープや粘着剤は一般に絶縁性であるので、それらを介して筐体等に貼着した場合、電磁波シールド材を安定して一定の電位に保持するのが不充分な場合があった。 【0005】 また、特許文献2のようにシリコーンゴムに添加剤を充填してタック性を付与した場合、その電磁波シールド材のタック性と導電性とを同時に適切な値に調整するのは困難であった。更に、有効成分として加水分解性官能基を有するフルオロシラン化合物を含むA液(以下、単にA液という)と、有効成分として上記フルオロシラン化合物に対して触媒作用を有する触媒成分を含むB液(以下、単にB液という)とを混練し、硬化させていわゆるシリコーンゲルを製造することも一般的に知られているが、通常、A液とB液との混合比は重量比で10:10(=1:1)である。この場合、シリコーンゲルの導電性は低く、かなり多量の導電性フィラーを充填しなければ電磁波シールド材として使用することができない。導電性フィラーを多量に充填すると、シリコーンゲルの成形性が低下する。 【0006】 そこで、本発明は、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足する電磁波シールド材の提供を目的としてなされた。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、導電性フィラーと、有効成分として加水分解性官能基を有するフルオロシラン化合物を含むA液と、有効成分として上記フルオロシラン化合物に対して触媒作用を有する触媒成分を含むB液と、を混練し、硬化させてなる電磁波シールド材であって、上記A液と上記B液との重量比を10:12〜10:14としたことを特徴とする。 【0008】 本願出願人は、シリコーンゲルの材料であるA液,B液の混合比を変更してシリコーンゲルを製造する実験を行ったところ、B液の比率を上げるとシリコーンゲルの導電性が向上することを発見した。そして、上記混合比を重量比で10:12以上とした場合、それに成形性を疎外しない程度の導電性フィラーを添加すれば、電磁波シールド材として必要な導電性が得られることが分かった。また、上記混合比が重量比で10:14を上回ると、タック性が急激に低下し、硬化後に他の部材に付着させて仮止めすることが困難になることが分かった。そこで、本発明では、A液とB液との重量比を10:12〜10:14とし、そこに更に導電性フィラーを添加した。このため、本発明の電磁波シールド材は、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足する。 【0009】 請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、上記導電性フィラー、上記A液、及び上記B液に、更に硬化遅延剤を混ぜて混練し、硬化させてなることを特徴とする。 本発明では、シリコーンゲルの硬化時間を硬化遅延剤の添加によって適宜伸ばすことができる。 【0010】 請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成に加え、上記導電性フィラーが、金属ニッケルでコーティングしたグラファイトであることを特徴とする。 導電性フィラーの中でも、一部の物質はシリコーンゲルの硬化を阻害する可能性があるが、金属ニッケルでコーティングしたグラファイト(いわゆるニッケルコートグラファイト)を導電性フィラーとして使用した場合、シリコーンゲルの硬化を阻害することなく、良好なタック性,導電性,成形性が得られることが分かった。 【0011】 請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、上記導電性フィラーを、その導電性フィラーも含めた電磁波シールド材全体に対して80重量%以上含むことを特徴とする。 【0012】 本発明では、導電性フィラーを、電磁波シールド材全体に対して80重量%以上含んでいるため、極めて良好な導電性が得られる。 【発明の効果】 【0013】 上記のように、請求項1記載の電磁波シールド材は、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足する。従って、本発明では、粘着剤や粘着テープを別途使用することなく装着することができ、良好に電磁波シールドを行うことができる。更に、A液とB液とを上記重量比で使用した場合、シリコーンゲルの硬化時間を良好に短縮することができるといった効果も発見された。従って、本発明の電磁波シールド材は、生産性においても優れている。なお、導電性はB液の比率が高いほど向上するので、A液とB液との重量比はタック性が急激に低下する直前の10:13〜10:14とするのが好ましく、更に好ましくは、上記重量比を10:13とした場合に最も適切な導電性及びタック性が得られる。 【0014】 請求項2記載の発明では、シリコーンゲルの硬化時間を硬化遅延剤の添加によって適宜伸ばすことができる。成形方法や導電性フィラーの混練性によっては、シリコーンゲルの硬化時間が短すぎると却って不都合な場合が生じるが、本発明では、上記硬化時間を硬化遅延剤の添加によって適宜伸ばすことができる。従って、本発明では、請求項1記載の発明の効果に加えて、製造を一層容易にすることができるといった効果が生じる。 