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【発明の名称】 健康ハチミツ酢の製造方法
【発明者】 【氏名】星野 宗広

【氏名】大和 一冶

【氏名】寺田 晶広

【氏名】上野 裕

【氏名】後藤 元信

【要約】 【課題】

【解決手段】水を加え、糖濃度約25%〜35%に調整したハチミツ液にアルコール発酵酵母を添加し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させ、再び短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行い、ハチミツ液のアルコール濃度が約8%〜11%になったとき、同じハチミツ液を加え、約20%〜30%増量し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行いながら、ハチミツ液のアルコール濃度が約12%〜16%に達したとき、ハチミツ液全量の約25%〜35%量の種酢液を添加し、通気による酢酸発酵を行って健康ハチミツ酢を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハチの巣から分離したままのハチミツに水を加え、糖濃度約25%〜35%に調整したハチミツ液にアルコール発酵酵母を添加し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させ、再び短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行い、ハチミツ液のアルコール濃度が約8%〜11%になったとき、同じハチミツ液を加え、約20%〜30%増量し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行いながら、ハチミツ液のアルコール濃度が約12%〜16%に達したとき、アルコール発酵終了時のハチミツ液全量の約25%〜35%量の種酢液を添加し、通気による酢酸発酵を行うことを特徴とする健康ハチミツ酢の製造方法。
【請求項2】
請求項1の方法で製造された健康ハチミツ酢。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、健康ハチミツ(蜂蜜)酢の製造方法に関するものである。
【0002】
即ち、本発明は、ハチの巣から分離したままのハチミツだけを原料とし通気酢酸発酵による高濃度の酢酸を含むもので、ハチミツの野性味を強く残した健康ハチミツ酢を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般に、ハチミツは、ミツバチが集めた蜜を巣から抽出したり、圧搾したりして採取したものであるが、製品にされるときは、原料の溶融、混合、濾過を行い、びん詰めされるものである(非特許文献1)。
【非特許文献1】2001年11月20日朝倉書店発行「食品大百科事典」80頁 ハチミツは巣から採取したときは蜜の中に細かな白い固形物が分散していて、そのままでは夾雑物(ゴミ)が混入している印象を与えるので好ましくなく、ほとんどの製品は非特許文献1に示されるようによく濾過されて、細かな白い固形物は完全になくなってしまっているのである。
【0004】
濾過したハチミツをそのまま喰べるのであれば、ハチミツらしい野性味も味わうことができるのであるが、濾過したハチミツをアルコール発酵させると、ハチミツ酒はできるが、ハチミツの野性味は薄れてしまっているのが分る。
【0005】
特に、健康酢の製造時に濾過したハチミツをアルコール発酵させ、更に酢酸発酵させると、ハチミツ酢はできるが、ハチミツらしい野性味はほとんどなくなってしまうのである。
【0006】
また、従来、ハチミツを原料として、これに含まれる糖分の1部を酵母によりアルコール発酵を行い、次いで生成したアルコールの全部もしくは1部を酢酸菌により酢酸発酵して発酵栄養飲料を製造する方法は知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特公昭60−36745号公報 しかしながら、特許文献1に記載の方法は、原料としてハチミツを使用しているが、アルコール発酵と酢酸発酵をみてみれば、アルコール発酵で22〜25℃に加温するだけであり、また酢酸発酵で32〜34℃に加温するだけであって、得られた製品の酢酸濃度は実施例1で2.9%であり、実施例2で4.4%に過ぎず、とうてい健康志向の保健飲用に適したものといえるものではなく、普通に飲まれる栄養飲料に過ぎないものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1.本発明においては、ハチミツを原料としたとき、アルコール発酵及び酢酸発酵において、ハチミツらしい野性味が急激に低減してしまうのをいかにして防止するかを課題とした。

