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【発明の名称】 会議中等の作業状態の評価システムおよび評価方法
【発明者】 【氏名】浜野 利久
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーンテクなかい 富士ゼロックス株式会社内

【氏名】福井 トシヤ
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーンテクなかい 富士ゼロックス株式会社内

【氏名】市村 哲
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーンテクなかい 富士ゼロックス株式会社内

【要約】 【課題】操作対象についての履歴情報と作業者の作業状態についての映像情報とを連携させ作業状態の再現を行うことが可能な評価システムを提供する。

【解決手段】本発明に係る作業状態を評価するための評価システムは、フェーズ1においてドキュメントの履歴に関する履歴情報と作業者の操作状況についての映像情報を取得し、フェーズ2において映像情報を解析し、そこから時間情報を抽出し、フェーズ3においてフェーズ1で取得されたドキュメントの履歴情報と映像情報とを同期してディスプレイ上に再生することで、作業状態を再現し、その評価を行うものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業状態を評価するための評価システムであって、
操作対象の履歴に関する履歴情報を取得する履歴取得手段と、
作業者の操作状況に関する映像情報を取得する映像取得手段と、
前記履歴取得手段から得られた履歴情報と前記映像取得手段から得られた映像情報とを同期化して再生する再生手段と、
を有する評価システム。
【請求項2】
前記履歴取得手段は、操作対象の内容の変化を判別する判別手段と、前記判別手段により操作対象の内容の変化が判別されたとき、変化の生じた時刻とともに変化した操作対象の内容を記憶する記憶手段とを有する、請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記履歴取得手段はさらに、作業者の操作を監視する監視手段を含み、前記判別手段は、監視手段からの監視結果に応答して判別動作を行う、請求項2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記履歴取得手段は、操作対象の内容の変化が生じた時刻と、時刻に対応する操作対象の内容の記憶先を含むログファイルを作成するログファイル作成手段を有する、請求項1または2に記載の評価システム。
【請求項5】
前記ログファイル作成手段はさらに、ログファイルに操作対象の変化の種別に関する情報を含む、請求項4に記載の評価システム。
【請求項6】
操作対象は、電子機器において実行されるドキュメントファイルであり、前記判別手段は、ドキュメントファイルの内容の変化を判別し、前記記憶手段は、ドキュメントファイルの内容に変化が生じたとき、その変化した内容の複製を記憶する、請求項1ないし5いずれか1つに記載の評価システム。
【請求項7】
前記判別手段は、ドキュメントファイルのハッシュ関数により算出されたハッシュ値が従前のドキュメントファイルのハッシュ値と一致するか否かを判別する、請求項6に記載の評価システム。
【請求項8】
前記映像取得手段は、作業者の操作状況を撮像する撮像手段と、撮像されたビデオデータから時刻情報を抽出する抽出手段とを有する請求項1に記載の評価システム。
【請求項9】
前記抽出手段はさらに、ビデオデータからシーンを抽出し、抽出されたシーンに対して時間情報を付与する、請求項8に記載の評価システム。
【請求項10】
前記再生手段は、履歴情報を再現するとき、履歴情報に含まれる操作対象の内容の変化が生じた時刻に対応する映像情報を再生する、請求項1ないし9いずれか1つに記載の評価システム。
【請求項11】
前記再生手段は、前記映像情報を再生するとき、映像情報に含まれる時刻情報に対応する履歴情報を再生する、請求項1ないし9いずれか1つに記載の評価システム。
【請求項12】
前記再生手段は、前記ログファイルのいずれかのログが選択されたとき、当該選択されたログに対応する操作対象の内容および映像情報を再生する、請求項1ないし11いずれか1つに記載の評価システム。
【請求項13】
前記再生手段は、履歴情報および映像情報を再現するためのディスプレイを含む、請求項1ないし12いずれか1つに記載の評価システム。
【請求項14】
作業状態を評価するための評価方法であって、
