| 【発明の名称】 |
回転磁気ヘッド高さ調整部材及びそれを備えた回転磁気ヘッド装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡村 晃彦 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニー株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ヘッドベースにレーザーを照射して回転磁気ヘッドの高さ調整をする場合の黒粉の発生量を少なくし調整精度を改善する。
【解決手段】白銅のヘッドベース21のヘッド取付け部23と固定ネジ挿通穴22との中間部分にレーザーを照射してその照射部位の溶融、凝固により白銅のヘッドベース21を曲げて磁気ヘッドの高さを調整する。従来の真鍮のヘッドベースはレーザーの照射により黒粉を発生し、その影響でヘッドベースの曲がり量が予想と変わって調整精度が大きく悪化するが、白銅のヘッドベースは黒粉を発生量が減少すると共に、レーザーの吸収力の違いにより曲がり量が大幅に増加するので、同一量調節する場合は、黒粉の発生量が格段に減少し、調整精度が大幅に改善する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気ヘッドを支持すると共に外部からのエネルギーが付与されることにより変形して磁気ヘッドの高さ調整を行なう磁気ヘッド高さ調整部材であって、 前記磁気ヘッド高さ調整部材が白銅で形成され、 磁気ヘッド高さ調整時に黒粉が発生することなくかつ低いエネルギーでヘッド高さ調整できることを特徴とする回転磁気ヘッドの高さ調整部材。 【請求項2】 磁気記録再生を行なう回転磁気ヘッド装置であって、 回転軸を中心に相対的に回転可能である一対のドラム部材と、 前記一対のドラム部材の一方に設けられ記録媒体に対して磁気記録を行なう磁気ヘッドと、 磁気ヘッドを支持すると共に外部からのエネルギーが付与されることにより変形して磁気ヘッドの高さ調整を行なう磁気ヘッド高さ調整部材、とを具備し、 前記磁気ヘッド高さ調整部材が白銅で形成され、 磁気ヘッド高さ調整時に黒粉が発生することなくかつ低いエネルギーでヘッド高さ調整できることを特徴とする回転磁気ヘッド装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、磁気ヘッドのヘッドベースにレーザーを照射して磁気ヘッドの高さ調整するための回転磁気ヘッド高さ調整部材及びそれを備えた回転磁気ヘッド装置に関する。 【背景技術】 【0002】 VTRやデータストレージのテープドライブ等に用いる回転磁気ヘッド装置は、年々、小型化や高密度化に伴い、高精度化が要求されているが、中でも磁気ヘッドの相対高さ等の高さ精度は媒体に記録される情報のフォーマットを決定する最も重要なファクターである。磁気ヘッドが磁気テープに対して順次斜め方向に走査する事により、データを記録及び再生しているが、近年要求されるトラックピッチは数μmと非常に狭くなっており、これに伴い磁気ヘッドの高さ等の調整精度はサブμmのレベルまで高精度化が要求されている。また、調整された磁気ヘッドが温度変化、振動等の要因により、当初の高さから変化した場合、正規のトラック上を走査できず、記録・再生に致命的な影響を及ぼすため、その信頼性も同様にサブμmレベルで要求される。 【0003】 磁気ヘッドの高さ位置決め方法としては、固定用のネジで回転ドラムに締結したヘッドベースを、別の調整用のネジで押すことにより弾性変形させて、ヘッドチップを所定の高さ等に調整する方法が最も一般的である。しかし、この方法では調整ネジの押し込み量により調整高さが決まるため、精度コントロールが困難で、また、ヘッドベースだけでなく回転ドラムにも歪が残るという問題が生じる。更に、温度変化、振動等の外的要因により調整ネジが緩み、一旦は所定の高さに調整されていた磁気ヘッドがスペックアウトするという問題も発生している。