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【発明の名称】 ケレン装置
【発明者】 【氏名】井上 繁夫
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

【氏名】山崎 章伴
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

【氏名】新谷 光裕
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内

【氏名】長谷川 順行
【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内

【氏名】近藤 浩
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目34番6号 三菱重工工事株式会社内

【氏名】加藤 栄治
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目34番6号 三菱重工工事株式会社内

【要約】 【課題】ケレン作業を良好かつ効率的に行うことができるケレン装置を提供することを目的とする。

【解決手段】ケレン装置1を、回転軸2と、回転軸2の軸線回りに軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部3と、回転軸2を軸線回りに回転駆動する駆動装置4とを有する構成とする。ケレン作用部3のうちの少なくとも一つを、他のケレン作用部3に対して軸線方向の位置をずらして、かつ軸線方向に間隔をあけずに設ける。回転軸2を軸線回りに回転可能にしてかつワークWの表面に対して平行にして支持するフレーム16と、フレーム16に対して、回転軸2の軸線を挟んで両側に設けられてワークWの表面を受けるローラー17とを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、該回転軸の軸線回りに該軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部と、前記回転軸を前記軸線回りに回転駆動する駆動装置とを有し、
前記ケレン作用部のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部に対して前記軸線方向の位置をずらして、かつ該軸線方向に間隔をあけずに設けられていることを特徴とするケレン装置。
【請求項2】
前記ケレン作用部が、外周の周方向に沿って複数のエッジが設けられた環状のケレン素片と、該ケレン素片に対してその内周面との間にあそびをもって挿通される支持ピンと、前記ケレン素片に挿通された前記支持ピンの両端部にそれぞれ設けられて、該支持ピンを前記回転軸に対して平行にして支持する支持具とを有しており、
前記軸線方向の位置がずらして設けられるケレン作用部のうち、前記回転軸の一端側に位置するケレン作用部の他端側の支持具と、前記他端側に位置するケレン作用部の前記一端側の支持具とは、同一の中間支持具によって構成されており、
該中間支持具は、前記一端側で前記支持ピンを受ける受け部による受け位置が、前記他端側で前記支持ピンを受ける受け部による受け位置と前記軸線方向の同一位置、または前記他端側に位置して設けられていることを特徴とする請求項1記載のケレン装置。
【請求項3】
前記回転軸を軸線回りに回転可能にしてかつワークの表面に対して平行にして支持するフレームと、
該フレームに対して、前記回転軸の軸線を挟んで両側に設けられて前記ワークの表面を受けるローラーとを有していることを特徴とする請求項1または2に記載のケレン装置。
【請求項4】
前記ローラーは、前記フレームにおいて前記ワークの表面を受ける側への突出量を調整可能とされていることを特徴とする請求項3記載のケレン装置。
【請求項5】
前記フレームには、ワークの表面から離間した位置に、磁石が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のケレン装置。
【請求項6】
回転軸と、
該回転軸の軸線回りに該軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部と、
前記回転軸を前記軸線回りに回転駆動する駆動装置と、
前記回転軸を軸線回りに回転可能にしてかつワークの表面に対して平行にして支持するフレームと、
該フレームに対して、前記回転軸の軸線を挟んで両側に設けられて前記ワークの表面を受けるローラーと、
前記フレームに対して前記ワークの表面から離間した位置に設けられる磁石とを有しており、
前記ローラーは、前記フレームにおいてワーク表面を受ける側への突出量を調整可能とされていることを特徴とするケレン装置。
【請求項7】
前記フレームには、前記回転軸を挟んで両側に、前記回転軸に平行な軸回りに揺動可能な揺動部が設けられており、
前記磁石及び前記ローラーは、前記揺動部に設けられていることを特徴とする請求項6記載のケレン装置。
【請求項8】
前記フレームには、前記揺動部を、前記ワーク側に向けて揺動する向きに付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項7記載のケレン装置。
【請求項9】
前記ケレン作用部のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部に対して前記軸線方向の位置をずらして、かつ該軸線方向に間隔をあけずに設けられていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のケレン装置。
【請求項10】
前記フレームを移動させる移動装置と、
該移動装置の動作を遠隔操作する制御装置とが設けられていることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載のケレン装置。
【請求項11】
前記回転軸及び前記ケレン作用部の周囲を覆うカバーが設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のケレン装置。
【請求項12】
前記ケレン作用部の側方に、集塵部が設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のケレン装置。
