トップ :: C 化学 冶金 :: C07 有機化学

【発明の名称】 抗菌作用が増強されたアルブミン
【発明者】 【氏名】小田切 優樹

【氏名】赤池 孝章

【要約】 【課題】アルブミンを効率よくニトロソ化することによって、十分な抗菌性を有し、種々の有用な薬剤組成物として利用できるアルブミン誘導体の提供が望まれていた。

【解決手段】構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基に変異を有するアルブミン変異体を用いて、ニトロソ化の効率、およびその抗菌活性を種々の細菌感染モデル動物を用いて解析した結果、該アルブミン変異体が効率的にニトロソ化され、そのニトロソ化体が、NOや低分子のニトロソチオールに比べて、より強力な抗菌活性を示すことを見出し、本発明に到達した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が置換されるか、あるいは構成アミノ酸配列の一部に他のアミノ酸残基が挿入され、かつニトロソ化されたことを特徴とするアルブミン変異体。
【請求項2】
構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換された、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項3】
構成アミノ酸配列のアルギニン残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換された、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項4】
構成アミノ酸配列の約410位のアルギニン残基がシステイン残基で置換された、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項5】
置換または挿入されたアミノ酸残基数が約1〜10残基である、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項6】
アルブミン変異体が、ヒト血清アルブミンの変異体である、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項7】
アルブミン変異体が、遺伝子組み換え技術により製造された、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項8】
アルブミン変異体が天然アルブミンと同様の生理活性を有する、請求項1記載のアルブミン変異体。
【請求項9】
抗菌活性を有するニトロソ化されたアルブミン変異体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のアルブミン変異体を含む薬剤。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載のアルブミン変異体を含む一酸化窒素供与剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌作用を有するニトロソ化されたアルブミンに関する。さらに詳細には、天然のアルブミンと同様の生物活性を有するアルブミン変異体をニトロソ化することにより、抗菌作用が増強されたアルブミンに関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)は、ガス状の無機ラジカルであり、生体内において細胞膜を自由に拡散し、細胞内、あるいは細胞間情報伝達因子として働いている。
現在までにNOの生理作用は幅広く研究され、血管機能の制御、神経伝達物質、炎症反応・免疫反応等の生体防御機能など多岐にわたっている。一方で、感染・炎症病態においては、NO由来の活性酸化窒素種によりタンパク質、核酸などの生体分子の酸化やニトロ化反応を介して細胞・組織障害の主たる要因となる。
最近では、このようなNOの種々の生理活性により、臨床で用いる薬剤として、様々なNO供与剤が開発され使用されている。実際に、低分子のニトロソチオールであるS−ニトロソグルタチオン(以下、GS−NO)は、血小板凝集は阻害するが血圧は低下させないといった性質があることが知られており、経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)の際の血小板凝集阻害剤として、また、妊娠女性の子癇前症の治療に応用されている
【0003】
また、NO由来の活性酸化窒素種は抗菌性を有することも知られており、例えば、GS-NOが抗菌作用を持つことが知られている。しかしながらGS−NOなど低分子のニトロソチオールの抗菌作用は数mMという高濃度でしか認められず、血中半減期が短かかったり、NOの放出と同時に生成する副産物が悪影響を与えたりして、NO供与剤としては未だ不十分な点や多くの問題点が残されている。
【0004】
一方で、ニトロソ化された高分子についても報告されており、例えば、ニトロソ化されたヘモグロビン等のニトロソ化タンパク質について、Stamler J.S.ら(特許文献1及び2参照)はそれらの有用性について報告している。しかしながら、彼らの用いたタンパク質には複数のシステイン残基が存在するために、ニトロソ基の導入率が不均一であることが容易に予測される。また、ヘモグロビン自体が血管内皮細胞に対して障害的に働いたり、腎臓組織への鉄成分の沈着により、むしろ腎機能を低下させる等の問題が危惧される。
【0005】
