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【発明の名称】 照明装置及び液晶表示装置
【発明者】 【氏名】山内 直史
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セイコーインスツルメンツ株式会社内

【要約】 【課題】照明光のスペクトルは、青色光源と青色光を波長変換して得られた緑色光、混色用の赤色光源の発光スペクトルによって決まるために、波長変換に用いられている蛍光材料の特性が色特性に大きく影響を与え、液晶表示素子との光学的整合が取れていないと理想的な白色表示を得ることはできないという課題を有している。

【解決手段】本発明の液晶照明装置は、青色の単色光を発光する第一光源と、赤色の単色光を発光する第二光源とを用い、第一光源の青色光、青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、第二光源の赤色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源と、液晶表示素子の表示面との間のどこか、例えば、導光板の入射面と光源の間、導光板の照射面と液晶表示素子との間の少なくとも一方に減法混色による色補正手段を具備する構造とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色の単色光を発光する第一光源と、赤色の単色光を発光する第二光源を有し、前記青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、前記第一光源から発光された青色光と、前記第二光源から発光された赤色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源と、
前記白色光源からの白色光が入射される入射面と、前記白色光が照明光として出射される発光面を有する導光板と、を備え、
前記導光板の前記入射面と前記発光面の少なくとも一方に、減法混色による色補正手段が設けられたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記色補正手段は、所定の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する高分子フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記色補正手段が、第一の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する第一の高分子フィルムと、第二の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する第二の高分子フィルムを備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記高分子フィルムは、所定の波長の光を吸収させるための顔料もしくは染料を所定の濃度で混合したものであることを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記高分子フィルムの表面には、所定の波長の光を所定の割合で反射させるための光学多層膜が形成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の照明装置。
【請求項6】
青色の単色光を発光する第一光源と、赤色の単色光を発光する第二光源を有し、前記青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、前記第一光源から発光された青色光と、前記第二光源から発光された青色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源と、
前記白色光が入射される入射面と、前記白色光が照明光として出射される発光面を有する導光板と、
前記照明光が照射される液晶表示素子と、を備えるとともに、
減法混色による色補正手段が、前記白色光源と前記入射面の間と、前記発光面と前記液晶表示素子の間の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
前記色補正手段は570〜610nmの波長帯域の光を吸収する特性を持つことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
波長500nm付近に吸収ピークを有する第二の色補正手段が前記白色光源と前記液晶表示素子との間に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