【請求項13】
前記駆動装置は、外部から圧縮空気を供給されることでそのエネルギーを利用して前記回転軸を回転駆動するエアモーターによって構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のケレン装置。
【請求項14】
前記駆動装置は、前記回転軸の側方に位置して前記エアモーターが設けられており、
前記エアモーターの駆動軸に設けられる駆動プーリーと、
前記回転軸に設けられる従動プーリーと、
これら駆動プーリーと従動プーリーとに巻き回される無端状のタイミングベルトとを有していることを特徴とする請求項13に記載のケレン装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ケレン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ワークに塗装等の表面処理を施す際には、ワークの表面の古い表面処理(例えば塗膜)や錆を除去して下地を整える作業(この作業を「ケレン作業」という)を行う。
ケレン作業は、作業員が手作業で行うほか、例えば後記の特許文献1に記載の大型構造物用自動ケレン装置等が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載の大型構造物用自動ケレン装置(以下「ケレン装置」という)は、高所作業車のバケットに設けられたウインチから吊り下げ支持されるケレンキャリッジを有している。ケレンキャリッジには、ケレン用ブラシと、ケレンキャリッジの上下方向への移動を可能にするマグネットキャタピラとが設けられており、ワークに対して上下方向にケレンを施すことが可能とされている。
ここで、ケレン用ブラシは、その軸の両端をキャリッジに回転自在にして支持されており、軸線回りに回転駆動されることにより、ワークの表面のケレンを行うものである。
【0004】
【特許文献1】特公平3−2679号公報(第2頁右欄第30行から第3ページ右欄第3行,及び図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなケレン装置は、作業効率を向上させるために、一度により広い面積にケレンを施すことができることが望ましい。
このようにケレン範囲を広くする方法としては、例えばケレン用ブラシとしてより長いものを用いることが考えられる。
しかし、ケレン用ブラシは単に両端を支持されているだけであって中央部は支持されていない。このため、ケレン用ブラシをあまり長くしてしまうと、ケレン作業時に生じる反力によって撓むなどして、ワークに十分な強さで当らなくなくなって処理残しを生じる可能性がある。
そして、ケレン用ブラシの強度を確保するために、ケレン用ブラシの径を太くすると、ケレン装置が大型化してしまい、取り回しが困難になってしまう。
すなわち、ケレン用ブラシを延長する方法によっては、ケレン範囲をあまり広くすることはできない。
【0006】
また、複数のケレン用ブラシを単に軸方向に沿って並べて配置した場合には、一度に広い範囲にケレンを施すことができる。しかし、各ケレン用ブラシの両端には、それぞれケレン用ブラシを支持する支持具を設けなくてはならない。すなわち、隣り合うケレン用ブラシ間には支持具が必ず設けられているので、この部分ではケレンを行うことができず、ワークにおいてケレン装置が通過した領域内に、ケレンを施せなかった領域ができてしまう。このため、この構成では、ケレンを施せなかった領域にケレンを施すために、一度ケレンを施した領域に重複するようにして再度ケレンを施す必要があるので、結果的には作業効率を向上させることができない。
【0007】
また、特許文献1記載のケレン装置では、ケレンキャリッジは吊り下げ支持されているので、垂直面を上下方向にケレンするケレン作業にしか対応することができない。
さらに、ケレンキャリッジは、マグネットキャタピラによってワークに吸着されていて、この吸着力によってケレン用ブラシをワークの表面に押し付けている。しかし、ワークの表面の凹凸(例えば溶接ビード等)を乗り越える場合や、キャリッジの移動方向に沿って変化する曲面や円筒面をその周方向に沿ってケレンする場合には、マグネットキャタピラとワークとの接触面積が小さくなり、ケレン用ブラシをワークに押し付ける力が弱くなってしまうので、良好なケレンを行うことができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ケレン作業を良好かつ効率的に行うことができるケレン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のケレン装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるケレン装置は、回転軸と、該回転軸の軸線回りに該軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部と、前記回転軸を前記軸線回りに回転駆動する駆動装置とを有し、前記ケレン作用部のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部に対して前記軸線方向の位置をずらして、かつ該軸線方向に間隔をあけずに設けられていることを特徴とする。
【0010】
このように構成されるケレン装置では、駆動装置によって回転軸が軸線回りに回転駆動されることで、回転軸の軸線回りに設けられる複数のケレン作用部も、回転軸の軸線回りに回転される。
この状態で、ケレン作用部の描く軌道面がワークの表面に線接触するようにしてケレン装置をワーク表面に押し当てることで、各ケレン作用部は、それぞれの軸線方向長さ分の領域で、ワーク表面のケレンを行う。
このケレン装置では、少なくとも一つのケレン作用部が、他のケレン作用部に対して軸線方向の位置をずらして設けられているので、ケレン作用部単体の長さ以上の広い範囲でワーク表面のケレンが行われる。すなわち、このケレン装置では、ケレン作用部を長くすることなく、ケレン範囲を広くすることができる。
そして、このように位置をずらせて設けられるケレン作用部同士は、軸線方向に間隔をあけずに設けられているので、これらケレン作用部のケレン範囲は軸線方向に連続しており、これらの間に処理残しが生じない。
