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【発明の名称】 レーザー光透過性着色樹脂組成物、及びそれを用いたレーザー溶着方法
【発明者】 【氏名】畑瀬 芳輝
【住所又は居所】大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱント化学工業株式会社内

【氏名】菅原 修治
【住所又は居所】大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱント化学工業株式会社内

【氏名】岡西 俊泰
【住所又は居所】大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリヱント化学工業株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】


[式(1)中、−Rは水素、水酸基、アミノ基又はアルキルアミド基を示し、−R及び−Rは同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは水素、アルカリ金属、アンモニウムを示す)を示し、−R、−R、−R、−R、−Rは、同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは前記と同じ)であって、−R〜−Rの少なくともひとつが該−SOMである。]
または下記式(2)
【化2】


[式(2)中、−R14及び−R15は同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、−SOM(Mは前記と同じ)を示し、−R〜−R13並びに−R16〜−R20は、同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは前記と同じ)であって、−R〜−R20の少なくともひとつが該−SOMである。]
で表されるアントラキノン系酸性染料を含有していることを特徴とするレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項2】
前記式(1)のアントラキノン系酸性染料の純度が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記アントラキノン系酸性染料の最大吸収波長が、580nm〜630nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項4】
熱可塑性樹脂を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリエステル樹脂が、テレフタル酸成分と、それ以外の二官能性カルボン酸0.5〜5モル%とを含んでなる共重合体であることを特徴とする請求項5に記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリエステル樹脂の主成分が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項5又は6に記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項8】
前記アントラキノン系酸性染料と、黄色又は/及び赤色の染料とが混合されて黒色を呈している混合着色剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のレーザー光透過性着色樹脂組成物からなるレーザー光透過材と、レーザー光吸収材とを当接させ、レーザー光を前記レーザー光透過材に照射して、該レーザー光が該レーザー光透過材を透過し、該レーザー光吸収材に吸収されることによって、該レーザー光透過材と該レーザー光吸収材との当接部を溶着させることを特徴とするレーザー溶着方法。
【請求項10】
前記レーザー光吸収材が、少なくともカーボンブラックを着色剤として含んでいるレーザー光吸収性着色樹脂組成物からなることを特徴とする請求項9に記載のレーザー溶着方法。
【請求項11】
走査しつつ照射している前記レーザー光によって与えられるエネルギー量x(J/mm)が下記式
【数1】


(式中、p(W)はそのレーザー光の出力、q(mm/秒)はそのレーザー光走査速度、Tは前記レーザー光透過性の樹脂部材のこのレーザー光の波長での透過率を示す)
を満たすことを特徴とする請求項9又は10に記載のレーザー溶着方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラキノン系酸性染料を含有してなるレーザー光透過性着色樹脂組成物及びレーザー溶着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製材料からなる部材同士を接合するのに、レーザー溶着による方法が知られている。
【0003】
このようなレーザー溶着は、例えば次のように行われる。図1に示すように、一方の部材にレーザー光透過性を示す部材を用い、他方の部材にレーザー光吸収性を示す部材を用い、両者を当接させる。レーザー光透過材の側からレーザー光吸収材に向けてレーザー光を照射すると、レーザー光透過材を透過したレーザー光が、レーザー光吸収材に吸収されて、発熱させる。この熱により、レーザー光を吸収した部分を中心としてレーザー光吸収材が、溶融し、更にレーザー光透過材を溶融させて、双方が融合する。これが冷却されると、十分な溶着強度で、レーザー光透過材とレーザー光吸収材とが強固に接合される。
【0004】
レーザー溶着の特長として、レーザー光発生部を溶着させたい箇所に接触させることなく溶着が可能であること、局所加熱であるため周辺部への熱影響がごく僅かであること、機械的振動のおそれがないこと、微細な部分及び立体的な構造物の溶着が可能であること、再現性が高いこと、高い気密性を維持できること、溶着強度が高いこと、溶着部分の境目が目視で分かりにくいこと、粉塵等を発生させないこと等が挙げられる。
【0005】
このレーザー溶着によれば、簡単な操作により確実に溶着を行うことができるうえ、従来の樹脂部品の接合方法である締結用部品(ボルト、ビス、クリップ等)による締結、接着剤による接着、振動溶着、超音波溶着等の方法と同等以上の強度が得られる。しかも振動や熱の影響が少ないので、省力化、生産性の改良、生産コストの低減等を実現することができる。そのため、例えば自動車産業や電気・電子産業等において、振動や熱の影響を回避したい機能部品や電子部品等の接合に適すると共に、複雑な形状の樹脂部品の接合にも対応可能である。
【0006】
レーザー溶着に関する技術として、特許文献1には、レーザー光を吸収する熱可塑性合成樹脂からなる不透明部材と、レーザー光を透過させる熱可塑性合成樹脂からなる無色透明部材が接する部分に焦点が合致するようにレーザー光を照射する工程を備えたレーザー溶着方法が記載されている。しかしこの場合、無色透明部材側から見れば、溶着された部分は、溶着されていない部分と色や平滑性が異なるものとなり、見栄えがよくない。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3には、それぞれレーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物用の着色剤としてアントラピリドン系造塩染料が用いられている。
【0008】
レーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物は、レーザー溶着前段階の熱処理工程で、色調の退色が生じず、また着色剤の昇華が生じず、高いレーザー光透過性を有することが求められる。
【0009】
【特許文献1】特開平11−170371号公報
【特許文献2】特開2002−228830号公報
【特許文献3】特開2002−228831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、着色熱可塑性合成樹脂部材のレーザー溶着を行う前段階の熱処理工程においてその樹脂部材の色調の退色を生じず、また、着色剤の昇華を実質上生じず長期保存安定性が良好であり、レーザー溶着を行うことが可能な高い透過性をもつレーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物、及びそれを用いたレーザー溶着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明のレーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物は、特定のアントラキノン系酸性染料を含有しているものである。
【0012】
本発明のレーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物は、前記アントラキノン系酸性染料が下記式(1)または(2)で表されるものであることが好ましい。
【0013】
【化1】