青色の単色光を発光する第一光源と、赤色の単色光を発光する第二光源を有し、前記青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、前記第一光源から発光された青色光と、前記第二光源から発光された赤色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源と、
前記白色光源からの白色光を液晶表示素子に照射する導光板と、を備えるとともに、
前記白色光は、前記液晶表示素子へ照射される前に、減法混色による色補正がなされることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶表示素子は、RGBを含んだカラーフィルターを備えるカラー液晶表示素子であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示素子の光源として用いられる照明装置、及びこの照明装置を用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯型小型テレビ、携帯型ゲーム機、PDA、および小型ノート型パーソナルコンピュータ等に用いられている液晶表示装置では、冷陰極管に替わって、点灯特性が良好であり発熱やノイズの少ない光源としてLED(Light−Emitting−Diode)を用いた照明装置が多用されるようになってきた。
【0003】
一般に、透過型カラー液晶表示装置では、白色光源を用いた照明装置をバックライトとして用いて、R(Red)G(Green)B(Blue)カラーフィルターを各画素に備えた液晶表示素子を照明することによりカラー画像を表示する。しかしながら、理想的な白色光発光が可能なLEDが存在しないために様々な工夫がなされてきた。
【0004】
例えば、赤色LED、緑色LED、青色LEDの3光源を近接配置させて色づきの少ない擬似白色光源を実現し、それから得られた白色光を導光板に入射させることによって液晶表示装置を照明する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第二の代表的な方法は、青色LEDから放射された青色光によって蛍光体を励起して緑色光から赤色光にかけての帯域の光を波長変換により得て、この緑色光、赤色光と青色光を加法混色して擬似白色光を得、これを導光板に導いて液晶表示装置を照明する方法である。この方法では、上述した3つのLEDを用いる方法に比べて、必要なLEDの数が1/3になるため消費電力が著しく低減すると同時に、擬似白色を得るために3つのLED出力を微調整する必要もなくなり、色ずれも起こらなくなった。
【0006】
第3の代表的な方法は、蛍光体を形成した青色LEDから放射された青色光によってその蛍光体を励起して緑色光から赤色光を波長変換により得て、この波長変換によって得られた光と青色光を加法混色して擬似白色光を得ると同時に、赤色の彩度を向上させるためにこの擬似白色光に赤色LEDをさらに加法混色して、理想に近い白色光を得る方法がある(例えば、特許文献2参照)。この方法を用いることによって、赤色LEDの出力調整を行うだけで理想に近い白色光を容易に得ることができ、より鮮明なカラー表示が可能な液晶表示装置を実現している。
【0007】
さらに、擬似白色光と赤色光を色ずれなく効率良く混色させるために、蛍光体が形成された青色LEDと赤色LEDとをレンズ機能を有する透明な樹脂モールド中に近接して配置したり(例えば、特許文献3参照)、蛍光体を形成した第一のLEDと第二のLEDとをライトパイプの両端に各々配置することによってこのライトパイプ中で擬似白色光と赤色光を均一に混色したりする方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−247411号公報(第4頁、第1図)
【特許文献2】特開2000−275636号公報(第2−3頁)
【特許文献3】特開2002−57376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、発光波長450nmの青色LEDを使用して蛍光体により緑色光を励起させ、もとの青色光との加法混色により得られた発光スペクトルを用いて液晶表示素子を照明する構成の場合を説明する。このように蛍光体が形成された第一のLEDから得られる発光スペクトルの一例を図4に示す。すなわち、発光波長450nmの青色LEDを用いて蛍光体により緑色光を励起させ、もとの青色光との加法混色により得られた発光スペクトルの一例を示すグラフである。この場合、450nmに第一のLEDの発光スペクトルピークが現れ、550nmに蛍光体によって青色光を波長変換して得られた緑色光のスペクトルピークが現れる。また、図4から明らかなように、発光スペクトルは青色光と緑色光のみならず、弱いながらも黄色から赤色にかけての発光スペクトルも現れている。このように、出射面に青色光を緑色光に波長変換する蛍光体を用いて得られた発光スペクトルは可視光全域に渡っており、その結果擬似的に白色光に見える。しかし、白色度を調整するためには第一の青色LEDに流す電流を調整して発光輝度を変えたり、蛍光体の材料を最適化したりする必要があり、容易に行うことができなかった。
