トップ :: C 化学 冶金 :: C10 石油,ガスまたはコ−クス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭

【発明の名称】 コークスの製造方法
【発明者】 【氏名】高橋 良典
【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内

【氏名】有馬 孝
【住所又は居所】千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技術開発本部内

【氏名】野村 誠治
【住所又は居所】千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技術開発本部内

【氏名】田中 繁三
【住所又は居所】大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式会社大分製鐵所内

【要約】 【課題】乾留時の配合炭の膨脹圧を抑制してコークスの押出負荷を管理上限値内に維持しながらコークス強度の低下を防止することが可能なコークスの製造方法を提供する。

【解決手段】乾留時に高膨張圧を示す高膨張圧炭、強粘結炭、粘結炭、及び非微粘結炭を配合した配合炭をコークス炉16の各炭化室に装入して乾留し、得られたコークスを押出機17で各炭化室から押出すコークスの製造方法において、押出機17でコークスを各炭化室から押し出す際の押出機17の押出負荷を検出し、押出負荷に応じて各炭化室に装入する高膨張圧炭の粒度調整を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾留時に高膨張圧を示す高膨張圧炭、強粘結炭、粘結炭、及び非微粘結炭を配合した配合炭をコークス炉の各炭化室に装入して乾留し、得られたコークスを押出機で該各炭化室から押出すコークスの製造方法において、
前記押出機で前記コークスを前記各炭化室から押し出す際の該押出機の押出負荷を検出し、該押出負荷に応じて前記各炭化室に装入する前記高膨張圧炭の粒度調整を行うことを特徴とするコークスの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のコークスの製造方法において、前記粒度調整では、前記押出負荷が予め設定した管理上限値を超えている場合に前記高膨張圧炭の平均粒径を小さくすることを特徴とするコークスの製造方法。
【請求項3】
請求項2記載のコークスの製造方法において、小さくした前記高膨張圧炭の平均粒径は0.5mm以上で0.8mm以下の範囲に設定することを特徴とするコークスの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコークスの製造方法において、前記高膨張圧炭は前記配合炭中に10重量%以上で20重量%以下の割合で配合されていることを特徴とするコークスの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のコークスの製造方法において、前記押出負荷は、前記各炭化室から前記コークスを押し出す際の前記押出機に設けられた押出用電動機の負荷電流の平均値であることを特徴とするコークスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾留時の配合炭の膨脹圧を調整してコークスの押出負荷を管理上限値内に維持するコークスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉の炭化室に配合炭を装入して乾留を開始すると、温度の上昇と共に石炭は徐々に軟化してくる。また、石炭の温度が、例えば、350〜400℃になると石炭中からガスが発生し始めるが、石炭が軟化しているため発生したガスの流出は抑制される。このため、石炭中には発生したガスが蓄積されてガス圧が増加し、このガス圧の増加に伴って石炭は膨張し始める。
そして、更に温度が上昇して乾留が進行すると、膨張した石炭は収縮を始めると共に、徐々に固化してコークスとなる。
【0003】
このとき、配合炭の膨張圧が高いと、コークス炉の炉壁に大きな膨張圧が作用して炉壁の損傷が発生し、コークス炉が操業不能の事態となる。
また、配合炭の膨張圧が高いと配合炭としての収縮量(水平焼き減りともいう)が減少して、形成したコークスとコークス炉の炉壁との間の隙間が狭くなり、コークスを押し出す際の押出負荷が増大して炉壁の損傷が加速する。そして、この収縮量が少な過ぎると、コークスの押し出しが不可能になるという事態が発生する。