【0014】
[式(1)中、−Rは水素、水酸基、アミノ基又はアルキルアミド基を示し、−R及び−Rは同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは水素、アルカリ金属、アンモニウムを示す)を示し、−R、−R、−R、−R、−Rは、同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは前記と同じ)であって、−R〜−Rの少なくともひとつが該−SOMである。]
【0015】
【化2】


【0016】
[式(2)中、−R14及び−R15は同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、−SOM(Mは前記と同じ)を示し、−R〜−R13並びに−R16〜−R20は、同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基、ハロゲン、アルコキシ基、又は−SOM(Mは前記と同じ)であって、−R〜−R20の少なくともひとつが該−SOMである。]
【0017】
また、本発明のレーザー溶着方法は、このレーザー光透過性着色樹脂組成物からなるレーザー光透過材と、レーザー光吸収材とを当接させ、レーザー光を前記レーザー光透過材に照射して、該レーザー光が該レーザー光透過材を透過し該レーザー光吸収材に吸収されることによって、該レーザー光透過材と該レーザー光吸収材との当接部を溶着させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレーザー光透過性着色樹脂組成物は、半導体レーザーによる800nm付近からYAGレーザーによる1200nm付近にかけての波長の光、すなわちレーザー光の透過性が高く、耐熱性や耐光性等の堅牢性が高く、また耐移行性や耐薬品性等が良好で、而も鮮明な色相を示す。このレーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物は、レーザー光の透過性が高く、耐熱性や耐光性等の堅牢性が高いため、レーザー溶着方法を行うことが可能である。
【0019】
本発明のレーザー溶着方法によれば、レーザー光透過材とレーザー光吸収材とが当接した状態で、レーザー光が前記レーザー光透過材を透過して前記レーザー光吸収材に吸収されるようにそのレーザー光を照射することにより、照射したレーザー光が、レーザー光吸収材に到達して吸収され発熱を起こし、両樹脂部材を熱溶融させて、前記レーザー光透過材とレーザー光吸収材との当接部を確りと溶着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のレーザー光透過性着色樹脂組成物に含有されるアントラキノン系酸性染料は、上記式(1)または(2)で表されるものである。
【0021】
式(1)において、−Rは水素、水酸基、アミノ基又はアルキル[例えばメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル等の炭素数1乃至12のアルキル]アミド基を示し、−R及び−Rは水素、アルキル基[例えばメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至12のアルキル基]、ハロゲン[例えばCl、Br等]、アルコキシ基[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等の炭素数1乃至8のアルコキシ基]、−SOM(Mは水素、アルカリ金属[Na、Li、K等]、アンモニウムを示す)を示し、−R、−R、−R、−R、−Rは、水素、アルキル基[例えばメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至12のアルキル基]、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基[アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、isoプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、isoペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至8のアルキル基]、ハロゲン[例えばCl、Br等]、アルコキシ基[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等の炭素数1乃至8のアルコキシ基]、−SOM(Mは前記と同じ)である。但し、式(1)のアントラキノン系酸性染料は、−R〜−Rの少なくともひとつが−SOMであるというもの、すなわちその化学構造中に−SOMを少なくともひとつ有しているというものである。
【0022】
式(2)において、−R14及び−R15は同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基[例えばメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至12のアルキル基]、ハロゲン[例えばCl、Br等]、アルコキシ基[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等の炭素数1乃至8のアルコキシ基]、アミノ基、ニトロ基、スルホン基(−SOM、Mは、前記と同じ)を示し、−R〜−R13並びに−R16〜−R20は、同じであっても、異なっていてもよく、水素、アルキル基[例えばメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至12のアルキル基]、アシル基、アシルアミド基、アシル−N−アルキルアミド基[アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、isoプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、isoペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素数1乃至8のアルキル基]、ハロゲン[例えばCl、Br等]、アルコキシ基[例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等の炭素数1乃至8のアルコキシ基]、−SOM(Mは前記と同じ)である。但し、式(2)のアントラキノン系酸性染料は、−R〜−R20の少なくともひとつがスルホン基である。]すなわちその化学構造中にスルホン基を少なくともひとつ有しているというものである。
【0023】
上記の式(1)または(2)で示されるアントラキノン系酸性染料の具体例として、下記の例が挙げられる。但し、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【化3】


