| 【発明の名称】 |
光沢インクジェット記録媒体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 真 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号三菱製紙株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体が高速に得られる製造方法を提供する。
【解決手段】キャスト法による光沢インクジェット記録媒体の製造において、鏡面シリンダーまたは光沢発現層またはその両者を、界面活性剤水溶液で湿潤してから両者を圧着する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャスト法、すなわち基材上に設けられた湿潤状態の光沢発現層を、加熱された鏡面シリンダーに圧着し、該光沢発現層に鏡面を転写するとともに水分を蒸発させる方法による光沢インクジェット記録媒体の製造方法であって、該鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから該光沢発現層を圧着することを特徴とする光沢インクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項2】 該界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量が、界面活性剤の量の50質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項3】 該界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量が、0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項4】 該界面活性剤水溶液の温度が、(界面活性剤の曇点−15)℃以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項5】 キャスト法、すなわち基材上に設けられた湿潤状態の光沢発現層を、加熱された鏡面シリンダーに圧着し、該光沢発現層に鏡面を転写するとともに水分を蒸発させる方法による光沢インクジェット記録媒体の製造であって、該光沢発現層を界面活性剤水溶液で湿潤してから該鏡面シリンダーに圧着することを特徴とする光沢インクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項6】 該界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量が、界面活性剤の量の50重量%以下であることを特徴とする請求項5記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項7】 該界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量が、0.05重量%以上であることを特徴とする請求項5または6記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項8】 該界面活性剤水溶液の温度が、(界面活性剤の曇点−15)℃以上であることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項記載のインクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項9】 該光沢発現層を、該鏡面シリンダーに圧着する0.5〜2秒前に該界面活性剤水溶液で湿潤することを特徴とする請求項5〜8いずれか1項記載の光沢インクジェット記録媒体の製造方法。 【請求項10】 該鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから該光沢発現層を圧着することを特徴とする請求項5〜9いずれか1項記載の光沢インクジェット記録媒体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、高い表面光沢を有するインクジェット記録媒体を高速に製造できる製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 インクジェット印刷方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ紙等の記録シートに付着させて、画像・文字等の記録を行うものである。該記録方式は、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、各種文字図形およびカラー画像等の印刷装置として、種々の用途において急速に普及している。さらに、多色インクジェット印刷によれば、銀塩写真方式によるフルカラー画像記録と比較しても遜色のない印刷物を得ることが可能であり、また印刷に必要な設備装置も小型でかつ安価で済むことから、インクジェット記録方式は、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されるようになっている。 【0003】 インクジェット印刷方式をフルカラー画像記録分野に用いる場合、記録媒体には、優れた印刷品質を発現するための高いインク受理容量や発色性とともに、銀塩写真用印画紙に匹敵する表面光沢が求められる。 このような表面光沢を有するインクジェット記録媒体としては従来、紙、プラスチックフィルムなどの支持体上に、溶解・膨潤によりインクを吸収する重合体を塗工した記録紙、記録フィルム等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、かかるインクジェット記録媒体には、高い表面光沢は有するものの、インクの吸収・乾燥速度が遅く、印刷画像のにじみ、インク転写による汚れなどが発生しやすいという問題があった。 