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【発明の名称】 熱分解ドラム装置
【発明者】 【氏名】元田 義人
【住所又は居所】兵庫県尼崎市金楽寺町2丁目2番33号 株式会社タクマ内

【要約】 【課題】廃棄物処理設備に用いられ、廃棄物を乾留して熱分解ガスと熱分解残渣とに分離する熱分解ドラム装置に於て、停電等の非常時でも問題が起こらず、加えて熱分解ドラムの排出側に内容物を貯留する為の大きな貯留空間を確保する必要がなく、建物の設置容積を大幅に削減できる様にする。

【解決手段】加熱されながら一方向に回転される事に依り供給された廃棄物Aを熱分解ガスBと熱分解残渣Cとに熱分解して排出する熱分解ドラム3を備えた熱分解ドラム装置1に於て、停電等の非常時には、熱分解ドラム3を逆方向に回転させて熱分解ドラム3の内容物を排出しない様にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されながら一方向に回転される事に依り供給された廃棄物を熱分解ガスと熱分解残渣とに熱分解して排出する熱分解ドラムを備えた熱分解ドラム装置に於て、停電等の非常時には、熱分解ドラムを逆方向に回転させて熱分解ドラムの内容物を排出しない様にした事を特徴とする熱分解ドラム装置。
【請求項2】
熱分解ドラムを一方向に回転させる回転駆動手段とは別に、停電等の非常時に熱分解ドラムを逆方向に回転させる逆転駆動手段を備えている請求項1に記載の熱分解ドラム装置。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば廃棄物処理設備に用いられ、廃棄物を乾留して熱分解ガスと熱分解残渣とに分離する熱分解ドラム装置に係り、とりわけ停電等の非常時でも支障が起こらない様に対策を講じた熱分解ドラム装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱分解ドラム装置としては、例えば特許文献1乃至3に記載されて図2に示したものが知られている。
当該熱分解ドラム装置50は、廃棄物Aを供給する供給手段51と、供給手段51からの廃棄物Aを熱分解ガスBと熱分解残渣Cに熱分解する熱分解ドラム52と、熱分解ドラム52内の廃棄物Aを加熱する加熱手段53と、熱分解ドラム52を一方向に回転させる回転駆動手段54と、熱分解ドラム52内の熱分解ガスBと熱分解残渣Cを熱分解ドラム52の一方向の回転に依り排出する排出手段55と、排出手段55からの熱分解ガスBと熱分解残渣Cとを分離して排出する分離手段56とを備えている。
分離手段56には、熱分解残渣Cを処理する後続機器57が接続されている。後続機器57は、この例では、シュート58と振動コンベア59とから成っている。
【0003】
而して、この様なものは、熱分解ドラム52内には、約1時間分の廃棄物Aが滞留していると共に、停電等の非常時には、回転が停止する事に依る熱歪等を防止する為に、非常用電源に依って回転駆動手段54が駆動されて熱分解ドラム52の回転が続行されるので、排出手段55に依り熱分解ドラム52の内容物(未処理の廃棄物Aや熱分解残渣C等)が排出される。
この為、熱分解ドラム52の排出側、つまり排出手段55の出口には、排出された内容物を貯留できるだけの容量を持った貯留空間Dを形成せねばならなかった。つまり、排出手段55の出口に位置する分離手段56の下半と後続機器57を為すシュート58と振動コンベア59の前側とから成る空間が内容物を貯留する貯留空間Dを為して居り、とりわけシュート58を長くする事に依りこの貯留空間Dを必要な大きさにしていた。
【0004】
【特許文献1】特開2000−140811号公報
【特許文献2】特開2001−152159号公報
【特許文献3】特開2001−334241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
要するに、従来のものは、停電等の非常時には、熱分解ドラムが回転されるので、停止に依る熱歪等の問題が起こらないものの、熱分解ドラムの排出側には、熱分解ドラムから排出される内容物を貯留する為の大きな貯留空間を確保する必要があった。
【0006】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、停電等の非常時でも熱歪等の問題が起こらず、加えて熱分解ドラムの排出側に内容物を貯留する為の大きな貯留空間を確保する必要がなく、建物の設置容積を大幅に削減できる様にした熱分解ドラム装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱分解ドラム装置は、基本的には、加熱されながら一方向に回転される事に依り供給された廃棄物を熱分解ガスと熱分解残渣とに熱分解して排出する熱分解ドラムを備えた熱分解ドラム装置に於て、停電等の非常時には、熱分解ドラムを逆方向に回転させて熱分解ドラムの内容物を排出しない様にした事に特徴が存する。
