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【発明の名称】 ビアホールを有する基板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】楫野 隆
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 TDK株式会社内

【氏名】佐々木 正美
【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 TDK株式会社内

【要約】 【課題】配線密度および基板の信頼性を高め、基板の量産性を高める。

【解決手段】導電性を有する第一の転写用基板21に第一の導体パターン22を形成する工程、第二の転写用基板に第二の導体パターン32を形成する工程、第一転写用基板に支持された第一導体パターンと第二転写用基板に支持された第二導体パターンを絶縁材25を介在させプレスする工程、第二転写用基板を剥離する工程、該剥離面側からビアホール35を穿設する工程、及び該ビアホール内にめっき金属が充填されフィルドビア36が形成されるよう第一転写用基板に通電してめっきを行う工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、
前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に第二の導体パターンを形成する工程と、
前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、
前記第二の転写用基板を剥離する工程と、
該第二の転写用基板を剥離した剥離面側から前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、
該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行う工程と
を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項2】
導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、
前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に、ビアホールを形成すべき領域に対しても導体が配置されるよう第二の導体パターンを形成する工程と、
前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、
前記第二の転写用基板を剥離する工程と、
該第二の転写用基板を剥離した剥離面に、前記ビアホール形成すべき領域以外の領域を覆うレジストパターンを配する工程と、
前記第二の導体パターンのうちの、前記ビアホールを形成すべき領域の導体をエッチングにより除去する工程と、
前記レジストパターンをマスクとしてブラスト法により前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、
該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行う工程と
を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項3】
前記ビアホール形成領域の導体をエッチングして除去する工程では、当該導体を、形成すべきビアホールの径より大きく除去するようオーバーエッチングする
ことを特徴とする請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、
前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に、ビアホールとの接続を行う導体配線を含む第二の導体パターンを形成する工程と、
前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、
前記第二の転写用基板を剥離する工程と、
該第二の転写用基板を剥離した剥離面に、ビアホール形成すべき領域以外の領域を覆うレジストパターンを配する工程と、
前記第二の導体パターンのうちの、前記ビアホールを形成すべき領域に存在する導体をエッチングにより除去する工程と、
前記レジストパターンをマスクとしてブラスト法により前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、
該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行い、該めっきにより該ビアホールと前記導体配線とを電気的に接続してランドレスビアホールを形成する工程と
