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【発明の名称】 薄膜抵抗層形成用めっき浴、薄膜抵抗層形成方法、薄膜抵抗層付き導電性基材及び抵抗層付き回路基板材料
【発明者】 【氏名】菊池 勇貴
【住所又は居所】栃木県今市市荊沢601番地の2 古河サーキットフォイル株式会社内

【氏名】鈴木 裕二
【住所又は居所】栃木県今市市荊沢601番地の2 古河サーキットフォイル株式会社内

【氏名】大塚 英雄
【住所又は居所】栃木県今市市荊沢601番地の2 古河サーキットフォイル株式会社内

【氏名】松本 貞雄
【住所又は居所】栃木県今市市荊沢601番地の2 古河サーキットフォイル株式会社内

【氏名】松田 晃
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、粗化された導電性基材の表面に均一な厚さ分布で薄膜抵抗層が形成できるめっき浴、抵抗の安定した薄膜抵抗層を有する抵抗層付き導電性基材及びそれを用いた抵抗回路基板材料を提供することにある。

【解決手段】本発明は導電性基材の表面に薄膜抵抗層を形成するめっき浴であって、該めっき浴は銅を必須成分とし、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、ニッケル、コバルト、クロムのいずれか1種を少なくとも含むことを特徴とする薄膜抵抗層形成用めっき浴、該めっき浴で形成した薄膜抵抗層を有する抵抗層付き導電性基材及びそれを用いた抵抗回路基板材料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基材の表面に薄膜抵抗層を形成するめっき浴であって、該めっき浴はCuを必須成分として、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、かつNi、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含むことを特徴とする薄膜抵抗層形成用めっき浴。
【請求項2】
請求項1に記載のめっき浴において、pHを6以下とすることを特徴とする薄膜抵抗層形成用めっき浴。
【請求項3】
Cuを必須成分とし、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、Ni、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含むめっき浴で、pHを6以下とし、浴温度を30〜80℃で導電性基材の表面に薄膜抵抗層を形成することを特徴とする導電性基材表面に薄膜抵抗層を形成する方法。
【請求項4】
前記めっき浴において、電流密度を1〜30A/dmで薄膜抵抗層の形成を行うことを特徴とする請求項3に記載の導電性基材表面に薄膜抵抗層を形成する方法。
【請求項5】
前記めっき浴において、アノードとして不溶性アノードを使用して薄膜抵抗層の形成を行うことを特徴とする請求項3に記載の導電性基材表面に薄膜抵抗層を形成する方法。
【請求項6】
Cuを必須成分とし、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、Ni、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含むめっき浴で、Pを2〜30wt%含有させたCuを含むNi又はCo又はCr合金層からなる薄膜抵抗層を導電性基材表面に形成したことを特徴とする薄膜抵抗層付き導電性基材。
【請求項7】
Cuを必須成分とし、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、Ni、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含むめっき浴で、Cuを1〜10wt%含有させたPを含むNi又はCo又はCr合金層からなる薄膜抵抗層を導電性基材表面に形成したことを特徴とする薄膜抵抗層付き導電性基材。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の薄膜抵抗層付き導電性基材において、薄膜抵抗層の厚さが0.5〜20mg/dmであることを特徴とする抵抗層付き導電性基材。
【請求項9】
