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【発明の名称】 5α−プレグナン誘導体の製造方法
【発明者】 【氏名】小役丸 健一
【住所又は居所】岡山県備前市鶴海4342 クラレケミカル株式会社内

【要約】 【課題】スクアラミンの合成中間体として有用な(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−3−オン誘導体を効率よく製造する方法を提供すること。

【解決手段】一般式(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】



(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体の炭素−炭素二重結合を還元することを特徴とする、一般式(II)
【化2】



(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体の製造方法。
【請求項2】
およびR12が水素原子である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
およびR11が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
およびR11がtert−ブチルジメチルシリル基である請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
およびR11が水素原子である請求項2記載の製造方法。
【請求項6】
(a)一般式(III)
【化3】



(式中、R21は水酸基の保護基を表し、R22は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体の炭素−炭素二重結合を還元することにより、一般式(IV)
【化4】



(式中、R31は水酸基の保護基を表し、R32は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体を得る工程;および
(b)前記一般式(IV)で示される5α−プレグナン誘導体の水酸基の保護基を脱保護する工程を包含することを特徴とする、式(V)
【化5】



で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造方法。
【請求項7】
22およびR32が水素原子である請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
21およびR31が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)である請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
21およびR31がtert−ブチルジメチルシリル基である請求項8記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スクアラミンの合成中間体として有用な5α−プレグナン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(VI)
【0003】
【化1】


【0004】
で示されるスクアラミン(squalamine)は、グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌などに対する強力な抗菌活性を有するとともに、抗ガン活性を有することが報告され、新たな抗生物質として注目されている化合物である。
【0005】
従来、スクアラミンはサメの肝臓から抽出されていたが、その含有率が0.001〜0.002重量%と極めて低く、抽出効率が悪いため、化学的合成方法が種々検討されてきた。特に、式(V)
【0006】
【化2】


【0007】
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(特許文献1、非特許文献1参照)および式(VII)
【0008】
【化3】


【0009】
で示される(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(特許文献2参照)は、比較的短工程でスクアラミンに導くことができる有用な中間体であることが知られている。
【0010】
従来、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、5位をα体に立体選択的に還元することを目的として(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−4−エン−3−オンを液体アンモニア中で30当量以上の金属リチウムを用いる、いわゆるバーチ還元に付する方法(特許文献1参照)、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを液体アンモニア中で10当量の金属リチウムを用いてバーチ還元する方法(特許文献3参照)などが開発されてきた。
【0011】
また、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを製造する方法としては、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンを上記と同様に還元して(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンを得た後、21位の水酸基をtert−ブチルジメチルシリル基で保護する方法(特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】国際公開第01/79255号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/51904号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/20552号パンフレット
【非特許文献1】「オーガニック レターズ(Organic Letters)」,2000年、第2号、p.2921
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記の方法の収率は高いものでも71%にとどまり、プレグナン誘導体が高価な原料であることを考えれば、好適な製造方法とは言えず、工業的な実施を行うにはなお改良の余地がある。
【0013】
しかして、本発明の目的は、スクアラミンの合成中間体として有用な(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン誘導体を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
スクアラミンは、5位にα位の水素原子を有するステロイドA環とB環がトランスである立体配置を有している。前記従来反応では、これを立体選択的に構築するため、4,5位に二重結合を持つ不飽和ケトンを原料化合物として、溶解金属還元(バーチ還元)を用いることにより立体選択的に5α体に変換されたケトン誘導体を得ている。この反応は、不飽和ケトンを飽和ケトンに変換する、いわゆる部分還元に相当し、通常工業的に用いられる水素と比べて高価かつ反応性が高く危険なリチウムなどの金属、および取り扱いが比較的困難であるアンモニアなどのアミンを用いるばかりでなく、副反応として飽和ケトンの還元によるアルコール体を生成することが判明している。この反応を抑制するためには部分還元に必要なだけの量の還元剤を使用して反応を行うことが望ましいが、活性が高い金属リチウムが、水分、その他の夾雑物とより速く反応して消費されてしまうため、原料に対する当量の制御が困難であり、実際には原料の転化率を高めるため大過剰の金属が用いられて、その結果、副生物であるアルコール体の生成を回避することは困難であった。
【0015】
このような不都合は、還元の立体選択性は高いものの、化学種選択性の制御が比較的困難である溶解金属還元(バーチ還元)により、4,5位に炭素−炭素二重結合を持ちかつ3位にケトンを有する化合物の4,5位の炭素−炭素二重結合のみを還元しようとすることに起因するものであるとの考えから、かかる還元反応を用いず目的とする5αの立体化学を持つ目的とする化合物を得る方法について鋭意検討した結果、5α−1,2−エン−3−オン誘導体の1,2位の炭素−炭素二重結合を選択的に還元する方法を見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)一般式(I)
【0017】
【化4】


