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【発明の名称】 蒸気タービンプラント及びその運転方法
【発明者】 【氏名】飯 島 博 光
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内
【氏名】鈴 木 敏 和
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内
【課題】加減弁の絞り損失低減を図ることで高効率運転が出来、系統追従が可能なガバニング方式を有する蒸気タービンプラント及びその運転方法を得ること。

【解決手段】互いに仕切りによって区画された複数のノズル室を周方向に配設するとともに、各ノズル室に独立に制御可能な加減弁を設け、系統追従するための調速段としてノズルガバニングを行う蒸気タービンプラントにおいて、上記加減弁は、上記加減弁の全てを全開として定格出力を発生させたとき定格圧力となるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに仕切りによって区画された複数のノズル室を周方向に配設するとともに、各ノズル室に独立に制御可能な加減弁を設け、当該加減弁の開閉制御により主蒸気流量を制御する蒸気タービンプラントにおいて、上記加減弁は、上記加減弁の全てを全開として定格出力を発生させたとき定格圧力となるように構成したことを特徴とする蒸気タービンプラント。
【請求項2】
請求項1記載の蒸気タービンプラントの運転方法において、加減弁の一部を全閉とし残りを全開とした状態で定格圧力以上の圧力までの変圧運転を行う工程と、前記加減弁のうち全閉とされた加減弁を前記定格圧力以上の圧力で一定となるように開閉制御する工程とを有することを特徴とする、蒸気タービンプラントの運転方法。
【請求項3】
請求項1記載の蒸気タービンプラントの運転方法において、加減弁の一部を全閉とするとともに残りの加減弁を全開とし、定格圧力以上の圧力にて運転を行うことを特徴とする、蒸気タービンプラントの運転方法。
【請求項4】
請求項2記載の蒸気タービンプラントの運転方法において、定格圧力以上の圧力は、加減弁の全てを全開として飲み込み最大流量にて運転した場合の圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする、蒸気タービンプラントの運転方法。
【請求項5】
請求項3記載の蒸気タービンプラントの運転方法において、定格出力にて運転が行われることを特徴とする、蒸気タービンプラントの運転方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンプラント及びその蒸気タービンの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蒸気タービンのガバニング方式としては、初段ノズル入口部に、互いに仕切りによって区画された複数のノズル室を周方向に配設するとともに、各ノズル室に独立に制御可能な加減弁を設け、上記加減弁の開閉制御により主蒸気流量を制御するノズルガバニング方式と、初段ノズル入口部に環状のノズル室を設けそのノズル室に少なくとも一つの加減弁を設け、その加減弁を経て上記ノズル室に供給された主蒸気を全周からタービンに送入するスロットルガバニング方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は上記ノズルガバニング方式の初段ノズル入口部の概略構造を示す図であり、互いに仕切りによって区画された第1のノズル室1、第2のノズル室2、第3のノズル室3、第4のノズル室4が周方向に配設されており、各ノズル室1、2、3、4に独立に制御可能な加減弁1a、2a、3a、4aが設けられ、各加減弁1a、2a、3a、4aの開閉制御により主蒸気流量が制御される。
【0004】
一方、図7は上記スロットルガバニング方式の初段ノズル入口部の概略構造を示す図であり、環状のノズル室5に例えば一つの加減弁6或いは同時に開閉される複数の加減弁が設けられ、その加減弁6等により制御された主蒸気がタービンに全周から均一に送入されるようにしてある。
【0005】
図8は上記従来のノズルガバニング方式の標準的な運用を示す図であり、加減弁1a、2a、3aが全開された後、約90%主蒸気流量において加減弁4aが開き始め、100%流量(定格流量)を超える飲み込み最大流量時には全ての加減弁が全開状態になり、定格条件での主蒸気流量でも、定格流量を超える飲み込み最大流量時でも定格圧力となるような加減弁設計であり、定格主蒸気流量に対して加減弁全開時の飲み込み流量に余裕のある加減弁としてある。
【0006】
また、図9は上記従来のスロットルガバニング方式の標準的な運用を示す図であって、加減弁6の全開で主蒸気圧力は非制御での運転であり、加減弁6の全開で100%流量(定格流量)で定格圧力となり、飲み込み最大流量時にはオーバープレッシャーとなるようにしてある。
【特許文献1】特開平1−130003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来のノズルガバニング方式の蒸気タービンプラントでは、定格条件での主蒸気流量でも、定格流量を超える飲み込み最大流量でも定格圧力となるような加減弁設計であり、定格主蒸気流量に対して加減弁全開時の飲み込み流量に余裕のある加減弁であるため、定格条件では加減弁の絞り損失が発生する等の問題があった。
【0008】
