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【発明の名称】 建設機械のポンプトルク制御装置
【発明者】 【氏名】古渡 陽一
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内
【氏名】荒井 康
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内
【氏名】中村 恵一郎
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内
【氏名】西村 正雄
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内
【課題】複数のエンジンの駆動に関連する要素それぞれの異常時におけるエンジンストールを防止することができる建設機械のポンプトルク制御装置の提供。

【解決手段】エンジン1の駆動に関連する要素を複数設定するとともに、これらの要素それぞれの異常を検出可能な検出手段を備え、車体制御コントローラ13が、複数の要素それぞれの異常に対応する異常コードA,B,Cと、これらの異常コードA,B,Cのそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルクET1,ET2,ET3、及び異なる最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3との関係を予め設定する設定手段と、この設定手段で設定された関係と、上述の検出手段で検出された要素の異常とに基づいて、該当する要素の異常に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を出力し、最大ポンプトルクに相当する制御信号をトルク調整手段を構成する電磁弁16に出力する出力手段とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、このエンジンによって駆動するメインポンプとを備えた建設機械に備えられ、
上記メインポンプの最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段と、上記エンジンの駆動に関連する要素の異常を検出する検出手段と、この検出手段で検出された上記要素の異常に応じて、エンジン最大トルクを所定の低い値のエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、この低い値のエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクとする制御信号を上記トルク調整手段に出力する車体制御コントローラとを含む建設機械のポンプトルク制御装置において、
上記エンジンの駆動に関連する要素を複数設定するとともに、上記検出手段が、これらの要素それぞれの異常を検出可能なものから成り、
上記車体制御コントローラが、上記複数の要素それぞれの異常と、これらの要素の異常のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定する設定手段と、この設定手段で設定された複数の要素それぞれの異常と、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出された要素の異常とに基づいて、該当する要素の異常に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力する出力手段とを含むことを特徴とする建設機械のポンプトルク制御装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記エンジンの駆動に関連する要素の異常を、異常コード化するとともに、
上記車体制御コントローラの上記設定手段が、上記要素の異常と異常コードの関係を予め設定する手段を含むとともに、上記異常コードのそれぞれと、これらの異常コードに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定するものから成り、
上記車体制御コントローラの上記出力手段が、上記設定手段で設定された上記要素の異常と異常コードとの関係、及び異常コードと、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出された上記要素の異常とに基づいて、該当する異常コードに相当するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力するものから成ることを特徴とする建設機械のポンプトルク制御装置。
【請求項3】
上記請求項1記載の発明において、
上記車体制御コントローラから出力される信号に応じて上記エンジンの燃料噴射量を制御するエンジンコントローラを備え、
上記エンジンの駆動に関連する要素が最大燃料噴射量を含み、
上記検出手段が上記最大燃料噴射量の低下を検出するものから成り、
この検出手段で検出された最大燃料噴射量の低下情報が、上記エンジンコントローラを介して上記車体制御コントローラに伝えられることを特徴とする建設機械のポンプトルク制御装置。
【請求項4】
上記請求項3記載の発明において、
