トップ :: H 電気 :: H01 基本的電気素子




【発明の名称】 半導体基板の研磨方法および研磨治具
【発明者】 【氏名】鷲野 隆
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 日本オプネクスト株式会社内

【氏名】佐久間 康
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 日本オプネクスト株式会社内

【氏名】向久保 優
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 日本オプネクスト株式会社内

【氏名】フラ ハルプリート スィング
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 日本オプネクスト株式会社内

【氏名】内田 憲治
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 日本オプネクスト株式会社内

【要約】 【課題】半導体基板の研磨作業では、研磨により薄くなり強度の低下した半導体基板が研磨用石英からのダメージを受け外周破損やクラックが発生する。

【解決手段】上記問題を解決するため、半導体基板を固定する面に半導体基板の直径ほぼ同じ径の溝を形成した半導体基板固定用治具を適用する。この治具の適用によって半導体基板の破損やクラックを抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨液に対する耐食性を有し、半導体ウェハの直径より5mm以内だけ大きい直径の溝を有する研磨治具の前記溝に、前記半導体ウェハのパターン面をワックスで固定するステップと、
前記研磨液が供給された定盤に圧接させた前記半導体ウェハの非パターン面を、前記定盤に対し移動運動させるステップと、
を含む研磨方法。
【請求項2】
前記研磨治具の前記溝の直径は、半導体ウェハの直径より2mm以内だけ大きいことを特徴とする請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記半導体ウェハは、化合物半導体ウェハである請求項1に記載の研磨方法。
【請求項4】
パターン形成された半導体ウェハの裏面を研磨する研磨方法であって、
前記半導体ウェハの直径より大きい直径の溝が設けられた耐食性研磨治具に、前記半導体ウェハをワックスで固定し、前記溝の深さによって前記ウェハの研磨後の厚さを制御することを特徴とする研磨方法。
【請求項5】
前記溝の深さは、前記半導体ウェハの研磨後の仕様厚さと前記ワックスの厚さの和程度であることを特徴とする請求項4に記載の研磨方法。
【請求項6】
請求項4に記載された研磨方法であって、
研磨の終了を、前記半導体ウェハと前記研磨治具との段差高さで判断することを特徴とする研磨方法。
【請求項7】
研磨液に対する耐食性を有し、ウェハ状の研磨対象物を固定する研磨治具であって、
前記研磨治具の片面には、前記研磨対象物の外形と相似の形状の溝が設けられ、前記溝の内側の前記研磨対象物を固定する面の平坦性は、研磨後の研磨対象物の平坦性を保持する性能を有し、前記研磨治具の加重を印加する面の平坦性は、前記研磨後の研磨対象物の平坦性を保持する性能を有することを特徴とする研磨治具。
【請求項8】
前記研磨治具は、ガラスまたはセラミックからなることを特徴とする請求項7記載の研磨治具。
【請求項9】
研磨によって薄くなった半導体ウェハの割れを防止するように、前記薄くなった半導体ウェハの周囲に壁部を設けた半導体ウェハを固定する研磨治具。
【請求項10】
前記半導体ウェハは、化合物半導体ウェハである請求項9に記載の研磨治具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の割れを防止して研磨する半導体基板の研磨方法およびそれに用いる研磨治具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体素子製造の分野では、半導体基板の割れを防止するため、製造プロセス中は、厚い基板で加工を進める。パターン形成が終わった段階で、仕様である基板の厚さとなるよう基板裏面を研磨する。この研磨工程で、半導体基板は、円形の石英板にワックスで固定される。さらに、石英板は、半導体基板に加重を加える研磨ホルダに装着される。研磨装置の石英製研磨面には、研磨剤を含むアルカリ性研磨液が供給され、研磨面に圧接された半導体基板を研磨する。
【0003】
これを、図5を用いて説明する。図5は、従来の半導体基板の研磨を説明する図面で、図5(a)は、半導体基板103のパターン面をワックス104で固定した石英円板120と、石英円板120を装着した研磨ホルダ105を研磨面から見た平面図である。また、図5(b)は研磨中の研磨ホルダ部100と石英製定盤107のIV−IV’断面を説明する断面図である。図5(a)で研磨ホルダ105には、角度90毎に切り欠き105aを設けてある。図5(b)で、定盤107上には、研磨剤を含む研磨液106が供給されている。定盤107は図示しない回転軸を中心に回転し、研磨ホルダ105自体も図示しない回転機構により自転しているので、半導体基板103は自公転運動をしながら研磨される。この研磨は、研磨液による化学的研磨と、研磨剤による機械的研磨を組み合わせたもので、化学的機械研磨技術(CMP:Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれている。