【0011】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項1記載のケレン装置であって、前記ケレン作用部が、外周の周方向に沿って複数のエッジが設けられた環状のケレン素片と、該ケレン素片に対してその内周面との間にあそびをもって挿通される支持ピンと、前記ケレン素片に挿通された前記支持ピンの両端部にそれぞれ設けられて、該支持ピンを前記回転軸に対して平行にして支持する支持具とを有しており、前記軸線方向の位置がずらして設けられるケレン作用部のうち、前記回転軸の一端側に位置するケレン作用部の他端側の支持具と、前記他端側に位置するケレン作用部の前記一端側の支持具とは、同一の中間支持具によって構成されており、該中間支持具は、前記一端側で前記支持ピンを受ける受け部による受け位置が、前記他端側で前記支持ピンを受ける受け部による受け位置と前記軸線方向の同一位置、または前記他端側に位置して設けられていることを特徴とする。
【0012】
このように構成されるケレン装置では、回転軸が回転駆動されることで、ケレン作用部のケレン素片のエッジがワーク表面に勢いよく当てられて、ワークの表面の塗膜や錆等を削り取ることとなる。すなわち、このケレン装置では、ケレン素片のエッジによってケレン作業が行われる。
このケレン装置において、軸線方向の位置がすらして設けられるケレン作用部のそれぞれの支持ピンを受ける中間支持具は、回転軸の一端側で該一端側のケレン作用部の支持ピンを受ける受け部による受け位置が、回転軸の他端側で該他端側のケレン作用部の支持ピンを受ける受け部に対して、軸線方向の同一位置、または他端側に位置して設けられている。
これにより、ケレン作用部のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部に対して前記軸線方向の位置をずらして、かつ該軸線方向に間隔をあけずに設けられる。すなわち、請求項1記載の構成が実現可能となる。
【0013】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項1または2に記載のケレン装置であって、前記回転軸を軸線回りに回転可能にしてかつワークの表面に対して平行にして支持するフレームと、該フレームに対して、前記回転軸の軸線を挟んで両側に設けられて前記ワークの表面を受けるローラーとを有していることを特徴とする。
【0014】
ここで、ケレン装置は、回転軸をワーク表面に対して傾斜させた状態でケレン作業を行った場合には、各ケレン作用部は、長手方向の一部だけがワークの表面に接触する、いわゆる片当たり状態となるので、ケレン領域が小さい。一方、回転軸をワーク表面に対して平行にしてケレン作業を行った場合には、各ケレン作用部は、長手方向の全長に渡ってワークの表面に接触するので、ケレン領域が最も大きくなる。
本発明の請求項3にかかるケレン装置では、フレームによって回転軸が常にワーク表面に対して平行になるように支持されているので、ケレン領域を常に最大にすることができ、作業効率が高い。
さらに、フレームには、回転軸の軸線を挟んで両側、すなわち、ケレン装置の進行方向の前後に、ワーク表面を受けるローラーが設けられているので、回転軸をワークの表面に対して平行にした状態でケレン作業を行いながら、ワーク表面上をスムーズに移動させることができる。
このように、このケレン装置では、ケレン領域を常に最大にすることができ、またワークの表面上をスムーズに移動させることができるので、作業効率が高い。
【0015】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項3記載のケレン装置であって、前記ローラーは、前記フレームにおいて前記ワークの表面を受ける側への突出量を調整可能とされていることを特徴とする。
【0016】
ここで、ワークの表面が回転軸に平行な軸を有する円筒状の凸曲面である場合には、ワーク表面において回転軸の軸線を挟んで両側の部分は、ワーク表面が平面である場合に比べて、ケレン装置から離間する側に位置している。また、ワークの表面が回転軸に平行な軸を有する円筒状の凹曲面である場合には、ワーク表面において回転軸の軸線を挟んで両側の部分は、ワーク表面が平面である場合に比べて、ケレン装置に近接する側に位置している。
このように構成されるケレン装置では、ワークの表面の形状に応じて、ローラーの突出量を調整することで、ワークの表面が平面である場合はもちろん、例えば回転軸に略平行な軸をもつ略円筒状の曲面である場合にも、ローラーをワーク表面に常に密着させることができ、ケレン装置の正確な位置決めと、スムーズな移動とが可能である。
【0017】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項3または4に記載のケレン装置であって、前記フレームには、ワークの表面から離間した位置に、磁石が設けられていることを特徴とする。
【0018】
このように構成されるケレン装置は、ワークが鉄等の磁性体である場合には、磁石によってフレームがワークに吸着される。そして、この吸着力によってケレン作業の反力が一部または全て相殺されるので、作業者の疲労が軽減され、作業効率を向上させることができる。
【0019】
本発明にかかるケレン装置は、回転軸と、該回転軸の軸線回りに該軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部と、前記回転軸を前記軸線回りに回転駆動する駆動装置と、前記回転軸を軸線回りに回転可能にしてかつワークの表面に対して平行にして支持するフレームと、該フレームに対して、前記回転軸の軸線を挟んで両側に設けられて前記ワークの表面を受けるローラーと、前記フレームに対して前記ワークの表面から離間した位置に設けられる磁石とを有しており、前記ローラーは、前記フレームにおいてワーク表面を受ける側への突出量を調整可能とされていることを特徴とする。
【0020】
このように構成されるケレン装置では、駆動装置によって回転軸が軸線回りに回転駆動されることで、回転軸の軸線回りに設けられる複数のケレン作用部も、回転軸の軸線回りに回転される。