2.本発明において、糖濃度25〜30%のハチミツ液でアルコール発酵するとき、アルコール発酵酵母が十分に増殖できずに、アルコールの生成が止まってしまうのをいかにしてなくすかを課題とした。
【0008】
一般に、清酒の製造においては、澱粉から徐々にグルコースに分解し、生成したグルコースを順次アルコール発酵するという並行複発酵が行われていて、高濃度糖圧迫はなく、アルコール発酵は低温でも順調に行われるのである。
【0009】
しかし、本発明においては、ハチミツを発酵原料とするため、ハチミツに含まれる糖はブドウ糖と果糖が70%で、ショ糖が5%で(非特許文献1)、アルコール発酵酵母が強い糖圧迫を受け、酵母の増殖が止り、アルコールの生成もなくなるという問題があるのが分った。
【0010】
本発明においては、このような現象をなくし、いかにしてハチミツ液中のアルコール濃度を上げるかが大きな課題となったのであった。
3.本発明においては、健康志向の保健飲料を目的とするために、ハチの巣から分離したままのハチミツだけを用いて約12%〜16%もの高濃度の酢酸を含有させたハチミツ酢を製造することを最大の課題とした。
【0011】
特許文献1には、ハチミツをアルコール発酵させたアルコール含有ハチミツ液に種酢を加えて、32〜34℃で21日間酢酸発酵させることが記載されているが、実施例1の製品中の酢酸は2.9%で、実施例2の製品中の酢酸は4.4%で、いずれも酢酸5%以下の低濃度酢酸含有飲料が得られただけであった。
【0012】
一般に、黒酢、壺酢など古来からの食酢の製造は、静置発酵で行なわれており、培養液中のアルコール濃度が5%以上、例えば清酒の18%程度のアルコールがあっても、静置発酵では酢酸は5%以上には生成されず、1年以上もかけて製造される黒酢、壺酢の酢酸含量がせいぜい4〜5%止まりであるのと合致するのである。
【0013】
しかし、本発明においては、ハチの巣から分離したままのハチミツを用い、野性味にあふれた味を強く残して健康志向の保健ハチミツ酢を目的としたために、12〜16%もの高濃度の酢酸を含有したもののなかに、ハチミツの野性味を調和させることと同時に、12〜16%の酢酸をハチミツ液中に生成させることが次の大きな課題となったのである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明においては、ハチの巣から分離したままのハチミツのみを原料として、すぐれた健康食品である健康ハチミツ酢を製造することに成功したものである。
【0015】
一般に、ハチの巣から分離したままのハチミツは、微細なゴミ状のものが多数混入しているが、この微細なゴミ状のものは、濾過して取除かれて、ハチミツとして販売されている。
【0016】
本発明では、濾過しないで、ゴミ状のものがある状態のハチミツのみを用いることによって、いかにもハチミツらしい野性味の感じられる健康ハチミツ酢を製造することができた。
【0017】
本発明は、ハチの巣から分離したままのハチミツに水を加え、糖濃度約25%〜35%に調整したハチミツ液にアルコール発酵酵母を添加し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、アルコール発酵させ、再び短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行い、ハチミツ液のアルコール濃度が約8%〜11%になったとき、同じハチミツ液を加え、約20%〜30%増量し、短時間空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖させ、後、アルコール発酵させる工程をくり返し行いながら、ハチミツ液のアルコール濃度が約12%〜16%に達したとき、アルコール発酵終了時のハチミツ液全量の約30%量の種酢液を添加し、通気による酢酸発酵を行なうことを特徴とする健康ハチミツ酢の製造方法に関するものである。
【0018】
本発明の特色は、糖濃度約25%〜35%に調整したハチミツ液でアルコール発酵してアルコール濃度を約12%〜16%に高めることができたことにある。
【0019】
本発明においては、ハチの巣から分離したままのハチミツに水を加えて、糖濃度約25%〜30%に調整してハチミツ液を作る。このハチミツ液は60〜65℃で低温度殺菌しておくのが好ましい。
【0020】
ハチミツ液は通気発酵タンクに半量程度入れ、これにアルコール発酵酵母(例えばワイン酵母、協会7号酵母などの清酒酵母、焼酎酵母、ビール酵母など)が108/ml〜3×108/mlケ程度添加される。
【0021】
