| 【発明の名称】 |
電子回路基板作製用速乾性インク組成物及び印刷方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】荒井 眞澄
【氏名】神谷 泰仁
【氏名】大坪 泰文
【氏名】枝村 一弥
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| 【要約】 |
【課題】特別の装置や材料を用いることなく、銅張積層板上や電子回路基板上に対して、短時間で皮膜形成が可能な電子回路基板作製用インク組成物を提供する。
【解決手段】水溶解性の溶剤および水難溶性の樹脂成分を含み、印刷直後に水と接触することにより、印刷部分が直ちに乾燥するインク組成物を使用し、被印刷物(銅張積層板や電子回路基板)に印刷直後に、水と接触させてエッチングレジスト皮膜やマーキングを形成させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷直後に水と接触することにより、印刷部分が直ちに乾燥するインク組成物であって、水溶解性の溶剤および水難溶性の樹脂成分を含むことを特徴とする電子回路基板作製用速乾性インク組成物。 【請求項2】 水難溶性の樹脂成分が、アクリル樹脂類、スチレン樹脂類あるいはブチラール樹脂類である請求項1記載の電子回路基板作製用速乾性インク組成物。 【請求項3】 水溶解性の溶剤が、ケトン類、エーテル類あるいはアルコール類である請求項1あるいは請求項2記載の電子回路基板作製用速乾性インク組成物。 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載のインク組成物であって、その粘性が、剪断速度1/sの時の粘度範囲が30〜1000Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度範囲が10Pa・s以下であることを特徴とする電子回路基板作製用速乾性インク組成物。 【請求項5】 請求項1〜3の何れか1項記載のインク組成物であって、その粘性が、剪断速度1/sの時の粘度範囲が50〜500Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度範囲が1〜8Pa・sであることを特徴とする電子回路基板作製用速乾性インク組成物。 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載のインク組成物を被印刷物に印刷直後に、水と接触させることを特徴とする印刷方法。 【請求項7】 インク組成物と水の接触が、印刷部位を水に浸漬することにより行われる請求項6記載の印刷方法。 【請求項8】 インク組成物と水の接触が、印刷部位に水を散水あるいは噴霧、あるいはスチームを噴霧することにより行われる請求項6記載の印刷方法。 【請求項9】 インク組成物と水の接触が、印刷部位を、水を含浸させた部材と接触させることにより行われる請求項6記載の印刷方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電子回路基板作製に用いられるエッチングレジスト組成物やマーキングインク組成物に関し、更に詳しくは、銅張基板等の非浸透性(非吸収性)の被印刷物に印刷した場合に、速乾性の皮膜を付与し得るエッチングレジスト組成物やマーキングインク組成物、およびそれらの手法に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、電子回路基板は、銅張積層板上に所望のエッチングレジストパターンを印刷し、これを硬化・定着させ、次いでエッチング工程(酸処理工程)、エッチングレジスト剥離工程(アルカリ処理洗浄工程)を経て、導体パターンを形成することにより製造されている。ここで、最初のエッチングレジストパターンの印刷工程は、製品の信頼性を確保するために極めて重要であり、その後のエッチング工程等に耐えるように、充分強固にエッチングレジストが定着している必要がある。 【0003】 また、製品基板上に製造番号や社名、部品の種類や取付位置等の文字やマークを印刷する目的から、マーキングインクが用いられる。 【0004】 そのため、電子回路基板のエッチングレジスト(一般にパターンを可視化あるいは明瞭化するため着色料が含まれている場合が多く、これをレジストインクと言う)やマーキングインクとしては、紫外線硬化型(例えば特許文献1)や熱硬化型のレジストインク(例えば特許文献2)を用いるのが通常であるが、紫外線照射装置や加熱装置等の特別な装置が必要となり、また、その後に基板の冷却工程を設けなければならず、印刷コストの問題、工程時間の増加を招くという問題があった。 【0005】 一方、近年の印刷・印字技術の向上により、紙、布等の浸透性被印刷物以外の、プラスチックフィルム、金属材料等の非浸透性被印刷物への印刷が行われる機会が増大しており、蒸発乾燥型のインク材料の研究により、これらの非浸透性被印刷物への印刷技術も発展してきているが、レジストインクやマーキングインクとして考えた場合、インク乾燥性(定着性)が悪く、印刷インクを乾燥・定着させるための時間が上記紫外線硬化型や熱硬化型のインク以上に必要となり、作業工程が遅延するという問題が残っており、実用性のあるものは提案されていない。 