【0004】
近年、調湿炭装入法等の石炭事前処理技術の普及により、配合炭としての膨脹圧は上昇する傾向にある。また、コークス炉は長期の稼動年数を経て炉壁の損傷が進行しており、配合炭としての膨脹圧を許容限界以下に管理することはコークス炉の寿命延長及び安定操業を図る上で重要な課題になっている。
一方、石炭の膨脹圧は炭種により大幅に異なり、一部の低揮発分強粘結炭は非常に高い膨脹圧を示すことが知られている。従って、配合炭としての膨脹圧を抑制する方法として、配合炭を構成する際に、高い膨脹圧を示す高膨張圧炭の配合割合を制限することが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−212164号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高膨張圧炭はコークスが形成される際にコークスの強度を発現させる結合剤としての作用を有しているため、高膨張圧炭の配合割合を制限し過ぎるとコークス強度が低下し、高炉でコークスを使用する際に問題を生じる。従って、コークス強度の低下を防止する観点からは、高膨張圧炭を一定量以上配合する配合炭を調製する必要がある。
このため、配合炭としての膨脹圧を抑制するための高膨張圧炭の使用制限と、コークス強度の低下を防止するための高膨張圧炭の使用促進が両立されるように高膨張圧炭の配合割合を決定する必要がある。従って、配合炭の配合割合を決定することは非常に困難な作業になっていた。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、乾留時の配合炭の膨脹圧を抑制してコークスの押出負荷を管理上限値内に維持しながらコークス強度の低下を防止することが可能なコークスの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係るコークスの製造方法は、乾留時に高膨張圧を示す高膨張圧炭、強粘結炭、粘結炭、及び非微粘結炭を配合した配合炭をコークス炉の各炭化室に装入して乾留し、得られたコークスを押出機で該各炭化室から押出すコークスの製造方法において、
前記押出機で前記コークスを前記各炭化室から押し出す際の該押出機の押出負荷を検出し、該押出負荷に応じて前記各炭化室に装入する前記高膨張圧炭の粒度調整を行う。
【0009】
石炭を加熱すると温度の上昇と共に石炭は軟化を始める。一方、石炭の温度が350〜400℃になると石炭中からはガスが発生する。
ここで、高膨張圧炭では軟化する際の粘度が非常に高いという特性を有しているため、発生したガスは外部に流出することが困難になる。このため、高膨張圧炭では発生したガスが石炭中に残留し易くなるため、乾留時に20kPa以上の膨脹圧が容易に発生することになる。
【0010】
そこで、高膨張圧炭の粒度調整を行って高膨張圧炭の粒径を小さくすると、石炭の内部で発生したガスが石炭粒子の表面にまで到達する際に移動しなければならない距離は短くなる。従って、石炭の内部で発生したガスは容易に外部に流出することができ、乾留中必要以上に膨張圧が増加するのを抑制することができる。
そして、高膨張圧炭が必要以上の大きな膨張圧を示さないことから、配合炭を構成した際に、高膨張圧炭が周囲に存在する石炭を押すときの力が小さくなって、配合炭としての膨張圧が低下する。
【0011】
また、押出機の押出負荷は炭化室の炉壁の状態(例えば、炉壁表面の凹凸の程度、炉壁表面へのコークス付着の程度)で大きく変化する。このため、押出機で生成したコークスを各炭化室から押出す際の押出負荷に応じて、各炭化室に装入する配合炭中の高膨張圧炭の粒度調整を行うことにより、配合炭の膨張圧を制御することができる。
その結果、配合炭の収縮量を大きくすることができ、コークスと炉壁との間に生成する隙間の厚さを所定量確保することができる。このため、装入した配合炭から生成したコークスを各炭化室から押し出す際の押出負荷が、上昇しないようにすることができる。
【0012】
本発明に係るコークスの製造方法において、前記粒度調整では、前記押出負荷が予め設定した管理上限値を超えている場合に前記高膨張圧炭の平均粒径を小さくすることが好ましい。
【0013】
配合炭としての膨張圧は、配合炭中に配合される高い膨張圧を示す高膨張圧炭の割合で決まる。また、乾留時に高い膨張圧を示すかどうかは、高膨張圧炭の粒径により決定される。このため、高膨張圧炭の粒径分布を規定することにより、配合炭としての膨張圧を制御することができる。
ここで、高膨張圧炭の粒度調整は、例えば、粉砕機の粉砕能力を調整することにより行う。
