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細菌検出方法及び細菌検出装置 - 特開2005−13149 | j-tokkyo
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【発明の名称】 細菌検出方法及び細菌検出装置
【発明者】 【氏名】関川 貴寛
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【氏名】守川 彰
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【氏名】上山 智嗣
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】操作性よく簡便にグラム陰性およびグラム陽性の有無を、酵素活性、あるいは代謝、あるいは生細菌数の変化から検出可能にする。

【解決手段】グラム陽性菌の検出を行う場合には、塩化ベンザルコニウムを所定量添加してから検出試薬を添加して、生成された標識物質の量を測定する。グラム陰性菌の検出を行う場合には、塩化ベンザルコニウムを添加せずに検出試薬を添加して、全菌体に対する標識物質の量を測定し、グラム陽性菌の場合の測定結果との差分を算出して、この差分からグラム陰性菌の有無を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の細菌を検出する細菌検出方法であって、
前記試料に、グラム陽性菌とグラム陰性菌とで異なる菌体活性状態を誘導する識別補助試薬を添加する工程、
前記試料に、菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬を添加する工程、並びに、
生成した標識物質の量を測定する工程
を含むことを特徴とする細菌検出方法。
【請求項2】
試料中の細菌を検出する細菌検出方法であって、
前記試料に、グラム陽性菌とグラム陰性菌とで異なる菌体活性状態を誘導する識別補助試薬及び、グラム陽性菌の菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬をそれぞれ添加し、生成した標識物質の量を測定する第1の測定工程、
前記試料に、試料中の全菌体の菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬を添加し、生成した標識物質の量を測定する第2の測定工程、並びに、
前記第1の測定工程での測定結果と前記第2の測定結果との差を、グラム陰性菌の菌体活性状態として算出する算出工程
を含むことを特徴とする細菌検出方法。
【請求項3】
前記識別補助試薬が、前記グラム陽性菌の活性を停止させることなく前記グラム陰性菌の活性を停止させる濃度で使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の細菌検出方法。
【請求項4】
前記識別補助試薬が、0.01〜1%の量で使用されることを特徴とする請求項1又は2記載の細菌検出方法。
【請求項5】
前記識別補助試薬が、陽イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の細菌検出方法。
【請求項6】
前記標識物質が蛍光物質又は発光物質であることを特徴とする請求項1又は2記載の細菌検出方法。
【請求項7】
試料中の細菌を検出する細菌検出装置において、
被試験試料を保持する反応部と、
グラム陽性菌及びグラム陰性菌で異なる菌体活性状態に誘導する識別補助試薬を前記反応部に添加する識別補助試薬添加手段と、
菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬を前記反応部に添加する検出試薬添加手段と、
前記反応部中で生成した標識物質の量を測定する測定手段と、
を含むことを特徴とする細菌検出装置。
【請求項8】
前記反応部は、被試験試料をグラム陽性菌検出用として保持する第1の反応部と、被試験試料を全菌検出用として保持する第2の反応部とから構成され、
前記識別補助試薬添加手段は、前記識別補助試薬を前記第1の反応部に添加するものであり、
前記検出試薬添加手段は、前記検出試薬を前記第1及び第2の反応部のそれぞれに添加するものであり、
前記細菌検出装置は更に、グラム陰性菌の検出を、前記第1の反応器における測定結果と前記第2の反応部における測定結果との差から判定する判定手段を備えている
ことを特徴とする請求項7記載の細菌検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌検出方法及び細菌検出装置に関し、特に、グラム陽性菌及びグラム陰性菌を識別して試料中の菌体を検出する細菌検出方法及び細菌検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川水、湖水及び各種の排水などには種々の細菌が存在しているため、品質管理や汚染状態を把握することを目的として細菌の検出が行われている。
【0003】
排水中の有害物質の判定方法として細菌の検出を行う方法としては、菌体のATP量を利用してルシフェリンによる蛍光量に基づいて菌の検出を行う方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、グラム染色法は、微生物の属や種を同定するために用いられる広く用いられている。しかしながら、現在用いられているグラム染色法は、普通固定染色法にしろあるいはハッカー(Hucker)変法にしろ、カバーガラスに微生物を吸着させ、多くの染色液を用いて染色、洗浄をくり返す方法であるため、操作工程が多いため作業性が悪く、技術的に熟練を要するため誰にでもできるものではないという欠点がある。