【0008】
通常時には、熱分解ドラムが加熱されながら一方向に回転されるので、熱分解ドラムに供給された廃棄物が熱分解ガスと熱分解残渣に熱分解されてこれらが熱分解ドラムから排出される。
停電等の非常時には、熱分解ドラムが逆転される。この為、熱分解ドラムの正転(一方向の回転)に依り排出されていた内容物は、熱分解ドラムの逆転(逆方向の回転)に依り排出が阻止される。
その結果、熱分解ドラムの排出側に形成していた貯留空間を必要最小限にする事ができ、それだけ建物の設置容積を大幅に削減できる。
【0009】
熱分解ドラムを一方向に回転させる回転駆動手段とは別に、停電等の非常時に熱分解ドラムを逆方向に回転させる逆転駆動手段を備えているのが好ましい。この様にすれば、停電等の非常時には、専用の逆転駆動手段に依り確実に熱分解ドラムを逆転させる事ができる。
【0010】
熱分解ドラムを一方向に回転させる回転駆動手段を、停電等の非常時に逆方向に回転させる様にするのが好ましい。この様にすれば、既存の回転駆動手段を利用できるので、それだけ構造の簡単化とコストの低減を図る事ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 加熱されながら一方向に回転される事に依り供給された廃棄物を熱分解ガスと熱分解残渣とに熱分解して排出する熱分解ドラムを備えた熱分解ドラム装置に於て、停電等の非常時には、熱分解ドラムを逆方向に回転させて熱分解ドラムの内容物を排出しない様にしたので、停電等の非常時でも熱歪等の問題が起こらず、加えて熱分解ドラムの排出側に内容物を貯留する為の大きな貯留空間を確保する必要がなく、建物の設置容積を大幅に削減できる。
(2) 停電等の非常時には、熱分解ドラムを逆方向に回転させて熱分解ドラムの内容物を排出しない様にしたので、未処理の廃棄物等が排出される事がなく、後続機器の処理に支障を与える事がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の熱分解ドラム装置を示す概要図である。
【0013】
本発明の熱分解ドラム装置1は、廃棄物Aを供給する供給手段2と、供給手段2からの廃棄物Aを熱分解ガスBと熱分解残渣Cに熱分解する熱分解ドラム3と、熱分解ドラム3内の廃棄物Aを加熱する加熱手段4と、熱分解ドラム3を一方向に回転させる回転駆動手段5と、熱分解ドラム3内の熱分解ガスBと熱分解残渣Cを熱分解ドラム52の一方向の回転に依り排出する排出手段6と、排出手段6からの熱分解ガスBと熱分解残渣Cとを分離して排出する分離手段7と、停電等の非常時に熱分解ドラム3を逆方向に回転させる逆転駆動手段8とからその主要部が構成されている。
【0014】
供給手段2は、この例では、スクリューコンベアにしてあり、熱分解ドラム3の上流側に臨ませてある。
【0015】
熱分解ドラム3は、この例では、円筒状を呈し、回転支持手段9に依り固定側に対して回転可能に設けられている。
回転支持手段9は、前後に二組設けられて居り、熱分解ドラム3の外周に設けられたリング10と、固定側に回転可能に設けられてリング10を回転可能に支持する適数のローラ11とを備えている。
【0016】
加熱手段4は、この例では、熱分解ドラム3内に設けられた加熱管12と、熱分解ドラム3の下流側に排出手段6を囲繞すべく設けられて加熱管12に加熱ガスEを供給する加熱ガス供給チャンバ13と、熱分解ドラム3の上流側に供給手段2を囲繞すべく設けられて加熱管12からの加熱ガスEを排出する加熱ガス排出チャンバ14と備えている。
【0017】
回転駆動手段5は、この例では、熱分解ドラム3の外周に固定されたリングギヤ15と、これに噛合するピニオンギヤ16と、これを回転させるモータ(電動機)17とを備えている。回転駆動手段5は、図略した常用電源に依り駆動されて熱分解ドラム3を正方向に回転(正転)する様になっている。
【0018】
排出手段6は、この例では、熱分解ドラム3の下流側に連設されたパイプ18と、これの内部に固定されて熱分解ガスBと熱分解残渣Cとを熱分解ドラム3の正転に伴って順次排出するスパイラル(リボンスクリュ)19とを備えている。
【0019】
分離手段7は、この例では、上部には熱分解ガスBが排出されるガス出口20が形成されていると共に、下部には熱分解残渣Cを排出する残渣出口21が形成された縦筒状の出口ハウジングにしてある。