操作対象の内容の変化した時刻とともに変化した操作対象の内容を履歴情報として記憶し、かつ、操作状況に関する映像を時刻情報とともに映像情報として記憶する第1のステップと、
第1のステップで記憶された履歴情報および映像情報を用い、任意の時刻における操作対象の内容とこれに同期化された映像情報をディスプレイに再生し、作業状態を再現する第2のステップと、
を有する評価方法。
【請求項15】
第2のステップは、履歴情報に含まれる操作対象の内容の変化した時刻と映像情報に含まれる時刻情報とを同期化する、請求項14に記載の評価方法。
【請求項16】
第2のステップは、ユーザによって選択された時刻における操作対象の内容とこれに同期化された映像情報を再生する、請求項14に記載の評価方法。
【請求項17】
操作対象が、電子機器において実行されるドキュメントファイルであるとき、第1のステップは、ドキュメントファイルの内容の変化の有無をハッシュ関数を用いて判別する、請求項14に記載の評価方法。
【請求項18】
第1のステップは、ドキュメントファイルの内容の変化が発生した時刻、変化の種別、および変化したファイルの記憶先を関連付けたログファイルを作成するステップを含む、請求項14に記載の評価方法。
【請求項19】
第2のステップは、ログファイルのいずれかのログが選択されたとき、当該選択されたドキュメントファイルの内容と、この時刻に対応する映像情報とを再生する、請求項18に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、会議中等の作業状態の評価システムおよび評価方法に関し、特に、パーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器においてアプリケーション操作ロギング、操作したドキュメントの状態記録、PC作業者のビデオカメラによる撮影及び映像中の時間情報を抽出、更にはこれらの情報を連携させ、任意の時点での作業者のワークプロセスを再現することで、作業状態の評価を行うものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等を含む電子機器において、作業者(ユーザ)にとって利便性の高いユーザインタフェースのソフトウエアの開発が求められている。現在市場に提供されるソフトウエアは技術先行型であり、人間の処理機能を十分に議論し、その上で処理機能を支援する形には未だ至っていない。例えば、ユーザ工学の視点では、ISO13407において反復的開発サイクルの上流工程での利用文脈の理解を目的としたユーザ分析や設計後の対策に対するユーザを中心としたユーザビリティ(操作性)評価を重要視している。
【0003】
コンピュータなどの使いやすさを評価する方法の一つに、操作状況の映像と音声を記録しておき、この映像および音声を再生して操作性を評価するものがある。例えば特許文献1は、発話内容の抽出を容易にするため、操作中の操作者の発話内容から操作者がある特定の操作を行っていたときの発話内容を選択的に抽出することができる発話内容抽出装置について開示している。
【0004】
特許文献2は、発話データ処理装置に関し、作業時の発話内容、発話が開始された時間、作業者の作業時における注視位置および注視位置が変化した時間を記憶し、発話データを表示するときに注視位置に対応する表示を表示させ、発話データ中に注視位置の情報を含ませるものである。
【0005】
また、企業活動において情報を駆使し新たな価値を創造する知的労働者から、日常的に情報を利用し業務を遂行する実務担当者まで、これを行うにあたりPCを利用するのが一般的な手段として定着した。この状況において企業の中では個人あるいはチームの作業を分析し、現状とその改善余地を明確にしたいというニーズが高まっている。これを実現する為に、PCの操作履歴を基に作業そのものを評価する方法やビデオ撮影により個人の操作の模様や会議中の状況を記録・蓄積する方式が使われている。
【0006】
従来例の一つとして、非特許文献1には、インフォメーションワーカーのワークスタイルに注目し、生産性向上のための「鍵」を見出すためのアセスメントサービス(Individual Productivity Assessment)が紹介されている。ここに開示される事例では、オペレーションログと映像によりワークスタイルを記録し、これを数値化して業務活動の客観値を詳細に分析するものであり、評価を大きく「測定」と「分析」という2つのフェーズから構成している。「測定」では、コンサルタントがまず対面インタビューおよびアンケートによって被験者の業務内容の概略やスケジュールを把握する。被験者のPC操作(いつ、どのアプリケーションを利用したか、どのファイルを閲覧したかなど)がすべてオペレーションログとして記録される。また、画面操作や被験者の挙動そのものもビデオカメラによって記録される。「分析」では、測定作業が終わると記録データは回収され、映像データとオペレーションログを突き合わせ、分析作業を行うものである。