【0025】
【化4】


【0026】
【化5】


【0027】
【化6】


【0028】
【化7】


【0029】
【化8】



【0030】
【化9】


【0031】
【化10】


【0032】
【化11】


【0033】
【化12】


【0034】
【化13】


【0035】
【化14】


【0036】
アントラキノン系酸性染料は、式(1)または(2)で示されるとおりその化学構造中に−SOM(Mは水素、アルカリ金属、アンモニウムを示す)を有しており、中でもこのMの部分が樹脂組成物中でアンカー効果を発現する結果、昇華現象が抑制されていると考えられる。
【0037】
また、この染料は、その純度が高まるほど、昇華現象の抑制がさらに強くなる。この染料は、この純度が低くなるほど、相対的に、染料よりも分子量の低い副生成物が混入して得られ易くなるため、樹脂への溶解性が増すことにより、高温下での昇華現象が顕著になるのとともに、樹脂組成物の耐熱性をも損なわせ易くなってしまう。式(1)染料で示される染料において、90%以上の純度が好ましい。
【0038】
このアントラキノン系酸性染料は、主に青色系の色相を示し、最大吸収波長で言えば、580nm〜630nmの範囲内にある色を呈する。レーザー光透過性着色樹脂組成物に含有される着色剤としては、前記アントラキノン系酸性染料と共に、そのアントラキノン系酸性染料が有する可視光線吸収範囲以外にのみ又はその範囲以外にも吸収範囲を有し、レーザー光の波長域(800nm〜1200nmの波長)に透過性を有する染料を、1種又は2種以上混合して用いることができる。着色剤は、このようにレーザー光透過性が良好なその他の着色剤であって赤色、黄色、又はオレンジ色等の色相を示す染料を混合することにより、多色着色剤にして、用いることができる。例えば、前記アントラキノン系酸性染料である青色染料と、他の赤色着色剤と黄色着色剤を組合わせることにより得られる黒色の色相を示す着色剤のようなものである。レーザー光透過性着色樹脂組成物の工業的な用途においては、黒色樹脂組成物が重要である。
【0039】
レーザー光透過性着色樹脂組成物を着色させる別な着色剤の例として、レーザー透過性を有する有機染顔料が挙げられる。それらの構造には特に限定がなく、より具体的には、アゾメチン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリドン系、イソインドリノン系、インダンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、キノリン系、トリフェニールメタン系の各種染顔料等の有機染顔料が挙げられる。
【0040】
着色剤の混合例として、青色又は紫色の各アントラキノン系酸性染料と、黄色及び/又は赤色の着色剤を組み合わせることにより、緑色(例えば青色+黄色の組合せ)、紫色(例えば青色+赤色の組合せ)、黒色(例えば、青色+黄色+赤色の組合せ、又は紫色+黄色の組合せ)という種々の色相を示す着色剤が、挙げられる。
【0041】
前記アントラキノン系酸性染料と混合して使用できる赤色着色剤として、具体的には、C.I.Acid Red 80あるいはC.I.Solvent Red 179あるいはC.I.Acid Red 144とジトリルグアニジンの造塩染料等が挙げられる。
【0042】
前記アントラキノン系酸性染料と混合して使用できる黄色着色剤として、具体的には、C.I.Solvent Yellow 163、C.I.Acid Yellow 4等が挙げられる。
【0043】
前記アントラキノン系酸性染料と混合して使用できるオレンジ色着色剤として、具体的には、C.I.Acid Orange 56、C.I.Solvent Orange 60等が挙げられる。
【0044】
レーザー光透過性着色樹脂組成物に用いられる樹脂は、例えば、レーザー光透過性を有し、顔料の分散剤として用いられる樹脂、マスターバッチ又は着色ペレットの担体樹脂として使用されている公知の樹脂等が挙げられる。より具体的には、熱可塑性樹脂の代表的な例であるポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、メタクリル樹脂、アクリルポリアミド樹脂、EVOH(エチレンビニルアルコール)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアリルサルホン樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。
【0045】
またこの樹脂として、前記熱可塑性樹脂の2種又は3種以上の共重合体樹脂が挙げられる。例えば、AS(アクリロニトリル−スチレン)共重合体樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−スチレン)共重合体樹脂、PA−PBT共重合体、PET−PBT共重合体樹脂、PC−PBT共重合体樹脂、PC−PA共重合体樹脂等が挙げられる。またポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;上記樹脂類を主成分とする合成ワックス又は天然ワックス等が挙げられる。なお、これらの熱可塑性樹脂の分子量は、特に限定されるものではない。
【0046】
レーザー光透過性着色樹脂組成物における熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂(PET及びPBTを含む)、ポリオレフィン系樹脂、又はポリアミド樹脂(ナイロン)であることが好ましい。
【0047】
ポリエステル樹脂として、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合反応によって得られるポリエチレンテレフタレート樹脂、及びテレフタル酸とブチレングリコールとの重縮合反応によって得られるポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。その他のポリエステル樹脂の例としては、上記ポリエステル樹脂におけるテレフタル酸成分の一部(例えば15モル%以下[例えば0.5〜15モル%]、好ましくは5モル%以下[例えば0.5〜5モル%])及び/又はエチレングリコール又はブチレングリコール成分の一部(例えば15モル%以下[例えば0.5〜15モル%]、好ましくは5モル%以下[例えば0.5〜5モル%])を置換した共重合体が挙げられる。また、2種以上のポリエステル樹脂を混合したものであってもよい。
