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【発明の名称】 |
曲げ加工性に優れた高強度SUS301ステンレス鋼帯 |
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【氏名】黒▲崎▼ 郁也 【住所又は居所】茨城県日立市白銀町1−1−2 日鉱金属株式会社技術開発センター内 【氏名】深町 一彦 【住所又は居所】茨城県日立市白銀町1−1−2 日鉱金属株式会社技術開発センター内 |
【課題】高強度かつ良好な曲げ加工性を満たすための指標を明確にし、曲げ加工性に優れた高強度準安定オーステナイト系ステンレス鋼帯としてSUS301ステンレス鋼帯を提供することにある。
【解決手段】0.2%耐力(=YS(MPa))が1000MPa以上であり、マルテンサイト量(=Ms(%))が「Ms≦50」、かつYSとMsの関係が、「YS≧30×Ms+50」であることを特徴とする、曲げ加工性に優れたSUS301ステンレス鋼帯。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 0.2%耐力(=YS(MPa))が1000MPa以上であり、マルテンサイト量(=Ms(%))が「Ms≦50」、かつYSとMsの関係が、「YS≧30×Ms+50」であることを特徴とする、曲げ加工性に優れた高強度SUS301ステンレス鋼帯。 【請求項2】 請求項1に記載のコネクタ、あるいはスイッチなどの接点部品に使用される曲げ加工性に優れた高強度SUS301ステンレス鋼帯。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、各種電子機器部品に使用されるコネクタ、及び接点に使用される部品等の良好な曲げ加工性が必要な部品に好適なばね用ステンレス鋼帯に関する。 【背景技術】 【0002】 各種電子機器部品に使用されるコネクタ、及び接点に使用される部品等の基本的な特性として高強度で高ばね性が要求されており、さらに、近年の電子機器の小型化に伴ない、その電子部品の薄肉化も著しく、端子、コネクタなどの金属部材も過酷でかつ複雑な曲げ加工が行なわれるため、より高強度で曲げ加工性が良好な材料が望まれている。 【0003】 高強度と良好な曲げ加工性を必要とする材料の一つとしては、SUS304あるいはSUS301等に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼が使用されている。これらステンレス鋼は、溶体化処理後にオーステナイト相を呈し、その後の冷間圧延で加工誘起マルテンサイトを生成させて高強度を得ようとするものである。 しかしながら、オーステナイト系ステンレス鋼はこの機構を用いた場合、マルテンサイトの生成量が多くなると、高強度化は図れるものの、曲げ加工性は悪くなる。従って、単純な強加工による高強度化では、高強度と良好な曲げ加工性を両立させることは困難である。 【0004】 オーステナイト系ステンレス鋼の曲げ加工性改善に関して、特許文献1は、最終圧延後に材料を熱処理することで硬さを調整しつつ、曲げ加工性を確保する方法を開示している。 【0005】 【特許文献1】特開平7−216450公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、特許文献1に開示された方法では、圧延で硬化した材料を焼鈍軟化しているため、本特許の目的である、高強度、かつ良好な曲げ加工性を達成するには、材料の加工度を高くする必要が生じる。この場合、焼鈍温度の変化に対して敏感に硬度が変化し易くなるため、狙った特性を安定して得ることが困難になると考えられる。 本発明は、高強度かつ曲げ加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼帯としてSUS301ステンレス鋼帯を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、オーステナイト系ステンレス鋼帯が高強度かつ良好な曲げ加工性を満たす条件を鋭意研究した結果、SUS301ステンレス鋼において、強度を示す指標である0.2%耐力、および強度と曲げ加工性に影響するマルテンサイト量の関係式、およびこの関係式によって規定される一定の領域が、高強度でかつ良好な曲げ加工性を満たしていることを見出した。さらに、種々の条件で調製した試料のマルテンサイト量と曲げ加工性の関連を調べた結果、マルテンサイト量が一定値を超えると、曲げ加工性が極端に悪くなることを見出した。 