| 【発明の名称】 |
マンホール蓋および枠の塗装処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】池上 雅章
【氏名】牧浦 宏文
|
| 【要約】 |
【課題】マンホール蓋1および枠5の裏表面のみに亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系粉末塗料を静電塗装して、密着性、防食性および意匠性に優れ、かつ、健康障害を引き起こすことのないマンホール蓋1および枠5の塗装処理方法を提供する。
【解決手段】マンホール蓋1および枠5の裏面側表面のみをブラスト処理し予熱したうえで、亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系粉末塗料を静電塗装して塗膜2を形成する。黒色が要求される場合、塗膜2の上に黒色顔料を有するエポキシ系粉末塗料を静電塗装した後、焼付処理すことによって防食性、密着性、表面硬化度および意匠性が優れたマンホール蓋1および枠5の塗装処理方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マンホール蓋1および枠5の下水等の流水側(以下、裏面側と称する。)表面のみをブラスト処理して粗面化する工程と、マンホール蓋1および枠5を予め予熱する工程と、同表面に、亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系粉体塗料を静電塗装して塗膜2を形成する工程とからなるマンホール蓋および枠の塗装処理方法。 【請求項2】 表面塗膜の塗装工程が、塗膜2上に黒色のエポキシ系粉体塗料を静電塗装した後、焼付け加熱することからなる前記請求項1記載のマンホール蓋および枠の塗装処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、鋳鉄製のマンホール蓋および枠において、健康障害の惹起を防止するために、裏面のみに塗装し、防食性および意匠性を得るために行なう塗装処理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 この種のマンホール蓋および枠は、従来一般に格別の防錆処理をせずにそのまま使用してきたが、全表面の防錆能力を向上せしめるために、一部に、タール皮膜を形成したもの、カチオン電着塗装をしたものが使用されている。 しかし、上記のタール皮膜は密着性が弱く短時間で剥がれやすい。そのため、硫酸が発生するようなマンホール蓋および枠の曝される環境で使用に耐えるものではない。 また、カチオン電着塗装したものは、電着塗膜厚みが薄く硫酸が発生するような厳しい腐食環境での耐久性が不足している。 特開平6−306883は、すくなくとも路面側に亜鉛および/またはアルミニウムの微粒子を含むエポキシ樹脂系塗料を塗装し、さらにその塗膜の上に表面塗膜を形成する工程からなる塗装処理方法を提供するものである。その効果としては、マンホール蓋の路面側表面の塩害や、各種の薬品による赤錆び防止および防滑性の改善を狙ったものである。 【特許文献1】特開平6−306883 【0003】 本特許が提供するマンホール蓋裏面のみに塗装を施し、裏面の硫酸に対する防食性および意匠性を提供するものとは、次に述べる特許構成において本質的に相違したものである。 すなわち、路面側に亜鉛を含む塗料を用い塗装した場合、蓋の上を車、自転車、人が通行することに伴い摩耗が生じ、摩耗分が飛散する。飛散する粉末の中には塗料構成成分である金属亜鉛またはアルミニウムやマグネシウムの合金粉、腐食成分としての酸化亜鉛、炭酸亜鉛、時には、塩化亜鉛も生成する。これらには次のような人体に対する影響が指摘されていることから、道路面側の亜鉛を含むエポキシ系塗料を用いた塗装は省略したものである。 【0004】 亜鉛: 亜鉛は人体に不可欠な元素であることは周知のとおりであるが、米国国立研究所(NCI)は2003年7月1日、「男性が亜鉛を摂取しすぎると前立腺ガンに成る可能性が高まる。」との研究成果を発表した。