【0048】
テレフタル酸成分の一部を置換するものの例として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等の二官能性カルボン酸の1種又は2種以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0049】
エチレングリコール又はブチレングリコール成分の一部を置換するものの例として、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等のグリコール、及びこれらの機能的誘導体等の多官能化合物の1種又は2種以上を組み合わせたものが挙げられる。電子部品や自動車部品等の用途に好ましいのはポリブチレンテレフタレート樹脂である。
【0050】
ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されない。その例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体(共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体を挙げることができる。)等が挙げられる。より具体例には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、又はランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ポリプロピレン樹脂及び/又はポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。より好ましいのは、ポリプロピレン系樹脂である。このポリプロピレン系樹脂に特に制限はなく、広範囲の分子量のものを使用できる。
【0051】
なお、ポリオレフィン系樹脂として、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された酸変性ポリオレフィンや発泡ポリプロピレンのように樹脂自体に発泡剤を含有したものを用いてもよい。また、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン系化合物共重合体(例えばEPDM等)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン系化合物共重合ゴム、又はこれらの水添物等のゴム類を、ポリオレフィン系樹脂に含有していてもよい。
【0052】
ポリアミド樹脂(ナイロン)として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン96、非晶質性ナイロン、高融点ナイロン、ナイロンRIM、ナイロンMIX6等;それらの2種類以上のものの共重合体、すなわち、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/66/610共重合体、ナイロン6/66/11/12共重合体、結晶性ナイロン/非結晶性ナイロン共重合体等が挙げられる。またポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂と他の合成樹脂との混合重合体であってもよい。そのような混合重合体の例として、ポリアミド/ポリエステル混合重合体、ポリアミド/ポリフェニレンオキシド混合重合体、ポリアミド/ポリカーボネート混合重合体、ポリアミド/ポリオレフィン混合重合体、ポリアミド/スチレン/アクリロニトリル混合重合体、ポリアミド/アクリル酸エステル混合重合体、ポリアミド/シリコーン混合重合体等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂は、単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0053】
レーザー光透過性着色樹脂組成物中の着色剤の含有量は、熱可塑性樹脂に対し、0.01〜10重量%であることが好ましい。一層好ましくは0.1〜5重量%、より一層好ましくは0.1〜1重量%である。
【0054】
レーザー光透過性着色樹脂組成物における波長940nmのレーザー光の透過率であるT着色樹脂と、着色剤を含有しないこと以外はこれと同一の非着色樹脂組成物における波長940nmのレーザー光の透過率であるT非着色樹脂との比であるT着色樹脂/T非着色樹脂は、0.5以上であることが好ましく、一層好ましくは0.7〜1.1、更に一層好ましくは0.8〜1.1である。
【0055】
レーザー光透過性着色樹脂組成物は、用途及び目的に応じ、各種の補強材を適量含有するものとすることができる。この補強材は、通常の合成樹脂の補強に用い得るものであればよく、特に限定されない。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、その他の無機繊維、及び有機繊維(アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ナイロン、ポリエステル及び液晶ポリマー等)等を用いることができ、透明性を要求される樹脂の補強にはガラス繊維が好ましい。好適に用いることができるガラス繊維の繊維長は2〜15mmであり繊維径は1〜20μmである。ガラス繊維の形態については特に制限はなく、例えばロービング、ミルドファイバー等、何れであってもよい。これらのガラス繊維は、一種類を単独で用いるほか、二種以上を組合せて用いることもできる。その含有量は、熱可塑性樹脂100重量%に対し5〜120重量%とすることが好ましい。5重量%未満の場合、十分なガラス繊維補強効果が得られ難く、120重量%を超えると成形性が低下することとなり易い。好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。