請求項6乃至8に記載の抵抗層付き導電性基材において、少なくとも抵抗層が形成された面がRzで3.5μm以下であることを特徴とする抵抗層付き導電性基材。
【請求項10】
請求項6乃至9に記載の薄膜抵抗層付き導電性基材において、導電性基材がキャリア付き導電性基材であることを特徴とする薄膜抵抗層付き導電性基材。
【請求項11】
絶縁基板の少なくとも片面にCuを必須成分とし、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、Ni、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含む合金で形成された薄膜抵抗層を積層した導電性基材が、該基材の前記薄膜抵抗層を内側にして回路基材と接合されていることを特徴とする薄膜抵抗層付き回路基板材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント抵抗回路板等の作成に有用な薄膜抵抗層付き導電性基材に関するものであり、特に、該薄膜抵抗層付き導電性基材を構成する導電性基材に薄膜抵抗層をめっきにより形成するめっき浴、そのめっき方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抵抗体を内蔵するプリント回路基板材料(以下抵抗回路基板材料または薄膜抵抗層付き回路基板材料と言う)は、一般に絶縁基板と、導電性基板等の上に接合された抵抗層及び該抵抗層に接合された銅箔等の高導電性基材からなる抵抗層付き導電性基材との積層体の形態で提供される。
【0003】
抵抗回路基板材料を使用したプリント抵抗回路の作成は、目的とする回路のパターンに従って絶縁領域(絶縁基板上の全ての抵抗層付き導電性基材が除去される)、抵抗領域(高導電性基材が除去される)、並びに導体領域(全て残す)が、サブトラクティブ法(マスクエッチング法)により形成される。
【0004】
従来、抵抗層を形成する材料としてはカーボン系の抵抗材料が一般的であるが、その他に金属薄膜を利用したものとして、リンを含む電気Niめっき(例えば特許文献1,2参照)、Snを含む電気Niめっき(例えば特許文献3参照)等が提案されている。しかし、この種の金属薄膜抵抗層では、膜厚を薄くすることでシート抵抗の高い膜を得ることは可能であるが、一般に膜厚を薄くすると金属膜の均一性が失われ、一定のシート抵抗が得られないため、その薄さには限界があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭48−73762号公報
【特許文献2】特公表S63−500133号公報
【特許文献3】特開昭54−72468号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、抵抗層付き導電性基材の製造は、導電性基材上に薄膜抵抗層を電解めっき法で形成するが、導電性基材とめっきで形成する抵抗層との密着強度が悪いため、予め導電性基材表面を粗化した後に抵抗層となるNi−P等からなる抵抗層をめっきして密着強度を上げている。しかし、このような方法では導電性基材の表面の凹凸、特に粗化粒子での微細な凹凸上に抵抗層が形成されるため、めっき直後においてもめっき厚の分布が悪くシート抵抗の安定性に欠ける欠陥があった。
【0007】
さらに、抵抗回路基板材料としての使用時に導電性基材の層をエッチング除去するのに、一部抵抗層が溶解することが避けられず、Ni−Pめっき抵抗層の厚さに分布があると導電性基材の層を完全に除去するには、抵抗層も一部欠落する欠点があり、抵抗素子を安定に残してプリント抵抗回路板を製造することは極めて困難であった。
また、多層に積層したプリント抵抗回路板を製造する際に、プリント抵抗回路板を加熱プレスするが、この時に抵抗層のみの部分(導電性基材がエッチング除去された部分)にて割れが発生し、抵抗の増大や回路オープンとなる欠点があった。
【0008】
特に、前記Ni−P合金による抵抗層においては、抵抗層を形成するめっき浴が、ニッケルイオンと亜リン酸イオンおよびリン酸イオンを必須とし、さらに硫酸イオンと塩素イオンをも含む浴である。このような浴で導電性基材上にめっきされた抵抗層付き導電性基材は、めっき時に色むらが発生し、ミクロ的にもバラツキがあり、更に量産時での幅広の材料(例えば>300mm)においては、巾方向にめっき厚やP含有量にバラツキが生じやすい欠点がり、抵抗回路としての抵抗値のバラツキも大きくなっていた。