上記車体制御コントローラの上記設定手段が、最大燃料噴射量の低下時における異なる最大燃料噴射量と、これらの最大燃料噴射量のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定するものから成り、
上記車体制御コントローラの上記出力手段が、上記設定手段で設定された異なる最大燃料噴射量と、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出され、上記エンジンコントローラを介して伝えられた低下情報に該当する最大燃料噴射量とに基づいて、該当する最大燃料噴射量に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力するものから成ることを特徴とする建設機械のポンプトルク制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に備えられ、エンジンの駆動に関連する要素の異常時に所定の低い値のエンジン最大トルクに制御するとともに、そのエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに制御することによりエンジンストールを防止することができる建設機械のポンプトルク制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、エンジンと、このエンジンによって駆動する油圧ポンプ、すなわちメインポンプとを備えた油圧ショベル等の建設機械に備えられ、メインポンプの最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段と、エンジンの駆動に関連する要素の異常、すなわちエンジンの回転数を制御するガバナ制御手段の故障を検出する検出手段と、このガバナ制御手段の故障に応じて、エンジンの回転数を下げてエンジン最大トルクを所定の低い値にするとともに、この低い値のエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクとする制御信号をトルク調整手段に出力するメインコントローラ、すなわち車体制御コントローラを備えたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−285970公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来技術は、ガバナ制御手段の故障時には、エンジン最大トルクを低下させるとともに、車体制御コントローラが低下したエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに制御し、エンジンストールを防止するようになっているが、エンジンの駆動に関連する要素としては、ガバナ制御手段の他に、ブースト圧センサの故障、大気圧センサの故障、エンジン制御系統の信号線の断線等、複数種の要素が存在する。
【0004】
すなわち、上述した従来技術では、ガバナ制御手段の故障時には、エンジンストールを生じさせないように最大ポンプトルクを制御して、最低限の作業の継続、例えば建設機械の移動などを実現させることができるものの、他のエンジンの駆動に関連する要素の異常には対応できない問題がある。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、複数のエンジンの駆動に関連する要素それぞれの異常時におけるエンジンストールを防止することができる建設機械のポンプトルク制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンによって駆動するメインポンプとを備えた建設機械に備えられ、上記メインポンプの最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段と、上記エンジンの駆動に関連する要素の異常を検出する検出手段と、この検出手段で検出された上記要素の異常に応じて、エンジン最大トルクを所定の低い値のエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、この低い値のエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクとする制御信号を上記トルク調整手段に出力する車体制御コントローラとを含む建設機械のポンプトルク制御装置において、上記エンジンの駆動に関連する要素を複数設定するとともに、上記検出手段が、これらの要素それぞれの異常を検出可能なものから成り、上記車体制御コントローラが、上記複数の要素それぞれの異常と、これらの要素の異常のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定する設定手段と、この設定手段で設定された複数の要素それぞれの異常と、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出された要素の異常とに基づいて、該当する要素の異常に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力する出力手段とを含むことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、エンジンの駆動に関連する複数の要素のうちの該当する要素に異常が生じたことが検出手段で検出されると、設定手段で設定された複数の要素の異常と、これらの複数の要素の異常に対応する異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクとの関係に基づいて、出力手段から、該当する最大ポンプトルクに相当する制御信号がトルク調整手段に出力される。
