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【発明の名称】 含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法
【発明者】 【氏名】石原口 裕二
【住所又は居所】福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

【氏名】加藤 範行
【住所又は居所】福岡県北九州市戸畑区飛幡町2番2号 株式会社テツゲン八幡支店内

【要約】 【課題】微粉石炭を大きな疑似粒子にして発塵を防止すると共に、産業廃棄物である廃トナーを処理し、コークス炉内の炭素付着及びダストの堆積を防止する含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を提供する。

【解決手段】微粉石炭と廃トナーにバインダーを添加して混練し疑似粒子に造粒した処理物を、石炭と共にコークス炉11に装入して乾留する。これにより、処理物の発塵を防止し、産業廃棄物である廃トナーの処理が行える。更に、処理物を高温のコークス炉11に装入した際には、水分が蒸発し、バインダーも乾燥して粘性がなくなるが、廃トナーが溶融して、微粉石炭と乾燥したバインダーとを接着させ、微粉石炭を発塵させないので、コークス炉11内にカーボンが付着するのを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉石炭と廃トナーにバインダーを添加して混練し疑似粒子に造粒した処理物を、石炭と共にコークス炉に装入して乾留することを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項2】
請求項1記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記疑似粒子は0.3〜10mmの範囲にあることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記バインダーは、前記微粉石炭と前記廃トナーの合計重量に対し、3〜10質量%で配合されていることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記疑似粒子を造粒する工程で、前記微粉石炭、前記廃トナー及び前記バインダーを混合した際の総重量に対して、総水分量が7〜28質量%となるように水を添加することを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記微粉石炭は、予め水が添加されていることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記バインダーは、リグニン系のパルプ廃液、糖蜜及び有機汚泥の一種又は二種以上からなることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃トナーは、前記微粉石炭に対し、2〜20質量%で配合されることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記処理物は、前記コークス炉に装入する石炭に対し、0.5〜18質量%で配合されていることを特徴とする含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉石炭及び廃トナーを造粒して形成される処理物を用いたコークス炉の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コークス炉で使用する石炭は、水分を3〜5%まで調湿して輸送し、輸送経路で発生する0.3mm未満の微粉石炭の微粉末(微粉石炭粉)による発塵を防止するために、輸送経路中に設けた集塵機等で、この微粉石炭粉を集塵している。この集めた微粉石炭粉は、水で加湿し、混練して疑似粒子に造粒し、この造粒物を、図8に示すように石炭と共に装入車からコークス炉へ装入している。
【0003】
しかしながら、図9(A)に示すように、コークス炉へ装入された造粒物は、高温となった炉内の熱によって造粒物中の水が蒸発し、再び微粉石炭粉となる。この微粉石炭粉はコークス炉内を浮遊し、この微粉石炭粉が核粒子となって、コークス炉ガス中に含まれるメタン成分等が熱分解した熱分解生成物や凝縮したタールミスト等の重質炭化水素が、この核粒子に付着して液体状物となる。この液体状物は、その架橋効果により、コークス炉の炉壁(炉壁煉瓦)に付着し、液体状物中の液状成分(熱分解生成物及び重質炭化水素)が気化して、炭素成分だけとなった付着カーボンとなる。