【0008】 すなわち、本発明は (1)0.2%耐力(=YS(MPa))が1000MPa以上であり、マルテンサイト量(=Ms(%))が「Ms≦50」、かつYSとMsの関係が、「YS≧30×Ms+50」であることを特徴とする、曲げ加工性に優れた高強度SUS301ステンレス鋼帯、 (2)上記の(1)に記載のコネクタ、あるいはスイッチなどの接点部品に使用される曲げ加工性に優れた高強度SUS301ステンレス鋼帯、 である。 【発明の効果】 【0009】 SUS301ステンレス鋼を再結晶焼鈍し、圧延加工した場合、高強度と良好な曲げ加工性を同時に満たすことができる。この範囲は、0.2%耐力の最小値、0.2%耐力とマルテンサイト量の関係式、およびマルテンサイト量に上限を規定することで可能である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下に限定の理由を説明する。 (1)マルテンサイト量 オーステナイト系ステンレス鋼は溶体化処理状態でオーステナイト相を呈し、その後の冷間加工で加工誘起マルテンサイトを生成させて、高強度が得られる。また、このように生成するマルテンサイト相は、オーステナイト相と比較して延性が低いため、強度の増大には有効であるが、曲げ加工性を低下させる要因となる。これらの知見に基づけば、強度と曲げ加工性について、強度を重視する場合にはマルテンサイト量を多く生成させるため、強加工する。この場合は良好な曲げ加工性が期待できない。一方、曲げ加工性を重視する場合には加工度を小さくする方法が考えられるが、この場合十分な強度が得られない。そこで、実際には種々の加工度に加工し、特性を評価しながら加工度を調整し、強度と曲げ加工性とをバランスさせる必要があった。 【0011】 本発明者らが曲げ加工性の影響要因について詳細に調査した結果、曲げ加工性はマルテンサイト量との関連が特異な関係にあることを見出した。すなわち、マルテンサイト量の増加により、単調に曲げ加工性が劣化するのではなく、ある一定のマルテンサイト量を境界に、その相関が大きく変化することである。 その関連は、SUS301ステンレス鋼の場合には、マルテンサイト量が50%を境界にこれよりも少ない場合にはマルテンサイト量の増加による曲げ加工性の劣化への影響が小さいのに対して、50%を超えると、マルテンサイト量の増加による曲げ加工性の劣化が著しい(MBR/t≧1)ということである。このことから、曲げ加工性を劣化させずに強度を上昇できるマルテンサイト量の範囲は50%以下が良いということになる。そこでその上限を50%とした。 なお、MBR/tとは、曲げ部分に亀裂が発生しない最小の曲げ部半径(MBR)を板厚(t)で除した値で、曲げ加工性を評価する指標である。 【0012】 (2)マルテンサイト量と0.2%耐力の関係 マルテンサイト量は冷間加工度と正の相関関係にあり、圧延加工度が多くなれば、マルテンサイト量は増加するのが一般的な関係である。マルテンサイト量と強度との関係は冷間加工度に依存し、強加工することによりマルテンサイト量を増大させることで、高強度を得ることができるが、この場合、既述の通り、曲げ加工性が悪くなる。 しかしながら、圧延加工前の再結晶焼鈍における結晶粒径を調製することにより、マルテンサイト量、0.2%耐力、曲げ加工性の関連が異なることを見出した。これらを調べた結果、冷間加工度が同じであっても、マルテンサイト量の増加を小さくすることができ、高強度を維持しつつ、良好な曲げ加工性が図れることがわかった。 【0013】 このように、圧延加工前の再結晶焼鈍における結晶粒径を調製することで、圧延加工できる領域を拡げることができるがわかったが、一方、同じマルテンサイト量でかつ50%以下にも関わらず、良好な曲げ加工性が得られな領域があることを見出した。それは、同じマルテンサイト量でも十分な強度を得られない場合、返って曲げ加工性が悪くなってしまうものがあることである。そこで、良好な曲げ加工性を確保するためには、SUS301ステンレス鋼のマルテンサイト量と0.2%耐力との関係が「YS≧30×Ms+50」であることである。 なお、この関係式を適用できる良好な曲げ加工性はMBR/t<1とする。 【0014】 また、コネクタ、あるいはスイッチなどの接点部品に使用されるSUS301ステンレス鋼に求められる強度として0.2%耐力で1000MPa以上が好ましいとした。 したがって、上記の必要な0.2%耐力を確保するためには、Msが31.7%以上であることが好ましいことになる。 【0015】 (3)製造条件 上記条件に合致する材料を製造するには、最終再結晶焼鈍における結晶粒径とそれに続く最終圧延加工度の組み合わせが重要である。