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【発明の名称】 クランクシャフトの高周波誘導加熱装置
【発明者】 【氏名】北村 昌知
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電気興業株式会社内
【氏名】山口 亮一
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電気興業株式会社内
【氏名】小宮 誠
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電気興業株式会社内
【課題】クランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の焼入処理や焼戻処理などのためにピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するに際し、荷重を無段階に制御することによりピン部若しくはジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従荷重をピン部又はジャーナル部の回転位置に関係なく一定(均一)にし得て必要最小限の荷重に設定することができ、これにより傷の発生並びに曲りの発生を最小限に抑えることができるようなクランクシャフトの高周波誘導加熱装置を提供する。

【解決手段】高周波誘導加熱コイル6がクランクシャフト1のピン部3若しくはジャーナル部2に追従する際のピン部3若しくはジャーナル部2に対する高周波誘導加熱コイル6の追従荷重を無段階に調整する追従荷重調整手段21を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の円筒状外周面上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、前記高周波誘導加熱コイルに高周波電力を供給すると共に、前記クランクシャフトをその中心軸を中心に回転せしめて前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部若しくはジャーナル部に追従させながら前記ピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するようにしたクランクシャフトの高周波誘導加熱装置において、前記高周波誘導加熱コイルが前記ピン部若しくはジャーナル部に追従する際の前記ピン部若しくはジャーナル部に対する前記高周波誘導加熱コイルの追従荷重を無段階に調整する追従荷重調整手段を備えたことを特徴とするクランクシャフトの高周波誘導加熱装置。
【請求項2】
前記追従荷重調整手段により、前記追従荷重を前記ピン部若しくはジャーナル部の全ての回転位置において均一になるように設定したことを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの高周波誘導加熱装置。
【請求項3】
前記高周波誘導加熱コイルを支持する荷重調整用のシリンダ装置と、前記クランクシャフトの回転位置を検出するエンコーダ装置と、前記エンコーダ装置からの回転位置検出信号に基づいて荷重制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路からの荷重制御信号に応じた圧力を前記シリンダ装置へ供給するレギュレータとで前記追従荷重調整手段を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクシャフトの高周波誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クランクシャフト(内燃機関用クランクシャフト)のピン部若しくはジャーナル部を焼入処理や焼戻処理等のために高周波誘導加熱する高周波誘導加熱装置に関し、詳しくは、ランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の円筒状外周面上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、前記高周波誘導加熱コイルに高周波電力を供給すると共に、前記クランクシャフトをその中心軸を中心に回転せしめて前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部若しくはジャーナル部に追従させながら前記ピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するようにしたクランクシャフトの高周波誘導加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、4気筒エンジン用クランクシャフト1を示すものであって、このクランクシャフト1は、回転中心軸X(ジャーナル部の軸線と同じ)を軸心とするジャーナル部2a,2b,2c,2d,2eと、回転中心軸Xに対して偏心した位置にあるピン部3a,3b,3c,3dと、カウンターウエイト部4a,4b,4c,4d,4e,4f,4g,4hと、端部箇所のフランジ部Nを鍛造加工により一体に成形して成るものである。複数気筒エンジン用クランクシャフトであればピン部3は複数設けられ、図4に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、4つのピン部3a〜3dが設けられる。そして、これらのピン部3a〜3dは、回転中心軸Xの軸線方向に沿って所定の間隔を隔てた箇所において、互いに隣接するカウンターウエイト部4の間にそれぞれ配置される。また、回転中心軸Xの軸線方向において互いに隣接する各ピン部3a〜3dは、エンジンの形式に応じて、回転中心軸Xの回りに所定の位相角度だけ異なる角度位置に配設される。なお、図4に示す4気筒エンジン用クランクシャフト1の場合には、左右両端側のピン部3a,3dが互いに同じ位相角度の箇所に配設されると共に、これらのピン部3a,3d間のピン部3b,3cが互いに同じ位相角度の箇所に配設され、左右両端側のピン部3a,3dと中間位置のピン部3b,3cとが互いに180度の位相角度をもって配設される。