【0004】
特許文献1には、後述する従来技術の問題点に対する、本発明とは別の観点からの解決策が、記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−71667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明した図5では、図5(b)のA部に空間が存在する。この空間は、研磨の初期段階ではウェハプロセスを流れた基板の厚みと同じ高さを有する。A部に研磨液106が供給されると、半導体基板103と石英円板120との間のワックス104を繰り返し溶かし、ワックス104が無くなって、研磨により薄くなり強度の低下し、半ば浮いた状態の半導体基板103の外周が破損することがある。また、定盤107とは機械的に接触しているのでクラックが発生しやすい。このクラックは、研磨工程以降で半導体基板または半導体チップの破損の原因となる。
【0007】
本発明の目的は、半導体基板の研磨における破損と、研磨において発生し以降の工程において破損の原因となる半導体基板のクラックとを抑制するための半導体基板の研磨方法およびそれに用いる研磨治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、半導体基板を固定する治具に、半導体基板の直径よりやや大きい円形状の溝を設ける。半導体基板は、ワックスでこの溝部に固定される。従来の溝のない治具の場合、研磨開始から半導体基板と治具との間のワックスが溶け出してしまう。これに対して、半導体基板の直径よりやや大きい円形状の溝を設け、少なくとも半導体基板の溝に入った側面が、ワックスで覆われることになって、半導体基板と治具とを固定するワックスの溶け出しを防止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体基板と治具とを固定するワックスの溶け出しを防止することができるので、半導体基板の外周を破損させず、クラックの発生を防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の実施例では、半導体基板の一例として、化合物半導体であるガリウム砒素について記載する。光半導体素子に用いられるガリウム砒素(GaAs)、インジウム燐(InP)、ガリウムナイトライド(GaN)等の化合物半導体は、シリコンに比べ硬度が低く、脆い性質がある。また、厚さ仕様を満たすように研磨する工程は、ウェハプロセスのほぼ最後にあたるので、ウェハとしての付加価値が高い。光半導体を用いる光モジュールの場合、後工程で組み込まれる他の部品の価格比率が高いので、クラックが後工程で顕在化した場合の、損害額が大きい。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による研磨治具の一実施例を説明する図である。図2は、本発明による研磨工程の一実施例を説明する図である。図1は、研磨治具として、石英製円板の片面(D面)に深さ100μm(マイクロ・メータ)直径52mmの溝を加工したものである。ここで、研磨対象物を貼り付けるB面と、研磨ホルダと接触し加重を印加するC面とは、その平坦度が研磨対象物の面内厚さばらつきに影響を与えるので、精度良く加工する必要がある。また、溝深さを100μmとしたのは、研磨終了時の研磨対象物の厚さ仕様100±10μmを、この溝深さで出す目的である。従って、D面とB面との平行度は直に研磨対象物の厚さの均一性に影響を与えるので、石英材料の初期精度も必要である。
【0012】
図2(a)は、厚さ350μm、直径50.8mmのガリウム砒素ウェハ130のパターン面をワックス104でB面に固定した石英治具101と、石英治具101を装着した研磨ホルダ105を研磨面から見た平面図である。また、図2(b)は研磨中の研磨ホルダ部200と石英製定盤107との、III−III’断面を説明する断面図である。なお、図5(b)では研磨ホルダ105は一体物であったが、本実施例では研磨リング部105bと荷重部105cとに分かれている。図2(b)で、定盤107上には、研磨剤を含む研磨液106が供給されている。定盤107は図示しない回転軸を中心に回転し、研磨ホルダ105自体も図示しない回転機構により自転しているので、定盤107に圧接したガリウム砒素ウェハ130の裏面(非パターン面)は自公転運動をしながら研磨される。また、石英治具101と荷重部105cの間は図示しない真空源で吸引され、固定されている。荷重部105cの質量は、10〜15kgである。
【0013】