【0006】 従って、現在でも、レジストインクやマーキングインクとしては、依然として前述の紫外線硬化型や熱硬化型の電子回路基板作製用インクが一般的に用いられているのが実状である。 【特許文献1】特開2003−142801号公報 【特許文献2】特開平7−170053号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 仮に、蒸発乾燥型のレジストインクを用い、これを短時間で硬化・定着させることが可能であれば、上記紫外線硬化型や熱硬化型のインクの如く特別な装置を用いる必要がなくなり、エッチングレジストパターン印刷工程の時間低減、コスト低減を図ることができ、電子回路基板の製造に際して極めて有用となる。 【0008】 本発明の目的は、特別の装置や材料を用いることなく、銅張積層板上に対して短時間で皮膜形成が可能なエッチングレジスト組成物や、基板上に対して短時間で乾燥可能な文字やマークを印刷するマーキングインク組成物と、それらの方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者は、上記目的を達成すべく、エッチングレジスト材料組成、マーキングインク材料組成、処理手段、その他につき鋭意研究した結果、驚くべきことに、水溶解性の溶剤および水難溶性の樹脂成分を含むインク組成物を使用し、印刷直後に、印刷部位に水を噴霧する等の手段により、インク組成物と水とを接触させることにより、印刷部位が直ちに乾燥することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】 即ち本発明は、印刷直後に水と接触することにより、印刷部分が直ちに乾燥するインク組成物であって、エッチングレジスト組成物にあっては、水溶解性の溶剤および水難溶性の樹脂成分を含むことを特徴とする電子回路基板作製用速乾性エッチングレジスト組成物、並びに上記エッチングレジスト組成物を被印刷物(銅張積層板)に印刷直後に、水と接触させることを特徴とする印刷方法であり、マーキングインク組成物にあっては、水溶解性の溶剤および水難溶性の樹脂成分を含むことを特徴とする電子回路基板作製用速乾性マーキングインク組成物、並びに上記マーキングインク組成物を被印刷物(基板)に印刷直後に、水と接触させることを特徴とする印刷方法である。 【0011】 本発明によれば、特別な装置等を必要とせず、速乾性インク組成物を被印刷物に印刷直後に、水と接触させるということのみで、インク組成物を速やかに乾燥させ、硬化・定着させることができ、本発明は極めて有用な技術である。 【0012】 また、従来技術によれば、電子回路基板作製用インク(エッチングレジスト組成物やマーキングインク組成物)の場合は、水を含んでいると硬化・乾燥が遅延するため、該インクは実質的に水を含まないものが良いと考えられており、水の含有や水・水分との接触は極力回避されている。本発明は、このような従来技術の常識に反するもので、電子回路基板作製用インク組成物を印刷直後に水と接触させるという画期的な手法であって、インク組成物による印刷と水を積極的に接触させるという手法は当業者の思いつかない画期的なものであり、且つ水との接触によりインク組成物の乾燥性・定着性が向上するということは当業者でも全く予測し得なかったことである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明の作用機構について、現時点で判明していることを説明する。 【0014】 本発明者は、乾燥の遅い有機溶剤を用いても、速乾性となる印刷機構を長年に渡り研究していた。そして、水溶性の溶剤と、水不溶性の樹脂からなる配合のエッチングレジスト組成物を、吸い込みの無い金属表面に印刷した直後に、印刷部分に水を含んだ脱脂綿を軽く押し当てると、印刷部分のエッチングレジスト組成物は乾燥して硬化・定着状態となり、指触乾燥して皮膜を形成していることを見出した。 【0015】 この指触乾燥した印刷状態は、着色料を含有するエッチングレジスト組成物(インク)含有の溶剤が自然蒸発して得られる、配線パターン部分のインク硬化濃度が均一な印刷状態とは異なり、印刷濃度には若干の不均一性が観察されるが、配線パターンとしての認識は十分に可能であり、印刷目的を十分に果たしていた。 【0016】 また、同様にして基板上に文字やマークを印刷した直後に、印刷部分に水を含んだ脱脂綿を軽く押し当てると、印刷部分の文字やマークは乾燥して硬化・定着状態となり指触乾燥しており、電子回路基板製作用マーキングインク組成物としても、十分に使用可能なことを示していた。 【0017】 よって、この観察から、この現象は一種のソルベントショックであると考えている。