| 【発明の名称】 |
ノイズ抑制シート |
| 【発明者】 |
【氏名】大島 洋晃 【住所又は居所】神奈川県鎌倉市台2丁目13番1号 電気化学工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】小型の電子部品の電磁波漏洩によるノイズを抑制することのできる、総厚100μm以下の薄型のノイズ抑制シートを提供する。
【解決手段】平均粒径が0.1〜10μm、かつ最大粒径が100μm以下の球状又は破砕状の軟磁性金属酸化物粉末を、マトリックス合成樹脂100部に対して500〜1500部充填した混合物を、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上に、総厚が100μm以下になるように塗布して電磁波吸収層を形成した電磁波ノイズ抑制シート。基材フィルムの厚さは50μm以下のポリエステルフィルムであり、軟磁性金属酸化物粉末は、Li、Mg、Mn、Co、Ni、Cu、Sn、Sr及びBaの1種以上を含むFe酸化物からなるものであり、電磁波吸収層のマトリックス合成樹脂がアクリル系樹脂であることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均粒径が0.1〜10μm、かつ最大粒径が100μm以下の球状又は破砕状の軟磁性金属酸化物粉末を、マトリックス合成樹脂100部に対して500〜1500部充填した混合物を、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上に、総厚が100μm以下になるように塗布して電磁波吸収層を形成した電磁波ノイズ抑制シート。 【請求項2】 基材フィルムの厚さが50μm以下である、請求項1の電磁波ノイズ抑制シート。 【請求項3】 軟磁性金属酸化物粉末が、Li、Mg、Mn、Co、Ni、Cu、Sn、Sr及びBaの1種以上を含むFe酸化物からなる、請求項1又は請求項2の電磁波ノイズ抑制シート。 【請求項4】 電磁波吸収層のマトリックス合成樹脂がアクリル系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制シート。 【請求項5】 基材フィルムがポリエステルフィルムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制シート。 【請求項6】 電磁波吸収層の1GHzでの複素透磁率が2以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波ノイズ抑制シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、主にノイズ漏洩が問題視される電子機器の電磁波吸収に関する。尚、本発明において混合物等の配合比を表す「部」等の単位は、特に断らない限り、質量規準で表示する。 【0002】 【従来の技術】 昨今の高度情報化社会に向けての技術革新はめざましく、各種の新たな情報機器が開発され使われて来ている。それに伴って、MHz帯〜数十GHz帯に渡る広範囲の周波数帯域での電磁波の相互干渉の問題が増加しており、それを抑制するために各種の電磁波遮蔽や電磁波吸収シート等の部材が開発されている。例えば、特許文献1(特開平8−83994号公報)には、導電性材料から構成される層と、その上に順次積層された、金属酸化物磁性体の微粉末および結合剤から構成される層と、金属磁性体の微粉末及び結合剤から構成される層とを有する電磁波吸収材料が記載されている。この技術は、広い周波数帯域の電磁波をできるだけ効率よく遮蔽又は吸収しようとするものであるが、多数の層から構成される積層体であり、シートの厚さが大きい。 【0003】 一方で、例えば携帯電話のような極めて小型の電子機器内部の一部での電磁波干渉が問題となってきている。このような用途の場合、電磁波吸収シート等の部材を収納するためのスペースが極めて少なく、100μm以下のような狭いスペースで、必要最低限の電磁波吸収することが要求される。従来このような用途に対応するために、特許文献2(特開平10−65384号公報)では、金属箔と電磁波吸収層を有する積層シートが提案されているが、このようなシートでは、電磁波の一部が乱反射されて外部に漏れ出す問題がある。一方で、一般の軟磁性金属酸化物粉末を用いて厚さを100μm以下として、かつ要求される電磁波吸収性能が得られるシートは、報告されていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、前記の問題を克服して、小型の電子部品の電磁波漏洩によるノイズを抑制することのできる、総厚100μm以下の薄型のノイズ抑制シートを提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明者等は、前記課題を解決する方法を鋭意検討した結果、小型の電子部品の電磁波漏洩によるノイズを抑制することのできる、薄型のノイズ抑制シートの発明に至った。即ち、平均粒径が0.1〜10μm、かつ最大粒径が100μm以下の球状又は破砕状の軟磁性金属酸化物粉末を、マトリックス合成樹脂100部に対して500〜1500部充填した混合物を、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム上に、総厚が100μm以下になるように塗布して電磁波吸収層を形成した電磁波ノイズ抑制シートである。基材フィルムの厚さは50μm以下であることが好ましい。又、軟磁性金属酸化物粉末は、Li、Mg、Mn、Co、Ni、Cu、Sn、Sr及びBaの1種以上を含むFe酸化物からなるものであることが好ましく、電磁波吸収層のマトリックス合成樹脂がアクリル系樹脂であることが好ましい。更に、基材フィルムがポリエステルフィルムであることが好ましい。