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【発明の名称】 太陽電池用シリコンウエハの再生方法、太陽電池セルの形成方法及び太陽電池用シリコンインゴットの作製方法
【発明者】 【氏名】山下 勝也
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【氏名】大狹 正寛
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【要約】 【課題】従来廃棄していた特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハ再生し、コストダウン及び資源を有効に活用することを課題とする。

【解決手段】シリコンウエハの表面層に形成された不純物層と、不純物層上に形成された表面銀電極膜及び反射防止膜と、シリコンウエハ裏面に形成された裏面銀電極膜とアルミニウム電極層とからなる太陽電池セルで、特性不良を示す太陽電池セルを含むシリコンウエハを、フッ酸処理にて反射防止膜と表裏面の銀電極膜を除去する工程及び塩酸処理にてアルミニウム電極層を除去する工程をこの順又は逆順で行った後、硝酸とフッ酸の混合液処理又は水酸化ナトリウム処理にて不純物層を除去する工程を行うことで、再びシリコン太陽電池セルを形成可能な状態に戻すことにより上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウエハの表面層に形成された不純物層と、不純物層上に形成された表面銀電極膜及び反射防止膜と、シリコンウエハ裏面に形成された裏面銀電極膜とアルミニウム電極層とからなる太陽電池セルで、特性不良を示す太陽電池セルを含むシリコンウエハを、フッ酸処理にて反射防止膜と表裏面の銀電極膜を除去する工程及び塩酸処理にてアルミニウム電極層を除去する工程をこの順又は逆順で行った後、硝酸とフッ酸の混合液処理又は水酸化ナトリウム処理にて不純物層を除去する工程を行うことを特徴とする太陽電池用シリコンウエハの再生方法。
【請求項2】
表裏面銀電極膜上にはんだ層を更に備え、フッ酸処理前に、太陽電池セルを含むシリコンウエハをはんだ槽へ投入する請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
フッ酸処理、塩酸処理及び混合液処理を複数回繰り返す請求項1又は2に記載の再生方法。
【請求項4】
硝酸とフッ酸の混合液処理後、塩酸と過酸化水素水の複合液処理にてシリコンウエハ表面の酸化を防いで表面を安定させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の再生方法。
【請求項5】
塩酸と過酸化水素水の複合液処理後、アンモニア水と過酸化水素水の複合液処理によりさらにシリコンウエハ表面を中和する請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法により再生されたシリコンウエハに太陽電池セルを形成することを特徴とする太陽電池セルの形成方法。
【請求項7】
請求項1〜5いずれか1つの方法により再生されたシリコンウエハを用いて太陽電池用シリコンインゴットを作製することを特徴とする太陽電池用シリコンインゴットの作製方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用シリコンウエハの再生方法、太陽電池セルの形成方法及び太陽電池用シリコンインゴットの作製方法に関する。更に詳しくは、本発明は、太陽光発電システム用太陽電池モジュールの生産において、コストダウンを図るために、モジュールに集積する工程において発見された特性不良のセルを廃棄せず、太陽電池用シリコンウエハに再生する方法、再生されたシリコンウエハを用いた太陽電池セルの形成方法及び太陽電池用シリコンインゴットの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全問題などから、太陽光、風力、地熱などのクリーンな自然エネルギーを利用した電力システムの開発が活発に行われている。なかでも太陽光発電システムは、太陽の日射強度がある程度以上の場合に直流電力を出力する太陽電池のみで発電でき、シンプルでクリーンな電力システムであり、また設置場所の制約が少ないので、積極的な普及が図られようとしている。
【0003】
ところで、この太陽光発電システムを一般家庭等で利用するには、シリコン太陽電池セル一枚が発電する直流電力が僅かであるので、多数枚の太陽電池セルをモジュールに集積する工程が必要である。この太陽電池セルの製造に際して、通常ある割合で特性不良のセルが存在する。発見された特性不良のセルは従来ではそのまま廃棄されていた。つまり、廃棄されたセルをシリコンウエハに再生する技術、又は溶融処理して原石に近いシリコン原材料にまで戻した後、そこから再度精製工程を繰り返してシリコン多結晶または単結晶インゴットとして再利用する技術は報告されていなかった。このため、最近の太陽電池モジュールの需要増に対応して、太陽電池用シリコンウエハも逼迫し、品不足をきたしていた。
