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【発明の名称】 牽引フック取付部構造
【発明者】 【氏名】飛田 一紀
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【課題】衝撃荷重がビーム部材から直接的にフレーム部材に伝達されないようにした牽引フック取付部構造を提供する。

【解決手段】牽引方向に沿って設けられたサイドフレーム13に、中空閉断面形状を有するジョイント部材11を該ジョイント部材11を貫通するボルト19を介して取り付け、このジョイント部材11に前記ボルト19を介して牽引フック4を取り付ける牽引フック取付部構造であって、前記ボルト19の軸線C1が、牽引フック4の軸線C2とは異なることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引方向に沿って設けられたフレーム部材に、中空閉断面形状を有するビーム部材を該ビーム部材を貫通する締結部材を介して取り付け、このビーム部材に前記締結部材を介して牽引フックを取り付ける牽引フック取付部構造であって、前記締結部材の軸線が、牽引フックの軸線とは異なることを特徴とする牽引フック取付部構造。
【請求項2】
前記締結部材は、前記ビーム部材の外側に設けた取付ブラケットによって前記牽引フック又は前記フレーム部材に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の牽引フック取付部構造。
【請求項3】
前記取付ブラケットは、中空状のフレーム部材の外側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の牽引フック取付部構造。
【請求項4】
前記締結部材は、前記ビーム部材の中空断面内に設けられるバルクヘッドを介して取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の牽引フック取付部構造。
【請求項5】
前記締結部材の周囲には、カラーが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の牽引フック取付部構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に用いられる牽引フック取付部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には車体前端部や車体後端部に牽引フックが取り付けられたものがある。牽引フックの取付部には牽引荷重がかかるため、この取付部分には様々な構造が提案されている。例えば、中空断面形状を有するビーム部材を貫通するボルトによって、牽引方向に沿って設けられた車体のフレーム部材にビーム部材を介して牽引フックを取り付ける構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−39911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術にあっては、牽引荷重を強度剛性上有利な車体のフレーム部材で受けとめると共にボルトにより牽引強度を高めることができる反面、ビーム部材に作用する衝撃荷重が直接的にフレーム部材に伝達されてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、この発明は、衝撃荷重がビーム部材から直接的にフレーム部材に伝達されないようにした牽引フック取付部構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、牽引方向に沿って設けられたフレーム部材(例えば、実施形態におけるサイドフレーム13)に、中空閉断面形状を有するビーム部材(例えば、実施形態におけるジョイント部材11)を該ビーム部材を貫通する締結部材(例えば、実施形態におけるボルト19)を介して取り付け、このビーム部材に前記締結部材を介して牽引フック(例えば、実施形態における牽引フック4)を取り付ける牽引フック取付部構造であって、前記締結部材の軸線(例えば、実施形態における軸線C1)が、牽引フックの軸線(例えば、実施形態における軸線C2)とは異なることを特徴とする。
このように構成することで、牽引荷重が牽引フックに作用すると、この荷重は牽引フックから車体骨格部材であるビーム部材を介して、牽引フックとは軸線の異なる位置にある締結部材を介してフレーム部材に伝達される。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記締結部材は、前記ビーム部材の外側に設けた取付ブラケット(例えば、実施形態におけるバンパビームブラケット15,サイドフレームブラケット16)によって前記牽引フック又は前記フレーム部材に連結されていることを特徴とする。
このように構成することで、取付ブラケットを介在させて締結部材を牽引フック又はフレーム部材に連結することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記取付ブラケットは、中空状のフレーム部材の外側に設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、取付ブラケットをフレーム部材の外側から取り付けることができ、衝撃荷重が作用した場合にフレーム部材が取付ブラケットの変形を妨げるのを回避できる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記締結部材は、前記ビーム部材の中空断面内に設けられるバルクヘッド(例えば、実施形態におけるバルクヘッド17)を介して取り付けられていることを特徴とする。
このように構成することで、ビーム部材自体の強度を高めつつ、締結部材の取付強度を高めることが可能となる。
【0009】
