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【発明の名称】 香酢食品とその製造法
【発明者】 【氏名】上田 邦治
【住所又は居所】大阪市中央区島之内1丁目15番9号株式会社オー・ティーエンタープライズ内

【要約】 【課題】そのままでは取扱いが困難で、摂取に当たっても芳醇な香が却って飲みにくさの原因となっており、これらを解消できるようにすることを目的とする。そして、デキストリンを香酢の固形分に対し、50〜200%(W/W)添加して粉末化することによりその目的を達成した。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香酢にデキストリン類を、香酢固形分に対し50〜200%(W/W)の割合で添加して成ることを特徴とする香酢食品。
【請求項2】
香酢にデキストリン類を、香酢固形分に対し50〜200%(W/W)の割合で添加したものをカプセルに封入して成ることを特徴とする香酢食品。
【請求項3】
香酢にデキストリン類を、香酢固形分に対し50〜200%(W/W)の割合で添加したものを液状飲料に配合して成ることを特徴とする香酢食品。
【請求項4】
香酢にデキストリン類を、香酢固形分に対し50〜200%(W/W)の割合で添加した後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥することを特徴とする香酢食品の製造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生体調節機能に優れ、粉状、顆粒状又は粒状の健康食品、調味料及び食品原料或いは薬剤の配合成分として利用することができる香酢食品とその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に酢類は身体に良い食品として知られており、代表的なものとして、米酢、黒酢、香酢が知られている。日本における酢の製造の歴史は平安頃にまで遡ると言われ、その製造法は現在の黒酢や香酢と同様に壺や樽を用いた静置醗酵法が採られていたが、現在では速酵法が工業的に確立して米酢が短時間に大量に製造され安価に製造、販売されるようになってきた。
【0003】
しかしながら、その成分を検討すると、大量生産された米酢はアルコールを直接的に或いは強制的に酢酸発酵させているに過ぎないため、酢酸を単に水で薄めたものと同様に状態であり、そのため、他の有機酸類(アミノ酸類)を殆ど生じていないか、非常に含有量が少なく、酢の味を出す以外に、機能的健康食品としては、極めて劣るものであった。その一例を示すと、下記表1の通りであった。
【表1】


【0004】
表1からも明らかなように、香酢はアミノ酸が多量に含まれるとされる黒酢と比較しても、少なくても数倍以上含有し、これにより大きな機能的健康食品としての優秀性がわかる。しかしこの香酢は、米酢に比して、黒酢と同様、酸味のみならず旨みが深いものの、酢酸臭に加えて強い香気があり、中国人には芳醇な香と言えるが、特に日本人には少なからず抵抗があって、そのまま口にするには抵抗があることが否めないのが実情である。そして、黒酢にデキストリンを加えて乾燥したものも提案されているが、米酢に比べると機能的には良好であるものの、まだまだ機能的健康食品としての含有量が十分とは言えず、大量に摂取しなければならないものであった。特にデキストリンの添加量を増やすとその有効成分の含有率が低下し、その傾向が助長されると言える。
【特許文献1】特開2000−152775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの状況に鑑みて種々研究の結果、本発明を完成するに至ったもので、比較的強い臭気を日本人でも違和感を感じない程度に緩和し、しかも比較的少量の摂取でも豊富な蛋白質を得ることができる機能的健康食品としての香酢食品とその製造法を提供しようとするものである。