【0007】
【特許文献1】特開平2−131298号
【特許文献2】特開平2−39230号
【非特許文献1】マイクロソフト社の企業内個人向け生産性アセスメントサービス(Microsoft Individual Productivity Assessment)、[平成16年2月6日検索]、インターネット、<URL:http:www.microsoft.com/japan/business/ipa>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に示される事例は、実際に記録された操作ログやビデオの映像をそれぞれ別個に有するものであり、双方の関連を見出すことは困難であった。例えばPCの操作履歴はその情報をグラフ化し、全体の時間における当該アプリケーションの使用時間や、アプリケーションの使用頻度などを得ることは可能であったが、そのドキュメントを使用していた時点での作業の様子を知ることは困難であった。また、ビデオ映像においてもこれを再生することにより、作業者の挙動を観察することは可能であるが、映像中の作業者が扱っているドキュメントの実物を得ることは非常に困難であった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題を解決し、作業者が行う操作対象についての履歴情報と作業者の作業状態についての映像情報とを連携させて作業状態を再現することができる評価システムおよび評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る、会議中等の作業状態を評価するための評価システムは、操作対象の履歴に関する履歴情報を取得する履歴取得手段と、作業者の操作状況に関する映像情報を取得する映像取得手段と、前記履歴取得手段から得られた履歴情報と前記映像取得手段から得られた映像情報とを同期化して再生する再生手段とを有する。
【0011】
好ましくは、履歴取得手段は、操作対象の内容の変化(例えば、ドキュメントの内容の変化)を判別する判別手段と、前記判別手段により操作対象の内容の変化が判別されたとき、変化の生じた時刻とともに変化した操作対象の内容を記憶する記憶手段とを有する。履歴取得手段はさらに、作業者の操作を監視する監視手段(例えば、マウス操作やキーボード操作)を含み、前記判別手段は、監視手段からの監視結果に応答して判別動作を行うようにしてもよい。
【0012】
好ましくは、履歴取得手段は、操作対象の内容の変化が生じた時刻と、時刻に対応する操作対象の内容の記憶先を含むログファイルを作成するログファイル作成手段を有する。ログファイル作成手段はさらに、ログファイルに操作対象の変化の種別に関する情報を含むことができる。
【0013】
好ましくは、操作対象は、電子機器において実行されるドキュメントファイルであり、前記判別手段は、ドキュメントファイルの内容の変化を判別し、前記記憶手段は、ドキュメントファイルの内容に変化が生じたとき、その変化した内容の複製を記憶する。判別手段は、ドキュメントファイルのハッシュ関数により算出されたハッシュ値が従前のドキュメントファイルのハッシュ値と一致するか否かを判別することができる。
【0014】
好ましくは映像取得手段は、作業者の操作状況を撮像する撮像手段(例えば、ディジタルビデオカメラ)と、撮像されたビデオデータから時刻情報を抽出する抽出手段とを有する。抽出手段はさらに、ビデオデータからシーンを抽出し、抽出されたシーンに対して時間情報を付与することができる。
【0015】
好ましくは再生手段は、履歴情報を再現するとき、履歴情報に含まれる操作対象の内容の変化が生じた時刻に対応する映像情報を再生する。また、再生手段は、前記映像情報を再生するとき、映像情報に含まれる時刻情報に対応する履歴情報を再生する。
【0016】
好ましくは再生手段は、ログファイルのいずれかのログが選択されたとき、当該選択されたログに対応する操作対象の内容および映像情報を再生する
【0017】
本発明に係る、会議中等の作業状態を評価するための評価方法は、操作対象の内容の変化した時刻とともに変化した操作対象の内容を履歴情報として記憶し、かつ、操作状況に関する映像を時刻情報とともに映像情報として記憶する第1のステップと、第1のステップで記憶された履歴情報および映像情報を用い、任意の時刻における操作対象の内容とこれに同期化された映像情報をディスプレイに再生し、作業状態を再現する第2のステップとを有する。