【0004】 また、支持体上に設けた光沢発現層の表面を、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用いて平滑化し、表面光沢を付与したインクジェット記録媒体も用いられている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法で銀塩カラー写真用印画紙に匹敵する表面光沢を付与するためには、高い線圧下でカレンダー処理を行う必要があり、その結果、塗層の空隙が不足してインクの吸収が遅くなり、また吸収容量も不足することから、印刷画像のにじみ、インク転写による汚れなどが発生するという問題があった。 【0005】 インクの吸収速度を遅くすることなく光沢発現層に強光沢を付与する手法として、キャスト法、すなわち支持体上に設けた湿潤状態の光沢発現層を、加熱された鏡面シリンダーに圧着し、該光沢発現層の表面に鏡面を転写するとともに水分を蒸発させる方法により製造されたインクジェット記録媒体が用いられている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、非常に高い表面光沢と、良好なインク吸収速度を得ることができる。 【0006】 キャスト処理により光沢インクジェット記録媒体を製造する場合、離型性、すなわち塗工層の乾燥が十分に進行した後にはその表面が速やかに鏡面シリンダーから剥離する特性が要求される。離型性が不充分な場合には、塗工層の一部または全部が該鏡面に粘着し、キャスト処理における速度を遅くしない限り、該鏡面からの剥離する際に光沢発現層の表面に凹凸が生じてしまい、良好な表面光沢を有するインクジェット記録媒体が得られない。 【0007】 しかし一方、高い表面光沢を得るためには、記録媒体が鏡面シリンダーの鏡面が記録媒体に十分転写されるよう、光沢発現層が湿潤状態にある間は鏡面シリンダーから剥離しない特性も要求される。 【0008】 従来、このような相反する特性を得るために、光沢発現層に、離型剤、すなわち油性の物質を必要に応じ分散剤を用いて水中に分散した薬剤を添加することが行われている(例えば、特許文献4参照)。しかし、適切な離型剤が適量添加されなければ、離型性が弱すぎて操業速度を十分に遅くしない限り良好な表面光沢を有するインクジェット記録媒体が得られなかったり、離型性が強すぎて鏡面シリンダーの表面が十分に転写されないため良好な表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体が得られないことがある。 さらに、離型剤の適量は、鏡面シリンダーの表面状態に依存する狭い範囲に限られていて、しかも該鏡面シリンダーの表面状態はその使用履歴等の要因で刻々と変化するため、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を安定して高速に製造することは非常に困難であった。 【特許文献1】特開平7−156200号公報 【特許文献2】特開平7−101142号公報 【特許文献3】特許第3435877号公報 【特許文献4】特開2002−337446号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の課題は、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造できる方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 キャスト法、すなわち基材上に設けられた湿潤状態の光沢発現層を、加熱された鏡面シリンダーに圧着し、光沢発現層の表面に鏡面を転写するとともに水分を蒸発させる方法による光沢インクジェット記録媒体の製造であって、該鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから該光沢発現層を圧着することにより、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することができる。 【0011】 かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量を、界面活性剤の量の50重量%以下とすることにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0012】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量を、0.05質量%以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0013】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液の温度を、(界面活性剤の曇点−15)℃以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0014】 またもう一つの方法として、キャスト法による光沢インクジェット記録媒体の製造において、光沢発現層を界面活性剤水溶液で湿潤してから鏡面シリンダーに圧着することにより、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することができる。 【0015】 かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量を、界面活性剤の量の50質量%以下とすることにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0016】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量を、0.05質量%以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0017】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液の温度を、(界面活性剤の曇点−15)℃以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0018】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を、鏡面シリンダーに圧着する0.5〜2秒前に界面活性剤水溶液で湿潤することにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を特に高速に製造することができる。 