【0018】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(I)と呼ぶことがある。)の炭素−炭素二重結合を還元することを特徴とする、一般式(II)
【0019】
【化5】


【0020】
(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(II)と呼ぶことがある。)の製造方法。
(2)RおよびR12が水素原子である上記(1)記載の製造方法。
(3)RおよびR11が三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)である上記(2)記載の製造方法。
(4)RおよびR11がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(3)記載の製造方法。
(5)RおよびR11が水素原子である上記(2)記載の製造方法。
(6)(a)一般式(III)
【0021】
【化6】


【0022】
(式中、R21は水酸基の保護基を表し、R22は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(III)と呼ぶことがある。)の炭素−炭素二重結合を還元することにより、一般式(IV)
【0023】
【化7】


【0024】
(式中、R31は水酸基の保護基を表し、R32は水素原子または水酸基の保護基を表す。)で示される5α−プレグナン誘導体(以下、本明細書において化合物(IV)と呼ぶことがある。)を得る工程;および
(b)化合物(IV)の水酸基の保護基を脱保護する工程を包含することを特徴とする、式(V)
【0025】
【化8】


【0026】
で示される(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(以下、本明細書において化合物(V)と呼ぶことがある。)の製造方法。
(7)R22およびR32が水素原子である上記(6)記載の製造方法。
(8)R21およびR31が三置換シリル基(該三置換シリル基は、前記定義のとおりである。)である上記(7)記載の製造方法。
(9)R21およびR31がtert−ブチルジメチルシリル基である上記(8)記載の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、スクアラミンの合成中間体として有用な、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン誘導体を製造する方法において、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン誘導体の炭素−炭素二重結合を還元反応に付すことにより、立体選択的に5α体に変換されたケトン誘導体を高収率で製造することができる。
すなわち、原料として(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン誘導体を使用することにより、所望に応じて様々な還元反応を自由に採用できることから、スクアラミンの製造中間体として有用な5α−プレグナン誘導体を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
1.記号の説明
上記一般式中、R、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基としては、水酸基の保護基として作用する限りどのような保護基でもよく、例えば置換基を有していてもよいアルキル基;置換基を有していてもよいアシル基(例えば、ホルミル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基など);置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基;カルバモイル基(例えば、窒素原子が置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基);三置換シリル基(該三置換シリル基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいアリールオキシ基からなる群から選ばれる、同一または異なる置換基を3つ有する。)などが挙げられる。
【0029】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基としてのアルキル基;アシル基の部分としてのアルキル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;アルコキシカルボニル基の部分としてのアルキル基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;三置換シリル基が有するアルキル基、ならびに三置換シリル基が有するアルコキシル基の部分としてのアルキル基、三置換シリル基が有するアリール基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は1〜12であるのが好ましく、1〜8であるのがより好ましい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0030】
上記のアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;ビニル基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜10であり、置換基を有していてもよいアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基(当該アルコキシル基は、水酸基の保護基であるアルキル基と一緒になって環構造(例えばテトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環など)を形成していてもよい。);ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
【0031】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアルケニル基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;アリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基;三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、その炭素数は2〜12であるのが好ましく、2〜8であるのがより好ましい。かかるアルケニル基としては、例えばビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、1−オクテニル基、1−ドデセニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0032】
上記のアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばフェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8のアルコキシル基;ベンジルオキシ基などの炭素数が7〜12、好ましくは7〜11のアラルキルオキシ基;アリルオキシ基などの炭素数が2〜12、好ましくは2〜8のアルケニルオキシ基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数が6〜12、好ましくは6〜10であり、置換基を有していてもよいアリールオキシ基などが挙げられる。
