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【発明の名称】 |
無方向性電磁鋼板の製造方法 |
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【氏名】藤村 浩志 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 【氏名】屋鋪 裕義 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 |
【課題】本発明は、磁束密度が高く、経済的で操業性に優れる無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、質量%で、C:0.005%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜1.0%、P:0.2%以下、S:0.0015〜0.03%、Ti:0.003%以下、Al:0.1〜0.4%、N:0.004%以下を含有し、さらに下記(1)式を満足するSnおよびSbの少なくともいずれか一方を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、仕上温度:800〜900℃、最終圧延パスの圧下率:15〜30%の熱間圧延を施し、次いで熱延板焼鈍を施すことなしに冷間圧延を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.005%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜1.0%、P:0.2%以下、S:0.0015〜0.03%、Ti:0.003%以下、Al:0.1〜0.4%、N:0.004%以下を含有し、さらに下記(1)式を満足するSnおよびSbの少なくともいずれか一方を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、仕上温度:800〜900℃、最終圧延パスの圧下率:15〜30%の熱間圧延を施し、次いで熱延板焼鈍を施すことなしに冷間圧延を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。 0.05<(Sn/2+Sb)≦0.1 (1) (ここで、SnおよびSbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。) 【請求項2】 前記冷間圧延における圧下率が70〜90%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、モータや変圧器などの鉄心に適用される無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年では地球温暖化防止や省エネルギー推進の観点から、各種電気機器の高効率化・小型化が進められている。電気機器の高効率化・小型化には、その鉄心素材である電磁鋼板の磁気特性を改善することが有効である。中でも、電磁鋼板の磁束密度を高めることにより、モータの銅損低減やモータトルクの向上がもたらされる。そこで、従来から磁束密度の高い電磁鋼板およびその製造方法が提案されてきた。 【0003】 特許文献1には、Sn:0.03〜0.4%を含有した珪素鋼板を製造するにあたり、熱延板を700〜1000℃で焼鈍することにより、鉄損が低く透磁率の高い無方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。しかしながらこの方法では、熱延板焼鈍が不可欠であるため操業性、経済性に劣る問題があった。 【0004】 また、特許文献2には、熱間圧延の最終1パスの圧下率を3〜17%とし、次いで注水して巻き取った後、脱スケール、冷間圧延、焼鈍することにより、優れた磁束密度を有する無方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。しかしながらこの方法では、鋼成分の改良がなく冷間圧延前の粒径が小さいため、磁束密度の改善が不十分であった。 【0005】 さらに、特許文献3には、熱間圧延の最終1パスの圧下率を30%以上の条件で行うことにより、磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を製造する方法が提案されている。この方法では、不純物元素の限定が不十分であるため、不純物量によっては冷間圧延前の粒径が小さくなり磁束密度が劣化する場合があった。また、熱延鋼板を薄くするため、脱スケールに大きな負荷がかかり、操業性、経済性に劣る問題もあった。 【0006】 【特許文献1】 特開昭56−98420号公報 【特許文献2】 特開平7−138640号公報 【特許文献3】 特開平11−80834号公報 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、磁束密度が高く、経済的で操業性に優れる無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、主要な鋼成分や不純物を限定し、熱間圧延・冷間圧延条件を適正化することにより、熱延板焼鈍を施すことなく、磁束密度の高い電磁鋼板を製造できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。 