【0009】
また、前記Ni−Sn合金による抵抗層の場合では、絶縁領域形成での抵抗層エッチング(Ni−Sn溶解)において、絶縁基板に錫の酸化物又は水酸化物が残存し、絶縁不良を発生させる問題があった。
また、抵抗層の形成を、蒸着法によりNi−CrやNi−Cr−Al−Si等の層を設ける技術が開発されているが、蒸着法はコスト、生産性の問題の他、絶縁材料との密着強度が低いという問題が指摘されている。
本発明は、上記した従来の課題に鑑み、粗化された導電性基材の粗い表面にも均一な厚さ分布で抵抗層が形成できるめっき浴、抵抗の安定した薄膜抵抗層を有する抵抗層付き導電性基材及びそれを用いた抵抗回路基板材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、導電性基材の表面に薄膜抵抗層を形成するめっき浴であって、該めっき浴はCuを必須成分として、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸、及びこれらの塩類の内のいずれか1種を少なくとも含み、かつNi、Co、Crのいずれか1種を少なくとも含むことを特徴とする薄膜抵抗層形成用めっき浴である。
【0011】
前記めっき浴に他の金属成分として更にFe、Zn、Mo、W等を含ませても良い。前記めっき浴に、さらに硫酸、塩酸又はこれらの塩類の少なくとも1種を添加することが好ましい。
【0012】
前記めっき浴においては、pHを6以下とすることが望ましい。
【0013】
前記めっき浴においては、浴温度を30〜80℃の範囲で薄膜抵抗層の形成を行うことが望ましい。
【0014】
前記めっき浴において、電流密度を1〜30A/dmの範囲で薄膜抵抗層の形成を行うことが望ましい。
【0015】
前記めっき浴において、アノードとして不溶性アノードを使用し薄膜抵抗層の形成を行うことが望ましい。
【0016】
本願の第2の発明は、導電性基材に前記記載のめっき浴で、前記記載の薄膜抵抗層の形成条件により、Pを2〜30wt%含有するCuを含むNi又はCo又はCr合金層からなる薄膜抵抗層が形成されていることを特徴とする抵抗層付き導電性基材である。
上記薄膜抵抗層のエッチング性能を考慮するとCuの含有量は0.1%以上であることが好ましい。
【0017】
本願の第3の発明は、導電性基材に前期記載のめっき浴で、前期記載の薄膜抵抗層の形成条件により、Cuを1〜10wt%含有させたPを含むNi又はCo又はCr合金層からなる薄膜抵抗層が形成されていることを特徴とする抵抗層付き導電性基材である。
上記薄膜抵抗層の導電性基材への均一電着性、並びに抵抗値を増大させることを考慮すると、Pの含有量は1.0wt%以上であることが好ましい。
【0018】
抵抗層厚については、薄膜抵抗層の合金組成によっても異なるが、低抵抗(〜25Ω)ならば12〜20mg/dm、高抵抗(250Ω〜)ならば5mg/dm以下がこのましく、抵抗層厚としては、0.5〜20mg/dmが好適である。
【0019】
前記導電性基材の少なくとも抵抗層が形成される面がRzで3.5μm以下であることが望ましい。また、Rzで0.5μm以下となると樹脂等との密着性が弱くなる。
【0020】
本願の第4の発明は、前記導電性基材がキャリア付き導電性基材であることを特徴とする抵抗層付き導電性基材である。
【0021】
本願の第5の発明は、絶縁基板の少なくとも片面に前記抵抗層付き導電性基材が、該基材の抵抗層を内側にして回路基材と接合されていることを特徴とする抵抗層付き回路基板材料である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明はCu及びPを含有するNi又はCr又はCo合金により抵抗層を形成する。このような合金組成とすることにより、従来の欠点であったミクロ、マクロ的均一電着性を改良でき、エッチングでのパターン形成性を向上しうる。また、熱プレス等による加工性も従来の薄膜抵抗層に比べて良好となる。
【0023】
本発明の導電性基材に抵抗層をめっきするめっき浴、めっき条件は次のとおりである。
薄膜抵抗層を形成する合金の主成分がNiである実施形態
硫酸めっき浴、スルファミン酸めっき浴等の公知のNiめっき浴のベース浴を採用できる。しかし、コスト面からは硫酸浴が優れ、均一電着性からはスルファミン酸浴が優れる。したがって要求される薄膜抵抗層の性質によりめっき浴を選択することができる。
