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【発明の名称】 マイクロホン
【発明者】 【氏名】篠塚 剣
【住所又は居所】東京都町田市成瀬2206番地 株式会社オーディオテクニカ内

【氏名】佐々木 博一
【住所又は居所】東京都町田市成瀬2206番地 株式会社オーディオテクニカ内

【氏名】秋野 裕
【住所又は居所】東京都町田市成瀬2206番地 株式会社オーディオテクニカ内

【要約】 【課題】赤外線発光素子と赤外線受光素子とを近接センサとして用いるマイクロホンにおいて、特殊な光フィルタなどを用いることなく外乱光の影響を排除して確実に人(話者)を検知できるようにする。

【解決手段】音波を電気信号に変換してマイク出力部151から出力するマイクロホンユニットと近接センサとを含み、上記近接センサの出力信号によりマイク出力部151をオンオフ制御するマイクロホンにおいて、近接センサとして、特定の周波数にのみ同調して受光信号を出力する赤外線受光素子131と、その赤外線受光素子131の同調周波数で赤外線を発光する赤外線発光素子121,122とを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波を電気信号に変換してマイク出力部から出力するマイクロホンユニットと、近接センサとを含み、上記近接センサの出力信号により上記マイク出力部をオンオフ制御するマイクロホンにおいて、
上記近接センサとして、特定の周波数にのみ同調して受光信号を出力する赤外線受光素子と、上記赤外線受光素子の同調周波数で赤外線を発光する赤外線発光素子とを用いることを特徴とするマイクロホン。
【請求項2】
上記赤外線発光素子を少なくとも2つ備え、話者側の正面に向く中心線に対して上記各赤外線発光素子の光軸をそれぞれ45゜の範囲内で傾けて配置する請求項1に記載のマイクロホン。
【請求項3】
上記赤外線発光素子に供給される駆動電流を調整する駆動電流調整手段を備えている請求項1または2に記載のマイクロホン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロホンに関し、さらに詳しく言えば、近接センサによりマイク出力をオンオフ制御する機能を備えたマイクロホンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロホンの一つとして近接センサを内蔵したマイクロホンがある。このマイクロホンは近接センサにより人の有無を検知し、人を検知した場合にマイク出力をオンとし人を検知しないときにはマイク出力をオフとする。
【0003】
一例としてマイクオペレータのいない教会などで使用される。すなわち、グースネック型マイクロホンとして教会の演壇にセットされ、牧師が教えを説くため演壇に居る場合には近接センサの人検知信号によりマイク出力をオンとするが、聖歌隊が歌うため牧師が演壇から離れたときには聖歌隊の歌を拡声しないようにマイク出力をオフとする。
【0004】
グースネック型マイクロホンのほとんどはコンデンサマイクロホンであり、その電源にはファントム電源が一般的に使用されている。ファントム電源は電流の供給能力が低いため近接センサには消費電力の少ないことが求められている。
【0005】
そのため、特許文献1に記載の発明では近接センサに焦電物質の焦電特性を利用した焦電型赤外線センサを用いている。また、特許文献2に記載の発明では近接センサに赤外線発光素子(例えば、赤外線発光ダイオード)と赤外線受光素子(例えば、フォトダイオード)との組み合わせを用いている。これとは別に超音波センサも近接センサの一つとして知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−72559号公報
【特許文献2】米国特許第5818949号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
焦電型赤外線センサは自ら赤外線を発光する必要がないため消費電力がわずかであるという利点はあるが、人(話者)がじっとして動かない静止状態では人を検知しないためマイク出力が突然に途絶えてしまうことがあり、マイクロホンの近接センサとしては好ましくない。
【0008】
また、赤外線発光素子と赤外線受光素子とを用いる場合において、赤外線発光素子(赤外線発光ダイオード)の発光方法には直流点灯と交流点灯とがあるが、交流点灯の方が発光ダイオードの発熱を抑えて強い赤外線を放射することができる。
【0009】
しかしながら、太陽光などの外光が入り込む環境下や近くに赤外線の高調波を発生する例えばプラズマディスプレイなどがある場合には、それによって誤動作を起こすおそれがあるため赤外線受光素子側に特殊な光フィルタを併用する必要がある。この種の光フィルタはかなり高価である。超音波センサは消費電力が大きうえに音波が周辺の物体により回折するため検知の信頼性が低くマイクロホンには適用できない。