【0014】
そして、押出負荷が予め設定した管理上限値を超えている場合は、高膨張圧炭の平均粒径を低下させることにより、粒径の小さい高膨張圧炭の割合を多くして発生したガスを抜け易くすることができ、配合炭としての膨張圧を低下させることができる。その結果、配合炭の膨張圧が管理上限値を超えないようにしてコークスを製造することができる。
なお、管理上限値は、押出機の押出電動機がトリップして押出機の押出ラムが停止するときの押出負荷を指す。
【0015】
本発明に係るコークスの製造方法において、低下させた前記高膨張圧炭の平均粒径は0.5mm以上で0.8mm以下に設定することが好ましい。
高膨張圧炭の平均粒径を0.5mm未満とすると、微粉になり過ぎて装入嵩密度が低くなって生産性が低下すると共に、粉砕時のランニングコストが上昇し好ましくない。
一方、高膨張圧炭の平均粒径が0.8mmを超えると、高膨張圧炭の中で大きな膨張圧を示す高膨張圧炭の割合が多くなって、高膨張圧炭は平均粒径に依存せず、常に高い膨張圧を示すようになる。
このため、高膨張圧炭の平均粒径を0.5mm以上で0.8mm以下とした。
【0016】
本発明に係るコークスの製造方法において、前記高膨張圧炭は前記配合炭中に10重量%以上で20重量%以下の割合で配合することが好ましい。
高膨張圧炭の配合量が10重量%未満では、高膨張圧炭の配合量が少な過ぎて、コークスの強度が低くなって好ましくない。
一方、高膨張圧炭の配合量が20重量%を超えると、配合炭中での高膨張圧炭の割合が多くなって、コストが高くなる。
このため、高膨張圧炭の配合量を10〜20重量%とすることにより、高膨張圧炭の平均粒径の調整で配合炭としての膨張圧を制御することができるようにした。
【0017】
本発明に係るコークスの製造方法において、前記押出負荷は、前記各炭化室から前記コークスを押し出す際の前記押出機に設けられた押出用電動機の負荷電流の平均値とすることができる。
押出負荷は押出ラムを駆動する押出用電動機の負荷電流を指す。
ここで、負荷電流は、押出し開始から終了までの平均電流値でも、炭化室内の赤熱コークスが移動を開始する時点でのピーク値以降から押出しが完了するまでの平均電流値でもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るコークスの製造方法を適用した石炭供給設備の説明図、図2は高膨張圧炭の平均粒径と最大膨張圧の関係を示す説明図、図3は高膨張圧炭の配合割合を変化させたときの高膨張圧炭の平均粒径と押出負荷の関係を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るコークスの製造方法を適用した石炭供給設備10は、乾留時の膨張圧として発生したガス圧が20kPa以上になる高膨張圧炭(例えば、K−9(ロシア炭)、サラジ(オーストラリア炭)があり、揮発分は15重量%以下が好ましい)を貯蔵する高膨張圧炭ホッパー11と、乾留時の膨張圧として発生したガス圧が20kPa未満になる各種の石炭(すなわち、強粘結炭、粘結炭及び非微粘結炭)を貯蔵するその他石炭ホッパー12と、高膨張圧炭ホッパー11から排出された高膨張圧炭を粉砕する粉砕機13を有している。
また、石炭供給設備10は、粉砕機13で粉砕された高膨張圧炭、及びその他石炭ホッパー12から排出され粉砕機22aで粉砕された各種の石炭を貯蔵する配合炭貯蔵ホッパー15を有している。
更に、石炭供給設備10は、配合炭貯蔵ホッパー15から排出された配合炭をコークス炉16に装入しコークスに転換した後に押出機17で押し出す際の押出機17の押出負荷を検出する管理用コンピュータ18を有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0020】
高膨張圧炭ホッパー11は、石炭乾燥装置19で水分の含有率を低下させた高膨張圧炭を収納する高膨張圧炭ホッパー本体20と、管理用コンピュータ18からの指令に基づいて高膨張圧炭ホッパー本体20から高膨張圧炭を所定量切り出しする切出装置21を有している。
また、その他石炭ホッパー12は、石炭乾燥装置19で水分の含有率を低下させた各種の石炭を収納するその他石炭ホッパー本体22と、管理用コンピュータ18からの指令に基づいてその他石炭ホッパー本体22から各種の石炭を所定量切り出しする切出装置23を有している。
なお、高膨張圧炭ホッパー11の数と、その他石炭ホッパー12の数は、それぞれ使用する高膨張圧炭及び各種の石炭の各銘柄数だけ設ける必要がある。
【0021】