【0008】
これにより、該当するエンジンの駆動に関連する要素の異常に応じたエンジン最大トルク、また、そのエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに制御されて、エンジンストールを生じさせることなく、必要最低限の作業の継続を可能とすることができる。
【0009】
また本発明は、上記発明において、上記エンジンの駆動に関連する要素の異常を、異常コード化するとともに、上記車体制御コントローラの上記設定手段が、上記要素の異常と異常コードの関係を予め設定する手段を含むとともに、上記異常コードのそれぞれと、これらの異常コードに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定するものから成り、上記車体制御コントローラの上記出力手段が、上記設定手段で設定された上記要素の異常と異常コードとの関係、及び異常コードと、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出された上記要素の異常とに基づいて、該当する異常コードに相当するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力するものから成ることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記発明において、上記車体制御コントローラから出力される信号に応じて上記エンジンの燃料噴射量を制御するエンジンコントローラを備え、上記エンジンの駆動に関連する要素が最大燃料噴射量を含み、上記検出手段が上記最大燃料噴射量の低下を検出するものから成り、この検出手段で検出された最大燃料噴射量の低下情報が、上記エンジンコントローラを介して上記車体制御コントローラに伝えられることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記発明において、上記車体制御コントローラの上記設定手段が、最大燃料噴射量の低下時における異なる最大燃料噴射量と、これらの最大燃料噴射量のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクとの関係を予め設定するものから成り、上記車体制御コントローラの上記出力手段が、上記設定手段で設定された異なる最大燃料噴射量と、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上記検出手段で検出され、上記エンジンコントローラを介して伝えられた低下情報に該当する最大燃料噴射量とに基づいて、該当する最大燃料噴射量に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相当する上記制御信号を上記トルク調整手段に出力するものから成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複数のエンジンの駆動に関連する要素のそれぞれの異常時におけるエンジンストールを防止でき、したがって、このようなエンジンの駆動に関連する複数の要素のそれぞれの異常時における建設機械の駆動の継続を実現させることができ、従来に比べてエンジンの駆動に関連する要素の異常時の機能を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明に係る建設機械のポンプトルク制御装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態を示す油圧回路図である。本発明の一実施形態は、建設機械例えば油圧ショベルに備えられるものであり、この油圧ショベルは要部構成として、図1に示すように、エンジン1と、このエンジン1によって駆動する例えば可変容量型油圧ポンプ、すなわちメインポンプ2と、パイロットポンプ3と、タンク4とを備えている。
【0015】
また、メインポンプ2から吐出される圧油によって駆動するブームシリンダ、アームシリンダ等の図示しない油圧アクチュエータと、この油圧アクチュエータを操作する操作装置5と、メインポンプ2の傾転角を制御する傾転制御アクチュエータ6と、メインポンプ2の最大ポンプトルクを調整するトルク調整手段とを備えている。
【0016】
このトルク調整手段は、メインポンプ2の吐出圧の変化に拘わらず、最大ポンプトルクを一定に保つように傾転制御アクチュエータ6を制御するトルク制御弁7と、車体制御コントローラ13から出力される制御信号に応じて作動し、上述のトルク制御弁7のスプール7aをばね7bの力に抗して作動させる電磁弁16とを含んでいる。
【0017】
また、メインポンプ2の傾転角を検出する傾転センサ9と、操作装置5の操作に伴って出力されるパイロット圧を検出するパイロット圧センサ11と、エンジン1の目標回転数を指示するエンジン回転数指示手段、すなわち回転数指示器12とを備えている。