【0019】 また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから界面活性剤水溶液で湿潤された光沢発現層を圧着することにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、キャスト法により光沢インクジェット記録媒体を製造するにあたり従来問題であった、キャストシリンダーの表面状態が刻々と変化するため、最適な離型性が安定して得られないという課題を解決することができ、もって高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速かつ安定に製造することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 本発明において、表面に熱可塑性の光沢発現層を設ける支持体としては、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ(LBSP)、針葉樹亜硫酸パルプ(NBSP)等の化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナーGP(RGP)、ケミグラウンドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)などの機械パルプ・準化学パルプ、古紙パルプ(DIP)や、ケナフ、バガス、わらパルプ等の非木材パルプの1種または2種以上を叩解し、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の填料を添加し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で抄造される原紙が用いられる。該原紙には、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等の各種添加剤が添加されていても良く、また、澱粉、ポリビニルアルコール等を用いて表面サイズ処理されていても良い。 【0022】 本発明において、支持体の厚みに特に制限はないが、インクジェット記録装置上での搬送性の観点から、40〜400μmとすることが好ましい。 また本発明において、支持体のJIS P8117−1998により測定される透気抵抗度は40(s)以下であることが、水分の蒸発が迅速に行われ、より高速にインクジェット記録媒体が製造できることから好ましい。 【0023】 本発明において、支持体と、表面に設けられる熱可塑性の光沢発現層の間には、インク吸収性を向上させる等の目的で、非晶質シリカ、ベントナイトなどのクレー、ポリビニルアルコール、各種ラテックスなどのバインダー、カチオン性有機重合体、ポリ塩化アルミニウムなどの定着剤、青み剤、蛍光剤からなる中間層を設けることが好ましい。 この様な支持体または中間層を塗工した支持体の表面に、そのまま本発明の光沢発現層を設けても良いし、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等を用いカレンダー処理してから光沢発現層を設けても良い。 【0024】 本発明において、光沢発現層は、その60質量%以上が粒径300nm以下の無機微粒子からなることが、高いインク吸収性が得られることから好ましい。 このような顔料の例としては、シリカゾル、カチオン性シリカゾル、ベーマイトゾル、擬ベーマイトゾル、γ−アルミナやθ−アルミナ等からなるアルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、酸化アンチモンゾル等が挙げられる。これらのうち、シリカゾル、カチオン性シリカゾル、擬ベーマイトゾル、γ−アルミナからなるアルミナゾルを用いることで、特に高いインク吸収性が得られることから特に好ましい。また、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体、尿素樹脂、メラミン等からなる有機高分子微粒子を用いることもできる。これらの無機微粒子、有機高分子微粒子は、その1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。 【0025】 本発明において、光沢発現層に含まれるバインダーの種類および量は、適切な塗層強度を維持することができ、かつインクの吸収を阻害することがなければ特に限定されないが、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂等などの水溶性高分子、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体を用いることができる。これらの重合体および共重合体は、水溶性のものであっても良いし、乳化物、いわゆるラテックスであっても良い。これらのうち、水中に溶解または分散した場合、透明な溶液ないし分散液を形成するものは、高いインクジェット印刷濃度が得られることから特に好ましく用いられる。 【0026】 なお本発明において、光沢発現層に含まれる顔料として、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等の、光沢発現層が必要な強度を発現するに十分な自己結着性を有する顔料を十分な量用いる場合には、これら顔料にバインダーとしての機能を付加させることもでき、この場合は別途バインダーを添加することを必ずしも要さない。 【0027】 本発明の光沢発現層には、製造されるインクジェット記録媒体の高い表面光沢を損なわれない範囲で、離型剤を添加しても良い。 また、本発明の光沢発現層にはインク定着剤、顔料分散、消泡、抑泡、浸透、濡れ等を目的とした各種界面活性剤、青味剤などの染料、顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、架橋剤などを適宜配合することもできる。 