このため調整ネジの緩み防止材として接着剤を併用することが多いが、今後の更なる高精度化の要求を満たすには、ネジと接着剤の組み合わせでは限界に来ているのが現状である。 【0004】 これらの問題を解決する手段として、レーザーを使用して磁気ヘッドの高さ調整を行うという方法が実用化されている(通称レーザーペアリング)。この方法では、調整ネジでヘッドベースを弾性変形させる代わりに、レーザーを照射することによりヘッドベースを塑性変形させている。このため、従来のように調整ネジに高さ精度や信頼性を左右されることが無く、回転ドラムにも歪が生じないという利点がある。ヘッドベースの一部にレーザーを照射すると、一旦溶融した後、凝固する時にヘッドベースが曲がり、その量は照射高さや溶融量により変わる。この曲がり量をコントロールすることにより、磁気ヘッドの高さ調整を行うことが出来る。具体的な方法としては、照射エネルギー、照射時間、照射高さ等を変化させ、この時の曲がり量を事前に調査しておけば、基本的にはこの内一つを変化させることにより、調整を行うことが出来る(例えば特許文献1参照。)。 【0005】 ヘッドベースの材質としては、従来のネジによる調整の時代から真鍮が最も一般的であったため、レーザーによる調整でも引き続き真鍮が使われているのが現状である。しかしながら、レーザーを照射して溶融した時、真鍮の場合には照射エネルギーが増加するに従い、黒粉が発生しやすくなるという問題がある(図7〜8参照)。近年の小型化により、ヘッドベース上のレーザー照射高さとヘッドチップの距離が縮まると、必要量を曲げるためには、照射エネルギーを上げざるを得なくなる(図6参照)。これに伴い黒粉の発生量は増加の一途を辿り、その悪影響は無視できなくなってきている。レーザーによる調整では実際には数回の照射が必要になるが、途中で黒粉が発生すると、その影響でその後のヘッドベースの曲がり量が予測と変わってしまい、調整精度が大きく悪化してしまう。また、構造上黒粉を取り除くことが困難であるため、その多くが残存する事になるが、ドラムを回転させた時にそれが周囲に飛散することは更に大きな問題になっている。年々、回転磁気ヘッドの回転数が増加し、トラックピッチが狭くなっている今日では、黒粉は致命的な欠陥と言える。 【特許文献1】特開平10−188246号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 レーザーによる磁気ヘッドの高さ調整においては、ヘッドベースの材質には真鍮が使われている場合がほとんどである。これは、従来のヘッドの高さ調整がネジにより行われており、この場合には加工性、信頼性等を総合的に考慮すると真鍮が最適であったという経験に基づいている。これまでは特に問題が発生していなかったため、レーザーによる調整に対しても真鍮が最適な材料かという検討はほとんど行われていない。 【0007】 レーザーを使用してヘッドの高さ調整を行う場合、ヘッドベースにレーザーを照射して、ベースを塑性変形させるには、ベース材の一部を溶解する必要がある。ベースの一部にレーザーを短時間照射すると、その部分のみが一旦溶解した後にすぐに凝固するが、この時の収縮によりその周囲が引っ張られてベースに反りが生じる現象を利用しているためである。 【0008】 一般的にレーザーを照射して金属を溶融させた場合、その状態は材質により大きく異なる。例えばSUSではレーザーの吸収が良く、一点に照射した場合、真円に近い綺麗な照射痕が残る。逆に真鍮はレーザーの吸収が悪く、溶融した時に黒粉が発生して周囲に飛び散り、歪な照射痕になりやすい。 【0009】 従来通りの真鍮材のヘッドベースを使用した磁気ヘッドの高さ調整をレーザーで行った場合、実際には数回の照射で調整を行うため、高エネルギーになると途中で黒粉が発生し、その影響でその後のヘッドベースの曲がり量が予測と異なるイレギュラーな挙動を示し、調整精度が大きく狂ってしまうという問題が発生した。黒粉の発生量が多い場合には、予測よりも大きくベースが曲がり、戻す事が困難なため不良になる事すらある。