液組成:
硫酸Niとして100〜200g/l、
スルファミン酸Niとして、300〜600g/l
の範囲が好適である。
【0024】
前記メッキ浴に添加するリン酸、亜リン酸、次亜リン酸はそのままでもよいが、これらに替えてNa塩等を使用してもよい。P濃度としては、20〜150g/lの範囲が好ましい。しかし、設備の不稼動時等液温低下時での結晶化防止等を考慮すると、20〜100g/lの範囲が望ましい。
【0025】
前記めっき浴に添加するCuは硫酸Cu、スルファミン酸Cu等が使用でき、Cu濃度としては0.1〜10.0g/lの範囲が好ましい。
【0026】
上記めっき浴はNa等との塩を用いることによりpHの調整を行なうか、または、NaOH等のアルカリ、あるいはスルファミン酸、硫酸等を添加してpHを調整してもよい。pHは高いほどめっき膜の均一性が劣化するため6以下とすることが望ましく、さらには4以下にすると、pH変動が少なくなるためより好ましい。
また、めっき浴としては、ホウ酸等のpH緩衝剤を含ませることによりpH安定性が増し、より薄膜組成、電流効率の安定化を図ることができる。
【0027】
また、めっき浴に硫酸や塩酸又はこれらの塩類を添加することで、めっき膜の平滑性と加工性を向上することができ、その濃度としては、0.1〜30g/lが適当である。これを超えると、硬さや内部応力が上昇するため好ましくない。
【0028】
浴温度は、30〜80℃が良好な電流効率、P含有量の安定性から好ましい。ただし、70℃を超えると、スルファミン酸の加水分解が除除に進むため浴寿命の点からは70℃以下がより望ましい。また、電流効率は、低温ほど低下するため45℃以上がより望ましい。
電流密度は、1〜30A/dmが良好であり、これを超えると電流効率の低下や平滑性の劣化が起き易い。
【0029】
アノードとしては、NiやNi−P合金、Ni−Cu−P合金等の溶解性アノードを用いることも可能である。しかし、溶解性アノードは長時間のめっき時に溶解消耗されてカソード(導電性基材)との距離の変化が生じてマクロなめっき厚分布が劣化するため、また、電流効率のアノードとカソードとの差から浴中のNi濃度が増加するため液抜きの必要が生じてコスト高となる等の理由により不溶解性アノードの使用が望ましい。
不溶解性アノードとしては、白金めっきチタン板、酸化イリジウム被覆板等公知の材料が使用できる。
なお、不溶解性アノードを使用すると、めっき浴中のNiの量が減少するため、Niを補給する必要があり、これの補給には炭酸Ni等のNi塩を添加することが望ましい。また、Cuについては定期分析を行い、濃度を一定化することが望ましい。また、不溶解性アノードの使用では、次亜リン酸は電解反応で亜リン酸やリン酸に変化するため、析出膜の安定化には次亜リン酸よりも亜リン酸やリン酸を用いる方が優れる。
【0030】
薄膜抵抗層を形成する合金の主成分がCoである実施形態
硫酸めっき浴、スルファミン酸めっき浴等の公知のCoめっき浴のベース浴を採用できる。しかし、コスト面からは硫酸浴が優れ、均一電着性からはスルファミン酸浴が優れる。したがって要求される薄膜抵抗層の性質によりめっき浴を選択することができる。
液組成:
硫酸Coとして100〜200g/l
スルファミン酸Coとして、300〜600g/l
の範囲が好適である。
めっき浴に添加するCu、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等は前記Ni浴と同様である。
【0031】
薄膜抵抗層を形成する合金の主成分がCrである実施形態
サージェント浴、ふっ化物浴、その他の市販浴等の公知のCrめっき浴のベース浴を採用できる。しかし、コスト面からはサージェント浴が優れ、均一電着性からはふっ化物が優れる。したがって要求される薄膜抵抗層の性質によりめっき浴を選択することができる。
液組成:
硫酸Crとして100〜200g/l、
無水クロム酸として、100〜400g/l
の範囲が好適である。
めっき浴に添加するCu、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等は前記Ni浴と同様である。
【0032】