【0018】
また、上述したセンサ9,11、及び回転数指示器12からの信号を入力するとともに、記憶機能と、論理判断を含む演算機能とを有し、演算結果に応じた制御信号を出力する車体制御コントローラ13と、この車体制御コントローラ13から出力される制御信号に応じて、エンジン回転数を制御する燃料噴射ポンプ14を作動させる信号を出力するエンジン回転数制御手段、すなわちエンジンコントローラ15とを備えている。
【0019】
図3〜5は、図1に示す建設機械、すなわち油圧ショベルが保有する基本特性を示す図で、図3はポンプ吐出圧−押し除け容積特性(PQ特性に対応)、及びポンプ吐出圧−ポンプトルク特性を示す図、図4はPQ線図移動特性を示す図、図5は目標エンジン回転数−トルク特性を示す図である。
【0020】
この油圧ショベルが有する基本特性として、図3の(a)図に示すポンプ吐出圧P−押し除け容積qの関係、すなわち、ポンプ吐出圧P−押し除け容積qに相応する吐出流量Qの関係であるPQ線図20で示す特性を有する。このPQ線図20は、ポンプトルク一定線図21に相応する。また、図3の(b)図に示すように、ポンプ吐出圧P−ポンプトルクの関係であるPQ制御によるポンプトルク線図22で示す特性を有する。
【0021】
なお上述したようにメインポンプ2の吐出圧をP、押し除け容積をq、また、ポンプトルクをTp、機械効率をηmとすると、
Tp=(P×q)/(628×ηm) …………(1)
の関係にあることが知られている。
【0022】
また、この油圧ショベルが有する基本特性として、図4に示すように、PQ線図移動特性を有する。同図4中、23は目標エンジン回転数に基づく最大ポンプトルクに相応するPQ線図であり、24は前述した最大ポンプトルクよりも低い低トルク制御によるポンプトルクに相応するPQ線図である。後述のトルク制御処理をおこなうことにより、本来の最大ポンプトルクに相応するPQ線図23と、所定の低回転数n1に応じた低ポンプトルクに相応するPQ線図24との間を移動可能になっている。
【0023】
また、この油圧ショベルが有する基本特性として、図5に示すエンジン1の目標回転数−トルクの関係で示すエンジン最大トルク線図ETで示す特性、及びこのエンジン最大トルク線図ETを超えないように抑えられる最大ポンプトルク線図PTで示す特性を有する。最大ポンプトルクは、エンジン1の目標回転数が所定の低回転数n1のとき、最大ポンプトルク線図PT上の小さな値Tp1となり、エンジン1の目標回転数が、例えば定格回転数n2になると、最大ポンプトルク線図PT上の最大値Tp2となる。
【0024】
図5に示す最大ポンプトルク線図PT上で最大値Tp2となるときのPQ線図は、例えば図4のPQ線図23となり、図5に示す最大ポンプトルク線図PT上で小さな値Tp1となるときのPQ線図は、例えば図4のPQ線図24となる。
【0025】
図6は図1に示す油圧ショベルが保有するエンジン制御特性を示す図である。この油圧ショベルは、図6に示すように、エンジン制御特性として例えば電子ガバナ制御によって実現されるアイソクロナス特性を有している。
【0026】
なお、図示しないが、この一実施形態には、エンジン1の駆動に関連する複数の要素のそれぞれの異常を検出する検出手段、例えば電子ガバナの異常を検出する検出手段、大気圧センサの故障を検出する検出手段、ブースト圧センサの故障を検出する検出手段、エンジン制御系統に含まれる信号線、例えば車体制御コントローラ13とエンジンコントローラ15とを接続する信号線15aの断線を検出する検出手段等を備えている。
【0027】
また、車体制御コントローラ13は、上述したエンジン1の駆動に関連する複数の要素それぞれの異常と、これらの要素の異常のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルク、及びこれらの異なるエンジン最大トルクに応じた異なる最大ポンプトルクの関係を予め設定する設定手段と、この設定手段で設定された複数の要素それぞれの異常と、異なるエンジン最大トルク、異なる最大ポンプトルクの関係と、上述した検出手段で検出された要素の異常とに基づいて、該当する要素の異常に相応するエンジン最大トルクに制御する信号を、信号線13aを介してエンジンコントローラ15に出力するとともに、このエンジン最大トルクに応じた最大ポンプトルクに相応する制御信号を電磁弁16に出力する出力手段とを含んでいる。
【0028】
この一実施形態では、例えば上述したエンジン1の駆動に関連する異常を、異常コード化してあり、上述した車体制御コントローラ13の設定手段が、複数の要素それぞれの異常と異常コードとを対応づけて設定する手段も含んでいる。
【0029】
図2は、この一実施形態に備えられる車体制御コントローラ13の設定手段で設定されるエンジン目標回転数と、エンジン最大トルク、最大ポンプトルクの関係を示す図である。この図において、ETは図5に示した正常時のエンジン最大トルク、PTは図5に示した正常時の最大ポンプトルクである。ET1,ET2,ET3のそれぞれは、上述した異常コードに含まれる異常コードA、異常コードB、異常コードCのそれぞれに対応するように予め設定されたエンジン最大トルクである。これらのエンジン最大トルクは、該当する要素の異常を考慮して例えば経験的に設定される。また、PT1,PT2,PT3のそれぞれは、エンジン最大トルクET1,ET2,ET3のそれぞれに応じた異なる最大ポンプトルクであり、エンジンストールを生じさせないでポンプ馬力を有効に活用させ得るように予め設定されたものである。
