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【発明の名称】 塗工白板紙
【発明者】 【氏名】徳永 均
【住所又は居所】新潟県長岡市西蔵王三丁目五番一号 北越製紙株式会社研究所内

【要約】 【課題】水性コート剤をコートし、次にプレス加工を行い、オーバーコート層を形成する、いわゆるプレスコートにおいて、高い光沢を得る2層以上塗工してなる塗工白板紙の提供。

【解決手段】この課題は、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工してなる白板紙において、顔料として立方形軽質炭酸カルシウムおよび/または柱状軽質炭酸カルシウム、およびレーザー式粒度分布測定によるメジアン径0.8μm以下の、全顔料に対し5〜60重量%のカオリンを含有する塗工液を最も表層に塗工したことを特徴とする塗工白板紙によって解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工してなる白板紙において、顔料として立方形軽質炭酸カルシウムおよび/または柱状軽質炭酸カルシウム、およびレーザー式粒度分布測定によるメジアン径0.8μm以下の、全顔料に対し5〜60重量%のカオリンを含有する塗工液を最も表層に塗工したことを特徴とする塗工白板紙。
【請求項2】
顔料としてプラスチックピグメントを全顔料に対して3重量%以上含有する塗工液を最も表層に塗工したことを特徴とする請求項1記載の塗工白板紙。
【請求項3】
プラスチックピグメントがレーザー式粒度分布測定によるメジアン径が0.7μm以上で、且つ、内孔を有することを特徴とする請求項2記載の塗工白板紙。