【0056】
レーザー光透過性着色樹脂組成物は、必要に応じ種々の添加剤を配合することも可能である。このような添加剤としては、例えば助色剤、分散剤、充填剤、安定剤、可塑剤、改質剤、紫外線吸収剤又は光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、結晶促進剤、結晶核剤、難燃剤、及び耐衝撃性改良用のエラストマー等が挙げられる。
【0057】
本発明のレーザー光透過性着色樹脂組成物は、原材料を任意の配合方法で配合することにより得られる。これらの配合成分は、通常、できるだけ均質化させることが好ましい。具体的には例えば、全ての原材料をブレンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール、押出機等の混合機で混合して均質化させて、得ることができる。または、樹脂組成物は、一部の原材料を混合機で混合した後、残りの成分を加えて更に混合して均質化させて、得ることができる。または、樹脂組成物は、予めドライブレンドされた原材料を、加熱した押出機で溶融混練して均質化した後、針金状に押出し、次いで所望の長さに切断して着色粒状をなす着色ペレットとして得ることもできる。
【0058】
またレーザー光透過性着色樹脂組成物のマスターバッチは、任意の方法により得られる。例えば、マスターバッチのベースとなる樹脂の粉末又はペレットと着色剤をタンブラーやスーパーミキサー等の混合機で混合した後、押出機、バッチ式混練機又はロール式混練機等により加熱溶融してペレット化又は粗粒子化することにより得ることができる。また例えば、合成後未だ溶液状態にあるマスターバッチ用樹脂に着色剤を添加した後、溶媒を除いてマスターバッチを得ることもできる。
【0059】
レーザー光透過性着色樹脂組成物の成形は、通常行われる種々の手順により行い得る。例えば、着色ペレットを用いて、押出機、射出成形機、ロールミル等の加工機により成形することにより行うこともでき、また、透明性を有する樹脂のペレット又は粉末、粉砕された着色剤、及び必要に応じ各種の添加物を、適当なミキサー中で混合し、この混合物を、加工機を用いて成形することにより行うこともできる。また例えば、適当な重合触媒を含有するモノマーに着色剤を加え、この混合物を重合により所望の樹脂とし、これを適当な方法で成形することもできる。成形方法としては、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、発泡成形、ブロー成形、真空成形、インジェクションブロー成形、回転成形、カレンダー成形、溶液流延等、一般に行われる何れの成形方法を採用することもできる。このような成形により、種々形状のレーザー光透過材を得ることができる。
【0060】
本発明のレーザー溶着方法は、前記レーザー光透過性着色熱可塑性樹脂組成物からなるレーザー光透過材と、レーザー光吸収材とが当接した状態で、レーザー光が前記レーザー光透過材を透過して前記レーザー光吸収材に吸収されるようにそのレーザー光を照射することにより、前記レーザー光透過材とレーザー光吸収材との当接部を溶着させるものである。
【0061】
一般的にレーザー溶着方法の長所は、3次元溶着が可能となるため、金型形状の自由度が上がること、振動溶着と異なり溶着面のバリがなくなることによる意匠性の向上、振動や摩耗粉が発生しないことであり、また電子部品への適用が可能となることである。逆に、短所はレーザー溶着機というハード面での先行投資、樹脂材料の成形後のヒケによる溶着部材間の隙間の発生が挙げられる。特に、この隙間の問題については、実際にレーザー溶着機を操る者にとって、最大の問題点であり、クランプなどの押さえ冶具を溶着部材の形状に合わせて、独自で作り込んでいるのが現状である。もし隙間が0.02mm生じると隙間がない時の溶着強度に比べると半減し、0.05mm以上生じると溶着しないことがわかっている。
【0062】
レーザーの操作方法としては、レーザーが動く走査タイプ、溶着部材が動くマスキングタイプ、多方面から溶着部材に対して同時照射させるタイプ等が挙げられるが、自動車業界が注目している方法は走査タイプであり、その走査速度としては5m/分という数値を、生産タクトタイムの基準としている。
【0063】
レーザー溶着は原理的に、レーザーという光のエネルギーから熱エネルギーへの変換を利用しているため、レーザー溶着条件によって溶着性能が著しく左右される。一般に照射したレーザーが吸収部材表面上で受ける熱量は次式で算出が可能である。
【0064】
吸収部材の表面熱量(J/mm2)=レーザー出力(W)/走査速度(mm/sec)/レーザーのスポット径(mm) ・・・(I)
【0065】
この式より、生産効率を上げるためには走査速度を上げる必要があり、自ずと高出力タイプのレーザー溶着機がハード面で必要となってくる。
【0066】
溶着強度を上げるには、ある程度の吸収部材の表面熱量が必要になり、そのためには、出力設定を上げるか、走査速度を幾分下げるか、スポット径を小さくするか、という具合に種々の条件を振って確認する必要があるのだが、あまりにもレーザーから付与する表面熱量が大き過ぎると溶着部の外観が損なわれたり、更に大き過ぎると吸収部材から煙が吹いたりするため、レーザー溶着の条件設定というのは非常に重要である。
【0067】
このレーザー溶着方法は、レーザー光透過性の樹脂部材として、半導体レーザーによる800nm付近から、YAGレーザーによる1100nm付近までにかけての波長、すなわち、レーザー溶着に用いるレーザー光の波長に対して、少なくとも20%透過させるものが用いられる。808nm、840nm、940nm、1064nmにおける赤外線透過率が、少なくとも15%であると好ましい。これより低いと、これらの波長のレーザー光が充分量透過できないため、レーザー溶着されたものの強度が不充分であったり、又は実用的に適さないレーザー光のエネルギーが必要とする。
【0068】
このレーザー溶着方法は、走査しつつ照射している前記レーザー光によって与えられる
エネルギー量x(J/mm)が下記式(II)
【0069】
【数1】


