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【発明の名称】 鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法
【発明者】 【氏名】吉田 剛之
【住所又は居所】兵庫県尼崎市鶴町1番地 日新製鋼株式会社技術研究所内

【氏名】朝田 博
【住所又は居所】兵庫県尼崎市鶴町1番地 日新製鋼株式会社技術研究所内

【氏名】仲子 武文
【住所又は居所】兵庫県尼崎市鶴町1番地 日新製鋼株式会社技術研究所内

【要約】 【課題】ロックボルトを構成する異形管M外面にスリーブSを被着したとき、両者の間に空隙Gがあったとしても、当該隙間へのロックボルト膨張用加圧流体の流出を防ぎ、ロックボルト内部に確実に圧力流体を作用させて効率よくロックボルトを膨張させる。

【解決手段】異形管M両端部外面に密着して被せられたスリーブSと、内面が異形管端側から平坦部を形成して互いに密接した異形管端部とが、端部で互いに溶接密封されている管端構造を有する鋼管膨張型ロックボルトの一端に形成した流体注入孔に、円筒状のピンRを前記流体注入孔の内壁に密着させて挿入した後、当該ピンRを経由して流体を圧入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異形管両端部外面に密着して被せられたスリーブと、内面が異形管端側から平坦部を形成して互いに密接した異形管端部とが、端部で互いに溶接密封されている管端構造を有する鋼管膨張型ロックボルトの一端に形成した流体注入孔に、円筒状のピンを前記流体注入孔の内壁に密着させて挿入した後、当該ピンを経由して流体を圧入することを特徴とする鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法。
【請求項2】
異形管として、Zn系めっき鋼管を用いる請求項1に記載の鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法。
【請求項3】
ピンとして、Cu合金からなるものを使用する請求項1または2に記載の鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体を圧入し、流体圧で管体を半径方向に膨張させることによって岩盤に設けた孔内に管体を充満させる鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管膨張型ロックボルトは、特許文献1に記載されているように、軸方向にわたって1以上の膨張用凹部を有する中空の異形管である。両端が密閉された鋼管膨張型ロックボルトBは岩盤や地盤Eに削孔された孔に挿入され(図1参照)、圧力流体供給装置Pから流体が圧入されて膨張され、孔に密着されている(図2参照)。
異形管両端部の密閉封止するために、本発明者らは、特許文献2で、異形管Mの両端部に、円筒状スリーブSを取り付け(図3,4参照)、該スリーブSが取り付けられた管端部に、先端に円錐形状部を有する金型D(図5参照)を押し当てて管端部を加工した(図6参照)後、管端とスリーブ内面とを溶接する(図7参照)方法を提案した。
【0003】
そして、スリーブSが取り付けられ、溶接で密閉されたロックボルトB端部に流体注入孔Hが、ドリルにより穿孔されたり、打抜きにより穿たれている(図7参照)。
さらに、流体注入孔Hが形成されたロックボルトBは岩盤や地盤Eに削孔された孔に挿入され、そのスリーブSに、特許文献3,4等で提案されているような加圧・膨張用シールヘッドが被せられて加圧・膨張されている。
【特許文献1】特公平2−520号公報
【特許文献2】特願2002−224906号
【特許文献3】特公平2−5238号公報
【特許文献4】特願2002−173318号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋼管膨張型ロックボルトを用いての岩盤や地盤の補強工事は、上記のように、一端にドリルもしくは打抜きにより設けられた流体注入孔を有するロックボルトを、岩盤や地盤に削孔された孔の中に挿入後、圧力流体供給装置からの圧力流体を前記流体注入孔を経由して異形管内部に圧入し、流体圧で管体を半径方向に膨張させ、岩盤や地盤に設けられた孔に前記管体を密着・充満させている。