本実施例の場合、ガリウム砒素ウェハ130の直径が、50.8mm、石英治具の溝直径が52mmであるので、その差は片側0.6mmしかない。ワックス104は熱で液状化し、泡のでないように石英治具の溝内に一様に塗布し、真空ピンセットで吸着したガリウム砒素ウェハを乗せた後、加圧・冷却し、固定する。余剰のワックスは片側0.6mmの径差の部分を埋め尽くす。従って、従来技術で問題となった半導体基板と石英治具との間のワックスの溶け出しを、防止する。これによって、半導体基板の研磨工程における破損と、研磨工程において発生し以降の工程において破損の原因となる半導体基板のクラックとを抑制することができる。
また、研磨によって薄くなった半導体基板の割れを防止するように、溝の側壁が壁として働くことによっても、破損とクラックとを抑制する。
【0014】
さらに本実施例では、研磨液の選定によって、ガリウム砒素のみを研磨し、石英を研磨しないので、石英治具の溝深さを、研磨後の基板厚さ仕様とすることで、簡便に半導体基板の厚さ制御が可能である。具体的には、研磨の終了を、ガリウム砒素基板と研磨治具との段差がなくなったことで判断することができる。なお、上述した実施例では、説明の簡略化のため、ワックスの厚みを無視した。しかし、実際には無視はできず、溝の深さは基板の仕様厚さ+ワックス厚みとする必要がある。
【0015】
また、固定用の石英治具の平坦性が精度よく形成されているため、面内の厚さばらつきも少なく高平坦性を必要とされる半導体基板を得ることができる。なお、基板厚さ仕様は、光素子の特性および後工程での素子搭載位置設計により決定されている。
【0016】
石英治具の溝の直径は、半導体基板の直径の最大公差に対して、5mm程度あっても、実験によれば溝部分をワックスで埋めることができる(溝深さ100μmの場合)が、より好ましくは2mm以下である。
ここで、ワックスとは蜜蝋に限らず、常温で固体であって、加熱することによって低粘度の液体となるものなら、何でも構わない。
【0017】
なお、上述の実施例では、半導体基板として、ガリウム砒素ウェハを挙げたが、その他の化合物半導体基板であっても良いし、シリコンウェハであっても良い。定盤として石英製定盤を挙げたが、研磨布であっても良い。半導体基板を貼り付ける治具として、石英治具を挙げたが、研磨液で腐食しない(耐食性がある/耐研磨性がある)材料であれば素材は関係がなく、例えばガラスであっても、セラミックであっても良い。
【0018】
図3は、本発明による研磨治具の他の一実施例を説明する図である。図3は、研磨治具として、石英製円板の片面に深さ100μm、直径26.6mmの溝を4ヶ加工したものである。図3の石英治具102では、直径25.4mmの半導体基板4枚を一度に研磨加工できる。さらに半導体基板の研磨工程における破損と、研磨工程において発生し以降の工程において破損の原因となる半導体基板のクラックとを抑制することができる。
【0019】
図4は、本発明を適用した半導体素子を搭載した光モジュール300の模式図である。図4、本発明の製造方法で裏面を研磨されたガリウム砒素ウェハは、裏面メタライズ、へき開等を経てチップ化されレーザダイオード301となる。レーザダイオード301はステム303とはんだ304で接続される。レーザダイオードの発光位置はパターン面の側面にあり、図示しないレンズで光ファイバ302に導かれる。光ファイバ302の中心位置ずれは、レーザダイオードの発振位置±3μm以内とする必要があり、光ファイバ302を固定するはんだ(図示しない)の厚さの制約から、レーザダイオード301の厚み許容が±10μmとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例である研磨治具を説明する図である。
【図2】本発明の実施例である研磨工程を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施例である研磨治具を説明する図である。
【図4】本発明の実施例である光送信モジュールの模式図である。
【図5】従来の研磨工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
100…研磨ホルダ部、101、102…石英治具、103…半導体基板、104…ワックス、105…研磨用ホルダ、106…研磨液、107…石英製定盤、108…石英治具、120…石英円板、130…ガリウム砒素ウェハ、200…研磨ホルダ部、300…光送信モジュール、301…レーザダイオード、302…光ファイバ、303…ステム、304…はんだ。
【出願人】 【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本オプネクスト株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地
【出願日】 平成16年5月6日(2004.5.6)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男

【識別番号】100086656
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 恭助

【公開番号】 特開2005−322663(P2005−322663A)
【公開日】 平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願番号】 特願2004−137067(P2004−137067)