【0005】
この欠点を解消した判定方法としては、微生物を含む懸濁液に陰イオン界面活性剤を添加し、その溶液にメチレンブルーを染色剤とする染色液を加えた後クロロホルムで抽出し、クロロホルム相の着色の有無によってグラム陰性またはグラム陽性を判定することを特徴とする微生物のグラム染色判定法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−231598号公報
【特許文献2】
特開平7−313192号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、微生物のグラム染色判定法は、クロロホルム相の着色の有無によってグラム陰性またはグラム陽性を判定する方法である。このため、判定操作の工程で細菌は失活してしまうので、グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の酵素活性、代謝、あるいは生細菌数を検出することはできないなどの問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術における如上の現状を鑑みて、操作性よく簡便にグラム陰性およびグラム陽性の有無を、酵素活性、あるいは代謝、あるいは生細菌数の変化から検出可能な細菌検出方法および細菌検出装置を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の細菌検出方法は、試料中の細菌を検出する細菌検出方法であって、前記試料に、グラム陽性菌とグラム陰性菌とで異なる菌体活性状態を誘導する識別補助試薬を添加する工程、前記試料に、菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬を添加する工程、並びに、生成した標識物質の量を測定する工程を含むことを特徴としている。
【0010】
本発明の細菌検出装置は、試料中の細菌を検出する細菌検出装置において、被試験試料を保持する反応部と、グラム陽性菌及びグラム陰性菌で異なる菌体活性状態に誘導する識別補助試薬を前記反応部に添加する識別補助試薬添加手段と、菌体活性状態を反映した標識物質を生成する検出試薬を前記反応部に添加する検出試薬添加手段と、反応部中で生成した標識物質の量を測定する測定手段と、を含むことを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に図面を参照して、本発明を説明する。
図1には、グラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌を含む細菌を検出する本発明の細菌検出装置10が示されている。
ここで検出対象となる細菌は、菌体内の酵素活性によって後述する検出試薬から標識物質を生成可能なグラム陽性菌及びグラム陰性菌であればよい。グラム陰性菌としては大腸菌、Klebsiella pneumoniae、Aeromonas hydrophiliaなどを挙げることができ、グラム陽性菌としてはバチルス(Bacillus circulans、Bacillus subtilis)などを挙げることができる。
【0012】
この細菌検出装置10には、グラム陽性菌のみを検出するグラム陽性菌検出部21と、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の全体を全菌体として検出する全菌検出部31とが備えられている。
グラム陽性菌検出部21及び全菌検出部31には、それぞれ、菌体の検出反応が行われる反応部15と、反応部15での検出反応で生じた標識物質の量を測定する測定部16が備えられている。なお、反応部15には、図示しない加温機構及び攪拌機構が備えられており、反応部15内での検出反応に必要な温度で反応溶液が調製可能になっている。
【0013】
反応部15には、河川水、湖水、各種排水或いはその他の検査対象液体からなる液体試料(被試験試料)が採取部11及び分離部12を経て供給される。採取部11は、液体試料をグラム陽性菌検出部21又は全菌検出部31にそれぞれ供給するためのものであり、液体をくみ上げるポンプ等で構成されている。
【0014】
分離部12は、被試験試料中の対象菌体を他の成分から分離する分離膜及び、分離膜に補足された菌体を、適当な液体、例えば生理食塩水で混合して菌体成分として回収する回収手段(図示せず)とで構成されている。ここで使用される分離膜としては、被試験試料中の浮遊物の他、検出対象となる細菌以外の微生物を除去するためのものであり、3.00μm孔径、0.80μm孔径及び0.40μm孔径の3種類の膜を組み合わせている。なお、使用する分離膜の種類及び分離能は、検出対象となる細菌の種類及び被試験試料の状態によって適宜選択することができる。なお分離部12には図示しない排出機構が備えられており、検出対象となる細菌からなる菌体成分以外の成分を装置外へ排出するようになっている。
【0015】
グラム陽性菌検出部21では、識別補助試薬としての識別助剤を所定量で反応部15に投入可能な識別助剤添加部13及び、検出反応を生じさせるための検出試薬及びpH緩衝液を所定量で反応部15に投入可能な検出試薬添加部14がそれぞれ備えられている。
【0016】