粉砕機13は、高膨張圧炭ホッパー11から排出された高膨張圧炭を管理用コンピュータ18からの指令に基づいて所定時間粉砕して、平均粒径を例えば、0.5〜0.8mmの範囲に入るように調整する機能を備えている。ここで、粉砕機13としては、例えば、ハンマークラッシャー、インぺラークラッシャーを使用することができる。粉砕機22aは、その他石炭ホッパー12から排出された各種の石炭を管理用コンピュータ18からの指令に基づいて所定時間粉砕する。
配合炭貯蔵ホッパー15は、粉砕された高膨張圧炭及び各種の石炭を混合し配合炭にしてコークス炉16に装入するまでの間貯蔵するもので、配合炭を収納する配合炭貯蔵ホッパー本体24と、管理用コンピュータ18からの指令に基づいて配合炭貯蔵ホッパー本体24から配合炭を所定量切り出しする切出装置25を有している。
【0022】
管理用コンピュータ18は、高膨張圧炭ホッパー11、その他石炭ホッパー12に貯蔵する各石炭の水分の含有率が予め設定された値になるように石炭乾燥装置19の運転指令を出力する機能、高膨張圧炭及び各種の石炭が予め設定された配合割合になるように両ホッパー11、12に設けられた各切出装置21、23に対して運転指令をそれぞれ出力する機能、各粉砕機13、22aに対して運転指令をそれぞれ出力する機能を有している。
また、管理用コンピュータ18は、配合炭を必要量だけ配合炭貯蔵ホッパー本体24から排出されるように切出装置25の運転指令をそれぞれ出力する機能を有している。
更に、管理用コンピュータ18は、コークス炉16の各炭化室に配合炭を装入する装入装置26の運転指令、コークス炉16で生成したコークスを取り出す押出機17の運転指令をそれぞれ出力する機能、及び各炭化室からコークスを押出機17で押し出す際に押出機17に設けられた押出用電動機の負荷電流を押出負荷としてそれぞれ検出する機能、検出した各押出負荷の平均値を求め平均値に応じて粉砕機13の運転指令を演算して出力する機能を有している。
【0023】
このような構成とすることにより、高膨張圧炭と各種の石炭を所定量配合して配合炭を構成することができ、この配合炭をコークス炉16の各炭化室に装入して乾留し、得られたコークスを押出機17で各炭化室から取り出すことができる。
そして、押出機17でコークスを各炭化室から押し出す際の押出機17の押出負荷を管理用コンピュータ18で検出し、検出した押出負荷に応じて装入する配合炭中に配合する高膨張圧炭の平均粒径の調整を行うことができる。
なお、管理用コンピュータ18は、上記の各機能を発現するプログラムを、コンピュータに搭載することにより構成することができる。
【0024】
次に、本発明の一実施の形態に係るコークスの製造方法について詳細に説明する。
先ず、乾留時に膨張圧として20kPa以上のガス圧を発生する高膨張圧炭と、乾留時に膨張圧として20kPa未満のガス圧を発生する各種の石炭を、それぞれ水分の含有率が、例えば6重量%以下になるように、管理用コンピュータ18からの運転指令に基づいて稼動している石炭乾燥装置19に投入して乾燥させる。
そして、乾燥した高膨張圧炭と各種の石炭を、それぞれ高膨張圧炭ホッパー11、その他石炭ホッパー12に貯蔵する。
【0025】
次いで、例えば、高膨張圧炭が10〜20重量%、各種の石炭が90〜80重量%になるように管理用コンピュータ18からの運転指令に基づいて各切出装置21、23を運転して、両ホッパー11、12から高膨張圧炭及び各種の石炭をそれぞれ排出する。
【0026】
なお、複数銘柄の高膨張圧炭を組み合わせて使用する場合は、予め設定された構成割合になるように各高膨張圧炭ホッパー11からそれぞれ高膨張圧炭を排出して、使用量が10〜20重量%になるようにする。
同様に、複数銘柄の各種の石炭を組み合わせて使用する場合も、予め設定された構成割合になるように各その他石炭ホッパー12からそれぞれ各種の石炭を排出して、各種の石炭としての全体の使用量が90〜80重量%になるようにする。
【0027】
また、両ホッパー11、12からの各石炭の排出量を管理用コンピュータ18で管理するようにすると、両ホッパー11、12における各石炭の貯蔵量が予め設定された下限値以下になると、両ホッパー11、12への各種の石炭の供給が行われるようにすることができる。
これによって、高膨張圧炭ホッパー11及びその他石炭ホッパー12内に、常に必要量の各石炭を貯蔵しておくことができる。
【0028】
その他石炭ホッパー12から排出された各種の石炭を管理用コンピュータ18の運転指令に基づいて粉砕機22aで粉砕して配合炭貯蔵ホッパー15に供給する。