【0009】 すなわち、本発明は、質量%で、C:0.005%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.1〜1.0%、P:0.2%以下、S:0.0015〜0.03%、Ti:0.003%以下、Al:0.1〜0.4%、N:0.004%以下を含有し、さらに下記(1)式を満足するSnおよびSbの少なくともいずれか一方を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなる鋼塊または鋼片に、仕上温度:800〜900℃、最終圧延パスの圧下率:15〜30%の熱間圧延を施し、次いで熱延板焼鈍を施すことなしに冷間圧延を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。 0.05<(Sn/2+Sb)≦0.1 (1) (ここで、SnおよびSbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す)。 【0010】 なお、本発明において、「残部が実質的にFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素(例えばCaや希土類金属)を含有する場合を含むことを意味する。 【0011】 本発明においては、鋼成分としてSnおよびSbの少なくともいずれか一方を所定量含有し、Tiの含有量を低減させた鋼塊または鋼片を用いて、熱間圧延条件を適正化することにより、熱延板焼鈍を施すことなく、磁束密度が著しく向上した無方向性電磁鋼板を製造することが可能となる。 【0012】 ここで、SnおよびSbは、磁気特性に有利な集合組織形成に有効に働くため、磁気特性を向上させるには多量のSnおよび/またはSbを鋼に含有させればよいが、その含有量が高くなると熱延鋼板が脆くなり、冷間圧延時に鋼板の幅端部から耳割れが生じて製品の歩留まりが低下する。よって、本発明においては、上記(1)式を満足するSnおよび/またはSbの含有量とし、不可避的不純物元素であるTiの含有量を低減させ、C、Si、Mn、PおよびAlの含有量を上記範囲とすることにより、良好な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を製造することができる。 【0013】 また、熱間圧延における仕上温度が上記範囲未満では熱延鋼板の粒径が細粒化し、所望の磁束密度が得られず、上記範囲を超えて高くなると熱延鋼板表面の酸化スケールが厚くなり、後工程の酸洗効率が低下する可能性がある。一方、最終圧延パスの圧下率が上記範囲未満では、熱延鋼板の集合組織がその後の冷延鋼板の再結晶集合組織に悪影響をもたらすと考えられ、上記範囲を超えると熱延鋼板の粒径が細粒化し、所望の磁束密度が得られない可能性がある。よって、本発明においては、熱間圧延における仕上温度および最終圧延パスの圧下率を上記範囲内とすることにより、良好な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板を製造することができる。 【0014】 さらに、上記冷間圧延における圧下率が70〜90%であることが好ましい。冷間圧延の圧下率が70%未満では、熱延鋼板の厚さが薄くなり鋼帯の長さが長くなるため、鋼板表面積が増加して酸洗による脱スケール効率が低下する可能性があるからである。一方、90%を超えて高くなると冷間圧延時に耳割れが生じ歩留まりが低下する可能性があるからである。 【0015】 【発明の実施の形態】 以下、本発明について詳細に説明する。なお、鋼中の各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。 【0016】 発明者らは、まず磁気特性に及ぼす鋼組成および熱間圧延条件の影響を調べるため以下のような実験を行った。 【0017】 溶銑を用いた転炉精錬後の取鍋精錬において、RH式真空脱ガス処理によりC含有量を0.004%以下とした後に、Si、Mn、P、Al、SnおよびSbの成分を調整し、連続鋳造によりスラブとした。そのスラブを1130℃に加熱後、熱間圧延において最終圧延パスの圧下率を10〜40%、仕上温度を750〜900℃と変化させて、2mmの熱延板とした。これを酸洗し、さらに冷間圧延して厚さ0.5mmの冷延板とした。次いで、800℃40秒の連続仕上げ焼鈍を施し、絶縁被膜をコーティングして無方向性電磁鋼板とした。この鋼板の鋼成分は、C:0.002%、Si:0.5%、Mn:0.3%、P:0.1%、S:0.004%、Ti:0.001〜0.002%、Al:0.3%、Sn:0.12%、N:0.002%、Sb:0.001%未満であった。この鋼板を用いて、JIS−C−2550に規定の方法により磁束密度を測定した。結果を図1に示す。 【0018】 図1は、熱間圧延における最終圧延パスの圧下率と磁束密度B50との関係を示したものである。図1に示すように、熱間圧延における最終圧延パスの圧下率が15〜30%、仕上温度が800〜900℃の範囲において、B50が1.78T以上の鋼板を得ることができた。 【0019】 このように磁束密度の高い無方向性電磁鋼板が得られた理由は、おそらく熱間圧延により熱延鋼板の集合組織が適切に制御され、続く冷間圧延および焼鈍後に形成する集合組織が磁気特性に有利になったためと推定される。