【0018】
好ましくは第2のステップは、履歴情報に含まれる操作対象の内容の変化した時刻と映像情報に含まれる時刻情報とを同期化する。また、第2のステップは、ユーザによって選択された時刻における操作対象の内容とこれに同期化された映像情報を再生する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の評価システムによれば、履歴取得手段からの履歴情報と映像情報取得手段からの映像情報とを同期化させて再生することで、従来の評価手法と比べて、容易にかつ効率良く作業者の作業状態を再現することができる。さらに、履歴情報と映像情報とを同期化させることで、操作対象の内容の変化が生じたときの作業者の表情等を観察し、あるいは、作業者の表情等から操作対象にどのような変化が生じたのかをより綿密に観察することができ、これを評価に反映することで評価機能をより改善することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明に係る評価システムの構成を示すブロック図である。評価システム1は、作業者が取り扱っている操作対象についての履歴を取得する履歴取得手段10と、作業者の作業状況に関する映像情報を取得する映像取得手段20と、履歴取得手段10および映像取得手段20からの情報を同期化または連携させて再生する再生手段30とを含んで構成される。この評価システム1により実際の作業状態またはワークプロセスを具体的に再現させる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様は、操作対象として、PCにおいて実行されるドキュメントファイルを用い、ドキュメントファイルの履歴を取得すると同時に実際に使用されていたドキュメントファイルの変更前・変更後の状態を取得する。また、その時点に撮影されたビデオ映像から時間情報を抽出し、更にはこれらを連携させ、作業時の状況を仮想的に再現もしくは再生することを可能とする。さらに、時間・場所の変化に伴って内容が変化するドキュメントの状態から、これを参照する映像の取得を可能とすることにより作業者のワークスタイル評価の一助とする。これにより、ドキュメントとその利用状況におけるワークシーンを双方向に再現するサポートシステムを提供する。
【実施例】
【0022】
個人作業の場合、作業者のPC上でログ取得アプリケーションを起動させ、同時に作業者のデスクワークを撮影し、作業者が実際に使用していたドキュメントとその当人のワークスタイルの関わりを評価する。会議等のチーム作業の場合は、それぞれで使用しているPC上でログ取得アプリケーションを起動させ、同時に行われるミーティングやその他の共同作業の様子を撮影し、プレゼンテーションに使われた資料や議事録などのドキュメントとこれらの活動に参加していたメンバーの関わり方を評価する。
【0023】
図2は、本実施例の評価システムの基本的なワークフローであり、以下のワークフローは、操作対象としてドキュメントファイルがPCにおいて実行される例を示している。
【0024】
フェーズ1(図2(a)を参照)は、観察フェーズであり、個人あるいは集団の活動の模様を撮影する。ビデオ撮影と並行して作業用PC40上ではデスクトップ常駐型ロギングアプリケーションを起動し、作業者がドキュメントにアクセスするというイベントが発生した時点で、関連情報をログに記録、および該当ドキュメントファイルのデータの複製をハードディスクに保存・蓄積する。ドキュメントログの取得は、作業用PC40の上で発生するファイルのオープン・クローズ等の作業者の操作に伴い発生しつづけるイベントを操作履歴とする。この際、作業者用PC40上で扱われるドキュメントは、時間を経過するにしたがって内容が変更される場合がある。そこで、ドキュメントの内容が変化したか否かを判別し、変化があったときには該当するドキュメントファイルのデータの複製を作業用PC40のストレージに逐次保存し蓄積する。蓄積したドキュメントファイルのデータの複製に関しては、実ファイルのバイトストリームを基に暗号アルゴリズムによるハッシュ値を計算し、これを識別子として利用することにより一意なファイルの状態を保証する。
【0025】
他方、PC40上で履歴取得を行っていると同時に、実際にPC40を操作している作業者50、ひいてはこれに関わって別作業を行っている作業者らの様子までビデオカメラ60にて撮影する。ビデオカメラ60は、ビデオ(映像)データに加えて撮像時刻を生成することが可能なデジタルビデオカメラ(DVカメラ)を用いることが望ましい。撮像されたビデオデータは、作業用PC40内のストレージに蓄積されるか、あるいはビデオカメラ60のテープ等に蓄積されるようにしておく。
