トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 炭化装置
【発明者】 【氏名】金子 豊寿
【住所又は居所】富山県富山市秋吉208番地 株式会社カネコ内

【要約】 【課題】容易に乾留ガスを燃焼させることができ、装置のメンテナンスも簡単であり、エネルギー効率が良く、省エネルギー化を図ることができる炭化装置を提供する。

【解決手段】保温性のある耐熱性材料により形成された炭化炉12と、炭化炉12内に設けられ耐熱性材料で囲まれた炭化室20と、炭化室20の近傍に設けられた燃焼室22を有する。炭化室20で発生した乾留ガスを燃焼室22へ導く乾留ガス取出配管38と、乾留ガス取出配管38から燃焼室22内へ流出する乾留ガスを燃焼させる乾留ガス燃焼装置40とを備える。炭化室20は、炭化炉12内の構造部材に対して、摺動可能に載置され、乾留ガス取出配管38は、途中に耐熱性のフレキシブル部42を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性材料を炭化処理するための炭化装置において、保温性のある耐熱性材料により形成された炭化炉と、この炭化炉内に設けられ耐熱性材料で囲まれた炭化室と、上記炭化室の近傍に設けられた燃焼室と、上記炭化室で発生した乾留ガスを上記燃焼室へ導く乾留ガス取出配管と、上記乾留ガス取出配管から上記燃焼室内へ流出する乾留ガスを燃焼させる燃焼部とを備えたことを特徴とする炭化装置。
【請求項2】
上記炭化室は、上記炭化炉内の構造部材に対して、摺動可能に載置されていることを特徴とする請求項1記載の炭化装置。
【請求項3】
上記乾留ガス取出配管は、途中に耐熱性のフレキシブル部を備えることを特徴とする請求項1記載の炭化装置。
【請求項4】
上記炭化炉及び炭化室の開口を開閉する扉は、上記開口周縁部に対して弾力性のある耐熱性気密材を介して、上記開口を閉鎖することを特徴とする請求項1記載の炭化装置。
【請求項5】
上記炭化装置は、複数の炭化炉が互いに遮断可能に連通した連通路が設けられ、一方の炭化炉内の熱を他方の炭化炉内へ移行可能に構成したことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の炭化装置。
【請求項6】
上記複数の炭化炉は、炭化炉上部同士及び下部同士が接続され、上記連通路により自然に対流が生じて、一方の炭化炉内の熱風が他方の炭化炉内へ移行することを特徴とする請求項5記載の炭化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機性材料を加熱して炭化し、炭を得ることができる炭化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平8−278017号公報
【特許文献2】特開平6−145668号公報
従来、可燃性有機物の処理装置として、特許文献1、2に開示されている乾留炭化装置があった。この乾留炭化装置は、可燃性有機物を乾燥させて乾留し炭化した炭として取り出すもので、乾留時に発生する乾留ガスを燃焼させてエネルギー源としても利用しているものである。
【0003】
この乾留炭化装置は、炭化処理の途中で発生する可燃性ガスである乾留ガスを燃焼手段に導入して、燃料の一部もしくは全部が乾留ガスに代えられ、燃焼手段での燃焼が行われる。これにより、炭化処理のための熱エネルギーとしての燃料の節約を図るものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の場合、乾留ガスを燃焼手段に導く配管内にタール成分が付着し、使用期間の経過に従い配管が詰まってしまうものであった。またタール成分は常温では硬く配管内にこびりつき、容易に除去できないものであり、乾留ガスを長期に渡って効果的に燃焼手段に導くことができないと言う問題があった。
【0005】