【0009】
また、より白色光に近い光を得ることができる特許文献3に記載のカラー液晶用表示装置では、青色の単色光を発光する第一のLEDと、赤色の単色光を発光する第二のLEDを備えており、第一のLEDから発光された青色光と、青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、第二のLEDから発光された赤色光とを調合する加法混色により白色光を得ている。すなわち、第一のLEDの青色光とこの青の単色光から波長変換によって生成された光により得られる擬似白色光と、第二のLEDの赤色光により白色光を得ている。このような白色光源では、擬似白色光と赤色光を色ずれなく効率良く混色するために、蛍光体が形成された第一の青色LEDと第二の赤色LEDを、レンズ機能を有する透明な樹脂モールド中に近接して配置したり、青色LEDと赤色光LEDとをライトパイプの両端に各々配置することによってこのライトパイプ中で擬似白色光と赤色光とを均一に混色したりする工夫がなされている。
【0010】
このようにして擬似白色光に赤色光を加法混色して得られた発光スペクトルを図5に示す。すなわち、図5は発光波長450nmの青色LEDを用いて蛍光体により緑色光を励起させ、もとの青色光との加法混色によって得られた擬似白色光に波長650nmの赤色光を加法混色して得られた発光スペクトルを示すグラフである。図5に示す発光スペクトルは、図4で示した擬似白色光に赤色光が重畳されているために650nmに赤色光の発光ピークがある。この赤色光が擬似白色光に加法混色されることにより不足していた赤色成分を補うことができて理想に近い白色光が得られると同時に、後述するようにカラー画像の赤色の彩度を向上させることができる。
【0011】
このような構成においても、照明光のスペクトルは、励起用の青色LED、この青色光を波長変換されて得られた緑色光および赤色光、混色用赤色LEDのそれぞれの発光スペクトルによって決まることになる。そのため、用いる蛍光材料の特性が色特性に大きく影響を与えている。さらに、実際に視認されるのはカラー液晶表示素子のカラーフィルター等の着色部材を透過した光であるために、照明光とカラーフィルターとの光学的整合が取れていないと理想的な白色表示を得ることはできないという課題を有している。
【0012】
具体的には、照明光の発光スペクトルとカラーフィルター材料の分光透過率特性のスペクトル分布がマッチングしないために、特許文献3のカラー液晶表示装置では白色表示が若干黄色からオレンジ色を帯びてしまうという課題があった。
【0013】
そこで、カラー液晶表示装置による理想的な白色表示を得るために、励起用の青色LED、混色用の赤色LED、青色光を波長変換して得られた緑色光のそれぞれの発光スペクトルを調整する(すなわち、照明光の発光スペクトルを調整する)か、カラーフィルター等の着色部材の透過スペクトルを調整するか、もしくはその両方を行うことである。しかしながら、このような調整は材料そのものを改善しなければならないために、時間と費用がかかり困難である。
【0014】
さらには、液晶表示素子に用いられるカラーフィルターの特性は、製造メーカや製品ごとに異なっているのが通常であり、このような液晶表示素子に簡便に表示色を整合させることができる照明装置を実現することが困難であるという課題も有している。
【0015】
液晶表示素子の各画素には、R、G、Bに対応した特定の波長帯域を選択的に透過するように色素や顔料を含有するカラーフィルターが所定の膜厚で形成されている。図6にカラー液晶素子において用いられるRGBに対応したカラーフィルターの分光透過率の一例を示す。このカラーフィルターの分光透過率は、光源色や使用する液晶の動作モードなどに対応して厳密に設計し、内部に含有させる顔料や色素の種類や濃度を調整することによって決められる。さらには、このカラーフィルターは液晶表示素子の内部に形成されるために、光学特性のみならず電気特性にも注意をはらって設計される。そして、カラーフィルターの分光透過率は、光源色と同様に液晶表示素子の色再現性を決定する重要な要素となる。
【0016】