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、赤外線発光素子と赤外線受光素子とを近接センサとして用いるマイクロホンにおいて、特殊な光フィルタなどを用いることなく外乱光の影響を排除して確実に人(話者)を検知できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、音波を電気信号に変換してマイク出力部から出力するマイクロホンユニットと、近接センサとを含み、上記近接センサの出力信号により上記マイク出力部をオンオフ制御するマイクロホンにおいて、上記近接センサとして、特定の周波数にのみ同調して受光信号を出力する赤外線受光素子と、上記赤外線受光素子の同調周波数で赤外線を発光する赤外線発光素子とを用いることを特徴としている。
【0012】
本発明によるマイクロホンはグースネック型として演壇などのテーブルに好ましく設置されるが、その場合のセンサの検知エリアを広げるうえで、上記赤外線発光素子を少なくとも2つ備え、話者側の正面に向く中心線に対して上記各赤外線発光素子の光軸をそれぞれ45゜の範囲内でずらして配置することが好ましい。
【0013】
また、マイクロホンの設置場所の周囲状況(例えば、周囲の広さなど)に応じて検知能力を可変できるようにするため、上記赤外線発光素子に供給される駆動電流を調整する駆動電流調整手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、赤外線受光素子が特定の同調周波数をもち、赤外線発光素子からはその同調周波数で赤外線が放射されるため、赤外線発光素子から放射され人(話者)によって反射された反射光が赤外線受光素子に入射された場合にのみ赤外線受光素子から受光信号(人検知信号)が出力される。したがって、特殊で高価な光フィルタを必要としないことから安価で、しかも外乱光などによって誤動作することがない近接センサを有するマイクロホンが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図1ないし図6を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1に好ましい態様として本発明のマイクロホンをグースネック型マイクロホンとした場合の外観図を示す。すなわち、このマイクロホンは図示しないテーブルなどの基台上に設置されることを意図して、その基台上に設けられている所定の固定金具に連結される筒状のベース筐体10を備えている。ベース筐体10には外来電磁波から内蔵部品をシールドする作用が求められることから、ベース筐体10は真鍮など金属材から作製されるのが好ましい。
【0017】
この例において、ベース筐体10の上端にはフレキシブルシャフト21および入れ子式の伸縮パイプ22を含む可撓性の支持シャフト20の下端が固定されている。フレキシブルシャフト21および入れ子式の伸縮パイプ22はともに金属製で、支持シャフト20とベース筐体10は電気的に導通している。
【0018】
支持シャフト20の上端にはマイクロホンユニット30が取り付けられている。マイクロホンユニット30には大別して動電型(ダイナミック型)と静電型(コンデンサ型)とがあるが、グースネック型マイクロホンにおいては、通常、コンデンサ型のマイクロホンユニットが用いられる。その電源は多くの場合ファントム電源である。
【0019】
図2の正面図およびそのA−A線断面図である図3を参照して、ベース筐体10はその下端側に上記ファントム電源からのケーブルが接続される出力コネクタ110を備えている。この出力コネクタ110はEIAJ RC−5236「音響機器用ラッチロック式丸型コネクタ」で規定される3ピンコネクタであることが好ましい。
【0020】
ベース筐体10の正面(話者側に向けられる面)には、近接センサを構成する赤外線送信部120と赤外線受光部130とが設けられている。また、動作表示用ランプ140も設けられているが、動作表示用ランプ140は例えば図示しない電源スイッチがオンのときに点灯する赤色もしくは緑色の発光ダイオードなどであってよい。
【0021】
この例において、赤外線送信部120には2つの赤外線発光ダイオード121,122が含まれている。この場合、センサの検知エリアを広げるうえで、図5に示すように赤外線発光ダイオード121,122の各光軸121a,122aを話者側の正面に向く中心線Xに対して45゜以内(特には30゜以内)の範囲で傾けることが好ましい。なお、赤外線発光ダイオードは1つもしくは3つ以上であってもよい。
【0022】
本発明において、赤外線受光部130は入射される赤外線のうちの特定の周波数にのみ同調して受光信号を出力する同調型の赤外線受光素子(例えばフォトダイオード)131を備えている。この種の赤外線受光素子としては、例えばコーデンシ社製の光リモコン受光モジュール品番PIC−3704TM2/3724TM2がある。