形成される抵抗層の薄膜としては、Pが2〜30wt%にて高抵抗が得られ、かつエッチング性もよい。特には、8〜18wt%であると、さらに抵抗、エッチング性が安定して、導電性基材(例えば銅箔)エッチング後の溶解による抵抗バラツキも少ない。厚みは、1nm〜1000nmの範囲がよく、Pの濃度と層の厚みにより、所望の抵抗値を得るように調整することができる。なお、Pの濃度が2〜30wt%である場合にはCuの添加量は0.1%以上とすると良い。Cuの添加量を0.1%以上とすることにより、エッチング特性が向上する。
一方、Cuの含有量を1〜10wt%とすることにより、薄膜の加熱変色に対する耐性が向上する。また、Cuの含有量1〜10wt%に対しPを1.0%以上添加することにより均一電着性が向上する。
なお、薄膜抵抗層形成後にて、Zn、クロメート、シラン処理等の表面処理を適宜行っても良い。
【0033】
また、めっき前の導電性基材の表面粗度が粗すぎると、その上に形成される抵抗層の表面粗度も粗くなり、抵抗層を均一につけ難く、めっき厚にバラツキが生じやすくなる。また、抵抗回路基板材料として使用した時に、該基板材料をエッチングした後の加熱プレス加工時等において、凹凸のため薄膜抵抗層に応力集中が生じ易くなって割れが発生し易くなるため、めっき前の導電性基材の表面粗度は3.5μm以下が好ましく、特には加工性から2.5μm以下がより好ましい。しかし、樹脂基材との密着性を考慮すると0.5μm以上とすることが好ましい。
【0034】
本発明による抵抗回路基板材料の製造方法の一実施形態は次のとおりである。まず、導電性基材として、例えば銅箔の片面全面をマスキング用接着シートあるいはインク等により被覆する。次いで、他面に抵抗層として上記合金めっき層を形成する。この後、マスキング用接着シート等を剥離し、抵抗層側に絶縁基板を熱圧着、接着剤等で接合する。
この抵抗回路基板材料からのプリント抵抗回路板の形成は、例えば、溶解法により、絶縁領域(絶縁基板上の全てが溶解除去される)、抵抗領域(高導電性基材が溶解除去される)、ならびに導体領域(すべて残す)が形成される。回路形成後必要により抵抗領域、導体領域の表面を液状、或いはフィルム状のカバーコートにより保護層を形成する。
【0035】
上記加工において、エッチング液としては、公知のものを使用することができる。例えば、銅箔の場合では、塩化第2鉄、塩化第2銅、過硫酸アンモニウム、クロム酸―硫酸混合液、およびアンモニアキレート系のエッチング液等が使用される。
Ni合金抵抗層のエッチング液としては、硫酸銅―硫酸液や硫酸第2鉄―硫酸液、過硫酸アンモニウム―硫酸液等公知の液が使用できる。また、Co合金抵抗層のエッチング液としては濃硫酸、濃硝酸等、Cr合金抵抗層のエッチング液としては塩酸等の溶液が使用できる。
【0036】
本発明の抵抗層付き導電性基材を構成する導電性材料としては、電解又は圧延による銅箔或いは銅合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、鉄合金箔等の高導電性を有する箔が好ましく、エッチング除去やリサイクル性から銅箔が最も優れている。
【0037】
絶縁基板としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびこれらとガラスクロス複合材や、フェノール樹脂―紙およびエポキシ樹脂―紙等の積層板等いずれを用いても良い。また、さらにヒートシンクとしてアルミニウムや鉄板を接合した(抵抗層を設ける面とは反対面に接合される)上記の各種絶縁性の積層板、シート又はフィルム類が用いられる。
また、絶縁基板として、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリイミドおよびゴム等の樹脂やゴム類を接着剤層として用いたセラミックス板、ガラス板等の無機質の材料も使用することができる。
【0038】
以上の説明では簡略化のため、絶縁基板の片面に抵抗層および導電性基材が接合されている構造につき述べたが、本発明に係る抵抗回路基板材料は、構造的改良・変更が可能であって、例えば絶縁基板の両面に抵抗層および導電性基材がそれぞれ接合された構造、絶縁基板の片面に抵抗層および導電性基材が接合され、他面に高導電層(エッチングにより導体および/又は電極を形成するため)を接合した構造のものを含む。
【0039】
以上の説明は、本発明の一般的な説明をする目的でなされたものであり、何ら限定的意味を持つものではない。本発明の範囲は、クレームを参照することにより最もよく判定される。
【0040】