を含むことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁材として、ビニルベンジルエーテル化合物に機能性材料を混入した複合材料によって形成した絶縁材を使用する
請求項1から4のいずれか一項に記載の基板の製造方法。
【請求項6】
絶縁層と、該絶縁層の一方の面に形成した第一の導体パターンと、該絶縁層の他方の面に形成した第二の導体パターンと、該第一の導体パターンと第二の導体パターンとを接続するビアホールとを含む基板であって、
前記第一および第二の導体パターンは、転写用基板上に各導体パターンを形成した後、前記絶縁層となる絶縁材の各面に各導体パターンを転写して形成したものであり、
前記ビアホールは、ホール内にめっき金属が充填されたフィルドビアである
ことを特徴とする基板。
【請求項7】
絶縁層と、該絶縁層の一方の面に形成した第一の導体パターンと、該絶縁層の他方の面に形成した第二の導体パターンと、該第一の導体パターンと第二の導体パターンとを接続するビアホールとを含む基板であって、
前記第一および第二の導体パターンは、前記絶縁層に埋め込まれ、
該絶縁層の一方の面と他方の面とが、ともに略平面となっており、
前記ビアホールは、ホール内にめっき金属が充填されたフィルドビアである
ことを特徴とする基板。
【請求項8】
前記第一および第二の導体パターンにおける導体ライン幅および導体ライン間隙を、ともに30μm以下とした
ことを特徴とする請求項6または7に記載の基板。
【請求項9】
前記第一の導体パターンにおける導体ライン厚さをt1、導体ライン幅をw1、前記第二の導体パターンにおける導体ライン厚さをt2、導体ライン幅をw2としたときに、t1/w1およびt2/w2がともに1.0以上である
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の基板。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載の前記基板に、一以上の表面実装部品を実装した電子部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ビアホールを有する基板およびその製造方法に係り、特にフィルドビアによるプリント配線板内の層間接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板において層間接続を行う方法としては、従来、スルーホール法が広く用いられてきたが、近時の電子機器の小型化の要請から、より微細・高密度な配線形成が可能なビルドアップ法が急速に実用化されつつある。図7A,7Bおよび図8A,8Bは、それぞれスルーホール法とビルドアップ法における層間接続の工程を示すものである。
【0003】
図7A,7Bに示すようにスルーホール法では、表面に導体箔1,2を備えた絶縁基板3にドリル加工によって穴4を開け(同図(a)〜(b))、その内壁を含む全面に無電解めっきを施して下地導体層5を形成した後(同図(c))、電解めっき6を施すことにより電気的接続を形成する(同図(d))。さらに、レジストパターン7を形成し(同図(e))、エッチングを行った後(同図(f))、レジスト7を剥離する(同図(g))。
【0004】
一方、図8A,8Bに示すビルドアップ法では、コア基板11(同図(a))の表面に導体パターン12を形成し(同図(b))、その上に絶縁層13を設け(同図(c))、ビアホール14を形成する(同図(d))。そして、下地導体層15を形成し(同図(e))、めっきレジスト16を配した後(同図(f))、電解めっき17を施す(同図(g))。その後、レジスト16を剥離し(同図(h))、下地導体層15をエッチングにより除去する(同図(i))。
【0005】
さらに、ビアホール内がめっき金属で充填されたフィルドビアを形成する工法として下記特許文献記載の発明がある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−59022号公報
【0007】
【特許文献2】特開2000−77845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、在来のスルーホール法では、NCドリルマシンを使用しても、ドリル刃の折損や加工時の刃の首振り等の問題から、形成できる穴の径はせいぜい100μm程度が限度であり、ランド面積が近時の高密度配線化を制限する要因となりつつある。また、スルーホール法では、穴中心部に導体が存在しないから接続抵抗が大きいこと、ウエットエッチングを使用したサブトラクティブ法により導体パターンを通常形成するため、十分な精度が得られず、ファインパターンに対応することが出来ないこと、さらに基板の薄層化が進み、加工時の取り扱いが難しくなるなどの不利な面が顕在化してきた。
【0009】
