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【発明の名称】 ビレット加熱方法および加熱装置
【発明者】 【氏名】柴田 良平
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【氏名】上野 紀幸
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【氏名】浅井 伯紀
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【氏名】藤田 剛志
【住所又は居所】愛知県名古屋市中区錦1−19−24 日本軽金属株式会社名古屋支社内
【氏名】太田 昭男
【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目6番35号 日本アジャックス・マグネサーミック株式会社内
【課題】加熱中のビレットの温度を適切に制御してビレット形状の崩壊を防ぐ。また、ビレット内部の金属組織の均一性を保持する。

【解決手段】円筒状加熱体3の内部でビレット2を誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット2の表面から、円筒状支持棒4を介して冷却媒体5により熱を奪うことで、ビレット2の表面温度をビレット材料の固相線温度以下に調節する。また、駆動手段9によって円筒状支持棒4を回転駆動することで、加熱中のビレット2を回転させる。加熱中のビレット2を回転させることによって、ビレット2の全体を均等に円筒状支持棒4に接触させて、ビレット2の全体を均等に冷却すると共に、ビレット2内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレット2の金属組織の均一性を確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、かつ、当該支持棒のうち少なくとも一本にはその内部に冷却媒体を流通させ、前記支持棒を介してビレット表面の熱を除去することを特徴とするビレット加熱方法。
【請求項2】
円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の円筒状支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、かつ、各支持棒を回転駆動し、前記ビレットを回転させることを特徴とするビレット加熱方法。
【請求項3】
円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の円筒状支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、当該支持棒のうち少なくとも一本にはその内部に冷却媒体を流通させ、かつ、各支持棒を回転駆動して、前記ビレットを回転させつつ前記支持棒を介してビレット表面の熱を除去することを特徴とするビレット加熱方法。
【請求項4】
円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体と、前記円筒状加熱体の内部に挿通された互いに平行な複数の支持棒と、当該支持棒のうち少なくとも一本に形成された冷却媒体通路と、当該冷却媒体通路および熱交換器の間で冷却媒体を循環させる循環手段とを備えることを特徴とするビレット加熱装置。
【請求項5】
円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体と、当該円筒状加熱体の内部に挿通された互いに平行な複数の円筒状支持棒と、当該支持棒を回転駆動する駆動手段とを備えることを特徴とするビレット加熱装置。
【請求項6】
円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体と、当該円筒状加熱体の内部に挿通された互いに並行な複数の円筒状支持棒と、当該支持棒のうち少なくとも一本に形成された冷却媒体通路と、当該冷却媒体通路および熱交換器の間で冷却媒体を循環させる循環手段と、当該支持棒を回転駆動する駆動手段とを備えることを特徴とするビレット加熱装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱によってビレットを加熱するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鋳造時に電磁攪拌等を行い、結晶を略球状化させた成形用のビレットを半溶融状態まで加熱し、そのビレットを加圧成形する、半溶融体の溶融加工方法が用いられている。また、この半誘導体の溶融加工方法において、ビレットの加熱に加熱コイルを用いた誘導加熱方法を採用した例が多数存在する。そして、加熱コイルを用いた誘導加熱方法では、加熱コイルの内部にビレットを装填して、加熱コイルに電流を流すことにより発生する磁界にビレットを曝すことにより、ビレットにジュール熱を発生させ、必要な半溶融状態へとビレットを加熱する。
また、ビレットを誘導加熱するための加熱装置は、加熱コイルおよびその内部に装填するビレットを横置きにしたもの(例えば、特許文献1参照。)、および、縦置きにしたもの(例えば、特許文献2参照。)が夫々存在している。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−256334号公報(〔0005〕、図1)
【特許文献2】
特開平9−111351号公報(〔0005〕、〔0006〕)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図3、図4には、従来のビレット加熱装置の一例であって、加熱コイル1およびその内部に装填するビレット2を横置きにした加熱装置により、ビレット2を加熱した状態を模式的に示している。かかるビレット2の加熱状態においては、ビレット表面の磁束密度がビレット中心部の磁束密度よりも高いために、ビレットは表面の温度が最も高くなる。したがって、図3に示すように、ビレット1の表面が溶け出し、ビレット2の円形の断面形状が崩れてしまうといった問題が生ずることがある。そこで、上記特許文献2においては、冷却ガスを用いビレット2の冷却を行っている。しかしながら、冷却ガスを用いた冷却方法は、冷却効率が低く十分な冷却能力を確保することが困難であることから、ビレット2の若干の溶け出しを許容せざるを得ないものであった。