この状態で、ケレン作用部の描く軌道面がワークの表面に線接触するようにしてケレン装置をワーク表面に押し当てることで、各ケレン作用部がワーク表面のケレンを行う。
このケレン装置では、フレームによって回転軸が常にワーク表面に対して平行になるように支持されているので、ケレン領域を常に最大にすることができ、作業効率が高い。
さらに、フレームには、回転軸の軸線を挟んで両側、すなわち、ケレン装置の進行方向の前後に、ワーク表面を受けるローラーが設けられているので、回転軸をワークの表面に対して平行にした状態でケレン作業を行いながら、ワーク表面上をスムーズに移動させることができる。
【0021】
また、このケレン装置は、ワークが鉄等の磁性体である場合には、磁石によってフレームがワークに吸着される。そして、この吸着力によってケレン作業の反力が一部または全て相殺されるので、作業者の疲労が軽減され、作業効率を向上させることができる。
そして、このケレン装置では、ワークの表面の形状に応じて、ローラーの突出量を調整することで、ワークの表面が平面である場合はもちろん、例えば回転軸に略平行な軸をもつ略円筒状の曲面である場合にも、ローラーをワーク表面に常に密着させることができ、ケレン装置の正確な位置決めと、スムーズな移動とが可能である。
【0022】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項6に記載のケレン装置であって、前記フレームには、前記回転軸を挟んで両側に、前記回転軸に平行な軸回りに揺動可能な揺動部が設けられており、前記磁石及び前記ローラーは、前記揺動部に設けられていることを特徴とする。
【0023】
このように構成されるケレン装置では、揺動部は、回転軸を挟んで両側に設けられていて、回転軸と平行な軸回りに揺動可能とされている。すなわち、揺動部はケレン装置の進行方向の前後に設けられている。この揺動部には、磁石が設けられているので、揺動部は、常にワーク表面に引き寄せられることとなり、揺動部に設けられるローラーを常にワーク表面に密着させた状態とすることができる。
すなわち、ワークの表面がケレン装置の進行方向で変化する曲面、例えば回転軸と平行な軸を持つ円筒面または円筒内面である場合にも、ローラーを常にワーク表面に追従させることができる。このため、ケレン作用部をワーク表面に常に適切な状態で当てることができ、良好なケレン作業が可能である。
【0024】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項7に記載のケレン装置であって、前記フレームには、前記揺動部を、前記ワーク側に向けて揺動する向きに付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0025】
このように構成されるケレン装置では、揺動部は付勢部材によってワーク側に押し付けられているので、ワークが揺動部間に挟み込まれるかたちとなり、ワーク表面に溶接ビード等の凸部があった場合にも、ケレン装置の浮き上がりを抑えて、凸部を円滑に乗り越えることができる。
【0026】
また、本発明にかかるケレン装置は、請求項6から8のいずれかに記載のケレン装置であって、前記ケレン作用部のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部に対して前記軸線方向の位置をずらして、かつ該軸線方向に間隔をあけずに設けられていることを特徴とする。
【0027】
このように構成されるケレン装置では、駆動装置によって回転軸が軸線回りに回転駆動されることで、回転軸の軸線回りに設けられる複数のケレン作用部も、回転軸の軸線回りに回転される。
この状態で、ケレン作用部の描く軌道面がワークの表面に線接触するようにしてケレン装置をワーク表面に押し当てることで、各ケレン作用部は、それぞれの軸線方向長さ分の領域で、ワーク表面のケレンを行う。
このケレン装置では、少なくとも一つのケレン作用部が、他のケレン作用部に対して軸線方向の位置をずらして設けられているので、ケレン作用部単体の長さ以上の広い範囲でワーク表面のケレンが行われる。すなわち、このケレン装置では、ケレン作用部を長くすることなく、ケレン範囲を広くすることができる。
そして、このように位置をずらせて設けられるケレン作用部同士は、軸線方向に間隔をあけずに設けられているので、これらケレン作用部のケレン範囲は軸線方向に連続しており、これらの間に処理残しが生じない。
【0028】
本発明にかかるケレン装置は、請求項4から9のいずれかに記載のケレン装置であって、前記フレームを移動させる移動装置と、該移動装置の動作を遠隔操作する制御装置とが設けられていることを特徴とする。
【0029】
このように構成されるケレン装置では、フレームを移動させる移動装置が設けられていて、この移動装置は、制御装置によって遠隔操作することができるので、人の手の届かないところまでケレン装置を移動させて、ケレン作業を行うことができる。
これにより、例えばゴンドラを使用してケレン作業を行っている場合には、ゴンドラ上の作業員の手の届かないところまでケレン装置によってケレン作業を行うことができるので、従来よりもゴンドラの架け替え回数を低減して、作業を効率化することができる。
【0030】
本発明の請求項1から10のいずれかに記載のケレン装置であって、前記回転軸及び前記ケレン作用部の周囲を覆うカバーが設けられていることを特徴とする。
【0031】
このように構成されるケレン装置では、ケレン作用部がワークから掻きとった塗膜片や錆等のゴミや、消耗したケレン作用部の破片がカバーによって受け止められて、周囲に飛散しないので、安全性を確保することができるとともに、ケレン作業後にケレン作業によって生じたゴミの回収が容易となる。
【0032】
本発明にかかるケレン装置は、請求項1から11のいずれかに記載のケレン装置であって、前記ケレン作用部の側方に、集塵部が設けられていることを特徴とする。
【0033】
このように構成されるケレン装置では、ケレン作用部がワークから掻きとった塗膜片や錆等のゴミが、集塵部に取り込まれて、周囲に飛散しにくいので、ケレン作業後にケレン作業によって生じたゴミの回収が容易となる。
【0034】
本発明にかかるケレン装置は、請求項1から12のいずれかに記載のケレン装置であって、前記駆動装置は、外部から圧縮空気を供給されることでそのエネルギーを利用して前記回転軸を回転駆動するエアモーターによって構成されていることを特徴とする。