一方、近時急速に普及してきたビルドアップ法においても次のような問題があり、さらなる改良が望まれる。すなわち、工程数が多く量産性が悪い点、下地導体層の形成に使用するパラジウムが樹脂表面に残留して基板の信頼性を低下させるおそれがある点、接続のためのランドが必要で接続部の面積を十分小さくすることが出来ない点、導通信頼性を高めるためフィルドビアを形成しようとすると、めっき時間が長くなり、量産性が低下する点である。さらに、導体パターンの形成がセミアディティブ法であり、フルアディティブ法より精度が低下せざるを得ないこと、また、各工程におけるハンドリング性を確保するためにある程度厚いコア基板が必要となって基板の薄層化に不利であることである。
【0010】
他方、前記特許文献記載の発明では、配線導体と接して接着層あるいは電着樹脂層が設けられており、これが電気的特性に悪影響を及ぼすおそれがある。接着剤や電着樹脂のQ値は一般に低く、これらが配線部の誘電損失を増大させるからである。この点は、特に高周波領域で顕著となる。また、接着時に接着層をある程度軟化させる必要があるが、このときビア用穴内に接着剤が流れ込み、ビアホールの接続信頼性を低下させる危険性がある。特に、穴径200μm以下の小径のビアホールではこの問題が生じやすい。
【0011】
さらに、接着層が導電体の底面のみと接着する構造であるから、ピール強度に劣り、特に微細かつ導体層が厚いハイアスペクトパターンの場合には、導体層が剥離しやすくなる一方で、これを防止するためにパターン全体を接着層の内部に埋め込もうとすれば、ビア内に接着剤が流れ込んで接続信頼性を低下させるという前に述べた問題が生じやすくなる。
【0012】
そこで本発明の目的は、このような従来の基板構造における問題を解消して配線密度および基板の信頼性を高め、特に基板の量産性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成して課題を解決するため、本発明に係る第一の基板製造方法は、導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に第二の導体パターンを形成する工程と、前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、前記第二の転写用基板を剥離する工程と、該第二の転写用基板を剥離した剥離面側から前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行う工程とを含む。
【0014】
このように本発明の第一の基板製造方法では、導電性を有する転写用基板に基板(第一の導体パターン、絶縁材および第二の導体パターン)を支持した状態でビアホール用の穴を穿設加工し、ビアの底部のみに通電してビアホールめっきを行うから、めっき液を内包するボイドの発生が抑制され、転写用基板に大電流を供給してフィルドビアめっきを短時間で行うことが可能となる。また、下地導体層の形成や下地導体のエッチング工程が不要となるから、ビルドアップ工法と較べて工程数を減少させることが出来るとともに、下地導体層が不要で、基板表面にパラジウムが残ることがないから、基板の信頼性を向上させることが出来る。さらに処理工程中、処理すべき基板が転写用基板に支持されているから、厚いコア基板を必要とせず、基板(絶縁材)を薄くしても加工性が低下することがない。また、フィルドビアにより層間接続を行うから接続抵抗を小さくすることが出来る。
【0015】
また、本発明に係る第二の基板製造方法は、導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に、ビアホールを形成すべき領域に対しても導体が配置されるよう第二の導体パターンを形成する工程と、前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、前記第二の転写用基板を剥離する工程と、該第二の転写用基板を剥離した剥離面に、前記ビアホール形成すべき領域以外の領域を覆うレジストパターンを配する工程と、前記第二の導体パターンのうちの、前記ビアホールを形成すべき領域の導体をエッチングにより除去する工程と、前記レジストパターンをマスクとしてブラスト法により前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行う工程とを含む。
【0016】
第二の基板製造方法は、前記第一の製造方法と同様に、転写用基板を利用してフィルドビアを形成して層間接続を行うものであるが、ビア用の穴の形成をブラスト法により行う。ブラスト法によれば、例えばレーザによりビアを形成する場合と較べ、低コストに基板を製造することが可能となる。
【0017】
また、かかる第二の基板製造方法において、ビアホール形成領域の導体をエッチングして除去する工程では、当該導体をオーバーエッチングすることにより、形成すべきビアホールの径より大きく除去することがある。