【0026】
フェーズ2(図2(b)を参照)は、フェーズ1で蓄積されたデータを解析する。作業用PC40のストレージまたはビデオカメラ60からビデオデータを読み出し、これを評価用PCで認識できるファイル形式に変換する。変換されたビデオデータはデータベース70に保存される。データベース70は評価用PC内に設けられたストレージであってもよいし、評価用PCと接続される外部記憶装置であってもよい。次に、評価用PCに搭載された専用アプリケーションを用いて、データベース70に保存されたビデオデータを解析し、ビデオデータ中の時刻情報を抽出し、これを映像と関連付けしてデータベース70に保存する。
【0027】
フェーズ3は、フェーズ1で取得された作業者のワークプロセスの映像80の再生し、作業者が操作したドキュメントファイルの内容90の再生、および作業状態の評価を行うフェーズである。ここで使われるアプリケーションは、ドキュメントへのアクセスログと、ビデオデータおよびドキュメントファイルの複製データとの連携を可能とする。作業者のワークスタイルの評価作業において、評価用PC上で「操作ログ」、「ドキュメント」、「映像」を時間で連携させる専用アプリケーションを起動させ、作業ログに記述された項目から実際に使用されたドキュメントと同内容のファイルをオープンする。同様に「作業ログに記述された項目から同時刻に撮影された映像の再生を開始する。また、再生されるビデオデータ中の任意の時点からその時刻に使用されていたドキュメントと同内容のファイルをオープンまたは再生する。
【0028】
図3は、履歴取得を行うアプリケーションについての機能ブロック図である。履歴取得手段10は、作業者の操作を監視する操作監視部100、操作監視部100の監視結果等からイベントを検出するイベント検出部102、イベントが検出されたとき、作業者が操作しているドキュメントファイル104の内容の変化の有無を判別する変化判別部106、従前のドキュメントファイルについてのハッシュ値を記憶するハッシュ値記憶部108、変化判別部106からドキュメントファイルの変化を示す出力を受けたときドキュメントファイルの複製を作成する複製作成部110、イベント毎のログを作成するログファイル作成部112、複製されたドキュメントファイルおよびログファイルを記憶するメモリ114を有している。
【0029】
図4は、履歴取得手段10による履歴取得の動作を説明するフローチャートである。PC上において作業が開始されると(ステップS101)、当該PC上で操作ログ取得アプリケーションが起動され、実際の作業ログの取得が開始される(ステップS102)。操作監視部100は、作業者の操作を監視し(ステップS103)、作業者のキーボードにおけるキー操作やマウス操作の監視を行う。なお、作業者は複数であってもよく、作業者によって操作されるドキュメントファイルは複数であってもよい。
【0030】
イベント検出部102は、操作監視部100からの監視結果に基づき作業者がドキュメントファイルに対して行ったイベントを検出する。ここでのイベントとは、ファイルのオープン、クローズなどのドキュメントファイルに対するアクションまたはアクセスである。イベント検出部102において、ドキュメントファイルがオープンされたか否かが検出される(ステップS104)。オープンが検出された場合には、ログファイルのリストにエントリが追加される(ステップS105)。オープンが検出されない場合、ドキュメントファイルがクローズしたか否かが検出される(ステップS106)。クローズが検出された場合には、ログファイルのリストからエントリが削除される(ステップS107)。これらのエントリの追加および削除の情報は、ログファイル作成部112へ出力され(ステップS108)、ログファイルのイベントとしてログ付け(記録)される。
【0031】
変化判別部106は、イベント検出部102からのイベント検出結果を受けると、ドキュメントファイルの内容の変更があったか否かを判別する(ステップS109)。好ましくは、変化判別部106は、ドキュメントファイルの内容についてハッシュ関数によりハッシュ値を算出し、これをハッシュ値記憶部108に記憶された従前のドキュメントファイルの内容についてのハッシュ値と比較する。ハッシュ値が一致していれば、内容に変化がないと判定し、一致していなければ、内容に変化があったと判定する。
【0032】