この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、容易に乾留ガスを燃焼させることができ、装置のメンテナンスも簡単であり、エネルギー効率が良く、省エネルギー化を図ることができる炭化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、木材や合成樹脂、食品等の有機性材料を炭化処理するための炭化装置であって、保温性のある耐熱性材料により形成された炭化炉と、この炭化炉内に設けられ耐熱性材料で囲まれた炭化室と、上記炭化室の近傍に設けられた燃焼室と、上記炭化室で発生した乾留ガスを上記燃焼室へ導く乾留ガス取出配管と、上記乾留ガス取出配管から上記燃焼室内へ流出する乾留ガスを燃焼させる燃焼部とを備えた炭化装置である。
【0007】
上記炭化室は、上記炭化炉内の載置基台等の構造部材に対して、摺動可能に載置されている。上記乾留ガス取出配管は、途中に耐熱性のフレキシブル部を備える。上記炭化炉及び炭化室の開口を開閉する扉は、上記開口周縁部に対して、石綿等の弾力性のある耐熱性気密材を介して、上記開口を閉鎖するものである。
【0008】
また、上記炭化装置は、複数の炭化炉が互いに遮断可能に連通した連通路が設けられ、一方の炭化炉内の熱を他方の炭化炉内へ移行可能に構成したものである。上記複数の炭化炉は、炭化炉上部同士及び下部同士が接続され、上記連通路により自然に対流が生じて、一方の炭化炉内の熱風が他方の炭化炉内へ移行するように構成されている。
【0009】
この発明の炭化装置は、炭化処理の途中で生する乾留ガスを回収する乾留ガス取出配管を高温となる炭化炉内に配置し、乾留ガス中のタール分の付着を無くしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3は、この発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の炭化装置10は、建築廃材等の可燃性の有機性材料を炭化処理するための炭化炉12から成る。炭化炉12は、矩形の耐熱性の金属筐体14で形成され、金属筐体14には可燃性有機物を出し入れする扉16が設けられている。金属筐体14の内側壁面には、図1に示すように、耐熱性があり保温効果を有する煉瓦18が均一の厚みに取り付けられている。そして、金属筐体14の内側には、扉16に連通し扉16を閉じると密閉される炭化室20が設けられ、金属筐体14の底部には、その周囲を煉瓦18で覆われた燃焼室22が設けられている。
【0011】
燃焼室22の一壁面には、燃焼室22内で燃焼し炭化炉12内を加熱するオイルバーナ24が設けられている。燃焼室22の、オイルバーナ24と反対側の端部付近には、ほぼ垂直に立設された煙突26が設けられている。煙突26の途中には、金属筐体14の上面に接続されている上部排気筒28が合流して設けられ、その合流点の近傍の煙突26内には、炭化炉12内の温度調節のためのダンパー30が設けられている。そしてダンパー30は、煙突26の合流点の近傍に設けられた図示しないダンパーコントロールモータにより駆動され、図示しない制御装置により、炭化炉12内の温度が一定に保たれるよう自動制御される。
【0012】
煙突26には、手動のダンパーも設けられ、炭化室20の天井部分には、炭化室内の温度を検知し、その温度を一定に制御するための温度センサ36が設けられている。なお、煙突26や上部排気筒28の先端部には、塵埃や有害物質を回収するフィルタを取り付けると、より有害物質が排出されず好ましい。
【0013】
炭化室20の一側面の天井近傍には、炭化時の乾留ガス取出手段である乾留ガス取出配管38が接続されている。乾留ガス取出配管38は、金属筐体14の炭化炉12内で炭化室20に沿って配置され、下方に引き下ろされ、金属筐体14下部の燃焼室22のオイルバーナ24近傍に位置し、乾留ガスの燃焼部である乾留ガス燃焼装置40に接続されている。乾留ガス燃焼装置40の先端は、燃焼室22内へ挿入され、その近傍には乾留ガスを燃焼させるために空気を導入するファンが設けられ、乾留ガスの燃焼により燃焼室22を加熱することができる。また、乾留ガス取出配管38は、途中に耐熱性金属による蛇腹等のフレキシブル部42を備える。
【0014】
さらに、炭化室20は、炭化炉12内の燃焼室22上に位置した載置基台50上に載せられ、固定されず、熱による膨張や歪みに対して、炭化室20と金属筐体14との連結を無くして、互いにわずかに変形可能とし、熱歪みによる力が掛からないようにしている。