【0004】
更に、図9(B)に示すように、炉壁の付着カーボンの上には、更に液体状物が付着して、炉壁表面の付着カーボンが成長する。この炉壁に付着した付着カーボンの除去は、コークス炉内に空気を導入し焼却する方法があるが、温度変化によって炉壁を痛めるという問題がある。また、人力によって除去する方法もあるが、大変な労力が必要である。
【0005】
また、付着カーボンは、図8に示すように、コークス炉の内壁の他に、上昇管基部にも付着する。更に、コークス炉内を浮遊する微粉石炭は、コークス炉ガス(COG)を回収する発生ガス管内にコークス炉ガスと共に回収され、発生ガス管内にダストが堆積することもあった。このように微粉石炭の使用は、コークス炉の操業上の問題となっていた。
【0006】
一方、トナーの製造メーカで発生する廃トナーは、現状では、専門業者に委託して埋め立て等の処理を行っているが、今後の環境規制の強化から埋め立てによる処理も困難な状況になってくる。この廃トナーも超微粉であり、かつ、撥水性がありコークス炉で使用する際は、例えば、廃トナーを重質油分と混合し、スラリー状又は加圧成型して、成型炭として使用していた(例えば、特許文献1参照)。
また、廃トナーを焼結ダストと混合し、生石灰をバインダーとして造粒し、焼結原料として使用していた(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−192049号公報
【特許文献2】特開2000−328144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明では、スラリー状にすることにより、輸送過程において、例えば、ベルトコンベアの乗り継ぎ部(シュート)での落炭等が生じ、ハンドリング性が悪いという問題があった。また、成型炭にしても混練した後、成型しなければならず、成型設備が必要であった。更に、高価な重質油分を使用することによりコスト高となる問題もあった。また、特許文献2の発明では、廃トナーをガス化して燃焼するために、省エネやリサイクルの観点からは問題があった。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、微粉石炭を大きな疑似粒子にして発塵を防止すると共に、産業廃棄物である廃トナーを処理し、コークス炉内の炭素付着及びダストの堆積を防止する含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿う本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法は、微粉石炭と廃トナーにバインダーを添加して混練し疑似粒子に造粒した処理物を、石炭と共にコークス炉に装入して乾留する。
これによって、バインダーが、微粉石炭と廃トナーとを接着(結合)させ、微小な粉末である微粉石炭と廃トナーとを大きな疑似粒子に造粒して、処理物を製造することができる。処理物は、大きな粒子であるため、発塵し難くなると共に、輸送時のハンドリング性が向上する。
【0011】
また、輸送中に内部の水分が蒸発した処理物は、バインダーの粘性が向上して、微粉石炭と廃トナーとの接着強度を強くすることができる。これによって、処理物は、輸送経路に設けられたシュートの乗り継ぎや石炭塔入槽時の落下衝撃に対して強くなり、疑似粒子の大きさを維持できるので、発塵し難くなる。
【0012】
更に、処理物を高温のコークス炉に装入した際には、水分が蒸発し、バインダーも乾燥して、バインダーの粘性がなくなるが、廃トナーが溶融して、微粉石炭を接着することができ、微粉石炭を発塵させないので、コークス炉内にカーボンが付着するのを防止できる。
【0013】
一方、産業廃棄物である廃トナーの処理ができると共に、廃トナーが熱分解して生成する水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物から、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等のC1化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な製品が製造され、廃トナーの有効利用ができる。
【0014】