【0018】
これは、電流集中により穴周縁部からめっきが上方に異常に析出成長して絶縁不良を起こすような危険性を回避し、基板の信頼性を高めるためである。これについては、発明の実施の形態の欄において図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0019】
また、本発明に係る第三の基板製造方法は、導電性を有する第一の転写用基板の表面に第一の導体パターンを形成する工程と、前記転写用基板とは別の第二の転写用基板の表面に、ビアホールとの接続を行う導体配線を含む第二の導体パターンを形成する工程と、前記第一の転写用基板に支持された第一の導体パターンと前記第二の転写用基板に支持された第二の導体パターンとを絶縁材を介在させてプレスする工程と、前記第二の転写用基板を剥離する工程と、該第二の転写用基板を剥離した剥離面に、ビアホールを形成すべき領域以外の領域を覆うレジストパターンを配する工程と、前記第二の導体パターンのうちの、前記ビアホールを形成すべき領域に存在する導体をエッチングにより除去する工程と、前記レジストパターンをマスクとしてブラスト法により前記第一の導体パターンに達するビアホール用の穴を穿設する工程と、該ビアホール用の穴内にめっき金属が充填されるよう前記第一の転写用基板に通電してめっきを行い、該めっきにより該ビアホールと前記導体配線とを電気的に接続してランドレスビアホールを形成する工程とを含む。
【0020】
かかる本発明の基板製造方法では、フィルドビアを形成するめっき処理(めっき成長)によって、該フィルドビアとこれに接続すべき第二導体パターン形成側面の導体配線との接続を直接行うから、ランドレス化(ランドを設けない)が可能となり、配線密度をより向上させることが可能となる。
【0021】
前記絶縁材としては、ビニルベンジルエーテル化合物に機能性材料を混入した複合材料によって形成した絶縁材を使用する場合がある。
【0022】
かかる材料を使用すれば、例えば転写用基板として機械的特性に優れたSUS基板を使用したときに該転写用基板との剥離性が良好となるとともに、機能性材料(例えばシリカフィラー)の添加によって基板特性を向上させる(例えば低誘電率かつ高Q値とする)ことが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る基板は、絶縁層と、該絶縁層の一方の面に形成した第一の導体パターンと、該絶縁層の他方の面に形成した第二の導体パターンと、該第一の導体パターンと第二の導体パターンとを接続するビアホールとを含む基板であって、前記第一および第二の導体パターンは、転写用基板上に各導体パターンを形成した後、前記絶縁層となる絶縁材の各面に各導体パターンを転写して形成したものであり、前記ビアホールは、ホール内にめっき金属が充填されたフィルドビアである。
【0024】
また、本発明に係る別の基板は、絶縁層と、該絶縁層の一方の面に形成した第一の導体パターンと、該絶縁層の他方の面に形成した第二の導体パターンと、該第一の導体パターンと第二の導体パターンとを接続するビアホールとを含む基板であって、前記第一および第二の導体パターンは、前記絶縁層に埋め込まれ、該絶縁層の一方の面と他方の面とが、ともに略平面となっており、前記ビアホールは、ホール内にめっき金属が充填されたフィルドビアである。
【0025】
かかる基板では、上記絶縁層の両面(第一の導体パターンの形成層および第二の導体パターンの形成層)が平坦になるため、積層精度を高めることが出来る。すなわち、当該基板を積層して多層基板を形成する場合に、基板上に重ねる絶縁材の樹脂の流動が抑えられ、厚さの制御が容易となるとともに、層間のズレを抑えることが可能となる。また、ホール内にめっき金属が充填されたフィルドビアにより層間接続を行うから、電気抵抗および熱抵抗を小さくすることが出来る。
【0026】
また、上記基板では、第一および第二の導体パターンの導体ライン幅および導体ライン間隙を、ともに30μm以下とすることがある。
【0027】
このような基板構造によれば、微細配線が可能となり、当該基板を使用して形成する電子部品や機能モジュール等を小型・薄型化することができ、設計を容易にすることも可能となる。
【0028】
さらに、上記基板では、第一の導体パターンの導体ライン厚さをt1、導体ライン幅をw1、第二の導体パターンの導体ライン厚さをt2、導体ライン幅をw2としたときに、t1/w1およびt2/w2がともに1.0以上である場合がある。
【0029】
このように導体ライン幅すなわち配線導体の線路幅に対する導体ライン厚さの比(アスペクト比)t1/w1およびt2/w2を1.0以上とする本発明の基板構造によれば、配線の電気抵抗を小さくすることができ、これにより伝送損失や発熱を小さく抑えることが可能となる。