【0015】
また、扉16は炭化室20及び金属筐体14の開口部に対して、石綿等の耐熱性気密材32を介して開口部を閉鎖可能に設けられている。耐熱性気密材32は、熱歪みにより金属筐体14や炭化室16の開口部と扉16との間に隙間ができても、その隙間を塞いで気密状態を維持する。
【0016】
この炭化装置10には、隣接する他の炭化炉52と、互いに遮断可能に連通した連通路51,53が設けられ、一方の炭化炉12内の熱を他方の炭化炉50内へ送り込むことが可能に構成されている。連通路51,53には、シャッタが設けられ、必要なときに隣接する炭化炉12,52に熱風を送ることができる。
【0017】
次にこの炭化装置10の使用方法について説明する。炭化処理物としては、木や樹枝等の有機物である建築廃材、鋸屑、竹、小枝、籾殻、糞尿、雑草、芝、生ゴミ、廃プラスチック材、食品工場の廃棄物や、魚、野菜、食肉その他各種市場からの廃棄物等、有機性の材料であれば何でも良い。
【0018】
先ず、廃棄物である可燃性有機物を乾燥し、水分を除去する。この後、乾燥工程を経た可燃性有機物を、炭化炉12の炭化室20に移動し、オイルバーナ24で燃焼室22を所定温度、例えば880〜1100℃に加温する。このとき炭化室20内は約400℃になり、可燃性有機物の炭化が行われる。また、図示しないファンにより、炭化室20内の温度が高温になりすぎないように自動的に調節されている。そして、炭化工程で発生する可燃ガスである乾留ガスは、炭化室20の上部から乾留ガス取出配管38を経て燃焼室22に導かれる。そして乾留ガスは、乾留ガス燃焼装置40に導入され、ファンにより空気が供給されて燃焼が行われる。従って、乾留ガス燃焼装置40の供給熱量に対応する分だけオイルバーナ24の熱量供給量を低減することができる。乾留ガスは、燃焼室内の温度により自然発火し燃焼する。
【0019】
炭化炉12で炭化した処理物は、多孔質の炭であり、調湿材、土壌改良材、浄化剤、脱臭剤、燃料、融雪剤、肥料等に利用することができる。特に比較的大きな炭は、そのまま住宅の床下や天井裏、壁の裏側に配置して調湿材として機能する。また、細かい片の炭は通気性の袋に入れて上記と同様に使用する。
【0020】
また、粉状の細かい炭も通気性の袋に入れて同様に使用することができるとともに、家畜の宿舎に鋸屑等とともに敷いて消臭殺菌効果を得ることもできる。また、この家畜の宿舎に敷いた鋸屑等は再び乾燥及び炭化して上記のように粉の炭として同様に利用することができる。これにより、家畜の宿舎の臭いが除去され、殺菌効果もあり、家畜の肥育性が良くなる。
【0021】
この炭化装置10は、炭化炉12による炭化が終了後、扉16を開いて中の炭を取り出し、その後、炭化炉12の熱エネルギーを隣の炭化炉52に移すことができる。その際、炭を取り出した後扉16を閉じ、連通路52,53の遮蔽板を開き、炭化炉12,52の上部同士及び下部同士を連通させる。すると、連通路51,53により炭化炉12,52間で、自然に対流が生じて、一方の炭化炉12内の熱風が他方の炭化炉50内へ移行する。これにより使用後の炭化炉12は徐々に冷却され、これから使用する炭化炉52は徐々に暖められる。炭化炉52はその後、オイルバーナ24によりさらに加熱し、乾留ガスが出始めると、乾留ガス燃焼装置40により乾留ガスによる炭化処理が、上記と同様に行われる。
【0022】
なお、この炭化炉12の炭化室20は密閉され、空気が入らない状態で炭化工程を行うため、可燃性有機物として廃プラスチックを炭化してもダイオキシンの一次的生成は行われない。さらに燃焼室22では、この可燃ガスを800℃以上、滞留時間2.5〜3.5秒で、完全燃焼させるため、ダイオキシン前駆物質であるクロロベンゼンやクロロフェノールを分解し、無害な炭酸ガスと水にすることで、ダイオキシンの生成を抑制する。さらに、廃プラスチック材を乾留方式で熱分解するため、煤塵の排ガス中に重金属の触媒が存在せず、デノボ合成することがなく、ダイオキシンの二次的生成を防ぐことができる。従って、煙突26に集塵機等の除塵装置を取り付けなくても有害物質の発生がない。なお、塩素を多く含む塩化ビニール等が多く含まれた廃プラスチック材の場合、ダイオキシンが生成する恐れがあるが、乾留ガスの燃焼温度を高くすることにより発生を防ぐことができる。