ここで、微粉石炭は、石炭から発生する0.3mm未満の超微粉であり、その多くは0.1mm以下である。この微粉石炭は、石炭の輸送経路に設けられた集塵機等によって集められている。また、廃トナーは、0.1mm以下の超微粉であり、かつ、撥水性がある。また、樹脂系の廃トナーは、コークス炉内で溶融して微粉石炭と接着し易いので好ましい。なお、バインダーは、微粉石炭及び廃トナーと混練した際に、疑似粒子に造粒し易く、また、処理物中の水が蒸発等によって減少したときには、バインダーの粘性が向上し、微粉石炭と廃トナーを結合できるものであればよい。
【0015】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記疑似粒子は0.3〜10mmの範囲にあるのが好ましい。これによって、処理物が取り扱い易くなる。ここで、疑似粒子の大きさが、0.3mm未満では発塵し易くなる。また、疑似粒子の大きさが、10mmを超えるとコークスの品質が悪くなると共に、処理物内部の水が残留し、処理物をコークス炉に装入した際に、処理物内部の水が蒸発するための熱量が必要となり、熱損失が大きくなる。
【0016】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記バインダーは、前記微粉石炭と前記廃トナーの合計重量に対し、3〜10質量%で配合するのが好ましい。これによって、微粉石炭と廃トナーを接着し易くなり、大きな疑似粒子を造粒し易くなる。ここで、バインダーの配合量が、3質量%未満では処理物の水が減少した際に、微粉石炭と廃トナーを接着できず、処理物が崩壊し、0.3mm未満の粒子の割合が多くなる。また、バインダーの配合量が、10質量%を超えると造粒し難くなると共に、コークス強度が下がる。
【0017】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記疑似粒子を造粒する工程で、前記微粉石炭、前記廃トナー及び前記バインダーを混合した際の総重量に対して、総水分量が7〜28質量%、好ましくは10〜20質量%となるように水を添加するのがよい。これによって、微粉石炭と廃トナーとを接着し易くなり、処理物が造粒し易くなる。ここで、水分量が、7質量%未満では、水による接着効果が弱く、微粉石炭と廃トナーとを接着できず、造粒されない。また、造粒された処理物の総水分量が、28質量%を超えるとスラリー化が起こり造粒できなくなると共に、処理物の水分を蒸発させるための熱量が必要となり、熱損失が大きくなる。
【0018】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記微粉石炭は、予め水を、例えば、7〜13質量%添加するのが好ましい。これによって、輸送時に発塵し難くなり、また、ハンドリング負荷が軽減される。更に、疎水性の微粉石炭に予め水を含ませ、徐々に水を馴染ませることができる。ここで、微粉石炭に添加する水が、7質量%未満では水が蒸発して発塵し易くなり、13質量%を超えると、水との馴染みが悪く、団子状の処理物ができ、均一な混練ができなくなる。
【0019】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記バインダーは、リグニン系のパルプ廃液、糖蜜及び有機汚泥の一種又は二種以上からなるのが好ましい。これによって、産業廃棄物であるパルプ廃液、糖蜜、有機汚泥が処理できる。また、輸送時に水分が蒸発しても、バインダーが微粉石炭と廃トナーを接着して、発塵し難い。
【0020】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記廃トナーは、前記微粉石炭に対し、2〜20質量%、好ましくは4〜18質量%、更に好ましくは7〜14質量%で配合するのがよい。これによって、コークス炉内に処理物を装入する際に、疑似粒子の接着を保つことができる。ここで、廃トナーの配合量が2質量%未満では、処理物をコークス炉に装入した際に十分に微粉石炭を接着することができず、微粉石炭が発塵する。また、廃トナーの配合量が20質量%を超えるとコークス強度が下がる。
【0021】