また、図4に示すように、加熱コイル1およびその内部に装填するビレット2を横置きにした加熱装置において、ビレット2が加熱されて半溶融体になると、ビレット2内部の液層が重力の影響を受けて図中矢印で示すように下方へと移動し、ビレット2の金属組織の均一性を損なう原因となっている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加熱コイルおよびその内部に装填するビレットを横置きにしてビレットの加熱を行う際に、ビレットの温度を適切に制御してビレット形状の崩壊を防ぎ、さらに、ビレット内部の金属組織の均一性を保持することを可能とし、半溶融体の溶融加工方法によって得られる成形品の品質を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための、本発明の請求項1に係るビレット加熱方法は、円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、かつ、当該支持棒のうち少なくとも一本にはその内部に冷却媒体を流通させ、前記支持棒を介してビレット表面の熱を除去することを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット表面から、前記支持棒を介して冷却媒体により熱を奪うことで、ビレット表面の温度をビレット材料の固相線温度以下に調節することができる。
【0007】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項2に係るビレット加熱方法は、円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の円筒状支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、かつ、各支持棒を回転駆動し、前記ビレットを回転させることを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、加熱中のビレットを回転させることによって、ビレット内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレットの金属組織の均一性を確保することができる。
【0008】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項3に係るビレット加熱方法は、円柱状のビレットを、加熱コイルを内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体の内部に装填して誘導加熱する方法であって、前記円筒状加熱体の内部に並行に配置された複数の円筒状支持棒で前記ビレットを横置きに支持し、当該支持棒のうち少なくとも一本にはその内部に冷却媒体を流通させ、かつ、各支持棒を回転駆動して、前記ビレットを回転させつつ前記支持棒を介してビレット表面の熱を除去することを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット表面から、前記支持棒を介して冷却媒体により熱を奪うことで、ビレット表面の温度をビレット材料の固相線温度以下に調節することができる。しかも、加熱中のビレットを回転させることによって、ビレットの全体を均等に冷却すると共に、ビレット内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレットの金属組織の均一性を確保することができる。
【0009】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項4に係るビレット加熱装置は、円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きされた円筒状加熱体と、前記円筒状加熱体の内部に挿通された互いに平行な複数の支持棒と、当該支持棒のうち少なくとも一本に形成された冷却媒体通路と、当該冷却媒体通路および熱交換器の間で冷却媒体を循環させる循環手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット表面から、前記支持棒を介して冷却媒体により熱を奪うことで、ビレット表面の温度をビレット材料の固相線温度以下に調節することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項5に係るビレット加熱装置は、円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きされた円筒状加熱体と、当該円筒状加熱体の内部に挿通された互いに平行な複数の円筒状支持棒と、当該支持棒を回転駆動する駆動手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、前記駆動手段によって前記円筒状支持棒を回転駆動することで、加熱中のビレットを回転させる。そして、ビレット内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレットの金属組織の均一性を確保することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するための、本発明の請求項6に係るビレット加熱装置は、円柱状のビレットを誘導加熱する装置であって、加熱コイルを内蔵し横置きされた円筒状加熱体と、当該円筒状加熱体の内部に挿通された互いに並行な複数の円筒状支持棒と、当該支持棒のうち少なくとも一本に形成された冷却媒体通路と、当該冷却媒体通路および熱交換器の間で冷却媒体を循環させる循環手段と、当該支持棒を回転駆動する駆動手段とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、前記円筒状加熱体の内部でビレットを誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット表面から、前記支持棒を介して冷却媒体により熱を奪うことで、ビレット表面の温度をビレット材料の固相線温度以下に調節することができる。