【0035】
このように構成されるケレン装置では、一般に、電動モータよりも小型であるエアモーターを駆動装置として用いている。そして、エアモーターは、圧縮空気供給源とは、ごく細いエアチューブを介して接続されるだけであるので、ケレン装置自体がごく小型となり、取り回し性がよい。
【0036】
本発明にかかるケレン装置は、請求項13に記載のケレン装置であって、前記駆動装置は、前記回転軸の側方に位置して前記エアモーターが設けられており、前記エアモーターの駆動軸に設けられる駆動プーリーと、前記回転軸に設けられる従動プーリーと、これら駆動プーリーと従動プーリーとに巻き回される無端状のタイミングベルトとを有していることを特徴とする。
【0037】
このように構成されるケレン装置は、回転軸の側方にエアモーターが配置されるので、回転軸の軸線方向にエアモーターを配置した場合に比べて、ケレン装置の全長を短くすることができ、狭い場所でのケレン作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明にかかるケレン装置によれば、ケレン範囲を広くすることができ、かつ各ケレン作用部によるケレン範囲に処理残しが生じないので、ケレン作業を良好かつ効率的に行うことができる。
【0039】
また、本発明にかかるケレン装置によれば、ケレン領域を常に最大にすることができ、さらに、ワーク表面上をスムーズに移動させることができるので、作業効率が高い。また、ワークが鉄等の磁性体である場合には、磁石によってフレームがワークに吸着されて、この吸着力によってケレン作業の反力が一部または全て相殺されるので、作業者の疲労が軽減され、作業効率を向上させることができる。
そして、このケレン装置では、ワークの表面の形状に応じて、ローラーの突出量を調整することで、ワークの表面が平面である場合はもちろん、例えば回転軸に略平行な軸をもつ略円筒状の曲面である場合にも、ローラーをワーク表面に常に密着させることができ、ケレン装置の正確な位置決めと、スムーズな移動とが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図5を用いて説明する。
本実施の形態にかかるケレン装置1は、回転軸2と、回転軸2の軸線回りに軸線に平行にして複数設けられるケレン作用部3と、回転軸2を軸線回りに回転駆動する駆動装置4とを有している。
本実施の形態では、駆動装置4を、図示しないコンプレッサー等から圧縮空気を供給されることでそのエネルギーを利用して回転軸2を回転駆動するエアモーターによって構成している。ここで、駆動装置4は、このケレン装置1を作業者が保持するためのハンドルの役割も兼ねている。
【0041】
回転軸2は、駆動装置4の駆動軸4aの先端に同軸にして接続されており、駆動軸4aが回転することによって直接軸線回りに回転駆動されるものである。すなわち、本実施の形態では回転軸2は、片持ち支持されている。
以下、本実施の形態では、回転軸2の軸線方向を基準として各部材の配置を示す。また、回転軸2において、駆動装置4とは反対側を向く端部を一端2aとし、駆動装置4の駆動軸4a側の端部を他端2bとする。
【0042】
ケレン作用部3は、図2から図4に示すように、外周の周方向に沿って複数のエッジEが設けられて略星形状をなす環状のケレン素片11と、複数のケレン素片11に対してその内周面との間にあそびをもって挿通される支持ピン12と、ケレン素片11に挿通された支持ピン12の両端部にそれぞれ設けられて、支持ピン12を回転軸2に対して平行にして支持する支持具13とを有している。
これらケレン作用部3は、各支持具13に回転軸2が挿通されて、回転軸2の先端に螺号されるナットNと、一段拡径された他端2bとの間に挟みこまれることによって、回転軸2に保持されている。
【0043】
ケレン作用部3のうちの少なくとも一つは、他のケレン作用部3に対して軸線方向の位置をずらして、かつ軸線方向に間隔をあけずに設けられている。
本実施の形態では、ケレン作用部3は、一端2a側に位置する第一の組3aと、回転軸2の他端2b側に位置する第二の組3bとの二組設けられている。
第一、第二の組3a,3bは、それぞれ三つのケレン作用部3によって構成されており、各組においては、ケレン作用部3は、回転軸2の軸線方向の位置を同一とされている。
【0044】
第一の組3aでは、各ケレン作用部3の支持ピン12は、一端2a側を一端側支持具13aによって支持され、他端2b側を中間部支持具13bによって支持されている。
第二の組3bでは、各ケレン作用部3の支持ピン12は、一端2a側を中間部支持具13bによって支持され、他端2b側を他端側支持具13cによって支持されている。
【0045】
一端側支持具13a及び他端側支持具13cは、回転軸2が挿通される中央部から径方向外側に向けて放射状に延びるアームA(受け部)を有している。これらアームAは、軸線回りに約120°おきに設けられている。
また、一端側支持具13a及び他端側支持具13cは、一端側支持具13aのアームA間に、他端側支持具13cのアームAが位置するよう、回転軸2の軸線回りの向きを60°ずらして設けられている。
【0046】
中間部支持具13bは、一端側支持具13aと他端側支持具13cとを、同軸かつ周方向位置を60°ずつずらした状態で重ね合わせた形状をなしている。
すなわち、一端側支持具13a側と他端側支持具13c側にそれぞれ三本ずつアームAを有している。
中間部支持具13bは、アームAのうち、他端側支持具13c側に位置するアームAが一端側支持具13aのアームAに対向するようにして配置されている。また、これにより、一端側支持具13a側に位置するアームAは他端側支持具13cのアームAに対向している。
【0047】
そして、一端側支持具13aと中間部支持具13bの、対向するアームA,Aによって、ケレン素片11に挿通された支持ピン12が支持されている。同様に、中間部支持具13bの、対向するアームA,Aによって、ケレン素片11に挿通された支持ピン12が支持されている。
すなわち、中間部支持具13bは、一端2a側で支持ピン12を受けるアームAによる受け位置R1が、他端2b側で支持ピン12を受けるアームAによる受け位置R2と軸線方向の同一位置に位置して設けられている。