【0003】
この種のクランクシャフト1にあっては、従来より、クランクシャフト1のジャーナル部2a〜2d及びピン部3a〜3を高周波誘導加熱して焼入処理を施行することにより、耐摩耗性並びに疲労強度の向上を図るようにしている。なお、従来では、高周波誘導加熱コイル6をピン3a〜3d部若しくはジャーナル部2a〜2eに追従させながら高周波誘導加熱を行ういわゆる追従方式の加熱を施行するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図5及び図7(a)は、クランクシャフト1のピン部3a〜3dの各々(以下においては、総括的にピン部3と記載する)を高周波焼入するために従来より用いられている高周波焼入装置30を示すものであって、この高周波焼入装置30は、一対の側板5a,5b間に挟持状態で保持された半開放鞍型(下側が開放された半円弧形状)の高周波誘導加熱コイル6と、この高周波誘導加熱コイル6にトランス7を介して高周波電流を供給する高周波電源8と、クランクシャフト1を水平に支持して回転中心軸Xを中心に回転駆動するための回転駆動機構(図示せず)と、前記側板5a,5b間に取付けられた例えば3つのガイド部材(セラミックや超硬合金製のチップ部材)9a,9b,9cを介してクランクシャフト1のピン部3の円筒状外周面S上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6を僅かな隙間を隔てて対向配置した状態の下で、前記回転駆動機構にてクランクシャフト1をその回転中心軸Xを中心に回転駆動させるのに伴って前記回転中心軸Xの回りに公転運動されるピン部3に高周波誘導加熱コイル6を追従させるための4辺リンク機構から成る追従機構10とを備えている。そして、前記高周波誘導加熱コイル6にて高周波誘導加熱されたピン部3に焼入冷却液を噴射して焼入処理を行う焼入冷却液噴射機構(図示せず)が、高周波誘導加熱装置30に隣接して配置されている。
【0005】
上述の追従機構10は、左右一対のリンク部材11a,11bと、上下一対の上辺部材12a及び下辺部材12bと、これらの部材を互いに回動可能につなぐリンクピン13a,13b,13c,13dとをそれぞれ有しており、リンクピン13a〜13dを支点として揺動可能なリンク式枠体14とこのリンク式枠体14の全体を上下動させる荷重調整用のシリンダ装置15とで要部が構成されている。なお、シリンダ装置15は、高周波誘導加熱装置30に設けられた支持部16に支持されており、このシリンダ装置15による追従荷重の制御は、荷重調整用のレギュレータRからシリンダ装置15に供給される空気圧力を調整することにより行われるようになっている。
【0006】
すなわち、図6に示すように、シリンダ装置15のポートPを介して作動圧室16内に調整された空気圧力(手動で調整可能な圧力)を供給してピストン17を上方に押し上げる方向に付勢するように構成されており、シリンダ装置15の背圧室18は、他方のポートPを介して大気に開放されている。これにより、シリンダ装置15によって吊り下げ状態で支持されている追従部(高周波誘導加熱コイル6や追従機構10などを含む組合体)Mの荷重から上述の上方に押す力を引いた残りの重量が追従荷重として作用するようになっている。かくして、リンク式枠体14の揺動運動とシリンダ装置15とにより荷重が制御されたリンク式枠体14の上下運動とを合成することにより、ピン部3の公転運動に高周波誘導加熱コイル6を追従させる構成となっている。
【0007】
図7(b)〜(f)は、クランクシャフト1のピン部3の円筒状外周面Sを焼入処理のために高周波誘導加熱する際に、クランクシャフト1をその回転中心軸Xの回りに矢印α方向に回転させたときのピン部3の中心軸X回りの公転運動、並びに、公転運動をするピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従動作を示したものである。ピン部3の円筒状外周面Sの高周波誘導加熱時には、ピン部3の公転運動に高周波誘導加熱コイル6を追従させつつこの高周波誘導加熱コイル6に高周波電源8よりトランス7を介して所要電力を所要時間にわたり投入してピン部3の円筒状外周面Sを所要の焼入温度にまで高周波誘導加熱し、しかる後に加熱状態のピン部3の円筒状外周面Sに図外の焼入冷却液噴射機構から焼入冷却液を噴射して前記円筒状外周面Sを急速冷却することにより焼入処理を完了するようにしている。
【0008】