【0030】
さらに本発明に係る電子部品は、前記本発明に係る基板に、一以上の表面実装部品を実装したものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、配線密度および基板の信頼性を高め、基板の量産性を向上させることが出来る。本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の本発明の実施の形態および実施例の説明により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面の図1から図6を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。尚、図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【0033】
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一の実施形態に係る基板製造方法を示す工程図である。同図に示すようにこの実施形態では、次のようにして層間接続を行い、基板を製造する。
【0034】
まず、転写用基板21を用意し(図1A(a))、転写用基板21の表面に第一の導体パターン22を形成する(同図(b))。また、別の(第二の)転写用基板31を用意してその表面に第二の導体パターン32を形成する(同図(c))。これらの転写用基板21,31としては、例えば縦100mm、横100mm、厚さ0.1mmのSUS304TA材を使用することが出来る。また、導体パターン22,32の形成は、例えばパターンめっき法により行う。このとき、レジストとして例えば厚さ29μmのドライフィルムを使用し、硫酸銅めっきで厚さ20μmのパターンを形成する。第二導体パターン32の形成にあたっては、ビアホールを形成する位置の外側に例えば幅50μmのドーナツ状のパターンを配置しておく。その後、レジストを剥離する。
【0035】
次に、第二転写用基板31を反転して第一転写用基板21に対向させ、これら転写用基板21,31の間に絶縁材25を挟んで真空プレスすることにより導体パターン22,32の転写を行う(同図(d)〜(e))。絶縁材25には、例えばビニルベンジルエーテル化合物樹脂(VB)に平均粒径5μmの球状シリカフィラーを40vol%(体積パーセント)混入した複合材料により形成した厚さ40μmの接着シートを使用することが出来る。転写後の層間絶縁層の厚さ(各導体パターン22,32の間隔)は20μmとなる。ビニルベンジルエーテル化合物樹脂により形成したかかる絶縁材は、SUS基板との剥離性が良好である点で好ましい。
【0036】
プレス後、第二転写用基板31を剥離し(図1B(f))、所定のビアホール形成位置に例えばUVYAGレーザで第一導体パターン層22に達するビアホール用の穴35を開ける(同図(g))。ビアホール35の直径は、例えばトップ径が100μm、ボトム径が70μmである。その後、例えば過マンガン酸カリ系のデスミア液を使用してスミアを除去する。
【0037】
そして、第一転写用基板21に通電してめっきを行い、下面の第一導体パターン22側から銅を析出させてホール35内を充填していき、フィルドビア36を形成する(同図(h))。このときのめっき条件は、例えば硫酸銅5水塩200g/lおよび硫酸100g/lのめっき液を使用し、8A/dm2電流密度でめっきを行う。めっき時間は30分間である。
【0038】
穴内がめっき銅36で充填されたら、第一転写用基板21を剥離し(同図(i))、本実施形態に係る層間接続構造を完成する。尚、さらに公知の手法により該基板の両面に絶縁材と導体パターンを適宜積層して多層基板を形成することが可能である。
【0039】
〔第二実施形態〕
図2は、本発明の第二の実施形態に係る基板製造方法を示す工程図である。
【0040】
同図に示すようにこの実施形態は、前記第一実施形態(図1A(a)〜図1B(f))と同様にして第一および第二の転写用基板にそれぞれ所定の導体パターン22,32を形成し、絶縁材25を介在させてプレスを行い、第二転写用基板を剥離する。ただし、この実施形態では、ビアホールを形成する位置41の上面部も導体で覆われるように第二の導体パターン32を形成する。
【0041】
そして、第二転写用基板を剥離した剥離面(第二導体パターン側の面)に対して、ビアホールを形成すべき位置41以外の領域を覆うレジストパターン42を配する(同図(a))。このレジスト42としては、例えばドライフィルムを使用することができ、ビアホール形成位置41に、当該形成すべきビアホール径に合わせて例えば直径100μmの穴(レジストが無い部分)が配置されるようにレジスト42を形成する。
【0042】