【0070】
(式(II)中、p(W)はそのレーザー光の出力、q(mm/秒)はそのレーザー光走査速度、Tは前記レーザー光透過性の樹脂部材のこのレーザー光の波長での透過率を示す)を満たすことが好ましい。
【0071】
本発明のレーザー溶着方法は、レーザー光吸収層としてレーザー光吸収剤を含有するインキ又は/及び塗料の塗布層を有したレーザー光吸収性材と、レーザー光透過性材とのレーザー溶着方法であってもよい。レーザー光透過性の樹脂部材側にインキ及び/又は塗料を予め塗布しレーザー光吸収層を位置したレーザー光吸収剤を当接させ、レーザー光をレーザー光透過性材側からレーザー光を照射すと、レーザー溶着物が得られる。レーザ光吸収層である塗布層は、例えばレーザー光吸収剤と必要に応じて樹脂を含有するインキ又は/及び塗料を、塗布することにより得られる。この塗布は、噴霧や、マーキングペン、刷毛、筆等による塗装のような任意の塗布方法で施される。塗布層は、厚さ0.1mm以下に塗布されることが好ましい。
【0072】
レーザー光吸収材は、レーザー光吸収剤兼黒色着色剤として少なくともカーボンブラックを用いたレーザー光吸収性着色樹脂組成物(好ましくは熱可塑性樹脂組成物)からなるものであることが好ましい。この場合のカーボンブラックは、1次粒子径が18〜30nmのものを用いるのが好ましい。このようなカーボンブラックを用いることにより、レーザー光を高吸収率で吸収する高分散されたレーザー光吸収材を得ることができる。
【0073】
また、カーボンブラックと共にニグロシン染料を用いることができる。ニグロシン染料としてはC.I.ソルベントブラック7に属するニグロシン染料が好ましく、レーザー吸収率を良好に調節できる。
【0074】
また、カーボンブラックを用いずに他の着色剤と他のレーザー光吸収剤(例えば、フタロシアニン系、シアニン系、金属錯体など)とを用いた(又は他のレーザー光吸収剤兼着色剤を用いた)レーザー光吸収性着色樹脂組成物とすることもできる。
【0075】
このようなレーザー光吸収性着色樹脂組成物における着色剤の使用量は、樹脂(好ましくは熱可塑性樹脂)に対し、例えば0.01〜10重量%とすることができ、好ましくは0.05〜5重量%である。レーザー光吸収材の製造は、レーザー光吸収剤を含有すること以外はレーザー光透過材と同様にして行うことが可能である。
【実施例】
【0076】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0077】
表1に示す製造例1〜7は、各実施例において使用する着色剤であり、比較製造例1〜3は、各比較例において使用する着色剤である。各製造例についての酸性染料には上記化合物例に示す色素が対応している。
【0078】
製造例2、4及び7は、複数の色素を配合比の欄に示された重量配合比に従って簡易混合機にてブレンドした黒色着色剤である。
【0079】
【表1】