また、永井信夫(Center for Molecular and Vascular Biology,KULeuven、Campus Gasthiusberg O&N)は、亜鉛による細胞毒性は全脳虚血時や痙攣発作に伴う神経細胞死に係わると指摘している。PRTR法においても、亜鉛水溶液は吸引長期毒性、水生生物毒性はAランク指定されており、人間が長期間吸い込んだ場合は内臓の機能や神経などに悪影響を与えたり、ガンを生じる可能性がある明記されている。 酸化亜鉛: 労働安全衛生法施行令 の別表第九 名称等を通知すべき有害物に指定されおり、日本産業衛生学会の許容濃度としてTWA 5mg/m3(fume),STEL 10mg/m3(fume),10mg/m3(dust)(1996)に規定されている。 炭酸亜鉛: PRTR法において第一種指定化学物質(1-1)に指定を受けるとともに、化学物質に起因する疾病(症状または障害)S.53.3.30労働省告示36号(全改正H8.3.29労働省告示33号)では皮膚障害,前眼部障害又は気道・肺障害の発生する可能性が指摘されている。 塩化亜鉛: 炭酸亜鉛と同様に、PRTR法で第一種指定化学物質(1-1)に、労働安全衛生法施行令 別表第九 名称等を通知すべき有害物 95号の指定を受けるとともに、日本産業衛生学会の許容濃度としてTWA 1mg/m3(fume),STEL 2mg/m3(fume)に規定されている。 【0005】 また、多用されているマンホール蓋の路面側は、図1に示す如く凹凸模様が付され防滑性が確保されるとともに、図2に示すように地方固有デザインからなり凹部にカラー塗装を施し環境調和が図られていることから、道路面側の防滑性および意匠性に対する実用上の課題はなく、また、防食性の点からも塩害や薬品による赤錆防止の対策が要求される地域は海岸地域や工場地帯に限定されることが明らかである。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 前述したように、路面側の亜鉛を含むエポキシ樹脂塗装を廃止することにより健康障害を防止する。 また、近年、起伏に富んだ地形地での汚水管敷設が進められており、圧送方式が採用されている。この方式の場合、管路内に空気が供給されないために、汚水が嫌気化され管内で硫化水素が発生して、圧送管路終点のマンホール部分で空気中に放散されるために、マンホール裏面等で好気性細菌である硫黄酸化細菌により硫化水素から硫酸が生成し、マンホール裏面等の腐食を引き起こし問題となってきている。これらの反応を化学式で示すと、以下のように示される。
そこで本発明者等は、マンホール蓋の全面に溶融亜鉛めっき処理した結果、硫酸に対する防食性は確保できた。しかし、メッキ処理時、亜鉛の融点420℃以上の高温に曝すためマンホール蓋が変形し、その矯正のために長時間を要すること、および表面が滑り易くなることから実用的でないことが判明した。 【0007】 そこで、マンホール蓋の全表面をブラスト処理後に、予熱したうえで亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系粉体塗料をマンホール蓋の全表面に静電吹付け塗装し、且つ焼付処理した塗膜の仕上がり状態を子細に観察したところ、マンホール蓋表面への密着性が良く、必要かつ十分な硫酸に対する防食性を持つことを知った。しかし、道路面側の表面の防滑性は不十分で、実用に耐えないことが明らかとなった。 既に述べたように、マンホール蓋の路面側は、凹凸模様による防滑性および意匠性が確保されている、また、塩害や薬品による赤錆防止に対する対策が要求される地域は海岸地域や工場地帯に限定されることが明らかである。 【0008】 したがって、本発明が解決しようとする課題は、起伏の大きな地形地に敷設される汚水管路用として、安価にかつ簡単に製造できて硫酸に対する防食性に優れるマンホール蓋および枠を得ることにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明は、マンホール蓋1および枠5の裏面側のみをブラスト処理して粗面化する。次に予熱し、亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系粉体塗料を裏面に静電塗装した上で焼付処理する。 【0010】 一方、意匠性の点から裏面の色が黒色であることが要求されることがある。