本発明に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、前記処理物は、前記コークス炉に装入する石炭に対し、0.5〜18質量%、好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは3〜10質量%で配合することができる。これによって、コークス強度の高いコークスを製造することができる。ここで、処理物の配合量が、0.5質量%未満では廃トナーの処理量が少なくなり、また、18質量%を超えるとコークス強度が下がる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1〜8記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、微粉石炭と廃トナーにバインダーを添加して混練し疑似粒子に造粒した処理物を、石炭と共にコークス炉に装入して乾留するので、バインダーが、微粉石炭と廃トナーとを接着(結合)させ、微小な粉末である微粉石炭と廃トナーとを大きな疑似粒子に造粒して、処理物を製造することができる。処理物は大きな粒子であるため、発塵し難くなると共に、輸送時のハンドリング性が向上する。
【0023】
また、輸送中に内部の水分が蒸発した処理物は、バインダーの粘性が向上して、微粉石炭と廃トナーとの接着強度を強くすることができる。これによって、処理物は、輸送経路に設けられたシュートの乗り継ぎや石炭塔入槽時の落下衝撃に対して強くなり、疑似粒子の大きさを維持できるので、発塵し難くなる。
【0024】
更に、処理物を高温のコークス炉に装入した際には、水分が蒸発し、バインダーも乾燥して、バインダーの粘性がなくなるが、廃トナーが溶融して、微粉石炭を接着することができ、微粉石炭を発塵させないので、コークス炉内にカーボンが付着するのを防止できる。
【0025】
一方、産業廃棄物である廃トナーの処理ができると共に、廃トナーが熱分解して生成する水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物から、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等のC1化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な製品が製造され、廃トナーの有効利用ができる。
【0026】
特に、請求項2記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、疑似粒子は0.3〜10mmの範囲にあるので、処理物が取り扱い易くなる。
請求項3記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、バインダーは、微粉石炭と廃トナーの合計重量に対し、3〜10質量%で配合されているので、微粉石炭と廃トナーを接着し易くなり、処理物が造粒し易くなる。
【0027】
特に、請求項4記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、疑似粒子を造粒する工程で、微粉石炭、廃トナー及びバインダーを混合した際の総重量に対して、総水分量が7〜28質量%となるように水を添加するので、微粉石炭と廃トナーを接着し易くなり、大きな疑似粒子を造粒し易くなる。
請求項5記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、微粉石炭は、予め水が添加されているので、輸送時に発塵し難くなる。また、ハンドリング負荷が軽減される。更に、疎水性の微粉石炭に予め水を含ませ、徐々に水を馴染ませることができる。
【0028】
特に、請求項6記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、バインダーは、リグニン系のパルプ廃液、糖蜜及び有機汚泥のいずれか一種又は二種以上であるので、産業廃棄物であるパルプ廃液、糖蜜、有機汚泥等を処理できる。また、輸送時に水分が蒸発しても、バインダーが微粉石炭と廃トナーを接着して、発塵し難い。
請求項7記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、廃トナーは、微粉石炭に対し、2〜20質量%で配合されるのでコークス炉内に処理物を装入する際に、疑似粒子の接着を保つことができる。
請求項8記載の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法においては、処理物は、コークス炉に装入する石炭に対し、0.5〜18質量%で配合されているので、コークス強度の高いコークスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置の説明図、図2(A)〜(C)はそれぞれ同操業方法によって形成される各段階での処理物の説明図、図3は実施例1に係る処理物によるコークス炉内へのカーボン付着速度を示すグラフ、図4は実施例2に係る処理物の廃トナー添加率とコークス炉内へのカーボン付着量との関係を示すグラフ、図5は実施例3に係る処理物のバインダー添加率と発塵強度の関係を示すグラフ、図6は実施例4に係る処理物の総水分量と発塵強度の関係を示すグラフ、図7は実施例5に係る処理物の石炭に対する配合比と発塵強度の関係を示すグラフである。