図4に示した発光スペクトルを有する擬似白色光源と図6に示した分光透過率のカラーフィルターを有する表示素子とを用いた液晶表示装置が表示可能な白色表示の輝度スペクトルを図7に示す。この輝度スペクトルはカラーフィルターの透過特性を反映しているので、図4に示した擬似白色光の発光スペクトルに比べて、500nm近傍の緑青色や600nm近傍の黄色からオレンジ色が強調されている。また、赤色成分は擬似白色光自体に含まれている強度が小さいために弱いままである。したがって、このようにして得られた擬似白色光源で表示された白色は青色から緑色を帯びた青色になると同時に、赤色の彩度が充分得られていない。
【0017】
カラーフィルターは減法混色によって色調整を行うために、この色バランスを改善するためには、BGフィルタの透過率を下げてバランスを取ることが最も容易である。しかしながら、カラーフィルターは画素電極の上に形成されるために、液晶の駆動特性に直接影響を与え、形成できる膜厚や選択できる材料に制限がある。さらに、BGフィルタの透過率を下げて色バランスを調整することは照明光の利用効率を著しく低下させることになり好ましい方法ではない。
【0018】
一方、図5に示した発光スペクトルを有する白色光源と図6に示した分光透過率のカラーフィルターを有する発光素子とを用いた液晶装置を照明したときに表示可能な白色輝度スペクトルを図8に示す。図8に示した輝度スペクトルは図7に示した輝度スペクトルに比較して、赤色光に対するスペクトル強度が著しく改善されており、その結果赤色に対する演色性が向上して鮮やかな赤色の表現が可能となると同時に、白色レベルも向上する。しかしながら、図7で得られた結果同様に、図8に示す輝度スペクトルではカラーフィルターの透過特性を反映しているので、図5に示した発光スペクトルに比較して500nm近傍の緑青色や600nm近傍の黄色からオレンジ色が強調されていることがわかる。
【0019】
人間の色に対する視覚特性は特に敏感であるので、このように、黄色からオレンジ色や緑青色が白色に若干混合されているだけで、この白色画像が着色していることに容易に気づいてしまう。その結果、得られたカラー画像は鮮やかさが低下して画像品質が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の液晶照明装置は、青色の単色光を発光する第一光源と赤色の単色光を発光する第二のLEDを用い、第一光源からの青色光と、この青色の単色光から波長変換によって生成された緑色光と、第二光源からの赤色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源と、白色光源からの白色光を導波して液晶表示素子の表示面に一様に照射する導光板とを備えており、白色光源からの白色光が液晶表示素子に届くまでの間のどこかに減法混色による色補正手段を具備する構造とした。
【0021】
このような構成によって、液晶表示素子の色特性と照明光のスペクトル分布を簡便な方法で容易に整合することができ、従来の液晶照明装置に比較して黄色からオレンジ色の着色の無いより理想的な白色照明を実現することが可能になる。また、カラー液晶表示素子に適用することによって、より彩度の高いカラー画像を再現することが可能となる。さらに、この構成によれば、色補正手段を変更するだけで簡単に色特性の整合を行うことができるために、特性の異なる種々のカラー液晶表示素子に対しても簡便に色整合を行うことができる。
【0022】
特に、この色補正手段を、所定の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する高分子フィルムとし、導光板の入射端面または液晶表示素子への照射面の少なくとも一方の面に挿入または粘着接合することによって、小型かつ薄型という機能を損なうこともない。
【0023】
さらにまた、色補正手段として、第一の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する第一の高分子フィルムを用い、第二の色補正手段として、第二の波長領域の光を所定の割合で吸収または反射する機能を有する第二の高分子フィルムを用いることで、照明光のより複雑なスペクトル調整が可能となる。その結果、さらに理想的な白色光を実現することができる。また、これらの色補正フィルムを互いに重ね合わせて、導光板の入射端面や照射面に粘着接合することもできる。
【0024】
さらにまた、色補正手段に用いる高分子フィルムを、所定の波長の光を吸収させるための顔料もしくは染料を所定の濃度で混合したものとすることにより、より安価に照明光のスペクトルの改善を実現した白色光を得ることができる。
【0025】