【0004】
なお、従来廃棄されるシリコンを再使用する方法が、例えば特開平9−165212号公報(特許文献1)や特開平10−120493号公報(特許文献2)に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−165212号公報
【特許文献2】特開平10−120493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら公報では、シリコンインゴットをスライスしてウエハに加工する時に発生するシリコンスラッジを、溶解して凝固させ、高純度シリコンインゴットに再び加工する方法が記載されている。しかし、大変なエネルギーや労力を注ぐことが必要であり、実現にはなお時間が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者等は、上記のような不都合を克服してコストダウンおよび資源を有効活用するため、シリコンウエハに太陽電池セルを形成した後、太陽光発電システム用モジュールに集積する工程において発見された特性不良のセルを、セル形態またはウエハ形態の状態に留めながら、再び良好なシリコン太陽電池セルを形成できるシリコンウエハに再生する方法を見い出し本発明に至った。
【0008】
かくして本発明によれば、シリコンウエハの表面層に形成された不純物層と、不純物層上に形成された表面銀電極膜及び反射防止膜と、シリコンウエハ裏面に形成された裏面銀電極膜とアルミニウム電極層とからなる太陽電池セルで、特性不良を示す太陽電池セルを含むシリコンウエハを、フッ酸処理にて反射防止膜と表裏面の銀電極膜を除去する工程及び塩酸処理にてアルミニウム電極層を除去する工程をこの順又は逆順で行った後、硝酸とフッ酸の混合液処理又は水酸化ナトリウム処理にて不純物層を除去する工程を行うことを特徴とする太陽電池用シリコンウエハの再生方法が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、上記方法により再生されたシリコンウエハに太陽電池セルを形成することを特徴とする太陽電池セルの形成方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記方法により再生されたシリコンウエハを用いて太陽電池用シリコンインゴットを作製することを特徴とする太陽電池用シリコンインゴットの作製方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来廃棄していた特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハを再生することができるため、コストダウン及び資源を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の再生方法に付されるシリコンウエハは、その表面層に形成された不純物層と、不純物層上に形成された表面銀電極膜及び反射防止膜と、シリコンウエハ裏面に形成された裏面銀電極膜とアルミニウム電極層とからなり、かつ特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハであれば特に限定されない。また、シリコンウエハは、単結晶、多結晶、アモルファス等のいずれの結晶系を有していてもよい。
【0013】
シリコンウエハは、p型又はn型の導電型を有していもよい。p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素等が挙げられる。不純物濃度は、所望する太陽電池セルの構成に応じて適宜設定することができる。
【0014】
シリコンウエハの表面層に形成される不純物層は、シリコンウエハとの界面において光電変換を行うための層である。従って、シリコンウエハとは逆の導電型(すなわち、シリコンウエハがp型の場合n型、n型の場合p型)の不純物が拡散されており、pn接合が形成されている。不純物層の形成方法は、特に限定されず、イオン注入法、熱拡散法、気相拡散法等が挙げられる。不純物層の不純物濃度は、所望する太陽電池セルの構成に応じて適宜設定することができる。また、不純物層の厚さは、通常0.1〜0.5μmである。
【0015】
不純物層上に形成される表面銀電極膜は、太陽電池セル内への光の入射を妨げないようにパターニングされている。例えば、くし型、ドット状、ストライプ状、格子状、フィシュボーン状等が挙げられ、パターンの大きさ、配置ピッチは、所望する太陽電池セルの構成に応じて適宜設定することができる。また、表面銀電極膜の太陽電池セルに占める面積割合は、1〜10%であること好ましい。更に、表面銀電極膜の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。表面銀電極膜の形成方法は、例えば、銀含有ペーストを用いて、スクリーン印刷法などの公知の方法により塗布し、焼成することにより形成することができる。その焼成条件は、例えば、空気中、550〜650℃程度で1〜5分間程度である。