また、高膨張圧炭ホッパー11から排出された高膨張圧炭を粉砕機13に投入して管理用コンピュータ18の運転指令に基づいて運転し、平均粒径を0.5mm以上で0.8mm以下の範囲、例えば0.6mmに設定する。そして、粉砕後の高膨張圧炭を配合炭貯蔵ホッパー15に供給する。
【0029】
配合炭貯蔵ホッパー15に供給された高膨張圧炭と各種石炭は、混合され配合炭として貯蔵される。
ここで、配合炭貯蔵ホッパー15からの配合炭の排出量を管理用コンピュータ18で管理するようにすると、配合炭貯蔵ホッパー15における配合炭の貯蔵量が予め設定された下限値以下になると、両ホッパー11、12から各石炭を所定量切り出して配合炭貯蔵ホッパー15に供給されるようにすることができる。これによって、配合炭貯蔵ホッパー15内に常に必要量の配合炭を貯蔵しておくことができる。
【0030】
配合炭貯蔵ホッパー15に貯蔵されている配合炭は、管理用コンピュータ18からのコークス炉16の運転指令に基づいて切出装置25により配合炭貯蔵ホッパー本体24から排出されて、装入装置26によりコークス炉16の各炭化室に装入される。また、生成したコークスは、管理用コンピュータ18からのコークス炉16の運転指令に基づいて押出機17により各炭化室から排出される。
このとき、各炭化室からコークスを押し出す際の押出機17に設けられた押出用電動機の負荷電流を管理用コンピュータ18で検出しその平均値を求める。
【0031】
配合炭貯蔵ホッパー15内の配合炭の貯蔵量が予め設定された下限値以下になったことが管理用コンピュータ18により検知されると、管理用コンピュータ18からの指令に基づいて、高膨張圧炭ホッパー11から高膨張圧炭が、その他石炭ホッパー12から各種の石炭がそれぞれ所定量切り出される。そして、高膨張圧炭は粉砕機13で粉砕されてから、各種の石炭は粉砕機22aで粉砕されてから、配合炭貯蔵ホッパー15に供給される。
このとき、粉砕機13で行う高膨張圧炭の粉砕では、例えば粉砕時間を、このときの押出用電動機の負荷電流の平均値に基づいて決定して行う。
【0032】
例えば、負荷電流の平均値が予め設定されている管理上限値内にある場合は、従来と同一の粉砕能力(粉砕機の回転刃の回転速度及び回転刃と固定刃の間隙)で粉砕機13を運転する。従って、高膨張圧炭の平均粒径は、例えば0.6mmとなる。
一方、負荷電流の平均値が予め設定されている管理上限値を超えている場合は、粉砕能力を向上する(粉砕機の回転刃の回転速度を上昇する、及び/又は回転刃と固定刃の間隙を狭くする)。
ここで、粉砕能力は、例えば、負荷電流の平均値と管理上限値との間の偏差に比例して決定する。これによって、高膨張圧炭の平均粒径を低下させることができ、平均粒径が、例えば0.5mmとなる。その結果、配合炭としての膨張圧が低下して、生成するコークスと炭化室の炉壁の間の隙間が大きくなって、コークスを押し出す際の押出負荷が低下する。
【0033】
【実施例】
[実施例1]
高膨張圧炭の配合割合が15重量%、各種の石炭の配合割合が85重量%になるように配合炭を調製した。このとき、配合する高膨張圧炭では、粉砕機での粉砕能力を調整して、高膨張圧炭の平均粒径が0.1mm未満、0.1mm、0.25mm、0.5mm、0.8mm、及び1mmになるようにした。
得られた各配合炭をコークス炉に装入し、乾留時の最大膨張圧を求めた。そのときの結果を図2に示す。
【0034】
図2から、最大膨張圧は、平均粒径の増加と共に増加するが、平均粒径が0.8mmを超えると急激に増加することが判る。
また、最大膨張圧は、平均粒径の減少と共に減少するが、平均粒径が0.1mm未満では、最大膨張圧の減少幅が大きく低下して、平均粒径を減少させた効果が顕著に現れないことが確認できる。
このため、高膨張圧炭の平均粒径を0.5mm以上0.8mm以下に規定した。
【0035】
[実施例2]
コークス強度が所定の値、例えば、ドラム強度DI(150回転、15mm以上)が85%以上を示すように、高膨張圧炭の配合割合を、10重量%、20重量%、及び50重量%としてそれぞれ配合炭を調製した。また、各配合炭を構成する際の各高膨張圧炭の平均粒径を、0.1mm、0.25mm、0.5mm、及び1mmに調整した。
そして、調製した配合炭をコークス炉に装入し乾留してコークスとした後、押出機で押出しそのときの押出用電動機の負荷電流の平均値を求めた。そのときの結果を図3に示す。
【0036】