そして、色補正手段として、所定の波長の光を所定の割合で反射させるための光学多層膜が表面に形成された高分子フィルムを用いることによって、照明光のスペクトル調整時に生じる光の吸収による損失を最小限に押さえ、光の利用効率の高い白色照明光源とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の構成によれば、色補正手段として、基材に顔料や染料を含有させたり、表面に光学多層膜を形成したりして構成した色補正フィルムを用いているので、複雑な構成とすることなく簡便に色バランスの良い白色光源を提供することができ、液晶表示素子の色再現性を向上させることができるという効果を有する。
【0027】
また、このような本発明の構造を持った液晶照明装置とすることによって、種々の分光透過率特性を有するカラーフィルターを採用している種々のカラー液晶素子に対しても、色補正フィルムを交換するだけで容易に短期間に色バランスの整合を取ることができるために、液晶素子の設計が容易になると同時に製品開発納期が短縮されるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の液晶表示装置及び照明装置は、白色光源からカラー液晶素子に至る光路の一部に所定の顔料や染料を含んだ色補正手段を設ける構成とした。これにより、カラー液晶素子の駆動特性に影響を与えることなく減法混色による色補正が可能となり、カラー液晶素子の色再現性が向上する。
【0029】
本発明の液晶表示装置の基本構成を図1〜図3に基づいて説明する。図1は色補正手段である色補正板3が導光板2とカラー液晶素子4との間に設けられた構成を示している。図2は色補正手段3が白色光源1と導光板2との間に配置された構成を示している。図3は白色光源1と導光板2との間、および導光板2とカラー液晶素子4との間の両方に、色補正手段3a、3bが各々設けられた構成を示している。ここで、導光板2は白色光源1から入射した光をカラー液晶素子4へ照射する機能を備えている。
【0030】
色補正板3は、透明な基材の内部に黄色からオレンジ色に対応する波長帯域である570〜610nmの光を吸収する物質を含有させた構造である。これを導光板2に粘着接合して用いる場合は、基材の表面に粘着剤を塗布して形成する。含有させる材料は吸収させたい波長領域に応じて適切に選択する必要がある。また、その含有濃度は色補正板の厚みと関連が大きいため、基材の厚みと目的とする吸収強度に応じて決める。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明による液晶表示装置の実施例を、図面を参照しながら説明する。本発明の液晶表示装置の基本構成を図1、図2、図3に模式的に示す。
【0032】
本発明の照明装置では、青色LEDの単色光と、これを波長変換して生成した緑色光と、赤色LEDの単色光を用いた白色光源で照明された白色画像に対して、減法混色による色補正手段を用いて補正することにより視覚上問題ない品質で白色光を実現した。そして、この減法混色による色補正手段として、以下の実施例では、所定の顔料や染料を含んだ色補正フィルムを用い、上述の白色光源からカラー液晶素子に至る光路の一部にこの色補正フィルムを挿入した。このような構成により、カラー液晶素子4の駆動特性に影響を与えることなく減法混色による色補正ができる。カラー液晶素子の画素に形成されたカラーフィルターに、所定の色素や顔料を含んだ色補正膜を直接重ねて形成する方法なども考えられるが、この方法は液晶駆動特性に大きく影響を与える可能性もあり、色補正フィルムを配置することが好ましい。
【0033】
図1に示す実施例では色補正フィルム3が導光板2の照射端面とカラー液晶素子4との間に挿入されており、図2に示す実施例では色補正フィルム3が光源1と導光板側面の入射端面との間に挿入されており、図3に示す実施例では色補正フィルム(3a、3b)が光源1と導光板側面の入射端面との間、および、導光板2の照射端面とカラー液晶素子4との間の両方に挿入されている。
【0034】
図1の実施例の構成では、色補正フィルム3の挿入精度が光学系に最も悪影響を与え難い上に、ハンドリングに適した大きさとなるために取扱いが容易となる。ただし、色補正フィルム3の面内の面内での分光特性むらや分布の影響が出る虞があるので、これら分光特性むらや分布を充分に制御さることが望ましい。
【0035】
また、図2の実施例の構成では、面内での分光特性むらや分布の影響は出難いが、色補正フィルム3が微小となるために取扱いに充分注意することが望ましい。
【0036】
さらに、図3の実施例の構成では、色補正フィルム3a、3bを2枚挿入する場合は、光学特性の制御性に対して柔軟性が向上する。
【0037】
