| 【発明の名称】 |
多層基板およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】楫野 隆 【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 TDK株式会社内
【氏名】佐々木 正美 【住所又は居所】東京都中央区日本橋一丁目13番1号 TDK株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】薄型化が可能で、量産性に優れ、パターン精度、積層精度および絶縁層の厚さ精度が高く、信頼性の高い多層基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性を有する転写用基板1a〜1fに導体パターン2a〜2fを形成する。転写用基板1a〜1fの導体パターン2a〜2f形成面を対向させ、対向面間に樹脂シート4a〜4dを挟んで固着する。樹脂シート4a〜4dを固着した2枚の積層素体シート6a、6b、または6c、6dの一方の転写用基板を剥離し、剥離面間に新たな樹脂シート4e、4fを挟んで固着する。このような工程を必要回数繰り返すことにより多層基板を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性を有する転写用基板に導体パターンを形成し、 導体パターンを形成した2枚の転写用基板の導体パターン形成面間に樹脂シートを挟んで固着して積層素体シートを構成し、 2枚の積層素体シートのそれぞれ片面の転写用基板を剥離して、剥離面間に、新たな樹脂シートを挟んで固着するという工程を必要回数繰り返して多層基板となる積層体を得ることを特徴とする多層基板の製造方法。 【請求項2】 請求項1に記載の多層基板の製造方法において、 前記転写用基板としてステンレス板を用いることを特徴とする多層基板の製造方法。 【請求項3】 請求項1または2に記載の多層基板の製造方法により得られる多層基板であって、前記樹脂シートにより構成される絶縁層が、機能材料粉末を含有するビニルベンジル樹脂からなることを特徴とする多層基板。 【請求項4】 請求項1または2に記載の多層基板の製造方法により得られる多層基板であって、前記樹脂シートにより構成される絶縁層が芯材を含まない材料からなることを特徴とする多層基板。 【請求項5】 請求項3または4に記載の多層基板であって、コンデンサを内蔵していることを特徴とする多層基板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、樹脂材料または樹脂に粉末を混合した複合材料を用いて構成される積層構造の多層基板(電子部品として構成される場合を含む)とその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 樹脂材料または樹脂にセラミック等の粉末を混合した複合材料を用いて構成される多層基板の製造方法として従来より下記の2つの製造方法が採用されている。第1の方法は、スルーホール基板の例である。これは、両面に導体パターンを形成したコア基板を複数枚準備し、これらのコア基板間にそれぞれ半硬化状態のプリプレグを介して積層し、熱プレスによりプリプレグを硬化させて複数枚のコア基板を一体化し、その後、この積層体にスルーホールを開けてそのスルーホールにメッキを施して内部導体間を接続する方法である(例えば特許文献1、図3参照。)。この場合、導体パターンの形成方法として、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法が採用される。 【0003】 第2の方法は表層BVH(ブラインドビアホール)を用いるビルドアップ工法である(例えば特許文献2参照。)。この方法は、導体パターンを形成したコア基板の両面にプリプレグによる絶縁層と銅箔とを熱圧着し、銅箔をパターニングするという工程を繰り返し、その後、スルーホールによって異なる層の導体どうしを接続する。そして最外層の導体とその1つ内側の層の導体とをBVHにより接続する。 【0004】 【特許文献1】 特開2003−151856公報 【特許文献2】 特開2002−319764号公報。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 前記特許文献1に記載の多層基板の製造方法は、ハンドリングにおけるコア基板の機械的強度が必要であるため、コア基板や接着層であるプリプレグはガラスクロス等の芯材入りとする必要があり、このため各層の厚さを薄くすることができず、通常はコア基板の厚さは60μmより薄くすること困難であり、薄型化が困難であるという問題点がある。 【0006】 また、機械的強度向上のため、前記芯材を必ず入れる必要があるが、コンデンサを形成する場合には誘電率が低下し、また、コンデンサ電極間の暑さが薄くできないことから、充分な容量がとれないという問題点がある。 