図3に示すように、高膨張圧炭の平均粒径を0.1〜0.5mmの範囲に調整した高膨張圧炭を20重量%以下の配合割合になるように配合して調製した配合炭を使用した場合、コークス炉からコークスを押し出す際の押出機の押出負荷を管理上限値内(図3では、上限値が260A)内に入るようにすることが可能になる。
一方、高膨張圧炭の配合割合が20重量%を超えると、平均粒径が0.5mmでは押出負荷を管理上限値内に維持することができなくなる。更に、高膨張圧炭の配合割合が50重量%では、平均粒径を0.1mmとしても押出負荷を管理上限値内に維持することはできない。
このため、高膨張圧炭の平均粒径を0.5mm以上で0.8mm以下の範囲に設定した場合、配合炭中の高膨張圧炭の配合割合を10重量%以上で20重量%以下とした。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のコークスの製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、コークス炉の各炭化室を区別せずに押出負荷を求めたが、コークス炉を炭化室の炉壁の損傷が激しい管理窯と、炉壁の損傷軽微な通常窯に分類し、管理窯と通常窯毎に押出負荷の変動を検出し、管理窯と通常窯にそれぞれ装入する配合炭の粒度調整を行うようにすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1〜5記載のコークスの製造方法においては、押出機でコークスを各炭化室から押し出す際の押出機の押出負荷を検出し、押出負荷に応じて各炭化室に装入する高膨張圧炭の粒度調整を行うので、乾留時の配合炭としての膨脹圧を抑制して、生成したコークスと炉壁の間の隙間を確保することができ、コークスの押出負荷を管理範囲内に維持することが可能になる。
また、高膨張圧炭を配合しても配合炭としての膨張圧を抑制できることから、高膨張圧炭を使用することができ、コークス強度の低下を防止することが可能となる。
【0039】
特に、請求項2記載のコークスの製造方法においては、粒度調整では、押出負荷が予め設定した管理上限値を超えている場合に高膨張圧炭の平均粒径を小さくするので、配合炭の膨張圧が管理上限値を超えないようにしてコークスを製造することができ、コークスの押出しを確実に行うことが可能になる。その結果、コークス炉の操業を安定して行うことが可能になる。
【0040】
請求項3記載のコークスの製造方法において、高膨張圧炭の平均粒径を0.5mm以上で0.8mm以下の範囲に設定するので、生産性に悪影響を与えることなく確実に押出負荷の低減が可能となり好ましい。
【0041】
請求項4記載のコークスの製造方法においては、高膨張圧炭は配合炭中に10重量%以上で20重量%以下の割合で配合されているので、高膨張圧炭の平均粒径の調整で膨張圧を制御することができ、配合炭の膨張圧が管理上限値を超えないようにしてコークスを製造することが可能になる。
【0042】
請求項5記載のコークスの製造方法においては、押出負荷は、各炭化室からコークスを押し出す際の押出機に設けられた押出用電動機の負荷電流の平均値であるので、コークス炉の全炭化室の平均的な炉壁状態を容易に検知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコークスの製造方法を適用した石炭供給設備の説明図である。
【図2】高膨張圧炭の平均粒径と最大膨張圧の関係を示す説明図である。
【図3】高膨張圧炭の配合割合を変化させたときの高膨張圧炭の平均粒径と押出負荷の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10:石炭供給設備、11:高膨張圧炭ホッパー、12:その他石炭ホッパー、13:粉砕機、15:配合炭貯蔵ホッパー、16:コークス炉、17:押出機、18:管理用コンピュータ、19:石炭乾燥装置、20:高膨張圧炭ホッパー本体、21:切出装置、22:その他石炭ホッパー本体、22a:粉砕機、23:切出装置、24:配合炭貯蔵ホッパー本体、25:切出装置、26:装入装置
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
【出願日】 平成15年6月27日(2003.6.27)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男

【識別番号】100090088
【弁理士】
【氏名又は名称】原崎 正

【公開番号】 特開2005−15703(P2005−15703A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−185027(P2003−185027)