なお、ジャーナル部2を高周波誘導加熱して焼入処理する場合もピン部3の場合と同様であるので、ジャーナル部2の高周波誘導加熱についての説明は省略する。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−073039号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような追従機構10を用いた場合、ピン部3の公転運動に対する高周波誘導加熱コイル6の追従運動は、公転運動により発生する追従機構の加速度荷重及び追従機構の摺動低抗などにより、ピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従荷重が一定とならない。シリンダ装置15による追従荷重の制御は、通常、1個のレギュレータRのみにより行うようにしている関係上、追従不良の発生を防止するために、ピン部3の公転運動に対応する追従荷重の変動の最も軽い荷重が0kgfとならないように追従荷重を設定するようにしている。ところが、追従荷重を小さく設定すると、図7(c)に示すように、追従不良が発生する。具体的には、ピン部3が上死点を通過して下死点に向かう区間において高周波誘導加熱コイル6の追従運動がピン部3の公転運動に対して遅れてしまい、その結果、ピン部3の円筒状外周面Sと半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル6との間の距離が正規の距離L(図7(b)参照)よりも大きな距離L(図7(c)参照)となり(L<L)、加熱不良を起こしてしまう。また、これとは逆に、追従荷重を大きく設定するとピン部3にガイド部材9a〜9cによる傷がついてしまうおそれがある。また、クランクシャフト1の曲りを生じる原因になる。
【0011】
本発明は、上述した問題を解決するべくなされたものであって、その目的は、クランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の焼入処理や焼戻処理などのためにピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するに際し、追従荷重を無段階に制御することによりピン部若しくはジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従荷重をピン部又はジャーナル部の回転位置に関係なく一定(均一)にし得て必要最小限の荷重に設定することができ、これにより傷の発生並びに曲りの発生を最小限に抑えることができるようなクランクシャフトの高周波誘導加熱装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、クランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の円筒状外周面上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを載置し、前記高周波誘導加熱コイルに高周波電力を供給すると共に、前記クランクシャフトをその中心軸を中心に回転せしめて前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部若しくはジャーナル部に追従させながら前記ピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するようにしたクランクシャフトの高周波誘導加熱装置において、前記高周波誘導加熱コイルが前記ピン部若しくはジャーナル部に追従する際の前記ピン部若しくはジャーナル部に対する前記高周波誘導加熱コイルの追従荷重を無段階に調整する追従荷重調整手段を備えるようにしている。
また、本発明では、前記追従荷重調整手段により、前記追従荷重を前記ピン部若しくはジャーナル部の全ての回転位置において均一になるように設定するようにしている。
また、本発明では、前記高周波誘導加熱コイルを支持する荷重調整用のシリンダ装置と、前記クランクシャフトの回転位置を検出するエンコーダ装置と、前記エンコーダ装置からの回転位置検出信号に基づいて荷重制御信号を出力する制御回路と、前記制御回路からの荷重制御信号に応じた圧力を前記シリンダ装置へ供給するレギュレータとで前記追従荷重調整手段を構成するようにしている。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態においては、追従荷重調整用のレギュレータに加えて、追従荷重を無段階に制御するための空気圧力を前記シリンダ装置に供給する追従荷重制御用のレギユレータを設けるようにしている。
また、本発明の好ましい実施形態においては、クランクシャフト回転機構にエンコーダ装置を組み込み、このエンコーダ装置からの回転位置検出信号に基づいて追従荷重制御用のレギユレータに荷重制御信号を供給するようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3において、図4〜図7と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るクランクシャフトの高周波誘導加熱装置20を示すものであって、本装置20は、高周波誘導加熱コイル6がピン部3に追従する際のピン部3に対する高周波誘導加熱コイル6の追従荷重を無段階に調整する追従荷重調整手段21を備えている。なお、その他の構成は、従来の高周波誘導加熱装置と同様である。
【0016】
上述の追従荷重調整手段21は、高周波誘導加熱コイルを支持する荷重調整用のシリンダ装置15と、ピン部3の高周波誘導加熱に際して図外の回転駆動機構にて回転駆動されるクランクシャフト1の回転位置を連続的に(リアルタイムで)検出するために前記回転駆動機構に設けられるエンコーダ装置23と、このエンコーダ装置23からの回転位置検出信号(例えば電気信号)に基づいて荷重制御信号を出力する制御回路24と、この制御回路24からの荷重制御信号に応じた空気圧力をシリンダ装置15の背圧室18へ供給する追従荷重制御用のレギュレータRとにより構成されている。
