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【発明の名称】 新規なアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノール
【発明者】 【氏名】岩井 竜也
【住所又は居所】和歌山県和歌山市小雑賀二丁目5番115号 本州化学工業株式会社総合研究所内

【氏名】良知 照
【住所又は居所】和歌山県和歌山市小雑賀二丁目5番115号 本州化学工業株式会社総合研究所内

【氏名】塩見 泰一
【住所又は居所】和歌山県和歌山市小雑賀二丁目5番115号 本州化学工業株式会社総合研究所内

【要約】 【課題】電子表示材料原料或いは各種の機能性化学品やその原料等として有用な新規アルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールの提供。

【解決手段】一般式1で表されるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1で表されるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノール
【化1】


一般式1
(式中、R1、R2は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を示す。)
【請求項2】
下記一般式2で表される1―(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン類に、アルカリの存在下、2−ハロアルキルビニルエーテル類を反応させて得られるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールの製造方法。
【化2】


一般式2
(式中、R2及びnは一般式1のそれと同じである。)
【化3】


一般式3
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1は一般式1のそれと同じである。)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールに関する。本発明は、さらに詳細には、1―(4−オキシフェニル)−4,4−ビス(4―オキシフェニル)シクロヘキサン骨格の3つのオキシフェニル基にアルキルビニルエーテル基が付加した1―(4−アルキルビニルエーテルーオキシフェニル)−4、4−ビス(4−アルキルビニルエーテルーオキシフェニル)シクロヘキサン類に関する。
このようなアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールは、電子表示材料原料或いは各種の機能性化学品又はその原料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、シクロヘキサン環に3つのフェノール基が結合した、3核体ポリフェノールとしては、例えば、1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1―(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が知られている(特開2000−63308号公報)。
これらの3核体ポリフェノールは、分子構造が非対称であり、しかも高い親油性、耐熱性を有している。しかしながら、末端反応基がヒドロキシフェニル基であるため、電子表示材料原料又は各種の機能性化学品やその原料として用いる場合、使用が制限され、従って、各種の用途に使用できる3核体ポリフェノールの開発が望まれている。
【0003】
【特許文献】
【特許文献1】特開2000−63308号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の、3核体ポリフェノールにおける上述したような問題を解決するためになされたものであって、末端のヒドロキシフェニル基にアルキルビニルエーテル基を置換した新規な3核体ポリフェノールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式1で表されるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールを提供することができる。
【0006】
【化4】


一般式1
【0007】
本発明による上記一般式1で表されるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールにおいて、R1、R2は各々独立して炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を示す。
【0008】
本発明では、下記一般式2で表される1―(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン類に、アルカリの存在下、2−ハロアルキルビニルエーテル類を反応させることによって、電子表示材料原料あるいは各種の機能性化学品又はその原料として有用な、上記一般式1で示される新規アルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールを製造することができる。
【0009】
【化5】


一般式2
(式中、R2及びnは一般式1のそれと同じである。)
上記一般式1において、R1又はR2の炭素原子数1〜4のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、直鎖状又は分岐鎖状のプロピル基、ブチル基等が挙げられる。好ましいR1はエチル基、n―プロピル基、イソプロピル基である。また、好ましいR2はメチル基であり、好ましいnは0である。
【0010】
したがって、本発明における一般式1のアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールとしては、具体的には、例えば、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシメチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシn−プロピル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシー5−メチルエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシー5−エチルエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシー5−メチルプロピルエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン、1−(4−1−ビニルオキシメチル)−4,4−ビス[3―メチルー4−(1−ビニルオキシメチル)−オキシフェニル]シクロヘキサン、1−(4−1−ビニルオキシエチル)−4,4−ビス[3―メチルー4−(1−ビニルオキシエチル)−オキシフェニル]シクロヘキサン、1−(4−1−ビニルオキシメチル)−4,4−ビス[3、5―ジメチルー4−(1−ビニルオキシメチル)−オキシフェニル]シクロヘキサン、1−(4−1−ビニルオキシエチル)−4,4−ビス[3、5―ジメチルー4−(1−ビニルオキシエチル)−オキシフェニル]シクロヘキサン等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0011】
このような本発明によるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールは、例えば、アルカリ触媒の存在下に、必要に応じて、反応溶媒中、下記一般式2で表される、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン類に、一般式3で表される2−ハロアルキルビニルエーテルを反応させさせることによって得ることができる。
【0012】
【化6】