C.I. Acid Blue 90:C.I.42655で示される青色トリフェニルメタン酸性染料
C.I. Acid Blue 113:C.I. 26360で示される青色ジスアゾ酸性染料
C.I. Acid Green 20:C.I. 20495 で示される緑色ジスアゾ酸性染料
C.I. Solvent Violet 13:C.I. 60725 で示されるアントラキノン緑色油溶性染料
【0080】
(高速液体クロマトグラフ法による純度の測定)
高速液体クロマトグラフ法により測定した各化合物の純度は以下の通りである。
化合物例1−2 99.4%
化合物例1−3 98.9%
化合物例1−6 99.8%
化合物例1−9 98.7%
【0081】
実施例1、及び比較例1では、ポリアミド6樹脂におけるレーザー光透過性着色樹脂組成物について説明する。
【0082】
(実施例1)
45%繊維強化ポリアミド6樹脂(GF−PA6樹脂)・・・・400g(宇部興産社製 商品番号:1015GU9)
製造例1の着色剤・・・・0.80g
【0083】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な青色の試験片が得られた。
【0084】
(比較例1)
45%繊維強化ポリアミド6樹脂・・・・400g(宇部興産社製 商品番号:1015GU9)
比較製造例3の着色剤・・・・0.80g
【0085】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、目視により明らかに分散不良の緑色の試験片が得られた。
【0086】
実施例2〜7、及び比較例2〜4では、ポリブチレンテレフタレートにおけるレーザー光透過性着色樹脂組成物について説明する。
【0087】
(実施例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例1の着色剤・・・・0.80g
【0088】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な青色の試験片が得られた。
【0089】
(実施例3)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例3の着色剤・・・・0.80g
【0090】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な青色の試験片が得られた。
【0091】
(実施例4)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例5の着色剤・・・・0.80g
【0092】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な紫色の試験片が得られた。
【0093】
(実施例5)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例4の着色剤・・・・2.40g
【0094】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色の試験片が得られた。
【0095】
(実施例6)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例6の着色剤・・・・0.80g
【0096】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な紫色の試験片が得られた。
【0097】
(実施例7)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・1000g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
製造例7の着色剤・・・・120g
【0098】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、単軸押出機(エンプラ産業社製 商品名:E30SV)を用いて、シリンダー温度240℃、で混練を行い、得られたストランドを水槽内で冷却してペレタイザーを用いてカッティングを行い、黒色ペレットを得た。
【0099】
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・380g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
上記黒色ペレット・・・・20g
【0100】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、20分間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色の試験片が得られた。
【0101】
(比較例2)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
比較製造例1の着色剤・・・・0.80g
【0102】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、目視により明らかに分散不良の青色の試験片が得られた。
【0103】
(比較例3)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
比較製造例2の着色剤・・・・0.80g
【0104】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、目視により明らかに分散不良の青色の試験片が得られた。
【0105】
(比較例4)
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
比較製造例4の着色剤・・・・2.40g
【0106】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、黒色の試験片が得られた。
【0107】
実施例8〜9、及び比較例5では、ポリプロピレン樹脂におけるレーザー光透過性着色樹脂組成物について説明する。
【0108】
(実施例8)
30%繊維強化ポリプロピレン樹脂(GF−PP樹脂)・・・・400g(日本ポリケム社製 商品番号:HG30U)
製造例3の着色剤・・・・0.80g
【0109】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な青色の試験片が得られた。
【0110】
(実施例9)
30%繊維強化ポリプロピレン樹脂・・・・400g(日本ポリケム社製 商品番号:HG30U)
製造例2の着色剤・・・・1.20g
【0111】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色の試験片が得られた。
【0112】
(比較例5)
30%繊維強化ポリプロピレン樹脂・・・・400g(日本ポリケム社製 商品番号:HG30U)
比較製造例1の着色剤・・・・0.80g