【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は紙器、雑誌表紙等に用いられる塗工白板紙に光沢、美粧を付与するためのプレスコートの効果を向上させる事ができる塗工白板紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白板紙は、3〜9層の多層抄きされた厚紙で、各種包装箱等に古くから用いられている。中でも顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を塗工してなる塗工白板紙は特にディスプレー効果が高く、主として、化粧箱や石鹸用箱、さらにはギフトケース用箱等の紙器あるいは雑誌表紙等として使用される。最近の高級化指向に伴い医薬品、化粧品等の紙器あるいは雑誌表紙等についても強光沢で美粧性が優れたものが求められている。強光沢を得る手段として、塗工白板紙に水性コート剤をコートし、次にプレス加工を行い、オーバーコート層を形成する、いわゆるプレスコートが一般的に行われているが、より高い光沢を得るために塗工白板紙の面からの改良も求められている。
【0003】
これまでに、紙基材の入射角が60度における光沢度が25%以上、表面平滑度が、ベック平滑試験で300秒以上に調整することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
該特許文献1には紙基材の製造方法の記述は無いが、たとえば、塗工白板紙製造において光沢度、平滑度の向上を計るためにグロスカレンダー、ソフトカレンダー等の光沢および平滑向上装置の条件を強くした場合、塗工層が過度に密になり塗工層の透明化による白色度低下、平版オフセット印刷時のインキセット性の悪化に伴う裏付き発生の問題があり好ましくない。このことから、光沢および平滑向上装置の条件を変更せずとも高い光沢および平滑さを有する塗工白板紙が求められている。
【0005】
other additives
また、プレスコートでの光沢においては、水性コート剤をコートしプレス加工する間の紙基材への水性コート剤中の溶媒成分、即ち水およびメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の浸透および乾燥も重要な要因である。即ち、プレス加工する際に水性コート剤が過度に乾燥していた場合は水性コート剤中の樹脂分の溶融が均一に行われず高い光沢が得られない。また、水性コート剤の乾燥が不十分な場合はプレス加工出口での剥がれが悪くなり高い光沢が得られない。このことから水性コート剤中の溶媒成分を適度に浸透させるような表面の塗工層を形成する塗工液の面から塗工白板紙の改良が必要であった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−234496号公報(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水性コート剤をコートし、次にプレス加工を行い、オーバーコート層を形成する、いわゆるプレスコートにおいて、高い光沢を得る2層以上塗工してなる塗工白板紙を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意努力し研究を重ねた結果、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2層以上塗工してなる白板紙において、顔料として立方形軽質炭酸カルシウムおよび/または柱状軽質炭酸カルシウム、およびレーザー式粒度分布測定によるメジアン径0.8μm以下の、全顔料に対し5〜60重量%のカオリンを含有する塗工液を最も表層に塗工したことを特徴とする塗工白板紙により、プレスコートにおいて高い光沢を得る塗工白板紙を提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0009】
上記の特別な塗工液を最も表層に塗工することにより、プレスコートにおいて光沢に優れた塗工白板紙を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一つの有利な実施態様においては、顔料としてプラスチックピグメントを全顔料に対して3重量%以上含有する塗工液を用いる。それにより、プレスコートにおいてより高い光沢が得られる。
本発明のより一層有利な実施態様においては、レーザー式粒度分布測定によるメジアン径が0.7μm以上で、且つ、内孔を有するプラスチックピグメントを使用する。
【0011】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、顔料とバインダーを主成分として含有する塗工液を2度以上塗工してなる塗工白板紙において、最も表層の上塗り塗工液の顔料として立方形軽質炭酸カルシウムおよび/または柱状軽質炭酸カルシウムを含有せしめ、且つ、レーザー式粒度分布測定によるメジアン径0.8μm以下のカオリンを全顔料に対して5〜60重量%含有せしめることが必要である。塗工白板紙の上塗り塗工液には白色度、隠蔽性の必要から軽質炭酸カルシウムを含有せしめること一般的であるが、他の形状の軽質炭酸カルシウム、すなわち、紡錘形の軽質炭酸カルシウムを含有させた場合、プレスコートにおいて高い光沢を得られない。また、レーザー式粒度分布測定によるメジアン径0.8μm以下のカオリンを全顔料に対して5重量%未満含有せしめた場合には効果が得られず、60重量%より多く含有せしめた場合にはプレスコートにおける光沢のいっそうの向上は認められず表面強度低下がある(比較例4参照)。
【0012】
更に、最も表層の上塗り塗工液の顔料としてプラスチックピグメントを全顔料に対して3重量%以上含有せしめることによりプレスコートにおいてより高い光沢が得られる。3重量%未満では効果が乏しく、含有量を多くすることにより効果は大となるが、コスト、操業性の兼ね合いで要求される品質によりその都度決められるものである。なお、プラスチックピグメントは、レーザー式粒度分布測定によるメジアン径が0.7μm以上で内孔を有するものがより好ましい。
【0013】
以下に本発明に使用する薬剤等の好ましい形態例を上げて具体的に説明する。
本発明において、上塗り塗工液に使用するプラスチックピグメントは、スチレン、メチルメタクリレート、あるいはスチレン−メチルメタクリレート等の重合体および共重合体、あるいはこれらと共重合可能なモノマーであるメチルスチレン、クロロスチレン等のオレフィン系芳香族モノマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のアクリル系モノマーの他にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等のオレフィン系不飽和カルボン酸モノマー、ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のオレフィン系不飽和ヒドロキシモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のオレフィン系不飽和アミドモノマー、ジビニルベンゼン、ジビニルアルコール等の二量体ビニルモノマー、酢酸セルロース等のセルロール誘導体を一種類以上用いて合成されたものが使用される。
【0014】
本発明に使用する塗工液に使用する他の顔料としては、メジアン径0.8μmより大きいカオリン、酸化チタン、サチンホワイト、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等通常塗工用顔料として知られているものの中から適宜使用できる。
【0015】
本発明に使用する塗工液に使用する接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体等のラテックスあるいは酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロシキエチル化澱粉等の澱粉類、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白類、ポリビニールアルコール等のその他水性接着剤から必要に応じ選択して使用する。
【0016】
本発明の塗工液には、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗工液に配合される各種助剤を使用しても良い。
【0017】
なお、下塗り塗工液については、特に限定されるものではなく、塗工白板紙の品質設計に応じて、適宜配合を選択できるものである。即ち、塗工液構成としては、一般に塗工白板紙分野で使用されている顔料および接着剤を主成分とする塗工液が用いられる。顔料としては、例えばカオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化チタン等が例示できる。また、接着剤としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体等のラテックスあるいは酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、ヒドロシキエチル化澱粉等の澱粉類、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白類、ポリビニールアルコール等のその他水性接着剤等が例示できる。また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等各種助剤を使用しても良い。
【0018】
本発明の基紙としては、従来の塗工白板紙の製造に利用されている一般の基紙を特に制限なく使用することができ、例えば、坪量150〜600g/m2 程度の多層抄板紙を用いることができる。
【0019】
塗工方法について特に制限はなく、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等の通常の各種塗工装置を用いて2層以上塗工する。塗工量についても特に制限はないが、各層とも固形分で3〜20g/mが好ましい。各層を塗工する毎に、あるいは2層以上塗工した後乾燥する。かくして塗工、乾燥された後グロスカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー処理等を施す。
【0020】
本発明の構成により、プレスコートにおいて高い光沢が得られる。斯かる効果が得られる原因については必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。プレスコートにおいて水性コート剤をコートして後プレス加工する際の水性コート剤が適度な乾燥状態である場合に高い光沢が得られるが、表層に塗工する塗工液の顔料として特定の粒子形状の軽質炭酸カルシウムと微粒子径のカオリンを組み合わせたことにより、これにより形成された塗工層構造が水性コート剤の溶媒成分、即ち水およびメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の適度な浸透を達成し、プレス加工の際の適度な乾燥状態が得られたと推定される。また、表層に塗工する塗工液の顔料として特定の粒子形状の軽質炭酸カルシウムと微粒子径のカオリンを組み合わせたことにより、光沢、平滑の高い塗工白板紙が得られたことも原因と考えられるが、微粒子径のカオリンを60重量%より多くしてもより高い光沢、平滑の塗工白板紙は得られるがプレスコートにおける光沢が向上しないことから光沢、平滑のみが原因とは考えられない。
【0021】
更に、表層に塗工する塗工液の顔料としてプラスチックピグメントを用いたことにより、プレスコートにおいてより高い光沢を得られるが、プラスチックピグメントが塗工層を嵩高くしクッション性を付与することによりプレス加工の際のプレス板との密着性が向上したと推定される。従って、使用するプラスチックピグメントは粒子径が大きく内孔を有することが好ましい。また、表層に塗工する塗工液の顔料としてプラスチックピグメントを用いたことにより、より高い光沢、平滑の塗工白板紙が得られたことも原因と考えられる。
【0022】
実施例:
以下で、実施例を用い、更に詳細に本発明の効果を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、全顔料を100重量部に対する重量部である。
【0023】
[実施例1〜4、比較例1〜4]
表1に示したようにカオリン[ヒューバー(株)製、商品名:ハイドラグロス90(メジアン径0.3μm)およびハイドラコートA(メジアン径1.3μm)]と、軽質炭酸カルシウム[白石工業(株)製、商品名:ブリリアントS−15(立方形)および奥多摩工業(株)製、商品名:タマパール123CS(柱状)とタマパール221GS(紡錘形)]とプラスチックピグメント[ロームアンドハース(株)製、商品名:HP−1055(メジアン径0.8μm、内孔を有する)]とを種々の割合で混合した混合顔料100重量部に対して接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス18重量部を配合し、さらに潤滑剤としてステアリン酸カルシウム0.5重量部を配合し本発明の実施例および比較例の上塗り塗工液を得た。
【0024】
坪量350g/mの多層抄板紙基紙に、カオリン70重量部と重質炭酸カルシウム30重量部およびスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス15重量部および燐酸エステル化澱粉3重量部よりなる下塗り塗工液をロッドコーターにて固形分10g/mになるように塗工、乾燥した下塗り塗工基紙に対して、表1に示す上塗り塗工液を固形分10g/mとなるようにロッドコーターで塗工、乾燥した。更にグロスカレンダー処理を行い、塗工白板紙を得た。
【0025】
[評価試験] 実施例および比較例によって得られた各塗工白板紙について白紙光沢度、平滑度、表面強度、プレスコート光沢度について評価を行った。
1)メジアン径:堀場製作所製LA920型で測定した。
2)白紙光沢:JIS P 8142に従い、村上色彩研究所製の光沢度計を用い、入射角度75度で測定した。
3)平滑度:王研式平滑度計で測定した。
4)表面強度:RI印刷試験機を使用して印刷インキ(タック値20)を用いてベタ刷りした後、紙面の剥がれ状態を観察し5点法で評価した。点数の高い方が表面強度は強い。
5)プレスコート光沢:松本機械製作所製CR30型艶出機を用いて水性コート剤をコートしプレス加工を行った後、村上色彩研究所製の光沢度計を用いて、入射角度20度で測定した。
【0026】
【表1】