他のニトロソ化タンパク質として、ヒト血清中の主要なセリンプロテアーゼ阻害タンパクとして知られるα1-プロテアーゼインヒビター(以下、α1-PI)のニトロソ化体(以下、S-NO-α1-PI)についても報告されている(特許文献3、非特許文献1参照)。このS-NO-α1-PIでは、数μMで抗菌効果が現れ、GS−NOなどと比べて約1000倍と強力な抗菌作用を示すことが報告されている。
【0006】
一方、ヒト血清アルブミン(HSA)は、成人の血清中に存在する主要なタンパク質であり、肝臓で生産され、種々の血清分子を運搬する担体としての機能をもっている。また、アルブミンは、毛細管の細孔を通過し得ない溶質(コロイド)によって起こる血漿コロイド浸透圧を正常に維持し、血中の液体含量を維持する上で重要な働きをする。従って、アルブミンは、外科手術、ショック、火傷、浮腫を起こす低タンパク血症の場合の投与のように、血管からの液体の損失があるような状態を処置する際の様々な治療に用いられている。
【0007】
Stamlerらは、ヒトの血漿中にμMオーダーのニトロソ化アルブミンを見出し、また、血中のヘモグロビンのシステイン残基がニトロソ化されていることを報告した。これらの結果から、生体内タンパク質のニトロソ化はNOの輸送や貯蔵に関与し、NOの生理作用を制御していると考えられている(非特許文献2および3参照)。
従って、血清タンパクの中で最も多量に存在し、生体内で重要な役割を担っているアルブミンのニトロソ化体は有用性が高く、安定なニトロソ化アルブミンが提供できれば医療の現場において重要な意義を有する。しかしながら、このアルブミンのSH基の反応性はα1-PI等と比べて著しく低く、これまでアルブミンのニトロソ化を人工的に効率良く行うことはできなかった。
【0008】
【特許文献1】国際公開第96/30006号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/10265号パンフレット
【特許文献3】特開平11−147383号公報
【非特許文献1】Y. Miyamoto, T. Akaike, H. Maeda, Biochimica Biophysica Acta, 1477, p.90-97, (2000)
【非特許文献2】Stamler J.S. et al., Proc Natl Acad Sci USA, 89, p.7674-7677,(1992)
【非特許文献3】Lia J et al., Nature, 380, p.221-226, (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アルブミンを効率よくニトロソ化することによって、十分な抗菌性を有し、種々の有用な薬剤組成物として利用できるアルブミンの提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基に変異を有するアルブミン変異体を用いて、ニトロソ化の効率、およびその抗菌活性を種々の細菌感染モデル動物を用いて解析した結果、該アルブミン変異体が効率的にニトロソ化され、そのニトロソ化体が、NOや低分子のニトロソチオールに比べて、より強力な抗菌活性を示すことを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が置換されるか、あるいは構成アミノ酸配列の一部に他のアミノ酸残基が挿入され、かつニトロソ化されたことを特徴とするアルブミン変異体、
(2)構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換された、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(3)構成アミノ酸配列のアルギニン残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換された、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(4)アルブミン変異体が、構成アミノ酸配列の約410位のアルギニン残基がシステイン残基で置換された、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(5)置換または挿入されたアミノ酸残基数が約1〜10残基である、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(6)アルブミン変異体が、ヒト血清アルブミンの変異体である、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(7)アルブミン変異体が、遺伝子組み換え技術により製造された、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(8)アルブミン変異体が天然アルブミンと同様の生理活性を有する、上記(1)記載のアルブミン変異体、
(9)抗菌活性を有するニトロソ化されたアルブミン変異体、
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のアルブミン変異体を含む薬剤、及び
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のアルブミン変異体を含む一酸化窒素供与剤
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のニトロソ化アルブミン変異体は、従来の抗菌剤よりも低い濃度で、抗菌活性を示すため、わずかなニトロソ化アルブミン変異体を含有する薬剤組成物を投与するだけで、生体内で有効な抗菌活性を発揮することができる。
また、本発明のニトロソ化アルブミン変異体はNO (ニトロソ)ドナーとして、医薬品の一成分として用いることもできる。