また、従来のスロットガバニング方式の蒸気タービンプラントでは、加減弁全開で主蒸気圧力は非制御での運転であるため、系統追従時におけるガバナフリー運転では微妙な調整ができず十分対応出来ない欠点があった。特に、ガバナフリー運転が必要なときには加減弁絞りによる運転となるが、全周絞りのためノズルガバニングに比べ絞り損失が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明では、加減弁の絞り損失低減を図ることで高効率運転が出来、系統追従が可能なガバニング方式を有する蒸気タービンプラント及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、互いに仕切りによって区画された複数のノズル室を周方向に配設するとともに、各ノズル室に独立に制御可能な加減弁を設け、当該加減弁の開閉制御により主蒸気流量を制御する蒸気タービンプラントにおいて、上記加減弁は、上記加減弁の全てを全開として定格出力を発生させたとき定格圧力となるように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る蒸気タービンプラントの運転方法において、加減弁の一部を全閉とし残りを全開とした状態で定格圧力以上の圧力までの変圧運転を行う工程と、前記加減弁のうち全閉とされた加減弁を前記定格圧力以上の圧力で一定となるように開閉制御する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る蒸気タービンプラントの運転方法において、加減弁の一部を全閉とするとともに残りの加減弁を全開とし、定格圧力以上の圧力にて運転を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項2に係る蒸気タービンプラントの運転方法において、定格圧力以上の圧力は、加減弁の全てを全開として飲み込み最大流量にて運転した場合の圧力よりも小さい圧力であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る蒸気タービンプラントの運転方法において、定格出力にて運転が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上述のように構成したので、加減弁の絞り損失を低減出来、プラントの高効率運転が可能となる。また、ガバナフリー運転においては、加減弁絞りにより系統追従に必要な絞りを持たせ、任意の出力でのガバナフリー運転が可能となる等の効果を奏する。また、少なくとも一つの加減弁が絞り状態あるいは完全閉のため主蒸気圧力が定格圧力よりオーバープレッシャーとなり、ヒートサイクル上高効率運転が可能となる等の効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。ノズルガバニング方式にて、各ノズル室1、2、3、4に設けられ、それぞれ独立に制御可能な加減弁1a、2a、3a、4aの全てが全開のときにおいて、定格出力で定格圧力となるような加減弁設計としてある。すなわち、上記加減弁1a、2a、3a、4aの全てが全開状態にされた後、ボイラ側からの蒸気流量が増大すると、それに応じて主蒸気圧力が増加し、定格流量すなわち定格出力時には点(A)で示す定格圧力となる加減弁設計としてある。上記定格流量から飲み込み最大流量に蒸気流量がさらに増加すると、その流量増加に応じて主蒸気圧力も増加し、飲み込み最大流量時にオーバープレッシャー状態となる。しかして、上記加減弁1a、2a、3a、4aの全てが全開状態にされた後は、全負荷帯で純粋に流量に比例した圧力となる純変圧運転となる。
【0018】
しかして、定格出力時には定格圧力で、しかも加減弁全開の運転となるので、定格出力での加減弁の絞り損失を十分低減することができ、プラントの高効率運転を行うことができる。
【0019】
図2は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、加減弁全開で定格出力で定格圧力となる加減弁を使用したプラントにおけるノズルガバニングにおいて、、第4の加減弁4aが主蒸気流量80%付近において開き始め、飲み込み最大流量時に全開するような運転を行う。
【0020】
しかして、上記第4の加減弁4aが開放開始時点では主蒸気圧力が点(B)で示す所定のオーバープレッシャーとなり、上記加減弁4aの開方向の制御により主蒸気圧力は上記オーバープレッシャーに維持される。そして、上記加減弁4aが全開する飲み込み最大流量時になると主蒸気圧力は点(C)で示す状態となり、点(B)から点(C)の範囲では一定圧力に維持される。したがって、上記加減弁4aの絞りすなわち開度(点(D))に応じて、点(B)から点(C)に対応する範囲の任意の出力でガバナフリー運転を行うことができる。
【0021】
ところで、上記実施の形態においては、3つの加減弁1a、2a、3aを全開し、第4の加減弁4aのみを主蒸気流量80%付近から開き始めるようにしたものを示したが、第3の加減弁3aも中間の主蒸気流量時点で開き始めるようにすることにより、さらに上記ガバナフリー運転可能範囲を拡げることもできる。
【0022】
このように、本実施の形態においては、ガバナフリー運転時には少なくとも一つの加減弁が開閉制御されるので、ガバナフリー運転時における絞り損失は一部の加減弁部においてのみ生じ、加減弁の絞り損失を低減させることができ、さらにこのとき主蒸気圧力がオーバープレッシャーとなることで、ヒートサイクル上高効率運転が可能となる。