【0113】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品名:Si−50)を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で通常の方法で射出成形したところ、目視により明らかに分散不良の青色の試験片が得られた。
【0114】
(物性評価)
実施例1〜9及び比較例1〜5で得たレーザー光透過性着色樹脂組成物、並びに同様に成形した未着色の樹脂試験片について、下記方法により物性評価を行った。その結果を、表2〜4に示す。
【0115】
(1)透過率測定
分光光度計(日本分光社製 商品番号:V−570型)に各試験片をセットし試験片:図1の試験片1における厚みが1.5mmの部分を、波長範囲λ=400〜1200nmの範囲で透過率を測定した。表2〜4には、各試験片についての波長940nmの半導体レーザー光の透過率を示した。
【0116】
(2)耐熱性試験と評価
上記実施例1〜9及び比較例1〜5の各々の射出成形において、配合物の混合物により通常ショットを行った後、残りの混合物をその時のシリンダー温度で15分間滞留させ、その後で射出成形を行って試験片を得た。
【0117】
15分間シリンダー内で滞留させて得られた試験片の色相の変退色が、通常ショットで得られた試験片の色相に比べて進んでいなければ、耐熱性があるものと判断した。
【0118】
(3)耐昇華性試験と評価
試験片に白色のPET(ポリブチレンテレフタレート)フィルムを貼りつけ、それをオーブンに入れて160℃で3時間放置し、その後、試験片からPETフィルムを剥して観察し易いように無色透明のOHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用シートに貼りつけた。
【0119】
PETフィルムに色素が移行していなければ耐昇華性があると判断した。
【0120】
(4)レーザー溶着試験用のレーザー光吸収性試験片の作製とレーザー溶着試験
ポリアミド6樹脂を用いたレーザー光吸収性試験片(レーザー光吸収材)は以下のようにして作製した。
45%繊維強化ポリアミド6樹脂・・・・400g(宇部興産社製 商品番号:1015GU9)
カーボンブラック・・・・0.40g
【0121】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品番号:Si−50)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色のレーザー光吸収性試験片が得られた。
【0122】
ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いたレーザー光吸収性試験片(レーザー光吸収材)は以下のようにして作製した。
ポリブチレンテレフタレート樹脂・・・・400g(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 商品番号:5008AS)
カーボンブラック・・・・2.00g
【0123】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品番号:Si−50)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色のレーザー光吸収性試験片が得られた。
【0124】
ポリプロピレン樹脂を用いたレーザー光吸収性試験片(レーザー光吸収材)は以下のようにして作製した。
30%繊維強化ポリプロピレン樹脂・・・・400g(日本ポリケム社製 商品番号:HG30U)
カーボンブラック・・・・0.80g
【0125】
上記配合物をステンレス製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。得られた混合物を、射出成形機(東洋機械金属社製 商品番号:Si−50)を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で通常の方法で射出成形したところ、外観及び表面光沢が良好で色むらがない均一な黒色のレーザー光吸収性試験片が得られた。
【0126】
図1に示すように、実施例1〜9及び比較例4の各試験片1と上記レーザー光吸収性試験片2[何れも、縦60mm×横18mm×厚さ3mm(縦20mm部分は厚さ1.5mm)]を、それぞれ縦20mm×横18mm×厚さ1.5mmの部分同士の段差4・5を当接させて重ね合わせた。
【0127】
重ね合わせた部分に対し、試験片1の図における上方から、出力30Wのダイオード・レーザー[波長:940nm 連続的](ファインデバイス社製)によるレーザービーム3を、走査速度750mm/minで、横方向(図の奥行きの方向)に走査しつつ照射した。
【0128】
レーザー光が試験片1を透過してレーザー光吸収性試験片2に吸収されれば、レーザー光吸収性試験片2が発熱し、この熱により、レーザー光を吸収した部分を中心としてレーザー光吸収性試験片2が溶融し、更に試験片1も溶融して双方の樹脂が融合し、冷却により両者は接合されることとなる。図1における6は溶着部分を示す。
【0129】
(5)引張強度試験
前記(4)で得られた溶着物に対し、JISK7113−1995に準じ、引張試験機(島津製作所社製AG−50kNE)にて、試験片1側とレーザー光吸収性試験片2側との縦方向(図1における試験片1及び2を引離す方向)に試験速度10mm/minで引張試験を行って、引張溶着強度を測定した。
【0130】
【表2】


【0131】
【表3】


【0132】
【表4】


【0133】
表から明らかなとおり、実施例の試験片は、透過率、耐熱性、耐昇華性、レーザー溶着性、引張強度ともに優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明を適用するレーザー光透過性樹脂組成物で成形したレーザー光透過性樹脂部材と、レーザー光吸収性樹脂部材とをレーザー溶着している実施途中を示す図である。
【符号の説明】
【0135】
1はレーザー光透過性の樹脂部材、2はレーザー光吸収性の樹脂部材、3はレーザー光、4・5は段差、6は溶着部位、7はレーザー光吸収性樹脂部材である。
【出願人】 【識別番号】000103895
【氏名又は名称】オリヱント化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市旭区新森1丁目7番14号
【出願日】 平成16年10月15日(2004.10.15)
【代理人】 【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄

【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之

【公開番号】 特開2005−139445(P2005−139445A)
【公開日】 平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願番号】 特願2004−301505(P2004−301505)