【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる特徴は、香酢にデキストリン類を、香酢固形分に対し50〜200%(W/W)の割合で添加したことであって、以下詳細に説明する。香酢はもち米を原料としてこれを静置醗酵法により得られるもので、その起源は、約400年前から中国雲南省を中心に餅米、麹及び水を醸造用壺の中で糖化、アルコール発酵、酢酸発酵の3段階を経た伝統的製法で作られており、特殊食酢類に分類される天然壺づくりもち米酢である。厳選された良質のもち米を用い、蒸したもち米に麹を加えて混合し、熟成槽で十分に熟成させた後、これを壺に移して醗酵の仕上げ工程を経、最後は籾殻を加えて更に壺の中で熟成して得られるもので、米酢が 8〜24時間の短時間の製造時間であるのに対し、香酢は数ヶ月以上の期間を要する。香酢は一般に中国で製造されているが、産地により、禄豊香酢(登録商標)や鎮江香酢等種々のものがあり、アミノ酸等の含有量もそれぞれ若干異なる。
【0007】
本発明の香酢乾燥食品は、香酢にデキストリン類を添加した後、乾燥処理による粉粒化工程に付して製造することができる。乾燥は、スプレードライヤーにて噴霧乾燥することにより行える。香酢固形分に対するデキストリン類の配合比は50〜200%(W/W)、好ましくは100〜150%(W/W)である。
【0008】
本発明香酢乾燥食品は、香酢及びデキストリン類を必須成分とするものであるが、適宜、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等のpH調整剤、ステビア、甘草エキス、羅漢果エキス、エリスリトール等の甘味料、カラメル等の着色料等を添加することもできる。
【0009】
香酢は、通常、酸度4.0〜6.5%、蛋白質含量5〜7%のものを用いる。
【0010】
香酢に直接デキストリン類を添加する方法のほかに、香酢を流動化する程度まで濃縮した後にデキストリン類を添加してスプレードライ法により粉粒化する方法も使用することができる。また、香酢の製造工程中、圧搾濾過を省略し発酵粕を含んだままコロイド処理したものを使用することもできる。
【0011】
スプレードライヤーの乾燥は、空気入口温度を170〜200℃、出口温度を120〜140℃、アトマイザー回転数を9,000〜14,000rpmにて行う。