【0027】
表1から以下のことが判る。立方形または柱状軽質炭酸カルシウムを使用し、かつメジアン径0.8μm以下のカオリンを全顔料の5〜60重量%使用している実施例1〜4においては、紡錘形軽質炭酸カルシウムを使用している比較例1および3、 あるいはメジアン径0.8μm以下のカオリンを使用していない比較例2より高いプレスコート光沢度が得られている。メジアン径0.8μm以下のカオリンを全顔料の70重量%使用している比較例4の場合には、プレスコート光沢度は本発明の塗工白板紙に匹敵するが、表面強度の大きな低下があることが判る。
実施例4の場合には、メジアン径0.7μm以上で内孔を有するプラスチックピグメントを使用しており、他の実施例と同等の表面強度を示しながら、プレスコート光沢度がプラスチックピグメントを使用していない他の実施例および比較例よりも優れている。

【出願人】 【識別番号】000241810
【氏名又は名称】北越製紙株式会社
【住所又は居所】新潟県長岡市西蔵王3丁目5番1号
【出願日】 平成16年1月19日(2004.1.19)
【代理人】 【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史

【識別番号】100092244
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 恒男

【識別番号】100093919
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 義道

【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實

【公開番号】 特開2005−200805(P2005−200805A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−10693(P2004−10693)