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【発明の名称】 |
高強度スタビライザ |
| 【発明者】 |
【氏名】榊原 隆之 【住所又は居所】名古屋市緑区鳴海町字上汐田68番地 中央発條株式会社内 【氏名】久野 隆紀 【住所又は居所】名古屋市緑区鳴海町字上汐田68番地 中央発條株式会社内 【氏名】脇田 将見 【住所又は居所】名古屋市緑区鳴海町字上汐田68番地 中央発條株式会社内 |
【課題】スタビライザのばねとしての特殊性を考慮しつつ、近年の高剛性化傾向に対応することのできるスタビライザの材料、製造方法及び製品を提供する。
【解決手段】重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有した鋼を素材とし、所定の形状に成形した後、通電加熱により25℃/秒以上の速度で900℃〜1000℃の範囲内に加熱した後急冷して焼入れを行い、硬さHRC45以上となるように焼戻しを行う。なお、焼戻しも通電加熱により行うことが望ましい。また、焼戻し後、1段又は2段以上のショットピーニングを行うことが望ましい。更に、ショットピーニングは、処理後の表面圧縮残留応力が600MPa以上となるような条件で行うことが望ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有した鋼を素材とし、所定の形状に成形した後、通電加熱により25℃/秒以上の速度で900℃〜1000℃の範囲内に加熱した後急冷して焼入れを行い、硬さHRC45以上となるように焼戻しを行うことを特徴とする高強度スタビライザの製造方法。 【請求項2】 焼戻しも通電加熱により行うことを特徴とする請求項1記載の高強度スタビライザの製造方法。 【請求項3】 焼戻し後、1段又は2段以上のショットピーニングを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度スタビライザの製造方法。 【請求項4】 2段以上のショットピーニングを行い、1段目のショットピーニングにおいて径0.8mm以上のショット粒を使用し、2段目以降のショットピーニングにおいて1段目のショットピーニングで使用したショット粒の径以下の径のショット粒を使用することを特徴とする請求項3に記載の高強度スタビライザの製造方法。 【請求項5】 ショットピーニング後の表面圧縮残留応力が600MPa以上となるような条件でショットピーニングを行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の高強度スタビライザの製造方法。 【請求項6】 最後に膜厚100μm以上の粉体塗装を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高強度スタビライザの製造方法。 【請求項7】 内部硬さがHRC45以上であり、素材のシャルピー衝撃値が20J/cm2以上であることを特徴とする高強度スタビライザ。 【請求項8】 表面の圧縮残留応力が600MPa以上であることを特徴とする請求項7に記載の高強度スタビライザ。 【請求項9】 重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有した鋼を素材とすることを特徴とする請求項7又は8に記載の高強度スタビライザ。 【請求項10】 通電加熱により焼入れ・焼戻しを施したことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高強度スタビライザ。 【請求項11】 高周波加熱により焼入れ・焼戻しを施したことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高強度スタビライザ。 【請求項12】 炉加熱により焼入れ・焼戻しを施したことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高強度スタビライザ。 【請求項13】 重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有した鋼を素材とし、所定の形状に成形された後、通電加熱熱処理により硬さHRC45以上とされたことを特徴とする高強度スタビライザ。 【請求項14】 ショットピーニングにより600MPa以上の表面圧縮残留応力が付与されたことを特徴とする請求項13に記載の高強度スタビライザ。 【請求項15】 膜厚100μm以上の粉体塗装が施されたことを特徴とする請求項13又は14に記載の高強度スタビライザ。 