その後、エッチングを行い、ビアホール形成位置41の導体(第二導体パターン32)を除去する(同図(b))。このとき、当該導体32をオーバーエッチングすることにより、形成すべきビアホールの径より大きく除去する。これは、次の理由による。
【0043】
図3(a)に示すように、ビアホール径(トップ径)ちょうどに導体32をエッチングした場合(ビアホールの周縁まで導体32がある状態とする)、後に述べるフィルドビアを形成する工程で、ビア穴内がめっき銅で満たされ、ランド部(第二導体パターン32)と接続した時点(同図(b))から当該ランド部32も通電されることになるため、めっき析出が生じる。このとき、特に当該ランド部32の内縁角部(穴内縁)32aは電流集中によってめっきの成長速度が速く、このため同図(c)並びにレジストを除去した状態を表す同図(d)に示すような上方に突出した突起部45が形成されてしまうおそれがある。このような突起部45は、特に層間が小さくなるほど絶縁不良の原因となる可能性があり好ましくない。
【0044】
そこで、前記本発明の第二の製造方法並びに本実施形態では、ビアホール形成部41の第二導体32をオーバーエッチングし、形成すべきビアホールの径より大きく導体を除去することとした。これにより、かかるめっき突起部45の発生を防ぎ、基板の信頼性を向上させることが出来る。
【0045】
第二導体パターン32のエッチングの後、ブラスト加工により絶縁層25にビアホール用の穴43を開ける(図2(c))。ブラスト加工によれば、多数のビアホールを一度に形成することができ、また設備も簡便なのでレーザ加工に較べ、基板の製造コストを低減させることが出来る。
【0046】
その後、第一転写用基板21に通電して前記第一の実施形態と同様にフィルドビア36を形成し(図2(d))、レジスト42を除去した後、転写用基板21を剥離する(同図(e))。尚、かかるフィルドビア形成には、第二導体32のランド部内縁はレジスト42によって覆われているから、前に述べたようなめっき突起部は形成されない。
【0047】
〔第三実施形態〕
図4は、本発明の第三の実施形態を示す工程図である。この実施形態は、前記第一および第二実施形態と同様に、転写法およびフィルドビアを利用して層間接続を形成するものであるが、ランドを設けないランドレスビアホールにより層間接続を行うものである。
【0048】
まず前記第一実施形態(図1A(a)〜図1B(f))と同様にして第一および第二の転写用基板にそれぞれ所定の導体パターン22,32を形成し、絶縁材25を介在させてプレスを行い、第二転写用基板を剥離する。ただし、この実施形態では、図4A(a1)および(a2)に示すように、ビアホール形成位置41の上面部の少なくとも一部に導体が存在するように第二の導体パターン32を形成する。この例では、同図(a2)に示すように当該ビアホール形成位置41に円形形状に導体が配されるように第二導体パターン32を形成したが、この形状は特に問わず、例えば図5に示すように配線51(これは第二導体パターン32の一部である)をそのまま当該ビアホール形成位置41に突出させたような形態であっても構わない。尚、図4Aおよび4Bの(a2)〜(e2)は、基板を上面側から見た平面図である。
【0049】
次に、前記第二実施形態と同様に、第二転写用基板の剥離面(第二導体パターン側の面)に対して、ビアホールを形成すべき位置41以外の領域を覆うレジストパターン42を配し(図4A(a1),(a2))、ビアホール形成位置41の導体32をエッチングして除去する(同図(b1),(b2))。
【0050】
そして、ブラスト加工により第一導体パターン22に達するビアホール用の穴43を開けた後(同図(c1),(c2))、第一転写用基板21に通電してビアホール内が銅で充填されたフィルドビア36を形成し(図4B(d1),(d2))、第一転写用基板21を剥離する(同図(e1),(e2))。
【0051】
このような実施形態によれば、配線の高密度化の制限要因と近時なりつつあるランドを不要化することが出来るから、より一層の高密度配線を実現することが可能となる。
【0052】
上記第一から第三の実施形態に係る製造方法の利点を纏めれば次のとおりである。
【0053】
第一に、基板の配線密度を向上させることが出来る点である。フルアディティブ法であるから、緻密かつ高精度の導体パターンを形成することができ、ファインパターンに対応することが出来る。また、第三の実施形態のようにランドレス化が可能であり、接続部の面積を小さくすることが出来る。
【0054】
第二に、量産性が良好となる。例えばビルドアップ工法と比較した場合、下地導体層の形成工程、並びに下地導体のエッチング工程を省くことが可能で、工程数が少ないからである。また、転写用基板を使用してビアを下から埋めていくので、大電流で短時間にフィルドビアめっきが可能であり、めっき処理の時間を少なくすることが出来る。
【0055】