本発明は、抵抗回路基板材料および該抵抗回路基板材料を構成する絶縁基板に貼り付ける抵抗層付き導電性基材、該抵抗層付き導電性基材を構成する導電性基材表面に抵抗層を形成するめっき浴に関するものである。一般にプリント配線基板は、絶縁基板、電気抵抗層、導電層の3層を具備しているが、3層以上のものも本発明に含まれる。また、これらを多層に積層した抵抗回路基板材料も含まれることは勿論である。
【0041】
以下、本発明を実施例により、より具体的に説明する。
【実施例】
下記の導電性基材に抵抗層をめっきし、めっき外観、めっき厚としてNi、Co、Cr電着量(mg/dm)、Cu含有量、P含有量、および回路形成後1mm□での抵抗を測定した。結果を表1に示す。なおめっき浴のpH調整は、実施例においてはスルファミン酸又は硫酸と炭酸Niペースト又はNaOHを用いて、比較例においては炭酸Niペーストを用いて調整した。
【0042】
実施例1
導電性基材として厚さ18μm、マット面のRzが2.1μmの粗化処理された電解銅箔を用い、シャイニー面を全面、マット面を10*10cmを残してマスキングした。対極(アノード)としては、1.5dmの表面積を持つ白金めっきチタン板を用い、下記浴にてマット面にめっきした。
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :1.0g/l
次亜リン酸Na :50g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :30℃
電流密度 :15A/dm
時間 :25秒
pH :3.0
【0043】
実施例2−(1)
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :2.0g/l
次亜リン酸Na :45g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :35℃
電流密度 :15A/dm
時間 :5秒
pH :3.5
【0044】
実施例2−(2)
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :2.0g/l
PO :45g/l
PO :50g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :35℃
電流密度 :15A/dm
時間 :10秒
pH :3.5
【0045】
実施例2−(3)
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :2.0g/l
H3PO2 :50g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :35℃
電流密度 :15A/dm
時間 :20秒
pH :3.5
【0046】
実施例2−(4)
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :2.0
NaHPO :50g/l
PO :30g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :35℃
電流密度 :15A/dm
時間 :45秒
pH :3.5
【0047】
実施例3
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
スルファミン酸Ni :350g/l
スルファミン酸Cu :4.0g/l
PO :40g/l
PO :50g/l
ホウ酸 :35g/l
浴温度 :65℃
電流密度 :25A/dm
時間 :120秒
pH :1.5
【0048】
実施例4
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :200g/l
硫酸Cu :5.0g/l
次亜リン酸Na :55g/l
ホウ酸 :30g/l
HCl :0.1g/l
浴温度 :80℃
電流密度 :1.0A/dm
時間 :20秒
pH :4.5
【0049】
実施例5
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
無水クロム酸 :150g/l
硫酸Cu :5.0g/l
次亜リン酸Na :60g/l
硫酸 :2g/l
浴温度 :50℃
電流密度 :10A/dm
時間 :2.5秒
pH :2.0
【0050】
実施例6