【0023】
この発明の実施形態の炭化装置10によれば、炭化炉で可燃性有機物の炭化工程を行うと同時に、可燃性有機物の炭化工程で発生する多量の可燃ガスを燃焼室22に導入して完全燃焼させ、本来の燃料の一部もしくは全部を乾留ガスに代えて燃焼室22を加熱温するため、炭化処理のために必要な熱エネルギー源としての燃料の消費量を大幅に抑えることができる。さらに、乾留ガス取出配管38を炭化炉12内に配置したので、乾留ガス取出配管38は常時炭化炉12内と同じ温度でタール分は気化した状態となっており、配管内にタールが固まってこびりつくことがない。また、排ガスを無煙無臭化することができ、大気汚染発生の防止を図ることができる。
【0024】
さらに、炭化室20と金属筐体14とは、互いに連結固定されておらず、炭化室20の熱による歪みが自由に可能な状態とし、自身の熱歪みによる損傷を防止している。またこのため、乾留ガス取出配管38にフレキシブル部42を設け、炭化室20の歪みの影響を乾留ガス取出配管38が受けないようにしている。
【0025】
さらに、炭化処理が終了した炭化炉12からの熱を他の炭化炉52に導いて、熱源としているので、よりエネルギー効率を良いものとすることができる。また、扉16は炭化室20及び金属筐体14の開口部に対して弾力性のある耐熱性気密材32を介して開口部を閉鎖するので、熱により炭化室20または金属筐体14が歪んでも、炭化処理中に扉16との間に隙間が生ぜず、タール分や木酢液が扉16の隙間から流れ出ることがない。
【0026】
なお、この発明の炭化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、この炭化装置を、金属筐体ともトラックに載せて移動可能な装置としても良い。これにより、任意の場所で炭化処理を行うことができる。また、例えば炭化に際して乾留ガス取出配管を分岐して木酢液を回収しても良い。木酢液は、防蟻効果、防腐効果を有するため、木酢液が木材に浸透することにより、防蟻処理と防腐処理が同時に行われる。また、廃熱導入管の形状や位置は、適宜設定可能なものであり、煙突から分岐するほか、炭化炉同士を直接配管で結んでも良い。
【0027】
【発明の効果】
この発明の炭化装置は、乾留ガス取出配管を炭化炉内に配置したので、乾留ガス取出配管内にタール分が付着せず、メンテナンスが不要となる。また、炭化室を固定してないことにより、互いに熱歪みによる影響を受けず、部材の破損やひび割れ等が無く、耐久性が高いものとなる。また、隣接する炭化炉同士を接続し、炭化終了後の熱を新たに炭化処理を行う炭化炉の熱源とすることにより、有効に熱エネルギーを利用することができ、よりエネルギー効率の良い炭化処理を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の炭化装置の断面図である。
【図2】この実施形態の炭化装置の正面図である。
【図3】この実施形態の炭化炉に他の炭化炉を接続した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 炭化装置
12,52 炭化炉
14 金属筐体
16 扉
18 煉瓦
20 炭化室
22 燃焼室
24 オイルバーナ
26 煙突
28 上部排気筒
32 耐熱性気密材
38 乾留ガス取出配管
40 乾留ガス燃焼装置
50 載置基台
51,53 連通路
【出願人】 【識別番号】395014541
【氏名又は名称】株式会社カネコ
【住所又は居所】富山県富山市秋吉208番地
【出願日】 平成15年6月30日(2003.6.30)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲

【公開番号】 特開2005−23131(P2005−23131A)
【公開日】 平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願番号】 特願2003−187360(P2003−187360)