即ち、インク配合が、着色料、水溶解性の溶剤、水不溶性の樹脂成分からなる場合、印刷されたインク部分が水と接触することにより、溶剤は水に溶解し、インク部分より急激な脱溶剤が発生する。また樹脂成分は水難溶性なことから着色料とともに析出することにより、インク硬化・指触乾燥となると考えられる。 【0018】 本発明では、従来の熱硬化型レジストインクに必要であった熱エネルギーを大量に消費する長時間の乾燥時間や加熱乾燥条件が不要であり、短時間にインク塗膜を硬化・乾燥させて皮膜を形成することが可能である。また、紫外線硬化型インクの如く特別な装置を用いる必要もない。更に、可燃性の溶剤(VOC)を蒸発飛散させることがないので、大気汚染や環境問題、作業安全性にも寄与できる、省エネ型・低コストで作業安全なエッチングレジスト付与技術である。 【0019】 本発明において、エッチングレジスト組成物やマーキングインク組成物を被印刷物にパターン印刷直後に、水と接触させる手段については特に限定はないが、利便性の点から以下の方法が好ましい。 (1)印刷部位を、水を含浸させた部材と接触(軽く押し当てる)させる。ここで用いられる部材とは、水を含浸・吸収する綿布状のものであれば何れのものでもよく、脱脂綿、ガーゼ、不織布、スポンジその他のものが例示される。 (2)印刷された被印刷物をそのまま水、流水に浸漬する。 (3)印刷された被印刷物に水を散水もしくは噴霧する。 【0020】 その他、水蒸気を噴霧する、高温多湿の部屋を通す等、結果としてインク印刷部位と水が接触する手法であれば何れも採用でき、本発明所期の効果が得られるが、作業性の点で(2)の方法が特に好ましくい。 【0021】 また、ここで用いられる水としては、水道水、井戸水、蒸留水、脱イオン水、純水など適宜な水を使用することができ、スチームも使用することができる。また、少量の有機溶剤、無機物(塩化ナトリウム等)を含むものを使用しても問題はない。 【0022】 また、水の温度も特に制限されず、低温のもの、室温から高温のスチーム温度のものまで何れも使用可能であるが、温度が高めのほうが、前記ソルベントショックを発生させやすい。 【0023】 次に、本発明のエッチングレジスト組成物について説明する。本発明のエッチングレジスト組成物には、必ずしも着色料は必要ではないが、エッチングレジストのパターンを可視化あるいは明瞭化するためには、少量の着色料を含んでいることが望ましい。 【0024】 本発明に用いる着色料としては、黒色インク用として各種カーボンブラックが、カラーインク用として公知の各種無機・有機顔料(例えば、紺青、チタン白、フタロシアニンブルー等)や各種染料類、またはこれらを組合させたものが例示され、特に制限はない。 【0025】 本発明に用いる水溶解性の溶剤としては、必要により用いられる上記着色料を分散させることができ、且つ水難溶性の樹脂成分を溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、セロソルブ等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;N−メチル−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。この内、ケトン類、エーテル類(特にジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル等のカルビトール類、セロソルブ等)、アルコール類が特に好ましい。また、インク組成物の安定性や水接触による乾燥性を損なわない範囲で、少量の水を含有することもできる。 【0026】 本発明において、前記ソルベントショックを発生させるためには、水溶解性の溶剤を用いることが必須である。非水溶解性の溶剤では、前記現象は発生せず、乾燥時間の短縮に効果がない。 【0027】 次に、本発明に用いる水難溶性の樹脂成分としては、アクリル樹脂類、スチレン樹脂類、ブチラール樹脂類(ポリビニルブチラール等)、ニトロセルロース、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。この内、アクリル樹脂類、スチレン樹脂類、ブチラール樹脂類が特に好ましい。 【0028】 本発明のインク組成物において、着色料、水溶解性の溶剤、水難溶性の樹脂成分の配合比率は特に限定されず、着色料を配合する場合、着色料が0.01〜5.0重量%程度、水難溶性の樹脂成分が5〜40重量%程度、残りを水溶解性の溶剤とすればよい。 【0029】 本発明のインク組成物には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、通常のインクに含まれる電荷付与剤、pH調整剤、蛍光増感剤、表面処理剤、界面活性剤、増粘剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、防腐・防黴剤、難燃剤、酸化防止剤、導電剤、香料等の種々の添加剤類を配合することもできる。 