【請求項16】 重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有する、通電加熱熱処理用高強度スタビライザ用鋼。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車のロール安定性を高めるために装着されるスタビライザに関する。 【0002】 【従来の技術】 スタビライザは、略直線状の中央部分と、その両端に屈曲して設けられたアーム部とからなり、中央部分を自動車の車体側に固定し、アーム部を左右輪側に固定して装着する。これにより、自動車が旋回する際のロールを抑え、自動車の走行安定性を高める。 【0003】 自動車の走行安定性を高める方法は種々あるが、その中でもスタビライザ装着による効果は大きく、車高の高いいわゆるSUV(Sports Utility Vehicle)が増加するにつれてスタビライザの装着率(全自動車数に対するスタビライザ装着者数の比率)は近年増加する傾向にある。また、装着されるスタビライザの剛性も高くなる傾向にある。 【0004】 スタビライザは車体の左右両輪を接続するように固定しなければならないが、左右両輪の間にはシャフトやジョイント、更には前輪側ではエンジン等が存在するため、スタビライザはそれらを避けるために複雑な形状とならざるを得ない。 従って、スタビライザは形状の点では設計の自由度が低く、車種が定まるとばねとして作動する部分の長さ(実効長)も、ほぼ定まる。そして自動車の設計側からばね定数が与えられると、スタビライザの径も定まってしまい、材料の側からそれに応じた耐久性を有するものを選択せざるを得ない。 【0005】 スタビライザに関しては、従来より専ら重量軽減の観点から種々の工夫がなされてきた。中空材(パイプ)を使用するというのはその一つであり(非特許文献1)、その断面形状やシーム(継ぎ目)の方向等に関して多くの特許出願もなされている(例えば、特許文献1)。 【0006】 【非特許文献1】 ばね技術研究会編「ばねの種類と用途例」1998年、日刊工業新聞社、p.23 【特許文献1】 特開平8−142632号公報 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 上記の通り、近年スタビライザの剛性が高くなる傾向にあるため、それに見合った設計がなされつつあるが、その殆どは上記のように形状等の機械的方面から対応されており、材料面からの対応は殆どなされていない。 【0008】 本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、スタビライザのばねとしての特殊性を考慮しつつ、近年の高剛性化傾向に対応することのできるスタビライザの材料、製造方法及び製品を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために成された本発明に係る高強度スタビライザの製造方法は、重量比にしてC:0.45〜0.70%、Si:1.20〜2.50%、Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.80%を含有し、更に、V:0.05〜0.25%、Ni:0.10〜0.80%、B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%のいずれか一以上を含有した鋼を素材とし、所定の形状に成形した後、加熱により25℃/秒以上の速度で900℃〜1000℃の範囲内に加熱した後急冷して焼入れを行い、硬さHRC45以上となるように焼戻しを行うことを特徴とする。 【0010】 なお、焼入れ時の加熱は、このような加熱速度を実現するためには通電加熱又は高周波加熱を使用することが望ましいが、スタビライザの径が小さい場合は、通常の炉加熱でも構わない。なお、焼戻しも通電加熱又は高周波加熱により行うことが望ましい。 【0011】 また、焼戻し後、1段又は2段以上のショットピーニングを行うことが望ましい。ここで、2段以上のショットピーニングを行う場合、1段目のショットピーニングにおいて径0.8mm以上のショット粒を使用し、2段目以降のショットピーニングにおいて1段目のショットピーニングで使用したショット粒の径以下の径のショット粒を使用することが望ましい。更に、ショットピーニングは、処理後の表面圧縮残留応力が600MPa以上となるような条件で行うことが望ましい。 【0012】 なお、上記処理を行った後のスタビライザには、膜厚100μm以上の粉体塗装を施すことが望ましい。 【0013】 【発明の実施の形態】 自動車の通常の懸架ばね(コイルばね)と比較した場合、スタビライザは、負荷を受ける繰り返しの数が非常に少ないという特徴がある。