請求項5に記載した発明は、前記締結部材の周囲には、カラー(例えば、実施形態におけるカラー24)が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、ビーム部材の潰れ方向の力に対抗することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、大きな牽引荷重を充分に受け止め、かつ衝撃荷重が直接伝達されるのを回避する構造とすることができる効果がある。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、取付ブラケットによって簡単かつ取付容易な構造とすることができる効果がある。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、取付容易であって、かつ、取付ブラケットの変形自由度を確保して、衝撃吸収できるという効果がある。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、締結部材の取付強度を高め、更に確実に牽引力を受け止める構成とすることができる効果がある。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、更に確実に牽引力を受け止める構成とすることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、Rrはリヤ側、OUTは車室外側を示している。
図1に示すように、車体1の後部に設けた後部開口部2にはテールゲート3が開閉可能に設けられ、前記後部開口部2の下部に後述する牽引フック4の取り付け部が設けられている。
具体的には、リヤバンパ6のバンパフェイス7の一部に開口部8が形成され、この開口部8が蓋9で閉塞されている。そして、この蓋9を開いた状態で、バンパフェイス7の内部で後方に向かって突出するソケットナット5に牽引フック4がねじ込み固定されるようになっている。
【0016】
図2は車体後部の下部を運転席側から見た斜視図である。同図において前記後部開口部2の下辺を構成するリヤパネル10にはジョイント部材11を介して、リヤピラー12が接続されている。これらリヤパネル10、ジョイント部材11及びリヤピラー12はともに中空断面形状の部材で車体骨格部を形成するものであり、テールゲート3の支持剛性を含む車体後部の強度剛性を確保できるようになっている。前記ジョイント部材11には車体前後方向に沿って設けられたサイドフレーム13の後端部が前側から接続されている。
このサイドフレーム13はハット型断面形状を有しており、リヤフロア14の下面に接続されてリヤフロア14下に車体前後方向に沿って中空断面形状の車体骨格部を形成している。
【0017】
図3は車体後部を斜め左側から見た斜視図、図4は図3の側面図である。図3、図4に示すようにリヤパネル10の後壁にはバンパビームブラケット15が取り付けられている。そして、このバンパビームブラケット15の上壁15aに前記ソケットナット5が取り付けられ、このソケットナット5に牽引フック4がねじ込み固定されるようになっている。ここで、前記バンパビームブラケット15はサイドフレーム13のリヤパネル10に対する取付部に対して上下方向で下側にややオフセットした位置に取り付けられている。
【0018】
具体的に前記牽引フック4の取付部構造を図5に基づいて説明する。同図において前述したハット型断面形状のサイドフレーム13は牽引方向、つまり車体前後方向に沿って設けられた部材であり、前述したようにリヤフロア14が接合されて中空閉断面形状の車体骨格部として形成されている。サイドフレーム13の後部両側壁13a,13aには、断面L字状のサイドフレームブラケット16の一片16aが溶接接合され、このサイドフレームブラケット16の他片16bが中空断面形状のジョイント部材11の前壁11aに重合されている。
【0019】
前記ジョイント部材11の内部には前記サイドフレーム13の取付部位の裏側に前側が開放されたハット型断面構造のバルクヘッド17が設けられている。このバルクヘッド17の両側部にはフランジ部18が形成され、このフランジ部18は前記サイドフレームブラケット16が重合されたジョイント部材11の前壁11aに内側から重合されている。
そして、バルクヘッド17の上壁17aはジョイント部材11の後壁11bの内面に密接して配置され、サイドフレーム13を覆うと共にジョイント部材11の後述するボルト19間の潰れ変形を防止するようになっている。
【0020】
このように構成されたジョイント部材11を前後方向で4箇所、つまり前記両サイドフレームブラケット16の他片16bと、バルクヘッド17の各フランジ部18とを貫く4本のボルト19とナット19’により前記サイドフレームブラケット16を介してジョイント部材11とサイドフレーム13とが後述するカラー24を介して締め付け固定されている。したがって、前記ボルト19は前記ジョイント部材11の外側に設けたサイドフレームブラケット16によって前記サイドフレーム13に連結されていることとなる。
【0021】
ここで、前記リヤパネル10の後壁に外側から取り付けられたバンパビームブラケット15は前側が開放された箱形の部材であって周囲にはフランジ部20が形成され、左右のフランジ部20の上部が前記上部の2本のボルト19,19の取付位置に整合し、左右のフランジ部20の上下方向略中央部が下部の2本のボルト19,19の取付位置に整合するようになっている。そして、このフランジ部20は前記ボルト19、ナット19’により前記ジョイント部材11に締め付け固定される。
【0022】
図6に示すのは、前記ボルト19の周囲に配置されるカラー24の取付状況を示している。前記ジョイント部材11をボルト19により締め付け固定する場合に、ジョイント部材11の潰れを防止するためにボルト19の周囲にカラー24が設けられている。このカラー24はバルクヘッド17の両側壁17bに2つ配置され上下一組としてボルト19,19の外側に装着されるものである。
