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【発明の名称】 減勢工フレーム
【発明者】 【氏名】竹村 茂雄
【住所又は居所】埼玉県朝霞市根岸台3−15−1 積水化学工業株式会社内

【氏名】田中 正
【住所又は居所】埼玉県朝霞市根岸台3−15−1 積水化学工業株式会社内

【要約】 【課題】既設のマンホールの斜壁部を取り外すことなく搬入が可能で、また、マンホールの大きさが変わっても容易に対応が可能な減勢工フレームを提供する。

【解決手段】下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢する減勢工に使用されるフレームであって、流入口から流出口に向けて、流入口からの水流を幅方向に広げて下方に導く減勢面を有する減勢部と減勢部に続く広幅流路部と流出口近くの流路上に堰が配置された流出部とを有し、それぞれの部分が流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢する減勢工に使用されるフレームであって、流入口から流出口に向けて、流入口からの水流を幅方向に広げて下方に導く減勢面を有する減勢部と減勢部に続く広幅流路部と流出口近くの流路上に堰が配置された流出部とを有し、それぞれの部分が流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されていることを特徴とする減勢工フレーム。
【請求項2】
堰の略中央部に下面側が流路面と一致する流路方向の貫通孔またはスリットが設けられていることを特徴とする請求項1記載の減勢工フレーム。
【請求項3】
広幅流路部が流路の方向と直行する方向に少なくとも二箇所で組み付け可能に分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の減勢工フレーム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)などの管渠から放流される高速水流を減勢するのに用いられる減勢工フレームに関し、さらに詳しくは、既設のマンホールに搬入して装着可能な減勢工フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
傾斜地に配管された下水管などから放流される下水は高速水流となるため、そのまま放流すると、公共管やポンプ塔などの施設を損傷するおそれがある。このため高速水流のエネルギーを減勢する設備を設ける必要がある。
【0003】
高速水流の放流水脈を減勢する設備として減勢工が知られている。減勢工としては、減勢槽の内部に堰を設け、傾斜下水管などの管渠から減勢槽内に流出する水流の運動エネルギーを跳水現象により減勢させるものである。
例えば、マンホールの底部に設置される減勢工ユニットとして、流入口及び流出口とその流入口から流出口に通じる流路が形成されたユニット本体と、流入口と流出口との間の流路上に位置する案内部(堰)とが一体形成されてなる減勢工ユニットが考えられ、この減勢工ユニットをマンホール内の底部に設置し、ユニット本体の流入口にマンホールの上流管(流入管)を接続し、流出口にマンホールの下流管(流出管)を接続して使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、特許文献1記載の減勢工ユニットは、マンホールを構成する駆体と一体に作られ、その構造物をマンホール建設現場に運搬して設置するため、材料費及び型製作費が高くつき、重量物の輸送が必要で、現場での取扱性も悪いという問題があり、この問題を解決したものとして、下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢する減勢工に使用されるフレームであって、当該減勢工の流水表面を形取った形状に成形されてなる表層体を主体として構成されていることを特徴とする減勢工フレームが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−348946号公報
【特許文献2】
特開2003−155772号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、特許文献2に記載のように、減勢工の流水表面を形取った形状に形成されてなる表層体(減勢工フレーム本体)を作り、これをマンホールの底部に配置して、マンホールとの間の空隙に裏込め材を充填して減勢工を構築すると、厚さの薄い軽い表層体を運搬し施工するため取扱いが簡単となり、しかも、マンホール等の駆体内に配置した状態で、フレーム裏面側に裏込め材を充填する、という工法によって減勢工を構築することができるので、既設のマンホールにも容易に減勢工を設置することが可能になる。
【0007】
しかし、減勢工の流水表面を形取った形状に成形されてなる表層体(減勢工フレーム本体)は、一体構造であるため、この表層体を既設のマンホールの底部に配置するためには、マンホール上部の蓋が取り付けられる斜壁部を取り外さなければならないという問題があった。