【0016】
不純物層上の表面銀電極膜が形成されていない領域には入射した光を有効に電気に変換するための反射防止膜が形成される。反射防止膜は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、酸化チタン膜およびこれらの積層膜等からなる。反射防止膜は、熱処理法、CVD法、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができ、その膜厚は、10〜100nm程度である。
【0017】
アルミニウム電極層は、太陽電池セルで発生した電気を集電する役割を有する。アルミニウム電極層は、例えば、アルミニウム含有ペーストをスクリーン印刷法などの公知の方法により塗布し、焼成することにより形成することができる。その焼成条件は、例えば、空気中、650〜750℃程度で1〜5分間程度である。その膜厚は、5〜50μm程度である。
【0018】
シリコンウエハ裏面に形成される裏面銀電極膜は、アルミニウム電極層の形成されていないシリコンウエハ裏面に位置するように形成されている。裏面銀電極膜の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。裏面銀電極膜の形成方法は、例えば、銀含有ペーストを用いて、スクリーン印刷法などの公知の方法により塗布し、焼成することにより形成することができる。その焼成条件は、例えば、空気中、550〜650℃程度で1〜5分間程度である。
【0019】
なお、表面及び裏面銀電極膜、アルミニウム電極層は、シリコンウエハに対する密着性を向上させるために、ガラス成分を含んでいてもよい。
【0020】
更に、シリコンウエハ裏面とアルミニウム電極層との間に、BSF(Back Surface Field:裏面電界)層が設けられてもよい。BSF層を設けることで、シリコンウエハ内で生成された少数キャリアのうち裏面に向かうものが反射されて裏面電極で再結合しにくくなくなるため、pn接合に到達するものが増加して光電流を増加させることができる。さらには、開放電圧を増加さすことも可能である。BSF層の厚さは、通常1〜20μmである。このBSF層は、アルミニウム電極層からアルミニウムをシリコンウエハに熱拡散させることで簡便に形成することができる。
【0021】
また、表面及び/又は裏面銀電極膜上に、はんだディップなどの公知の方法により、はんだ層を形成してもよい。その膜厚は、1〜10μm程度である。はんだ層は、太陽電池セル間の接続を容易にさせ、あるいは太陽電池セルのシリーズ抵抗となる電気抵抗を低下させる役割を果たす。
【0022】
なお、上記構成の太陽電池セルは、シリコンウエハに複数形成されていてもよい。また、セルの大きさは、通常幅1〜20cm、長さ1〜20cmである。
【0023】
本発明の再生方法は、上記構成の太陽電池セルに特性不良のセルが含まれている場合、使用できる。ここで、特性不良となる原因は、表面や裏面銀電極膜の形状が比較的複雑な形状になっているため、この電極膜の細い部分の断線等が考えられる。また、反射防止膜の厚み不足等も考えられる。
【0024】
以降、特性不良セルを含むシリコンウエハを再生する方法について述べる。
本発明の再生方法は、
(1)フッ酸処理にて反射防止膜と表裏面の銀電極膜を除去する工程と、
(2)塩酸処理にてアルミニウム電極層を除去する工程と、
(3)硝酸とフッ酸の混合液処理又は水酸化ナトリウム処理にて不純物層を除去する工程と
を行う。(1)及び(2)工程は、どちらを先に行ってもよい。(3)工程は、(1)及び(2)工程後に行われる。
【0025】
(1)工程では銀電極膜が除去されるが、銀電極膜がガラス成分を含んでいる場合、除去がより容易となる。フッ酸処理に使用される処理液は、フッ酸を0.1〜50濃度%を含む処理液であることが好ましい。より好ましいフッ酸濃度は、1〜10%である。フッ酸処理条件は、5〜80℃で0.1〜50分間が好ましく、より好ましくは10〜40℃で0.5〜10分間である。また、フッ酸処理は、通常処理液に浸漬する方法が採用される。なお、はんだ層を有する場合は、銀電極膜の除去に伴い同時に除去できる。
【0026】
(2)工程ではアルミニウム電極層が除去されるが、塩酸処理に使用される処理液は、塩酸を0.1〜30濃度%を含む処理液であることが好ましい。より好ましい塩酸濃度は、1〜20%である。塩酸処理条件は、5〜90℃で0.1〜60分間が好ましく、より好ましくは10〜40℃で0.2〜10分間である。また、塩酸処理は、通常処理液に浸漬する方法が採用される。
【0027】