【0020】
逆転駆動手段8は、この例では、回転駆動手段5とは別に設けられて居り、これと同様に、熱分解ドラム3の外周に固定されたリングギヤ22と、これに噛合するピニオンギヤ23と、これを回転させるモータ(電動機)24とを備えている。逆転駆動手段8は、図略した非常用電源に依り駆動されて熱分解ドラム3を逆方向に回転(逆転)する様になっている。
【0021】
回転部分である熱分解ドラム3と固定部分である熱分解ドラム3以外のものとの間には、気密を保持する為のシール手段25が介設されている。この例では、供給手段2と熱分解ドラム3との間、熱分解ドラム3と加熱手段4の加熱ガス排出チャンバ14との間、熱分解ドラム3と加熱手段4の加熱ガス供給チャンバ13との間、加熱手段4の加熱ガス供給チャンバ13と排出手段6との間、排出手段6と分離手段7との間に夫々介設されている。
【0022】
分離手段7の残渣出口21には、熱分解残渣Cを処理する後続機器26が接続されている。後続機器26は、この例では、シュート27と振動コンベア28とから成っている。
【0023】
而して、排出手段6の出口に位置する分離手段7の下半と後続機器26を為すシュート27と振動コンベア28の前側とから成る空間は、熱分解残渣Cを貯留する貯留空間Dを為しているが、これは、レベル制御等を行う必要最小限で良く、とりわけシュート27の長さが従来より短くしてある。
【0024】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
通常時には、熱分解ドラム3が加熱手段4に依り加熱されながら回転駆動手段5に依り一方向に回転(即ち正転)されるので、供給手段2に依り熱分解ドラム3に供給された廃棄物Aが熱分解ガスBと熱分解残渣Cに熱分解されてこれらが排出手段6に依り熱分解ドラム3から排出された後、分離手段7に依り熱分解ガスBと熱分解残渣Cとに分離されて排出される。分離手段7からの熱分解残渣Cは、後続機器26であるシュート27から振動コンベア28に送られて後処理される。
【0025】
停電等の非常時には、熱分解ドラム3が逆転駆動手段8に依り逆転される。この為、熱分解ドラム3の正転に伴って排出手段6に依り排出されていた熱分解ドラム3の内容物は、熱分解ドラム3並びに排出手段6の逆転に依り排出が阻止される。
その結果、熱分解ドラム3の排出側に形成していた貯留空間Dは、レベル制御等を行う必要最小限で済み、それだけ建物の設置容積を大幅に削減できる。
停電等の非常時には、熱分解ドラム3を逆方向に回転させて熱分解ドラム3の内容物を排出しない様にしたので、未処理の廃棄物A等が排出される事がなく、後続機器26の処理に支障を与える事がない。
【0026】
尚、逆転駆動手段8は、先の例では、回転駆動手段5とは別に設けたが、これに限らず、例えば回転駆動手段5を利用して、これを停電等の非常時に非常用電源に依り駆動させて熱分解ドラム3を逆転させる様にしても良い。この様にすれば、回転駆動手段5を所謂兼用できるので、構造を簡単化できてコストの低減を図る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の熱分解ドラム装置を示す概要図。
【図2】従来の熱分解ドラム装置を示す概要図。
【符号の説明】
【0028】
1,50…熱分解ドラム装置、2,51…供給手段、3,52…熱分解ドラム、4,53…加熱手段、5,54…回転駆動手段、6,55…排出手段、7,56…分離手段、8…逆転駆動手段、9…回転支持手段、10…リング、11…ローラ、12…加熱管、13…加熱ガス供給チャンバ、14…加熱ガス排出チャンバ、15,22…リングギヤ、16,23…ピニオンギヤ、17,24…モータ、18…パイプ、19…スパイラル、20…ガス出口、21…残渣出口、25…シール手段、26,57…後続機器、27,58…シュート、28,59…振動コンベア、A…廃棄物、B…熱分解ガス、C…熱分解残渣、D…貯留空間、E…加熱ガス。

【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号
【出願日】 平成15年9月19日(2003.9.19)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫

【公開番号】 特開2005−89664(P2005−89664A)
【公開日】 平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願番号】 特願2003−327138(P2003−327138)