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【発明の名称】 フレット弦楽器,フレット弦楽器用ナット補助具及びフレット弦楽器用サドル
【発明者】 【氏名】原田 峰雄
【課題】使用する弦の太さが変わった場合でも、楽器本体に新たな加工を加えること無く、容易に再調節することが可能なナット及びナット補助具並びにサドルを提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、
前記ナットは低音弦側が巾広かつ高音弦側が巾狭に形成され、前記ナットの下にフレット弦楽器本体のナット取り付け箇所に取り付けるために取り付け部が設けられた、フレット弦楽器用ナット。
【請求項2】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有するフレット楽器に用いられ、
前記ナットと第1フレットの間のナットに近い位置に取り付けられ、低音弦側が巾広かつ高音弦側が巾狭に形成された、
フレット弦楽器用ナット補助具。
【請求項3】
複数のサドルブロックに分割され、前記各サドルブロックに線状体の一端が取り付けられ、該線状体の他端がブリッジ上面に固定されたブロック材に設けられた貫通孔を貫通している、フレット弦楽器用サドル。
【請求項4】
複数のサドルブロックに分割され、前記各サドルブロックに線状体の一端が取り付けられ、該線状体の他端が弦を固定するブリッジピンに設けられた貫通孔を貫通している、フレット弦楽器用サドル。
【請求項5】
複数のサドルブロックに分割され、前記各サドルブロックに線状体の一端が取り付けられ、該線状体の他端がブリッジ上面に固定されたブロックに設けられた貫通孔を貫通しており、さらに埋め込み型ピックアップの上面に配置されて該ピックアップと協働して用いられる、フレット弦楽器用サドル。
【請求項6】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記弦のナット側端を支持し前記弦の開放弦長を短縮するナット補助具を有し、前記ナット補助具による各々の弦の短縮長ΔNを
ΔN=L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第1フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とした、フレット弦楽器。
【請求項7】
スチール弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記スチール弦のナット側端を支持し前記スチール弦の開放弦長を短縮するナット補助具を有し、前記ナット補助具による各々のスチール弦の短縮長ΔNを
ΔN=0.9×L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態におけるスチール弦のヤング率,
A:スチール弦の断面積,
S:開放スチール弦の張力,
Δε:スチール弦を第1フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とした、フレット弦楽器。
【請求項8】
高分子材料弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記高分子材料弦のナット側端を支持し前記高分子材料弦の開放弦長を短縮するナット補助具を有し、前記ナット補助具による各々の高分子材料弦の短縮長ΔNを
ΔN=0.8×L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における高分子材料弦のヤング率,
A:高分子材料弦の断面積,
S:開放高分子材料弦の張力,
Δε:高分子材料弦を第1フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とした、フレット弦楽器。
【請求項9】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記弦のナット側端を支持し前記弦の開放弦長を短縮するフレット弦楽器用ナット補助具であり、前記ナット補助具は各々の弦の短縮長ΔNを
ΔN=L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第1フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とする、フレット弦楽器用ナット補助具。
【請求項10】
スチール弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記スチール弦のナット側端を支持し前記スチール弦の開放弦長を短縮するフレット弦楽器用ナット補助具であり、前記ナット補助具は各々のスチール弦の短縮長ΔNを
ΔN=0.9×L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態におけるスチール弦のヤング率,
A:スチール弦の断面積,
S:開放スチール弦の張力,
Δε:スチール弦を第1フレットに押しつけたときのスチール弦の伸び量/開放弦長
とする、フレット弦楽器用ナット補助具。
【請求項11】
高分子材料弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記ナットに接して配設されて前記高分子材料弦のナット側端を支持し前記高分子材料弦の開放弦長を短縮するフレット弦楽器用ナット補助具であり、前記ナット補助具は各々の高分子材料弦の短縮長ΔNを
ΔN=0.8×L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における高分子材料弦のヤング率,
A:高分子材料弦の断面積,
S:開放高分子材料弦の張力,
Δε:高分子材料弦を第1フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とする、フレット弦楽器用ナット補助具。
【請求項12】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記サドルに取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するサドルを有し、前記サドルによる各々の弦の短縮長ΔLを
ΔL=L×[{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}−1]/[2−{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第12フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とした、フレット弦楽器。
【請求項13】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有し、前記サドルに取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するピースであり、前記ピースは各々の弦の短縮長ΔLを
ΔL=L×[{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}−1]/[2−{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第12フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とする、フレット弦楽器用ピース。
【請求項14】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有するフレット弦楽器であって、
該フレット弦楽器は前記ナットに接して配設されて前記弦のナット側端を支持し前記弦の開放弦長を短縮するナット補助具と前記サドルに取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するサドルを有し、前記ナット補助具による各々の弦の短縮量ΔNが
ΔN=L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
であり、前記サドルピースによる各々の弦の短縮長ΔLが
ΔL=L×[{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}−1]/[2−{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]−L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第12フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
とした、フレット弦楽器。
【請求項15】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有するフレット弦楽器の前記サドルに取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するフレット弦楽器用サドルであって、
該フレット弦楽器用サドルは前記ナットに接して配設されて前記弦のナット側端を支持し前記弦の開放弦長を短縮するナット補助具と前記サドルに取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するサドルを有し、前記サドルによる各々の弦の短縮量ΔLが前記ナット補助具による各々の弦の短縮量ΔNが
ΔN=L×[1−1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
のときに、
ΔL=L×[{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}−1]/[2−{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]−L×[1−1/{1+1/{1+〔(A/S)×E×Δε〕/2}]
ただし、L:フレット位置を決めるための基準弦長,
E:実使用状態における弦のヤング率,
A:弦の断面積,
S:開放弦の張力,
Δε:弦を第12フレットに押しつけたときの弦の伸び量/開放弦長
である、フレット弦楽器用サドル。
【請求項16】
弦の両端を支持するナット及びサドルと前記ナットと前記サドルの間に配置された複数のフレットを有するフレット弦楽器のサドル溝に取り付けられて前記弦の開放弦長を短縮するフレット弦楽器用サドルであって、
該フレット弦楽器用サドルは前記サドル溝に嵌合する脚部と、弦を載置する頂上部を有し、
該頂上部は前記脚部の位置とオフセットされた位置に形成されている、フレット弦楽器用サドル。
【請求項17】
1体に形成されている請求項16のフレット弦楽器用サドル。
【請求項18】
複数に分割して形成されている請求項16のフレット弦楽器用サドル。
【請求項19】
さらに埋め込み型ピックアップの上面に配置されて該ピックアップと協働して用いられる、請求項17又は18のフレット弦楽器用サドル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本件出願の発明は、ギター等のフレットを有する弦楽器の音程を修正するための構造及びそのための補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
弦楽器は弦の長さを変化させることによって弦の振動数を変化させている。弦楽器には弦をはじいて振動させる撥弦楽器と弦を摩擦して振動させる擦弦楽器があるが、擦弦楽器であるバイオリン属の弦楽器を除く他の殆どの撥弦楽器と擦弦楽器とは弦を指で押さえるための指板の上に特定の間隔に埋めこまれた金属製のフレットを設け、このフレットによって振動する弦の長さを変えることによって音程を変える。このような弦楽器の代表例として、ギターやマンドリンなどがある。
【0003】
図1は、フレット弦楽器の代表例の一つの、ギターの斜視図である。もっと詳しく言えば、金属製の弦を用いたフォークギター(別名アコースティックギターとも呼ばれる)の斜視図である。
表板1、裏板2、側板3で中空状に形成された共鳴胴4と共鳴胴4に一端を固定されたネック5を有する。ネック5のもう一方の端には、弦6に張力をもたせ弦を巻き上げるギヤチューナ7が複数個取り付けられている。ギターの場合、共鳴胴4を形成する表板1に弦のもう一方の端を固定するためのブリッジ8が取り付けされており、弦6の一端は、ブリッジ8に開けられた穴9に固定されている。
【0004】
ネック5には金属製のフレット10が特定の間隔で埋めこまれた指板11が取り付けられている。指板11の一方の端には、複数の弦6を所定の間隔に揃え、かつ、フレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するための溝12が設けられたナット13が固定されている。ブリッジ8には、弦6のもう一方の終端近くで、弦6をフレット10の上面より僅かに浮かせて支持するためのサドル14が固定されている。
【0005】
図2にフォークギターにおける弦のネックとサドルとの関係を示す。
ギターには6本の弦が使用されており、高音の弦から順番に、第1弦6,第2弦6,第3弦6,第4弦6,第5弦6,第6弦6と呼ばれている。通常のフォークギターでは、第1弦6には太さが0.30mm(0.012”)の、第2弦6には太さが0.41mm(0.016”)のピアノ線が各々使用され、第3弦6には0.64mm(0.025”)の、第4弦6には0.81mm(0.032”)の、第5弦6には1.07mm(0.042”)の、第6弦6には1.37mm(0.054”)の、巻線が各々使用される。なお、第3弦6,第4弦6,第5弦6及び第6弦6にはピアノ線に青銅(ブロンズ)を巻いたブロンズ巻線が各々使用される。
【0006】
弦の途中を押さえ、振動する弦長を短くすることによって、所定の音階を得る。ナット13とサドル14で支持された弦は開放弦と呼ばれ、その弦によって得られる最低音となる。ギターのようなフレット楽器では、フレット10はナット13側から、音の高さが半音ずつ高くなる位置に複数本、通常は20本、配置されている。
各々のフレットは、ナット13に近い方から順番に、第1フレット10,第2フレット10,第3フレット10・・・と呼ばれ、開放弦より1オクターブ高い音のための第12フレット1012は、ナット13とサドル14の中間の位置に置かれている。
【0007】
複数個あるフレット10の間を、指などで弦6を指板11に押し付けることによって、弦6がフレット10に押し付けられ、弦6の振動する部分の長さが、押し付けられたフレット10からサドル14までの長さに変わることによって弦6の振動数が変わる。
【0008】
ここで、フレット弦楽器の弦の音の高さ(弦の固有振動数)について要約しておく。
弦の固有振動数fは、弦長(l)に反比例し、張力(S)の平方根に比例し、弦の単位長重量(γ)の平方根に反比例し、次の式で表現される。
f=(1/2l)・(S・g/γ)1/2
ここで、l:弦長,S:張力,γ:弦単位長重量,g:重力加速度である。
すなわち、弦の張力(S)が大きくなるとその平方根に比例して音は高くなり、単位長重量(γ)の平方根が大きい太い弦の音は低くなり、弦長(l)が変わると、その長さに反比例して音の高さが変わる。
【0009】
平均率音階の場合、各半音の間の振動数の比は2の12乗根(≒1.05946又はその逆数0.94388)である。したがって、第1フレット10は、ナット−サドル間長Lの0.94388の位置に設置される。同様に、第2フレット10の設置位置は、第1フレット10の設置位置よりさらに0.94388だけ弦の長さが短くなる位置に設置される。この計算を繰り返して、第12番目の第12フレット10の設置位置は、開放弦の長さの(0.94388)1/2=0.5の位置、すなわち、開放弦の長さの半分の位置に置かれる。
【0010】
表1に、最も高い音の弦である第1弦6と、最も低い音の弦である第6弦6について発音される音の振動数と音名を示す。
【0011】
【表1】