この黒粉を分析したところ、真鍮に含まれる亜鉛及びその酸化物であった。これは銅の融点が1083℃であるのに対し、亜鉛の融点は420℃と低いため、亜鉛が優先的に溶解しやすいことが影響している。更に沸点も銅の2582℃に対し、亜鉛は907℃と圧倒的に低く、真鍮にレーザーを照射して溶解した時には、実際には亜鉛の一部は気化して飛散していることが、黒粉発生の主要因と見られている。 【0010】 また、調整精度以外にも、付着した黒粉がドラムを回転させた時に周囲に飛散する事は更に大きな問題になる。飛散した黒粉がヘッドチップやテープに付着すると、正常な再生、記録を妨げる要因になる。しかし、一度発生した黒粉を完全に取り除くことはドラムの構造上困難である。黒粉発生を抑制するために不活性ガス中でレーザーを照射する方法も考えられるが、実際には設備上の困難さが伴うと共に費用の割に大きな改善効果は期待できない。 【0011】 更に、黒粉は事磁気ヘッド装置の小型化、多チャンネル化を阻害する要因でもある。小型化、多チャンネル化を目指すに従い、設計上の制限が増すため、ヘッドベース上のレーザーの照射高さとヘッドチップの間隔が狭まって、同一エネルギーでの曲がり量は減少し、同じ曲がり量を維持するためにはレーザーのエネルギーを上げる必要性が生じる。しかしながら、エネルギーの増加に伴い、黒粉の発生量も増加してしまうため、磁気ヘッド装置の小型化を断念せざるを得ない場合もある。 【0012】 一方、レーザーによる磁気ヘッドの高さ調整において、レーザーを照射した時の変形量も材質により大きく異なるが、同一形状の板に、同一エネルギーのレーザーを同一条件で照射した場合、SUSの方が真鍮に比べてレーザーの吸収率が高いため大きく曲がる。即ち、同一の量を変形させるには真鍮よりもSUSの方が低エネルギーで済む。従って、単純にレーザーを照射してベースを曲げる場合には、その材質としては真鍮よりもSUSの方が適している。実際にSUS材のヘッドベースを使用した磁気ヘッドをレーザーで調整した場合、真鍮に比べて同一エネルギーでの変形量が大きいため、同一量を調整するのに必要とする照射エネルギーを下げることができた。また、黒粉の発生が無いため、調整精度も改善できた。しかしながら、温度変化等に対する信頼性を比較したところ、真鍮に比べて劣っているという結果が得られた(要因としては熱膨張係数の違い等が考えられる)。従って、総合的に判断するとSUSはレーザーによる磁気ヘッドの高さ調整に最適なベース材料とは言えない。 【0013】 このように真鍮ベースは信頼性に優れているが照射エネルギーの増加に伴い黒粉が発生するという欠点があり、一方SUSは黒粉が発生しないが信頼性が劣るため、両方の利点を兼ね備えた材料があればレーザーによる磁気ヘッドの調整の改善が可能になる。現状では例えば2J以下の低エネルギーで使用する場合には真鍮ベースでも問題視されないこともあるが、近年の小型化でレーザー照射高さとヘッドチップが近付いて照射エネルギーが増加し、一方で狭トラック化が加速している今日では、真鍮に代わるベース材質に対する要望は高まっている。 【0014】 本発明はかかる点に鑑みてなせれたものであり、ヘッドの高さ調整時に黒粉の影響による調整精度の悪化、調整不良の発生が無くなり、生産性が向上する回転磁気ヘッド高さ調整部材及びそれを備えた回転磁気ヘッド装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明の回転磁気ヘッド高さ調整部材は、磁気ヘッドを支持すると共に外部からのエネルギーが付与されることにより変形して磁気ヘッドの高さ調整を行なう磁気ヘッド高さ調整部材であって、前記磁気ヘッド高さ調整部材が白銅で形成され、磁気ヘッド高さ調整時に黒粉が発生することなくかつ低いエネルギーでヘッド高さ調整できることを特徴とする。 