アルコール発酵酵母を添加した後、短時間、例えば5分程度タンクの通気口から空気を送って、攪拌と酵母への酵素の供給を兼ねる処理をして酵母を増殖させ、後、通気を止め、静置してアルコール発酵を行なわせる工程をくり返す。
【0022】
通気と攪拌は、送空気装置と攪拌装置と別々で処理してもよく、また送空気装置で通気と攪拌を同時に行なってもよい。
【0023】
通気攪拌処理は1回3〜10分間、好ましくは5分間程度で、最初1〜2日は1〜5時間おきに行うのがよく、3日目からはこの通気攪拌処理は1日1〜3回程度行うのがよい。
【0024】
通気攪拌処理によってハチミツ液中でも酵母は増殖するので、これを静置し、10℃〜30℃程度でアルコール発酵を行なわせる。
【0025】
アルコール発酵が弱くなるころ、再び通気攪拌を行い、酵母の増殖乃至は活性化を行う必要がある。
【0026】
ハチミツ液中のアルコール濃度が約8〜11%になったとき、ハチミツ中の糖濃度は5〜8%に低減してしまっているので、ハチの巣から分離したままのハチミツに水を加え、糖濃度約25%〜35%に調整したハチミツ液(同じハチミツ液)約20%〜30%添加して、増量する。
【0027】
同じハチミツ液を増量した後、1日に1〜3回程度短時間、例えば5分間程度空気を送って通気攪拌し、酵母を増殖し、後アルコール発酵させる工程をくり返す。
【0028】
最初にアルコール発酵を開始してから8日〜12日でアルコール濃度が約12%〜16%に達したとき、種酢液をアルコール発酵終了時のハチミツ液全量の約25%〜35%量投入する。
【0029】
種酢液としては、酢酸菌(例えばアセトバクター・アセチIFO3281など)を種菌として培養した種培養液であれば、いかなるものでもよいが、ハチの巣から分離したままのハチミツを用いて、アルコール発酵させるか、又はアルコールを添加した培地に酢酸菌を接種して培養した酢酸菌培養液がよく、更には、本発明の方法で得た通気による高濃度酢酸発酵液をそのまま種酢液として用いるのが好ましい。
【0030】
本発明において、ハチミツ液のアルコール濃度が約12%〜16%に達したときに、アルコール発酵終了時のハチミツ液全量の約25%〜35%量の種酢液を添加し、多量の酢酸菌を加えて全アルコールをすべて酢酸にするので、静置発酵では達成できず、大量の空気を送り込む通気発酵でなければならない。
【0031】
通気酢酸発酵は、一般に高濃度酢酸発酵に用いられている循環式(通気を循環させてアルコールや酢酸の放出を防止する)通気発酵タンクを用いるのがよい。
【0032】
1.5日〜3日間通気酢酸発酵を行えば、エタノールはすべて酢酸となって、健康ハチミツ酢は完成する。
【発明の効果】
【0033】
ハチの巣から分離したままのハチミツのみを使用し、12〜16%もの酢含量と合致させることにより、ハチミツの野性味を酢と適度に調味させた健康ハチミツ酢を作成することができた。
【0034】
次に本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0035】
ミツバチの巣から分離したままのハチミツに水を加え、糖濃度を30%に調整したハチミツ液に協会7号酵母の培養液を2×108/ml程度を添加し、最初5分間通気攪拌し、2時間静置し、次に5分間通気攪拌し、3時間静置し、再び5分間通気攪拌気攪拌し、3日目も1日に2回5分間通気攪拌し、この通気攪拌を繰り返し8日目にハチミツ液のアルコール濃度が10%に達したとき、ミツバチの巣から分離したままのハチミツに水を加え、糖濃度を30%に調整したハチミツ液を25%加え、再び5分間通気攪拌を2回/1日続け、10日目にアルコール濃度が15%(糖濃度は約7%残存)になったとき、前に同じ方法で作成し、酢酸菌の含有したままの健康ハチミツ酢(酢酸濃度約15%)を全体の30%量加え、循環式連続通気発酵を開始し、2日間すればアルコールはすべて酢酸となって、健康ハチミツ酢は完成する。
【0036】
この発酵液を濾過し、ビン詰めし、殺菌し、製品とした。
【出願人】 【識別番号】597135194
【氏名又は名称】マルボシ酢株式会社
【出願日】 平成15年8月21日(2003.8.21)
【代理人】 【識別番号】100075775
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 親男

【公開番号】 特開2005−65545(P2005−65545A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2003−297914(P2003−297914)