このカラー24は前記バルクヘッド17の側壁17bに密接されるベース部25とこのベース部25から上縁と下縁が弧を描くように内側に巻き込むように形成された上下の筒状部26を備え、後縁にはバルクヘッド17の上壁17aに向かって折れ曲がる取付部27を備えている。この取付部27をバルクヘッド17の上壁17aにスポット溶接などで溶接することによりバルクヘッド17の側壁17bに2つのカラー24が配置されることとなる。
【0023】
したがって、前記バンパビームブラケット15のフランジ部20とジョイント部材11とサイドフレームブラケット16の他片16bとがバルクヘッド17のフランジ部18と共にボルト19、ナット19’によりカラー24を介してジョイント部材11に締め付け固定されている。
【0024】
そして、バンパビームブラケット15の上壁15aの略中央部には、補強用のレインフォース21をも貫通して形成された孔22が設けられ、この孔22に雌ネジ23を有するソケットナット5が抜け止め部24を介して挿入されて溶接接合されている、そして、この雌ネジ部23に対してバンパフェイス7の孔22越しに牽引フック4が着脱可能にねじ込み固定されるようになっている。よって、前記ボルト19は、前記ジョイント部材11の外側に設けたバンパビームブラケット15によって前記牽引フック4に連結される。
このようにバンパビームブラケット15の上壁15aの略中央部に牽引フック4が取り付けられ、バンパビームブラケット15の周囲のフランジ部20にボルト19の取付位置が設定されているため、前記ボルト19の軸線C1は牽引フック4の軸線C2とは異なる位置に設定されることとなる。
【0025】
したがって、この実施形態によれば、牽引荷重が牽引フック4に作用すると、この荷重はバンパビームブラケット15のフランジ部20から各ボルト19に荷重分担された状態で作用し、バルクヘッド17で強度剛性を高められたジョイント部材11からサイドフレームブラケット16を介してサイドフレーム13に作用する。その結果、大きな牽引荷重を充分に受け止めることができる。とりわけ、ジョイント部材11にはリヤピラー12、リヤパネル10及びサイドフレーム13が連結されているため、牽引荷重に対抗できる充分な強度剛性が確保された部位である点で有利である。
【0026】
また、前記牽引フック4を取り付けた状態で車両後部に後側から衝撃荷重が作用した場合には、この荷重は牽引フック4の軸線C2に沿って入力されるが、この荷重はバンパビームブラケット15を変形させることで吸収され、バンパビームブラケット15を介して牽引フック4とは異なる位置に軸線C1を有するボルト19に対して間接的に伝達され、更にボルト19からサイドフレームブラケット16を介してサイドフレーム13に伝達される。したがって、大きな牽引荷重を充分に受け止め、かつ衝撃荷重が直接伝達されるのを回避することができる。
【0027】
また、前記ボルト19が前記ジョイント部材11の外側に設けたバンパビームブラケット15により牽引フック4に連結され、サイドフレームブラケット16によりサイドフレーム13に連結されているため、これらバンパビームブラケット15とサイドフレームブラケット16を介在させることによって簡単かつ取付容易な構造とすることができる。
【0028】
そして、上記バンパビームブラケット15とサイドフレームブラケット16が、サイドフレーム13の外側に設けられていることで、これらバンパビームブラケット15とサイドフレームブラケット16を容易に取り付けることができ、衝撃荷重が作用した場合にサイドフレーム13がバンパビームブラケット15やサイドフレームブラケット16の変形を妨げるのを回避できる。よって、取付作業性を向上できると共にバンパビームブラケット15とサイドフレームブラケット16の変形自由度を確保して衝撃吸収できるメリットがある。
【0029】
また、ボルト19が設けられたジョイント部材11にバルクヘッド17が設けられていることにより、ジョイント部材11自体の強度を高めつつ、ボルト19の取付強度を高めることが可能となり、したがって、確実に牽引力を受け止めることができる。ここで、ボルト11にはカラー24が外装されているため、ジョイント部材11の潰れ方向の力に対抗でき、更に確実に牽引力を受け止めることができる。
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、車体後部の牽引フックを例にして説明したが、車体前部の牽引フック取付部構造にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、牽引フックを備えた車両の衝突安全技術に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】車両の斜視図である。
【図2】車体後部の下部を運転席側から見た斜視図である。
【図3】車体後部を斜め左側から見た斜視図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図3の5−5線に沿う断面図である。
【図6】バルクヘッド及びカラーの斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
4 牽引フック
11 ジョイント部材(ビーム部材)
13 サイドフレーム(フレーム部材)
15 バンパビームブラケット(取付ブラケット)
16 サイドフレームブラケット(取付ブラケット)
17 バルクヘッド
19 ボルト(締結部材)
24 カラー
C1,C2 軸線
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成15年10月15日(2003.10.15)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2005−119406(P2005−119406A)
【公開日】 平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願番号】 特願2003−355335(P2003−355335)