【0030】
車体制御コントローラ13に含まれた出力手段は、上述の異常コードA,B,Cにそれぞれ相当するエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に制御する信号をエンジンコントローラ15に出力するとともに、該当するエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に応じた、すなわち異常コードA,B,Cのそれぞれに応じた最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3に相当する制御信号を電磁弁16に出力する。
【0031】
上述した各構成要素のうち、トルク制御弁7及び電磁弁16を含むトルク調整手段と、エンジン1の駆動に関連する複数の要素それぞれの異常を検出する図示しない検出手段と、車体制御コントローラ13とによって、本発明のポンプトルク制御装置の一実施形態が構成されている。
【0032】
図7は図1に示す一実施形態に備えられる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。以下、この図7に基づいて、この一実施形態のポンプトルク制御について説明する。
【0033】
今例えば、エンジン1の駆動に関連する要素の異常として代表的なものが3つ選択されており、これらの3つの異常のそれぞれは、該当する異常がエンジン1の駆動に影響を及ぼす程度が軽い順に、それぞれ異常コードA,B,Cと個別に対応付けられて、車体制御コントローラ13の設定手段に設定されているものとする。
【0034】
このような状態において、車体制御コントローラ13で、図7に示すように、はじめに異常コードを受信しているかどうか判断される(手順S1)。この判断は、エンジン1の駆動に関連する要素それぞれの異常を検出する図示しない検出手段から、異常に対応する信号が出力されていないかどうかによって判断される。ここで検出手段からの異常に対応する信号が車体制御コントローラ13に入力されておらず、異常コードが受信されていないと判断されたときは、エンジン1の駆動に関連する上述した代表的な3つの要素のいずれも正常に機能している状態である。このときには、エンジン最大トルクが図2のETに設定され、また最大ポンプトルクが正常時のエンジン最大トルクETに相応するPTに設定され(手順S2)、この最大ポンプトルクPTに相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16の制御部に出力される(手順S3)。
【0035】
このときには、車体制御コントローラ13から出力される制御信号により図1に示す電磁弁16が、ばね16aの力に抗して同図1の下段位置に切り換えられる。これによりトルク制御弁7の受圧室7cが電磁弁16を介してタンク4に連通する。したがって、このときにはトルク制御手段7のスプール7aは受圧室7bに与えられるポンプ圧に応じて摺動する状態となり、最大ポンプトルクは正常時の大きな最大ポンプトルクPTを確保できる。
【0036】
なお、このときのエンジン最大トルクは、車体制御コントローラ13の出力手段から信号線13aを介して出力される制御信号に応じて、エンジンコントローラ15が燃料噴射ポンプ14を制御することにより、正常時の大きなエンジン最大トルクETを確保できる。これらにより、掘削作業等の所望の作業を実施することができる。
【0037】
また、エンジン1の駆動に関連する異常を検出する図示しない検出手段からの異常に対応する信号が、車体制御コントローラ13に入力されており、この車体制御コントローラ13における図7に示す手順S1の判断で、異常コードを受信したと判断されたときは、その異常コードが異常コードAであるかどうか判断される(手順S4)。この判断で、異常コードAであると判断されたときは、エンジン最大トルクが図2のET1に設定され、このエンジン最大トルクET1に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、正常時のエンジン最大トルクETよりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET1となるように制御される。
【0038】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT1と設定され(手順S5)、このPT1に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S3)。これにより、電磁弁16は、ばね16aの力によりわずかに上段位置側に戻される。したがって、パイロットポンプ3から供給されるパイロット圧の一部が、電磁弁16を介してトルク制御弁7の受圧室7cに与えられる。これに応じて、トルク制御弁7のスプール7aは図1の左方向にわずかに摺動し、パイロットポンプ3のパイロット圧の一部が傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aに与えられ、メインポンプ2の傾転角は矢印30で示すように減少する。これにより最大ポンプトルクは図2に示した正常時の最大ポンプトルクPTよりもわずかに小さいPT1となる。