【0012】
剛性が大きい金属製の弦の場合、振動する弦の長さが短い場合には弦の固定端部は振動し難いため、弦長が短くなった状態で振動し音程が高くなる。
例えば、第12フレット1012は開放弦の長さの0.5の位置であり、逆にいえば、サドル14はナット13と第12フレット1012の距離の2倍の位置にあれば良いのだが、そこにサドル14を置くと第11フレット1011と第12フレット1012の間の弦を押さえた場合に、得られる音は目的とする音よりも高くなる。
【0013】
前に述べたように、フォークギターでは第1弦には0.30mmの、第2弦には0.41mmのピアノ線が、第3弦には0.64mmの、第4弦には0.81mmの、第5弦には1.07mmの、第6弦には1.37mmの、ブロンズ巻ピアノ線が各々使用され、これらの弦は各々異なる剛性を有している。そのため、ナットで規定された開放弦によって得られる音と、第12フレットによって規定される1オクターブ上の音との関係は弦毎に異なり、弦が太い場合は弦の固定端部は振動し難いため、弦長が短くなった状態で振動し、音程の上昇の程度が大きい。
【0014】
そのため、フォークギターの場合、図2に示すように、高音側の細い第1弦6から低音側の太い第6弦6にかけて、サドル14の位置をナット13から遠ざけ、サドル14がナット13と並行ではなく若干斜めに配置される。
具体例を挙げると、フレット10の位置を数学的に割り出す時に用いた弦長が648mmのフォークギターの場合、中心線上の弦長が約2.8mm、サドルの両端が5.6mm程度長くなる位置にサドル14が設置されている。
【0015】
図3により、指板,ナット,フレット及び弦の関係を説明する。
この図はネック5を横から見た図であり、ネック5にはナット13及びフレット10,10,10・・・が所定の位置に配置され、ナット13に形成された溝12と図示しないサドルとの間に弦6が張設されている。
なお、ナット13は開放弦の音程を決めるため、しばしばゼロフレットと呼ばれることがある。
【0016】
弦を押さえるのに要する間隔が小さい方が演奏は楽であるため、弦とフレットの間隔は可能な限り小さくしてある。
弦の固定端であるナット13付近における弦の振れ巾は小さいが、固定端であるナット及びサドル14から遠い弦の中央部付近における弦の振れ巾は大きい。そのため、ナット13から近い第1フレット10と弦6との間隔は小さくされ、ナット13から遠い第12フレット1012と弦6との間隔は大きくされている。
太い弦は細い弦よりもフレットに当たってビビリ音を発生し易いため、第6弦6とフレット10との間隔は第1弦6よりも大きくされ、そのために第6弦側のサドルは第1弦側のサドルよりも高く形成されている。
この関係を表2に示す。
【0017】
【表2】