【0015】 請求項3記載の発明では、導電性フィラーとしてニッケルコートグラファイトを使用したことにより、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、一層良好なタック性,導電性,成形性を得ることができるといった効果が生じる。 【0016】 請求項4記載の発明では、導電性フィラーを80重量%以上含んだことにより、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、一層良好な導電性を得ることができ、延いては一層良好に電磁波シールドをすることができるといった効果が生じる。なお、シリコーンゲルの成形性を確保するためには、導電性フィラーの充填量を80〜82重量%とするのが好ましい。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 次に、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態では、以下の製造方法により電磁波シールド材を製造した。 A液とB液とを10:12〜10:14の重量比で混合し、更に、それに硬化遅延剤を混ぜた。硬化遅延剤は、シリコーン全体(A液+B液)重量部100に対して0〜5重量部程度である。ここで、A液,B液,硬化遅延剤としては種々のものが適用できるが、本実施の形態では、以下の製品を利用した。 【0018】 A液 : CY52−276A (東レダウコーニングシリコーン製) B液 : CY52−276B (東レダウコーニングシリコーン製) 硬化遅延剤 : LTV用硬化遅延剤−3(東レダウコーニングシリコーン製) 上記混合液に、導電性フィラーを混練した。導電性フィラーとしては、ニッケルコートグラファイト(商品名「ニッケル被覆グラファイト」:NOVAMET製)を利用し、混練物全体の75〜85重量%となるように添加した。導電性フィラーとしては、この他にも各種のものが使用できるが、以下のものは次のような理由で好ましくなかった。 【0019】 銀系のフィラー(商品名「スーパーデントール SD-100」:大塚化学製):添加量が10重量%以下であると充分な導電性が得られず、20重量%以上添加するとシリコーンが硬化しなかった。シリコーンの硬化が阻害された要因としては、フィラーの分散性をよくするためにフィラー自身に脂肪酸が添加されており、その脂肪酸がシリコーンの硬化を阻害した、或いは、銀が付加反応を起こしシリコーンの硬化(付加反応)を阻害した、などが考えられる。 【0020】 カーボン系のフィラー(商品名「デントール NT-200」:大塚化学製):シリコーンが全く硬化しなかった。カーボン自身がシリコーンの硬化を阻害している。 金属ニッケルでコーティングしたガラス:充分な導電性が得られなかった。 【0021】 銅にニッケルめっきを施したもの:導電性は確保できるが、フィラー自身の比重(8.5〜9)が大きいため、充分な導電性が得られる程度に充填すると製品が重くなってしまう。 【0022】 ニッケルフィラー:導電性は確保できるが、フィラー自身の比重(8.5〜9)が大きいため、充分な導電性が得られる程度に充填すると製品が重くなってしまう。 なお、これらのフィラーでも、添加剤の種類やフィラーの製造方法を変更することや、電磁波シールド材の用途や目標とする導電性を変更することによって、充分に利用可能となる場合が考えられる。 【0023】 上記のようにニッケルコートグラファイトを混練した材料を脱泡した。脱泡後の材料をコータにてシート状に成形し、110℃に加熱してシリコーンを硬化させた。得られた電磁波シールド材は、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足するものであった。 【0024】 なお、成形方法としては、コータの他、射出成形,圧縮成形,押出成形,コーティング,ディスペンス等、各種成形方法が適用できる。この内、射出成形や圧縮成形では、金型を適宜変更することにより、上記電磁波シールド材を機器の筐体の内壁面に沿った形状に成形することもできる。また、押出成形やディスペンスでは、上記電磁波シールド材を紐状に成形することもできる。この場合、機器の筐体同士の接合部がどのような形状であっても、その接合部の形状に沿って電磁波シールド材を配設することができ、電磁波シールド材を無駄なく使用することができる。上記のようにシート状に成形した場合は、機器の筐体同士の接合部に沿った形状にプレス等で打ち抜き、タック性を利用することにより筐体に貼着し、筐体同士の間に挟み込んでガスケットとして容易に利用することができる。 【実施例】 【0025】 次に、A液とB液との重量比やニッケルコートグラファイト(Ni/C)の充填量を種々に変更して、実施例及び比較例の電磁波シールド材を作成した。各試料の組成及び特性を表1に示す。なお、硬化遅延剤の量は表1に示す特性(体積低効率,タック性)に殆ど影響を及ぼさないので表記を省略したが、各試料とも2重量%前後である。この硬化遅延剤の添加量は、成形方法に応じて適宜変更できる。また、硬化時間は、ニッケルコートグラファイトも硬化遅延剤も添加せずにシリコーン(A液+B液)のみで測定した。 【0026】 【表1】