【0007】 また、層間のアライメントはピンアライメントが主たる手法であり、積層精度(導体パターンのずれ)が悪く、通常、最大50〜100μm程度のずれが生じるおそれがある。 【0008】 一方、前記特許文献2に記載のビルドアップ工法は、工程数が多くなり、量産性の面で劣るという問題点がある。また、前記特許文献1に記載の方法と同様に、コア基板には機械的強度が要求され、薄型化、高密度化が困難である。 【0009】 また、銅箔に代えて無電解めっき上にレジストパターンを形成し、電解めっきを施して導体パターンを形成する方法もあるが、無電解めっきをクイック(ソフト)エッチングする必要があり、また無電解めっき用の下地触媒(Pd等)の残渣等によって特に内部積層部にマイグレーションや腐食を生じやすくなり、信頼性が低下するという問題点があった。 【0010】 本発明は、上記問題点に鑑み、薄型化が可能で、量産性に優れ、パターン精度、積層精度が良好であり、かつ信頼性の高い多層基板とその製造方法を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】 (1)本発明の多層基板の製造方法は、導電性を有する転写用基板に導体パターンを形成し、 導体パターンを形成した2枚の転写用基板の導体パターン形成面間に樹脂シートを挟んで固着して積層素体シートを構成し、 2枚の積層素体シートのそれぞれ片面の転写用基板を剥離して、剥離面間に、新たな樹脂シートを挟んで固着するという工程を必要回数繰り返して多層基板となる積層体を得ることを特徴とする。 【0012】 (2)また、本発明の多層基板の製造方法は、前記(1)において、 前記転写用基板としてステンレス板を用いることを特徴とする。 【0013】 (3)本発明の多層基板は、前記(1)または(2)に記載の多層基板の製造方法により得られる多層基板であって、前記樹脂シートにより構成される絶縁層が、機能材料粉末を含有するビニルベンジル樹脂からなることを特徴とする。 【0014】 (4)また、本発明の多層基板は、前記(1)または(2)に記載の多層基板の製造方法により得られる多層基板であって、前記樹脂シートにより構成される絶縁層が芯材を含まない材料からなることを特徴とする。 【0015】 (5)また、本発明の多層基板は、前記(3)または(4)に記載の多層基板であって、コンデンサを内蔵していることを特徴とする。 【0016】 【発明の実施の形態】 図1ないし図6は本発明の多層基板の製造方法の一実施の形態を示す図である。図1の例はフルアディティブ法により転写用基板1上に導体パターン2を形成する方法である。図1(A)において、1は転写用基板であり、該転写用基板1には導電性を有する材料が用いられ、強度、平滑性、耐腐食性、メッキ金属の剥離性を有するものが好ましい。このような転写用基板1として、ステンレス、チタン、タングステン、タンタル、鉄、アルミニウム、ニッケル等のように、表面に不動態膜(多孔質の酸化膜)が形成されやすい金属であれば使用可能である。なかでも、ステンレス板を用いることが、強度、平滑性、耐腐食性、メッキ金属の剥離性を得やすいという点で好ましい。 【0017】 図1(B)に示すように、前記転写用基板1上に印刷あるいはフォトリソグラフィ技術によりレジストパターン3を形成する。そして図1(C)に示すように、転写用基板1の表面のレジストの形成されていない部分に、電気メッキ(フルアディティブ工法)により、コイル、配線、コンデンサ電極等の導体パターン2となる導体膜を形成する。 【0018】 ここで、導体膜を形成する金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、錫、鉛等が用いられる。なかでも銅が抵抗率が低いことと、耐マイグレーション性が良いこと、およびコストが安い点で好ましい。導体パターン2を形成した後、図1(D)に示すように、前記レジストパターン3を除去する。 【0019】 このような工程により転写用基板1に導体パターン2を形成する際、転写用基板1は、その表面粗さRmaxが0.2〜2μmの範囲にあることが好ましい。Rmaxが0.2μm未満であるとレジストおよび導体パターンと転写用基板1との密着性が不充分となり、剥離しやすくなるために好ましくない。また、Rmaxが2μmを超えると、導体パターンの膜厚のばらつきに影響し、また、高周波用に用いる場合には、導体損失が増大するので好ましくない。導体パターン2として銅を用い、転写用基板1にステンレス板を用いる場合、ステンレス板の表面は銅との剥離性を確保するために、不動態化処理により不動態膜を形成することが好ましい。 【0020】 多層基板を作製する場合、図1に示したような導体パターン2を形成した転写用基板1を必要枚数だけ準備する。