さらに、本発明のニトロソ化アルブミン変異体は、ニトロソ基が凍結乾燥後も安定に存在することから、凍結乾燥による保存が可能である。
さらに、本発明のニトロソ化アルブミン変異体は、ニトロソ化するアルブミン変異体を遺伝子組み換え技術を用いて製造することにより、ウィルス等の感染の恐れがなく、安全に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、ニトロソ化とは、ニトロソ基(−NO)が付加されることである。アルブミン変異体のニトロソ化は、アルブミン変異体中のチオール基へニトロソ基が付加されることが好ましく、亜硝酸塩と反応させる等の公知の方法によって達成することができる。しかし、ヘモグロビンのようにタンパク質のニトロソ化に成功している例もあるが、一般的には、タンパク質にとってニトロソ化は厳しい条件での反応である。従って、より穏和な条件でのチオール基へのNOの導入が可能な方法を用いることが好ましく、イソアミルナイトライトを用いた方法(De Master E.G. et al., Biochemistry, 34, p.11494-11499, 1995)やn−ブチルナイトライトと反応させる方法(Meyer D.J. et al., FEBS Letters, 345, p.177-180, 1994)を好適に使用することができる。
【0014】
本発明のアルブミン変異体は、構成アミノ酸配列のうち1つ以上のアミノ酸残基が置換または挿入されたアルブミンである。好ましいアルブミン変異体は、構成アミノ酸配列のうち、一つ以上のアミノ酸残基が硫黄含有アミノ酸残基に変換された変異体である。硫黄含有アミノ酸残基としては、システイン残基、シスチン残基およびメチオニン残基が挙げられ、特にシステイン残基が好ましい。また、構成アミノ酸配列のアルギニン残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換されたアルブミン変異体が好ましく、さらに、構成アミノ酸配列の約410位のアルギニン残基が硫黄含有アミノ酸残基で置換されたアルブミン変異体が好ましい。本発明のアルブミン変異体としては、ヒトでの変異体の生存が確認されている、構成アミノ酸配列の約410位のアルギニン残基をシステイン残基に変異させたアルブミン変異体(以下、HSA-R410C)を好適に用いることができる。
本発明のアルブミン変異体において、置換または挿入されたアミノ酸残基数は約1〜10残基が好ましく、さらに好ましくは約1〜5残基である。
【0015】
HSAの完全なタンパク質配列は既に公表されているが(特許文献特開平8−228790等参照)、これまで発表されているHSAのタンパク質配列は、約20残基が一致しておらず、成熟タンパク質のアミノ酸総数も異なった複数のものがある。上記のアルブミン変異体であるHSA-R410Cもこれらの一種として天然にわずかに存在する。本発明においては、このように天然にわずかに存在するアルブミンであっても、天然に最も多く存在するアルブミン(本発明ではこれを天然アルブミンと呼んでいる)以外はアルブミン変異体に含まれる。また、本発明の1例として用いられるHSA-R410Cは、アミノ酸残基変異位置(Arg→Cys)は、アミノ酸総数の違いによって410位から1位以上ずれる場合もある。
【0016】
本発明のアルブミン変異体は、ヒト血清アルブミンの変異体であることが好ましく、また、遺伝子組み換えアルブミンであることが好ましい。全血の分画によって生産された血清アルブミンは、合理的な価格で多量に得ることはできないが、遺伝子組換え技術を応用し、アルブミンを効率よく生産するように遺伝子操作した微生物を使えば、上記アルブミン変異体等も豊富に生産することが可能である。HSAの完全なタンパク質配列は既に公表されており(特許文献特開平8−228790等参照)、本発明のアルブミン変異体は、種々公知の遺伝子組換え技術を応用した方法等により製造することができる。
【0017】
また、本発明のアルブミン変異体は、天然アルブミンと同様の生理活性を有することが好ましい。天然アルブミンと同様の生理活性とは、生体内で拒絶反応等を惹起せず、血流中で正常な浸透圧を維持する役目を果たし、また種々の血清分子を運搬する担体としての機能等の天然アルブミンと実質的に同じ機能を有することである。
【0018】
α1-PI の活性中心であるメチオニン(Met)を化学的に酸化したα1-PI(以下、α1-PIox)を、さらにS−ニトロソ化したα1-PIoxのS−ニトロソ化体(以下、S-NO-α1-PIox)について、そのin vitroにおけるネズミチフス菌 (Salmonella typhimurium)の増殖阻害活性を検討したところ、その抗菌活性はS-NO-α1-PIの約100倍強力で、数十nMで菌の増殖を阻害することが報告されている(特許文献3、非特許文献1参照)。これは、感染局所で産生されるS-NO-α1-PIが、NOと同時に産生される活性酸素種により酸化 (Metの酸化)されることで、その活性体の抗菌活性がさらに増強される可能性を示しており、本発明においても、ニトロソ化の前段階でアルブミン変異体のメチオニン(Met)残基等を酸化しておくことによって、さらに抗菌活性が増強されると考えられる。
【0019】
本発明のアルブミン変異体を含む一酸化窒素供与剤は、それらを主要構成成分とする抗菌剤、血管循環不全改善剤、抗血小板剤、虚血・再潅流障害抑制剤等として使用することができる。
【0020】
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
