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【発明の名称】 廃棄物の乾留炭化処理装置と乾留炭化処理方法
【発明者】 【氏名】大島 義光

【氏名】柴田 裕二

【要約】 【課題】磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入することによって、ダイオキシンの発生なく廃棄物を乾留炭化処理するに際して、安定した操業を可能とする手段を提供すること。

【解決手段】磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室1に導入し、処理室1内に投入した廃棄物を乾留炭化処理するにあたって、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を、処理室1の周囲の複数箇所の空気導入口5から処理室1内に所定量強制導入するようにした。これによって、処理室1内に投入された廃棄物は、90〜120℃のダイオキシンの発生温度(約400℃前後)以下で安定的に乾留炭化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入し、処理室内に投入した廃棄物を乾留炭化処理する廃棄物の乾留炭化処理装置において、
磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を、処理室の周囲の複数箇所から処理室内に所定量強制導入する手段を有することを特徴とする廃棄物の乾留炭化処理装置。
【請求項2】
処理室からの排ガスを加熱して排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させる消煙装置をさらに有する請求項1に記載の廃棄物の乾留炭化処理装置。
【請求項3】
磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入し、処理室内に投入した廃棄物を乾留炭化処理する廃棄物の乾留炭化処理方法において、
磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を、処理室の周囲の複数箇所から処理室内に所定量強制導入するようにした特徴とする廃棄物の乾留炭化処理方法。
【請求項4】
処理室からの排ガスを加熱して排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させるようにした請求項3に記載の廃棄物の乾留炭化処理方法。
【請求項5】
処理室内に強制導入する燃焼用空気の量を調節することによって、処理室の上方空間での処理温度が90〜120℃となるようにした請求項3又は4に記載の廃棄物の乾留炭化処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生ゴミ、紙類、草木類、衣類、ゴム、プラスチック類などの可燃廃棄物を乾留炭化処理する廃棄物の乾留炭化処理装置と乾留炭化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の廃棄物の処理に際して、従来から、単純な燃焼方式のもの、処理物を乾留させる方式のもの、微生物による処理方式のもの等、種々の方式のものが知られている。
【0003】
近年、各種燃焼炉においてダイオキシンの発生が問題視されるようになり、その問題解決のための提案が種々行われている。例えば、特許文献1には、廃棄物の焼却装置において、燃焼用空気すなわち導入空気を磁界内を通過させることによって励起し、この励起した導入空気を焼却炉内に吹込むことによってダイオキシンの発生が抑制できることが開示されている。
【0004】
この磁界によって励起させた導入空気を使用することによって低温でも燃焼効率等の処理効率が向上し、廃棄物処理に有効に使用できることが知られるようになり、導入空気を磁界によって励起させる磁界発生手段を備えた廃棄物処理装置が多く提案されるようになった。
【0005】
例えば、特許文献2には、微生物による生ゴミの処理において、導入空気を磁化させることによって微生物による処理効率を挙げ得ることが開示され、さらに処理時間を短縮するために、導入空気を加熱するための手段とともに、収容された被処理物を攪拌する攪拌手段を設けたものが提案されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、耐熱容器の壁に設けられた空気取入口とともに、大気中に放出される排気通路にも磁石手段を設けて、排気中のダイオキシンや悪臭を抑制することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−316006号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−000948号公報
【0009】
【特許文献3】
特開2003−117534号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入することによって、比較的低温で廃棄物を乾留炭化することはできても、現実の操業状態は不安定であり、その上、発生する排ガスの煤化と、悪臭は免れることはできない。
【0011】
本発明は、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入して廃棄物を乾留炭化する処理における問題を解消するもので、第1の課題は、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入することによって、ダイオキシンの発生なく廃棄物を乾留炭化処理するに際して、安定した操業を可能とする手段を提供することにある。
【0012】
本発明の他の課題は、かかる安定した操業を可能とする簡単な構造の廃棄物の乾留炭化処理装置を提供することにある。また、他の課題は、季節や天候に左右されず、安定した処理が可能な廃棄物の乾留炭化処理装置及び乾留炭化処理方法を提供することにある。さらに、他の課題は、熟練の操作員を必要とせず、誰でもが安全に使用できる廃棄物の乾留炭化処理装置を提供することにある。また、さらに他の課題は、排ガスの悪臭と黒煙の発生がない廃棄物の乾留炭化処理装置及び乾留炭化処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を処理室に導入し、処理室内に投入した廃棄物を乾留炭化処理するにあたって、磁界内を通過させて励起した燃焼用空気を、処理室の周囲の複数箇所から処理室内に所定量強制導入するようにしたことを特徴とする。