しかし、硫酸に対する防食性の点から必須の構成である亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を60〜85重量%含有せしめたエポキシ樹脂系粉末塗料に黒色顔料を追加することができない。したがって、上記防食を主たる目的とする塗膜の焼付処理前に黒色顔料を含むエポキシ粉末塗料を静電塗装して表面塗膜を塗装形成することにより、硫酸に対する防食性および意匠性を満足させることができ本発明を完成した。 【0011】 ブラスト処理は、マンホール蓋および枠の表面に残存している油分、錆および酸化鉄を除去するとともに表面の鋳砂を除去する。更に、ブラスト処理はサンドブラスト法、および小さな鋼鉄粒子(ショット)又は鋼砕粒(グリット)によるショットブラスト法を含み、マンホール蓋および枠の裏面に微細な凹凸を形成して粗面化処理する。 【0012】 次いで、マンホール蓋および枠の表面と塗膜の密着性を向上させるために熱変形の惹起することのない160〜200℃の温度で予熱する。 【0013】 この表面に亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を60〜85重量%含有せしめたエポキシ樹脂系粉末塗料静電吹付け塗装する。 【0014】 その後、約200℃の温度で焼付けることによって塗膜の硬化度および付着性を向上させる。 【0015】 また、必要に応じ前記焼付処理を行なう前に、黒色顔料を含有したエポキシ系粉体塗料を静電塗装する。 【発明の効果】 【0016】 本発明方法によれば、鋳鉄製のマンホール蓋1および枠5は、ブラスト処理後に予熱処理し、その他の面倒な手間と工程を経ずに亜鉛、アルミニウムおよびマグネシウムの1種または2種以上からなる合金の微粒子を含むエポキシ樹脂系塗料を静電塗装し、引き続き焼付処理することにより硫酸に対する防食性、密着性、塗膜表面硬化度の優れた塗膜2を安価に得ることができる。 【0017】 しかも、黒色顔料を含有するエポキシ樹脂系粉末塗料を静電塗装することにより意匠性も確保できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 マンホール蓋、及び枠の塗装方法を示す。 【実施例1】 【0019】 ブラスト処理工程: 鋳鉄製のマンホール蓋1および枠5の裏面側に、ショットブラスト機 で鋼砕粒(グリット)を繰り返し吹き付け、鋳砂および表面に残存する油分、錆、酸化鉄 を取り除いた。そして、マンホール蓋1および枠5の外表面を微細な凹凸を有する粗面に 仕上げた。 【0020】 予熱工程:マンホール蓋および枠の表面と塗膜2の密着性および必要に応じ塗装する表面 塗膜3との密着性を確保するために180℃×20分で予熱した. 【0021】 塗装工程:亜鉛の微粒子を80重量%混入したエポキシ樹脂系粉末塗料を静電吹付け塗装して、厚さ70μmの塗膜2を形成した。 【0022】 次に、塗膜2の上に黒色顔料を有するエポキシ粉末塗料を静電塗装し塗膜3を形成した。 【0023】 焼付工程:マンホール蓋1および枠5と塗膜2、塗膜2と塗膜3の密着性、表面硬化度を向上せしめるため180×30分の焼付処理を行なった。 【0024】 耐食性試験:5%硫酸水溶液の中に塗膜2を塗装したマンホール蓋または枠を浸漬し2000時間放置した後、表面状態を仔細に観察し、錆発生が起きていないことを確認した。 【図面の簡単な説明】 【0025】 【図1】第1実施例の要部の概略図である。 【図2】比較例として示すマンホール蓋の路面側のデザイン図である。 【符号の説明】 【0026】 1 マンホ−ル蓋 2 開閉器具用穴 3 滑り止め凹凸模様 4 補強リブ 5 枠 6 アンカー穴
|
| 【出願人】 |
【識別番号】301046525 【氏名又は名称】株式会社日電鉄工所
|
| 【出願日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2005−120587(P2005−120587A) |
| 【公開日】 |
平成17年5月12日(2005.5.12) |
| 【出願番号】 |
特願2003−353512(P2003−353512) |
|