【0030】 また、本発明のインク組成物をスクリーン印刷法にて用いる時には、エッチングレジストやマーキングインクとして性格上、ある程度の粘性を有していることが好ましく、具体的には剪断速度1/sの時の粘度範囲が30〜1000Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度範囲が10Pa・s以下であること、特に剪断速度1/sの時の粘度範囲が50〜500Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度範囲が1〜8Pa・sであることが好ましい。 【0031】 このような粘性範囲を実現するためには、常法の如く、増粘剤を適当量混合することにより達成できる。増粘剤としては、各種シリカを用いることができる。 【0032】 本発明のインク組成物の印刷対象となる被印刷物としては、エッチングレジスト組成物の主たる印刷対象は電子回路基板作製用として最も一般的な銅張基板が挙げられ、マーキングインク組成物の主たる印刷対象は一般的な電子回路基板であるが、これに限定されず、配線パターン作製用の基板や電子基板であれば何れのものでもよい。 【0033】 本発明のインク組成物はスクリーン印刷の他に、インクジェット印刷、オフセット印刷、凹版印刷、凸版印刷、タンポ印刷、グラビア印刷、感熱転写印刷、スタンプ印刷方式等のあらゆる方式用のインクとして使用することができ、レジストパターンやマーキングの印刷手法も常法をそのまま適用できる。 【0034】 本発明においては、インク組成物の銅張基板や電子基板への印刷後、水と接触させることで瞬時に乾燥し、皮膜が形成するので、従来の紫外線硬化型や熱硬化型のインクの如く、皮膜形成後の基板の冷却時間をとる必要がないという利点もある。 【0035】 本発明において、インク組成物がエッチングレジスト組成物の場合には、エッチングレジストパターン形成後のエッチング工程(酸処理工程)、エッチングレジスト剥離工程(アルカリ処理洗浄工程)については、従来の紫外線硬化型や熱硬化型のインクを用いた場合と同等で良く、従来の装置をそのまま使用することが可能であり、同様の製造工程・製造設備を活用でき、新たな製造設備の導入・大きな設備投資が不要であるという、産業上の利点がある。 【0036】 また、本発明の技術原理は、上記のエッチングレジスト工法に用いるエッチングレジスト組成物だけではなく、基板上に文字やマークを印刷するマーキングインクとその印刷工法にも応用可能である。 【0037】 尚、樹脂成分に接着特性や粘着特性を有するものを使用すると、接着剤や粘着剤としての役割をインク機能に付与させることも可能である。即ち、片方の貼付面に上記エッチングレジスト組成物を塗布した後、水リンスし、直ちにもう片方の貼付面を密圧して、他方の基板や電子回路部品等を接着することもできる。粘着剤として使用する場合も同様である。 【実施例】 【0038】 次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1 一般に市販されている汎用アクリル樹脂(分子量;7200、モノマー比;メチルメタアクリレート:スチレン=6:4)30gをエチレングリコールモノブチルエーテル100gに溶解して、樹脂溶液を作製した。樹脂溶液は無色透明であった。この樹脂溶液に黒色着色剤を少量混合し、剪断速度1/sの時の粘度が100Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度が3Pa・sとなるように、増粘剤であるコロイダルシリカ粉体(商品名:アエロジル380)を混合撹拌して粘性調整を行い、黒色エッチングレジスト組成物を得た。粘度測定には、独Haake社のレオメータRS-100を用いた。 【0039】 該レジスト組成物をスクリーン印刷機にセットし、配線パターンを銅張基板上に印刷した。配線パターンには、線幅0.5mmの配線や0.5mmφの小径ラウンド部も含まれていた。 【0040】 印刷後、直ちに該基板を流水中に浸漬し、30秒経過後、流水中より引き上げると、レジスト組成物部分は硬化し指触乾燥して強固なエッチングレジスト皮膜を銅張基板上に形成しており、印刷部位の流出は見られず、さらに0.5mmφの小径ラウンド部や線幅0.5mmの配線も欠けることなく、配線パターンのインク部分は完全に保持されていた。 【0041】 その後、直ちに通常の42ボーメ度の第二塩化鉄溶液を用いるエッチング処理を行い、印刷部位以外の銅部分を基板から除去した。上記のエッチングレジスト皮膜は、エッチング処理中にも配線パターンを維持しつつ銅張基板上に付着して、配線パターン印刷部位ある銅配線部分をエッチング反応から保護していた。また、エッチング工程の後も、配線パターンを印刷した部位のみが基板上に残余しており、0.5mmφの小径ラウンド部や線幅0.5mmの配線も欠けることなく、配線パターンのインク部分は完全に保持されていた。 【0042】 その後、5%苛性ソーダ溶液を用いて、通常のレジスト組成物を除去するアルカリ洗浄処理を行った。