【0018】
図4により、ギター演奏時の弦の状態を示す。
(a)に示したように、第4フレット10と第5フレット10の間で指22で弦6を指板11に押し付けると、弦6は僅かに伸ばされた状態になる。そのため、弦の張力が若干増加する。弦の発する音の高さ(周波数)は、弦の張力の平方根に比例する。したがって、この図のような場合、第5フレット10によって得られるべき開放弦から4度上の音のより僅かに高い音が得られる。
【0019】
このような僅かな音程の狂いは、1オクターブを12の半音に等間隔で分割する平均律音階を前提としたギターなどのフレット弦楽器では、聴感に影響しないとして無視されている。
【0020】
通常、フレット10は、上で説明したように、算出された位置に弦6の振動の固定端の一方であるナット13に平行に設置されている。
図2に示したように金属製の弦を用いたフォークギターにおいては、弦6の振動の固定端のもう一方を形成しているサドル14は、フレット10に対して若干斜めに配置されている。
【0021】
上述のように、第12番目の第12フレット1012の設置される位置は、開放弦の長さの1/2の位置に置かれるので、サドル14が置かれる位置は、ナット13から第12フレット1012までの距離の2倍の位置で良いことになるが、サドル14をそこに置くと、上述の現象のために、フレット10を押さえて演奏した場合、希望する音よりも高い音が得られる。
【0022】
そのため、高音側の第1弦6から第6弦6にかけて弦の太さが徐々に太くなるため、太い弦になるに従ってサドル14の位置をナット13から遠ざけ、弦長が長くなるように設置することが必要となり、その結果サドルは若干斜めに配置される。
【0023】
例えば、フレット10の位置を計算で得る時に用いた弦長である基準スケール長が648mmのフォークギターの場合、中心線上で弦長が約2.8mm程度長くなる位置にサドル14が設置されている。
【0024】
ところで、(b)に示したように、開放弦によって得られる音よりも半音高い音を得るためにナット13と第1フレット10の間で弦6を押さえた場合には、弦の張力Sの増加は大きい。そのため、第1フレットで得られる音は本来得られるべき音よりも聴感上無視することができない高さになる。この弦の張力の増加は、剛性の大きい太い弦の場合にはより大きい。
【0025】
このように、ナット13と第1フレット10の間で指22により弦6を指板11に強く押し付けると、弦6は大きく伸ばされて、弦の張力が大きく増加する。そのために、第1フレット10の位置により計算により求められた音の高さより大幅に高い音程となってしまう。
【0026】
この現象は、例えばブロンズ巻線の一番太い0.054”(1.37mm)の第6弦6の場合では、期待する正しい音程に対して30ないし40セント(1セントは、平均律の半音を100等分した音程)高い音程となってしまう。
【0027】
例えば、ガット弦を使用しているクラシックギターの場合でも、ナットから第1フレットまでの距離は計算された値より、1.1〜1.7%短く補正されている。
現在の金属弦を使用するフォークギターやエレキギターにおいては、弦の張力が大きいため、補正の必要性は大きい。
【0028】
特表2002−508087号公報(特許文献3)(米国特許第5,955,689号明細書参照),米国特許5,404,783号明細書(特許文献5)及び米国特許5,814,745号明細書(特許文献6)にナットと第1のフレットとの距離を標準値よりも1%から10%短い範囲にすることが示されている。
さらに、特表2002−508087号公報(特許文献3)(米国特許5,955,689号明細書参照)には具体的に、ナイロン弦の場合に3.3%、スチール弦の場合に1.4%、エレキギターやエレキベースの場合に2.1%短縮することが示されている。
【0029】
また、既に述べたように通常のフォークギターでは第1弦6と第2弦6には、ピアノ線が使用され、第3弦6,第4弦6,第5弦6,第6弦6にはピアノ線に青銅(ブロンズ)が巻かれたブロンズ巻線が使用されいる。
なお、エレキギターやエレキベースなども含めて、金属弦としては、様々な太さ(ゲージと称される)の弦が用いられている。
【0030】
弦の材質・構造や、太さが異なる場合、各フレットで適正な音程を確保するには、サドル位置の補正、及び、弦のもう一方の端であるナット位置の補正は、それぞれの弦によってその最適量が変わる。
【0031】
このような場合に於いて、一例として、ナット位置を弦毎に補正することが米国特許第6,156,962号明細書(特許文献2)及び米国特許第6,433,264号明細書(特許文献1)に示されている。
この現象を極力小さな値とするために、ナットの位置を第1フレットに近づけて配置するか、あるいは、ナットからの位置を第1フレットまでの距離を弦に対応して、段階的に設定したナットを用いることが行われている。
【0032】
米国特許第6,433,264号明細書(特許文献1)には図5に示した形状のナット15が例示されている。ナット溝16に固着されたナット15は各弦を支持する位置が弦毎に変化しており、最も低い音の第6弦6の支持位置17が第1フレット10から最も離れた位置になるようにナット15の支持溝12が形成され、最も高い音の第1弦6の支持位置17が第1フレット10から最も近い位置になるようにナット15の支持溝12が形成されている。
【0033】
このような形状により第6弦6におけるナット支持位置17と第1フレット10との間隔が第1弦6におけるナット支持位置17と第1フレット10との間隔よりも小さくなっている。
しかしながら、このナット15は構造が複雑であるため加工に手間を有する。
【0034】
米国特許第6,156,962号明細書(特許文献2)に図6に示す形状のナットが示されている。ナット溝19に固着されたナット18は第6弦6側が巾広に、第1弦6側が巾狭に、すなわちくさび形に形成され、上面に弦を支持する支持溝12が形成されている。
【0035】
このような形状により第6弦6におけるナット18と第1フレット10との間隔が第1弦6におけるナット18と第1フレット10との間隔よりも小さくなっている。
しかしながら、このナット18の取り付け面は長方形ではないため、長方形状を有する通常のナットに代えてこのナット18を取り付けることができない。
また、使用する弦の太さが変わったことにより補正量が異なった場合に他の形状のナットに取り替えることができない。
【0036】
図7にブリッジ8と従来例のサドル14を示すが、ブリッジ8に斜めに配設して設けられたサドル溝71に、サドル14が差し込まれている。この様なサドル14の場合、サドル14の両端部の第1弦6や第6弦6は所望の弦長に正確に合わせる事が出来るが、その他の弦については近似値にならざるを得ない。
通常は、第12番目の第12フレット1012を押さえて演奏したときの音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置にサドル14を設置している。
【0037】
図8に示す従来例のサドル20は、その上面の弦の載る位置がサドル20の側面を斜めに削ることによって形成され、第12番目の第12フレット1012を押さえて演奏したときの音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に調節サドル上面20,20,20,20,20,20が形成され、ブリッジ8に斜めに設けられたサドル溝21に差し込まれている。
この例の場合、使用する弦の太さを変更したときには、サドル上面の位置が弦の特性に適合する最適な位置となるようにサドル20を別のものに交換する必要がある。
【0038】
図2に示すサドル14は全体が1体に構成されているが、この他に米国特許5,955,689号明細書(特表2002−508087号公報)には、第1弦と第2弦用のサドルと、第3弦〜第6弦用のサドルを別体の2個のサドルとしたもの、第1弦用と第2弦用,第3弦用と第4弦用,第5弦用と第6弦用のサドルと3個のサドルとしたもの、及び各弦毎に別体の計6個のサドルを用いるものが示されている。
【0039】
また、サドル位置の調節・固定手段も、格別な手段を用いないもの、調節ネジ機構によって調節・固定するもの、調節ネジをさらにネジで固定するものが示されている。
【0040】
図9にフォークギターにおける分割されたサドルの例を示す。ブリッジ8の平坦部26に、底面が平坦で稜線状の突起を有するサドルブロック27を配置する。サドルブロック27の長さは、隣接する2本の弦6が載る長さを有する。従って、6弦のフォークギターの場合は、サドルブロック27は3個配置する。
【0041】
通常のフォークギターは、弦を弾いた時に共鳴胴4から発せられる音により演奏を行うが、音響拡声装置(アンプ)に電気的に接続して、大きな音量で演奏するエレクトリックギターも多く使用されている。この場合は、図10に示すように、弦の振動を電気信号として取り出すピエゾピックアップ90などの圧電素子がサドル部に組み込まれる。
【0042】
(a)に示すように、ブリッジ8に斜めに彫られたサドル溝71の中に、ピエゾピックアップ90が設置され、その上にサドル14が載置される。このように設置されたピエゾピックアップ90は、通常、アンダーサドルピックアップと呼ばれている。
【0043】
アンダーサドルピックアップの取り付け状態の断面図を(b)に示す。ギターの表板1に接着などで取り付けられたブリッジ8に設けられたサドル溝71の底にピエゾピックアップ90が設置かれ、その上にサドル14が載置される。弦6はブリッジ8に開けられた穴9の中で一方の端が固定され、サドル14の上に載って張られている。弦が振動すると、その振動がサドル14を伝播しピエゾピックアップ90に伝わり、電気信号を発する。電気信号はリード線91を介して音響拡声装置(アンプ)に伝えられる。
【0044】
【特許文献1】米国特許6,433,264号明細書
【特許文献2】米国特許6,156,962号明細書
【特許文献3】特表2002−508087号公報
【特許文献4】米国特許5,955,689号明細書
【特許文献5】米国特許5,404,783号明細書
【特許文献6】米国特許5,814,745号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
本出願においては、使用する弦を変更した場合でも、ギター本体に新たな加工を加えること無く、正しい音高が得られるように、容易に再調節することが可能なナット、ナット補助具及びサドルピースを提供する。
【0046】
本件出願にかかるナットあるいはナット補助具は、ナットあるいはナット補助具と第1フレットとの間隔を最適化することにより第1フレットを押さえることによって得られる音高が開放弦によって発音される音高の正確に半音上になるようにする。
【0047】
本件出願にかかるサドルピースと第12フレットとの間隔を最適化することにより、第12フレットを押さえることによって得られる音高が開放弦によって発音される音高の正確に1オクターブ上になるようにする。
【0048】
さらに、本件出願にかかるナットあるいはナット補助具を用いた場合のサドルピースサドルピースと第12フレットとの間隔を最適化することにより、第12フレットを押さえることによって得られる音高が開放弦によって発音される音高の正確に1オクターブ上になるようにする。
【0049】
このように構成することにより、使用する弦及び開放弦とフレットの高低差の影響による音高上昇が著しい第1フレット及び第12フレットの音高上昇を緩和する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を説明する。
初めに示す実施例は、一体型のナット及びナット補助具についてのものである。
図11に示すナット21及びナット24は図6に示した従来のナットの改良型である。
このナット21は図6のナット18の下部に指板11あるいはネック5のナット取り付け箇所25に取り付けるために従来のナットの取り付け部と同じ形状の取り付け部23が設けられており、ナット21の上面は第6弦6側が巾広に、第1弦6側が巾狭に、すなわちくさび形に形成され、上面に弦を支持する支持溝12が形成されている。
また、その具体的形状は(a)に示すように、単に取り付け部23を設けたナット21と、(b)に示すように、さらに延長部26を設けたナット24がある。
さらに、ナット21とナット24の上面の巾を細く一定に形成してもよい。
【0051】
(c)に示したのは(b)に示したナット24をギターに装着した形態である。
指板11の端部27に従来のナットに代えてナット24が接着により装着されている。
この実施例に示すナット21及びナット24はその取り付け部23が従来のナットの取り付け部と同じ形状であるため、従来のナットと容易に交換することができる。
【0052】
(a)に示したナット21は形状が簡素であり、(b)に示したナット24はギターに取り付けた時に安定性があるという特長がある。
このナット21は従来のナットと交換することが容易であり、形状も単純であるから作成することが容易である。
【0053】
このような形状により第6弦6におけるナット18と第1フレット10との間隔が第1弦6におけるナット18と第1フレット10との間隔よりも小さくなっている。
【0054】
図12に取り付け位置を調節するようにしたナットを示す。
このナット36は従来のナットとほぼ同様な構造であるが、ネジ止め用の長孔37を第1弦6側と第6弦6側の両端に有しており、この長孔をネジ38で止める位置によりナット36を第1フレット10に対して最適な角度で斜めに装着する。
【0055】
図13及び図14により、従来のナットに代えて使用するナットを説明する。
図13に示すナット61は、弦毎に別体で構成されたシングルストリングナットとされている。シングルストリングナット61には長孔62が形成されており、止めネジ63によってネック5のナット取り付け部64に固着される。
【0056】
図14に示すナットは、2本の弦が載置されるデュアルストリングナット65であり、基部に形成された長孔66を止めネジ67によってネック5のナット取り付け部64に固着される。
図13と図14に示されたシングルナット及びデュアルストリングナットナット形状は相互に変更可能であることは、いうまでもない。
【0057】
図15により、一体型のナット補助具を説明する。
(a)に示すナット補助具31は図6に示したナットの背を低くすることにより指板の上で使用できるようにしたものである。
(b)に示すナット補助具32は上面33の巾が細く一定になっている。
このナット補助具32は、角柱の両面を斜めに削り落とすことに形成できる。
通常のフォークギターの指板は、弦を押さえやすくするために僅かな曲率が付けられているので、上面33にその曲率に合うカーブを付けても良い。
【0058】
ナット補助具31をギターに装着した形態を(a)に示す。
指板11に装着されたナット13に隣接して、ナット補助具31が装着されている。
このナット補助具31はナットを交換することなく単に載置するだけでよいので、条件が変わった場合でも対応が容易である。
【0059】
図16にナット補助具の別の例を示す。
(a)に示すナット補助具34は(b)に示す円錐台35を高さが適切になるように軸方向に分割した形状を有している。
(b)に示したナット補助具34をギターに装着した形態を(a)に示す。
指板11に装着されたナット13に隣接して、ナット補助具34が装着されている。
【0060】
この形状は円錐台以外に三角錐台あるいは四角錐台等の角錐台を軸方向に分割した形状であることも可能である。
通常のフォークギターの指板は、弦を押さえやすくするために僅かな曲率が付けられているので、円錐台あるいは角錐台の形状をその曲率に合わせることもできる。
また、(c)に示すように、台形状の平板であるナット補助具39の指板と平行な弦支持面に弦支持用の支持溝12が形成され、さらに支持位置調節用の凹部40が形成される。
このナット補助具34は製造が簡単であるだけでなく、同時に複数個を製造することができる。
【0061】
図17に示したように、3本のナット補助具41,41,41を自在に曲げることの可能な軟鋼線等の金属線44で連結してもよい。このようにすることによって、弦を外して交換する場合においても、一度設定されたナット補助具41,41,41の位置関係はそのまま維持できるため、再調節が不要でる。また、3本のナット補助具41,41,41は使用する弦の太さが変わって、その位置の再調節が必要になる場合においても、軟鋼線44を曲げて容易に再調節することが可能である。
【0062】
図18にギターに分割されたナット補助具の例を示す。
この例では(a)及び(b)に示すように、ナット13の近くの所定の位置に3本の金属製のナット補助具41,41,41が配置されている。従来のナット13は指板11の一方の端には複数の弦6を所定の間隔に揃え、フレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するための溝12が設けられていたが、この例の場合溝12は複数の弦6を所定の間隔に揃える機能のみを有しており、弦6を浮かせて支持するための機能は有しておらず、弦をフレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持する機能はナット補助具41,41,41が有している。
【0063】
ナット補助具41,41,41の長さは、隣接する2本の弦6が載る長さである。したがって、6弦のフォークギターの場合には、3本のナット補助具41,41,41が使用される。
ナット補助具41,41,41の直径は、弦6をフレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するため、フレット10の高さより僅かに大きな寸法である。
【0064】
通常のフォークギターの場合、弦6とフレット10の間隔は、第1弦6側が小さく、第6弦6側を大きくすることが一般的に行われている。
したがって、ナット補助具41の直径は全てが同じではなく、使用する弦によって最適な値に設定する。
ナット補助具41,41,41は円柱形状以外に、一方の端がやや太くなる円錐形状でも良い。
【0065】
弦6をフレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するため、ナット補助具41,41,41は指板11の上で安定して支持されるように(c)に示す平坦部42を持った半丸棒43とする。
【0066】
図19により、図18の例における調律方法を説明する。この図は、ナット13とナット補助具41,41,41に弦6を張った状態の断面図を示している。従来例では、前述のように、第1フレット10の設置される位置は、開放弦の長さの0.94388倍の位置に設置されていたが、本例の場合には開放弦の一方の端を支持する部品がナット13ではなく、ナット補助具41,41,41であるため、従来のナット13から第1フレット10までの距離より、ナット補助具41,41,41から第1フレット10までの距離を短い値にされている。
【0067】
指22を離し、開放弦を撥く。この時の音程が、ナット補助具41と第1フレット10の間を押さえた時の音程より正確に半音だけ低くなる位置に、ナット補助具41を移動する。
【0068】
以上の調節を、第1弦6から第6弦6について繰り返す。
第1弦6と第2弦6にはピアノ線が使用され、第2弦6の方が第1弦6より僅かに太い弦が用いられているので、ナット補助具41は僅かに傾いた状態に調節される。
【0069】
指22により弦6がナット補助具41と第1フレット10の間で押さえられることにより、第1フレット10によって規定される音程が発音される。従来例でも述べたように、弦を押さえた場合、弦の張力は僅かに増加するが、本実施例の場合は、ナット補助具41と第1フレット10の間を押さえた状態で、第1フレット10での音程が所定の音程になるように弦6の張力を調整する。これにより、第1フレット10での音は常に正しい音程が得られる。
【0070】
ナット補助具41は弦6の圧力によって指板11の上でその位置が固定されている。弦6に所定の張力がある状態では、ナット補助具41の位置がずれてしまうことは無いが、弦6の張力を緩めた場合や弦6を外した場合には、その位置がずれてしまう。その場合は、上記の一連の調整を行った後に、接着剤などによって固定しても良い。
【0071】
図20により、図9の実施例における調律方法を説明する。弦6はブリッジ8に開けられた穴9の中で一方の端が固定され、サドルブロック76の上に載り、フレット10の埋め込まれた指板11に沿って張られ、指板11の端部に配置されたナット補助具41に載り、ナット13に設けられた溝12にガイドされギヤチューナ7によって巻き上げられる。
【0072】
サドルブロック76は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる構造である。第1弦6と第2弦6の載ったサドルブロック76は、それぞれの弦の第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に設置する。他のサドルブロック76,76も同様の調節を行って配置する。
【0073】