変化判別部106により変化があったと判定されると、複製作成部110は、ドキュメントファイル104の内容の複製を作成する(ステップS110)。複製されたドキュメントファイルは、メモリ114に記憶される(ステップS111)。また、複製作成部110からログファイル作成部112に対して複製ファイルの記憶先を示すアドレス情報が供給される。
【0033】
ログファイル作成部112は、イベント検出部102からのイベント検出が行われるたびに、イベントのログを作成し、かつ、ログに対応する複製されたドキュメントファイルの記憶番地の作成を行う(ステップS112)。
【0034】
図5にログファイル作成部112によって作成されたログファイルの一例を示す。上記したように、PC上でドキュメントに対して作業者が閲覧や更新といったアクションを起こす度にイベント検出部102からイベントが発行され、このイベントに基づきログファイル作成部112がログファイルを作成される。図5に示すように、ログファイルは、イベント発生日時200、ファイル識別子202、イベント種別(オープン:open、クローズ:close)204、複製ファイルへの絶対パス(C:\Data\sanple\…)またはURL206、およびイベントが発生した時点での複製ファイルまたはウエブページのファイル名208(パスの最後の部分)に関する情報を時系列的なリストとして含んでいる。
【0035】
ファイル識別子202は、ファイルの絶対パスの指すファイルの実態から得られるバイトストリームから一意となる識別子を算出したものである。具体的にはSHA1アルゴリズムを使用し、20バイトのハッシュ値をBase64エンコード形式の文字列として出力したものをベースとしている。イベント発生により保存されるファイルのデータの複製に付けられるファイル名は、内容が重複している場合に発生する保存データの冗長性を回避するために、先に説明した識別子名に元となるファイルの拡張子を付加したものである。こうして、作業者がドキュメントに対して、閲覧・更新などをする際にファイルのオープン・クローズのアクションを起こす都度、イベントが発行され、これらがログとしてファイルに記録される。
【0036】
図6は、ログファイル作成部112によって作成されたログファイル(図5で作成されたもの)をディスプレイへ表示した例である。ログファイル表示は、イベントの発生日時210を時系列的に配置し、その日時に発生したイベントの種別202(ファイルのオープン、クローズ等)、イベントに対応する複製ドキュメントファイルのファイル名204を示している。ログファイル表示は、後述するように、作業者のプロセスを再現するときにインターフェース(GUI)として評価者によって参照される。
【0037】
図7は、評価用PCにおけるビデオデータ解析するアプリケーションの機能ブロック図、図8はその動作フローチャートである。ビデオデータ保持部300は、作業者の作業状況を撮像したビデオデータを保持する。例えば、作業用PCのハードディスク等のメモリに保持されていても良いし、ビデオカメラに内蔵されたビデオテープ等の記録媒体にビデオデータを保持していてもよい。ビデオデータ読出部302は、ビデオデータ保持部300からビデオデータを読取り(ステップS201)、これをビデオシーン/時刻抽出部304に出力する。ビデオシーン/時刻抽出部304は、ビデオストリーム中に含まれるビデオデータ中からシーンを抽出する(ステップS202)。「シーン」とは、ビデオデータ中のカット(ビデオカメラで録画ボタンを押した時点から録画終了ボタンを押した時点まで)のことである。
【0038】
次に、ビデオシーン/時刻抽出部304は、抽出されたシーンの時刻情報を抽出し(ステップS203)、この時刻情報をシーンに付与する(ステップS204)。抽出されたシーンおよび時刻情報は、ビデオファイルとしてデータベース70に記憶される(ステップS205)。図9に、ビデオデータから抽出されたシーンと時刻との関係を示す。例えば、シーン1は、その撮影開始時刻がt1であり、撮影終了時刻がt2であり、同様に、シーン2の撮影開始時刻がt3であり終了時刻がt4である。1つのビデオファイルには、シーンとそれに対応する時刻情報が含まれるようにして記憶される。こうして、すべてのビデオデータからシーンおよび時刻の抽出が行われる(ステップS206)。
【0039】
次に、ワークプロセスを再現する動作について説明する。本実施例では、撮影したビデオデータとドキュメントファイルの複製とログファイルの三者の連携を可能とする。図10は、図1に示す再生手段を実行するアプリケーションの機能ブロック図である。再生手段30は、好ましくは評価用PCにおいて実施され、ドキュメント再生入力部300、映像再生入力部302、同期化再生制御部304、音声出力部306、ディスプレイ308、およびデータベース70を含んでいる。