【0033】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基としてのアシル基の部分としてのアリール基およびアシル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;アリールオキシカルボニル基の部分としてのアリール基およびアリールオキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;カルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアリール基;三置換シリル基が有するアリール基、三置換シリル基が有するアリールオキシ基の部分としてのアリール基ならびに三置換シリル基が有するアリール基、アルコキシル基およびアリールオキシ基が有していてもよい置換基としてのアリール基は、炭素数6〜10であることが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0034】
上記のアリール基は置換基を有していてもよい。置換基の数に特に限定はないが、1〜6個が好ましく、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルコキシル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、シクロペンタンカルボニルオキシ基、シクロヘキサンカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシベンゾイルオキシ基、ニトロベンゾイルオキシ基などの直鎖状、分岐状または環状の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアシルオキシ基;ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。
【0035】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、トリチル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、2−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基が好ましい。
【0036】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ニトロベンゾイル基、メトキシアセチル基、クロトノイル基、シンナモイル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基などが挙げられ、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基が好ましい。
【0037】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などが挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基が好ましい。
【0038】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基の具体例としては、フェノキシカルボニル基、p−ニトロフェノキシカルボニル基などが挙げられ、フェノキシカルボニル基が好ましい。
【0039】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、カルバモイル基の具体例としては、窒素原子が有する任意の水素原子が、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基などの直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数が1〜12であるアルキル基、ベンジル基などの炭素数が7〜12であるアラルキル基、アリル基などの炭素数が2〜12であるアルケニル基またはフェニル基、メトキシフェニル基、ナフチル基などの置換基を有していてもよい炭素数が6〜10であるアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基などが挙げられる。
【0040】
、R、R11、R12、R21、R22、R31およびR32が表す水酸基の保護基のうち、三置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、tert−ブチルメトキシフェニルシリル基などが挙げられ、tert−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基が好ましく、tert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
【0041】
、R11、R21およびR31としては、三置換シリル基が好ましく、中でもtert−ブチルジメチルシリル基がより好ましい。
【0042】
化合物(I)および化合物(III)における7位水酸基は、保護されていても保護されていなくてもどちらでもよいが、保護基の導入反応を省略できるという観点からは保護されていないことが好ましい。すなわち、R、R12、R22およびR32としては、水素原子が好ましい。
【0043】
2.還元方法、反応条件
化合物(I)の炭素−炭素二重結合を還元して化合物(II)を製造する方法、または化合物(III)の炭素−炭素二重結合を還元して化合物(IV)を製造する方法に適用することができる還元方法は、例えば遷移金属触媒を用いた接触還元、ヒドリド還元剤による還元、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を作用させる還元方法などが挙げられる。これらのうち、ケトンの還元を抑制し、炭素−炭素二重結合のみを選択的に還元するという観点から、遷移金属触媒を用いた接触還元が好ましい。以下、好ましい態様である遷移金属触媒を用いた接触還元について説明するが、還元方法はこれに限定されるものではない。
【0044】
接触還元は、化合物(I)または化合物(III)を、遷移金属触媒の存在下、還元剤と反応させることにより行なう。
【0045】
接触還元に用いる遷移金属触媒の金属種としては、例えばルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金などが挙げられる。これらの中でも、ニッケル、パラジウム、白金が好ましく、パラジウムが最も好ましい。遷移金属触媒の形態は、反応系で溶解する錯体触媒(例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム)、反応系に溶解しない不均一系触媒(例えばパラジウムカーボン、水酸化パラジウム、パラジウム黒、酸化白金)のどちらでもよいが、反応系からの分離が容易な不均一系触媒、中でもパラジウムカーボン、パラジウム黒が好ましい。
遷移金属触媒の使用量は、通常、原料である化合物(I)または化合物(III)の全質量に対して0.01〜100質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲である。
【0046】
還元剤としては、分子状水素、ギ酸およびその塩などが挙げられ、分子状水素が好ましい。
分子状水素を還元剤に用いる場合の水素分圧は、1×10〜1×10Paの範囲であるのが好ましく、1×10〜1×10Paの範囲であるのがより好ましい。
【0047】
接触還元の反応温度は、好ましくは0℃〜150℃の範囲であり、より好ましくは20℃〜100℃の範囲である。反応時間は反応条件によって異なるが、工業的な観点からは、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
【0048】