【0048】
また、このケレン装置1は、回転軸2を軸線回りに回転可能にしてかつワークWの表面に対して平行にして支持するフレーム16と、フレーム16に対して、回転軸2の軸線を挟んで両側に設けられてワークWの表面を受けるローラー17とを有している。
フレーム16は、駆動装置4と回転軸2の他端2bとをそれぞれ支持している。フレーム16は、回転軸2の他端2bを、ベアリングBを介して支持しており、これによって回転軸2の回転を許容するとともに、回転軸2に加わる応力を受けるようになっている。
【0049】
ローラー17は、フレーム16において一端2a側と他端2bとにそれぞれ一対ずつ設けられている。
これらローラー17は、フレーム16においてワークWの表面を受ける側への突出量を調整可能とされている。
具体的には、ローラー17は、フレーム16に対してボルト止めによって固定されており、ボルト止めする位置を変更することで、ワークWの表面を受ける側への突出量を調整することができるようになっている。ここで、ローラー17の位置調整機構としては、このようなボルト止め以外の任意の構成を採用してもよい。
【0050】
また、このフレーム16には、回転軸2及びケレン作用部3の周囲を覆うカバー18が設けられている。このカバー18は、回転軸2及びケレン作用部3のうち、ワークWに対向していない側を覆うものである。
さらに、フレーム16には、作業者がケレン装置1を保持するためのハンドル19が設けられている。
【0051】
また、フレーム16には、ケレン作用部3の側方に、ケレン作用3の回転方向後方側に向けて開口させて、集塵袋21(集塵部)が設けられている。この集塵袋21は、例えばメッシュ状の袋によって構成されており、ケレン作用部3がワークWの表面から掻き取った塗膜片や錆、消耗したケレン素片11のかけら等のゴミを受け入れつつ、ケレン作用部3から送り込まれた空気は通過させる構成とされている。
また、集塵袋21の取入口21aには、ワークWの表面近傍からゴミを取入口21a内まで案内する誘導板21bが設けられており、これによってケレン作用部3から送り込まれたゴミを効率的に取り入れることができるようになっている。
【0052】
また、フレーム16には、ワークWの表面から離間した位置に、磁石22が設けられていて、ワークWが磁性体である場合に、この磁石22の吸着力がフレーム16をワークWの表面に吸着する力として作用するようになっている。
【0053】
このように構成されるケレン装置1では、駆動装置4によって回転軸2が軸線回りに回転駆動されることで、回転軸2の軸線回りに設けられる複数のケレン作用部3も、回転軸2の軸線回りに回転される。
この状態で、ケレン作用部3の描く軌道面がワークWの表面に線接触するようにしてケレン装置1をワークWの表面に押し当てることで、各ケレン作用部3は、それぞれの軸線方向長さL分の領域で、ワークWの表面のケレンを行う。
具体的には、このケレン装置1では、回転軸2が回転駆動されることで、ケレン作用部3のケレン素片11のエッジEがワークWの表面に勢いよく当てられて、ワークWの表面の塗膜や錆等を削り取ることとなる。すなわち、このケレン装置1では、ケレン素片11のエッジEによってケレン作業が行われる。
ここで、そして、このようにしてケレン装置1を動作させた状態で、作業員がケレン装置1をワークWの表面に沿って移動させてゆくことで、ワークWの表面に順次ケレンが施される。
【0054】
このケレン装置1では、少なくとも一つのケレン作用部3が、他のケレン作用部3に対して軸線方向の位置をずらして設けられているので、ケレン作用部3単体の長さLの二倍の広い範囲でワークWの表面のケレンが行われる。すなわち、このケレン装置1では、ケレン作用部3を長くすることなく、ケレン範囲を広くすることができる。
そして、このように位置をずらせて設けられるケレン作用部3同士は、軸線方向に間隔をあけずに設けられているので、これらケレン作用部3のケレン範囲は軸線方向に連続しており、これらの間に処理残しが生じない。
このように、本実施形態にかかるケレン装置1によれば、ケレン範囲を広くすることができ、かつ各ケレン作用部3によるケレン範囲に処理残しが生じないので、ケレン作業を良好かつ効率的に行うことができる。
【0055】
ここで、このケレン装置1は、駆動装置4として、圧縮空気供給源から圧縮空気を供給されることでそのエネルギーを利用して前記回転軸を回転駆動するエアモーターを用いている。エアモーターは、一般に、電動モーターよりも小型であり、圧縮空気供給源とは、ごく細いエアチューブを介して接続されるだけであるので、ケレン装置1自体がごく小型となり、取り回し性がよい。
また、このケレン装置1は、回転軸2を片持ち支持していて、回転軸2の一端2a側では回転軸2の支持構造がないので、ケレン装置1の軸線方向の寸法を小さくすることができ、狭いところでのケレン作業が可能となる。
【0056】
また、このケレン装置1では、フレーム16によって回転軸2が常にワークWの表面に対して平行になるように支持されているので、各ケレン作用部3がワークWの表面に面接触することとなり、ケレン領域を常に最大にすることができ、作業効率が高い。
さらに、フレーム16には、回転軸2の軸線を挟んで両側、すなわち、ケレン装置1の進行方向の前後に、ワークWの表面を受けるローラー17が設けられているので、回転軸2をワークWの表面に対して平行にした状態でケレン作業を行いながら、ワークWの表面上をスムーズに移動させることができるので、作業効率が高い。
【0057】
ここで、ワークWの表面が回転軸2に平行な軸を有する円筒状の凸曲面である場合には、ワークWの表面において回転軸2の軸線を挟んで両側の部分は、図6に示すように、ワークWの表面が平面である場合に比べて、ケレン装置1から離間する側に位置している。
一方、ワークWの表面が回転軸に平行な軸を有する円筒状の凹曲面である場合には、ワークWの表面において回転軸2の軸線を挟んで両側の部分は、ワークWの表面が平面である場合に比べて、ケレン装置1に近接する側に位置している。