【0017】
上述のエンコーダ装置23は、図示を省略したが、例えば、クランクシャフト1の端部のジャーナル部2又はフランジ部N(図4参照)に同軸状に固着された円盤状のスリット板と、このスリット板に等角度間隔で形成された複数のスリットに対応する箇所に固定配置されたフォトダイオードなどの発光素子と、この発光源に前記スリット板を介して対応配置されたフォトトランジスタなどの受光素子とから構成されている。かくして、高周波誘導加熱時にクランクシャフト1が回転中心軸Xを中心に回転駆動される際に、そのクランクシャフト1の回転位置ひいてはピン部3の回転位置がエンコーダ装置23によって連続的にリアルタイムで検出されるように構成されている。なお、エンコーダ装置23としては、上述の如き光学式のエンコーダ装置に代えて、いわゆる電磁式のエンコーダ装置或いはその他の各種のタイプの回転位置検出用のエンコーダ装置を用いることが可能である。
【0018】
また、シリンダ装置15の一方のポートPには、従来の場合と同様に、レギュレータRから所定(一定)の空気圧力が荷重調整用圧力として常時供給されている。なお、この荷重調整用圧力は手動にて調整可能である。従って、シリンダ装置15の作動圧室16には、第1のレギュレータRからシリンダ装置15の第1のポートPを通して所定の空気圧力(一定圧力)が供給されるようになっている。一方、シリンダ装置15の背圧室18には、第2のレギュレータRからシリンダ装置15の第2のポートPを通して、前記エンコーダ装置23にて検出されたクランクシャフト1の回転位置に応じて変化する空気圧力が制御用圧力として供給されるようになっている。これにより、シリンダ装置15により調整される追従荷重Wを後述の如く無段階に調整することができるように構成されている。
【0019】
図3(a)〜(f)は、上述の高周波誘導加熱装置20にてクランクシャフト1のピン部3を焼入処理などのために高周波誘導加熱する際の追従機構10及び高周波誘導加熱コイル6の動作を90度毎に示したものである。まず、図3(a)は、ピン部3上に高周波誘導加熱コイル6が載置される前の状態を示しており、図3(b)は、ピン部3上に高周波誘導加熱コイル6が載置された状態であって、ピン部3が下死点にある状態を示している。
【0020】
図3(b)に示す如くピン部3上に高周波誘導加熱コイル6がガイド部材9a〜9cを介して載置された後に、クランクシャフト1が回転中心軸Xを中心に回転駆動されると、これに伴ってピン部3が前記回転中心軸Xの回りに公転し、図3(c),図3(d),及び図3(e)に示す状態に順次に動作する。ピン部3の公転中においては、高周波誘導加熱コイル6は、ガイド部材9aと9cとにより水平方向(横方向)に、かつガイド部材9bと追従荷重とにより垂直方向(上下方向)に、ピン部3に対してそれぞれ追従動作をする。
【0021】
次に、ピン部3の高周波誘導加熱時における追従荷重の制御について述べると、以下の通りである。
【0022】
追従動作中においてガイド部材9bからピン部3に伝達される追従荷重は、概ね下記の式で計算される。
(1) 高周波誘導加熱コイルの下降時
W=m[(mg−F−f)/m−aωCOSωt] …… ▲1▼
(2) 高周波誘導加熱コイルの上昇時
W=m[(mg−F+f)/m−aωCOSωt] …… ▲2▼
ここで、
W : 追従荷重
ω : 角速度
m : ピン部に追従する追従部の質量
F : シリンダ装置の推力
f : 追従部の上下動時の抵抗
a : 回転半径(1/2ストローク)
g : 重力加速度
t : 時間
【0023】
上記の式▲1▼,▲2▼から、ピン部3の回転位置に応じて追従荷重が変化することがわかる。すなわち、ピン部の下降時には追従荷重Wが徐々に減少する一方、ピン部3の上昇時には追従荷重Wが徐々に増大することがわかる。従って、本実施形態では、ピン部3の回転位置をエンコーダ装置23より検知して、その回転位置に対応する電気信号を空気圧力制御信号すなわち荷重制御信号として制御回路24からレギュレータRに入力し、これによりシリンダ装置15の背圧室18に、ピン部3の回転位置に対応して徐々に増減(変化)する空気圧力(具体的には、ピン部3の下降時には徐々に増大する空気圧力、ピン部3の上昇時には徐々に減少する空気圧力)を供給するようにしている。この場合、背圧室18に供給される空気圧力は、シリンダ装置15のピストン17を上方に押し下げる方向の力として作用し、シリンダ装置15のピストン17を上方に押し上げる方向に作用するレギュレータRからの一定の空気圧力に対抗する力として作用する。その結果、追従荷重Wは、ピン部3の回転位置が何れの位置であっても常に一定に維持されるように設定され、ピン部3の回転位置の如何に拘わらず各回転位置において追従荷重Wが均一に設定されるようになっている。
【0024】