すなわち、基本的にはスタビライザは自動車の旋回時にしか負荷を受けることがなく、走行中常に繰り返し負荷を受ける懸架用ばねとは負荷条件が大きく異なる。また、コイルばねの線径は通常15〜20mm程度であるのに対し、スタビライザは20〜30mm程度と大きい。従って、素材及び製造方法を設計するにあたっては、これらスタビライザ特有の条件を十分に考慮しなければならない。 【0014】 そこで本発明を成すにあたり、スタビライザの要求特性を、最大剪断応力τmax=1100MPa又は1200MPa(ただし、平均応力τmean=0)で耐久回数2万回と設定した。また、靭性も重要な要求性能の一つであり、シャルピー衝撃値で20J/cm2以上の値を有することが望ましい。このような要求性能を踏まえ、本発明では上記のような必要条件を決定するに至った。まず、素材に関しては、本願発明に係るスタビライザにおいて上記成分範囲の鋼を用いることにしたのは、次のような理由からである。 【0015】 C:0.45〜0.70%と規定したのは、0.45%未満の炭素含有量では熱処理後にスタビライザとして十分な硬さが得られないためである。また、0.70%を越えて含有させると鋼の靭性が損なわれ、使用時に折損の恐れが生じるためである。 【0016】 Si:1.20〜2.50%と規定したのは、シリコンの焼戻し軟化抵抗付与性を重視したためである。すなわち、シリコンは鋼の焼戻し時の軟化点を高温側にシフトする特性を有する。本願発明ではこの特性を積極的に利用することとしたものであり、そのような効果は1.20%未満のシリコン含有量では十分に得られない。一方、シリコンは加熱時の表面脱炭を促進する元素としても知られている。表面脱炭は鋼製品の耐疲労性能を著しく損なう。そこで、本願発明ではシリコン含有量の上限を2.50%として、そのような恐れを排除した。 【0017】 Mn:0.10〜0.80%と規定したのは、焼入性を考慮したためである。Mnは鋼の焼入性を向上させる元素として知られている。上記の通り、スタビライザは懸架コイルばねよりも太い線径で使用されるため、内部まで十分な熱処理の効果を及ぼすには、焼入れ時に十分なマルテンサイト化を図っておく必要がある。そこで本願発明ではマンガン含有量を0.10%以上とした。なお、この値を決定する際には、次に述べるクロム含有量も考慮した。一方、上記のようなスタビライザの径(20〜30mm)を考慮した場合、その焼入性向上効果は0.80%程度で十分であり、それを超えて含有させても無駄であるばかりでなく、鋼製造時の高温脆化の問題が生ずる。そこで上限を0.80%とした。 【0018】 Cr:0.10〜0.80%と規定したのは、マンガン同様、その焼入性向上効果を考慮したためである。またクロムは、鋼の耐食性を向上させる効果も知られている。スタビライザは特に車体の下面の露出部分に装着されるものであるため、その腐食による耐久性の劣化には注意を払わなければならない。Cr:0.10%は、それら焼入性及び耐食性向上効果を得るに最低限必要な含有量である。 【0019】 一方、耐食性向上を考慮すると多量のクロムを含有させることが望ましいが、クロムは比較的高価な元素であり、素材コストを大きく引き上げる。従って、耐食性に関しては、後述の粉体塗装等の措置を併用することを考慮して、過度な添加を抑えなければならない。焼入性に関しては、スタビライザ程度の径であれば0.80%程度のクロム含有量で十分である。そこでクロム含有量の上限を0.80%とした。 【0020】 本願発明では更に、[V:0.05〜0.25%]、[Ni:0.10〜0.80%]、[B:0.001〜0.003%且つTi:0.01〜0.05%]のいずれか一以上を含有することとした。基本的には上記元素の含有により良好な素材鋼を得ることができるが、これらについても規定したのは、これらにより各種の付加的な特性を付与する素材設計が可能となるためである。 【0021】 すなわち、V:0.05〜0.25%を添加することにより、バナジウムの微細炭化物が鋼中に析出するようになり、焼入れ加熱時のオーステナイト粒の粗大化を抑えることができる。これにより、同じ硬さ(強度レベル)でも靭性の高い素材を得ることができる。また、焼戻し時の微細炭化物による析出硬化も期待することができ、同じ目的硬さ(強度)であっても焼戻し温度を高くすることができ、組織を安定化することができる。このような効果は0.05%未満の添加では十分に得ることはできず、一方、0.25%を超えて添加してもそのような効果は飽和する。 【0022】 Ni:0.10〜0.80%を添加することにより、クロム同様、素材の耐食性を向上させることができる。