(3)工程では不純物層が除去されるが、混合液処理中の硝酸とフッ酸の割合は、0.1〜50:1であることが好ましく、より好ましくは2〜20:1である。混合液に対する硝酸とフッ酸の合計量の割合は、0.1〜100重量%であることが好ましく、1〜5050重量%であることがより好ましい。
【0028】
一方、水酸化ナトリウム処理に使用される処理液は、水酸化ナトリウムを0.1〜30濃度%を含む処理液であることが好ましい。より好ましい水酸化ナトリウム濃度は、1〜10%である。水酸化ナトリウム処理条件は、5〜90℃で0.1〜50分間が好ましく、より好ましくは60〜90℃で3〜20分間である。
【0029】
(3)工程は、通常浸漬する方法が採用される。なお、シリコンウエハ裏面にBSF層を設けた場合は、この工程で同時に除去することができる。
【0030】
更に、(1)及び(2)工程前に、溶融したはんだを含むはんだ槽に浸漬するはんだディップ工程に付してもよい。はんだ槽に浸漬することで、銀電極膜を構成する銀が、はんだ槽に溶出するので、(1)工程を効率よく行うことができる。また、銀電極膜上のはんだ層もはんだ槽に溶出するので、はんだの廃棄量を減らすことができる。
【0031】
なお、(1)及び/又は(2)工程は、除去対象の膜が除去されるまで繰り返し行ってもよい。また、繰り返し行う間にはんだディップ工程に付してもよい。
【0032】
また、上記(1)〜(3)の工程終了後は、塩酸と過酸化水素水からなる混合液に浸漬して処理し、シリコン表面の酸化を防いで表面を安定させ、次いで、アンモニア水と過酸化水素水からなる混合液に浸漬して処理し、シリコン表面の中和を図っておくとよい。
【0033】
表面安定化用の混合液中の塩酸と過酸化水素水の割合は、0.1〜5:1であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2:1である。混合液に対する塩酸と過酸化水素水の合計量の割合は、5〜80重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。処理条件は、5〜90℃で1〜40分間が好ましく、より好ましくは60〜85℃で5〜20分間である。
【0034】
表面中和用の混合液中のアンモニア水と過酸化水素水の割合は、0.1〜5:1であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3:1である。混合液に対するアンモニア水と過酸化水素水の合計量の割合は、5〜50重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。処理条件は、5〜90℃で1〜40分間が好ましく、より好ましくは60〜85℃で5〜20分間である。
【0035】
上記工程を経ることでシリコンウエハ以外の太陽電池セルを構成する部材が除去できるので、太陽電池セルを形成可能なシリコンウエハを再生することができる。
【0036】
再生したシリコンウエハは、そのまま、太陽電池セルを形成するために使用してもよく、太陽電池用シリコンインゴットを作製するための原料として用いてもよい。
【0037】
ここで、太陽電池セルの形成方法は、上記したように公知の方法をいずれも採用できる。また、太陽電池用シリコンインゴットの作製方法としては、公知の方法をいずれも採用できる。例えば、再生したシリコンウエハを、予め溶融したシリコン浴に投入して溶解し、次いでシリコン浴からシリコンを一方向性凝固させることでインゴットを作製することができる。
【実施例】
【0038】
実施例1
図1は、一般的なシリコン太陽電池セルの断面図である。図1の太陽電池セルは、P−typeシリコンウエハ1の上面(受光面)側にリンをドープすることで形成されたN−typeシリコンからなる不純物層2を備え、シリコンウエハ1と不純物層2の界面にPN接合が形成されている。不純物層2の上に窒化シリコンの反射防止膜3と受光面側の表面銀電極膜4を備えている。また、P−typeシリコンウエハ1の裏面側には、裏面銀電極膜5とアルミニウム電極層6を備えている。更に、アルミニウム電極層6と接するシリコンウエハ1にはBSF層7を備えている。裏面銀電極膜5とアルミニウム電極層6は、塗布法で裏面銀電極膜形成用の銀ペースト層と、銀ペースト層の周囲を含んでほぼ全面的にアルミニウムペースト層とを形成し、それらを焼成することで形成されている。BSF層7は、この焼成時に、アルミニウムペースト層からアルミニウム原子をシリコンウエハ1に侵入させることで形成されている。
【0039】
ここで、銀電極膜(4と5)形成用の銀ペーストにはガラス成分が含まれており、そのためペーストを焼成して形成された銀電極膜は、ガラス成分により十分な強度でシリコンウエハ1と密着している。
【0040】
また、銀電極膜表面にはメッキによりはんだ層8が形成されている。このはんだ層8は、セルで発電した電力を外部に取り出すためのインターコネクタを接続し易くする役割を有している。
【0041】