【0027】 表1に示す試料の内、No.1,2,5,6,7,11,12,13が本発明の実施例で、他が比較例である。なお、体積抵抗率は、周知の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法(JIS K 7194準拠)によって測定した。また、タック性は、図1に模式的に示すようなローリングボールタック試験(PSTC−6,ASTMD3121準拠)で測定した。 【0028】 すなわち、図1に示すように、長さ375mmの試験片1(上記各試料の電磁波シールド材)を水平に載置し、その一端に21°30´の傾斜面2を設ける。そして、その傾斜面2の65.1mmの高さから、7/16インチ径の鋼球3を転がし、試験片1の粘着面の上を鋼球3が転がって停止するまでの距離lによってタック性を評価するのである。 【0029】 表1に示すように、A液に対するB液の比率が増えるに従って導電性は向上するが、10:14を上回るとタック性が急激に低下する(No.8,14)。このため、これらNo.8,14の試料は、硬化後に筐体等に付着させて仮止めするといった使用が困難になる。一方、A液に対するB液の比率が10:12未満の試料(No.3,4,9)では、電磁波シールド材として必要な100Ω・cmオーダーの導電性が得られなかった。 【0030】 なお、A液に対するB液の比率を10:11とした場合でも、No.10の試料に見られるようにニッケルコートグラファイトを82重量%充填すれば必要な導電性が得られるが、この充填量はシートとして量産可能なギリギリの充填量であり、ニッケルコートグラファイトを83重量%以上充填すると成形不能となる(但し、導電性フィラーの種類や成形方法によっては可能であることが考えられる)。そこで、A液とB液との望ましい重量比は、10:12〜10:14とした。 【0031】 従って、本実施例の各試料では、電磁波シールド材として適切なタック性,導電性,成形性を同時に満足することができた。また、導電性はB液の比率が高いほど向上するので、A液とB液との重量比はタック性が急激に低下する直前の10:13〜10:14とするのが好ましく、更に好ましくは、上記重量比を10:13とした場合に最も適切な導電性及びタック性が得られる。表1に示す試料の中では、No.12の試料が、タック性が高過ぎず低過ぎず、導電性も極めて良好であるので電磁波シールド材として最適であった。従って、本実施例の電磁波シールド材は、携帯電話,液晶ディスプレイ,デジタルビデオカメラ,デジタルカメラ,ノート型パソコン等の筐体同士の接合部に配設して、電磁波シールド(EMC)用のガスケットとして、粘着剤や粘着テープを用いることなく良好に装着することができる。また、アンテナのグランドを取るためにアンテナと筐体との間に使用することも可能である。 【0032】 更に、本実施例の各試料では、硬化時間も良好に短縮することができた。例えば、A液とB液との重量比を10:10とした比較例(No.3,9)では硬化時間が80分であったのに対し、A液とB液との重量比を10:13とした実施例(No.1,6,12)では硬化時間を10分に短縮することができた。このため、生産性も極めて良好に向上させることができる。なお、成形方法や導電性フィラーの混練性によっては、硬化時間が短すぎると却って不都合な場合が生じるが、硬化時間は硬化遅延剤の添加によって適宜伸ばすことができ、最高で約6時間まで伸ばすことができる。従って、本実施例の電磁波シールド材は、生産性においても優れている。 【0033】 なお、本発明は上記実施の形態または実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、上記実施の形態及び実施例では、A液,B液,硬化遅延剤の三者を混ぜてから導電性フィラーを混練したが、A液またはB液に導電性フィラーを混練しておいて、それにB液またはA液、及び硬化遅延剤を混練してもよい。また、A液,B液にそれぞれ導電性フィラーを混練しておいて、それらを硬化遅延剤と共に一体に混練してもよい。また、導電性フィラーや硬化遅延剤としても、前述のように種々のものを適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0034】 【図1】ローリングボールタック試験の方法を表す模式図である。 【符号の説明】 【0035】 1…試験片 2…傾斜面 3…鋼球
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| 【出願人】 |
【識別番号】000242231 【氏名又は名称】北川工業株式会社 【住所又は居所】愛知県名古屋市中区千代田2丁目24番15号
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| 【出願日】 |
平成15年7月29日(2003.7.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉
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| 【公開番号】 |
特開2005−51067(P2005−51067A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月24日(2005.2.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−281944(P2003−281944) |
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