本グラム陽性菌検出部21で使用される識別助剤には、陽イオン界面活性剤が挙げられる。この陽イオン界面活性剤は、溶菌作用があることで知られているが、本発明においては、グラム陰性菌とグラム陽性菌とをその膜構造の違いに基づいて異なる菌体活性状態に誘導して識別するために使用される。即ち、識別助剤は、菌体の細胞壁に作用して基質透過能を向上させると考えられるが、グラム陰性菌にとって菌体活性を損なう濃度であってもグラム陽性菌の菌体活性を損なわない場合があることが明らかとなった。
【0017】
ここで使用可能な陽イオン界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、例えばアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムが挙げられ、塩化ベンザルコニウムが好ましい。これらの識別助剤は、グラム陽性菌の活性を停止させることなくグラム陰性菌の活性を停止させる濃度で使用される。これによって、本グラム陽性菌検出部21においては、被試験試料内にグラム陽性菌とグラム陰性菌とが混在していてもグラム陽性菌のみの菌体活性を判別可能にすることができる。ここで、「菌体活性状態」とは、β−ガラクトシダーゼなどの酵素活性、ATP(アデノシン三リン酸)などの代謝活性、ひいては生菌数等、細菌の生活性状態を反映するあらゆる生理状態を意味する。
【0018】
グラム陽性菌の活性を停止させることなくグラム陰性菌の活性を停止させる濃度としては、好ましくは0.001〜10%(質量/容量)、更に好ましくは0.01〜1%(質量/容量)である。この範囲内であれば、グラム陰性菌及びグラム陽性菌が混在している被試験試料に対して、有効に且つ効率よくグラム陽性菌だけの酵素活性等を測定することができる。
【0019】
検出試薬添加部14によって反応部15に添加される検出試薬は、菌体の酵素活性に基づいて標識物質を生成する既知の試薬のいずれも使用することができ、例えば4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、X−GAL(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)、サーモンGAL(6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)、ONPG(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド)、4−トリフルオロウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドが挙げられる。この4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド等は、菌体内のβ−ガラクトシダーゼの触媒作用により加水分解されて、蛍光物質である4−メチルウンベリフェロンを標識物質として生成する。
【0020】
一方、全菌検出部31には、識別助剤添加部13が備えられていないので、反応部15の試料には、グラム陽性菌とグラム陰性菌とを識別するための識別助剤が添加されることがない。このため、グラム陽性菌検出部21とは異なり、両菌体を区別することなく全菌体に対して標識物質が生成される。
【0021】
また検出試薬添加部14によって添加されるpH緩衝液は、検出反応及びそれにより生成された標識物質の安定性を図るためにpHを調整する既知のpH緩衝液のいずれも使用することができ、例えば、pH7.0にpHを調整するリン酸緩衝液などが挙げられる。
【0022】
測定部16には、反応部15内に生成された標識物質を経時的に測定可能な測定装置が備えられており、例えば蛍光又は発光物質である標識物質を検出するためには蛍光光度計が選択されている。いずれの種類の測定装置を使用するかについては、生成される標識物質の種類によって当業者であれば容易に選択可能である。
【0023】
測定部16で得られた測定結果は、細菌検出装置10に備えられた判定手段としての判定部17に送られる。判定部17では、入力された標識物質の測定結果に基づいて、細菌の有無を判定する。即ち、全菌検出部31における測定結果が被試験試料中の細菌量として、またグラム陽性菌検出部21における測定結果が被試験試料中のグラム陽性菌の量として認識されて、それぞれの検出部における細菌の有無が判定される。グラム陰性菌の量は、全菌検出部31における測定結果とグラム陽性菌検出部21における測定結果との差に対応するため、これらの測定結果を用いて演算した結果に基づいてグラム陰性菌の有無を判定する。
なお、各測定部16にはそれぞれ液排出部(図示せず)が接続されており、測定後の廃液を装置外へ排出する。
【0024】
従って、細菌検出装置10では、グラム陽性菌の検出を行う場合には、採取部11によって採取された被試験試料を、分離部12において菌体成分とし、反応部15に投入する。反応部15には、識別補助添加部13から所定量の識別助剤が添加されると共に、検出試薬添加部14から所定量の検出試薬が添加される。
【0025】
グラム陰性菌の検出を行う場合には、採取部11によって採取された被試験試料を、分離部において菌体成分とし、反応部15に投入する。菌体成分が反応部15に投入されると、検出試薬添加部14から所定量の検出試薬が反応部15に添加される。
【0026】
グラム陽性菌検出部21及び全菌検出部31の測定部16それぞれでは、各反応部15に生成された標識物質の量を測定し、測定結果が判定部17に送られる。判定部17では、グラム陽性菌の検出を行う場合には、グラム陽性菌検出部21の反応部15での測定結果からグラム陽性菌の検出を行う。一方、グラム陰性菌の検出を行う場合には、全菌検出部31の反応部15での測定結果とグラム陽性菌検出部21における反応部15での測定結果との差分を算出して、この差分からグラム陰性菌の有無を判定する。