【0030】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置10について説明する。
コークス製造装置10は、微粉石炭を貯留する微粉石炭ホッパー12と、樹脂系の廃トナーを貯留する廃トナーホッパー13と、バインダーの一例であるリグニン系のパルプ廃液を貯留するバインダー貯留槽14とを有している。更に、コークス製造装置10は、微粉石炭ホッパー12、廃トナーホッパー13、及びバインダー貯留槽14からそれぞれ供給される微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液を混練する混合型造粒機15を有している。
【0031】
混合型造粒機15は、微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液を混練し、疑似粒子に造粒して処理物を製造できればよい。例えば、混合型造粒機15は、微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液を入れ、時計回りに回転駆動するパンと、パン内でパンを中心に対して偏心して取付けられ、パンと逆方向に回転する高速アジテーターと呼ばれる混合ブレードを備えた撹拌工具とを有したアイリッヒ社製の逆流式高速混合機が知られている。この混合型造粒機15内では、混合ブレードが原料を跳ね上げながら、パン内を回転して、微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液を混練し、疑似粒子に造粒する。
【0032】
また、混合型造粒機15に水を添加して、処理物の総水分量を調整する水供給装置16が設けられている。更に、微粉石炭ホッパー12から混合型造粒機15に微粉石炭を供給する前に、微粉石炭に水を添加して、加湿する加湿機17を有している。
【0033】
また、コークス製造装置10は、コークス炉11に装入する石炭を貯留する配合槽20を有し、配合槽20からコークス炉11までの石炭の輸送経路の途中には、石炭の水分量を調整する調湿設備である乾燥機21が設けられている。
また、乾燥機21からコークス炉11までの石炭の輸送経路では、石炭は混合型造粒機15で製造された処理物と混合される。
【0034】
ここで、処理物が供給される場所より更に下流側の輸送経路には1又は複数、例えば2つのシュート22、23が設けられ、石炭及び処理物は、コークス炉11の上部に設けられた石炭塔24まで輸送され、更に、石炭塔24からコークス炉11に装入される。また、シュート22、23、石炭塔24には、石炭から発生する微粉石炭を集める集塵機25〜27がそれぞれ設けられ、集められた微粉石炭は、微粉石炭ホッパー12へ供給される。
【0035】
次に、コークス製造装置10を使用して行う本発明の一実施の形態に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法について説明する。
まず、微粉石炭ホッパー12から混合型造粒機15に微粉石炭を供給する。ここで、混合型造粒機15に供給する微粉石炭には、予め加湿機17によって水を添加し、水分量を7〜13質量%とする。疎水性の微粉石炭に水を含ませることによって、混合型造粒機15へ供給されるまでに徐々に水を馴染ませることができる。この水に馴染んだ微粉石炭は、混合型造粒機15中で、更に、水とよく馴染むので、造粒し易くなる。
【0036】
また、混合型造粒機15には、廃トナーホッパー13から廃トナーを、微粉石炭に対して、2〜20質量%となるように供給し、更に、バインダー貯留槽14からリグニン系のパルプ廃液を、微粉石炭と廃トナーとの合計重量に対し、3〜10質量%となるように供給する。この造粒工程では、混合型造粒機15内に供給した微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液の総重量に対し、総水分量が7〜28質量%となるように、水供給装置16から水を供給する。なお、水供給装置16から供給される水は、総水分量から微粉石炭に予め供給された水、及びパルプ廃液中の水分を差し引いた量となる。
【0037】