図2は本実施の形態の多層基板を作製するため、導体パターン2a〜2fをそれぞれ形成した6枚の転写用基板1a〜1fを準備する例を示す。本例では説明の簡略化のために同一の導体パターン2a〜2fを示しているが、作製する多層基板が内蔵する配線や素子(インダクタやコンデンサ等)の構成に対応して各導体パターン2a〜2fの形状で形成される。なお理解を容易にするために、図2においては、最終製品における層の上下の向きに合わせて転写用基板1a〜1fが描いてある。 【0021】 図2に示した導体パターン2a〜2fを有する転写用基板1a〜1fを用い、図3ないし図6に示す工程で多層基板を作製する。図3は前記転写用基板のうち、最上層の転写用基板1aと最下層の転写用基板1fについての樹脂シート4a(または4d)への転写工程を示す。図3(A)に示すように、4a(4d)はPETフィルム5上に所定の厚みで形成されたものであり、樹脂シート4a(4d)への転写の際には、PETシート5を上にして樹脂シート4a(4d)を転写用基板1a、(1f)の導体パターン2a(2f)形成面上に重ね、PETシート5を剥離し、図3(B)に示すように樹脂シート4a(4d)上に別の転写用基板1g(または1h)を重ねて固着する。この固着工程において、加熱状態で圧着して樹脂を硬化させる。この加熱温度はビニルベンジル樹脂の場合は好ましくは190〜210℃である。 【0022】 図4は前記転写用基板1bと1c(または1dと1e)をそれぞれ樹脂シート4b(または4c)に転写する工程を示している。この場合も、前記PETフィルム5を剥離した樹脂シート4b(4c)を導体パターン2c(2e)を形成した転写用基板1c(1e)上に重ね、その上に導体パターン2b(2d)側を下にして転写用基板1b(1d)を重ね、前記同様に熱プレスにより一体化する。前記樹脂シート4a〜4dが絶縁層となる。 【0023】 図5(A)は上記のように転写用基板と樹脂シートとを一体化した積層素体シート6a〜6dを示す。 【0024】 図5(A)のように、前記工程で得られた積層素体シート6a、6bのそれぞれ接合すべき面の転写用基板1a、1bを剥離すると、表面に導体パターンが2a、2bが、樹脂シート4a、4bの表面と同一面に形成された、すなわち導体パターン2a、2bが樹脂シート4a、4bに埋設されたものが得られる。このように転写用基板1a、1bを剥離した剥離面どうしの間に、新たに樹脂シート4eを挟んで図3、図4の場合と同様に熱圧着して図5(B)に示すように新たに積層素体シート7aを得る。 【0025】 積層素体シート6c、6dについても同様に、接合すべき面の転写用基板1e、1fを剥離し、導体パターン2e、2fが表面に露出した樹脂シート4cと4dとの間に新たに樹脂シート4fを挟んで積層素体シート6c、6dどうしを熱圧着して、図5(B)に示すように、新たに積層素体シート7bを得る。 【0026】 その後、図5(B)に示した積層素体シート7a、7bの接合すべき面の転写用基板1c、1dを剥離し、図5(C)に示すように、この積層素体シート7a、7b間に新たに樹脂シート4gを挟んで積層素体シート7a、7bどうしを熱圧着することにより、導体パターン2c、2d間に樹脂シート4gを介在させて絶縁層とした積層素体シート8を得る。 【0027】 前記樹脂シート4a〜4gは、導体パターンとしてコンデンサ電極を形成する場合、コンデンサ電極の導体層の厚さは樹脂シート4a〜4gの厚さの10倍以下、好ましくは5倍以下、さらに好ましくは3倍以下、最も好ましくは2倍以下であり、薄型化するほど静電容量の増大効果が顕著である。 【0028】 また、導体パターン2a〜2fは、表面を粗化することにより、樹脂シート4a〜4gとの接着強度を高めることが好ましい。この導体パターン2a〜2fの粗化には、例えばシプレイファーストイースト社製のプロボンド80のような黒化処理、メック社製のCZ処理(蟻酸による表面の粗化)、日本マクダーミッド社のマルチボンド処理(硫酸過水系のエッチング液による粗化)等を用いることが好ましい。なかでも塩素フリー化できる点で硫酸過水系のエッチング液による粗化が好ましい。 【0029】 また、前記転写用基板1として平滑面を有するものを用いることにより、転写により樹脂シート4a〜4dに埋設して形成された導体パターン2a〜2fの表面と樹脂シート4a〜4dとは平滑となる。ここで平滑とは、導体パターン2a〜2fを構成する導体膜の表面の段差が、導体膜の厚さの1/2以下、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下の値になるように形成されることをいう。 【0030】 図5(C)のように積層素体シート8について、図6(A)に示すように、前記積層素体シート8の表裏面の転写用基板1g、1hを剥離して積層素体シート9を得る。