このような効果は0.10%未満の添加では十分に得ることはできず、一方、0.80%を超えて添加した場合、前記クロムの場合と同様、素材コストへの負担が過度となり、その他の方策(粉体塗装等)を取る方が総体的なコストが低下する。 【0023】 B:0.001〜0.003%とTi:0.01〜0.05%は、共に鋼中でN(窒素)と化合して窒化物を形成し、微細に析出して結晶粒の粗大化を防止する。また、それにより鋼中のNを固定化することで、遊離窒素による鋼の脆化を抑える。これらの添加量は、そのような効果を得るに必要且つ十分な範囲として定めたものである。 【0024】 また、ボロン(ホウ素)は微量でも鋼の焼入性を増大させるのに効果的な元素であるが、過度に添加すると鋼製造時に熱間脆化を生じる。従って、0.003%を超えて添加することは適切ではない。 【0025】 上記成分を有する鋼の目的径の線材を、まず所定の形状に加工する。曲げ加工は通常は冷間で行い、両端の固定穴(いわゆる目玉)の成形は熱間で行う。成形後、焼入れ・焼戻し処理を行う。焼入れ時及び/又は焼戻し処理時に、曲げ加工で成形した所定の形状に歪が出ないように、型にはめておくようにしてもよい。 焼入れは、急速加熱が可能な通電加熱により行うこととし、脱炭を防止するためにその昇温速度は25℃/秒以上とする。このように昇温速度が高い分、焼入れ加熱温度をやや高めとすることが望ましいため、本願発明では最高加熱温度を1000℃以上とした。ただし、1000℃を超えると結晶粒の粗大化が激しくなるとともに、脱炭も無視し得ないものとなるため、焼入れ時の最高加熱温度はそれ以下となるように注意しなければならない。 【0026】 焼戻しは、一般の懸架ばね等で使用されている加熱炉を用いてもよいが、焼入れ時の設備をそのまま使用することができるという点で、同様に通電加熱を用いることが望ましい。焼戻しは、処理後の素材の内部が目標硬さとなるように、予め化学成分に応じた温度を決定しておく。目標硬さは、一般的な使用条件ではHRC45以上とすればよいが、上記のように最大剪断応力τmax=1100MPa又は1200MPa(ただし、平均応力τmean=0)で耐久回数2万回という要求性能を満たすためには、それぞれHRC50、HRC52を目標とすることが望ましい。なお、この程度の硬さであれば、前記の靭性に関する要求性能(シャルピー衝撃値で20J/cm2以上)を確保することは可能である。 【0027】 上記成分範囲内にある鋼の場合、このような硬さとするための焼戻し温度範囲は、シリコンによる焼戻し軟化抵抗の効果もあり、概ね400〜500℃程度となる。 【0028】 スタビライザの場合、上記の通り実使用時の負荷回数はそれ程多くないため、負荷応力条件が緩やかな場合はショットピーニングを施さない使用も考えられるが、近年の高応力化使用に対応するためにはやはりショットピーニングを行うことにより表面に圧縮残留応力を形成しておくことが望ましい。しかも、その回数を2回またはそれ以上とし、それぞれ別個の条件でショットピーニングを施すことが望ましい。すなわち、最初のショットピーニングでは0.8mm以上の大きなショット粒を使用することにより、深い部分まで十分な圧縮残留応力をまず与えておく。次にそれよりも小さいショット粒を使用することにより、表面粗さを低下させて疲労破壊の起点となるような凹凸をなるべく少なくするとともに、より表面に近い部分の圧縮残留応力を増加させる。これらによって最終的な表面圧縮残留応力の値を600MPa以上とすることにより、上記の耐久性に対する要求特性(平均応力τmean=0、最大剪断応力τmax=1200MPaで耐久回数2万回)を満たすことが可能となる。 【0029】 最後に、耐腐食処理として、表面に厚さ100μm以上の粉体塗装を施す。これにより、通常の使用条件の下では十分な程度の耐食性がスタビライザ製品に付与され、腐食(又は腐食疲労)による折損の可能性が大幅に低減する。 【0030】 【発明の効果】 上記素材を使用し、上記方法で製造することにより、本発明に係るスタビライザは従来よりも高い応力で十分な耐久性を有する。そのため、車種により所定の形状が与えられ、ばね定数も定められたときであっても、十分な耐久性を持つスタビライザを設計することができるようになった。 【0031】 【実施例】 本発明に係るスタビライザの性能を明らかにするために、次のような試験を行った。 【0032】 まず、図1に示すような化学組成を有する5種の鋼を作成した。第1の供試材は本発明が規定する化学組成範囲に入る鋼であり、それ以降の4種の供試材は、少なくとも一つの化学組成において本件発明が規定する化学成分範囲を外れる比較材である。なお、比較材1は本発明が規定する成分のうち、Bが範囲を外れたものである。