一方、この鋼板のSn含有量は0.12%、Sb含有量は0.001%未満であったが、SnおよびSbは粒界に偏析しやすい元素であり、加工後の再結晶粒成長段階で特定粒界の易動度を下げ、特定方位粒の成長を促進する。そのようなSnおよびSbの効果が熱延鋼板・冷延鋼板の望ましい集合組織形成に有利に働いたと推定される。 【0020】 次に、磁気特性に及ぼすTi含有量の影響を調べるため以下のような実験を行った。 【0021】 上述した実験において、熱間圧延における最終圧延パスの圧下率が20%、仕上温度が850℃の条件で鋼板を作製した。また、鋼板の鋼成分は、C:0.002%、Si:0.5%、Mn:0.3%、P:0.1%、S:0.004%、Al:0.3%、Sn:0.12%、N:0.002%、Sb:0.002%であり、Ti含有量を0〜0.006%の範囲内で変化させた。この鋼板を用いて、JIS−C−2550に規定の方法により磁束密度を測定した。結果を図2に示す。 【0022】 図2は、鋼板のTi含有量と磁束密度B50との関係を示したものである。図2に示すように、Ti含有量が0.003%を超えると、著しく磁束密度が低下する。この理由は、おそらく熱間圧延中に微細に析出するチタン炭窒化物が磁気特性に有利な集合組織を妨げるためと推定される。 【0023】 上述した実験の結果から、従来では特開昭56−98420号公報に提案されているように、熱延板焼鈍を行うことにより磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を製造していたのに対し、本発明においては、鋼成分としてSnおよびSbの少なくともいずれか一方を所定量含有させ、Ti含有量を0.003%以下と極微量になるように低減させたスラブを用いて、熱間圧延条件を適正化することにより、熱延板焼鈍を施すことなく、磁束密度が著しく向上した無方向性電磁鋼板を製造できることがわかった。 【0024】 このように、本発明においては、Sn、SbおよびTiを所定の含有量とすること、さらに熱間圧延における仕上温度を800〜900℃、最終圧延パスの圧下率を15〜30%とすることが特徴であるが、その効果を有効に引き出し、また電磁鋼板として必要な他の特性を満足させるためには、後述するように鋼成分を限定する必要がある。以下、本発明における鋼成分、熱間圧延、および冷間圧延について説明する。 【0025】 (鋼成分) ・C Cは炭化物として析出し、磁気特性を低下させるため、その含有量は低いほどよい。特に、C含有量が0.005%を超えて高くなると磁気時効が生じるため、C含有量は0.005%以下とする。また、磁気特性にとって好ましくない(111)結晶方位粒の成長を抑制するため、その含有量の下限値は0.0003%とするのが望ましい。 【0026】 ・Si Siは鋼の比抵抗を高めるため、その含有量が高いほど鉄損は小さくなる。しかしながら、Si含有量が高くなるとFe含有量が低下するため磁束密度は低下する。したがって、Si含有量は所望の鉄損・磁束密度のバランスで決定すればよいが、必ずしも必須の成分ではない。一方、Si含有量が1.0%を超えると熱延鋼板の組織制御が困難となり、磁束密度が著しく低下する。よって、Si含有量は1.0%以下とする。 【0027】 ・Mn Mnも鋼の比抵抗を高める効果があり、Mn含有量は高いほどよい。Mn含有量が0.1%未満となると、MnSが微細に分散し磁気特性が劣化する。一方、Mn含有量が1.0%を超えて高くなると、Ac3変態点が下がり過ぎ熱延鋼板の組織制御が困難となり、磁束密度が著しく低下する。したがって、Mn含有量は0.1〜1.0%の範囲内とする。 【0028】 ・Al Alは脱酸に有効な元素であり、その含有量が高いほど介在物が低減するため磁気特性が向上する。その効果を得るには、0.1%以上必要である。一方、Al含有量が0.4%を超えて高くなると、磁束密度が低下する。したがって、Al含有量は0.1〜0.4%の範囲内とする。 【0029】 ・P PはSi同様に鋼の比抵抗を高め、その含有量が高いほど鉄損は小さくなる。しかしながら、P含有量が0.2%を超えて高くなると、鋼板の硬さが上昇して、鉄心加工における打ち抜き性が劣化する。したがって、P含有量は0.2%以下とする。 【0030】 ・S SはMnSを形成し、鉄心加工における打ち抜き性を改善するのに有効である。その効果を得るには、0.0015%以上必要である。一方、S含有量が0.03%を超えて高くなると、MnSの分散密度が高まり、鉄損が著しく劣化する。したがって、S含有量は0.0015〜0.03%の範囲内とする。ところで、鉄心加工時において、鉄心の鉄損を低減するため、打ち抜き積層後に歪取焼鈍を施すことがある。その歪取焼鈍後の鉄心の鉄損を低減するには、MnSの分散密度が小さいほどよい。そのような用途向け電磁鋼板のS含有量は、0.006%以下が望ましい。 【0031】 ・Ti Tiは不可避的不純物元素である。Ti含有量が0.003%を超えて高くなると、微細なTi炭窒化物が析出し、磁気特性が著しく劣化する。したがって、Ti含有量は0.003%以下とする。 【0032】 ・N NはAl、Tiと窒化物を形成し、磁気特性を劣化させるため、その含有量は少ないほどよい。特に、N含有量が0.004%を超えて高くなると、窒化物の分散密度が高まり、熱延鋼板の組織制御が困難となり、所望の磁束密度が得られない。