また、前記駆動手段によって前記円筒状支持棒を回転駆動することで、加熱中のビレットを回転させる。このように、加熱中のビレットを回転させることによって、ビレットの全体を均等に前記円筒状支持棒に接触させて、ビレットの全体を均等に冷却すると共に、ビレット内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレットの金属組織の均一性を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0013】
図1には、本発明の実施の形態に係るビレット加熱装置を模式的に断面で示している。また、図2には、図1に示すビレット加熱装置の側面図を模式的に示している。本発明の実施の形態に係るビレット加熱装置は、加熱コイル1を内蔵し横置きに設置された円筒状加熱体3の内部に、互いに並行な複数の円筒状支持棒4を挿通している。図1には、加熱コイル1を円筒状加熱体3の一部にのみ図示しているが、実際には、過熱コイル1は円筒状加熱体3の全長に渡って設けられている。
【0014】
円筒状支持棒4は、図2に示すように、ビレット2を円筒状加熱体3の中心部に、安定支持することが可能な位置に配置されている。また、円筒状支持棒4は、ベアリング等によって支持されて、回転自在となっている。図示の例では、円筒状支持棒4は2本用いられているが、さらに多数の円筒状支持棒を用いることも可能である。また、円筒状支持棒4の内部は冷却媒体通路となっている。図示の例では 円筒状支持棒4の何れも冷却媒体通路を備えているが、必要に応じて複数の円筒状支持棒の一部にのみ、冷却媒体通路を設けることとしても良い。
【0015】
また、本発明の実施の形態に係るビレット加熱装置は、図中矢印5で示す冷却媒体を、円筒状支持棒4と熱交換器6との間で循環させるためのポンプ7および循環路8等からなる循環手段を備えている。さらに、当該ビレット加熱装置は、円筒状支持棒4を矢印Aで示すように回転駆動するための、駆動手段9を備えている。駆動手段9は、回転可能に支持された円筒状支持棒4に対し、歯車等を介して電動モータ等の回転駆動力を伝達するものである。さらに、本発明の実施の形態に係るビレット加熱装置は、必要に応じ、円筒状加熱体3の内部に冷却用のエアBを送風することとしても良い。
【0016】
上記構成をなす本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。まず、円筒状加熱体3の内部でビレット2を誘導加熱する際に、最も温度が高くなるビレット2の表面に円筒状支持棒4を接触させ、円筒状支持棒4を介して冷却媒体5により効果的に熱を奪うことで、ビレット2の表面温度をビレット材料の固相線温度以下に調節することができる。しかも、駆動手段9によって円筒状支持棒4を回転駆動することで、加熱中のビレット2を回転させることができる。このように、加熱中のビレット2を回転させることによって、ビレット2の全体を均等に円筒状支持棒4に接触させて、ビレット2の全体を均等に冷却すると共に、ビレット2内部の液層が重力の影響によって偏りを生じることを防ぎ、ビレット2の金属組織の均一性を確保することができる。したがって、ビレット2の回転速度は、上記効果を得るために必要な速度に調節されるものである。
【0017】
なお、円筒状加熱体3の内部に送風する冷却用のエアBのみによって、ビレット2に必要な冷却性を確保することができる場合には、円筒状支持棒4に冷却媒体5を流すための循環手段を省略することも可能である。
また、重力の影響によるビレット2内部の液層の偏りが大きな問題とならないような場合には、円筒状支持棒4を回転駆動する駆動手段9を省略することも可能である。この場合には、円筒状支持棒4の断面形状は必ずしも円形である必要はなく、ビレット2を安定支持することが可能な断面形状であれば良い。
【0018】
【発明の効果】
本発明はこのように構成したので、加熱コイルおよびその内部に装填するビレットを横置きにしてビレットの加熱を行う際に、ビレットの温度を適切に制御してビレット形状の崩壊を防ぐことが可能となる。さらに、ビレット内部の金属組織の均一性を保持することが可能となる。よって、半溶融体の溶融加工方法によって得られる成形品の品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るビレット加熱装置を断面で示す模式図である。
【図2】図1に示すビレット加熱装置の側面を示す模式図である。
【図3】従来のビレット加熱装置の一例であって、加熱コイルおよびその内部に装填するビレットを横置きにした加熱装置の問題点を示す模式図である。
【図4】従来のビレット加熱装置の一例であって、加熱コイルおよびその内部に装填するビレットを横置きにした加熱装置の、別の問題点を示す模式図である。
【符号の説明】
1 加熱コイル
2 ビレット
3 円筒状加熱体
4 円筒状支持棒
5 冷却媒体
6 熱交換器
9 駆動手段
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東品川二丁目2番20号
【識別番号】000227825
【氏名又は名称】日本アジャックス・マグネサーミック株式会社
【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目6番35号
【出願日】 平成15年6月26日(2003.6.26)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【公開番号】 特開2005−15855(P2005−15855A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−182756(P2003−182756)