【0016】 また、本発明の回転磁気ヘッド装置は、磁気記録再生を行なう回転磁気ヘッド装置であって、回転軸を中心に相対的に回転可能である一対のドラム部材と、前記一対のドラム部材の一方に設けられ記録媒体に対して磁気記録を行なう磁気ヘッドと、磁気ヘッドを支持すると共に外部からのエネルギーが付与されることにより変形して磁気ヘッドの高さ調整を行なう磁気ヘッド高さ調整部材とを具備し、前記磁気ヘッド高さ調整部材が白銅で形成され、磁気ヘッド高さ調整時に黒粉が発生することなくかつ低いエネルギーでヘッド高さ調整できることを特徴とする。 【0017】 上記各発明は、記録ヘッド取付け部を有する磁気ヘッド高さ調整部材に白銅を用いているので、エネルギーを付与してヘッドの高さ調整を行なうときに黒粉が発生しない。そのため調整精度、不良率が改善される。また従来ベースに真鍮を用いたものに比し、低いエネルギーで調整できる。 【発明の効果】 【0018】 本発明は、磁気ヘッド高さ調整部材に白銅を使用しているため、従来の磁気ヘッド高さ調整部材に真鍮を使用した場合に対して、以下に記載する効果を奏する。 1)従来の真鍮の磁気ヘッド高さ調整部材を使用した場合に高エネルギーのレーザー照射で発生していた黒粉が発生しないことから、高さ調整時の黒粉の影響による調整精度の悪化、調整不良の発生がなくなり、調整精度、不良率が改善される。同時に、ドラム回転時に飛散した黒粉がヘッドチップやテープに付着してエラーになる問題も解決される。これらにより製造上の問題が改善され、生産性は向上する。 2)黒粉が発生しないため、黒粉の除去や抑制のための作業・設備等が不要となる。また、他の材料に比べて白銅は真鍮からの変更が容易なため、新たな投資も削減でき、更に、真鍮に対し白銅では照射エネルギーも下げられるため、コスト削減、省エネ、環境負荷抑制にも繋がる。 3)白銅の磁気ヘッド高さ調整部材は従来の真鍮のヘッドベースと同様の信頼性を維持しながら、上記1)、2)のような改善が可能であることから、更なる狭トラック化、多チャンネル化、小型化等の開発促進も期待できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0019】 本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 【0020】 図1は本発明の磁気ヘッド装置の構成を示す。同図について、磁気ヘッド装置10の下ドラム11は記録媒体であるテープを案内するリード部を有し、下ドラム11の中心にベアリングを介してモータ14の回転軸12が取付けられている。上ドラム16はモータ14の回転軸12に取付けられており、下ドラム11と上ドラム16との間には信号を伝達するロータリートランス13が配置されている。 【0021】 上ドラム16にはテープなどの記録媒体に対して磁気記録を行なう磁気ヘッド15が複数個搭載されている。この磁気ヘッド15は白銅のヘッドベース(磁気ヘッド高さ調整部材)21を介して上ドラム16に固定ネジ18により固定されている。また、上ドラム16には白銅のヘッドベース21に対して磁気ヘッド高さ調整用のレーザーを照射するための穴17が複数個所設けられている。 【0022】 図2、図3に、上記白銅のヘッドベース21の構成を示す。この白銅のヘッドベース21は、本発明の磁気ヘッド高さ調整部材であり、上記固定ネジ18が挿通する穴22と、磁気ヘッド取付け部23と、磁気ヘッド取付ける際の接着剤の流れを防止する接着剤流れ止め溝24を有する。 【0023】 図3について、実施例における白銅のヘッドベース21の各部寸法は、L1=6.8mm、L2=6.25mm、L3=1.8mm、L4=4.6mm、L5=1.8mm、L6=0.3mm、L7=3.0mm、L8=0.2mm、L9=1.5mm、φ=2.1mm、R=0.5mm、t1=0.65mm、t2=0.25mm、d=0.1mm、α1=50°、α2=38.66°になっている。 【0024】 図4に磁気ヘッド高さ調整に使用するレーザーペアリングシステムの構成を示す。同図について、CCD101は上ドラム16に取付けられたの磁気ヘッド15の高さ位置を測定するため上ドラム16に取付けられた磁気ヘッド15の正面を撮影する。