この様な、分割されたサドルブロック76を用いることによって、使用する弦の太さが変わった場合でも、その位置を再調節することによって、部品を交換すること無く容易に最適な調律が可能となる。
【0074】
サドルブロック76は弦6の圧力によってブリッジ8の上でその位置が固定されている。弦6に所定の張力がある状態では、サドルブロック76の位置がずれてしまうことは無いが、弦6の張力を緩めた場合や弦6を外した場合には、その位置がずれてしまう。その場合は、上記の一連の調整を行った後に、接着剤などによって固定しても良い。
【0075】
軟鋼線44に代えて図21に示すように、連結部45を持つ薄板46としてもよい。
【0076】
図22に示すのは、図21で示した連結部45を持つ薄板46で連結された3本のナット補助具41の連結部45の両端にフック47を設け、フック47をナット13に嵌めこんで、固定できるようにしたものである。
【0077】
このフック47に代えて図23に示したように連結部材45の両端に埋め込み部材48を形成、この埋め込み部材48をナット13に埋め込んで接着等の手段により固着することも可能である。なお、この図に示した埋め込み部材48の前端が屈曲しているが、ナット13がプラスチック等の成形加工可能な材料でない材料、例えば動物の骨、である場合には、前端は屈曲されない。
【0078】
図24に示す例では、ナット補助具41に長孔49が形成された薄板50が固着されており、長孔49でネジ51により位置が調節されて固定される。
使用する弦の太さが変わって、その位置の再調節が必要になる場合には、長孔49を利用してネジ51によりナット補助具41の位置を再調節する。
【0079】
図25に示すナット補助具41には、長孔52が形成された固定片53が設けられた短冊片54が固着されている。ナット補助具41の位置の調節は、図24に示された場合と同様に行なわれる。
【0080】
図26に示すのは、ナット補助具41に帯状片55,56が固着され、帯状片55,56には固定部57が設けられ、固定部57には、穴が開けられている。
このように構成することによって、全ての弦を外した場合においても、一度設定されたナット補助具41の位置は、そのまま維持できるため、再調節が不要となる。
【0081】
図26に示すフォークギターの場合、弦の張力でネック5に反りが生じるため、ネック5の中に端部をネジ構造を有し、そのネジを回転させることによって曲げる事の可能なトラスロッドと称される金属棒が埋め込まれている。トラスロッドは、ナット13のすぐ近傍にそのネジ部が現れるように配置されていて、通常はロッドカバー58によってトラスロッドのネジ部が覆われている。ロッドカバー58は、止めネジ59及び60によって固定されている。
この例の帯状片55の固定部57は、ロッドカバー58を固定する止めネジ59及び60によってネック5に固定される。
【0082】
これまでに図12,図21及び図14に示したフレット弦楽器用ナット並びに図15,図16,図17,図21,図22,図23,図24,図25及び図26に示したフレット弦楽器用ナット補助具は、全ての弦が載置されるもの、2本の弦が載置されるものあるいは1本の弦が載置されるものであるが、その形態はこれらに限ることなく、載置される弦の数の組合せは任意に設定できることは言うまでもない。
【0083】
また、これまでに示した実施例は既存のナットの交換部品あるいは既存のナットに付加して用いる補助具であるが、この他にナットとしてあるいはナットに附属する補助具として当初からフレット弦楽器に取り付けるようにすることもできる。
【0084】
次に、各弦の音程をより正確に調節可能とするサドルについて、ナット及びナット補助具を使用するフォークギターを例に挙げて説明する。
図27にサドルブロックの実施例を示す。
【0085】
サドルブロック76の高さは、弦6をフレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するために十分な高さを有し、使用する弦の太さに従って最適な高さの物を使用する。サドルブロック76はプラスティック製の成型品、あるいは動物の骨を削って作っても良く、または、金属製でも良い。
【0086】
(a)に示したように、それぞれのサドルブロック76に小穴77を開け、軟鋼線等の金属線78を差し込む。これには、サドルブロック76と軟鋼線78を接着剤などで結合した物を用いても良い。
【0087】
(b)に示すように、軟鋼線78のもう一方の端は、軟鋼線78が通るスライド穴80が開けられたブリッジブロック81に貫通して保持されている。ブリッジブロック81は小ネジ82によって既設のブリッジ8に固定されている。ブリッジブロック81にはスライド穴80に対応した位置にネジ穴83が設けられており、スライド穴80に通された軟鋼線78をネジ84により締め付けてその位置を固定できる。これにより、ネジ84を締め付ければ軟鋼線78の先端に取り付けられているサドルブロック76の位置は保持される。
【0088】
図27の実施例における調律方法を説明する。
ネジ84を緩めた状態では、サドルブロック76は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる構造である。第1弦6と第2弦6の載ったサドルブロック76は、それぞれの弦の第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に、軟鋼線78を曲げて設置し、その状態でネジ84を締め付ける。他のサドルブロック76,76も同様の調節を行って配置する。
【0089】
第1弦6に比べ第2弦6は太い弦が使用されるので、それら2本の弦の載ったサドルブロック76は、若干傾いた状態に配置される。軟鋼線78を、この傾きに合わせて曲げておけば、弦を緩めたり、あるいは、外した場合に於いても、サドルブロック76の位置がずれてしまうことは無い。
【0090】
図28に別な実施例を示す。
各弦6をそれぞれ個別に載せるために、個別のサドルピース85を配置する。サドルピース85の断面形状は、(a)に示すような、底面が平坦部86を持つ楕円形状でも、あるいは、(b)のような丸形状でも良い。サドルピース85の長手方向には、小穴77が開けられている。
サドルピース85はプラスティック製の成型品、あるいは動物の骨を削って作っても良く、または、金属製でも良い。
【0091】
サドルピース85の小穴77には、先端部が直角に曲げられた軟鋼線等の金属線87が差し込まれている。軟鋼線87のもう一方の端は、軟鋼線87が通るスライド穴80が開けられたブリッジブロック81に貫通して保持されている。ブリッジブロック81は小ネジ82によって既設のブリッジ8に固定されている。ブリッジブロック81にはスライド穴80に対応した位置にネジ穴83が設けられており、スライド穴80に通された軟鋼線87をネジ84により締め付けてその位置を固定できる。これにより、ネジ84を締め付ければ軟鋼線87の先端に取り付けられているサドルピース85の位置は保持される。従って、弦を緩めたり、あるいは、外した場合に於いても、サドルピース85の位置がずれてしまうことは無い。
【0092】
図28に示した実施例における調律方法を説明する。
ネジ84を緩めた状態では、サドルピース85は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる。第1弦6の載ったサドルピース85を、第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に設置し、その状態でネジ84を締め付ける。他のサドルピースも同様の調節を行って配置、固定する。
【0093】
図27,及び図28に示したブリッジブロック81は、ブリッジ8と同じ木材で作られた物でも良く、あるいは、プラスティック製の成型品などで良い。ブリッジブロック81はこのような軽い材料で作られているため、既存のフォークギターのブリッジ8に付加的に取り付けても、フォークギターの音色を損ねることは無い。ブリッジブロック81はブリッジ8と一体に形成されたものでも良い。
【0094】
図29に、前記実施例で示したサドルブロック76やサドルピース85をアンダーサドルピックアップと共に使用する場合の実施例を示す。
(a)に示す、弦6が載るサドルピース85は、ブリッジ8に形成されたサドル溝71の中に置かれたサドルエクステンション92の上に、底面の一部が載って置かれる。サドル溝71の底にはピエゾピックアップ90が置かれ、その上にサドルエクステンション92が置かれている。サドルエクステンション92の高さは、ブリッジ8の上面から僅かに出っ張る高さの物が用いられる。サドルエクステンション92は、プラスティック製の成型品、あるいは動物の骨や木材や金属を削って作っても良い。
【0095】
(b)に、サドルピース85の形状の実施例を示す。サドルピース85の一部には、先端部が直角に曲げられた軟鋼線87の曲げ部を差し込むための小穴77が開けられたブロック部93と、弦6の載る頂上部94と弦6をガイドする斜面95を持つガイド部96が一体に形成されている。サドルピース85は、プラスティック製の成型品、あるいは動物の骨や金属を削って作っても良い。
【0096】
軟鋼線87のもう一方の端は、軟鋼線87が通るスライド穴80が開けられたブリッジブロック81に貫通して保持されている。ブリッジブロック81は小ネジ82によって既設のブリッジ8に固定されている。ブリッジブロック81にはスライド穴80に対応した位置にネジ穴83が設けられており、スライド穴80に通された軟鋼線87をネジ84により締め付けてその位置を固定できる。これにより、ネジ84を締め付ければ軟鋼線87の先端に取り付けられているサドルピース85の位置は保持される。従って、弦を緩めたり、あるいは、外した場合に於いても、サドルピース85の位置がずれてしまうことは無い。
【0097】
図30に、本実施例のサドルピース85のガイド部96の断面図を示す。
(a)に示すように、弦6はブリッジ8に開けられた穴9の中で一方の端が固定され、サドルピース85のガイド部96の上に載り、フレット10の埋め込まれた指板11に沿って張られ、指板11の端部に配置されたナット補助具41に載り、ナット13に設けられた溝12にガイドされギヤチューナ7によって巻き上げられ、弦6に所定の張力が発生する。
【0098】
サドルピース85は、ブリッジ8に彫られたサドル溝71の中に置かれたサドルエクステンション92の上に、底面の一部が載って置かれているため、弦6に所定の張力が発生すると、サドルピース85の一方の端の支点部97はブリッジ8の上面に押さえつけられる。この状態で弦6が振動すると、その力がサドルピース85のガイド部96の頂上部94に作用し、所謂「てこの原理」によって、サドルピース85とサドルエクステンション92の接触点である作用点98に弦6の振動の力が作用する。
【0099】
こうして、弦6の振動はサドルエクステンション92の接触点に伝わり、サドルエクステンション92を伝播しピエゾピックアップ90に伝わり、電気信号を発する。電気信号はリード線91を介して音響拡声装置(アンプ)に伝えられる。
【0100】
弦6の振動の力をピエゾピックアップ90に効果的に伝達するには、ブリッジ8に載るサドルピース85の一方の端の支点部97は、サドルエクステンション92の接触点である作用点98に対して、サドルピース85のガイド部96の頂上部94と反対側の端部であることが望ましい。
【0101】
弦6とサドルピース85の接触点を明確にし、より効果的に弦6の振動の力をピエゾピックアップ90に効果的に伝達するための実施例を(b)に示す。サドルピース85のガイド部96の斜面95の一部に凹み部99を設けることも有効である。このような形状のサドルピース85では、サドルピース85のガイド部96の頂上部94の振動の力を、サドルピース85の一方の端の支点部97を支点として、サドルエクステンション92の接触点である作用点98に伝達できる。
【0102】
サドルピース85のガイド部96の斜面95には、(c)に示すように、弦6が横にずれることを防止する弦溝100があっても良い。
【0103】
図30の例における調律方法を説明する。
ネジ84を緩めた状態では、サドルピース85は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる構造である。第1弦6の載ったサドルピース85を、第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に設置し、その状態でネジ84を締め付ける。他のサドルピースも同様の調節を行って配置する。
【0104】
図30(b)に示したサドルピース85の一実施例の形状は、アンダーサドルピックアップを使用しない場合に於いても使用できる。その場合は、サドルピース85の底面は、ブリッジ8の上面に直接載って設置される。
【0105】
図31に、T形サドルピース101の別な実施例を示す。
(a)に示すように、T形サドルピース101に小穴77を開け、軟鋼線等の金属線78を差し込む。これには、T形サドルピース101と軟鋼線78を接着剤などで結合した物を用いても良い。弦6の載る頂上部94と弦6をガイドする斜面95を持つガイド部96は、T形サドルピース101の両側に一体に形成されている。T形サドルピース101は、プラスティック製の成型品、あるいは動物の骨や金属を削って作っても良い。
【0106】
(b)に、本実施例のT形サドルピース101の取り付け状態を示す。一つのサドルピース85の両側のガイド部96は、それぞれ1本の弦を載せている。従って、本実施例の場合は、T形サドルピース101は3個配置する。
【0107】
(b)に示すように、軟鋼線78のもう一方の端は、軟鋼線78が通るスライド穴80が開けられたブリッジブロック81に貫通して保持されている。ブリッジブロック81は小ネジ82によって既設のブリッジ8に固定されている。ブリッジブロック81にはスライド穴80に対応した位置にネジ穴83が設けられており、スライド穴80に通された軟鋼線78をネジ84により締め付けてその位置を固定できる。これにより、ネジ84を締め付ければ軟鋼線78の先端に取り付けられているT形サドルピース101の位置は保持される。
【0108】
図31の例における調律方法を説明する。ネジ84を緩めた状態では、T形サドルピース101は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる構造である。第1弦6と第2弦6の載ったT形サドルピース101は、それぞれの弦の第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に、軟鋼線78を曲げて設置し、その状態でネジ84を締め付ける。他のT形サドルピース101,101も同様の調節を行って配置する。
【0109】
第1弦6に比べ第2弦6は太い弦が使用されるので、それら2本の弦の載ったT形サドルピース101は、若干傾いた状態に配置される。軟鋼線78を、この傾きに合わせて曲げておけば、弦を緩めたり、或いは、外した場合に於いても、T形サドルピース101の位置がずれてしまうことは無い。
【0110】
図29の実施例と同様に、本実施例のT形サドルピース101は、ブリッジ8に彫られたサドル溝71の中に置かれたサドルエクステンション92の上に、底面の一部が載って置かれているため、弦6に所定の張力が発生すると、T形サドルピース101の一方の端の支点部97はブリッジ8の上面に押さえつけられる。この状態で弦6が振動すると、その力がT形サドルピース101のガイド部96の頂上部94に作用し、いわゆる「梃子の原理」によって、T形サドルピース101とサドルエクステンション92の接触点である作用点98に弦6の振動の力が作用する。
【0111】
図29(b)に示したサドルピース85及び、図31(b)に示したT形サドルピース101の一実施例の形状は、アンダーサドルピックアップを使用しない場合に於いても使用できる。その場合は、サドルピース85の底面及び、T形サドルピース101の底面は、ブリッジ8の上面に直接載って設置される。
【0112】
サドルブロック76の高さは、弦6をフレット10の上面より僅かに弦を浮かせて支持するために十分な高さを有し、使用する弦の太さに従って最適な高さの物を使用する。サドルブロック76はプラスティック製の成型品、あるいは動物の骨を削って作っても良く、または、金属製でも良い。
【0113】
図32にサドルピース85の調整機構の別な実施例を示す。
本実施例の場合は、サドルピース85の位置を保持するために、通常のアコースティックギターの弦の一端を固定するブリッジピン102を使用する。
【0114】
(b)に、ブリッジピン102の構造を示す。
ブリッジピン102には、ブリッジ8の穴9に差し込んで弦6の一端を固定するためのテーパ部103と、頭部104を持つ。テーパ部103には、弦の通るスロット105が形成されている。弦6をスロット105に通し、テーパ部103をブリッジ8の穴9に差し込んだ状態で弦6の一端は固定される。
【0115】
頭部103は、通常は球形状に形成されていて、ブリッジピン102を引き抜く際に持つための機能を有している。ブリッジピン102はプラスチックの成型品や、動物の骨を削った物や黒檀などの木材、あるいは、金属などで作られている。
【0116】
(b)に示す実施例の場合、頭部103の側面に、軟鋼線87を通すスライド穴80が、弦6の長手方向にあけられている。頭部103の頂上部には、軟鋼線87を固定するためのネジ孔83があけられている。
【0117】
サドルピース85の上面には、先端が直角に曲げられた軟鋼線等の金属線87の先端が差し込まれる小穴77があけられている。軟鋼線87をブリッジピン102のスライド穴80に差し込んだ状態では、サドルピース85は、弦6の長手方向に移動できる。
【0118】
(a)に、サドルピース85の取り付け状態を示す。サドルピース85の小穴77には、先端部が直角に曲げられた軟鋼線87が差し込まれている。軟鋼線87のもう一方の端は、軟鋼線87が通るスライド穴80が開けられたブリッジピン102に貫通して保持されている。ブリッジピン102は、そのテーパ部103がブリッジ8にあけられた穴9に差し込こまれて固定されている。スライド穴80に通された軟鋼線87はネジ84により締め付けられて固定される。これにより、ネジ84を締め付ければ軟鋼線87の先端に取り付けられているサドルピース85の位置は保持される。弦を交換する場合は、ブリッジピン102を穴9から引き抜くが、その時にネジ84を緩めなければ軟鋼線87の位置は変わらず、サドルピース85の位置は再び元の位置に戻るため、サドルピース85の位置がずれてしまうことは無く、一旦調整した正確な位置を復元できる。
【0119】
図32の例における調律方法を説明する。ネジ84を緩めた状態では、サドルピース85は固定されていなく、弦の長手方向に移動できる構造である。第1弦6が載ったサドルピース85を、第12番目の第12フレットを押さえて演奏した時の音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に設置し、その状態でネジ84を締め付ける。他のサドルピースも同様の調節を行って配置する。
【0120】
(b)に示した、ブリッジピン102の頭部103の形状は、従来のような球形状でなく、四角形や六角形などや、弦の長手方向に伸びる長方形などでも良い。角を持つ形状にすることにより、ブリッジピン102をブリッジ8の穴9に差し込む向きが明確になる。
【0121】
(b)に示した、ブリッジピン102による軟鋼線87の固定方法は、図26(a)に示したサドルブロック76、図28(a)に示したサドルピース85、図29(a)に示したサドルピース85、図31(a)に示したT形サドルピース101など、全てに使用可能である。
【0122】
これまでに示したフレット弦楽器及びフレット弦楽器用補助具は、実際のギターに所定のパーツを取り付けた後に、それぞれのパーツの位置を調節して、弦をフレットに押さえた時の音程の狂いを最小に抑えるものであったが、その場合、図16(c)に示したナット補助具39に設ける凹部40の形状寸法の最適な設定は試行錯誤による。
【0123】
次に、試行錯誤によることなく、ナット及びナット補助具および、サドルブロックの所定形状とその寸法及び設定位置を求める方法を説明する。
【0124】
弦をフレットに押さえた時に、表1に示した弦長比から決まるフレットの位置によるはずの音程より、実際の音程が高くなってしまう現象がある。この現象は、図4に示されているように、弦が押さえられた時に弦が伸ばされることにより、弦の張力が増加することに起因する。
【0125】
弦がフレットに押さえられた時に伸ばされる量は、弦とフレットの間隔、すなわち、弦がフレットからどれ位離れた位置にあるかによって決まる。弦とフレットの間隔は弦高と呼ばれており、弦高が大きい場合、弦がフレットに押さえられた時に伸ばされる量は大きくなる。
【0126】
通常のフォークギターの場合、弦高は表2の値に設定されている。弦長648mmであり弦高が表2の値に設定されている場合に、第1弦と第6弦の第1フレットと第12フレットを押さえた時の弦の伸びを、ピタゴラスの定理により計算すると、表3のようになる。この表から明らかなように、第6弦の方が弦高が大きいので、弦の伸びの値が大きくなっている。
【0127】
【表3】