又、電磁波吸収層の1GHzでの複素透磁率が2以上であることが好ましい。 【0006】 【発明の実施の形態】 本発明を詳細に説明する。本発明は、特定の平均粒径及び最大粒径を有する軟磁性金属酸化物粉末を用いて基材フィルム上に電磁波吸収層を形成すると、総厚が100μm以下で、小型電子機器の局部的な電磁波吸収については、要求されるノイズ抑制が図れることを見出したことに基づいている。 【0007】 本発明のノイズ抑制シートの基本的な構成は、図1に示したように、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム(1)の表面上に、軟磁性金属酸化物粉末(22)がマトリクス合成樹脂(21)中に分散した電磁波吸収層(2)からなる。 【0008】 電磁波吸収層(2)に用いる軟磁性金属酸化物粉末(22)は、一般的に知られている電磁波吸収性を有する金属酸化物を用いることができる。例えばLi、Mg、Mn、Co、Ni、Cu、Sn、Sr又はBaの1種以上を含むFe酸化物、例えば酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、などを組み合わせたフェライトであって、その結晶構造としてはスピネル型フェライト、ガーネット型フェライト、スピネル型(立方晶)のγ−Fe2O3、γ−Fe4O4 又は六方晶構造を持つフェライト等が挙げられる。具体的な例としては、MnO−ZnO−Fe↓2O↓3やNiO−ZnO−Fe↓2O↓3、またはそれらの混合物などが好ましい。 【0009】 またこれらの軟磁性金属酸化物粉末(22)は、球状もしくは破砕状のものを用いることができ、平均粒径は0.1〜10μmであり、最大粒径は100μm以下である。異方性形状を有する粉末では、その混合比が高くなると、マトリックス合成樹脂との均一な混合が困難となる。又粉末の平均粒径が0.1μm未満のものでは、同様にマトリックス合成樹脂に混合しにくくなり、原料製造工程で分散不良が生じる。また平均粒径が10μmを超えるか、または最大粒径が100μmを超えると、前記のマトリックス合成樹脂との混合は問題ないが、基材フィルム(1)上に電磁波吸収層(2)を形成する際に、粗大な粒子によるスジが生じたり、表面状態が凹凸の激しい粗いものとなる。 【0010】 一方で、軟磁性金属酸化物粉末(22)の平均粒径が小さくなればなるほど、複素透磁率が低下するので、複素透磁率及び表面状態のどちらも良好に仕上げるという観点から、好ましくは0.5〜8μm、さらに好ましくは1〜6μmである。尚、一般に電磁波吸収体の電磁波吸収特性は、前記の複素透磁率と相関していることが知られている。 【0011】 軟磁性金属酸化物粉末(22)のマトリックス合成樹脂(21)への充填量は、前記のように平均粒径の比較的細かいものを用いるので、500〜1500部の範囲であることが必要であり、好ましくは800〜1200部である。1500部を超えると、マトリックス合成樹脂の持つ柔軟性が著しく損なわれ、500部未満ではノイズ抑制の性能が著しく低くなる。 【0012】 本発明の電磁波吸収層(2)に用いるマトリックス合成樹脂(21)としては、柔軟で軟磁性金属酸化物粉末(22)を高充填できるものであれば、一般的な合成樹脂から適宜選択して用いることができる。具体的にはクロロプレン系樹脂、天然ゴム系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂又はポリウレタン系樹脂、これらの変性樹脂またはこれらの複合体等があり、フィラー高充填可能な点、また目的に応じて耐候性、耐熱性、難燃性、柔軟性を有する材料を選ぶことができるが、耐熱性、柔軟性、フィラー高充填等の観点から判断するとアクリル系樹脂が好ましい。またその中でもフィラー高充填時の樹脂組成物の安定性を考慮するとアクリル酸エステルとスチレン樹脂の共重合体が更に好ましい。 【0013】 また、図1の基材フィルム(1)は、その目的に応じて選択できる。具体的にはクロロプレン系樹脂、天然ゴム系樹脂、ブチルアクリレート−イソブチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などからなるフィルムがあるが、強度や耐熱性等を考慮すると厚さは50μm以下のポリエステル系フィルムが好ましい。これは、本発明のノイズ抑制シートは、その総厚を100μm以下とするものであり、そのためには基材フィルム(1)は50μm以下が好ましく、より好ましくは5〜30μmであり、さらに好ましくは10〜20μmである。5μm未満では基材としての強度が不十分となる恐れがある。 【0014】 本発明の電磁波吸収層(2)を形成する方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、マトリクス樹脂(21)に少量の添加剤を加え、ミキサーにて軟磁性金属酸化物を混合、分散する。ミキサーとしては、ディゾルバ等の一般的な撹拌機を使用することができる。 【0015】 また、基材フィルム(1)の上に電磁波吸収層(2)を形成する方法も、特に限定されるもではなく、例えば一般的なコーターにて塗布する方法により、本発明のノイズ抑制シートを得ることができる。 【0016】 本発明のノイズ抑制シートは、携帯電話やモバイル機器のような小型電子機器などの、厚さ100μm以下のスペースに配置して用いることができる。又、該ノイズ抑制シートは、前記の用途において、要求される電磁波吸収の性能を有している。この電磁波吸収性能は複素透磁率と相関しており、この特性を評価することにより、ノイズ抑制シートの電磁波吸収特性を評価することができる。前記の本発明の用途においては、電磁波吸収層の1GHzでの複素透磁率が2以上であることが好ましい。 【0017】 【実施例】 以下実施例により、本発明をより具体的に説明する。 (評価方法) 各実施例及び比較例について、下記の方法で評価した結果は、表1に纏めて示した。 1.粒子径 へロスロドスパーティクルアナライザにて行う乾式のレーザー回折法により粒子径を測定した。 2.複素透磁率 各実施例及び比較例のサンプルシートについて、ネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製)を用いて、1GHzでの複素透磁率を一般的な同軸導波管を使用した測定方法で評価した。 3.表面状態 各実施例及び比較例で作成したシートの表面状態を、目視にて以下の基準で評価した。 ○ :表面が平滑であり、目視で確認できるスジがない。 × :表面に目視で確認できるスジが有る。 【0018】 (実施例1) 軟磁性金属酸化物粉末として、平均粒径2μm、最大粒径40μmのNiO−ZnO−Fe↓2O↓3系の金属酸化物粉末(ニッケル−亜鉛系フェライト:戸田工業社製BSN−125)を、マトリックス合成樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂(高圧ガス社製ペガール851)を用いた。このマトリックス合成樹脂100部に、前記金属酸化物粉末を1000部充填し、ディゾルバ等の撹拌機にて混合し分散させ、混合物を得た。この混合物を、厚さ16μmのPETフィルム上に、軟磁性層が60μmとなるようにコーターにて塗工・乾燥し、電磁波吸収シートを作製した。このノイズ抑制シートは、表面状態が良好であり、その複素透磁率は1GHzにおいて3.0であった。 【0019】 【表1】
【0020】 (実施例2) 軟磁性層の軟磁性金属酸化物として、平均粒径3μm、最大粒径50μmのMnO−ZnO−Fe↓2O↓3系の金属酸化物粉末(マンガン−亜鉛系フェライト:戸田工業社製BSN−547)とした以外は実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、同様の評価を行った。このノイズ抑制シートは、表面状態が良好であり、その複素透磁率は1GHzにおいて2.9であった。 【0021】 (実施例3) 軟磁性層の厚さを80μmとした以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、同様の評価を行った。複素透磁率は厚さには左右されないのでその値は1GHzにおいて3.0であった。 【0022】 (比較例1) 軟磁性層の軟磁性金属酸化物の充填量を400部とした以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、同様の評価を行った。このシートは、表面状態は良好であったが、複素透磁率は1GHzにおいて2.0であり、実施例1にくらべ低い値であった。 【0023】 (比較例2) 軟磁性層の軟磁性金属酸化物の充填量を2500部とした以外は、実施例1と同様にして、電磁波吸収シートの作製を試みた。しかしながらこの比較例においては、該金属酸化物の全量を充填することができず、実施例1と同様の評価はできなかった。 【0024】 (比較例3) 軟磁性金属粉末として、平均粒径12μm、最大粒径120μmのNiO−ZnO−Fe↓2O↓3系の金属酸化物粉末(ニッケル−亜鉛系フェライト:戸田工業社製BSN−828)を用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収シートの作製を試みた。この比較例においは、軟磁性層形成時にスジが発生してしまい、複素透磁率は測定不能であった。 【0025】 (比較例4) 軟磁性金属粉末として、平均粒径0.01μmのNiO−ZnO−Fe↓2O↓3系の金属酸化物粉末(ニッケル−亜鉛系フェライト)を用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作成し、同様の評価を行った。このシートは、表面状態は良好であったが、複素透磁率は1GHzにおいて1.0であり、実施例1にくらべ低い値であった。 (比較例5) 基材層フィルムとして厚さ60μmのPETフィルム上を用い、実施例1と同様にして電磁波吸収層の形成を行い、この層を出来る限り薄くすることで、積層した電磁波シートの総厚が100μm以下のシートを得ることを試みた。得られたシートは、表面状態は良好であったが、総厚は120μmで100μm以下のシートを得ることはできなかった。 【0026】 【発明の効果】 本発明のノイズ抑制シートは、総厚100μm以下の薄型のシートであって、携帯電話等の小型電子部品の電磁波漏洩によるノイズを抑制するのに好適に用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のノイズ抑制シートの基本的な構成を示す断面図である。 【符号の説明】 1 基材フィルム 2 電磁波吸収層 21 軟磁性金属粉末 22 マトリックス合成樹脂
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003296 【氏名又は名称】電気化学工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成15年6月27日(2003.6.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−19846(P2005−19846A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月20日(2005.1.20) |
| 【出願番号】 |
特願2003−185065(P2003−185065) |
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