混合型造粒機15では、微粉石炭、廃トナー、パルプ廃液、及び水が混合ブレードで跳ね上げられながら混練され、各疑似粒子の粒径が0.3〜10mmの大きさとなるように形成され、処理物が製造される。この造粒された処理物は、パルプ廃液中の成分(例えば、リグニン、糖類、樹脂等を含む)と水とが接着剤の役割を果たし、微粉石炭粉と廃トナー粒子とを結合している。
【0038】
また、コークス炉11に装入する石炭は、発塵防止のため予め水分量が9〜10質量%にされている。この石炭は配合槽20からコークス炉11までの石炭の輸送経路の途中に設けられた乾燥機21で水分量を3.5〜4%とされる。更に、乾燥機21からコークス炉11までの石炭の輸送経路の途中では、混合型造粒機15で製造された処理物がコークス炉11に装入する石炭に対し、0.5〜18質量%配合されている。
【0039】
混合された石炭及び処理物は、シュート22、23を通り、コークス炉11の上部に設けられた石炭塔24まで輸送される。更に、石炭塔24に貯留された石炭及び処理物は、コークス炉11に装入される。この間、シュート22、23、石炭塔24にそれぞれ設けられた集塵機25〜27によって、石炭から発生する微粉石炭が集められ、この集められた微粉石炭は微粉石炭ホッパー12へ供給される。
【0040】
コークス炉11内で、石炭及び処理物を900〜1200℃の高温、例えば、1100℃で20時間乾留して、コークスを製造すると共に、生成する水素、メタン、一酸化炭素等のコークス炉ガス、タール、ピッチ等の副生成物を回収する。回収した副生成物を精製、処理し、燃料用ガス、純水素ガス、ベンゼン、トルエン、キシレン等の化成品、ナフタリン、染料や炭素繊維などの有用な製品を製造する。
【0041】
次に、図2(A)〜(C)を参照して、本実施の形態に係るコークス炉の操業方法において、各段階(混合型造粒機15での造粒直後、混合型造粒機15からコークス炉11までの輸送時、コークス炉11装入直後)での処理物の粒子状態について説明する。
【0042】
まず、図2(A)は、微粉石炭粉、廃トナー粒子、パルプ廃液、及び水を混合型造粒機15内で混練して造粒された微粉石炭粉、廃トナー粒子、パルプ廃液、及び水からなる疑似粒子を示しており、パルプ廃液と水が接着剤の役割を果たし、微粉石炭粉と廃トナー粒子とを結合させている。ここで、処理物の総水分量は7〜28質量%に調整されているので、処理物は輸送時に発塵し難く、また、ハンドリング負荷が軽減される。
【0043】
図2(B)に示す処理物は、混合型造粒機15からコークス炉11まで輸送される間に疑似粒子中の水が蒸発した状態であって、中の水が減少して、パルプ廃液は濃縮されて(濃縮パルプ廃液)、粘性が向上するので、パルプ廃液が接着剤として働き、微粉石炭粉と廃トナー粒子とを結合させ、接着強度を増すことができる。
【0044】
この接着強度が増した処理物は、シュート22、23の乗り継ぎや、石炭塔24の入槽時の落下衝撃に対して、疑似粒子の形状を維持できる。これによって、処理物は、砕けて細かくなることがないので、発塵し難い。なお、混合型造粒機15において製造された処理物のパルプ廃液の配合量が3質量%未満であると、パルプ廃液による結合が弱くなり、0.3mm未満の疑似粒子の割合が多くなる。
【0045】
図2(C)は、処理物を高温、例えば、900〜1200℃のコークス炉11内へ装入した直後の状態である。ここでは、疑似粒子中の水は完全に蒸発し、パルプ廃液中の水分も蒸発しパルプ廃液中の成分が乾燥した状態(乾燥パルプ廃液)となっているが、処理物中の廃トナー粒子が溶融し、溶融廃トナーとなって、微粉石炭粉を接着結合している。
【0046】
これによって、処理物は、処理物中の微粉石炭粉が接着して微粉とならず発塵しないので、コークス炉11内部の熱分解生成物と接触しても液体状物とならない。したがって、コークス炉11の内壁や上昇管基部に付着カーボンとして付着し難くなる。更に、処理物は、発生ガス管内に回収され難く、発生ガス管内に処理物が堆積することがなくなる。
【0047】
従って、造粒した処理物は、(1)造粒直後ではパルプ廃液及び水が、(2)混合型造粒機15からコークス炉11までの輸送時ではパルプ廃液が、(3)コークス炉11装入直後では廃トナー粒子が、それぞれ接着剤の役割を果たし、疑似粒子が結合された状態、すなわち、発塵しない大きさに維持されている。
前記実施の形態においては、バインダーとしてパルプ廃液を使用する場合について主に述べたが、バインダーとして糖蜜や有機汚泥を使用することもできる。更に有機汚泥については、一次有機発生物を脱水したときに発生する脱水汚泥を用いることが、造粒性及び接着性に優れており、好ましい。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