【0028】 本発明において、支持体上に中間層、光沢発現層を設ける方法としては通常、顔料、バインダー、添加剤を適宜混合して塗工組成物とし、ブレードコーター、ロッドコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ショートドウェルコーター、フィルムトランスファーコーター等の各種装置を用いて塗工する方法が行われる。 中間層を設ける場合、中間層と光沢発現層は別個に塗工しても良いし、同時に塗工しても良い。 【0029】 本発明において、光沢発現層の塗工量は多い方がより高い光沢が得られる傾向があるが、経済性や製造されるインクジェット記録媒体の表面強度との兼ね合いからは4〜20g/m2程度とすることが好ましい。 【0030】 また本発明において、鏡面シリンダーの表面温度は、高い方が乾燥が速く進むのでより高速で光沢インクジェット記録媒体を製造することができるようになるが、表面温度が高すぎると、乾燥が速くなりすぎて蒸気が抜けきれず、塗工層が原紙より剥離したり、塗工層に含まれる成分が熱分解を起こして着色することがあるので、80〜130℃にすることが好ましい。 【0031】 本発明で用いる、鏡面シリンダーの表面または光沢発現層を湿潤させるのに用いる水に含まれる水溶性界面活性剤としては、分子中に親水性基と疎水性基を有し、単独で0.05重量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上の濃度で水中に安定して溶解、分散する物質を各種用いることができる。該水溶性界面活性剤の水溶性が低すぎる場合には、製造されるインクジェット記録媒体の表面光沢が低下する問題がある。なお、特定のpH範囲、温度範囲、あるいは対イオンの存在下においてのみ0.05質量%以上の濃度で水中に安定して溶解または分散する界面活性物質については、該特定のpH範囲、温度範囲、あるいは対イオンの存在下においてのみ、本発明における界面活性剤として用いることができる。 【0032】 このような界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテルなどのポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、アルキンジアルコールおよびそのポリエチレングリコールエーテルなどのアセチレン系界面活性剤などのノニオン性界面活性剤、トリメチルラウリルアンモニウムクロライド、トリメチルステアリルアンモニウムクロライド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、ジメチルベンジルラウリルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどの両性界面活性剤、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム等のアニオン性界面活性剤などが挙げられる。 【0033】 光沢発現層にカチオン性の材料を用いる場合には、界面活性剤としてはノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれか1種以上を用いることが好ましい。アニオン性の界面活性剤は、光沢発現層中のカチオン性の材料に強く吸着されてしまい、その添加の効果が十分に得られないことがあるためである。 【0034】 本発明における油性物質とは、鏡面ロールの表面温度において液体であり、また分散のための薬剤を用いない限り、20℃において0.02質量%の濃度では水中に安定して溶解または分散しない物質を言い、その例としては、ガソリン、灯油、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等各種の液体、固体炭化水素。オレイン酸、ステアリン酸などの長鎖脂肪酸、オレイルアルコール、各種の高級アルコール、オレイン酸アミン、ステアリン酸アミン等の各種の長鎖脂肪酸アミン、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の各種の長鎖脂肪酸アミド、シリコーンオイル等が挙げられる。これら物質の中には、油溶性の界面活性剤として用いられるものもあるが、20℃において0.05質量%の濃度ではそのもの単独で水中に安定して溶解、分散しない物質である場合には、高い表面光沢を有するインクジェット記録媒体は得られないことから、本発明における水溶性界面活性剤として使用することはできない。 本発明において、該界面活性剤水溶液に多量の油性物質が含まれると、製造される光沢インクジェット記録媒体の表面光沢が低下するので好ましくないが、界面活性剤の不純物として、あるいはシートからの溶出物として該界面活性剤水溶液に混入する少量の油性成分は、本発明の製造方法において大きな障害とはならない。 【0035】 本発明において、シートの表面に湿潤状態の光沢発現層を設ける方法に特に制限はなく、光沢発現層の水性組成物を基材上に塗工しそのまま鏡面ロールに圧着する、いわゆる直接キャスト法、光沢発現層の水性組成物を基材上に塗工し、いったん乾燥させてから水を付与して再湿潤する、いわゆるリウエット法、光沢発現層の水性組成物を基材上に塗工し、いったん半乾燥させてから不足量の水を付与して再湿潤する、いわゆる擬似リウエット法、光沢発現層の水性組成物を基材上に塗工したのち、適当な薬剤の溶液に接触させて該水性組成物を不動化し、鏡面ロールに圧着する、いわゆる凝固法などを用いることができる。 本発明において、リウエット法および疑似リウエット法による場合には光沢発現層を再湿潤するための水に、凝固法による場合には水性組成物を不動化するための溶液に、界面活性剤を添加して、界面活性剤水溶液で湿潤する工程を別途には行わないこともできる。 【0036】 また、キャスト処理の前または後、または記録媒体が鏡面シリンダー上にある間、またはこれらの複数の時点にて、記録媒体に、加湿空気、加湿蒸気を吹き付けたり、水を塗布してカール矯正をする事も可能であり、更に光沢発現層の塗工前または塗工後またはその両方で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の各種カレンダー装置を用いてカレンダー処理を行うことも可能である。 