ヒト血清アルブミン(以下、HSA)のアミノ酸配列で410番目のアルギニン(Arg)がシステイン(Cys)に変異したHSA変異体 (以下、HSA-R410C)の組み換えタンパクを作製し、変異体の10倍モル量の1,4-dithiothreitol(以下、DTT)を加え、37℃、5分間反応させ、HSA中に存在する遊離型Cys残基のSH基の還元を行った。DTT処理によるHSAのSH基還元を確認するため、HSAとDTT等の不純物を分離した後、5,5’-dithiobis-2-nitrobenzoic acid(DTNB)法を用い、SH基の定量を行い、全ての遊離型Cys残基のSH基が還元されていることを確認した。次に、DTT処理HSAの100倍量の0.1M 硝酸イソアミルを加え、37℃で1時間反応させニトロソ化し、ニトロソ化HSA(S-NO-HSA)を得た。
【0022】
(比較例1)
native HSA(以下、nHSA)を用いて、実施例1と同様の反応を行い、ニトロソ化HSA(S-NO-nHSA)を得た。
【0023】
(比較例2)
α1-protease inhibitor(α1-PI)を用いて、実施例1と同様の反応を行い、ニトロソ化α1-PI(S-NO-α1-PI)を得た。
【0024】
(試験例1) HPLCによるS−ニトロソ化タンパクのNO付加率の定量
ニトロソ化タンパクのNO付加率の定量は、Akaikeら(T. Akaike, et al., J. Biochemistry, 122, 459-466, 1997)の方法により行った。すなわち、図1に示すHPLCによって分離した実施例1、比較例2及び比較例3で得られた各種S−ニトロソ化タンパクに溶出回路中で、Hg2+を加えてNO2-とし、更に、Griess試薬を混和し、flow reactorを構築し、NO2-とGriess試薬との反応生成物であるアゾ色素を540nmで測定することにより、各種S−ニトロソ化タンパクを分離・定量した。
【0025】
S-NO-proteinのNO付加率をHPLCで測定した結果を表1に示す。
比較例2(S-NO-a1-PI)はNO導入効率が約1.0 (mol/分子)であるのに対し、比較例1(S-NO-nHSA)では約0.3 (mol/分子)と極めて低かった。
これに対して、実施例1(S-NO-HSA-R410C)のNO導入効率は、約1.30 (mol/分子)と効率良くニトロソ化することが確認された。
【0026】
(表1) 各種S−ニトロソ化タンパクのNO付加率


【0027】
(試験例2)
凍結乾燥前後でのS−ニトロソ化タンパクのニトロソ基残存率を測定した。
実施例1、比較例2及び比較例3で得られた各種S−ニトロソ化タンパクを、1mM diethilenetriamine pentaacetic acid(DTPA)を添加したリン酸緩衝液(pH7.4)に溶かし、HPLCによりニトロソ基の残存量を測定し,そのpeak area を0時間のニトロソ基残存量として100%とし、経時的にニトロソ基を定量することにより残存量を評価した。また、同様に、凍結乾燥前後のニトロソ基量をHPLCで測定し、凍結乾燥前のピーク面積値を100%とし残存ニトロソ基量の評価を行った。結果を図2に示す。
【0028】
その結果、実施例1、比較例1及び比較例2で得られた各種S−ニトロソ化合物は、いずれも凍結乾燥前に対して凍結乾燥後に80 %以上の高いニトロソ基の残存率を示した。
また、データには示していないが、溶液中におけるS-NO-protein の安定性を検討したところ、いずれのS-NO-proteinも半減期が20日前後と非常に安定であることが確認された。
【0029】
(試験例3)
Salmonella typhimurium LT2株を用いて、各種S−ニトロソ化合物の活性を比較した。
Salmonella typhimurium LT2株を、20重量%のグルコースを添加した M9培地(Na2HPO4 64g、KH2PO4 15g、NaCl 2.5g、NH4Cl 5g /1L)で、1晩培養したものをM9で3回洗浄し、M9培地中で、菌数を2×106 cfu/mLに調整した。この培地に実施例1、比較例1または比較例2で得られた各種S−ニトロソ化タンパクや、比較例として一酸化窒素(NO)またはS−ニトロソグルタチオン(GS-NO)を加え、37℃で9時間反応後、波長655nmにおける吸光度を測定し、無添加のコントロール群の吸光度を100%としたときの比率を増殖率(%)として算出した。
【0030】
その結果を図3に示す。実施例1は、NOや低分子のGS-NOと比較して強力な抗菌活性を示し、さらに比較例1および比較例2と比べても優位な抗菌活性を示した。
従って、本発明のS−ニトロソ化された血清タンパクが、NOや低分子のGS-NO等と比較し、より強力な抗菌活性を有することが示された。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】HPLCによるS−ニトロソ化タンパクのNO付加率定量法の説明図である。
【図2】凍結前後でのS−ニトロソ化タンパクのニトロソ基残存率を示す図である。
【図3】各種S−ニトロソ化タンパクの抗菌活性を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
【出願日】 平成16年11月1日(2004.11.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−206577(P2005−206577A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−318429(P2004−318429)