【0040】
ドキュメント再生入力部300のユーザインターフェースとして、上記した図6に示すログファイル表示を用いることができる。例えば、ユーザがカーソルを用いて、ログファイル表示に示された所望のイベントの時刻等を選択することで、ドキュメント再生の入力を与えることができる。また、映像再生中に、「ワークスペース再生」のボタン216を選択することで、再生中の映像に該当するドキュメント再生の入力を指示することができる。
【0041】
一方、映像再生入力部は、例えば、図11に示すような映像再生リストをディスプレイに表示し、そのリストから所望のシーンをユーザに選択させることができる。映像再生リストは、図9で示した各シーンと時間との関係に基づき作成することができる。あるいは、ビデオ再生中の任意のタイミングで画像をクリックすることによってもシーンを選択することができる。
【0042】
同期化再生制御部306は、ドキュメント再生入力部300および/または映像再生入力に応答して、ユーザの所望する任意の時点のドキュメントの内容とそのときの映像をデータベース70から読出し、これらを同期化させてディスプレイ308に表示させる。ビデオカメラによって音声データが取得されている場合には、スピーカ等の音声出力部306から音声を出力させるようにしてもよい。
【0043】
図12にログファイルのドキュメント再生からビデオ再生を行う場合の動作フローチャートを示す。評価用PC上にログファイルを表示させ(ステップS301)、ユーザによりログのエントリ時刻の指定がなされる(ステップS302)。時刻の指定は、上記したように、ログリストに記載された時刻の中から所望の時刻を選択しても良いし、これ以外にも、ユーザが特定の時刻を入力してもよい。
【0044】
同期化再生制御部306は、この入力に応答して、指定された時刻にオープンしていたドキュメントがあるか否かを検索する(ステップS303)。該当するドキュメントがあるとき、データベース70からドキュメントの複製ファイルが読み出される(ステップS304)。読み出しは、ログファイルに含まれるファイルのパスを参照して行われる。読み出されたドキュメントの内容がディスプレイ308に再生される(S305)
【0045】
同時に、同期化再生制御部306は、指定された時刻に該当するビデオファイルがあるか否かを検索する(ステップS306)。上記したように、ビデオファイルは撮影開始時刻と終了時刻を含んでおり、指定された時刻が、その期間内の時刻に一致するか否かが検索される。該当するビデオファイルがあるとき、ビデオファイルが読み出され(ステップS307)、当該時刻からビデオがディスプレイ308上に再生される(ステップS308)。こうして、ドキュメントの再生に同期して、そのときの映像が再生される。なお、2台のディスプレイの内の一方にドキュメントを表示し、他方に作業者の映像を表示してもよいし、1台のディスプレイを2画面に分割してドキュメントと映像を表示しても良い。
【0046】
図13に映像再生からドキュメント再生を行う場合の動作フローチャートを示す。図11に示すような映像再生リストから所望の映像シーンを選択し、ビデオの再生を開始する(ステップS401)。ビデオの再生中に、同期化再生制御部304は、図6に示すログファイル表示において、ワークスペース再生ボタン216が指示された否かを判別する(ステップS402)。
【0047】
指示が成された場合、同期化再生制御部304は、ビデオの撮影された時刻に対応するイベントを検索し(ステップS403)、そのイベントに関連付けされた識別子のファイル(複製ファイル)を、ログファイルのパスを参照してデータベース70から読み出す(ステップS404)。読み出された複製ファイルはディスプレイ308上において再生される(ステップS405)。これにより、ビデオ撮影されていた時点に実際に開かれていたドキュメントの内容が再生されることになる。尚、ビデオの再生を早送り・巻き戻しし、ビデオ中の任意の時点に移動しても、これと連動してドキュメントファイルの内容を再生することは可能である。
【0048】