【0037】 以下に本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本実施例において示す「部」および「%」は特に記さない限りそれぞれ固形分の質量部および固形分の重量%を示す。 また、本実施例において、単に「記録媒体」と記した場合は記録媒体の完成品、「(工程名)をした記録媒体」と記した場合には記された工程までの加工を経た記録媒体の加工途中物を示す。 【実施例1】 【0038】 <支持体の作製> LBKP(濾水度400mlCSF)85部とNBKP(濾水度450mlCSF)15部からなるパルプ懸濁液100部に対して、タルク25部、ロジン系サイズ剤0.10部、カチオン性アクリルアミド系紙力増強剤0.03部、カチオン化澱粉0.80部、硫酸バンド0.40部を配合し、長網抄紙機を用いて坪量90g/m2の原紙を抄造した。この原紙のJIS P8117−1998により測定される透気抵抗度は18(s)であった。 【0039】 <中間層の塗工> 下記処方からなる固形分濃度16%の水性組成物を調製した。 水酸化ナトリウム 1部 合成非晶質シリカ(水澤化学工業製ミズカシルP78A) 100部 蛍光増白剤 0.5部 シリル変性ポリビニルアルコール(クラレ製クラレRポリマー1130) 30部 染料定着剤(住友化学工業製スミレーズレジン1001) 20部 この水性組成物を、上で作製した支持体上に、乾燥塗工量が10g/m2となるようにロッドコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用い水分量が8%となるまで乾燥した。 【0040】 <光沢発現層の塗工> 下記処方からなる固形分濃度21%の水性組成物を調製した。 コロイダルシリカ(日産化学工業製スノーテックスAK) 100部 ポリビニルアルコール(クラレ製PVA117) 3部 メチルアクリレートとジメチルアミノプロピルアクリルアミド四級化物の水溶性共重合体 10部 染料定着剤(住友化学工業製スミレーズレジン1001) 2部 この水性組成物を、上で中間層を塗工した記録媒体上に、ロッドコーターを用い、乾燥塗工量が10g/m2となるように塗工し、熱風乾燥機を用い水分量が8%となるまで乾燥した。 【0041】 <界面活性剤水溶液の調製> ノニオン性界面活性剤のポリエチレングリコールラウリルエーテル(HLB=13.4、曇点84℃)0.2g、油状物質のオレイン酸0.2gに水を加えて80gとし、ホモジナイザーを用いて均一に分散した。このものにさらに水を加えて800gとし、温度を25℃に調整した。この界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量は0.025%、油性物質の量は0.025%(界面活性剤の量の100%)である。 <キャスト処理> 上で光沢発現層を塗工した記録媒体の表面に、キスコーターを用い、20g/m2の水を付与して湿潤した。また、鏡面シリンダーの表面に、上で調製した界面活性剤水溶液を5g/m2付与してその表面を湿潤した。その後直ちにこの記録媒体と鏡面シリンダーを接触させ、その後直ちにニップロールを用いて70N/cmの線圧で圧着し、ニップロールから周上2.2mの地点でシリンダーから引き剥がし、光沢インクジェット記録媒体を作製した。 この鏡面シリンダーは、表面が硬質クロムめっきされ、かつ鏡面仕上げされた直径1mの鉄製シリンダーで、内部に組み込んだ加熱装置により表面温度が98℃になるように加熱してあり、設定された速度で回転している。 【0042】 (比較例1) 鏡面シリンダーの表面に、界面活性剤水溶液の代わりに水を5g/m2付与してその表面を湿潤した以外には、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0043】 (比較例2) 中間層の水性組成物に、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(HLB=13.4、曇点84℃)2部を加えた以外には、比較例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0044】 (比較例3) 光沢発現層の水性組成物に、ポリエチレングリコールラウリルエーテル(HLB=13.4、曇点84℃)2部を加えた以外には、比較例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0045】 (比較例4) ポリエチレングリコールラウリルエーテル(HLB=13.4、曇点84℃)4g、オレイン酸6gに水を加えて100gとし、ホモジナイザーを用いて均一に分散し離型剤を得た。 光沢発現層の水性塗工液に、上で調製した離型剤2部を加えた以外には、比較例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0046】 (比較例5) 光沢発現層の水性塗工液に加える離型剤の量を1部にした以外には、比較例4と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0047】 (比較例6) 光沢発現層の水性塗工液に加える離型剤の量を0.5部にした以外には、比較例4と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例2】 【0048】 界面活性剤水溶液の調製に用いるオレイン酸の量を0.05g(調製した界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量は界面活性剤の量の25%)とした以外には、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例3】 【0049】 界面活性剤水溶液にオレイン酸を加えなかった以外には、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例4】 【0050】 