【0012】
ここで、香酢100%で噴霧乾燥すると、香酢に由来する蛋白質、糖質等の物性により非常に吸湿し易い粉末となり、取扱いが困難で意図する性状が得られない。そこで、この吸湿性を緩和し、香酢特有の臭いを緩和するため、香酢固形分に対してデキストリンを添加するものであるが、その配合割合が50%以下であると、吸湿により長期保存並びにカプセル化、粒状化等の最終製品への加工に支障を来たす。他方、200%以上の添加率であると、元の香酢に対して2倍程度の濃縮率に止まり、効率の良い摂取を前提とする機能性健康食品としては濃縮的に不十分である。
【0013】
得られた乾燥粉末香酢は、そのままで粉末香酢の調味料、添加剤、健康食品として利用するほか、一定量単位をカプセルに封入したり、他の粉末調味料や添加剤、或いは薬剤に混合して香酢成分を加味することも出来、或いは清涼飲料に添加して香酢配合飲料を得ることも出来る。また固形、粉末或いは液状の他の食材や医薬等に添加して香酢の芳醇な旨みを加味したり、その豊な健康機能性を増強した食品を得たりすることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、香酢にデキストリンを配合したものであるから、香酢に豊富に含まれる各種アミノ酸その他の成分により、大きな機能性健康食品とすることが出来ると共に、香酢単独では稠密性が高く、そのため保存性が悪く、またべたつくなど取り扱いが困難であったが、配合されたデキストリンのために、湿気に触れてもべとつくことなく、取扱いが容易となる上に、さらっとした状態を保ち、保存性が向上するものである。その取扱い性や臭気低減のためにデキストリンを妥当量配合したとしても、元来香酢の上記機能性成分の含有率が高いため、比較的少量の食用、服用で、大量の機能性成分を摂取できる利点がある。
【0015】
本発明香酢乾燥食品は、そのままで粉末健康食品として使用することが出来るほか、粉末スープ、ふりかけ、粒状調味料、錠剤及び顆粒状の健康食品並びにパン、麺類、ヨーグルト、アイスクリーム、ゼリー、ところてん、豆腐等への添加剤として利用することができる。また、カプセルに封入することも出来、カプセルに封入すれば、長期保存に適し、また所定量の摂取が容易となる。更に、デキストリンを添加して粉末化してあるから、清涼飲料への添加もスムーズであり、且つ配合の調整も用意であり、飲料タイプの健康食品とすることも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を幾つかの実施例に基づき具体的に説明する。
【実施例】
【0017】
(実施例1)上記表1の禄豊香酢10kg(固形分1.5〜1.7kg)に対し、等量の分岐デキストリン1.5〜1.6kgを添加して室温で十分撹拌溶解した。この香酢溶液をスプレードライヤーにより、乾燥空気入口温度185℃、出口温度130℃、アトマイザー回転数12,000rpmの条件で粉粒化することにより、香酢乾燥食品約3.0〜3.5kgを得た。この香酢乾燥食品は、蛋白質含量15〜18%、水分6.5〜7.5%、酸度1.0〜1.1であった。
【0018】
得られた香酢乾燥食品1部を即席麺の粉末調味料100部に隠し味成分として添加した。
【0019】
(実施例2)上記表1の禄豊香酢10kgに対し、分岐デキストリン900〜1020gを添加して室温で十分撹拌溶解した。この香酢溶液をスプレードライヤーにより、乾燥空気入口温度170℃、出口温度120℃、アトマイザー回転数9,000rpmの条件で粉粒化することにより、香酢乾燥食品約2.5kgを得た。この香酢乾燥食品は、蛋白質18〜22%、水分7〜7.5%、酸度1.20〜1.35であった。
【0020】
得られた香酢乾燥食品100部を菜種油100部に懸濁させ酸化防止のためにビタミンEを0.1部添加すると共に、蜜蝋5部、大豆レシチン3部、クエン酸2部、ゼラチン20部、グリセリン10部、カラメル2部を添加して均一に混練し、これをゼラチンベースのソフトカプセルに封入して香酢を主体とした健康食品を得ることが出来た。
【0021】
(実施例3)上記表1の禄豊香酢10kgに対し、分岐デキストリン2.8〜3.2kgを添加して室温で十分撹拌溶解した。この香酢溶液をスプレードライヤーにより、乾燥空気入口温度200℃、出口温度140℃、アトマイザー回転数17,000rpmの条件で粉粒化することにより、香酢乾燥食品約4.3〜4.8kgを得た。この香酢乾燥食品は嵩高く、蛋白質10〜13%、水分3〜4%、酸度0.7〜0.8であった。
【0022】
得られた香酢乾燥食品1部とガラクトオリゴ糖1部、ビタミンC1部、ビタミンB1、B2、B6(それぞれ2/1000〜30/1000部)を水1000部に添加して溶解させた後、更に高圧で炭酸を吹き込んで清涼飲料を得た。この過程でも、香酢乾燥食品は、水にスムーズに溶解した。
【0023】
また、実施例3で得られた香酢乾燥食品は、そのままで添加剤や調味料として供することが出来るもので、少量の単位量をアルミホイルやラミネートペーパーで真空パックしたり、或いは業務用では1キロや10キロの袋詰したりすることが出来るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上述のように、高い含有率のアミノ酸等の健康に寄与する成分を含む香酢にデキストリンを配合することにより、長期に安定した保存性を確保出来るものであって、粉末の調味料として取扱いが容易になると共に、保存性の良い安定した形態で供給できる。また、原液状態のままでは日本人何割かの臭覚には抵抗があったが、デキストリンにより粉末化したことにより抵抗なく摂取できる。そして、従来の黒酢に比してもその数倍以上のアミノ酸、糖質、ミネラル等を豊富に含有し、機能性食品としても、従来に比して少量の摂取にて大きな効果が期待できる。また、粉末化したことにより、他の調味料や飲料への添加も、その添加量の管理、プロセスの管理が容易となる。

【出願人】 【識別番号】397055045
【氏名又は名称】株式会社オー・ティーエンタープライズ
【住所又は居所】大阪市中央区島之内1丁目15番9号
【出願日】 平成15年12月10日(2003.12.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−168387(P2005−168387A)
【公開日】 平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願番号】 特願2003−412637(P2003−412637)