しかしながら、異形管やスリーブの寸法精度が悪い場合や、密閉するための加工・溶接工程あるいは流体注入孔の穿孔工程での不具合により、スリーブS内面と異形管M外面とが密着せず、両者の間に空隙Gが生じている場合がある(図8参照)。スリーブ内面と異形管外面との間に空隙がある状態で、流体注入孔から流体を圧入しようとすると、図9に見られるように、水漏れが発生し、ロックボルトに圧力が掛からずロックボルト異形管を膨張させることができない場合がある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、ロックボルト異形管外面とスリーブとの間に空隙があったとしても、当該隙間への流体の流出を防ぎ、ロックボルト内部に確実に圧力流体を作用させて効率よく膨張させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の鋼管膨張型ロックボルトの水漏れ防止方法は、その目的を達成するため、異形管両端部外面に密着して被せられたスリーブと、内面が異形管端側から平坦部を形成して互いに密接した異形管端部とが、端部で互いに溶接密封されている管端構造を有する鋼管膨張型ロックボルトの一端に形成した流体注入孔に、円筒状のピンを前記流体注入孔の内壁に密着させて挿入した後、当該ピンを経由して流体を圧入することを特徴とする。
異形管としては、Zn,Zn−Al系,Zn−Al−Mg系などのZn系めっき鋼管からなるものが好ましい。ピンとしてCu合金を使用すると、ピンの流体注入孔への密なる挿入が行いやすい。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、スリーブと異形管を貫通させて設けた流体注入孔に、当該注入孔の内壁に密着させた状態で円筒状ピンを挿入し、当該ピンを経由してロックボルト膨張用流体を圧入しているので、ロックボルト異形管外面とスリーブとの間に空隙があったとしても、この間からロックボルト膨張用流体が漏れ出ることはなく、ロックボルト膨張用流体は確実にロックボルトの膨張のために作用される。したがって、鋼管膨張型ロックボルトの加圧・膨張作業、すなわち、岩盤や地盤の補強工事を効率良く行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず、鋼管膨張型ロックボルトの製造方法から説明する。
軸方向にわたって1以上の膨張用凹部を有する中空異形管の両端に、円筒状スリーブを圧入(図3参照)して被着する(図4参照)。異形管およびそれに被着するスリーブとしては、ロックボルトとしても使用時の耐食性を考慮すると、耐食性が良好なZn,Zn−Al系,Zn−Al−Mg系などのZn系めっき鋼管を用いることが好ましい。また、円筒状のスリーブSを圧入してロックボルトBを構成する異形管M端部の内面を変形させるために、押圧金具Dとして、図5に示すような、円柱形状部2と円錐形状部1が一体に組み合わされた形状のものを使用し、円柱形状部2の作用により異形管1の内面が管端側から平坦部を形成して互いに密着させる(図6参照)。
押圧金具Dを抜いた後も、異形管Mの内面同士が、平坦部を形成して密着しているとともに、異形管Mの外面はスリーブSの内面に密着されている。この状態で、異形管M同士および異形管M管端とスリーブSの内面を溶接接合する。その後、スリーブSと異形管Mを貫通して流体注入孔Hをドリル等で穿設する。
【0008】
溶接後に流体注入孔を設けるとき、異形管やスリーブの寸法精度の影響により、あるいは密閉して溶接する際の加工や溶接の影響を受けた歪みの発生により、スリーブ内面と異形管外面とが密着せず、両者の間に空隙Gが生じている場合がある。このため、前記したように、ロックボルトの加圧・膨張の際に不具合を発生しやすい。そこで、本発明はスリーブ内面と異形管外面との間に形成された空隙Gを塞ぐために、スリーブSと異形管Mの両者を貫通する流体注入孔Hの内壁を覆うように、中空の円筒状ピンR(図10参照)を挿し込む(図11参照)。当該中空円筒状ピンRは、スリーブと異形管の合計肉厚よりも僅かに長く、流体注入孔Hの内径と同寸の外径もしくは僅かに太い外径を有するものが好ましい。このような寸法のピンを流体注入孔に打ち込んで、ピンの外面を流体注入孔の内面に密着させる。
【0009】