界面活性剤水溶液の調製に用いるポリエチレングリコールラウリルエーテルの量を0.8g(調製した界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量は0.1%)とした以外には、実施例3と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例5】 【0051】 ポリエチレングリコールラウリルエーテルの代わりに、カチオン性界面活性剤のステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた以外には、実施例3と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例6】 【0052】 ポリエチレングリコールラウリルエーテルの代わりに、カチオン性界面活性剤のステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた以外には、実施例4と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例7】 【0053】 調製した界面活性剤水溶液を74℃に加熱してから鏡面シリンダーを湿潤するのに用いた以外には、実施例3と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例8】 【0054】 調製した界面活性剤水溶液を74℃に加熱してから鏡面シリンダーを湿潤するのに用いた以外には、実施例4と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例9】 【0055】 光沢発現層を塗工した記録媒体の表面に、水の代わりに、実施例1で調製した界面活性剤水溶液の20g/m2を付与して湿潤し、また、鏡面シリンダーの表面を、界面活性剤水溶液の代わりに水を5g/m2付与してその表面を湿潤した以外には、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例10】 【0056】 界面活性剤水溶液の調製に用いるオレイン酸の量を0.05g(調製した界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量は界面活性剤の量の25%)とした以外には、実施例9と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例11】 【0057】 界面活性剤水溶液にオレイン酸を加えなかった以外には、実施例9と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例12】 【0058】 界面活性剤水溶液の調製に用いるポリエチレングリコールラウリルエーテルの量を0.8g(調製した界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量は0.1%)とした以外には、実施例11と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例13】 【0059】 ポリエチレングリコールラウリルエーテルの代わりに、カチオン性界面活性剤のステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた以外には、実施例11と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例14】 【0060】 ポリエチレングリコールラウリルエーテルの代わりに、カチオン性界面活性剤のステアリルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた以外には、実施例12と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例15】 【0061】 調製した界面活性剤水溶液を74℃に加熱してから鏡面シリンダーを湿潤するのに用いた以外には、実施例11と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例16】 【0062】 調製した界面活性剤水溶液を74℃に加熱してから鏡面シリンダーを湿潤するのに用いた以外には、実施例12と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例17】 【0063】 光沢発現層を塗工した記録媒体を界面活性剤水溶液で湿潤し、1秒経過してから鏡面シリンダーに接触させた以外には、実施例15と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例18】 【0064】 光沢発現層を塗工した記録媒体を界面活性剤水溶液で湿潤し、4秒経過してから鏡面シリンダーに接触させた以外には、実施例15と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【実施例19】 【0065】 鏡面シリンダーの表面に、水の代わりに界面活性剤水溶液を5g/m2付与してその表面を湿潤した以外には、実施例9と同様にして光沢インクジェット記録媒体を作製した。 【0066】 <評価> 以上の各実施例、比較例において、鏡面シリンダーと粘着状態にある記録媒体を高速で引き剥がした場合に生じる表面の荒れなく操業できた最大の操業速度(m/min)、および得られたインクジェット記録媒体の、60゜表面光沢度計により測定された表面光沢度を表1に示す。なお、本発明の実施例では、乾燥速度の関係から操業速度は最大8m/minまでに制限されるが、この速度において鏡面シリンダーからの記録媒体の剥離が特に安定していたものは、表1の最大操業速度欄に8+と記した。 【0067】 【表1】