【0014】
これによって、処理室内に投入された廃棄物は、90〜120℃のダイオキシンの発生温度(約400℃前後)以下で安定的に乾留炭化される。
【0015】
処理室の周囲の複数箇所から処理室内に所定量強制導入される燃焼用空気の適正量は、実験によれば、常温で、処理室の容積1m当たり総量で60〜80L/min程度、周囲4箇所から導入するとすれば、1箇所当たり、15〜20L/minが適正であることが分かった。これによって、処理室の上方空間での処理温度は、90〜120℃の温度で、安定して処理される。この強制導入される燃焼用空気がこれよりも増加すると、投入された廃棄物は燃焼してしまってダイオキシンの発生量が増加し、また、この量以下では乾留炭化速度が遅くなって処理効率が低下する。
【0016】
また、燃焼用空気を通過させる磁界の磁束密度は、実験によれば、0.8〜0.9Tが適正であることがわかった。磁束密度がこれよりも小さいと燃焼用空気が充分に励起されず、処理効率が低下するとともにダイオキシンの発生量が増加する。磁束密度が0.9Tよりも大きくても燃焼用空気の励起による処理効率向上とダイオキシン発生量低下の効果は変わらないので、経済効率の点から0.9Tが上限である。
【0017】
また、このような条件下で処理しても、排ガスの異臭と排ガス中の多量の煤による黒煙の発生は免れることはできない。そのため、一旦処理室を出た排ガスは、水プール上を循環する煙道を通過せしめたのち、排出前に加熱して排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させるいわゆる「消煙」処理を施すことによって、排ガスはほぼ完全に無害化することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を示す添付図によって本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1〜4は本発明の廃棄物の乾留炭化処理装置を示し、図1はその正面図、図2は背面図、図3は右側面図、図4は平面図である。各図では、装置内部の構成を示すために一部透視した状態で示している。
【0020】
図1〜図3に示すように、本発明の乾留炭化処理装置の処理室1には、その下面に粒状の乾留炭化物を堆積させており、この乾留炭化物層2の上に投入口3の蓋を開けて廃棄物を投入し、バッチ式で乾留炭化処理を行うようになっている。乾留炭化物層2は、初期状態で処理室1の20%程度の高さまで(実施例では約200mm)形成している。
【0021】
本実施例における処理室1の処理容積は1mであり、その前後左右の各側面には1台のブロワ4からの燃焼用空気を乾留炭化物層2内又はその上の処理廃棄物層内に強制導入するための空気導入口5が合計4箇所に設けられてれいる。なお、処理室1の処理容積が大きく多量の燃焼用空気を導入する場合は、ブロワを2台設けても良いし、空気導入口を4箇所以上としても良い。
【0022】
また、処理室1の正面側には点検口6が設けられ、背面側には、廃棄物の乾留炭化処理によって新たに生成した乾留炭化物を取り出すための乾留炭化物取出口7が設けられている。取り出された粒状の乾留炭化物は、消臭剤加工材、透水性ブロック床材、陶器類混合材等としてリサイクルされる。なお、乾留炭化処理開始の際には、乾留炭化物層2上の木炭等の適当な火種に着火して、その上から廃棄物を投入する。
【0023】
図5は、燃焼用空気の導入経路の模式図である。ブロア4からの燃焼用空気は一旦エアタンク8に貯められ、そこから4箇所の空気導入口4に分岐して導入されるようになっている。各空気導入口5への空気配管9にはそれを取り囲むようにリング状の磁石手段10が設けられており、この磁石手段10によって磁束密度が0.8〜0.9Tの磁界を空気配管内に発生させ、空気配管内を通過する燃焼用空気を前記の磁界によって励起させるようにしている。この磁石手段10は、永久磁石、電磁石等によって構成することができる。
【0024】
各空気導入口5からは、処理室1の乾留炭化物層2の上方空間での処理温度が90〜120℃となるように、1箇所当たり15〜20L/min、合計で60〜80L/minの燃焼用空気が強制導入される。適正な燃焼用空気の導入量は、処理室1の処理容積や形状によって変化するが、その処理室に応じた適正な燃焼用空気の導入量、すなわち処理温度が90〜120℃となる量は実験的に求めることができる。
【0025】
図6は、本発明の乾留炭化処理装置における処理過程のメカニズムを示す概念図である。同図に示すように、投入口3から投入された廃棄物は、処理室1内で層状に積み重ねられて処理される。積み重ねられた廃棄物は、処理室1内でまず乾留され、炭化される。この炭化された廃棄物が、磁界によって励起された燃焼用空気の導入によって高温となっている乾留炭化物層2と接触することで、燃焼せずに炭化されて微粒子化される乾留炭化処理が連続的に進行する。
【0026】
処理室1内での乾留炭化処理によって発生した排ガスは、図4に示すように、処理室1上部の排ガス排出口11から煙道12を経由して消煙装置13に導かれ、消煙処理を施された後に、大気中に排出される。
【0027】
煙道12の下部には水プール14が設けられ、さらに煙道12における排ガスの通過経路には複数の仕切板12aが設けられている。これによって、処理室1からの排ガスは、煙道12内において図4に一点鎖線で示すように水プール14上を循環するように通過し、消煙装置13に導かれる。この際、排ガス中の煤やガス成分の一部は水プールによってトラップされ、後工程の消煙処理の負荷を軽減できる。また、前記複数の仕切板12aは排ガスの流れを妨げる抵抗となるので、処理室1からの排ガスの排出が抑制され、これによって効率的に乾留炭化処理を行うことができる。
【0028】
消煙装置13は、その内部に複数の黒鉛ヒーターからなる加熱装置13aを備えており、この加熱装置13aによって排ガスを800〜1200℃に加熱して排ガス中の異臭発生源と煤を燃焼させる。これによって、排ガスはほぼ完全に無害化・無色化される。
【0029】
表1には消煙装置13から排出された排ガス中のダイオキシン類の測定結果を、表2には処理室1内で生成した乾留炭化物(処理残さ)中のダイオキシン類の測定結果を示す。排ガス中の2,3,7,8−TCDD毒性等量は1.1(ng−TEQ/mN)、処理残さ中の2,3,7,8−TCDD毒性等量は0.0035(ng−TEQ/mN)であり、何れも規制値(排ガス中:5以下、処理残さ中:3以下)を充分に満足するものであった。
【0030】
【表1】