加湿機17によって、微粉石炭1000gに水を10質量%(100g)添加して、微粉石炭に水を馴染ませておく。次に、混合型造粒機15に、この含水された微粉石炭1100gと、微粉石炭1000gに対して5質量%の廃トナー(50g)を入れる。更に、混合型造粒機15には、微粉石炭と廃トナーの合計重量1050gに対しておよそ5質量%のパルプ廃液50g(水分量は10質量%、5g)を添加した。次に、含水した微粉石炭、廃トナー、及びパルプ廃液の総重量が1200gであり、求める総水分量は180gであるので、混合型造粒機15内の総水分量が15%となるように、水75gを添加した。
【0049】
次に、混合型造粒機15によって、微粉石炭、廃トナー、パルプ廃液及び水を混練し、0.3〜10mmの疑似粒子からなる処理物を製造した。ここで、微粉石炭ホッパー12から供給した微粉石炭は、大きさが0.1mm未満のものが90%、0.1〜0.3mmのものが10%で構成され、廃トナーホッパー13から供給した廃トナーは、全て0.1mmの微粒子で構成されている。また、造粒された処理物は、大きさが0.3mmを超えるものが85%、0.1〜0.3mmのものが10%、0.1mm未満のものが5%となっていた。
【0050】
次に、処理物は、混合型造粒機15から石炭塔24に輸送される間に、処理物中の水分が蒸発した。ここで、混合型造粒機15で製造した処理物と、従来例として微粉石炭を水で加湿して疑似粒子とした造粒物とをそれぞれコークス炉11に装入して、コークス炉11内壁に形成されるカーボン付着速度を測定した。カーボン付着速度とは、1時間でコークス炉内壁1cm2 当たりの付着カーボンの量(mg)で表され、この数値が大きい場合には0.3mm未満の微粉石炭が多いということになる。
【0051】
図3に示すように、コークス炉11内壁へのカーボン付着速度は、従来例では18mg/cm2 /H、本実施例では3mg/cm2 /Hとなり、処理物は従来例と比べて、カーボン付着速度はかなり減少し、0.3mm未満の微粒子が形成され難く、発塵し難いことがわかる。
【0052】
(実施例2)
10質量%に含水した微粉石炭1100gと、微粉石炭1000gに対して0〜20質量%に配合率を変えて廃トナーを入れる。更に、混合型造粒機15には、微粉石炭と廃トナーの合計重量に対して5質量%のパルプ廃液(水分量は10質量%)を添加した。次に、混合型造粒機15内の総水分量が15%となるように、水を添加した。次に、混合型造粒機15によって、微粉石炭、廃トナー、パルプ廃液及び水を混練し、0.3〜10mmの疑似粒子からなる処理物を製造した。
【0053】
更に、製造した処理物中の水を蒸発させてコークス炉11に装入し、それぞれのコークス炉11内壁への付着カーボン量を比較した。その結果、図4に示すように、廃トナーの配合量が、2質量%未満では、処理物をコークス炉に装入した際に、十分に微粉石炭を接着することができず、微粉石炭が発塵して、コークス炉11の内壁にカーボンが付着することがわかった。また、廃トナーの配合量が、20質量%を超えるとコークス強度が下がり、コークスの品質が下がった。
【0054】
(実施例3)
10質量%に含水した微粉石炭1100gと、微粉石炭1000gに対して5質量%の廃トナー(50g)を入れる。更に、混合型造粒機15には、微粉石炭と廃トナーの合計重量に対して、0〜14質量%のいずれかに配合量を変えたパルプ廃液(水分量は10質量%)を添加した。次に、混合型造粒機15内の総水分量が15質量%となるように、水を添加した。更に、混合型造粒機15によって、微粉石炭、廃トナー、パルプ廃液及び水を混練し、0.3〜10mmの処理物を製造した。
【0055】
更に、製造した処理物中の水を蒸発させてこの処理物のそれぞれの発塵強度を測定した。ここで、発塵強度の測定は、コークス炉に見立てた高さ2mの箱を使用し、箱内に2mの高さから処理物を落下し、箱の側壁上部に設けられた孔から、エジェクターで飛散物を3分間捕集し、飛散物の重量から0.3mm未満の微粉石炭の濃度、つまり、発塵濃度を測定している(以下、同様)。エジェクター用圧縮空気量は、1.0L/秒に調整し、更に、箱内は真空ポンプで1.7L/分で吸引している。なお、発塵強度比は、使用可能上限を1とし、発塵強度比は、1以下が好ましい。
【0056】