【0068】 比較例1と実施例1を比較すると判るように、鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから該シートを圧着することにより、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することができる。 また、比較例2および3と実施例1を比較すると判るように界面活性剤は鏡面シリンダーを湿潤するのに用いるのが効果的であり、これを塗工層に添加しても光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することはできない。 【0069】 さらに、比較例4、5、6と実施例1を比較すると判るように、離型剤を光沢発現層中に添加することによりインクジェット記録媒体を高速に製造したり、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体をすることは可能であるが、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することは難しい。 【0070】 実施例1と実施例2、3を比較すれば判るように、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる該界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量を、界面活性剤の量の50質量%以下とすることにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0071】 実施例3と実施例4、実施例5と実施例6を比較すれば判るように、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量を、0.05質量%以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0072】 実施例3と実施例7、実施例4と実施例8を比較すれば判るように、鏡面シリンダーを湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液の温度を、(界面活性剤の曇点−15)℃以上とすることにより特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0073】 比較例1と実施例9を比較すると判るように、光沢発現層を界面活性剤水溶液で湿潤してから該シートを圧着することにより、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することができる。 また、比較例2、3と実施例9を比較すると判るように、界面活性剤は光沢発現層を湿潤する水に添加して用いるのが効果的であり、これを塗工組成物に添加しても光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することはできない。 【0074】 さらに、比較例4、5、6と実施例9を比較すると判るように、離型剤を光沢発現層中に添加することによりインクジェット記録媒体を高速に製造したり、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体をすることは可能であるが、高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を高速に製造することは難しい。 【0075】 実施例9と実施例10、11を比較すれば判るように、光沢発現層を湿潤するのに用いる界面活性剤水溶液に含まれる油性物質の量を、界面活性剤の量の50質量%以下とすることにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0076】 実施例11と実施例12、実施例13と実施例14を比較すれば判るように、また、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を湿潤するのに用いる該界面活性剤水溶液に含まれる界面活性剤の量を、0.05質量%以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0077】 実施例11と実施例15、実施例12と実施例16を比較すれば判るように、かかる光沢インクジェット記録媒体の製造方法において、光沢発現層を湿潤するのに用いる該界面活性剤水溶液の温度を、(界面活性剤の曇点−15)℃以上とすることにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0078】 実施例15、18と実施例17を比較すれば判るように、光沢発現層を、鏡面シリンダーに圧着する0.5〜2秒前に該界面活性剤水溶液で湿潤することにより、特に高い表面光沢を有する光沢インクジェット記録媒体を特に高速に製造することができる。 【0079】 また、比較例1、実施例1、9と実施例19を比較すれば判るように、鏡面シリンダーを界面活性剤水溶液で湿潤してから界面活性剤水溶液で湿潤された光沢発現層を塗工した記録媒体を圧着することにより、特に高速に光沢インクジェット記録媒体を製造することができる。 【0080】 なお、各実施例、比較例で得られた光沢インクジェット記録媒体に、カラーインクジェットプリンター(キヤノン製Pixus850i)を用いて評価用画像を印刷して比較したところ、いずれの記録媒体も良好な印刷品質を示した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005980 【氏名又は名称】三菱製紙株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番2号
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| 【出願日】 |
平成16年3月31日(2004.3.31) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−288885(P2005−288885A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月20日(2005.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願2004−107265(P2004−107265) |
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