以上説明したように、本実施例によれば、ビデオ映像のシーンから実際に扱われていたドキュメントの内容を容易にかつ正確に得ることができるため、「映像の再生」ではなく「プロセスの再生」が可能となる。また、これらの作業を非常に素早く行うことが可能となる。これにより、従来の「映像から作業者の状態を観察する方法」と比較して、作業者のより細かな状態の観察が可能となる。さらにビデオ記録映像と作業ドキュメントとを同時に再生することができるため、両者の関連が非常にわかりやすい。特に、映像の再生からは、ドキュメントを利用している作業者の様子を知ることができる為、時間などの数値では表現しがたかった「ドキュメントに対する作業者の反応」を観察することが可能になる。同様にして、映像とドキュメントのアクセスログが双方向に関連付けられたことにより、両者を駆使した多角的な作業観察をすることができる。
【0049】
データの取り扱いに関しては、ハッシュ値を用いてドキュメントの状態を得ている為、内容が完全に同一のドキュメントは、基となるファイルの配置場所に関わらず一意性の判断をすることが可能である。例えば、フェーズ1で開かれたドキュメントの絶対パスやファイル名が違っていたとしても、ファイルの内容が同一であれば同じ識別子が付与される。この手法により、内容が重複したドキュメントを冗長に蓄積することが回避される。更にはドキュメントの内容が変化している過程を正確に追っていくことも可能である。また作業者の映像とのリンクが加わっていることから任意のドキュメントの状態をインデックスとした映像シーンの検出が可能であり、同一ドキュメントからの横断的なシーン検索が可能となる。本実施例の評価システムを実現する方法としては特殊な装置を必要とせず、ビデオカメラとPCのみの安価な構成で効果的な観察が可能である。
【0050】
このように、本実施例では、従来までは成しえなかった作業者の環境をより現実に近い形で再現、更にはドキュメントの実態と作業者の映像を同時に参照しながら、ワークプロセスを評価することができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施例では、操作対象としてドキュメントファイルを例示したが、勿論、これ以外の操作対象であってもよい。さらに、上記実施例では、評価システムの履歴取得手段、映像取得手段、および再生手段を実行するためにソフトウエアを用いたが、ハードウエアを用いて実行しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る作業状態の評価システムおよび評価方法は、パーソナルコンピュータ上で各種アプリケーションソフト等を操作する作業者の評価の他にも、企業等における作業者の作業環境、作業手法、作業状況、会議、打ち合わせ等を評価するためのシステムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例におけるワークプロセス評価システムの全体構成を示す図である。
【図3】履歴取得手段を行うための機能ブロック図である。
【図4】履歴取得の動作を説明するフローチャートである。
【図5】ログファイルの作成例である。
【図6】ディスプレイへのログファイル表示例である。
【図7】ビデオデータの解析を行うための機能ブロック図である。
【図8】図7の動作フローチャートである。
【図9】シーンと時刻との関係を示す図である。
【図10】再生手段を行うための機能ブロック図である。
【図11】映像再生リストの表示例である。
【図12】ログファイルのドキュメントの再生から映像再生を行う場合の動作フローチャートである。
【図13】ビデオ映像の再生からドキュメントの再生を行う場合の動作フォローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1:評価システム
10:履歴取得手段
20:映像取得手段
30:再生手段
70:データベース
100:操作監視部
102:イベント検出部
104:ドキュメントファイル
106:変化判定部
108:ハッシュ値記憶部
110:複製作成部
112:ログファイル作成部
114:メモリ
300:ドキュメント再生入力部
302:映像再生入力部
304:同期化再生制御部
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【住所又は居所】東京都港区赤坂二丁目17番22号
【出願日】 平成16年2月17日(2004.2.17)
【代理人】 【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平

【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三

【公開番号】 特開2005−234641(P2005−234641A)
【公開日】 平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願番号】 特願2004−39610(P2004−39610)