続いて図6(A)に示すように、積層素体シート9の必要個所にスルーホール10を開け、さらに図6(B)に示すように、積層素体シート9の表裏面と最も表裏面に近い層の導体パターン2a、2fの一部をビアホール11により露出させる。 【0031】 その後、図6(C)に示すように、無電解めっきにより積層素体シート9の表裏面、スルーホール10およびビアホール11に電解めっきのための下地導体層12を形成する。つづいて図6(D)に示すように、フォトリソグラフィ工法を用いて積層素体シート9の表裏面に導体パターン2g、2hを形成する。その後、図6(E)に示すように下地導体層12をクイックエッチングにより除去する。その後、個々の製品ごとに切断して製品とする。 【0032】 前記樹脂シート4a〜4gとしては、高周波特性を考慮して、1GHzにおいてQ>100の有機材料が好ましく、ビニルベンジル樹脂(Q=200〜250)の他、高周波用BTレジン(Q=150〜500)等の使用も可能である。このようなQ値の高い樹脂を用いることにより、高いQ値の多層基板を得ることができる。転写用基板1に対する剥離性が確保できれば他の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることも可能である。 【0033】 なお、機械的強度を必要とする場合には、ガラスクロス、アラミド不織布、フッ素樹脂製多孔質シート等の芯材を用いることができる。しかしながら、ガラスクロス等の芯材の凹凸の影響で、樹脂シートにより形成される絶縁層の表面にも凹凸が生じるので、導体パターン2a〜2f間の厚みのばらつきが大きくなる上、芯材と樹脂との隙間から吸湿して信頼性を低下させることになるので、できれば芯材を入れない方が好ましい。 【0034】 樹脂シート4a〜4gには、目的に応じて適宜の粉末、例えば高誘電率の粉末や磁性体粉末等を混合してもよい。表1はビニルベンジル樹脂とこれに高誘電率フィラー(誘電率が約90のBa−Ti−Nb系セラミック)を混合した樹脂シートの一例の誘電率およびQ値を示す。多層基板内にコンデンサを構成する場合、高誘電率の粉末を混合することによってより高い容量のコンデンサを得ることができる。 【0035】 【表1】
【0036】 本実施の形態によれば、下記の種々の効果をあげることができる。 (1)薄型化、高密度化が可能である。 機械的強度の大きなステンレス板等の転写用基板1を用いている上、全工程において、少なくとも片方に転写用基板があるので、樹脂シート4a〜4gからなる層間絶縁層そのものには機械的強度が要求されず、薄型化、高密度化が可能である。 【0037】 (2)下記の理由で量産性に優れている。 (a)最初に転写用基板に導体パターンを一括して形成するのでリードタイム(製造時間)が短い。 (b)積層素体シートを2枚ずつ積層していくので、ビルドアップ工法に比較して積層回数が少ない。 (c)導電性転写用基板に直接導体パターンを形成する転写工法を用いているので、プリプレグ上にまず下地導体層を形成してその上にレジストパターンの形成、電解めっきによる導体パターンの形成を行うセミアディティブ工法に比較して下地導体層形成工程、下地導体層のエッチング工程が不要である。 【0038】 (3)下記の理由でパターン精度、積層精度が良好である。 (a)転写用基板に導体パターンを直接電解めっきにより形成するフルアディティブ工法を採用できるので、パターニング精度が良好である。 (b)積層時に基板の片面に必ず機械的強度の優れる転写用基板があるので、プレス前後の積層素体シートの縮率が小さい。 (c)図7に示すように、転写用基板1にピンアライメント用の孔13および導体パターンのアライメント用の孔14またはマークを設けておき、これらの孔14やマークをレジストパターン3形成のための位置合わせに用いれば、層間のアライメントはこれらの孔13、14やマークの位置合わせを行うことで転写用基板1を基準にして行えるので、積層精度(導体パターン2の横方向のずれの精度)がよい。 【0039】 (4)下記の理由で樹脂シート4a〜4gによる相間絶縁層の厚さの精度がよい。 (a)樹脂シートへの転写のための一番最初のプレス以外は、転写用基板1の表面が平滑であるので、プレス時の樹脂の流れのむらがなく、また、プレス圧力が下げられる。 (b)一番最初のプレス時に転写用基板の厚さ精度(厚さのばらつき)を小さく(例えば±2μm)することができるので、その結果、樹脂シートのプレス後の厚みのばらつきを小さくすることができる。 【0040】 (5)少なくとも内部積層部においては、無電解めっき工程が不要になるので、エッチング液や触媒の残渣による信頼性の低下の問題を解決できる。 