一般式2
(式中、R2及びnは一般式1のそれと同じである。)
【0013】
【化7】


一般式3
(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1は一般式1のそれと同じである。)
【0014】
上記一般式2及び一般式3において、R1、R2及びnは一般式1のそれと同じであり、また、Xはハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子である。
【0015】
本発明におけるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールの製造では、、上記一般式2で表される1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンは、例えば、特開2000−63308号公報記載の方法等により容易に得ることができる。
【0016】
また、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの具体例としては、一般式1で表されるアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールに対応して、例えば、1、4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(3、5−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一般式3で表される2−ハロアルキルビニルエーテルとしては、具体的には、例えば、2―クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロローn−プロピルビニルエーテル、2−クロロー2−メチルエチルビニルエーテル、2−クロロ−2−エチルエチルビニルエーテル、2−クロロ−2−メチルプロピルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0017】
上記、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンと2−ハロアルキルビニルエーテルとの反応において、2−ハロアルキルビニルエーテルは1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン 1モル部に対して、通常、3〜5モル部の範囲、好ましくは3.5〜4モル部の範囲で用いられる。
上記、1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンと2−ハロアルキルビニルエーテルとの反応において、反応溶媒は用いてもよく、また、用いなくてもよい。反応溶媒を用いる場合、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、1−ブタノール等の極性の高い溶媒又はこれらの混合溶媒が用いられる。このような溶媒は、通常、用いる1−(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4―ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン100重量部に対して、通常、200〜500重量部の範囲で用いられる。
【0018】
本発明において、上記アルカリ触媒としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられる。これらのうちでは、好ましくは水酸化ナトリウムである。さらに,本発明によれば、反応を促進するために、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の助触媒を用いることができる。
反応は、通常、60〜90℃の範囲、好ましくは70〜80℃の範囲で行われる。
【0019】
また、反応圧力は、通常、常圧下において行われる。
このような反応条件において、反応は、通常、3〜10時間程度で終了する。
反応終了後、反応生成混合物は、必要に応じ、公知の方法等により、精製することができる。
例えば、反応終了後,得られた反応混合物に、芳香族等の有機溶媒と水を加えて洗浄し、その後、分液等により水層を分離除去して、目的物を含む有機層を得、必要に応じて、得られた有機層を常圧又は減圧下に蒸留した後、これに適宣の晶析溶媒を加えるかして、粗結晶を析出させ、これを濾過、乾燥することによって、目的物の粗製品を得ることができる。さらに、必要に応じて、例えば適宣の溶剤晶析等の精製方法により、目的とするアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールの高純度品を得ることができる。
【0020】
上記晶析溶剤としては、具体的には、晶析条件、精製効果、経済性等を考慮して、適宣に選ばれるが、芳香族系炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができる。また、脂肪族炭化水素としては、n―ヘキサン、n―ヘプタン、n―オクタン等、脂肪族ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等、脂肪族アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等を挙げることができる。
【0021】
【実施例1】
<1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサンの合成:化合物1>
温度計、攪拌機、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた500mL容量の4つ口フラスコに、1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン40.3g(0.11モル)、ジメチルスルホキシド121g及び96%水酸化ナトリウム水溶液16.5gを仕込み、窒素置換した後、温度70℃に昇温し、1時間攪拌した後、これに2−クロロエチルビニルエーテル42.2g(0.4モル)を20分かけて滴下した。滴下終了後、温度約70℃で、さらに6時間、攪拌した。
反応終了後、反応終了混合物にトルエン150g及び純水150gを加えて水洗し,水層を分離し、目的物を含む有機層を得た。得られた有機層から、大気圧下で溶媒を約83g留去させた後、これにn−ヘプタン120gを添加し、冷却して析出した結晶を濾過して粗結晶を得た。
次いで、この粗結晶にトルエン110g、と水55gを添加した後、再度上記同様の精製操作を行い、n−ヘプタン溶液から析出した結晶を濾過、乾燥して、目的物の1,4,4−トリス[4−(1−ビニルオキシエチル)―オキシフェニル]シクロヘキサン45.3g(純度99.8%、液体クロマトグラフィー法による)を得た。
原料1,4,4−トリス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに対する収率は72.2モル%であった。
【0022】
【化8】


【0023】
融点 122℃(示差熱分析法)
分子量570(M+ 質量分析法)
プロトンNMR分析(重アセトン溶媒、400MHz)
【0024】
【表1】


【0025】
【発明の効果】
本発明による新規なアルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールは、1―(4−ヒドロキシフェニル)−4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン類に対して、アルカリの存在下に、2−ハロアルキルビニルエーテル類を反応させることによって高純度のものを容易に製造することができる。得られた新規アルキルビニルエーテル置換3核体ポリフェノールは、分子構造が非対称で、高い親油性、耐熱性を有しており、さらに分子末端がアルキルビニルエーテル置換であるため、電子表示材料原料或いは機能性化学品やその原料等の用途において反応性原料として高い有用性を有している。
【出願人】 【識別番号】000243272
【氏名又は名称】本州化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目1番1号
【出願日】 平成15年6月16日(2003.6.16)
【代理人】 【識別番号】100105061
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 喜博

【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎

【公開番号】 特開2005−2074(P2005−2074A)
【公開日】 平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願番号】 特願2003−170430(P2003−170430)