パソコン102はレーザー装置103の制御装置であり、CCD101からの画像データと設定値から磁気ヘッド15の調整高さを求め、レーザー装置103の出力が磁気ヘッド15の高さ調整に必要な照射エネルギーとなるようにレーザー装置103を制御する。レンズユニット104はレーザー装置103からのレーザーを上ドラム16の穴17(図1)を通して白銅のヘッドベース21の穴22と接着剤流れ止め溝24との中間部分に照射させる。 【0025】 このレーザーの照射で白銅のヘッドベース21のレーザー照射部位が溶解し凝固するとき白銅のヘッドベース21の先端部側が上方に曲がりヘッドベース21の先端部に設けられている磁気ヘッド15の高さが調整される。この調整された高さが不足している場合は再度高さ調整をする。 【0026】 上記従来の真鍮のヘッドベースにおけるレーザー照射による溶解時の黒粉発生の問題を解決するため、ヘッドベースを各種の材質で大きさ形状を本発明の白銅のヘッドベース21と同一に作成し、各種の材質のヘッドベースに同一条件でレーザーを照射して、黒粉の発生量、調整精度、更に温度変化、振動、衝撃等に対する信頼性の確認を行った結果、レーザーによる磁気ヘッドの高さ調整には白銅(中でもC7150)が最も適しているという結論が得られた。 【0027】 同一条件で磁気ヘッドのヘッドベースにレーザーを照射した場合、本発明の白銅のヘッドベース21では真鍮のヘッドベースの場合に比べ、黒粉の発生量が減少した。これは真鍮で発生する黒粉の成分が真鍮内部に含まれる亜鉛や真鍮表面の亜鉛酸化物であるのに対し、白銅では亜鉛の含有量がほとんど無いことに起因する。真鍮が銅と亜鉛が主成分であるのに対し、白銅は銅とニッケルが主成分である。亜鉛の融点は420℃で銅の融点の1083℃より低いが、ニッケルの融点は1453℃で銅より高く、白銅の融点も真鍮より高い。磁気ヘッドのヘッドベースに使用されている真鍮として一般的なC2680の融点は固相905℃、液相930℃である。 【0028】 これに対し本発明で磁気ヘッドのレーザーによる調整に最適な材料とした白銅C7150の融点は固相1170℃、液相1240℃である。更に沸点は、ニッケルの2910℃、銅の2582℃に対し、亜鉛では907℃と非常に低く、レーザー照射時に気化しやすい。このようにニッケルに対し亜鉛の融点、沸点が共に低いことが、同じ銅合金でも白銅に対し真鍮では黒粉が非常に飛散しやすい要因と考えられる。 【0029】 一方、レーザーを照射して磁気ヘッドの調整を行う場合、単純に考えるとヘッドベースの材質の融点が低い方が溶融量も多く、曲がり易いと誤解しがちである。しかし、実際に実験を行うと異なる結果が得られることがある。例えば前述のSUSは真鍮よりも融点は圧倒的に高いが、曲がり量は数倍多い。これはSUSの方が真鍮よりもレーザーの吸収率が高いためである。 【0030】 同様に、白銅にレーザーを照射した場合、真鍮より融点が高いにも拘らず、曲がり量は多かった。即ち、同一条件で同一形状のヘッドベースを同一量曲げるのに必要なエネルギーは真鍮より白銅の方が低くなる。 【0031】 図5、図6に、白銅のヘッドベース21とこれと同一に作成しされた真鍮のヘッドベースにレーザーの照射エネルギーを変えて照射した場合の、照射回数とヘッドベースの曲がり量との関係を示す。 【0032】 図5、図6について、例えば、白銅のヘッドベースと真鍮のヘッドベースの同じ照射エネルギー2.0Jの曲線を比較すると、白銅のヘッドベースの曲がり量は真鍮のヘッドベースの曲がり量の約2倍であった。また、白銅のヘッドベースの照射エネルギー2.0Jの場合の曲がり量は、真鍮のヘッドベースでは照射エネルギーを2倍にしても得られない。このように白銅のヘッドベースを用いると少ない照射エネルギーで曲げることができる。なお、真鍮のヘッドベースでは照射エネルギー2.0J以上の高エネルギー領域では凹凸が発生した。 【0033】 以上のように、白銅のヘッドベースは元々黒粉が発生し難いのに加え、更に照射エネルギーを下げることもできるため、磁気ヘッドにレーザーを照射して同一量を調整する場合、白銅のヘッドベースでは真鍮に対し黒粉の発生量が格段に減少し、問題にならないレベルを達成することが可能になった。