流体注入孔Hに円筒状ピンRを挿し込むことにより、スリーブ内面と異形管外面との間に空隙が形成されていても、当該隙間は異形管内部と遮断され、円筒状ピンを経由されて異形管内部に圧入された流体が前記隙間を通って漏れることはない。したがって圧入された流体は異形管の膨張に有効に利用され、ロックボルトは効率的に加圧・膨張される。
また、円筒状ピンを流体注入孔の内壁に対して密に挿入するために、流体注入孔を異形管の内面に向けて先細形状にテーパーを設けるとともに、ピンも先細形状にテーパーを設けたものとし、打ち込むことが好ましい。また、流体注入孔の内面およびピン外面に螺子溝を設け、ピンを流体注入孔に対してねじ込むことも有効である。
さらに、ピンの材質を、鋼管よりも軟らかい銅合金あるいはアルミニウム合金とし、その外径を流体注入孔の内径と同じかあるいは内径よりも僅かに大きくして流体注入孔の中に打設等で圧入すると、ピンが変形して比較的小さな圧力でピンを流体注入孔に挿し込むことができ、ピンと流体注入孔との密着性もさらに向上する。
【実施例】
【0010】
両面がZnめっきされた板厚2mmのロックボルト用異形管の管端の圧力水注入側に外径41.3mm,内径33.0mm,長さ70mmからなる400N級の市販引き抜き鋼管製のスリーブを圧入した。異形管の他端封止側には、外径38.1mm,内径33.0mm,長さ70mmの市販引き抜き鋼管製のスリーブを圧入した。
スリーブを圧入したZnめっき製ロックボルト用異形管の両端に、先端角度45度の円錐形状部1に、高さが約7.5mmで外径が24.3mmの円柱形状部2と、スリーブ内径と同じ径で厚みが7.5mmのスペーサー3を組み合わせた金型D(図5参照)を押圧して、異形管端部を加工(図6参照)した後、溶接によって封止を行った。
【0011】
次に、直径3mmのドリルにより、スリーブ厚さ4.15mmと異形管の厚さ2mmを合計した6.15mm分の深さの流体注入孔を穿ち、長さ6.5mm,外径3mm,内径1mmのCuのピンを前記流体注入孔にハンマーで叩き込んだ。
流体注入孔にピンを挿し込んだスリーブに、特願2002−173318号で提案した加圧・膨張用シールヘッドを被せ、前記ピンを経由して水を圧入した。
ロックボルト内に圧力水を徐々に供給し、ロックボルト内の圧力が30MPaに達するまでに高めても、途中で水が漏れるようなことはなかった。すなわち、流体注入孔に挿し込んだピンに漏水防止効果があることを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】鋼管膨張型ロックボルトによる地盤の補強態様を説明する図
【図2】拡管の前後で、圧力の係り方を説明する図
【図3】ロックボルトの両端にスリーブを被せる態様を説明する図
【図4】スリーブを被せた後のロックボルト端部の断面図
【図5】ロックボルト端部に溶接継手部を形成するための金具形状を説明する図
【図6】ロックボルト端部に溶接継手部を形成する態様を説明する図
【図7】ロックボルト端部の構造を説明する断面図
【図8】ロックボルト端部のスリーブ内側と異形管外側との間に形成される隙間を説明する断面図
【図9】隙間を通って水が漏れる態様を説明する図
【図10】本発明で使用するピン形状を説明する図
【図11】ロックボルト端部に設けた流体注入孔にピンを挿し込んだ態様を説明する図
【符号の説明】
【0013】
B:鋼管膨張型ロックボルト E:岩盤,地盤 P:圧力流体供給装置
S:スリーブ M:異形管 D:金型 H:流体注入孔 G:隙間
R:ピン
【出願人】 【識別番号】000004581
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番1号
【出願日】 平成15年8月11日(2003.8.11)
【代理人】 【識別番号】100092392
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 亘

【識別番号】100116621
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 萬里

【公開番号】 特開2005−61002(P2005−61002A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−291188(P2003−291188)