【0041】 実施例1 (導体パターンの形成)図7に示すように、76mm角、0.1mm厚のステンレス板(SUS304TA材)1の4隅の所定の位置に直径3mmの転写用基板積層時のピンアライメント用の穴13を設けると共に、中央部の両端の所定の位置に0.2mmの導体パターンアライメント用孔14を開けたものを転写用基板として用いた。この転写用基板上に25μm厚のドライフィルムでライン幅およびライン間隔(L&S)が20μmのレジストパターンを形成して、硫酸銅めっき液で導体パターンを形成した。その後、有機系剥離液でレジストを剥離した後、黒化処理で銅でなる導体パターンの表面のみを選択的に粗面化した。 【0042】 (絶縁層の形成)ビニルベンジル樹脂に高誘電率フィラーを40vol%混合したものをPETフィルム上に40μmの厚さに形成して樹脂シートとした。この樹脂シートの1GHzにおける誘電率は15であった。これを図3、図4に示したように、転写用基板間に挟み、200℃の加熱状態で真空プレスで一体化した。プレス後の樹脂シートからなる絶縁層の厚さは20μmであった。 【0043】 (絶縁層の形成)図5、図6で示したように、一方に転写用基板を剥離してその剥離面間に前記材質でなる樹脂シートを介在させてプレスするという工程と、表裏面の転写用基板を剥離する工程により、導体パターン2a〜2f、絶縁層4a〜4gからなる積層素体シート9を得た。 【0044】 (スルーホール、ビアホールの形成)図6(A)、(B)に示したように、前記積層素体シート9にドリルにより直径0.2mmのスルーホール10を開けた。その後、レーザによりトップ径が70μm、ボトム径が50μmのビアホール11を形成した。 【0045】 (表裏面の導体パターンの形成)無電解めっきにより、下地導体層12として銅を0.3μmの厚さに形成した。その後、レジストとして25μm厚のドライフィルムを使用してライン幅およびライン間隔が20μmのレジストパターンを形成した。そして硫酸銅めっき液を使用して導体パターン2g、2hを形成した。その後、クイックエッチングにより下地導体層12を除去した。 【0046】 (結果)実施例1の場合、リードタイム:22時間、サンプル数が1シートで、絶縁層4a〜4hの層数が8層の場合の導体厚:20μm±2μm、導体幅:20μm±2μm、絶縁層厚:20±2μm、積層精度:±20μmであった。 【0047】 比較例1(ビルドアップ工法) (コア基板)コア基板に100μm厚のガラスクロス入りビニルベンジル樹脂を用いた。このコア基板に無電解めっきにより下地導体層を0.3μmを形成した後、レジストパターンの形成、導体パターンの形成、クイックエッチングを、前記実施例1における積層素体シートの表裏面の導体パターンの形成と同様に行った。 【0048】 (絶縁層の形成)ビニルベンジル樹脂に高誘電率フィラーを40vol%混合したものを18μm銅箔の上に40μmの厚みに形成した樹脂付き銅箔を、樹脂面をコア基板側にして熱プレスにより固着した。プレス後の絶縁層の1GHzにおける誘電率εは9.2であった。 【0049】 (導体パターンの形成)前記実施例1における積層素体シートの表裏面に対する導体パターンの形成と同様に、下地導体層の形成、レジストパターンの形成、導体パターンの形成、クイックエッチングを行った。 【0050】 (結果)リードタイム:38時間、サンプル数が1シートで、絶縁層の層数が8層の場合の導体厚:20μm±4μm、導体幅:20μm±4μm、絶縁層厚:20±3μm、積層精度:±20μmであった。 【0051】 比較例2(プリプレグによる同時プレス) コア基板に100μm厚のガラスクロス入りビニルベンジル樹脂を用いた。このコア基板は両面に銅箔を貼り付けたものである。導体パターン形成のためのパターニングは、サブトラクティブ工法により行った。このライン幅およびライン間隔は60μmである。 【0052】 (プレス)このようにして形成した4枚のコア基板を、コア基板間にそれぞれプリプレグを介在させて積層し、熱プレスにより一体化した。 【0053】 (スルーホール、導体パターンの形成)実施例1と同様に、スルーホール形成、無電解めっき、レジストパターンの形成、硫酸銅めっき液を用いた電解めっきにより、20μmの厚みに銅でなる導体パターンを形成した。 【0054】 (結果)リードタイム:17時間、サンプル数が1シートで、絶縁層の層数が8層の場合の導体厚:18μm±2μm、導体幅:60μm±6μm、絶縁層厚:40±5μm、積層精度:±50μmであった。 【0055】 実施例2 前記実施例1における絶縁層の代わりにガラスクロス入りで厚さ60μmのプリプレグを使用した。このプリプレグの材質は実施例1と同じである。この場合、誘電率は10に低下した。 【0056】 (結果)リードタイム:22時間、サンプル数が1シートで、絶縁層の層数が8層の場合の導体厚:20μm±2μm、導体幅:20μm±2μm、絶縁層厚:40±2μm、積層精度:±20μmであった。 