また、黒粉が発生しないことにより、真鍮のヘッドベースで起こっていた調整中のイレギュラーな変化、調整不良が無くなり、調整精度が大幅に改善されただけでなく、回転中の黒粉飛散によるエラーの心配も無くなった。更には、真鍮のヘッドベースでは断念されていた高エネルギー照射ができるため、装置の更なる小型化、多チャンネル化も可能になる。 【0034】 尚、SUSで問題になった、温度変化、振動、衝撃等に対する信頼性に関しては、同じ銅合金ということもあり、白銅では真鍮と同レベルであった。また、金属材料としての特性もSUSよりも白銅の方が真鍮に近いので置き換えが容易であるという製造上のメリットに加え、真鍮の場合に必要とされる黒粉除去や不活性ガスによる黒粉抑制の作業、設備等、新たな投資が不要であることまで合わせれば大幅なコストダウンにもなる。 【0035】 以上のように、本発明によれば、従来の真鍮と同レベルの信頼性を維持しながら精度を改善でき、真鍮の欠点を改善しながらコスト面でのメリットもあるというレーザーによる磁気ヘッドの調整方法が可能になる。この結果、回転ヘッド装置、更にこれを使用するVTRやデータストレージ等のテープドライブにおいて、品質信頼性を維持しながら、高密度化、高性能化、小型化、新たなフォーマット開発が可能になる。 【図面の簡単な説明】 【0036】 【図1】本発明に係る記録ヘッド高さ調整部材を備えた回転磁気ヘッド装置の構成図。 【図2】本発明に係る記録ヘッド高さ調整部材であるヘッドベースの構成を示す斜視図。 【図3】(A)ヘッドベースを示す下面図、(B)同B−B断面図、(C)同裏面図 【図4】レーザーペアリングシステム(例)を示す構成図。 【図5】本発明に係る記録ヘッド高さ調整部材である白銅のヘッドベースの各照射エネルギー毎の照射回数−曲がり量の関係を示す曲線図。 【図6】従来例に係る記録ヘッド高さ調整部材である真鍮のヘッドベースの各照射エネルギー毎の照射回数−曲がり量の関係を示す特性曲線図。 【図7】従来例に係る回転磁気ヘッド装置の黒粉飛散状況を示す写真。 【図8】従来例に係る回転磁気ヘッド装置のヘッド表面への黒粉付着状態を示す写真。 【図9】従来例に係る真鍮のヘッドベースのレーザー照射後の状態を示す要部拡大写真。 【符号の説明】 【0037】 10…回転磁気ヘッド装置、 11…下ドラム、 15…磁気ヘッド、 16…上ドラム、 17…レーザー用の穴、 18…固定ネジ、 21…白銅のヘッドベース(磁気ヘッド高さ調整部材)、 22…固定ネジ挿通用の穴、 23…磁気ヘッド取付け部、 24…接着剤流れ止め溝。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社 【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
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| 【出願日】 |
平成16年4月28日(2004.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096459 【弁理士】 【氏名又は名称】橋本 剛
【識別番号】100086232 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 博通
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| 【公開番号】 |
特開2005−317075(P2005−317075A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2004−132316(P2004−132316) |
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