【0128】
張力をかけた状態のときの長さを、張力をかけない状態の時の長さで割った値を歪みεと呼ぶが、表3に示された弦の伸びについて計算した増加分歪みをΔεとして表4に示す。
【0129】
【表4】


【0130】
ピアノ線のような塑性変形の少ない材料に張力が作用した場合には、張力を材料の断面積で割った値である応力σは、増加した歪みεに比例する。
σ=E・ε ・・・(1)
比例係数Eは、材料の弾性係数あるいは縦弾性係数あるいはヤング率などと呼ばれている。
なお、横軸を歪み、縦軸を応力とした線図は応力−歪み線図と呼ばれる。
【0131】
弦をフレットに押さえる前の状態に於いて、開放弦は所定の音の高さになるように、所定の張力がかけられている。その張力を開放弦張力Soとし、そのSoを弦の断面積Aで割った応力を開放弦応力σoとする。
σo=So/A ・・・(2)
【0132】
弦の応力σは、開放弦応力σoに対して、ΔεについてΔσ=E・Δεだけ増加する。Δσを増加応力と呼ぶ。その状況を図33に示す。
【0133】
弦をフレットに押さえた時の弦の応力を、押弦時応力σpと呼ぶ。σp=σo+Δσであるから、(2)式により、
σp=σo+Δσ=So/A+E・Δε ・・・(3)
となる。この時、弦の張力は当初の開放弦張力SoよりΔS=E・Δε・Aだけ増加している。ΔSを増加張力と呼ぶ。
【0134】
ピアノ線のような硬鋼線に於いて、弾性係数Eの値は、通常、21,000Kg/mmである。これは、弦を所定の張力で張った場合、永久変形(永久歪み)が生じないような応力範囲で使用される場合に用いられる値であり、実際のフォークギターのスチール弦(芯線がピアノ線で出来ている弦)の場合にも、適用される。従って、弦をフレットに押さえた時の歪みの増加値であるΔεが分かれば、弦をフレットに押さえた時の押弦応力σpは計算によって求められる。
【0135】
それにより、弦をフレットに押さえた時の押弦応力σpの値に、弦の断面積A(正確には芯線部の断面積)を掛けると、弦をフレットに押さえた時の押弦時張力Spの値が得られる。
【0136】
フレットを押さえた時の弦の振動数は、表1に示したように、張力Soで張られた開放弦の振動数に対して、フレット位置から得られる振動数比(周波数比と同じ)を掛けた値となる。すなわち、第1フレットを押さえた場合は、開放弦の振動数に振動数比Rf=1.05946を掛けた振動数になり、第12フレットを押さえた場合は、開放弦の振動数に振動数比Rf=2.00000を掛けた振動数になる。
【0137】
弦をフレットに押さえた時、弦にΔεの歪みが増加し、その結果、弦の張力がΔS=E・Δε・Aだけ増加して押弦時張力Spの値に増加した場合の振動数は、弦の張力が押弦時張力Spに増加し、その弦の振動数に対して、フレット位置から得られる振動数比Rfを掛けることにより得られる。
【0138】
すなわち、開放弦の振動数をfoとした場合、foに対してフレットを押さえることによって弦の張力が押弦時張力Spに増加した時の振動数の比率をΔf、フレット位置から得られる振動数比をRfとすると、弦をフレットに押さえた時の実際の振動数fは、次のように求められる。なお、Δfを押弦上昇率と呼ぶ。
f=fo×Δf×Rf ・・・(4)
【0139】
ギターのようなフレット楽器においては、弦をフレットに押さえた時の実際の振動数は、フレット位置から得られる振動数比に従って正確に発音されることが理想である。すなわち、理想的な振動数は、
f=fo×Rf ・・・(5)
である。
【0140】
しかしながら、上記の計算式にでも明らかなように、実際に発音される音の振動数は、理想的な振動数に対してΔfだけ高いものとなってしまっている。これが、実際の音程の狂いとなる。
【0141】
押弦上昇率Δfは、前に背景技術の中で述べた弦の音の高さ(弦の固有振動数)の式から次のようにして求める。
弦長をl、開放弦の張力をSo、弦単位長重量をγ、重力加速度をgとしたときの開放弦の振動数foは、
fo=(1/2・l)・〔So・g/γ〕1/2 ・・・(6)
である。
弦の張力がΔSだけ増加した場合の振動数fは、
f=(1/2l)・〔(So+ΔS)・g/γ〕1/2
であるから、弦を押したときの上昇率Δfは、
Δf=f/fo=〔1+ΔS/So〕1/2
となる。
【0142】
ここで、ΔS=E・Δε・Aであるので、
Δf=〔1+Δε・(E・A/So)〕1/2
ここで、Ke=E・A/Soとおくと、
Δf=〔1+Ke・Δε〕1/2
となる。
σo=So/Aであるから、
E・(A/So)=E/σoである。
E・(A/So)=Ke ・・・(7)
とし、Keを弦係数と呼ぶことにする。
【0143】
Δf=Ke・Δεの値が1より十分に小さいときは、
Δf=1+Ke・Δε/2 ・・・(8)
と近似することができる。
【0144】
弦係数Keの値は、弦の開放弦張力So、断面積Aと、弦の材料から決まる弾性係数Eの値から求められる。弾性係数Eが21,000Kg/mmであるスチール弦について、断面積Aと開放弦張力Soから弦応力σoを求め、E/σoを計算して得たKeを表5に示す。
【0145】
【表5】


【0146】
弦の歪みΔεと表5で求められた第1弦と第6弦の弦係数Keとから、表4に示されている第1弦と第6弦の第1フレットと第12フレットを押さえた時の式(5)により計算した押弦上昇率Δfを表6に示す。
【0147】
【表6】


【0148】
弦をフレットに押さえた時、実際に発音され音の振動数は、(4)式のf=fo×Δf×Rfによって求められるので、第1弦と第6弦で第1フレットと第12フレットを押さえた時の実際の振動数と、理想的な振動数である(5)式のf=fo×Rfから求められた振動数を比較した結果を表7に示す。
【0149】
【表7】