【0039】
図7の手順S4で異常コードがAでないと判断されたときは、異常コードがBであるかどうか判断される(手順S6)。この判断で、異常コードBであると判断されたときは、エンジン最大トルクが図2のET2に設定され、このエンジン最大トルクET2に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、エンジン最大トルクET1よりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET2となるように制御される。
【0040】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT2と設定され(手順S7)、このPT2に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S3)。これにより、電磁弁16は、ばね16aの力によりさらにわずかに上段位置側に戻される。したがって、パイロットポンプ3から供給されるパイロット圧の一部が、電磁弁16を介してトルク制御弁7の受圧室7cに与えられる。これに応じて、トルク制御弁7のスプール7aは図1の左方向にさらにわずかに摺動し、パイロットポンプ3のパイロット圧の一部が傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aに与えられ、メインポンプ2の傾転角は矢印30方向にさらに減少する。これにより最大ポンプトルクは図2に示した最大ポンプトルクPT1よりもわずかに小さいPT2となる。
【0041】
図7の手順S6で異常コードがBでないと判断されたときは、異常コードはCであり、エンジン最大トルクが図2のET3に設定され、このエンジン最大トルクET3に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、エンジン最大トルクET2よりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET3となるように制御される。
【0042】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT3と設定され(手順S8)、このPT3に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S3)。これにより、電磁弁16は、ばね16aの力によりさらにわずかに上段位置側に戻される。したがって、パイロットポンプ3から供給されるパイロット圧の一部が、電磁弁16を介してトルク制御弁7の受圧室7cに与えられる。これに応じて、トルク制御弁7のスプール7aは図1の左方向にさらにわずかに摺動し、パイロットポンプ3のパイロット圧の一部が傾転制御アクチュエータ6の受圧室6aに与えられ、メインポンプ2の傾転角は矢印30方向にさらに減少する。これにより最大ポンプトルクは図2に示した最大ポンプトルクPT2よりもわずかに小さいPT3となる。
【0043】
以上のように、この一実施形態によれば、エンジン1の駆動に関連する代表的な3つの要素のいずれかに異常が発生したときには、エンジン最大トルクは、異常コードA,B,Cのそれぞれに応じたエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に制御され、最大ポンプトルクは、これらのエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に応じた最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3に制御される。したがって、エンジン1の駆動に関連する代表的な3つの要素のいずれかに異常を生じたときであっても、エンジンストールを生じさせることなく、必要最低限の作業の継続が可能となり、このようなエンジン1の駆動に関連する要素の異常時の機能を大幅に向上させることができる。
【0044】
なお、上記では説明を簡単にするために、エンジン1の駆動に関連する要素の異常として代表的な要素を3つ挙げ、これらの3つの要素に対応させて3つの異常コードA,B,Cを例示したが、本発明はこれに限られず、エンジン1の駆動に関連する要素として4つ以上の要素を選択し、それぞれに対応させて4つ以上の異常コードを設定する構成にしてもよい。
【0045】
図8は本発明の他の実施形態に備えられる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
本発明の他の実施形態は、例えばエンジン1の駆動に関連する要素が最大燃料噴射量であり、エンジン1の駆動に関連する要素の異常を検出する検出手段が、上述の最大燃料噴射量の低下を検出するものから成り、この検出手段で検出された最大燃料噴射量の低下情報が、エンジンコントローラ15を介して車体制御コントローラ13に伝えられるようになっている。
【0047】