すなわち、最終再結晶焼鈍における結晶粒径によって圧延加工度を細かく段階的に設定することである。その組み合わせを以下に示す。 結晶粒径が1.4μm以上1.6μm未満の場合には圧延加工度25〜28%、1.6μm以上2μm未満の場合には圧延加工度25〜35%、2μm以上3.5μm未満の場合には圧延加工度25〜40%、3.5μm以上5μm未満の場合には圧延加工度25〜45%、結晶粒径が5μm以上10μm未満の場合には圧延加工度28〜60%,結晶粒径10μm以上25μm未満の場合には圧延加工度28〜45%である。 【0016】 結晶粒径が1.4μm未満の場合は、圧延による曲げ加工性の劣化が著しいため、良好な曲げ加工性を保ったままの圧延加工は困難である。 また、結晶粒径25μm以上の場合には、結晶粒径の粗大化なため、圧延加工による十分な強度の向上が必要となるが、最適化圧延加工度範囲が狭くなるため、工業的な応用は困難となってしまう。さらに、焼鈍工程における製造コストの上昇、圧延工程における製造コストの上昇となり、好ましくはない。 【実施例】 【0017】 実施例に用いたオーステナイト系ステンレス鋼はSUS301ステンレス鋼である。JISに基いた成分範囲の板厚1.5mm、溶体化処理後の素条を購入し、これを用いて、冷間圧延と再結晶焼鈍を繰返して、圧延にてSUS301ステンレス鋼は板厚0.14mmまで、加工した。中間冷間圧延加工、最終再結晶焼鈍を施した後、最終圧延にて、SUS301ステンレス鋼は板厚0.10mm、0.085mm、0.07mmでサンプルを採取して、0.2%耐力、マルテンサイト量、最小曲げ半径を評価した。なお、最終の再結晶焼鈍にて焼鈍温度と通板速度を変えることで得られる結晶粒径および最終圧延の加工度を表1に示す。 【0018】 以下の方法にて効果を評価した。 (1)マルテンサイト量 オーステナイト相が非磁性であるのに対してマルテンサイト相は常磁性であることを利用し材料の磁性の強さを磁気誘導によるフェライト含有量計(フェライトスコープとも言います)を用いることにより、マルテンサイト相への変態量、すなわち体積率(測定した材料の体積に対する常磁性を示す相が占める体積の割合)で求められる。 (2)曲げ加工性(MBR/t) 一般的な90°W曲げ試験により測定した。曲げ部分の半径(=R)と板厚(=t)に対して、Rを小さくしていき、曲げ部分に亀裂が発生しない最小の曲げ部半径(=MBR)を板厚tで除した値をMBR/tとする。測定は圧延直角方向、すなわちBad way方向でおこなった。なお、MBR/t≧1の場合に、曲げ加工性が悪いと判定した。 【0019】 【表1】
【0020】 表1の結果に見られるように、発明例No.1〜8では、0.2%耐力が1000MPa以上、0.2%耐力(=YS(MPa))とマルテンサイト量(=Ms(%))の関係が「YS≧30×Ms+50」、かつ「Ms≦50」を満たしており、高強度、かつ良好な曲げ加工性(BR/t<1)を満たしている。 【0021】 一方、比較例9では、「YS<1000」であり、強度が低いため、曲げ加工性は良いが、強度が低い点において本発明の分野には向かない。 また、比較例10〜19は「YS≧1000」となっており、高強度という条件は満足している。しかしながら、比較例No.13〜19は「Ms>50」とマルテンサイト量が規定の範囲より多くなっているため、MBR/t≧1となり、曲げ加工性が悪い。 また、比較例10〜12では、「Ms≦50」を満たしているが、「YS≧30×Ms+50」を満たしていないため、MBR/t≧1となり、曲げ加工性が悪い。 なお、比較例No.13〜17,19については、「YS≧30×Ms+50」も満たしていない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】303053758 【氏名又は名称】日鉱金属加工株式会社 【住所又は居所】神奈川県高座郡寒川町倉見三番地
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| 【出願日】 |
平成16年8月27日(2004.8.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−97739(P2005−97739A) |
| 【公開日】 |
平成17年4月14日(2005.4.14) |
| 【出願番号】 |
特願2004−247681(P2004−247681) |
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