このケレン装置1では、ローラー17は、フレーム16においてワークWの表面を受ける側への突出量を調整可能とされているので、ワークWの表面の形状に応じて、ローラー17の突出量を調整することで、ワークWの表面が平面である場合はもちろん、例えば回転軸2に略平行な軸をもつ略円筒状の曲面である場合にも、ローラー17をワークWの表面に常に密着させることができ、ケレン装置1の正確な位置決めと、スムーズな移動とが可能である。
【0058】
また、このケレン装置1において、フレーム16には、ワークWの表面から離間した位置に、磁石22が設けられている。
このため、このケレン装置1は、ワークWが鉄等の磁性体である場合には、磁石22によってフレーム16がワークWに吸着される。そして、この吸着力によってケレン作業の反力が一部または全て相殺されるので、作業者の疲労が軽減され、作業効率を向上させることができる。
【0059】
また、このケレン装置1には、回転軸2及びケレン作用部3の周囲を覆うカバー18が設けられているので、ケレン作用部3がワークWから掻きとった塗膜片や錆等のゴミや、消耗したケレン作用部3の破片がカバー18によって受け止められて、周囲に飛散しないので、安全性を確保することができるとともに、ケレン作業後にケレン作業によって生じたゴミの回収が容易となる。
【0060】
また、このケレン装置1には、ケレン作用部3の側方に、集塵袋23が設けられているので、ケレン作用部3がワークWから掻きとった塗膜片や錆等のゴミが、集塵部に取り込まれて、周囲に飛散しにくいので、ケレン作業後にケレン作業によって生じたゴミの回収が容易となる。
【0061】
ここで、上記実施の形態では、ケレン作用部3の組を二組設けた例を示したが、一度にケレン処理する領域をより広くしたい場合には、ケレン作用部3の組をさらに増やしてもよい。
このときにも、軸線方向に隣接するケレン作用部3は、共通の中間部支持具13bを用いて接続されて、軸線方向の位置をずらして、かつ軸線方向に間隔をあけずに設けられる。
【0062】
また、本実施の形態に示すケレン装置1では、回転軸2を片持ち支持した構成としたが、これに限られることなく、図7に示すケレン装置31のように、回転軸2の先端をフレーム16によってベアリングBを介して回転可能にして保持する構成としてもよい。
このように回転軸2の両端を支持する構成では、ケレン作業時に回転軸2に加わった反力がフレーム16によって受けられて、駆動装置4に伝達されにくくなる。このように駆動装置4の負担が少なくなるので駆動装置4の寿命を延ばすことができる。
【0063】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図8を用いて説明する。
本実施の形態にかかるケレン装置36は、第一実施形態に示したケレン装置1において、駆動装置4と回転軸2との接続形態を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態で示したケレン装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態にかかるケレン装置36は、ケレン装置1において、駆動装置4を、回転軸2の軸線方向にではなく、回転軸2の上方に設けたものである。
このケレン装置36は、回転軸2をワークWの表面と略平行かつ軸線回りに回転可能にして支持するフレーム37を有している。このフレーム37は、回転軸2の一端2a近傍及び他端2bを、ベアリングBを介して支持している。
フレーム37は、回転軸2の一端2a近傍側に、上方に立ち上がる起立部37aを有している。
【0065】
駆動装置4は、この起立部37aに対して、駆動軸4aが設けられる側を回転軸2の一端2a側に位置させ、かつ駆動軸4aを回転軸2と平行にした状態で保持されている。
駆動装置4の駆動軸4aには、駆動プーリー38が、同軸かつ相対回転を規制して設けられており、回転軸2の一端2aには、従動プーリー39が、同軸かつ相対回転を規制して設けられている。そして、これら駆動プーリー38と従動プーリー39には、無端状のタイミングベルト40が巻き回されて、駆動装置4の駆動軸4aの回転が、駆動プーリー38、タイミングベルト40、及び従動プーリー39を介して、回転軸2に伝達されるようになっている。
【0066】
このように構成されるケレン装置36は、回転軸2の側方に駆動装置4が配置されるので、回転軸2の軸線方向に駆動装置4を配置した場合に比べて、ケレン装置36の全長を短くすることができる。
このケレン装置36は、橋梁のスチフナのケレン処理など、狭い場所でのケレン作業を容易に行うことができる。
【0067】
ここで、本実施の形態では、ケレン作用部3の組を、二組設けた例を示したが、これに限られることなく、図9に示すケレン装置41のように、ケレン作用部3の組を、さらに多数設けてもよい。
【0068】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施の形態にかかるケレン装置51は、第一実施形態に示したケレン装置1において、フレーム16の構成を変更したことを主たる特徴とするものである。
以下、第一実施形態で示したケレン装置1と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施形態にかかるケレン装置51は、ケレン装置1において、フレーム16に対して、回転軸2を挟んで両側に、回転軸2に平行な軸回りに揺動可能にして設けられる揺動部52を設け、この揺動部52に、磁石22及びローラー17を設けている。
【0070】
揺動部52は、回転軸2の一端2a側から他端2b側まで設けられる箱状の部材であって、フレーム16において回転軸2と平行な方向に設けられるピン53によって、フレーム16に対して、ピン53の軸線回りに回転可能にして接続されている。
また、このケレン装置51には、揺動部52を、ワークW側に向けて揺動する向きに付勢する付勢部材54が設けられている。本実施の形態では、付勢部材54として、一端をカバー18に対して固定的に取り付けられ、他端を揺動部52の上面に対して摺動可能にして設けられる板ばねによって構成している。
【0071】
このように構成されるケレン装置51では、揺動部52は、回転軸2を挟んで両側に設けられていて、回転軸2と平行な軸回りに揺動可能とされている。すなわち、揺動部52はケレン装置51の進行方向の前後に設けられている。