【0150】
表7で求められた振動数差の数値は、一見小さな値に見えるが、実際には、第6弦の第1フレットを押さえた場合の振動数が理想的な振動数より0.62Hz高くなった場合、その値は平均律の半音を100セントとする単位に換算すると、約13セントと言う値になり、半音の13パーセントもの音の狂いが生じたことになる。
【0151】
また、第1弦の第12フレットを押さえた場合の振動数が理想的な振動数より2.11Hz高くなった場合や、第6弦の第12フレットを押さえた場合の振動数が理想的な振動数より1.96Hz高くなった場合は、同時に正しい音程の音が別に発音されていると、1秒間に約2回の唸りが発生する。
【0152】
スチール弦の場合は塑性変形がほとんどないため弾性係数Eの値を21,000Kg/mmの一定値であるとすることができる。
しかし、クラシックギターで用いられているナイロンのような高分子材料を用いた弦の場合は弾性係数Eの値が弦の張力によって変化する、いいかえれば塑性変形によって永久変形(永久歪み)が残ってしまうため、スチール弦の場合のように弾性係数Eの値を一定値として扱うことができない。
つぎに、ナイロン弦等に適用する弾性係数Eの値を求める方法を説明する。
【0153】
ナイロン弦を使用するギターは、クラシックギターと呼ばれている。クラシックギターに使用されるナイロン弦は、図34に示すように、大きく二種類の構造の弦が使用されている。
【0154】
一つは、(a)に示すナイロンモノフィラメント110で構成される弦で、一例として、クラシックギターの第1弦には0.72mmφの、第2弦には0.82mmφの、第3弦には1.01mmφのナイロンモノフィラメント110が使用される。ナイロンの密度は1.14程度であるので、ナイロンモノフィラメント110は単位重量γを確保するためにスチール弦に比べ、太い弦が使用される。
【0155】
もう一種類の弦は、(b)に示す15〜20μmφ程度の極細のナイロンフロス繊維を数百本束ねてマルチフィラメント111とし、その上に、銀メッキしたブロンズ線112を巻いて構成した巻線弦である。この構造の弦の場合、ブロンズ線112は弦の重量を確保するためのものであり、その部分には弦の張力は作用しない。全ての張力はナイロンマルチフィラメント111にかかっている。
【0156】
一例として、クラシックギターの第4弦として20μmφのナイロンフロス繊維271本からなるナイロンマルチフィラメント111に、0.135mmφのブロンズ線を巻いて構成された外径0.72mmφの巻線弦であり、第5弦として20μmφのナイロンフロス繊維267本からなるナイロンマルチフィラメント111に、0.225mmφのブロンズ線を巻いた外径0.91mmφの巻線弦であり、第6弦として20μmφのナイロンフロス繊維273本からなるナイロンマルチフィラメント111に、0.335mmのブロンズ線を巻いた外径1.10mmφの巻線弦が使用されている。
【0157】
ナイロンのような高分子材料からなる弦に外力(張力)を加えておくと、材料の変形(弦の伸び)が時間とともに増加してクリープ現象が発生することが知られている。張力を印加する前の長さを基準として、その値で伸びた量を割った値を、クリープ歪みと呼ぶ。上記例の6本のナイロン弦について、時間経過と共に変化するクリープ歪み(%)を測定した結果を表8及び図35に示す。
【0158】
【表8】


【0159】
ナイロンモノフィラメント110からなる弦は、開放弦応力σoが大きいとクリープ歪みが大きく、また、100時間程度経過しても、まだ僅かに伸び続けている。一方、ナイロンマルチフィラメント111が芯線に使われている巻線弦は、クリープ歪みの値は比較的小さく、短時間経過後にクリープ歪みの増加が止まる。
【0160】
このような特性を示すナイロン弦に於いて、弦の伸びがほぼ止まった後に、各弦を所定の開放弦の振動数に合わせ、その状態から正しく半音だけ振動数が高くなるまで弦の張力を増加させて、その時の伸びの量を測定した。
【0161】
実際には、所定の開放弦の振動数に合わせた状態で弦上に500mm間隔の2つの印を付けておき、その状態から正しく半音だけ振動数が高くなるまで弦の張力を増加させた時の、2つの印の間隔を測定した。
【0162】
弦の張力を増加した時に計測された印の間隔をLmmとすると、弦の振動数が半音高くなったときの半音歪みΔεsの値は、次のように表される。
Δεs=(Lmm−500mm)/500mm ・・・(9)
【0163】
ナイロンモノフィラメント110からなる第1弦,第2弦,第3弦は開放弦応力σoが大きいと半音歪みΔεsの値も大きく、ナイロンマルチフィラメント111が芯線に使われている巻線弦は、もともと弦応力が非常に大きいところで使用されているので、半音歪みΔεsの値は大きく、ほぼ同じ値が計測された。
【0164】
次に、この計測された半音歪みΔεsの値から、ナイロンのような高分子材料を使った弦の、弦係数Keの値を求める計算方法を説明する。
【0165】
図36にナイロン弦の応力−歪み線図を示す。弦に初めて張力を印加し弦の振動数を高め、所定の開放弦の張力にする時は、曲線OA上を辿って歪みと応力が増加する。
【0166】
開放弦の振動数が所定の振動数に達した後、前記の図36に示されたように、弦にはクリープ現象が発生し、張力を所定の値に保ったとしても、クリープ歪みは時間の経過と共に増加する。その状況は直線AB上を辿る。長時間経過後、クリープ歪みが止まった状態がB点で、実際のギターの場合は、このような状態で使用されている。
【0167】
式(6)に示したように張力Sと振動数fとの関係はS∝fの関係があり、半音の振動数比Rfは表1にあるように1.05946であるから、所定の開放弦の振動数の時の弦張力をSoと半音だけ振動数が高くなるまで弦の張力を増加した時の張力Ssとは次のような関係を有している。
Ss=So×1.05946×1.05946
【0168】
したがって、弦の振動数を半音あげるための張力増加分ΔSは次のように計算できる。
ΔS=So×(1.05946×1.05946−1) ・・・(10)
【0169】
張力増加分ΔSを弦の芯線断面積Aで割った値ΔS/Aは、半音あげるための増加応力Δσsであり、このΔσsを半音応力と呼ぶことにする。
半音歪みΔεsと半音応力Δσsの関係は、半音歪みΔεsの値が小さいので、図36でB−Cで示された直線関係であるとみなすことができるので、その比例係数を弾性係数Eとして扱うことができる。
このように見ると、半音歪みΔεsと半音応力Δσsの関係は、次のような関係となる。
Δσs=E・Δεs ・・・(11)
【0170】
Δσs=ΔS/Aであるから、式(10)及び式(9)により、
Δσs・A=ΔS=So(1.05946×1.05946−1)
となる。これにΔσs=E・Δεsを代入すると、
E・A/So=(1.05946×1.05946−1)/Δεs
となり、ここで、Ke=(A/So)×Eであるから、
Ke=(1.05946×1.05946−1)/Δεs ・・・(11)
である。
【0171】
すなわち、ナイロンのような高分子材料を使った弦の場合においても、半音歪みΔεsの値を計測することによって、弦係数Keの値を求めることができる。
【0172】
上記例の6本のナイロン弦について、開放弦張力Soと開放弦応力(σo=So/A)の計算結果、計測された半音歪みΔεsの値及び弦係数Keの値を計算した結果を表9に示す。
【0173】
【表9】


【0174】
弦係数Keの値が分かれば、スチール弦の場合と同様に、押弦上昇率Δfは、近似式(7)のΔf=1+(Ke×Δε)/2によって求めることが出来、フレットを押さえた時の弦の振動数fを式(4)のf=fo×Δf×Rfから計算によって求めることが可能となる。
【0175】
図36において、開放弦の張力のB点から張力を徐々に緩めた場合、応力と歪みは曲線BDを辿って減少する。弦の張力(応力)が完全に零になっても、弦の歪みは零に戻らず、ODの大きさの永久歪みが残ってしまう。この永久歪みは高分子材料を使ったナイロンモノフィラメントでは大きいのが普通である。
【0176】
高分子材料を使ったモノフィラメントには、ポリアミド樹脂であるナイロン(密度:約1.14)のほかに、アラミド樹脂のケブラー(登録商標)(密度:約1.38)や、カーボン繊維(密度:約1.8)や、複合材料のナイルガット(登録商標)(密度:約1.3)などが使用されている。また、クラシックギターでは高分子材料が開発される以前から、羊の腸の繊維を一本の弦に固めて加工したガット弦(密度:約1.35)など、様々な弦が使用されている。
【0177】
これ等のモノフィラメントについて、半音歪みΔεsの値を計測して、その値を用いて弦係数Keの値を求めた結果を表10に示すと共にプロットしたグラフを図37に示す。
【0178】
【表10】


【0179】
何れの材料の弦も、弦応力が大きい状態で使用されている場合、弦係数Keの値は小さくなり、従って、弦をフレットに押さえた時の音程の狂いは小さい。弦係数Keは弦の応力に反比例すると考えて良い。
また、高分子材料が開発される以前から使用されてきたガット弦の場合は、高分子材料のモノフィラメントに比べて、弦係数Keの値は小さく、弦をフレットに押さえた時の音程の狂いは、高分子材料のモノフィラメントより小さい。
【0180】
15〜20μmφ程度のナイロンフロス繊維を数百本束ねてマルチフィラメント111にし、その上に、銀メッキしたブロンズ線112を巻いて構成した巻線弦についても、半音歪みΔεsの値を計測して、その値を用いて弦係数Keの値を計算で求めた結果、ナイロンフロスの直径の差や、本数の差、さらに、ブロンズ巻線の太さの差などによって求められた弦係数Keの値に差が有るものの、Keの値は、50〜60程度の範囲にあり、弦の太さなどによる差は非常に小さい。すなわち、クラシックギターで巻線弦が用いられる第4弦,第5弦,第6弦は、弦をフレットに押さえた時の音程の狂いは小さい。
【0181】
スチール弦の場合、低張力(Light Tension)の弦2種類と、中程度張力(Medium Tension)の弦1種類の、3種類の弦の第1弦から第6弦までの半音歪みΔεsを実測し、その値から、弦係数Keの値を求めた。
求めた弦係数Keの値を表11に示すと共に、プロットしたものを図38に示す。
【0182】
【表11】