【0023】
この受光モジュールでは同調周波数(Tuning frequency)を40.0KHz,36.7KHz,37.9KHz,32.7KHz,56.9KHzの中から選択でき、参考までに図4に同調周波数が37.9KHzである受光モジュールの到達距離/周波数特性のグラフを示す。
【0024】
図6に赤外線送信部120と赤外線受光部130の概略的な回路構成を示す。赤外線送信部120側においては、2つの赤外線発光ダイオード121,122がFETなどの半導体スイッチ124とともにベース筐体10内の電源Vcc(この例では+5.5V)と接地との間で直列に接続されている。
【0025】
また、赤外線送信部120には半導体スイッチ124を高速でオンオフさせる発振器125が設けられている。したがって、赤外線発光ダイオード121,122は発振器125の発振周波数にて点灯して赤外線を放出するが、その周波数は赤外線受光素子131の同調周波数(例えば、37.9KHz)に合わされている。
【0026】
赤外線受光部130側においては、赤外線受光素子131から出力される受光信号を保持する信号保持回路132が設けられている。信号保持回路132は赤外線受光素子131から受光信号が出力されている間はマイク出力部151に出力オン信号を与え、受光信号が途絶えるとマイク出力部151に出力オフ信号を与える。
【0027】
なお詳しくは図示しないが、マイク出力部151はベース筐体10内に配置されている回路基板150に設けられており、例えば同回路基板150に形成されている音声信号処理回路の出力側に含まれる出力オンオフ用のスイッチであってよい。
【0028】
上記したように、赤外線送信部120の赤外線発光ダイオード121,122から例えば37.9KHzの周波数で赤外線が放射されているとして、図6に示すようにマイクロホンの前の検知エリア内に話者Hが居る場合には、その話者Hにて反射された赤外線の一部が赤外線受光素子131に入射される。
【0029】
これにより、赤外線受光素子131から信号保持回路132に受光信号が出力されるとともに、信号保持回路132からマイク出力部151に出力オン信号が与えられマイクロホンユニット30からの音声信号が図示しない外部の受信機などに出力される。
【0030】
これに対して、マイクロホンの前の検知エリア内に話者Hが居ない場合には、赤外線受光素子131に37.9KHzの同調周波数をもつ赤外線が入射されないため、赤外線受光素子131から受光信号が出力されずマイク出力はオフとなる。
【0031】
なお、マイクロホンの設置場所が狭くベース筐体10の正面側近くに例えば壁などの反射物がある場合には、話者Hが居ないときでもその反射物からの反射光によってマイク出力がオンになることがある。
【0032】
このような誤検知を防止するには、図6に示すように例えば電源Vccと赤外線発光ダイオード121との間にダイオード駆動電流を調整する可変抵抗123を接続して、マイクロホンの設置場所に応じて発光される赤外線の強さを調整可能、すなわち検知エリアの有効範囲を調整可能とすることが好ましい。
【0033】
以上、本発明をグースネック型のマイクロホンを例にして説明したが、本発明はスタンド型マイクロホンや天井吊り下げ型などの固定された位置で使用されるマイクロホンにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用されたグースネック型マイクロホンを示す正面外観図。
【図2】上記マイクロホンのベース筐体を示す正面図。
【図3】上記ベース筐体内の内部構造を簡略化して示す図2のA−A線断面図。
【図4】本発明に用いられる同調型赤外線受光素子の特性の一例を示すグラフ。
【図5】本発明における好ましい赤外線発光ダイオードの配置を示す模式図。
【図6】本発明における赤外線送信部と赤外線受信部の回路構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0035】
10 ベース筐体
110 出力コネクタ
120 赤外線送信部
121,122 赤外線発光ダイオード
123 可変抵抗
124 半導体スイッチ
125 発振器
130 赤外線受信部
131 赤外線受光素子
132 信号保持回路
151 マイク出力部
【出願人】 【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
【住所又は居所】東京都町田市成瀬2206番地
【出願日】 平成16年4月16日(2004.4.16)
【代理人】 【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也

【公開番号】 特開2005−311418(P2005−311418A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−121491(P2004−121491)