次に、特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハを再生する方法を図2(a)〜(c)を用いて説明する。
【0042】
図2(a)〜(c)は、シリコンウエハの再生処理工程を順番に説明した図で、図2(a)は、図1のセルにフッ酸処理を行った後の状態を示し、図2(b)は、それに、塩酸処理を行った後の状態を示し、図2(c)は、それに、硝酸とフッ酸の混合液処理を行った後の状態を示す。以下詳しく述べる。
【0043】
まず、図1の特性不良のシリコン太陽電池セルを、50%濃度のフッ酸に5分間浸漬する。これにより、銀電極膜中のガラスが溶けて、銀電極膜(4と5)が除去される。また、銀電極膜にコーティングされているはんだ層8も同時に除去される。更に、反射防止膜3も、溶け出し、除去される。処理後の様子を図2(a)に示す。
【0044】
次に、十分に純水洗浄した後、20%濃度塩酸溶液に5分間浸漬し、アルミニウム電極層6を溶かして除去する。処理後の様子を図2(b)に示す。
【0045】
次いで、十分に純水洗浄した後、硝酸とフッ酸とを10:1の割合で含む混合液(混合液に対して、硝酸とフッ酸の合計量を10%含む)に30秒浸漬することで、不純物層2及びBSF層7をエッチング除去する。処理後の様子を図2(c)に示す。
【0046】
上記処理により、特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハを、再びシリコン太陽電池セルを形成可能な状態に戻すことができる。
【0047】
得られたシリコンウエハは、それに再度太陽電池セルを形成することができ、溶解して凝固させ、高純度シリコンインゴットに再び加工することもできる。
【0048】
実施例2
硝酸とフッ酸とを含む混合液の代わりに、85℃に加熱した5%濃度の水酸化ナトリウム溶液に1分間浸漬すること以外は実施例1と同様にシリコンウエハを処理する。
【0049】
上記処理により、特性不良の太陽電池セルを含むシリコンウエハを、再びシリコン太陽電池セルを形成可能な状態に戻すことができる。
【0050】
実施例3
実施例1の硝酸とフッ酸とを含む混合液での処理後、十分に純水洗浄し、さらに、塩酸及び過酸化水素水からなる混合液(塩酸と過酸化水素水とを1:1の割合で含み、混合液に対して、塩酸と過酸化水素水の合計量を20%含む)により70℃で10分間処理し、次いで、アンモニア水及び過酸化水素水からなる混合液(アンモニア水と過酸化水素水とを3:1の割合で含み、混合液に対して、アンモニア水と過酸化水素水の合計量を20%含む)により70℃で10分間処理する。これらの処理により、シリコン表面の酸化を防いで表面を安定させるとともに、表面を中和することができる。
【0051】
実施例4
また、一般に、銀電極膜の除去は上記で説明した処理工程では困難な場合がある。これは、銀電極に含まれる銀、ガラス成分の状態がさまざまなであるため、ガラス成分がフッ酸でエッチングされにくい場合があるためと考えられる。
【0052】
このように銀電極膜の除去が困難な場合は、フッ酸処理工程の前に、はんだディップ工程を設けると、銀電極の除去が容易となる。すなわち、例えば、190℃程度に保たれたはんだ槽に、図1の太陽電池セルを10分間浸漬する。これにより、はんだ融液中に、銀電極膜の銀成分及びはんだ層が溶け出す。その結果、図3に示すように、銀電極膜及びはんだ層ともに付着量が減少する。
【0053】
この後、実施例1と同様にして処理することにより、銀電極膜の除去が容易になる。その結果、フッ酸での処理時間が減少し、フッ酸の消費量を減らすことができる。また、はんだ槽には、はんだが増えるし、高価な銀も増えることになり、そのまま、他のはんだディプ工程に利用できる。
【0054】
このように、はんだディップ工程は、銀電極の確実な除去、処理時間及び材料費の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による再生に利用する一般的な太陽電池セルの概略断面図である。
【図2】本発明による再生工程の一実施例を示す概略工程断面図である。
【図3】実施例4の工程後の様子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 シリコンウエハ
2 不純物層
3 反射防止膜
4、5 銀電極膜
6 アルミニウム電極層
7 BSF層
8 はんだ層
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【出願日】 平成15年12月1日(2003.12.1)
【代理人】 【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎

【公開番号】 特開2005−166814(P2005−166814A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2003−401763(P2003−401763)