また、マンホールの大きさに対応して全長の異なる表層体を複数種類品揃えすることが必要で、表層体を製造する成形型が複数必要になり、製造費用が高く付く問題があった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、既設のマンホールの斜壁部を取り外すことなく搬入が可能で、また、マンホールの大きさが変わっても容易に対応が可能な減勢工フレームを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の減勢工フレームは、下水管などの管渠から放流される高速水流を減勢する減勢工に使用されるフレームであって、流入口から流出口に向けて、流入口からの水流を幅方向に広げて下方に導く減勢面を有する減勢部と減勢部に続く広幅流路部と流出口近くの流路上に堰が配置された流出部とを有し、それぞれの部分が流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されていることを特徴とする。
【0010】
このように減勢部と広幅流路部と流出部とがそれぞれ流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されているので、それぞれの部分の流路の方向と直行する方向に断面積を小さくでき、既設のマンホールへの減勢工フレームの搬入時には、分割してマンホールの蓋から搬入することが可能となる。
【0011】
また、本発明の請求項2記載の減勢工フレームは、請求項1の減勢工フレームにおいて、堰の略中央部に下面側が流路面と一致する流路方向の貫通孔またはスリットが設けられていることを特徴とする。このように堰に下面側が流路面と一致する流路方向の貫通孔またはスリットが設けられていると、流水が流路部に滞留することがない。
【0012】
また、本発明の請求項3記載の減勢工フレームは、請求項1または請求項2記載の減勢工フレームにおいて、広幅流路部が流路の方向と直行する方向に少なくとも二箇所で組み付け可能に分割されていることを特徴とする。
このように広幅流路部が流路の方向と直行する方向に少なくとも二箇所で組み付け可能に分割されているので、一個の広幅流路部の長さを最も小さいマンホールにおける広幅流路部の長さに設定し、マンホールが大きくなることによって長くなる広幅流路部を別体として組み付け可能とすれば、大きなマンホールに対しても使用可能となる。必要ならば、広幅流路部を3個、4個と組み付けたものとすることもできる。
【0013】
ここで、本発明の減勢工フレームは、コンクリート製、FRP、PE、PVCなどの樹脂製、あるいはステンレスなどの金属製であってもよいが、運搬や施工時における軽量で取扱い易いことを考えると、FRP、PE、PVCなどの樹脂製あるいはステンレスなどの金属製の流水表面を形取った形状に成形されてなる表層体からなるものが好ましい。
この中でも、FRPは比較的薄い肉厚で強度を確保できること、及び、PEは耐摩耗性に優れていることを勘案すると、FRPでフレームの流水表面を形取った形状の表層体を構成し、耐摩耗性が必要な部分にPEシートを配置するという形態を採ることが、軽量化と耐久性を同時に達成できるという点で好ましい。
【0014】
本発明の減勢工フレームは、減勢部と広幅流路部および広幅流路部と流出部とが流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されているが、分割部は凹凸嵌合で接着剤で接着固定されるものであっても、外面側に取付け片が設けられ、この取付け片同志をボルトナットで締めつけるものであってもよい。
【0015】
また、本発明の減勢工フレームをマンホール内に設置するに当たっては、減勢部と広幅流路部と流出部とに分割し、それぞれをマンホールの蓋からマンホール内に搬入する。マンホール内でそれぞれを組み付けて減勢工フレームを形成し、マンホールの底部の所定位置に据え付け、マンホールの底部と減勢工フレームとの間隙に裏込め材を充填すればよい。
裏込め材としては、モルタル、エアモルタル、樹脂あるいは樹脂発泡体などを挙げることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態の一実施例を示す斜視図、図2(a)は図1に示す実施例を分割して示す平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線における断面図である。
【0017】
この実施形態の減勢工フレーム1は、傾斜地に配管された下水管(傾斜配管)の下流側に敷設のマンホールに減勢工を構築する際に使用される。
減勢工フレーム1は、構築しようとする減勢工の流水表面を形取った形状に成形された表層体からなるフレーム本体2と、このフレーム本体2の流入口側に形成された流入口11からの水流を幅方向に広げて下方に導く減勢面32を有する減勢部3と減勢部3に続く広幅流路部4と流出口12近くの流路上に堰51が配置された流出部5とを有している。
これら減勢部3、広幅流路部4および流出部5の上方開口縁には、補強と設置位置決めのためのフランジ20が設けられている。
フレーム本体2は、流路の方向と直行する方向に、減勢部3と広幅流路部4と流出部5に分割されている。この減勢部3と広幅流路部4との分割部41および広幅流路部4と流出部5との分割部42には、双方に取付け片43、43、・・・が設けられ、分割部の間にシール材を挟持して双方の取付け片43、43をボルトナットで締結することにより、組み付け可能となされている。
【0018】
減勢部3は、フレーム本体2に対して、減勢面32を有する減勢ブロック31が取外し自在に装着され、流入口11からの水流を減勢面32に衝突させて、水流を幅方向に広げると共に下方に導く流水路33を形成することにより、水流を減勢させるようになっている。また、下方に向いた水流が底面に衝突し、広幅の水流となって広幅流路部4を流れることによっても水流は減勢される。