このように構成した高周波誘導加熱装置20によれば、追従荷重調整手段21を設けて追従荷重Wをピン部3の回転位置に関係なく常に一定に維持するようにしているので、追従荷重Wを常に適正最小値に制御することが可能となる。それに伴い、ガイド部材9a〜9cによるピン部3の傷を最小限に抑えることができる上に、クランクシャフト1に加わる追従荷重によるクランクシャフト1の曲りの発生も最小限に抑えることができる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態ではピン部3を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱装置20について述べたが、ジャーナル部2を高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱装置についても本発明を適用し得ることは言う迄もない。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明は、高周波誘導加熱コイルがピン部若しくはジャーナル部に追従する際のピン部若しくはジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従荷重を無段階に調整する追従荷重調整手段を備えるようにしたものであるから、クランクシャフトのピン部若しくはジャーナル部の焼入処理や焼戻処理などのためにピン部若しくはジャーナル部を高周波誘導加熱するに際し、上述の追従荷重調整手段にて追従荷重を無段階に制御することにより、ピン部若しくはジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従荷重をピン部又はジャーナル部の回転位置に関係なく一定に維持することが可能となり、これにより、被加熱部であるピン部又はジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従不良の発生を防止することができると共に、被加熱部であるピン部又はジャーナル部における傷の発生並びにクランクシャフトの曲りの発生を最小限に抑えることができる。また、追従運動中に追従不良を発生し易い任意の箇所(回転位置)での追従荷重を制御することによって、追従不良による加熱不良を防止することが可能となる。
【0027】
また、請求項2に記載の本発明は、追従荷重調整手段により、追従荷重をピン部若しくはジャーナル部の全ての回転位置において均一(一定)になるように設定するようにしたものであるから、追従荷重を前記回転位置の如何に拘わらず常に必要最小限の大きさに設定することによりピン部又はジャーナル部における傷の発生並びにクランクシャフトの曲りの発生を抑制できると共に、ピン部又はジャーナル部に対する高周波誘導加熱コイルの追従不良を回避することができ、ひいては加熱不良品の流出を防止することができる。
【0028】
また、請求項3に記載の本発明によれば、高周波誘導加熱コイルを支持する荷重調整用のシリンダ装置と、クランクシャフトの回転位置を検出するエンコーダ装置と、エンコーダ装置からの回転位置検出信号に基づいて荷重制御信号を出力する制御回路と、制御回路からの荷重制御信号に応じた圧力をシリンダ装置へ供給するレギュレータとで追従荷重調整手段を構成するようにしたものであるから、簡単な構成でありながら最適な追従荷重を付与した状態の下で高周波誘導加熱を円滑に行うことが可能な高周波誘導加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るクランクシャフトの高周波誘導加熱装置の構成図である。
【図2】図1の高周波誘導加熱装置に用いられているシリンダ装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、図1の高周波誘導加熱装置にてクランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱する際の動作を順次に説明するための図である。
【図4】クランクシャフトの斜視図である。
【図5】従来におけるクランクシャフトの高周波誘導加熱装置の構成図である。
【図6】図5の高周波誘導加熱装置に用いられているシリンダ装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】図7(a)〜(e)は、図4の高周波誘導加熱装置にてクランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱する際の動作を順次に示す図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト
2,2a〜2e ジャーナル部
3,3a〜3d ピン部
15 シリンダ装置
16 作動圧室
18 背圧室
20 高周波誘導加熱装置
21 追従荷重調整手段
23 エンコーダ装置
24 制御回路
M 追従部
荷重調整用のレギュレータ
荷重制御用のレギュレータ
【出願人】 【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
【出願日】 平成15年6月23日(2003.6.23)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一

【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一

【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男

【識別番号】100072143
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 暢利

【公開番号】 特開2005−8978(P2005−8978A)
【公開日】 平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願番号】 特願2003−177498(P2003−177498)