処理工程は、5%苛性ソーダ溶液をベルトコンベア上部にあるスプレーより、ベルトコンベアーにより運ばれる基板へと勢い良く噴射し、その後、ナイロンブラシと流水で基板表面をブラッシング洗浄するものであった。5%苛性ソーダ溶液の噴射後には、配線パターンのレジスト皮膜面積の約70〜90%が剥離除去されており、その後のブラッシング洗浄で、全体の95〜98%は剥離除去された。その後、さらにもう一回、5%苛性ソーダ溶液噴射とブラッシング洗浄のアルカリ洗浄工程を行うことで、全てのレジスト皮膜を完全に除去した。 【0043】 基板上には、印刷配線パターンと同一の銅配線パターンが残余していた。銅配線部分の縁部位は、拡大視しても銅部分が滲んだり、エッジ部位が目痩せすることもなく、エッジが立った状態であり、通常の熱硬化型エッチングレジスト組成物を用いた時と、同一の仕上がり具合であった。 実施例2 実施例1で用いた汎用アクリル樹脂の代わりに、一般に市販されている汎用スチレン樹脂(分子量;8900、モノマー比;スチレン:メチルメタアクリレート=9:1)を用いた以外は同様にして、黒色エッチングレジストインクを調製した。その時の粘性は、剪断速度1/sの時の粘度が300Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度が7Pa・sであった。 【0044】 その後、実施例1と同様に、スクリーン印刷、流水中でのレジスト皮膜形成、エッチング処理を行ったところ、実施例1と同様に、配線パターンのインク部分は完全に保持されていた。 【0045】 次いで、同様にアルカリ洗浄処理を行ったところ、5%苛性ソーダ溶液の噴射後には、配線パターンのレジスト皮膜面積の約60〜80%が剥離除去されており、実施例1と比較すると、若干、剥離除去面積が小さかった。 【0046】 その後、実施例1と同様に2回のアルカリ洗浄処理をすると、実施例1と同様に、全てのレジスト皮膜は完全に除去され、基板上には、印刷配線パターンと同一の銅配線パターンが残余していた。その仕上がり具合も、通常の熱硬化型エッチングレジスト組成物を用いた時と、同一であった。 実施例3 実施例1で用いた汎用アクリル樹脂とエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、一般に市販されている分子量64,000のブチラール樹脂とエチルアルコールを用いて黒色エッチングレジスト組成物を調製した以外は同様にして、スクリーン印刷、流水中でのレジスト皮膜形成、エッチング処理を行ったところ、実施例1と同様に、配線パターンのインク部分は完全に保持されていた。 【0047】 次いで、同様にアルカリ洗浄処理を行ったところ、5%苛性ソーダ溶液の噴射後には、配線パターンのレジスト皮膜面積の約40〜80%が剥離除去されており、実施例1と比較すると、若干、剥離除去性が良好な場合と悪い場合があった。 【0048】 その後、実施例1と同様に2回のアルカリ洗浄処理をすると、レジスト皮膜は約98%が剥離除去されたが、大面積印刷部位の中央部や角部が残余する場合があり、完全にレジスト皮膜を基板上より剥離除去するには、3回のアルカリ洗浄処理が必要であった。その後の基板上には、印刷配線パターンと同一の銅配線パターンが残余していた。その仕上がり具合も、通常の熱硬化型エッチングレジスト組成物を用いた時と、同一であった。 実施例4 実施例1で用いたエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルをそれぞれ用いて黒色エッチングレジスト組成物を調製した。各々の黒色レジスト組成物を用いて、スクリーン印刷機で銅張基板上に配線パターンを印刷後、流水中でレジスト皮膜を形成し、エッチング処理とアルカリ洗浄処理を行ったところ、それぞれ、実施例1と同一の銅配線パターンを有する基板が得られた。それぞれのその仕上がり具合も、実施例1と同様に、通常の熱硬化型エッチングレジスト組成物を用いた時と同一であった。 比較例1 実施例1で用いたエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、トルエンを用いた以外は同様にして、黒色エッチングレジスト組成物を調製し、スクリーン印刷機で銅張基板上に配線パターンを印刷した。印刷後、直ちに流水中に浸漬したところ、殆どのインク部分は銅張基板上より離脱し、基板上には印刷した配線パターンは残らず、レジスト皮膜は形成されなかった。 実施例5 実施例1で調製した黒色エッチング組成物の代わりに、一般的に用いられている非浸透性被印刷物用(プラスチック用)の非水系黒色インク(シャチハタ工業株式会社の商品名:「TATスタンプインキプラスチック用STP(黒)」)を、実施例1の樹脂溶液の代わりに用いた。この非水系黒色インクには、黒色着色剤は混合せずに、剪断速度1/sの時の粘度が180Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度が5Pa・sとなるように、増粘剤であるコロイダルシリカ粉体(商品名:アエロジル380)を混合撹拌して粘性調製を行い、黒色エッチングレジスト組成物を得た。 