減勢ブロック31を上方に引き上げて、フレーム本体2から取外すことにより、流水路33の清掃等のメンテナンスを行うことができる。
【0019】
また、流出部5の流出口12近くの流路上に堰51が配置されている。堰51の底部には傾斜面52が形成されている。この傾斜面52は、流水路33から流出して広幅流路部4を流れる水流の向きを上方(鉛直方向)に効率良く誘導することを目的として形成されている。
【0020】
堰51の底部中央(幅方向の中央)には貫通穴53が設けられており、この貫通穴53を介して堰51の上流側の広幅流路部4と下流側の流出口12とが連通している。貫通穴53の大きさは、汚水等に含まれる汚物などが通過できる程度の大きさ、例えばφ50mm〜φ100mm程度とする。なお、貫通穴の形状は、円形のほか楕円や四角形等であっても、同程度の幅のスリットであってもよい。
【0021】
堰51の上面(越流部分)は、幅方向の中央が最も低くなるようなV字形状に加工されている。なお、堰51の上面の形状は、特に限定されず、例えばU字形状であってもよい。また、堰の上面はフラットな形状であってもよい。
【0022】
以上の構造において、フレーム本体2の肉厚は、FRPの成形品とする場合、強度面及び重量面の双方を考慮すると4mm〜5mm程度が適当であり、この程度の肉厚とすることで、軽量化を達成できると同時に、フレーム本体2の底に作業者が乗っても耐えることが可能な強度を確保することができる。
【0023】
ここで、本実施形態においては、図1に示す減勢ブロック31の減勢面32、流水路33の底面、広幅流路部4の底面、堰51の上流側面などの、水流の衝撃を受ける部位に、耐摩耗性に優れたPEシート(図示せず)が貼着されて減勢工の耐久性の向上がはかられているのが好ましい。
【0024】
また、フレーム本体2の底部外面には、支持枠6が設けられ、ボルトでマンホール底面への設置姿勢および高さを調整可能となされていると、設置作業が行い易い。
【0025】
図3は、図2(b)に対応する他の実施例を示している。この実施例は、大きな口径のマンホールに設置される減勢工フレーム1aを示し、広幅流路部4aのみが図2(b)の広幅流路部4と同一の広幅流路部4bとマンホールの口径が大きくなった寸法に相当する長さの広幅流路部4cとからなり、全体として大きな口径のマンホールの底部に設置可能な長さの減勢工フレームとなされているものである。その他は図2(b)に示す減勢工フレーム1と同一である。
それでも長さを調整する広幅流路部4cの長さが長くなり、マンホールの蓋からの搬入可能な長さを越える場合には、更に広幅流路部4cを分割すれば良い。
【0026】
以上の実施形態では、下水用のマンホールに減勢工を構築する場合の例を説明したが、本発明はこれに限られることなく、高速水流を放流する各種配管・管渠に設置のマンホール、あるいは高速水流を放流する他の施設の駆体に減勢工を構築する場合にも有効に利用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の減勢工フレームにおいては、減勢部と広幅流路部と流出部とがそれぞれ流路の方向と直行する方向に組み付け可能に分割されているので、それぞれの部分の流路の方向と直行する方向に断面積を小さくでき、既設のマンホールへの減勢工フレームの搬入時には、分割してマンホールの蓋から搬入することが可能となる。
また、本発明の請求項2記載の減勢工フレームでは、堰に下面側が流路面と一致する流路方向の貫通孔またはスリットが設けられているので、流水が流路部に滞留することがない。
【0028】
また、本発明の請求項3記載の減勢工フレームにおいては、広幅流路部が流路の方向と直行する方向に少なくとも二箇所で組み付け可能に分割されているので、一個の広幅流路部の長さを最も小さいマンホールにおける広幅流路部の長さに設定し、マンホールが大きくなることによって長くなる広幅流路部を別体として組み付け可能とすれば、大きなマンホールに対しても使用可能となり、成形型を共用できるので製造費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は図1に示す実施例を分割して示す平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線における断面図である。
【図3】大きな口径のマンホールに設置される減勢工フレームの例を示す、図2(b)に対応する断面図である。
【符号の説明】
1 減勢工フレーム
11 流入口
12 流出部
2 フレーム本体(表層フレーム)
20 フランジ
3 減勢部
31 減勢ブロック
32 減勢面
4 広幅流路部
5 流出部
51 堰
53 貫通穴
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
【出願日】 平成15年6月19日(2003.6.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−9188(P2005−9188A)
【公開日】 平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願番号】 特願2003−175229(P2003−175229)