【0183】
図38中の線は、弾性係数Eの値を21,000Kg/mmの一定値として弦係数Keを求めたものであるが、実測値としてプロットされたデータは、線上にのっている。このことから、スチール弦の場合は、弾性係数Eの値を21,000Kg/mmの一定値として弦係数Keを求めることが妥当であるといえる。
【0184】
次に、これまでに説明した原理をギターに適用した実施例を説明する。 この原理によって、ナット補助具およびサドルブロックの最適形状や寸法を、使用する弦の種類と弦高に応じて試行錯誤ではなく数値的に予め設定することが可能となる。
また、使用する弦の種類と弦高が変わる場合においても、予め設定値の異なる複数の部品を用意しておくことが可能となり、様々な状態に柔軟に対応可能なギターを提供することが可能となる。
【0185】
図39に、この構成を図16(c)に示したナット補助具39に適用した実施例を示す。
台形状の平板であるナット補助具39は、一端がナット13に密着して指板11上に配設されている。その上面には弦6,・・・,6を案内する溝12,・・・,12が形成されている。ナットに密着している面と反対側の面には、弦6,・・・,6の支持位置調節用の凹部40,・・・,40が形成されている。ナット13から支持位置調節用の凹部40までの長さすなわち溝12,・・・,12の長さΔN,・・・ΔNは、弦6,・・・,6毎に各々違った値に設定される。
このことにより、ナット13と第1フレット10の間隔は、通常の間隔よりΔN,・・・ΔNだけ、各弦とも短くなっている。
次に、ΔNの適正値を求める方法を図40を用いて説明する。
【0186】
図40(a)は、ナット補助具を使用しない場合のフレットと弦の関係を示したものである。
ナット13からサドル14までの間隔Lは基準スケール長と呼ばれ、その数値を基準にして表1に示す弦長比となる位置に第1フレット10が配置されている。第1フレット10が配置される位置は、開放弦の振動数を1.00000とした場合、振動数が1.05946となる位置であり、具体的には第1フレット10を押さえ付けた場合の弦長LがL/1.05946になる位置である。
第1フレットは、基準スケール長Lが648mmの場合は弦長L=611.632mmとなる位置、ナット13から36.368mm(=648mm−611.632mm)の位置に配置される。
【0187】
第1フレット10の位置を押さえた時の振動数は、開放弦の振動数を1.00000とした場合、1.05946の理想的な振動数になる位置に配置しても、弦を第1フレット10に押さえることにより、弦が僅かに伸ばされる結果、弦の張力が増大し、実際に発音される音はフレット位置によって決まるはずの音より高くなってしまう。
【0188】
具体的に例を挙げると表7にあるように、第1弦6の場合には第1フレットでは、0.64Hzの、第12フレットでは2.11Hzの発音上昇が発生し、第6弦6の場合には第1フレットでは、0.62Hzの、第12フレットでは1.96Hzの発音上昇が生じる。
【0189】
(b)は、ナット補助具39を使用した場合のフレットと弦の関係を示したものであり、第1弦6を例にする。
ナット補助具39を用いたことにより、弦6の開放弦の弦長Lは基準スケール長Lから溝12の長さΔN短縮されている。
【0190】
短くされた開放弦の弦長に対して、第1フレット10を押さえた場合の弦長L1,1=L/1.05946の振動数比Rf1,1は、
Rf1,1=(L−ΔN)/(L/1.05946)
=1.05946×(L−ΔN)/L
である。
【0191】
弦を第1フレットに押さえた場合、式(8)及び表7に示したように振動数は上昇するので、正しい振動数の音が発音されるためには振動数比Rf1,1に押弦上昇率Δfを掛けた値が、第1フレットに押さえたの理想的な振動数比である、1.05946になる必要がある。すなわち、
Δf×1.05946×(L−ΔN)/L=1.05946
であり、これより、
ΔN=L×(1−1/Δf) ・・・(12)
となる。
【0192】
第1フレット短縮量ΔNは、押弦上昇率の近似式Δf=1+(Ke×Δε)/2に依存する。
弦係数Keは、式(7)にあるように弦の開放弦張力So,断面積A,弾性係数Eから求められる数値であるから、使用する弦を決めれば、固有な値として予め決定される。
また、第1フレットにおける歪みの増加値Δεは弦高と弦長からピタゴラスの定理により簡単に求められる。
【0193】
したがって、使用する弦の種類に応じてKeを決定し、弦高と弦長からΔεを求め、これらからΔfの近似値を計算し、得られたΔfの値と弦長とから第1フレット短縮量ΔNが算出される。
【0194】
表5に示したスチール弦の各弦について、このようにして算出した第1フレット短縮量ΔNの値の例を表12に示す。
【0195】
【表12】


【0196】
この計算結果によれば、第1フレット短縮量ΔNの値は、弦毎に異なった値となり、第1弦の短縮量1.18mmは従来の第1フレットの位置36.368mmに対して3.2%短縮すべきことを、第6弦の短縮量4.54mmは12.5%短縮するべきことを示している。
【0197】
この表によれば、第2弦は6.3%、第3弦は3.8%、第4弦は4.8%、第5弦は7.1%短縮すべきことになる。ここに示した第1フレット短縮量ΔNの値は、弦高を若干高い値に設定した場合の計算事例であるので、弦高を低く設定すれば、第1フレット短縮量ΔNの値は小さくなる。
【0198】
ナット13と第1フレットとの間隔が短縮された結果、第1フレットを押さえた場合に実際に発音される音の振動数は、開放弦の振動数に対して、正確に1.05946だけ高い振動数となる。第2フレット10を押さえた場合は、第2フレットの位置は、第1フレットの振動数に対して、正しく1.05946だけ高い音を発音する位置にあるので、その場合も正しい振動数の音が発音される。
【0199】
しかしながら、フレットの位置に関して、製造誤差などの要因で寸法が正確でない場合も考慮する必要がある。それらを考慮して、第1フレット短縮量ΔNの値を上記の計算結果の10〜20%程度小さい値を用いておくことにより、各フレットで決まる音の振動数は、僅かに平均律で決まる振動数より高めにはなるが、低くなり過ぎてしまうという致命的な事態を回避することができる。
この値はスチール弦の場合には10%程度が、ナイロン弦の場合には20%程度が最適である。
【0200】
次に、図8のサドルの位置調節量を計算によって求めることについて説明する。
ギターフレットの中央部である第12フレットを押さえた場合、本来、開放弦の2倍の振動数で発音されるはずであるが、弦が伸ばされた結果弦の張力変化が大きくなり、実際に発音される音の振動数は開放弦の2倍の振動数より高くなってしまう。
このような事態を防止するのが、サドル位置調節の目的である。
【0201】
第1弦6の第12フレットからサドルまでの基準寸法は基準スケール長Lの半分の値であるが、その長さに、サドル補正値ΔLを加えた(L/2+ΔL)の位置にサドルを置き、第12フレットからサドルまでの弦長を長くすることで、第12フレットを押さえた場合に発音される音の振動数を正確に開放弦の2倍の振動数にする。
【0202】
第12フレットを押さえた時の、押弦上昇率Δfは近似式Δf=1+(Ke×Δε)/2によって求められる。第12フレットを押さえた時の歪みの増加値Δεは、第12フレット部の弦高が大きいので比較的大きな値である。
【0203】
サドル補正値ΔLの数値は、f=fo×Δf×Rfの関係から求められる。サドル補正値がΔLのときの第12フレットとサドルとの間隔は(L/2+ΔL)、開放弦の寸法は(L+ΔL)である。従って、第12フレットの振動数比Rf1,12は、
Rf1,12=(L+ΔL)/(L/2+ΔL
【0204】
従って、第12フレットを押さえた時の、実際に発音される音の振動数は、開放弦の振動数をfoとして、
1,12=fo×Δf×(L+ΔL)/(L/2+ΔL
第12フレットを押さえた時の振動数を正しく開放弦の2倍にすればよいので、
1,12=2×fo
である。
【0205】
したがって、
2=Δf×(L+ΔL)/(L/2+ΔL
となるΔLの値が、サドル補正値ΔLとなるから、
ΔL=L×(Δf−1)/(2−Δf
により、サドル補正値ΔLの値を求めることができる。
【0206】
サドル補正値ΔLの値を一例として表13に示す。弦は表5に示すフォークギターのスチール弦を使用し、弦高を表13の値に設定し、ΔL=L×(Δf−1)/(2−Δf)によって計算した値である。なお、このギターの基準スケール長Lは648mmであり、第1フレット短縮量ΔNは、ΔN=0の場合とした。この計算結果によれば、スチールの単線が使用されている第1弦と第2弦は、外径の太い第2弦のサドル補正量ΔLが大きくなっている。
【0207】
【表13】


【0208】
ブロンズ巻線弦の場合は、弦張力が芯線部に作用するので、芯線径に依存する弦係数Keの値に従ってサドル補正量ΔLが決まっている。ここに示したサドル補正値ΔLの値は、弦高を若干高い値に設定した場合の計算事例であるので、弦高を低く設定すれば、サドル補正値ΔLの値は、小さな値となることは明らかである。
【0209】
表12のサドル補正値ΔLの値は、図8に示した従来例のサドル72と同じ傾向を示している。しかしながら、従来例の場合は、第12フレットを押さえて演奏したときの音程が、開放弦の音程より正しく1オクターブ高くなるような位置に、調節サドルの側面を試行錯誤で斜めに削って、弦の載るサドル上面を形成していたが、上記の計算方法を導入することによって、サドルブロックの調節位置を数値的に予め設定出来るので、使用する弦が変わった場合などにおいても、予め用意した別のサドルに交換することで容易に適応可能である。
【0210】
図8に示したのはナット補助具を用いることなくサドルブロックの位置のみを調節した場合であるが、図39に示すナット補助具を用いた場合には開放弦の長さが従来のものから短縮されているため、サドルブロックの位置はその分だけ調節する必要がある。
その調節量はサドル補正量ΔLから第1フレット短縮量ΔNを減じたものであり、1例として挙げる表13に示されたサドル補正量ΔLから表12に示された第1フレット短縮量ΔNを減じたものであり、表14にサドルブロック補正量ΔLNとして示した。
【0211】
【表14】