第三に、信頼性が高くかつ高性能な基板を製造することが出来る。下地導体層が不要で、基板表面にパラジウムが残ることがないからである。また、接続抵抗の小さいフィルドビアで層間接続を行うからである。
【0056】
第四に、製造工程におけるハンドリング性に優れる。工程内で常に転写用基板が少なくとも片側にあるから、取り扱いが容易になるからである。転写用基板としてSUS板等の機械強度の高い転写板を使用可能であり、厚いコア基板を必要としないから、層間絶縁層の厚さを薄くすることができ、例えば100μm以下の薄い層間絶縁層を有する多層基板も容易に製造することが可能となる。
【0057】
〔第四実施形態〕
図6は、本発明の第四の実施形態に係る基板構造を示すものである。同図に示すようにこの実施形態の基板は、絶縁材25と、絶縁材25の一方の面に形成した第一の導体パターン22と、絶縁材25の他方の面に形成した第二の導体パターン32とを有するもので、第一および第二の各導体パターン22,32を絶縁材25に埋め込むように形成し、絶縁材25の両面25a,25bが略平面となるようにした。このように構成すれば、当該基板を積層して多層基板を形成する場合に、基板上に重ねる絶縁材の樹脂の流動を抑え、積層基板の厚さ制御を容易にすることが出来るとともに、層間のズレを防ぐことが可能となる。
【0058】
また、第一の導体パターン22と第二の導体パターン32とを接続するビアホール36は、ホール内にめっき金属を充填したフィルドビアとする。これにより層間接続部における電気抵抗を小さくすることが出来る。
【0059】
また、第一および第二の導体パターン22,32における導体ライン幅w1,w2および導体ライン間隙w0をともに30μm以下とする。これにより、微細配線が可能となり、当該基板を使用して形成する電子部品や機能モジュール等を小型・薄型化することが出来る。
【0060】
さらに、第一の導体パターン22における導体ライン厚さをt1、第二の導体パターン32における導体ライン厚さをt2としたときに、t1/w1およびt2/w2がともに1.0以上となるように各導体パターン22,32を形成する。これにより配線の電気抵抗を小さくし、伝送損失を低減することが出来る。
【0061】
尚、本実施形態に係る基板を製造するにあたっては、上記第一から第三の実施形態に係る基板製造方法を適宜使用することが可能である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1A】(a)から(e)は、本発明の第一の実施形態に係る基板製造方法の工程を順次示す基板断面図である。
【図1B】(f)から(i)は、同じく本発明の第一の実施形態に係る基板製造方法の工程を順次示す基板断面図である。
【図2】(a)から(e)は、本発明の第二の実施形態に係る基板製造方法の工程を順次示す基板断面図である。
【図3】(a)から(d)は、本発明の第二の製造方法並びに第二の実施形態の利点を説明するための基板断面図である。
【図4A】(a1)から(c1)は、本発明の第三の実施形態に係る基板製造方法の工程を順次示す基板断面図である。また、(a2)から(c2)は、前記(a1)から(c1)の各平面図である。
【図4B】(d1)から(e1)は、本発明の第三の実施形態に係る基板製造方法の工程を順次示す基板断面図である。また、(d2)から(e2)は、前記(d1)から(e1)の各平面図である。
【図5】前記第三の実施形態における変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第四の実施形態に係る基板を示す断面図である。
【図7A】(a)から(d)は、従来のスルーホール法による層間接続の工程を順次示す基板断面図である。
【図7B】(e)から(g)は、従来のスルーホール法による層間接続の工程を順次示す基板断面図である。
【図8A】(a)から(e)は、従来のビルドアップ法における層間接続の工程を順次示す基板断面図である。
【図8B】(f)から(i)は、従来のビルドアップ法における層間接続の工程を順次示す基板断面図である。
【符号の説明】
【0064】
21,31 転写用基板
22,32 導体パターン
25 絶縁材
35、43 ビアホール用穴
36 フィルドビア
42 レジスト
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
【出願日】 平成16年6月21日(2004.6.21)
【代理人】 【識別番号】100100365
【弁理士】
【氏名又は名称】増子 尚道

【公開番号】 特開2005−39233(P2005−39233A)
【公開日】 平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願番号】 特願2004−182452(P2004−182452)