また例えば、車体制御コントローラ13の設定手段が、異常時の燃料噴射量を設定するものであって、しかも異なる最大燃料噴射量A1,B1,C1(A1>B1>C1)と、これらの最大燃料噴射量A1,B1,C1のそれぞれに対応する異なるエンジン最大トルクET1,ET2,ET3、及びこれらの異なるエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に応じた異なる最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3との関係を予め設定するものから成り、車体制御コントローラ13の出力手段が、上述の設定手段で設定された異なる最大燃料噴射量A1,B1,C1]と、異なるエンジン最大トルクET1,ET2,ET3、異なる最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3の関係と、上述の検出手段で検出され、エンジンコントローラ15を介して伝えられた低下情報に該当する最大燃料噴射量A1,B1,C1のいずれかとに基づいて、エンジン最大トルクを、該当する最大燃料噴射量A1,B1,C1に相応するエンジン最大トルクET1,ET2,ET3のいずれかに制御する信号を出力するとともに、これらのエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に応じた最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3に相当する制御信号をトルク調整手段を構成する電磁弁16に出力するものから成っている。なお、上述したエンジン最大トルクET1,ET2,ET3、最大ポンプトルクPT1,PT2,PT3のそれぞれは、例えば前述した図2に示すものである。その他の構成は、前述した実施形態と同等である。
【0048】
このように構成される他の実施形態におけるポンプトルク制御は以下のとおりである。
【0049】
車体制御コントローラ13で、図8に示すように、はじめに、最大燃料噴射量が所定量以下に低下しているかどうか判断される(手順S11)。この判断は、最大燃料噴射量の低下を検出する図示しない検出手段から、低下に対応する信号が出力されていないかどうかによって判断される。ここで検出手段からの最大燃料噴射量の低下に対応する信号が、車体制御コントローラ13に入力されておらず、低下に対応する信号が受信されていないと判断されたときには、最大燃料噴射量に問題がない場合である。このときには、エンジン最大トルクが正常時に得られる図2のETに設定され、また最大ポンプトルクが正常時のエンジン最大トルクETに相応するPTに設定され(手順S12)、この最大ポンプトルクPTに相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16の制御部に出力される(手順S13)。
【0050】
このときには、車体制御コントローラ13から出力される制御信号により図1に示す電磁弁16が前述のように制御され、トルク制御手段7のスプール7aは受圧室7bに与えられるポンプ圧に応じて摺動する状態となり、最大ポンプトルクは正常時の大きな最大ポンプトルクPTを確保できる。
【0051】
なお、このときのエンジン最大トルクは、車体制御コントローラ13の出力手段から信号線13aを介して出力される制御信号に応じて、エンジンコントローラ15が燃料噴射ポンプ14を制御することにより、正常時の大きなエンジン最大トルクETを確保できる。これらにより、掘削作業等の所望の作業を実施することができる。
【0052】
また、図示しない検出手段からの最大燃料噴射量の低下に対応する信号が、車体制御コントローラ13に入力されており、この車体制御コントローラ13における図8に示す手順S11の判断で、低下に対応する信号を受信したと判断されたときは、そのときの最大燃料噴射量が予め設定されるA1とみなし得るものになっているかどうか判断される(手順S14)。この判断で、最大燃料噴射量がA1に相当する量となったと判断されたときは、エンジン最大トルクが図2のET1に設定され、このエンジン最大トルクET1に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、正常時のエンジン最大トルクETよりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET1となるように制御される。
【0053】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT1と設定され(手順S15)、このPT1に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S13)。これにより、電磁弁16は前述したように作動し、メインポンプ2の傾転角が減少し、最大ポンプトルクは図2に示した正常時の最大ポンプトルクPTよりもわずかに小さいPT1となる。
【0054】
図8の手順S14で最大燃料噴射量がA1とみなし得るものではないと判断されたときは、予め設定されるB1とみなし得るものであるかどうか判断される(手順S16)。この判断で、B1に相当する量となったと判断されたときは、エンジン最大トルクが図2のET2に設定され、このエンジン最大トルクET2に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、エンジン最大トルクET1よりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET2となるように制御される。