したがって、N含有量は0.004%以下とする。さらに好ましいN含有量は0.002%以下である。 【0033】 ・SnおよびSb SnおよびSbは磁気特性に有利な集合組織形成に有効に働く元素であり、本発明において必須の元素である。無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるには、(111)面を有する結晶方位粒を低減し、(100)および(110)面を有する結晶方位粒を増加させることが有効である。SnやSbはまさにその(111)結晶方位粒の成長を抑制し、(100)および(110)結晶方位粒の成長を促進する。よって、熱延板焼鈍を省略して磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を製造するためには、多量のSnおよび/またはSbを鋼に含有させる必要がある。具体的には、下記式を満足するSnおよび/またはSbを含有することが必要である。 (Sn/2+Sb)>0.05 (ここで、SnおよびSbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す)。 【0034】 Sn含有量に1/2の係数が必要である理由は、磁束密度を改善する効果がSbより小さいためである。一方、その合計含有量(Sn/2+Sb)が0.1%を超えて高くなると、熱延鋼板が脆くなり、冷間圧延時に鋼板の幅端部から耳割れが生じて製品の歩留まりが低下する。したがって、下記(1)式を満足するSnおよび/またはSbを含有することが必要である。 0.05<(Sn/2+Sb)≦0.1 (1) (ここで、SnおよびSbはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す)。 【0035】 また、SnとSbを複合して含有させる必要はなく、それぞれ単独で含有させてもよい。すなわち、Sn含有量は0.1%超〜0.2%の範囲内、Sb含有量は0.05%超〜0.1%の範囲内であればよい。ただし、Sbは蒸気圧が高いため、SbよりSnを合金元素として選択する方が操業上好ましい。 【0036】 ・その他の成分 Cu:CuはSnとともに鋼の熱間加工性を劣化させ、表面疵を誘発する元素である。したがって、なるべくCu含有量は少ないほうがよい。ただし、製銑・製鋼時に不可避的に混入する量である0.05%以下であれば、表面疵等の問題はない。したがって、本発明ではCu含有量については特に限定するものではない。なお、スクラップ鉄などを多用するとCu含有量が高くなるので、スクラップを利用せずなるべく溶銑から製造することが好ましい。 【0037】 Ni、CrおよびV:Ni、CrおよびVも製銑・製鋼時に不可避的に混入する元素である。これらの元素は、磁気特性にあまり影響を及ぼさず、その原料は高価であるので、本発明ではNi、CrおよびVの含有量を限定するものではない。 【0038】 Caおよび希土類金属:Caおよび希土類金属は脱酸や脱硫に有効であり、鉄損改善に有効な元素である。これらの元素は、本発明では必須ではないが、低鉄損化の必要に応じて添加しても磁束密度を低下させることはない。したがって、本発明ではCaおよび希土類金属の含有量を限定するものではない。 【0039】 (熱間圧延) 次に、本発明における熱間圧延について説明する。 【0040】 本発明において、熱間圧延における鋼塊または鋼片の加熱温度は特に限定するものではないが、1000℃〜1200℃の範囲内とすることが好ましい。上記範囲内においては、鉄心加工時における歪取焼鈍後の鉄損を改善することができるからである。 【0041】 また、熱延仕上温度は800℃〜900℃の範囲内とすることが必要である。本発明では、熱間圧延条件とSn、SbおよびTiの含有量とを限定することにより、磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を製造することができるからである。また、熱延仕上温度が800℃未満では熱延鋼板の粒径が細粒化し、所望の磁束密度が得られないからである。一方、900℃を超えて高くなると熱延鋼板表面の酸化スケールが厚くなり、後工程の酸洗効率が著しく低下するからである。 【0042】 さらに、最終圧延パスの圧下率は15%〜30%の範囲内とすることが必要である。上述したように、本発明では、熱間圧延条件とSn、SbおよびTiの含有量とを限定することにより、磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を製造することができるからである。また、最終圧延パスの圧下率が15%未満では所望の磁束密度が得られないからである。この理由は明らかではないが、熱延鋼板の集合組織がその後の冷延鋼板の再結晶集合組織に悪影響をもたらすためと推察される。一方、最終圧延パスの圧下率が30%を超えると熱延鋼板の粒径が細粒化し、所望の磁束密度が得られないからである。 【0043】 また、熱延終了後の鋼帯巻き取り温度は特に限定されるものではないが、700℃以下が望ましい。上記範囲を超えて高くなると、熱延鋼板表面のスケールの酸洗効率が低下するからである。 【0044】 (冷間圧延) 次に、本発明における冷間圧延について説明する。 【0045】 本発明において、冷間圧延の圧下率は70%〜90%の範囲内とすることが好ましい。