【0027】
次に、図2を参照して、本細菌検出装置10を用いた細菌検出方法について説明する。
ステップ100において、細菌検出装置10に被試験試料が供給されると、ステップ102において、被試験試料中の菌体成分に対して識別助剤が添加される。この識別助剤の添加によって、グラム陽性菌とグラム陰性菌とで異なる菌体活性状態が誘導され、グラム陽性菌とグラム陰性菌とが識別可能となる。一方、全菌検出部31では、両者を区別することなく菌全体を検出するために識別助剤を添加せずに、次のステップに移行する。
【0028】
次にステップ104に移行し、検出試薬が添加され、ステップ106において所定時間にわたり反応を進行させる。検出試薬は、添加されると菌体に吸収されて、菌体内にある特定の酵素によって分解を受けて蛍光物質を標識物質として生成し、菌体外へ放出する。なお、ここでの反応時間は、検出試薬が標識物質を生成するまでの時間であればよく、数分〜数十分程度とすることができる。
【0029】
次にステップ108に移行し、標識物質の測定が行われる。標識物質の測定は、標識物質の蛍光又は発光の種類に応じて既知の方法に従って行われる。例えば、4−メチルウンベリルフェロンであれば、360nm付近の光照射によって450nm付近の蛍光を発光することが知られており、標識物質の量の応じて強度が増加するので、容易に標識物質の量を測定することができる。
【0030】
標識物質の測定が行われると、ステップ110において、菌の検出が行われる。標識物質の量は、標識物質の有無及びその量を表しているので、グラム陽性菌検出部21において標識物質の生成があれば、グラム陽性菌を検出したこととなり、その標識物質の量から、グラム陽性菌の生菌数を得ることができる。一方、グラム陰性菌の有無及びその生菌数は、全菌検出部31における標識物質の量から、グラム陽性菌検出部21での標識物質の量を減算することによって、容易に得ることができる。
【0031】
これによって、グラム陽性菌とグラム陰性菌とが混在している被試験試料から、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の有無及びその量或いは菌体活性を容易に且つ迅速に検出することができる。
また、採取部11による被試験試料の採取を経時的に連続して行った場合には、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の変化を容易に知ることができる。
更には、グラム陽性菌を簡便にグラム陰性菌と識別できるので、グラム陽性菌の排除又はグラム陰性菌のみの培養を行う必要性を排除して正確に細菌を検出することができる。
従って、本実施の形態によれば、操作性よく簡便にグラム陰性およびグラム陽性の有無を、酵素活性、あるいは代謝、あるいは生細菌数の変化から検出することができる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態では、細菌検出方法を細菌検出装置10を用いて実施したが、本細菌検出装置10での実施に限定されない。例えば、複数の装置を用いた一連のシステムにおいて実行することもでき、また、装置によらない工程を含んでもよい。
また、本発明の実施の形態では、標識物質を蛍光物質又は発光物質とし且つ測定部16を光度計で構成しているが、これに限定されない。例えば標識物質に特異的な抗体を用いてその結合量を測定する装置としてもよい。
【0033】
本発明の実施の形態では、グラム陽性菌検出部21と全菌検出部31とを設けたが、グラム陽性菌検出部21のみとしてもよい。この場合には、反応部15への識別助剤添加部13の駆動を切り替えて、グラム陽性菌の検出と全菌体の検出との双方を行ってもよく、識別助剤と検出試薬とを添加してグラム陽性菌の検出のみを目的として使用してもよい。
【0034】
【実施例】
実施例1
本実施例では、検出試薬として4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドが用いられた。4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドは、β−ガラクトシダーゼの触媒作用により加水分解反応が促進されて4−メチルウンベリフェロンを生成する。この4−メチルウンベリフェロンは蛍光物質であって、その生成量は蛍光光度計にて定量された。
【0035】
まず、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌がほぼ同じ菌密度で混在する被試験試料を孔径0.4μmのメンブランフィルターで濾過し、菌体を捕捉する。そのフィルターを滅菌生理食塩水の入った試験管に投入、十分に攪拌後、37℃で保温する。5分後、識別助剤としてアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩である塩化ベンザルコニウムを添加(混合)する。さらに、5分後、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドを、0.005重量%の濃度となるように添加し、その後さらにpH緩衝化のためにリン酸緩衝液を0.1M(モル/リットル)の濃度となるように添加して、pH7.0の被試験液体を得た。
【0036】