図5に示すように、バインダー(パルプ廃液)の配合率が、3質量%未満では、処理物をコークス炉に装入した際に、十分に微粉石炭を接着することができず、微粉石炭が発塵するので、コークス炉11の内壁にカーボンが付着することがわかる。また、バインダーの配合量が、10質量%を超えると微粉石炭、廃トナー、及びバインダーが均等に混合されず、コークス強度が下がり、コークスの品質が下がる。
【0057】
(実施例4)
10質量%に含水した微粉石炭1100gと、微粉石炭1000gに対して5質量%の廃トナー(50g)を入れる。更に、混合型造粒機15には、微粉石炭と廃トナーの合計重量に対して、およそ5質量%のパルプ廃液(50g、水分量は10質量%)を添加した。次に、混合型造粒機15内の総水分量がそれぞれ0〜32質量%となるように、水を添加した。次に、混合型造粒機15によって、微粉石炭、廃トナー、パルプ廃液及び水を混練し、0.3〜10mmの疑似粒子からなる処理物を製造した。
【0058】
更に、製造した処理物中の水を蒸発させて処理物とし、それぞれ発塵強度を測定した。図6に示すように、総水分量が、7質量%未満では、処理物をコークス炉に装入した際に十分に微粉石炭を接着することができず、微粉石炭が発塵するので、コークス炉11の内壁にカーボンが付着することがわかる。また、総水分量が、28質量%を超えるとスラリー化が起こって、コークス強度が下がり、コークスの品質が下がる。
【0059】
(実施例5)
コークス炉に装入する石炭に対して、実施例1で製造した処理物を0〜20質量%に変えて配合し、それぞれ発塵強度を測定した。図7に示すように、処理物の配合量が、0.5質量%未満では廃トナーの処理量が少なくなり、また、18質量%を超えるとコークス強度が低下して、発塵することがわかった。
なお、他の実施例として、パルプ廃液に代えて、有機二次汚泥スラリーを使用した場合について、同様の条件で実施した結果、パルプ廃液と同等の効果が得られた。
【0060】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態の含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法において、バインダーとしてパルプ廃液を用いたが、その他、でんぷん、たんぱく質等であってもよい。また、混合型造粒機として、逆流式高速混合機を用いたが、この限りではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施の形態に係る含炭微粉粒子を用いたコークス炉の操業方法を適用したコークス製造装置の説明図である。
【図2】(A)〜(C)はそれぞれ同操業方法によって形成される各段階での処理物の説明図である。
【図3】実施例1に係る処理物によるコークス炉内へのカーボン付着速度を示すグラフである。
【図4】実施例2に係る処理物の廃トナー添加率とコークス炉内へのカーボン付着量との関係を示すグラフである。
【図5】実施例3に係る処理物のバインダー添加率と発塵強度の関係を示すグラフである。
【図6】実施例4に係る処理物の総水分量と発塵強度の関係を示すグラフである。
【図7】実施例5に係る処理物の石炭に対する配合比と発塵強度の関係を示すグラフである。
【図8】従来の微粉石炭を用いたコークス炉の操業方法の説明図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ同操業方法の微粉石炭の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10:コークス製造装置、11:コークス炉、12:微粉石炭ホッパー、13:廃トナーホッパー、14:バインダー貯留槽、15:混合型造粒機、16:水供給装置、17:加湿機、20:配合槽、21:乾燥機、22、23:シュート、24:石炭塔、25〜27:集塵機
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
【識別番号】000156260
【氏名又は名称】株式会社 テツゲン
【住所又は居所】東京都千代田区富士見1丁目4番4号
【出願日】 平成16年3月17日(2004.3.17)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男

【識別番号】100090088
【弁理士】
【氏名又は名称】原崎 正

【公開番号】 特開2005−60663(P2005−60663A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2004−76751(P2004−76751)