【0049】 その後、実施例1と同様に、スクリーン印刷機で銅張基板上に配線パターンを印刷後、流水中でレジスト皮膜を形成し、エッチング処理とアルカリ洗浄処理を行ったところ、実施例1と同一の銅配線パターンを有する基板が得られた。その仕上がり具合も、実施例1と同様に、通常の熱硬化型エッチングレジストインクを用いた時と同一であった。 実施例6 実施例5で用いた非水系黒色インクの代わりに、一般的に用いられている非浸透性被印字物用(プラスチック用)の油性顔料系青色インク(シャチハタ工業株式会社の商品名:「強力スタンプインキタート速乾性STSG-1」)を用いた以外は実施例5と同様にして、青色エッチングレジスト組成物を調製した。その時の粘性は、剪断速度1/sの時の粘度が420Pa・sであり、剪断速度200/sの時の粘度が5Pa・sであった。 【0050】 その後、実施例1と同様に、スクリーン印刷機で銅張基板上に配線パターンを印刷後、流水中でレジスト皮膜を形成し、エッチング処理とアルカリ洗浄処理を行ったところ、実施例1と同一の銅配線パターンを有する基板が得られた。その仕上がり具合も、実施例1と同様に、通常の熱硬化型エッチングレジストインクを用いたと同一であった。 実施例7 実施例1において、実施例1で行った流水中に浸漬してレジスト皮膜を形成する代わりに、配線パターンを印刷した基板上へ水をスプレー噴霧して、印刷部位のレジスト組成物部分を固化させレジスト皮膜を形成した。次いで同様にして、エッチング処理とアルカリ洗浄処理を行ったところ、実施例1と同一の銅配線パターンを有する基板が得られた。その仕上がり具合も、実施例1と同様に、通常の熱硬化型エッチングレジストインクを用いた時と同一であった。また、水の代わりにスチームを用いても、同様の結果であった。 実施例8 実施例1で用いた黒色着色剤の代わりに白色着色剤を用いて、実施例1と同様にして白色インクを得た。実施例1において用いた配線パターンの代わりに、「富士プリント工業株式会社」の社名と、富士プリント工業株式会社の企業ロゴのあるステンレスメタル版パターンを用いて、実施例1と同様に、実施例1で作製した基板上に社名とロゴを印刷した後、直ちに流水中に5秒間浸漬し、引き上げると、白色インク部分は硬化し指触乾燥して強固なインク皮膜を基板上に形成していた。該社名文字と企業ロゴ形状には、欠けや流出は見られず、鮮明な社名文字とロゴが基板上に印刷できた。このことから、この白色インクは、電子回路基板へのマーキングインク組成物としても使用できることが分かった。 実施例9 実施例1において、実施例1で行った流水中に浸漬してレジスト皮膜を形成する代わりに、水に浸漬して軽く絞った10cm角の不織布を印刷部位に密圧させたところ、不織布は印刷部位のレジスト組成物部分と強固に接着した。 また、同様に水浸漬して軽く絞った不織布を印刷部位に押し当てた直後に電子回路部品を強く密圧させたところ、該部品は印刷部位のレジスト組成物部分と強固に接着した。 このことから、該レジストインクは基板と部品とを接着する等の水乾燥型の接着剤としても、使用できることが分かった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593113640 【氏名又は名称】富士プリント工業株式会社 【識別番号】592208747 【氏名又は名称】マキー・エンジニアリング株式会社 【識別番号】395016615 【氏名又は名称】有限会社新技術マネイジメント
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| 【出願日】 |
平成15年7月29日(2003.7.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087642 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 聡
【識別番号】100076680 【弁理士】 【氏名又は名称】溝部 孝彦
【識別番号】100091845 【弁理士】 【氏名又は名称】持田 信二
【識別番号】100098408 【弁理士】 【氏名又は名称】義経 和昌
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| 【公開番号】 |
特開2005−51065(P2005−51065A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月24日(2005.2.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−281902(P2003−281902) |
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