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Co :200g/l
硫酸Cu :4.0g/l
次亜リン酸Na :40g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :60℃
電流密度 :10A/dm
時間 :30秒
pH :5.0
【0051】
実施例7
実施例1と同様に、下記浴にてめっきした
硫酸Ni :150g/l
硫酸Co :200g/l
硫酸Cu :10.0g/l
次亜リン酸Na :50g/l
ホウ酸 :35g/l
浴温度 :40℃
電流密度 :5A/dm
時間 :20秒
pH :1.5
【0052】
比較例1
実施例と同様、電解銅箔18μm厚、粗化処理されたマット面のRzが2.1μmのものを用い、シャイニー面を全面、マット面を10*10cmを残してマスキングした。対極(アノード)としては、1.5dmの表面積を持つ白金めっきチタン板を用い、下記浴にてマット面にめっきした。
硫酸Ni :150g/l
次亜リン酸Na :50g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :30℃
電流密度 :15A/dm
時間 :5秒
pH :3.5
【0053】
比較例2
比較例1と同様に、下記浴にてめっきした。
硫酸Ni :150g/l
硫酸Cu :50g/l
ホウ酸 :30g/l
浴温度 :30℃
電流密度 :15A/dm
時間 :10秒
pH :2.0
【0054】
結果を下記表1、表2に示す。表1、2において、
平均厚はNi、Co、Crの電着量(mg/dm)で示している。
めっき厚については、表面を溶解して、Ni、Co、CrおよびPの付着量をだし、これをもとに蛍光X線での検量線を作成して測定している。よって、見た目の表面積に対する値で、Niの場合は、89mg/dmが概略1μmに対応する。また、抵抗層中のCuの含有量はAESによる分析で行った。
3σは各条件下における10枚のめっき板につき、N=2測定した(計N=20)時の平均値とのバラツキを示す(3σ/平均値)。
【0055】
銅箔のエッチングは、実施例、比較例で作成した抵抗回路基板材料の薄膜抵抗層面側にエポキシ樹脂含浸ガラスクロスを重ね合わせ、ラミネーション用プレスにより加熱加圧して接合することにより、抵抗層つきプリント基板を作成し、シップレイ社製ニュートラエッチV−1で52℃で銅色が見えなくなるまでエッチング(約1〜2分)を行い、また、抵抗層のエッチング除去は、硫酸銅250g/l、硫酸5ml/lで90℃で行った。
抵抗値の単位は、Ω/□である。また、上記加熱加圧プレス後の加熱変色は外観で判定し、○〜×で評価した。
エッチング性は、抵抗層をエッチング除去した後の絶縁領域と抵抗領域の境目の直線性を顕微鏡観察して、○〜×で判定した。
【0056】
【表1】


【0057】
【表2】


【0058】
表1、表2より明らかなように、Cuを含有しない抵抗膜(比較例1)ではエッチング性が劣るが、Cuを1〜10wt%含有している抵抗膜ではプレス時の加熱変色がなく、エッチング性も良好である。
Cuの含有量が10%以上のものはプレス時の加熱変色がややあるが、エッチング性はCu%=0%のものより良い結果となった。また、Cu、Pを含有している抵抗膜は、Cu、Pを含有していない抵抗膜に比べて抵抗値のバラツキが小さい結果となった。
【0059】
【発明の効果】
以上の結果のように、本発明では、プレス時の加熱変色がなく、エッチング性も良好な薄膜抵抗層を作成し、提供することができる。
【出願人】 【識別番号】591056710
【氏名又は名称】古河サーキットフォイル株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田錦町1丁目8番地9
【出願日】 平成15年6月30日(2003.6.30)
【代理人】 【識別番号】100095810
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄一

【識別番号】300062979
【氏名又は名称】古河テクノリサーチ株式会社

【公開番号】 特開2005−19915(P2005−19915A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−186171(P2003−186171)