色補正フィルムの配置方法としては、色補正フィルム上に粘着剤を塗布形成することによって色補正フィルム3、3a、3bと導光板2とを粘着接合しても良いし、図示されていない保持枠によって導光板2と光源1やカラー液晶素子4との間に色補正フィルムを機械的に挟みこんで挿入しても良い。色補正フィルム3、3a、3bと導光板2とを粘着接合する構成では、色補正フィルムが搬送時の振動や衝撃などによって周りの素子とこすれあって傷つくことが少なくなると同時に、色補正フィルムの粘着接合された面における反射率を低減させることが可能となり、光の利用効率が向上するという利点がある。しかし、この場合は粘着部に気泡が入ると照明むらの原因となるために充分注意しなければならない。
【0038】
また、導光板2とカラー液晶素子4との間に挿入される色補正フィルム3は、カラー液晶素子4の表面に粘着接合しても良い。
【0039】
色補正フィルム3の構造としては、ポリエチレン(PET)やポリカーボネート(PC)などの透明な高分子フィルムを基材として、その内部に黄色からオレンジ色に対応する波長帯域である570〜610nmの光を吸収する顔料や染料を含有させたものを用い、これを導光板2に粘着接合して用いる場合は前記基材の表面に粘着剤を塗布して形成することができる。含有させる顔料や染料の材料は吸収させたい波長領域に対応して適切に選択する必要がある。また、その含有濃度は色補正フィルムの厚みと関連が大きいため、フィルム厚みと目的とする吸収強度に応じて決める。
【0040】
染料として1種類のみを用いる場合は、多くの場合、その染料が顕色する色の補色が吸収波長帯域となる。したがって、波長帯域や吸収強度などを制御するために複数の染料を基材に含有させて用いることが好ましい。
【0041】
色補正フィルム3の他の構造としては、酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの高屈折率材料と、二酸化ケイ素やフッ化マグネシウムなどの低屈折率材料とが交互に積層された光学多層膜をPETやPCなどの透明な高分子フィルムの表面上に形成したものがある。これを導光板2に粘着接合して用いる場合は、光学多層膜が形成されていない基材表面に粘着剤を塗布する。また、高屈折率材料と低屈折率材料各々の屈折率をn、n、適切に選んだ2つの波長をλ、λとしたとき、膜厚λ/4nの高屈折率材料と膜厚λ/4nの低屈折率材料を交互にM対積層した多層膜(Mは自然数)と、膜厚λ/4nの高屈折率材料と膜厚λ/4nの低屈折率材料を交互にN対積層(Nは自然数)した多層膜とを用いることが例示できる。これらの多層膜は真空蒸着法やイオンプレーティング法などで形成できる。この様な構成の色補正フィルムの分光特性は、高屈折率材料と低屈折率材料の選定と、積層対数MとNの決定、選択波長λ とλの選定によって容易に決定することができる。
【0042】
図9に、膜厚50μmのPETフィルム中に黄色を吸収する青色染料を含有させて得た色補正フィルムの分光透過率を示す。この色補正フィルムは、ピーク波長590nmで最大の吸収を示している。図1に示す構成の表示装置に、図9で示した分光透過率を有する色補正フィルムと、図5で示した発光スペクトルを有する光源とを組み合わせてカラー液晶装置に白色画像を表示させたところ、その輝度スペクトルは図10に示すようになった。図8と図10とを比較すると明らかなように、570〜610nmにかけての黄色からオレンジ色の強度が低減するとともに、青色光、緑色光、赤色光の強度を低下させることなく輝度スペクトルの補正がかけられ、若干青味が残るもののさらに良好な白色画像を表現することができることがわかった。この結果は、色補正フィルム3、3a、3bの挿入位置として、図1、図2、図3のいずれの実施形態の配置に色補正フィルタを挿入しても再現できた。ただし、図3に示す配置で挿入した2枚の色補正フィルム3a、3bのフィルム厚は他の場合の1/2である25μmとした。
【0043】
次に示す実施形態は、図10で得られた白色画像に残存していたわずかな青味を消滅させるための実施形態である。そのため、図10の実施形態で用いた色補正フィルムの他に図11に示す分光透過率を有する色補正フィルムを、厚さ50μmのPETフィルムにオレンジ色の染料を含有させることによって作製した。この色補正フィルムの分光透過率は波長500nmのところに小さな吸収ピークを有している。図10の分光透過率を有する色補正フィルムを図3に示す本発明における液晶照明装置の光源側の色補正フィルム3aとして用い、カラー液晶素子側の色補正フィルム3bとしては図9に示す分光透過率を有する色補正フィルムを用いた。このようにして、カラー液晶素子4に表示した白色画像の輝度スペクトルは図12のようになり、色補正フィルム1枚では若干青味が残っていた白色画像は、赤色光、緑色光、青色光の寄与に影響を与えることなく理想的な白色画像とすることができた。
【0044】