また、接触還元反応は、通常、溶媒の存在下で行なわれる。溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルなどのエステル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−オクタノールなどのアルコール;アセトニトリルなどのニトリル;N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、これらは単独または組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロプロピルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(I)または化合物(III)に対して1〜200質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
【0049】
当該還元反応で得られる化合物(II)または化合物(IV)の単離・精製方法は、特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば触媒の除去、抽出操作などの後、再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどにより、化合物(II)または化合物(IV)を単離・精製できる。
【0050】
当該還元反応において、化合物(I)におけるRおよびRで表される水酸基の保護基は、化合物(II)におけるR11およびR12で表される水酸基の保護基と同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、化合物(III)におけるR21およびR22で表される水酸基の保護基は、化合物(IV)におけるR31およびR32で表される水酸基の保護基と同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、R、R、R21およびR22が表す水酸基の保護基は、脱保護可能な範囲において還元工程を実施することにより任意に変化してもよく、例えばクロトノイル基は、還元反応によってブタノイル基に変化してもよい。
また、R、R、R21およびR22が表す水酸基の保護基は当該還元工程を実施することによって脱保護を受けてもよい。
【0051】
3.水酸基の保護基の脱保護方法、反応条件
水酸基の保護基の脱保護に用いられる反応条件は、特に限定されるものではないが、保護基の種類に応じて通常用いられる反応条件を選択して使用することができる。
例えば、水酸基の保護基が好ましい態様である三置換シリル基である場合は、化合物(IV)を酸またはフッ化物塩と反応させることにより、脱保護することができる。以下、当該態様について説明するが、脱保護反応がこれに限定されるものではない。
【0052】
酸の種類としては特に限定はなく、例えば塩酸、硫酸、フッ化水素酸、臭化水素酸などの無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。フッ化物塩としては、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。
酸の使用量は、化合物(III)に対して0.01〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは0.1〜5モル倍の範囲である。
フッ化物塩の使用量は、化合物(III)に含有される脱保護されるべき保護基の数によって決定される。好ましくは保護基1つに対して1〜10モル倍の範囲であり、より好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
【0053】
また、脱保護反応は溶媒の存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、好ましくは化合物(IV)に対して1〜100質量倍の範囲であり、より好ましくは3〜50質量倍の範囲である。
【0054】
反応温度は、好ましくは−20℃〜120℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜80℃の範囲である。反応時間は、好ましくは0.1〜20時間の範囲であり、より好ましくは1〜10時間の範囲である。
【0055】
このようにして得られる化合物(V)の単離・精製方法は特に制限されず、有機化合物の単離・精製に通常用いられる方法を採用することができる。例えば、抽出操作などの後、再結晶またはカラムクロマトグラフィーなどの操作により化合物(V)を単離・精製できる。
【0056】
4.原料の確保
本発明における原料化合物である、化合物(I)または化合物(III)は、例えば(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンまたはその21位水酸基を保護基で保護した誘導体にリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属またはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの金属を作用させることにより製造することができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0058】
参考例1
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量200mlのフラスコに、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(8.79g、25.5mmol)、イミダゾール(2.60g、38.3mmol)およびテトラヒドロフラン(100ml)を入れて攪拌しながら溶解させ、氷冷した。この溶液に、tert−ブチルジメチルクロロシラン(5.00g、33.2mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解した溶液を内温が0℃〜10℃に保たれるように滴下し、添加終了後、室温まで昇温してさらに1時間攪拌した。反応液を水(200ml)に加え、酢酸エチル(100ml)で2回抽出した。水層を分離し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記の物性を有する(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(11.11g)を得た(収率95%)。
【0059】
H−NMRスペクトル(270MHz、 CDCl、 TMS、 ppm) δ: 0.03(s, 6H), 0.76(s, 3H), 0.89(s, 9H), 0.99(d, 3H, J=6.9Hz), 1.1−1.8(15H), 2.03(dt, 1H, J=3.0, 12.9Hz), 2.48(dd, 1H, J=3.0, 13.9Hz), 2.75(dt, 1H, J=2.0, 13.9Hz), 3.28(dd, 1H, J=6.9, 9.9Hz), 3.56(dd, 1H, J=3.0, 9.9Hz), 4.05(bs, 1H), 6.14(dd, 1H, J=0.9, 2.0Hz), 6.24(dd, 1H,J=2.0, 9.9Hz), 7.08(d, 1H, J=9.9Hz).
【0060】
参考例2