冷間圧延の圧下率が70%未満では、熱延鋼板の厚さが薄くなり鋼帯の長さが長くなるため、鋼板表面積が増加して酸洗効率が低下するからである。一方、90%を超えて高くなると冷間圧延時に耳割れが生じ歩留まりが低下するからである。この耳割れが生じやすくなる理由は、SnおよびSbが粒界に偏析して熱延鋼板が脆くなっているためと推察される。 【0046】 なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。 【0047】 【実施例】 以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。 【0048】 (実施例1) 転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tを取鍋内に出鋼し、取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。RH式真空脱ガス装置で減圧脱炭を行い、鋼中C含有量を0.004%以下とした後に、Si、Mn、P、Al、SnおよびSbの成分を調整した。その添加原料には、Ti等の不純物含有量の少ないものを用いた。成分調整、温度調整後、RH処理を終了し、連続鋳造機にてスラブとした。 【0049】 スラブを加熱炉で1100℃まで加熱し、仕上温度850〜880℃、巻き取り温度650℃で熱間圧延し、厚さ2.3mmとした。ついで、熱延板焼鈍を行わずに脱スケール後に0.5mmまで冷間圧延し、830〜880℃で仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍後、鋼板表面に絶縁被膜を塗布した。この鋼板から28cmエプスタイン試験片を採取し、エプスタイン法(JIS−C−2550に規定の方法)により磁気特性を測定した。 【0050】 表1に鋼成分分析値、熱間圧延における最終圧延パスの圧下率、鉄損W15/50、および磁束密度B50を示す。本発明の実施例である鋼Aから鋼Dは、磁気力5000A/mでの磁束密度B50がいずれも1.81T以上で良好である。それに対し、比較例の鋼Eから鋼Kの磁束密度B50はいずれも1.78T以下と劣る。なお、鋼Kは冷間圧延時に耳割れが生じ、製品の歩留まりが低下した。 【0051】 【表1】
(実施例2) 鋼成分が本発明の範囲内にある鋼Aから鋼Cのスラブを用いて、1120℃まで加熱し、種々の熱間圧延条件にて厚さ2.5mmの熱延鋼板を製造した。ついで、熱延板焼鈍を行わずに脱スケール後に0.5mmまで冷間圧延し、800〜820℃で仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍後、鋼板表面に絶縁被膜を塗布した。この鋼板から28cmエプスタイン試験片を採取し、歪取焼鈍(750℃、2時間)を施した。エプスタイン法(JIS−C−2550に規定の方法)により磁気特性を測定した。 【0052】 表2に熱間圧延における最終圧延パスの圧下率、仕上温度、鉄損W15/50、および磁束密度B50を示す。本発明の実施例であるNo.1からNo.3は、磁束密度B50が1.8T以上で良好である。また、鋼AはS含有量が高いため(表1)、鋼Bより鉄損W15/50が劣る。歪取焼鈍後の磁束密度と鉄損を双方改善するには、S含有量は少ない方が好ましいことがわかる。 【0053】 【表2】
【発明の効果】 本発明においては、鋼成分としてSnおよびSbの少なくともいずれか一方を所定量含有させ、Ti含有量を低減させ、C、Si、Mn、PおよびAlの含有量を所定の範囲とした鋼塊または鋼片を用いて、熱間圧延条件を適正化することにより、熱延板焼鈍を施すことなく、磁束密度が著しく向上した無方向性電磁鋼板を製造することができるという効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】熱間圧延における最終圧延パスの圧下率と磁束密度B50との関係を示すグラフである。 【図2】鋼中におけるTi含有量と磁束密度B50との関係を示すグラフである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
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| 【出願日】 |
平成15年6月11日(2003.6.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101203 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 昭彦
【識別番号】100104499 【弁理士】 【氏名又は名称】岸本 達人
【識別番号】100108800 【弁理士】 【氏名又は名称】星野 哲郎
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| 【公開番号】 |
特開2005−2401(P2005−2401A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月6日(2005.1.6) |
| 【出願番号】 |
特願2003−166432(P2003−166432) |
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