図12に示した実施例では、2種類の色補正フィルムを図3に示す実施形態に示された2箇所の位置に各々挿入したが、これら2種類の色補正フィルムを重ね合わせて配置することにより、図1や図2に示した構成にも適用できることは言うまでもない。
【0045】
さらに、本発明の照明装置の具体的な構成について説明する。
図13は、本発明の照明装置の実施例を模式的に示す組立て斜視図である。図示するように、導光板11の出射面側に色補正フィルム10が、背後側には第一の反射板12が設けられている。また、擬似白色LED14aと赤色LED14bはフレキシブル基板15に接続されており、ライトパイプ16に光を入射している。入射した光が照射面以外から漏れないように、ライトパイプ16の背後側には第二の反射板17が設けられている。これらの構成要素が支持枠13内に設けられている。
【0046】
擬似白色光LED14aと赤色LED14bとは、配線が施されたフレキシブル基板15の上に直接実装されている。ここで、擬似白色光LED14aとは、青色光LEDの出射面に蛍光体を形成したものであり、青色光LEDから出射する青色光を波長変換して緑色光および赤色光を発生させて擬似白色光を出射することができるLEDのことを意味する。これら擬似白色光LED14aと赤色LED14bの出射面は互いに対向しており、これらのLEDから出射した擬似白色光と赤色光とはライトパイプ16の両側端面からライトパイプ16内を導波して、導光板に向けて開口しているライトパイプの長手方向にある出射端面から出射される。
【0047】
ライトパイプ16はアクリルやPCなどの透明な高分子材料で成形された長い直方体になっており、このライトパイプ16内を導波する過程において、擬似白色光と赤色光とは充分に加法混色されて白色度の高い白色光としてライトパイプ16の出射端面から出射される。このような加法混色を効率良く行えるためと、ライトパイプ16からの光のもれを低減させるためにライトパイプ16の底面には第二の反射板17が配置されている。図13には明示されていないが、フレキシブル基板15のライトパイプ16に面する側の面にも反射率の高いAlやAgなどの金属膜を形成しておくことにより、このライトパイプ16内での擬似白色光と赤色光との混色は効果的に行うことができ、さらに照射光の利用効率も向上させることができる。さらに、ライトパイプ16からの出射光がより均一になるように、ライトパイプ16の出射面に対向する面には微小プリズム群を形成することもある。
【0048】
ライトパイプ16から導光板11に入射した白色光は、導光板11の底面に形成されている図示されない微小プリズム群や粗度分布を持った粗面によって、カラー液晶表示素子に面する側面から照射される。このときも、照射光の利用効率を向上させるために導光板11の上記微小プリズム群や粗面領域が形成されている裏面側に面するように、第一の反射板12が配置されている。
【0049】
そして、導光板11の液晶側照射面には色補正フィルム10が粘着接合されている。すなわち、図13で示す実施例は、図1で示した実施例と同様の構成を示している。
【0050】
これらの要素は支持枠13で支持固定されている。第一の反射板12、導光板11、および色補正フィルム10は各々重なるように配置されており、支持枠13に接着固定されている。また、擬似白色LED14aと赤色LED14bとが実装されているフレキシブル基板15、ライトパイプ16、第二の反射板17は各々重なるように配置されており、支持枠13に接着固定されている。そして、ライトパイプ16の出射端面と導光板11の入射端面とは互いに対向密着して配置されている。
【0051】
このように、本発明によれば、簡単な構造で薄型の白色光照明用導光板ユニットを構成することができ、薄型化・軽量化が進むカラー液晶素子に適した照明装置を提供することができた。
?ここで用いられている光源は、各図では簡略化のために1つにまとめて描かれているが、青色の単色光を発光する第一のLEDと、赤色の単色光を発光する第二のLEDとを有し、青色の単色光から波長変換によって生成した緑色光と、第一のLEDによって生成された青色光と、第二のLEDによって生成された赤色光とを調合する加法混色により白色光を得る白色光源である。
【0052】
ここでは、第一のLEDとしてInGaN系またはGaN系等の材料で形成された青色光を発光するLEDを用いており、第二のLEDとしてGaP系またはGaAlAs系混晶系等の材料で形成された赤色光を発光するLEDを用いている。この第一のLEDの発光波長は具体的には430〜470nmの範囲にあり、第二のLEDの発光波長は具体的には610〜670nmの範囲にある。
【0053】