【表2】


【0031】
【発明の効果】
本発明によって、以下の効果を奏する。
【0032】
1.家庭、事業所で発生する種々の廃棄物をダイオキシンの発生なく、効率良く処理できる。
【0033】
2.励起した燃焼用空気の強制導入によって低い処理温度(90〜120℃)での処理が可能であり、処理室外壁が高温にならないので、火傷等の事故を防止できる。
【0034】
3.廃棄物の処理残さは粒状乾留炭化物として種々の用途に利用できる。
【0035】
4.処理廃棄物中に鋼線を含むゴムタイヤがあっても、鋼線は処理室に堆積した乾留炭化物層中で溶融し、鋼線を再処理する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物の乾留炭化処理装置の正面図である。
【図2】本発明の廃棄物の乾留炭化処理装置の背面図である。
【図3】本発明の廃棄物の乾留炭化処理装置の右側面図である。
【図4】本発明の廃棄物の乾留炭化処理装置の左側面図である。
【図5】燃焼用空気の導入経路の模式図である。
【図6】本発明の乾留炭化処理装置における処理過程のメカニズムを示す概念図である。
【符号の説明】
1 処理室
2 乾留炭化物層
3 投入口
4 ブロワ
5 空気導入口
6 点検口
7 乾留炭化物取出口
8 エアタンク
9 空気配管
10 磁石手段
11 排ガス排出口
12 煙道
12a 仕切板
13 消煙装置
13a 加熱装置
14 水プール
【出願人】 【識別番号】503244321
【氏名又は名称】大島 義光
【識別番号】503244343
【氏名又は名称】田中 広明
【識別番号】503244354
【氏名又は名称】前川 周嗣
【出願日】 平成15年7月7日(2003.7.7)
【代理人】 【識別番号】100082164
【弁理士】
【氏名又は名称】小堀 益

【識別番号】100105577
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 隆人

【公開番号】 特開2005−29600(P2005−29600A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−193120(P2003−193120)