【0057】 これらの実施例1、2によれば、比較例1のビルドアップ工法に比較してリードタイムを約半分に短縮でき、複数枚のコア基板をプレスにより同時に一体化する場合に近い短いリードタイムに短縮できる。また、比較例2の銅箔をサブトラクティブ工法によりパターン化する場合に比較し、導体厚さおよび幅の精度を向上させることができる。また、絶縁層厚さの精度、積層精度を向上させることができる。 【0058】 本発明は、多層基板はその上に半導体素子やチップ部品を搭載したものとして構成することができ、また、多層構造を有する個々の電子部品として構成する場合にも本発明を適用することができる。本発明は、多層基板内にコンデンサが形成される場合あるいはコンデンサを含む電子部品として構成される場合、絶縁層(誘電体層)の薄型化が可能となることにより、高容量のコンデンサを実現することが可能となり、同じ取得容量であれば、電極面積を小さくすることができ、基板の小型化を図ることができる。 【0059】 【発明の効果】 本発明によれば、機械的強度の大きなステンレス板等の転写用基板を製造に用いているので、樹脂シートからなる層間絶縁層そのものには機械的強度が要求されず、薄型化が可能である。 【0060】 また、転写用基板に導体パターンを一括して形成しておくことができ、また、アディティブ工法を採用して導体パターンの形成が行え、下地電極層の形成、除去が不要になるので、製造時間を短縮でき、量産性に優れている。 【0061】 また、転写用基板に導体パターンを直接電解めっきにより形成することができ、サブトラクティブ工法のように銅箔パターンにエッチングを行なわないことで、パターニング精度を向上させることができる。また、機械的強度の優れる転写用基板の使用により、プレス前後の積層素体シートの縮率が小さいため、導体パターンのずれが少なく、さらに転写用基板に位置合わせのための孔やマークにより導体パターン位置合わせを行うこともできるので、積層精度がよい。 【0062】 また、最初のプレスを除き、転写用基板の表面を平滑にでき、プレス時の樹脂の流れのむらがなく、また、プレス圧力が下げられる上、一番最初のプレス時に積層素体シートの厚さのばらつきを小さくすることができる。その結果、樹脂シートのプレス後の厚みのばらつきを小さくすることができ、相間絶縁層の厚さの精度を向上させることができる。 【0063】 また、少なくとも内部積層部においては、無電解めっき工程が不要になるので、エッチング液や触媒の残渣がなく、信頼性を向上させることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による多層基板の製造方法の一実施の形態を示す導体パターンの形成工程を示す図である。 【図2】本発明の多層基板の製造方法の一実施の形態における導体パターン形成転写用基板の構成例を示す図である。 【図3】本実施の形態における転写工程の一部を示す図である。 【図4】本実施の形態における転写工程の残部を示す図である。 【図5】本実施の形態における積層工程を示す図である。 【図6】本実施の形態におけるスルーホール、ビアホールおよび積層体表裏面の導体パターン形成工程を示す図である。 【図7】本発明において用いる転写用基板の一例を示す平面図である。 【符号の説明】 1、1a〜1f:転写用基板、2、2a〜2f:導体パターン、3:レジストパターン、4a〜4g:樹脂シート(絶縁層)、5:PETフィルム、6a〜6d、7a、7b、8、9:積層素体シート、10:スルーホール、11:ビアホール、12:下地電極層、13:ピンアライメント用孔、14:導体パターンアライメント用孔
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003067 【氏名又は名称】TDK株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋1丁目13番1号
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| 【出願日】 |
平成15年6月27日(2003.6.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081569 【弁理士】 【氏名又は名称】若田 勝一
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| 【公開番号】 |
特開2005−19883(P2005−19883A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月20日(2005.1.20) |
| 【出願番号】 |
特願2003−185678(P2003−185678) |
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