第一のLEDからの青色光を波長変換して緑色光を得るために、第一のLEDの出射面には青色光を受けて青色光および緑色光を励起する蛍光体が形成されている。この蛍光体を形成する材料には、YAG(Yttrium−Alminium−Garnet)蛍光体、またはTb、Ce、EuおよびMnなどの添加物元素を発光中心とした酸化物などを用いることができる。
【0054】
図1、2、3において、白色光源1から出射された光は、導光板2の側端面である入射部から導光板2の内部に伝播される。導光板2の底面には、内部に伝播された光を均一に液晶表示素子4に照射するために、微小反射プリズム群、分布を持った粗面、あるいは、ホログラムパターンが形成されている。さらに、導光板2の底面の外側には図示されていない反射板が配置されており、底面側に逃げた光を再び液晶表示素子4側に戻して照明光を効率良く利用するようになっている。
【0055】
一方、液晶表示素子4は、ガラスセル内で液晶を狭持したマトリックス状の画素電極間に駆動電圧を印加することによって各画素を通過する光の偏光状態を制御する。そして、直交または平行に配置された一対の偏光板でこのセルを挟んでおくことによって、偏光状態に応じた光強度の透過光または反射光を得ることとなり、結果的に画像を表示する。
【0056】
液晶表示素子4としては、各画素1つ1つにTFT等のスイッチング素子を形成して駆動電圧を制御するアクティブマトリックス型液晶表示素子と、各画素を形成する透明電極に外部から直接駆動電圧を印加するパッシブマトリックス型液晶表示素子があり、上述した照明装置はどちらの方式の液晶表示素子にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明による液晶表示装置の基本構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明による液晶表示装置の他の構成例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明による液晶表示装置の他の構成例を模式的に示す断面である。
【図4】青色LEDと蛍光体を用いて加法混色によって得られた擬似白色光の発光スペクトルを例示するグラフである。
【図5】擬似白色光に赤色光を加法混色して得られた発光スペクトルを例示するグラフである。
【図6】カラー液晶素子に用いられる各RGBに対応したカラーフィルターの分光透過率を例示するグラフである。
【図7】図6に示した分光透過率のカラーフィルターが形成された液晶素子を図4に示した擬似白色光源で照明したときに表示する白色画像の輝度スペクトルを示すグラフである。
【図8】図6に示した分光透過率のカラーフィルターが形成された液晶素子を図5に示した発光スペクトルの白色光源で照明したときに表示する白色画像の輝度スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明に用いた色補正フィルムの分光透過率を示すグラフである。
【図10】図9に示す分光透過率の色補正フィルムと図5に示す発光スペクトルの光源を組み合わせてカラー液晶表示素子に表示させたときの白色画像の輝度スペクトルを示すグラフである。
【図11】本発明に用いた第二の色補正フィルムの分光透過率を示すグラフである。
【図12】図9の分光透過率を有する色補正フィルムと、図11に示す分光透過率の第二の色補正フィルムを色補正手段として用いたカラー液晶素子を表示させたときの輝度スペクトルを示すグラフである。
【図13】本発明による照明装置の構成を模式的に示す組立て斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1 白色光源
2 導光板
3、3a、3b 色補正フィルム
4 カラー液晶素子
10 色補正フィルム
11 導光板
12 第一の反射板
13 支持枠
14a 擬似白色LED
14b 赤色LED
15 フレキシブル基板
16 ライトパイプ
17 第二の反射板
【出願人】 【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
【住所又は居所】千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地
【出願日】 平成15年12月18日(2003.12.18)
【代理人】 【識別番号】100079212
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 義治

【公開番号】 特開2005−183139(P2005−183139A)
【公開日】 平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願番号】 特願2003−421373(P2003−421373)