【0212】
以上説明したように、ナット,ナット補助具及びサドルブロックの配置位置を、試行錯誤によることなく求めることが可能となる。
【0213】
ギターに使われる弦には、一般的に弦の構造、材料、太さ、張力などが付属情報として明記されて販売されている。今回、上記の実施例として述べた、弦係数Keの値を表示しておけば、ギター製作あるいは、既存のギターにナット及びナット補助具および、サドルブロックを用いて音程の狂いの少ないギターを製作する時、あるいは、既製のギターを調節する時に有効な情報となる。
【0214】
図7に示したように、フォークギターのサドル14はブリッジ8のサドル溝71に差し込まれている。このようなサドル14の場合、全ての弦の弦長を正確に合わせる事が出来ない。
【0215】
図8に示した側面を斜めに削ったサドル72の場合においても、使用する弦が変わった場合に於いては、弦の載る位置の適正値が変わるため、別なサドルに交換する必要が生ずる。
【0216】
図41に本発明に係るサドルブロックの実施例を示す。
(a)に示す選択的に組込可能なサドルピース113を用いれば、全ての弦の弦長を正しい値に設定でき、かつ、使用する弦が変更された場合においても、変更された弦に対応するしたサドルピースのみを交換することで対応できる。
【0217】
(a)に示したサドルピース113の下部には、サドル溝71に差し込まれる脚部114が形成され、その上部には弦が載る頂上部94が形成され、頂上部94の下部はブリッジ8に載せるための底面115とされている。脚部114の高さは、サドル溝71の深さより若干短くても良い。脚部114の厚みは、サドル溝71の巾に隙間なく差し込まれる厚みが望ましい。
【0218】
図7に示したように、フォークギターのサドル14が差し込まれるサドル溝71は、ブリッジ8に斜めに配設されている。して設けられたサドル溝71に、サドル14が差し込まれている。
【0219】
その傾きは第1弦側と第6弦側とで6mm弱であり、この様なサドル14の場合、図8に示された従来のサドル20のサドル上面が全てサドル溝21に対してナットから遠い側に形成されているのに対し、表14にサドルブロック補正量ΔLNとして示された位置に配設されるサドルピース113の頂上部94の位置は全てサドル溝71よりナット側になる。
そのため、サドルピース113は(a)に示すように、頂上部94が脚部114に対してオフセットされた形状とされる。
【0220】
オフセット量が異なるものを複数種用意しておけば、弦を変更した場合に、容易に対応することが可能である。
サドルピース113は、(a)に示された弦が一本のみ載るもの、(b)に示された弦が2本載るもの、の他に弦が3本載るもの、4本載るもの、5本載るもの、6本載るものがある。
また、頂上部94には弦が通る弦溝100を形成することも可能である。
【0221】
サドルピース113は、プラスティック製の成型品、或いは動物の骨や金属を削って作っても良い。
【0222】
ナイロン弦を使用するクラシックギターの場合は、オフセットされて配置される頂上部94を持つ一体の形状の物でも良い。
【0223】
(c)にサドルピース113を取り付けた状態を示す。複数個のサドルピース113の脚部114は、ブリッジ8のサドル溝71に差し込まれている。各弦6に対して、弦長が所定の長さになるよう、弦毎にオフセット量の異なるサドルピース113が組み込まれる。
このような構成によって、第12フレットを押さえた時の音を開放弦の1オクターブ上の音に正確に合わせる事が可能となる。
【0224】
弦高をさらに調節する必要がある場合は、頂上部94の高さを削って値を調節することが出来る。頂上部94と脚部114のオフセット量は、一例として、それぞれの中心線が、0.5mm単位でずれているような場合には、最小0.5mmから5.0mmまでの10種類程度を準備しておけば、使用する殆どの弦に対応することが可能である。
【0225】
フォークギターに使用されるスチール弦の場合、弦の構造や太さに従って、弦固有の弦係数Keが有ることを前記で説明した。ギターに使用する弦を選定することによって、サドルピース113の弦の載る頂上部94の位置は、予め計算にて予測して決めることが可能である。通常のフォークギターのブリッジ8に設けられたサドル溝71の巾は、大きくても3.2mmである。この巾の溝に入る厚みの一本のサドルでは、各弦毎に弦長を所定の長さに設定することが出来ない。
【0226】
ギターに使用される弦に関して、使用される材料の密度が同じ物の場合は、太さが変わって弦の張力が変わった場合でも、弦の応力は一定であると言う関係がある。例えば、フォークギターのスチール弦(芯線がピアノ線で出来ている弦)の場合、第1弦と第2弦はスチールの単線弦が使用される。
【0227】
弦の張力は演奏感覚に影響するので、張力を低く設定できる低張力(Light Tension)の弦や中程度張力(Medium Tension)の弦など、様々な種類の弦が使用される。しかし、第1弦と第2弦は何れも材料はピアノ線が使用され、その材料の密度は約7.9の一定値である。
【0228】
この場合、弦の太さが変わっても、所定の振動数に弦を張った場合の弦の応力は同じとなり、従って、弦係数Keの値は、弦の太さに拘わらず一定の値である。
【0229】
このように、違った種類の弦を使用する場合に於いては、各弦6に対して、弦長が所定の長さになるよう、弦毎に食い違い寸法の異なるにサドルピース113を組み込む必要があるが、第1弦と第2弦の弦係数Keは変わらないので、それらの弦に関しては、サドルピース113を変える必要は無く、変更の必要なサドルピース113のみ、選択的に組み込めば良い。
【0230】
本実施例のサドルピース113を用いれば、弦毎に食い違い量の異なるサドルピース113を選択的に使用する事が出来るので、ギターの音程を正確に合わせる事が可能となる。
【0231】
さらに、既にブリッジ8にサドル溝71が彫られている既製のギターに、本発明のナット及びナット補助具を搭載した場合、サドルの位置は、表13に示した従来の理想的なサドルの位置より、表14に示すように、サドルの位置はナット側に1〜4mm程度ずれて配置することが求められる。
【0232】
このような場合においても、サドル溝71に差し込まれる脚部114に対して、食い違った位置に弦の載る頂上部94を持つサドルピース113を使用することで、各弦毎に弦長を所定の長さに設定する事が可能となる。
【0233】
図42にサドルピースをアンダーサドルピックアップと共に使用する場合の実施例を示す。(a)に示した弦6の載るサドルピース113の脚部114は、ブリッジ8に形成されたサドル溝71の中に置かれたピエゾピックアップ90の上に載って置かれる。(b)のサドルピース113には弦の載る頂上部94が、脚部114とオフセットされた位置に形成されている。頂上部94の下には、ブリッジ8に載せるための底面115が形成されている。
【0234】
底面115は脚部114に対して頂上部94と反対の方向に伸びたエクステンション116を構成している。エクステンション116の端部は支点部97となる。サドルピース113は、プラスティック製の成型品、或いは動物の骨や金属を削って作っても良い。
【0235】
本実施例のサドルピース113の断面図を、図43に示す。弦6はブリッジ8に開けられた孔部9の中で一方の端が固定され、サドルピース113の頂上部94の上に載り、フレット10の埋め込まれた指板11に沿って張られ、図示しない指板の端部に配置されたナット補助具に載り、ナットに設けられた溝にガイドされギヤチューナによって巻き上げられることにより、弦6に所定の張力がかけられる。
【0236】
サドルピース113の脚部114は、ブリッジ8に形成されたサドル溝71の中に置かれたピエゾピックアップ90上に、底面の一部が載って置かれているため、弦6に所定の張力が発生すると、サドルピース113の一方の端の支点部97はブリッジ8の上面に押さえつけられる。この状態で弦6が振動すると、その力がサドルピース113の頂上部94に作用し、「梃子の原理」によって、サドルピース113のレッグ114とピエゾピックアップ90の接触点である作用点98に弦6の振動の力が作用する。
【0237】
こうして、弦6の振動は脚部114を通してピエゾピックアップ90に伝わり、電気信号を発する。電気信号はリード線91を介して音響拡声装置(アンプ)に伝えられる。
【0238】
弦6の振動の力をピエゾピックアップ90に効果的に伝達するには、ブリッジ8に載るサドルピース113の一方の端の支点部97は、脚部114とピエゾピックアップ90の接触点である作用点98に対して、頂上部94と反対側の端部であることが望ましい。
【0239】
アンダーサドルピックアップと共に使用するサドルピース113の使用方法は、アンダーサドルピックアップ部以外は、図41で述べた実施例と全く同じものである。
【0240】
次の実施例は、図示は無いが、以上の実施例の組み合わせの例である。ギターに使われる弦には、一般的に弦の構造、材料、太さ、張力などが付属情報として明記されて販売されている。
【0241】
今回、上記の実施例として述べた、弦係数Keの値を表示しておけば、ギター製作あるいは、既存のギターにナット及びナット補助具および、サドルブロックを用いて音程の狂いの少ないギターを製作する時、あるいは、既製のギターを調節する時に有効な情報となる事は明確であるが、ギターに使われる6本の弦に、一例として、図16(c)で説明したナット補助具39の6本の弦に対応した物、及び、図41(a)で説明したサドルピース113の6本の弦に対応した物を纏めて1セットとして組み合わせて提供する方法も有効である。これにより、一般の利用者でも既製のギターを、容易に音程の狂いの無いギターに変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0242】
以上、フォークギターを代表例として本発明の実施例を述べたが、本発明は、ナットとサドルで弦を支持し、弦の音程をフレットによって決めるフォークギター以外のギター,マンドリン,エレキギター,アイリッシュブズーキー,バンジョー,ウクレレさらにはチターなどにも適用可能である。
また、本発明は、既製の楽器の改造に適用できるのみでなく、新たに製作する楽器に適用できることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1】フォークギターの斜視図。
【図2】フォークギターの弦の説明図。
【図3】ギターのナットとフレットの関係の説明図。
【図4】従来のギターの演奏時の説明図。
【図5】従来の改良されたナットの説明図。
【図6】従来の改良された他のナットの説明図。
【図7】従来のサドルの説明図。
【図8】従来の改良されたサドルの説明図。
【図9】従来の改良された他のサドルの説明図。
【図10】従来のアンダーサドルピックアップの説明図。
【図11】従来の改良されたさらに他のナットの説明図。
【図12】ナットの第1の実施例の説明図。
【図13】ナットの第2の実施例の説明図。
【図14】ナットの第3の実施例の説明図。
【図15】ナット補助具の第1の実施例の説明図。
【図16】ナット補助具の第2の実施例の説明図。
【図17】ナット補助具の第3の実施例の説明図。
【図18】ナット補助具の使用状況の説明図。
【図19】ナット補助具の使用状況の横から見た説明図。
【図20】ナット補助具と従来の改良されたサドルの使用状況説明図。
【図21】ナット補助具の第4の実施例の説明図。
【図22】ナット補助具の第5の実施例の説明図。
【図23】ナット補助具の第6の実施例の説明図。
【図24】ナット補助具の第7の実施例の説明図。
【図25】ナット補助具の第8の実施例の説明図。
【図26】ナット補助具の第9の実施例の説明図。
【図27】3分割されたサドルの実施例の説明図。
【図28】6分割されたサドルの実施例の説明図。
【図29】アンダーサドルピックアップの協働するサドルの実施例の説明図。
【図30】アンダーサドルピックアップの協働するサドルの実施例の詳細な説明図。
【図31】アンダーサドルピックアップの協働するサドルの他の実施例の説明図。
【図32】アンダーサドルピックアップの協働するサドルのさらに他の実施例の説明図。
【図33】硬鋼線の応力−歪み線図
【図34】ナイロン弦の構造説明図
【図35】ナイロン弦のクリープ歪み線図
【図36】ナイロン弦の応力−クリープ歪み線図
【図37】モノフィラメントの弦応力−弦係数線図
【図38】スチール弦の弦応力−弦係数線図
【図39】ナット補助具の第10の実施例の説明図。
【図40】ΔNを求める方法の説明図
【図41】サドルピースの実施例の説明図
【図42】アンダーサドルピックアップと協働するサドルのさらに他の実施例の説明図。
【図43】アンダーサドルピックアップとの協働するサドルの詳細な説明図。
【符号の説明】
【0244】
1 表板
2 裏板
3 側板
4 共鳴胴
5 ネック
6 弦
第1弦
第2弦
第3弦
第4弦
第5弦
第6弦
7 ギヤチューナ
8 ブリッジ
9 穴
10 フレット
10 第1フレット
10 第2フレット
10 第3フレット
1011 第11フレット
1012 第12フレット
11 指板
12 溝
12 支持溝
13,15,18,21,24,36,61 ナット
14,20 サドル
16,19 ナット溝
17 第1弦6−1の支持位置
17 第6弦6−6の支持位置
22 指
23 取り付け部
25 ナット取り付け箇所
26 延長部
31,32,34,41,41,41,41 ナット補助具
33 上面
35 円錐台
37,49,52,62,66 長孔
38,51 ネジ
42 平坦部
43 半丸棒
44 軟鋼線
45 連結部
46,50 薄板
47 フック
48 埋め込み部材
53 固定片
54 短冊片
55,56 帯状片
57 固定部
58 ロッドカバー
59,60,63,67 止めネジ
61 シングルストリングナット
64 ナット取り付け部
65 デュアルストリングナット
71,73 サドル溝
72 調節サドル
74,74,74,74,74,74 調節サドル上面
75 平坦部
76 サドルブロック
77 小穴
78 軟鋼線
80 スライド穴
81 ブリッジブロック
82 小ネジ
83 ネジ穴
84 ネジ
85 サドルピース
86 平坦部
87 軟鋼線
90 ピエゾピックアップ
91 リード線
92 サドルエクステンション
93 ブロック部
94 頂上部
95 斜面
96 ガイド部
97 支点部
98 作用点
99 凹み部
100 弦溝
101 T形サドルピース
102 ブリッジピン
103 テーパ部
104 頭部
105 スロット
110 ナイロンモノフィラメント
111 ナイロンフロス
112 巻線
113 サドルピース
114 脚部
115 底面
116 エクステンション
【出願人】 【識別番号】500565722
【氏名又は名称】原田 峰雄
【識別番号】392012984
【氏名又は名称】南條 眞一郎
【出願日】 平成16年6月30日(2004.6.30)
【代理人】 【識別番号】100099379
【弁理士】
【氏名又は名称】南條 眞一郎

【公開番号】 特開2005−275340(P2005−275340A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−193761(P2004−193761)