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量500mlの三口フラスコに、テトラヒドロフラン(170ml)、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3−オン(10.00g、21.8mmol)、t−ブタノール(3.23g、43.6mmol)を加え、−50℃以下に冷却し、液体アンモニア(170ml)を加えた。次いで、金属リチウム(0.32g、46.1mmol)を−50℃〜−40℃に保ちながらゆっくり加え、添加終了後さらに−40℃で2時間攪拌した。反応液に酢酸アンモニウム(1.17g、15.2mmol)を加えた後、反応液を室温まで徐々に昇温しながら12時間攪拌し、アンモニアを除去した。得られたテトラヒドロフラン溶液に15質量%硫酸水溶液を加えて水層のpHを4〜6とした後、有機層と水層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記の物性を有する(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(7.86g)を得た(収率78%)。
【0061】
H−NMRスペクトル(270MHz、 CDCl、 TMS、 ppm) δ: 0.03(s, 6H), 0.71(s, 3H), 0.89(s, 9H), 1.00(d, 3H, J=6.9Hz), 1.00(s, 3H), 1.18−2.60(18H), 3.27(dd, 1H, J=6.9, 10.9Hz), 3.57(dd, 1H, J=3.0, 10.9Hz), 3.89(bs, 1H), 5.87(d, 1H, J=9.9Hz), 7.13(d, 1H, J=9.9Hz).
【0062】
参考例3
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの製造
100mlの三口フラスコに、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(5.00g、10.9mmol)、テトラヒドロフラン50ml、1Mフッ化テトラブチルアンモニウム(10.9ml、10.9mmol)を加え、40℃で4時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、水(50ml)を添加した。これを酢酸エチルで抽出、濃縮した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の物性を有する(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(3.69g)を得た(収率98%)。
【0063】
H−NMRスペクトル(270MHz、 CDCl、 TMS、ppm) δ: 0.71(s, 3H), 1.00(s, 3H), 1.08(d, 3H, J=6.9Hz), 1.18−2.60(18H), 3.33−3.42(1H), 3.61−3.68(1H), 3.89(bs, 1H), 5.86(d, 1H, J=9.9Hz), 7.13(d, 1H, J=9.9Hz).
【0064】
実施例1
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、50mlの三口フラスコに、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(2.00g、5.7mmol)、テトラヒドロフラン(20ml)、10%パラジウムカーボン(20mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で22時間反応させた。室温に冷却し、窒素雰囲気に置換した後、触媒をろ別してろ液を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記の物性を有する(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(1.90g)を得た(収率95%)。
【0065】
H−NMRスペクトル(270MHz、 CDCl、 TMS、 ppm) δ: 0.71(s, 3H), 1.01(s, 3H), 1.04(d, 3H, J=6.9Hz), 1.0−2.5(22H), 3.34(dd, 1H,J=6.9, 10.9Hz), 3.61(dd, 1H, J=3.0, 10.9Hz), 3.84−3.85(brs, 1H).
【0066】
実施例2
(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
100mlの三口フラスコに、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オン(2.00g、4.3mmol)、テトラヒドロフラン(50ml)、10%パラジウムカーボン(50mg)を加えた後、水素雰囲気に置換して常圧下、50℃で8時間反応させた。HPLC分析にて(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−1−エン−3−オンの消失を確認した後、室温に冷却し窒素雰囲気に置換し、触媒をろ別した。ろ液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記の物性を有する(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(1.87g)を得た(収率93%)。
【0067】
H−NMRスペクトル(270MHz、 CDCl、 TMS、 ppm) δ: 0.03(s, 6H), 0.71(s, 3H),0.88(s, 9H), 0.98(d, 3H, J=6.9Hz), 1.00(s ,3H), 1.1−2.4(22H), 3.28(dd, 1H, J=6.9, 10.9Hz), 3.56(dd, 1H, J=3.0, 10.9Hz), 3.87(bs, 1H).
【0068】
実施例3
(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オンの製造
窒素雰囲気下、容量100mlの三口フラスコに、(20S)−21−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−7α−ヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(4.63g、10.0mmol)、テトラヒドロフラン(30ml)、6N塩酸(2ml)を加え、40℃で2時間攪拌した。TLCで原料の消失を確認後、10%水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を添加した。これにトルエン(30ml)を加え、常圧下加熱してテトラヒドロフランを除去した後、30℃以下に冷却してろ過した。ろ取物を水(10ml)で2回洗浄し、次いでトルエン(10ml)で2回洗浄した後、真空乾燥することにより、(20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン(3.31g)を得た(収率95%)。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明により製造される化合物(II)および化合物(V)((20S)−7α,21−ジヒドロキシ−20−メチル−5α−プレグナ−3−オン)は、国際公開第01/79255号パンフレットに記載の方法により、スクアラミンに容易に導くことができる。したがって、本発明の方法は、スクアラミンの合成中間体の製造に有利に利用される。
【出願人】 【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
【住所又は居所】岡山県倉敷市酒津1621番地
【出願日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【代理人】 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一

【公開番号】 特開2005−314405(P2005−314405A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2005−100945(P2005−100945)