この揺動部52には、磁石22が設けられているので、揺動部52は、常にワークWの表面に引き寄せられることとなり、揺動部52に設けられるローラー17を常にワークWの表面に密着させた状態とすることができる。
すなわち、ワークWの表面がケレン装置51の進行方向で変化する曲面、例えば回転軸2と平行な軸を持つ円筒面または円筒内面である場合にも、ローラー17を常にワークWの表面に追従させることができる。このため、ケレン作用部3をワークWの表面に常に適切な状態で当てることができ、良好なケレン作業が可能である。
【0072】
また、このケレン装置51では、揺動部52は付勢部材54によってワークW側に押し付けられているので、ワークWが揺動部52間に挟み込まれるかたちとなり、ワークWの表面に溶接ビード等の凸部Pがあった場合にも、ケレン装置51の浮き上がりを抑えて、凸部Pを円滑に乗り越えることができる。
【0073】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。
本実施の形態にかかるケレン装置56は、第三実施形態に示したケレン装置51において、一方の揺動部52に設けられていたローラー17の代わりに、フレーム16をワークWの表面に沿って移動させる移動装置57と、移動装置57の動作を遠隔操作する制御装置58とを設けたことを主たる特徴とするものである。
以下、第三実施形態で示したケレン装置51と同様または同一の部材については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
【0074】
移動装置57は、ローラー17と平行な軸周りに回転可能にして設けられる一つのホイール57aと、このホイール57aを軸線回りに回転駆動する駆動装置57bとを有している。
ホイール57aは、図11に示すように、平面視において各ローラー17に対して略等距離となる位置に設けられている。
駆動装置57bとしては、例えば電動モーター等が用いられる。
【0075】
制御装置58は、駆動装置57bの動作を制御することで移動装置57の動作を制御するものである。制御装置58は、駆動装置57bに対して有線または無線で動作指令を送るものである。本実施の形態では、制御装置58は、駆動装置57bと有線接続された構成としている。
【0076】
このように構成されるケレン装置56では、フレーム16を移動させる移動装置57が設けられていて、この移動装置56は、制御装置57によって遠隔操作することができるので、人の手の届かないところまでケレン装置56を移動させて、ケレン作業を行うことができる。
これにより、例えば図12に示すように、ゴンドラGを使用してケレン作業を行っている場合には、ゴンドラG上の作業員の手の届かないところまでケレン装置56によってケレン作業を行うことができるので、従来よりもゴンドラGの架け替え回数を低減して、作業を効率化することができる。
また、このケレン装置56は、二つのローラー17と、一つのホイール57aとの、三箇所でワークWの表面と接地しているので、ワークWの表面に凹凸があった場合にも、これらローラー17及びホイール57aを常にワークWの表面に接触させておくことができる。これにより、このケレン装置56は、ワークWの表面に対して安定的に吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置のケレン作用部近傍の構成を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は先端面図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置の構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置のケレン作用部近傍の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置の構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置によるケレンの様子を示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態にかかるケレン装置の他の構成例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第二実施形態にかかるケレン装置の構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第二実施形態にかかるケレン装置の他の構成例を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第三実施形態にかかるケレン装置の構成を示す側面図である。
【図11】本発明の第四実施形態にかかるケレン装置の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第四実施形態にかかるケレン装置を用いたケレン作業の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1,31,36,41,51,56 ケレン装置
2 回転軸
3 ケレン作用部
4 駆動装置(エアモータ)
4a 駆動軸
11 ケレン素片
12 支持ピン
13 支持具
13b 中間支持具
16,37 フレーム
17 ローラー
18 カバー
21 集塵袋(集塵部)
22 磁石
38 駆動プーリー
39 従動プーリー
40 タイミングベルト
52 揺動部
53 付勢部材
57 移動装置
58 制御装置
A アーム(受け部)
E エッジ
R1,R2 受け位置
W ワーク
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【代理人】 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴

【識別番号】100089163
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 重光

【公開番号】 特開2005−81786(P2005−81786A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−318887(P2003−318887)