【0023】
図3は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、第1〜第3の加減弁1a〜3aが全開しており、系統追従に必要な絞りを持った運転点(G)(図においては定格出力時)において第4の加減弁4aが開き始めるようにしたものである。しかして、この場合には上記点(G)に対応する点(F)において主蒸気圧力が前記オーバープレッシャーとなり、この点(F)から飲み込み最大流量時までは、加減弁4aの制御により主蒸気圧力が前記オーバープレッシャーに維持され、この範囲でガバナフリー運転を行うことができる。
【0024】
ところで、系統追従に必要な絞りを持った運転点において、第4の加減弁4aが開き始めるようにしたので、上記運転点においては一つの加減弁4aのみが完全閉で、残りの加減弁が全開となるバルブベストポイントとなる。したがって、上記系統追従に必要な絞りを持った運転点(G)で運転を行うことにより、絞り損失を生じさせないことができ、しかもこのとき主蒸気圧力がオーバープレッシャーとなることで、ヒートサイクル上高効率運転を行うことができる。
【0025】
なお、上記実施の形態においては、上記運転点において一つの加減弁4aのみが完全閉で、残りの加減弁が全開となるものを示したが、上記運転点において一つ以上の加減弁を完全閉、他の加減弁を全開とすることもできる。
【0026】
図4は、本発明の第4の実施の形態を示す図であり、第1〜第3の加減弁1a〜3aが全開状態において圧力上昇させた場合、第4の加減弁4aを、主蒸気圧力が定格圧力以上、最大飲み込み流量時の圧力未満となる点(I)に対応する時点で開き始め、最大飲み込み流量未満の流量に対応する点(J)に対応する時点に全開となるように制御する。しかして、上記点(I)から点(J)の範囲では加減弁4aの絞り量制御により主蒸気圧力が一定値に制御され、この間の任意の出力においてガバナフリー運転を可能としたものである。
【0027】
このように、上記第4の実施の形態では、一つの加減弁を中間開度(K)へ絞り、残りの加減弁は全開とし、系統追従に必要な最低限の加減弁絞りを有するようにすることで、上記点(I)と点(J)の範囲内の任意の出力でガバナフリー運転が可能となる。また、絞り損失を部分的にかつ最低限のみ生じることにより、加減弁絞り損失を低減可能である。さらに、このとき主蒸気圧力がオーバープレッシャーとなることで、ヒートサイクル上高効率運転が可能となる。
【0028】
なお、上記第4の実施の形態においては、第4の加減弁4aのみに系統追従に必要な最低限の加減弁絞りを持たせたものを示したが、第3の加減弁も中間開度に絞るようにしてもよい。また、残りに加減弁は必ずしも全開でなく必要に応じて中間開度とすることもできる。
【0029】
図5は、本発明の第5の実施の形態を示す図であり、図4の変形例を示す図である。すなわち、系統追従に必要な最低限の絞りを持った運転点(M)に対応する時点において第4の加減弁4aを開き始めるようにしたもので、その他の点は第4の実施の形態と同一である。
【0030】
上記第5の実施の形態では、一つの加減弁を完全閉、残りの加減弁は全開とし、系統追従に必要な最低限の加減弁絞りを有することで、任意の出力でガバナフリー運転が可能となる。また、系統追従に必要な最低限の絞りを持った運転点でバルブポイントとなり絞り損失を生じさせないことが可能となる。さらに、このとき主蒸気圧力がオーバープレッシャーとなることで、ヒートサイクル上高効率運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の蒸気タービンプラントの第1の実施の形態を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す図。
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す図。
【図5】本発明の第5の実施の形態を示す図。
【図6】ノズルガバニング方式の初段ノズル入口部の概略構造を示す図。
【図7】スロットルガバニング方式の初段ノズル入口部の概略構造を示す図。
【図8】従来のノズルガバニングの標準的な運用を示す図。
【図9】従来のスロットルガバニングの標準的な運用を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1、2、3、4 ノズル室
1a、2a、3a、4a 加減弁
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成15年11月21日(2003.11.21)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之

【識別番号】100096895
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 淳平

【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁

【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行

【公開番号】 特開2005−155380(P2005−155380A)
【公開日】 平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願番号】 特願2003−392735(P2003−392735)