なお4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドが添加された時点を持って4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドとβ−ガラクトシダーゼとの反応開始時点とし、その後は時々被試験液体が少量採取される。また、当該採取液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHをアルカリ側に調整した。次いで測定部16内の蛍光光度計を、励起波長を360〜370nmとし、且つ蛍光測定波長を450nmに設定して、4−メチルウンベリフェロンの生成量を測定し、その経時的変化を調べた。
【0037】
試供菌体:大腸菌(Escherichia coli
バチルス(Bacillus circulans
識別助剤:塩化ベンザルコニウム
被試験試料における識別助剤濃度:
0%、0.001%、0.01%、0.1%、1.0%
液温条件:37(℃)
【0038】
図3に示されるように、グラム陰性菌である大腸菌に対して塩化ベンザルコニウムを用いた場合、0.01%(0.1g/L)以上の塩化ベンザルコニウム存在下では、酵素活性がほぼ完全に阻害されてしまった。このため、大腸菌は反応開始直後に死滅したものと考えられる。しかし、0.001%では、活性が促進され、ブランクの約7倍となり、塩化ベンザルコニウムの基質透過能の向上効果が示された。
【0039】
一方、図4に示されるように、グラム陽性細菌のバチルスに対して塩化ベンザルコニウムを用いた場合には、すべての濃度においてブランクよりも高い値を示した。特に、0.01%以上では反応時間とともに活性は減少したが、0.001%では促進され、ブランクの約10倍になった。このことは、0.01%以下の塩化ベンザルコニウム存在下では、大腸菌とバチルスはまったく異なる性質を示し、グラム陽性菌とグラム陰性菌とを識別できることが示された。大腸菌の活性が完全に失活した濃度でもバチルスの活性はブランク以上を維持し、濃度依存的に変化した。また、0.001%の塩化ベンザルコニウムの存在下では、バチルスの酵素活性は約10倍にまで促進された。
図5では、0.1%の塩化ベンザルコニウムを添加したときのそれぞれの酵素活性を示したものである。図5に示されるように、混合した試料であってもグラム陽性菌であるバチルスのみを検出することができる。
【0040】
したがって、塩化ベンザルコニウムを添加してから蛍光物質を測定することで、β−ガラクトシダーゼ活性の定量が可能となり、これにより、菌体の活性が見積もられ、さらに被試験試料におけるグラム陽性細菌の有無の判断も可能となる。
【0041】
実施例2
異なる濃度の塩化ベンザルコニウム存在下における種々の細菌10CFU/mL当たりのβ−ガラクトシダーゼ活性値(μg・4−メチルウンベリフェロン/L)を示す。実施例1の場合と同様に試験を実施した。反応30分後のβ−ガラクトシダーゼ活性値の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】


【0043】
表1に示されるように0.1%塩化ベンザルコニウムの存在下では、グラム陰性細菌の酵素活性がほとんど失われていたにも拘らず、グラム陽性細菌の酵素活性は促進された。また、このようなグラム陽性菌とグラム陰性菌との識別は、1%以上の塩化ベンザルコニウムにおいても有効であった。
従って、グラム陰性細菌のβ−ガラクトシダーゼがほぼ完全に失活する濃度で塩化ベンザルコニウムを添加すれば、グラム陰性細菌とグラム陽性細菌が混在した試験液体からグラム陽性細菌の酵素活性だけを測定できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、操作性よく簡便にグラム陰性およびグラム陽性の有無を、酵素活性、あるいは代謝、あるいは生細菌数の変化から検出可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る細菌検出装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る細菌検出方法を説明するフローチャートである。
【図3】大腸菌における塩化ベンザルコニウム存在下でのβ−ガラクトシダーゼ活性の経時的変化を示した特性図である。
【図4】バチルスにおける塩化ベンザルコニウム存在下でのβ−ガラクトシダーゼ活性の経時的変化を示した特性図である。
【図5】0.1%の塩化ベンザルコニウムの存在下での大腸菌及びバチルスにおけるβ−ガラクトシダーゼ活性の経時的変化を示した特性図である。
【符号の説明】
10 細菌検出装置、13 識別助剤添加部(識別補助試薬添加手段)、14検出試薬添加部、15 反応部、16 測定部、17 判定部、21 グラム陽性菌検出部、31 全菌検出部。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成15年6月27日(2003.6.27)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照

【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順

【識別番号】100118072
【弁理士】
【氏名又は名称】醍醐 美知子

【公開番号】 特開2005−13149(P2005−13149A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−185147(P2003−185147)