比較材2は従来よりマンガンクロム系ばね用鋼として広く用いられているSUP9(JIS−G4801)、比較材3はシリコンマンガン系ばね用鋼として広く用いられているSUP7(JIS−G4801)、比較材4は弁ばね用シリコンクロムオイルテンパー線SWOSC−V(JIS−G3566)にVを添加したものである。 【0033】 これらの供試材について、図2に示す工程で、径23mmのスタビライザを作製した。熱処理条件を決定するため、まず、各供試材の焼戻し温度と焼戻し後の硬さの関係を調査した。代表例として、本発明材及び比較材2の焼戻し特性(焼戻し温度と硬さの関係)を図3に示す。本発明材はどの部位(表層、1/2R、中心)においても、比較材2よりも高い硬さを示している。逆に言うと、同じ硬さを得るための焼戻し温度を比較材2よりも高くすることができる。 この特性を予め調査した上で、硬さがほぼHRC50となるように各供試材を熱処理(焼入れ・焼戻し)した。その後、本発明材については2段のショットピーニングを行い、第1段目のショットピーニング(1)においては粒径0.8mmのショット粒を、第2段目のショットピーニング(2)においては粒径0.3mmのショット粒を使用した。比較材はいずれも従来通りの1段のショットピーニングとした。 【0034】 このようにして作製した供試サンプル及びスタビライザについて、シャルピー衝撃試験を行った。まず、焼戻し温度(硬さ)とシャルピー衝撃値の関係を、本発明材と比較材2について調べた。その結果は図4に示す通りであり、本発明材はいずれの焼戻し温度(硬さ)においても比較材2よりもシャルピー衝撃値が高く、しかも、その値は焼戻し温度が350℃程度の高い硬さ領域においても20J/cm2以上の衝撃値を有している。次に、焼戻し温度を調節することにより硬さをほぼHRC50に揃えた上で、各供試剤のシャルピー衝撃試験を行った。その結果は図5に示す通りであり、いずれも20J/cm2以上の衝撃値を有しているが、本発明材は比較材1〜3よりも高い靭性を有することが示されている。次に、焼入性を比較した。焼入性は、各成分値に基づき算出した理想臨界直径DI(mm)で表した。その結果は図6に示す通りであり、本発明材は最も高い焼入性を示している。これにより、本発明材は太径のスタビライザに対しても利用可能であることがわかる。 【0035】 ショットピーニング後の表面の圧縮残留応力分布を図7に示す。比較材2が最表面で400MPa、最大値で800MPa程度であるのに対し、本発明材は最表面において700MPa、最大値で1200MPaという高い応力値を示している。 【0036】 最後に、線径23mmのスタビライザの状態で耐久疲労試験を行った結果を図8に示す。なお、平均応力τmは0である。本発明材は、上記の、最大剪断応力τmax=1200MPaで耐久回数2万回という要求性能を満たしている。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例で用いた発明材及び比較材の化学成分表。 【図2】本発明材及び比較材の製造工程を示す工程図。 【図3】 【図4】 【図5】本発明材及び比較材のシャルピー衝撃試験結果のグラフ。 【図6】本発明材及び比較材の焼入性の指標であるDI値の計算結果のグラフ。 【図7】本発明材及び比較材のショットピーニング後の表面圧縮残留応力分布のグラフ。 【図8】本発明材及び比較材の疲労試験結果のグラフ。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000210986 【氏名又は名称】中央発條株式会社 【住所又は居所】愛知県名古屋市緑区鳴海町字上汐田68番地
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| 【出願日】 |
平成15年6月9日(2003.6.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095670 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 良平
【識別番号】100077171 【弁理士】 【氏名又は名称】竹内 尚恒
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| 【公開番号】 |
特開2005−2365(P2005−2365A) |
| 【公開日】 |
平成17年1月6日(2005.1.6) |
| 【出願番号】 |
特願2003−164140(P2003−164140) |
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