【0055】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT2と設定され(手順S17)、このPT2に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S13)。これにより、電磁弁16は前述のように作動し、メインポンプ2の傾転角がさらに減少し、最大ポンプトルクは図2に示した最大ポンプトルクPT1よりもわずかに小さいPT2となる。
【0056】
図8の手順S16で最大燃料噴射量がB1とみなし得るものではないと判断されたときは、最大燃料噴射量がC1であり、エンジン最大トルクが図2のET3に設定され、このエンジン最大トルクET3に相応する制御信号が、車体制御コントローラ13の出力手段からエンジンコントローラ15に出力される。これにより、エンジン最大トルクET2よりもわずかに小さい図2に示すエンジン最大トルクET3となるように制御される。
【0057】
また、最大ポンプトルクは図2に示すPT3と設定され(手順S18)、このPT3に相応する制御信号が車体制御コントローラ13の出力手段から電磁弁16に出力される(手順S13)。これにより、電磁弁16は前述したように作動し、メインポンプ2の傾転角はさらに減少し、最大ポンプトルクは図2に示した最大ポンプトルクPT2よりもわずかに小さいPT3となる。
【0058】
以上述べた他の実施形態にあっては、エンジン1の駆動に関連する要素である最大燃料噴射量が所定量以下に低下したときには、エンジン最大トルクは、最大燃料噴射量A1,B1,C1のそれぞれに応じたエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に制御され、最大ポンプトルクは、これらのエンジン最大トルクET1,ET2,ET3に応じたPT1,PT2,PT3に制御される。したがって、前述した実施形態におけるのと同様に、エンジン1の駆動に関連する要素である最大燃料噴射量が低下する異常を生じたときであっても、エンジンストールを生じさせることなく、必要最低限の作業の継続が可能となり、このようなエンジン1の駆動に関連する要素である最大燃料噴射量の低下時の機能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の建設機械のポンプトルク制御装置の一実施形態を示す油圧回路図である。
【図2】図1に示す一実施形態に備えられる車体制御コントローラに設定されるエンジン目標回転数と、エンジン最大トルク、最大ポンプトルクの関係を示す図である。
【図3】図1に示す一実施形態が保有する基本特性のうちのポンプ吐出圧−押し除け容積特性(PQ特性に対応)、及びポンプ吐出圧−ポンプトルク特性を示す図である。
【図4】図1に示す一実施形態が保有する基本特性のうちのPQ線図移動特性を示す図である。
【図5】図1に示す一実施形態が保有する基本特性のうちのエンジン目標回転数−トルク特性を示す図である。
【図6】図1に示す一実施形態が保有するエンジン制御特性を示す図である。
【図7】図1に示す一実施形態に備えられる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態に備えられる車体制御コントローラにおける処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 エンジン
2 メインポンプ
3 パイロットポンプ
4 タンク
5 操作装置
6 傾転制御アクチュエータ
6a 受圧室
6b 受圧室
6c スプール
7 トルク制御弁(トルク調整手段)
7a スプール
7b ばね
7c 受圧室
7d 受圧室
13 車体制御コントローラ
13a 信号線
14 燃料噴射ポンプ
15 エンジンコントローラ
15a 信号線
16 電磁弁(トルク調整手段)
16a ばね
20 PQ線図
21 ポンプトルク一定線図
22 ポンプトルク線図
ET エンジン最大トルク
ET1 エンジン最大トルク
ET2 エンジン最大トルク
ET3 エンジン最大トルク
PT 最大ポンプトルク
PT1 最大ポンプトルク
PT2 最大ポンプトルク
PT3 最大ポンプトルク
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【住所又は居所】東京都文京区後楽二丁目5番1号
【出願日】 平成15年9月24日(2003.9.24)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎

【識別番号】100093492
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 市郎

【識別番号】100087354
【弁理士】
【氏名又は名称】市村 裕宏

【識別番号】100102428
【弁理士】
【氏名又は名称】佐竹 一規

【公開番号】 特開2005−98185(P2005−98185A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2003−331878(P2003−331878)