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【発明の名称】 瓦記名システム
【発明者】 【氏名】友久 国雄
【住所又は居所】京都府京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1番地の1 大日本スクリーン製造株式会社内

【氏名】太田 有作
【住所又は居所】京都府京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1番地の1 大日本スクリーン製造株式会社内

【氏名】二宮 彰
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目6番2号 株式会社日建設計内

【要約】 【課題】社寺に用いられる瓦への記名を容易に行うシステムを提供する。

【解決手段】瓦記名システム1は瓦9に印刷を行う印刷装置12を備え、印刷装置12は、寄進者の名前を示す名前データ61を受け付ける名前受付部6、名前データ61から各瓦9に対する版下データ711を生成する版下データ生成部71、インクジェット方式のヘッド部3、並びに、ヘッド部3を瓦9に対して相対的に移動するヘッド移動機構4および瓦搬送機構2を有する。瓦9に記名を行う際には、受け付けられた名前データ61が版下データ生成部71に入力され、版下データ711が生成される。そして、ヘッド部3並びにヘッド移動機構4および瓦搬送機構2が版下データ711に基づいて制御され、瓦9上に寄進者の名前が印刷される。これにより、瓦記名システム1では、瓦9への記名を容易に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社寺に用いられる瓦に記名を行う瓦記名システムであって、
寄進者の名前を示す名前データを受け付ける名前受付手段と、
前記名前データから各瓦に対する版下データを生成する版下データ生成手段と、
前記版下データに基づいて寄進者の名前を瓦に印刷する手段と、
を備えることを特徴とする瓦記名システム。
【請求項2】
請求項1に記載の瓦記名システムであって、
前記名前受付手段により複数の名前データが受け付けられ、
前記印刷する手段が、2以上の寄進者の名前を1つの瓦に印刷することを特徴とする瓦記名システム。
【請求項3】
請求項2に記載の瓦記名システムであって、
前記複数の名前データのそれぞれに寄進者の分類を示す分類コードが付与されており、
前記版下データ生成手段が、前記分類コードを参照して前記複数の名前データを分類し、同一分類に属す前記2以上の寄進者の名前を含む前記版下データを生成することを特徴とする瓦記名システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の瓦記名システムであって、
寄進者の名前が印刷された瓦を撮像し、前記瓦の画像データを取得する撮像部と、
前記画像データを前記寄進者の名前に関連づけて記憶する記憶部と、
をさらに備えることを特徴とする瓦記名システム。
【請求項5】
請求項4に記載の瓦記名システムであって、
端末との間で通信網を介して情報の受け渡しを行う通信部と、
前記端末からの要求信号に従って、特定の寄進者の名前に関連付けられた画像データを前記記憶部から読み出して前記端末へと送出する画像送出手段と、
をさらに備えることを特徴とする瓦記名システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、社寺に用いられる瓦に記名を行う瓦記名システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多くの寺院では仏をまつる建物(仏堂)を新築したり、修復する際に信者からお布施を募り、寄進者の名前をその建物に用いられる瓦に書き写す(すなわち、記名する)ことが行われており、瓦への記名は作業者により手書きにて行われている。
【0003】
なお、特許文献1では、建築物の屋根の形状等に応じて瓦の最適な配列およびプレカット材加工情報が求められ、プレカット材加工情報に基づいて切断されたプレカット材に識別マークを印刷することにより、現場において瓦を手際よく据え付けることを実現する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2003−127092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、寺院等に用いられる大量の瓦に記名する際には、多くの作業者が必要となり、また、手書きにて書き写されるため、長時間を要するとともに書き間違い等も生じてしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、瓦への記名を容易に行う技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、社寺に用いられる瓦に記名を行う瓦記名システムであって、寄進者の名前を示す名前データを受け付ける名前受付手段と、前記名前データから各瓦に対する版下データを生成する版下データ生成手段と、前記版下データに基づいて寄進者の名前を瓦に印刷する手段とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の瓦記名システムであって、前記名前受付手段により複数の名前データが受け付けられ、前記印刷する手段が、2以上の寄進者の名前を1つの瓦に印刷する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の瓦記名システムであって、前記複数の名前データのそれぞれに寄進者の分類を示す分類コードが付与されており、前記版下データ生成手段が、前記分類コードを参照して前記複数の名前データを分類し、同一分類に属す前記2以上の寄進者の名前を含む前記版下データを生成する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の瓦記名システムであって、寄進者の名前が印刷された瓦を撮像し、前記瓦の画像データを取得する撮像部と、前記画像データを前記寄進者の名前に関連づけて記憶する記憶部とをさらに備える。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の瓦記名システムであって、端末との間で通信網を介して情報の受け渡しを行う通信部と、前記端末からの要求信号に従って、特定の寄進者の名前に関連付けられた画像データを前記記憶部から読み出して前記端末へと送出する画像送出手段とをさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1ないし5の発明では、瓦への記名を容易に行うことができる。
【0012】
また、請求項3の発明では、2以上の寄進者の名前を分類に応じて1つの瓦に印刷することができる。
【0013】
また、請求項5の発明では、端末から通信網を介して記名後の瓦の画像を閲覧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はインターネット等の通信網8に接続されたサーバ側のコンピュータ(以下、「サーバ」という。)11、および、家庭や会社等に配置されたクライアントとなるコンピュータ(以下、「クライアント」という。)81を示す図である。サーバ11およびクライアント81のそれぞれは、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ等により構成された一般的なコンピュータである。図1に示すように、サーバ11は瓦に印刷を行う印刷装置12に接続されており、サーバ11および印刷装置12により瓦に記名を行う瓦記名システム1が構成される。
【0015】
瓦記名システム1は、寺院において新たな建物を建築したり既存の建物を修復する際に(例えば、仏堂の建築や修復の際に)、金銭等を寄付する寄進者の氏名、名称あるいは戒名等(以下、「名前」と総称する。)を受け付け、その建物に用いられる瓦に名前を印刷する(すなわち、記名を行う)システムである。瓦記名システム1では、後述するように記名後の瓦の画像データが取得され、必要に応じてサーバ11からクライアント81へと画像データが配信されてクライアント81において瓦の画像が表示可能とされる。
【0016】
図2は瓦記名システム1の構成を示す図である。前述のように、瓦記名システム1は通信網8に接続されたサーバ11、および、瓦9(例えば、主面側を向いて見た場合の大きさが400mm×500mmである瓦)の曲面上に印刷を行う印刷装置12を備え、印刷装置12は、瓦9を様々な機構にて搬送する瓦搬送機構2、瓦搬送機構2の前半部において瓦9に向けて光硬化性のインク(例えば、カーボンブラックを含む紫外線硬化性のインク)を吐出するヘッド部3、ヘッド部3を図2中のX方向およびY方向に移動するヘッド移動機構4、瓦搬送機構2の後半部において瓦9上に光を照射するインク硬化部51、並びに、瓦9を撮像する撮像部52を有する。なお、図2では、説明の便宜上、他の構成と比較してヘッド部3およびヘッド移動機構4を大きく図示している。
【0017】
瓦搬送機構2は、ヘッド部3の下方にて瓦9を保持しつつ移動する第1コンベヤ21、インク硬化部51および撮像部52の下方にて瓦9を移動する第2コンベヤ22、並びに、第1コンベヤ21から第2コンベヤへと瓦9を移載する移載ロボット23を有する。第1コンベヤ21は、曲面である瓦9の表面におよそ倣う所定の曲線に沿って配列された複数のベルトローラ211、および、複数のベルトローラ211に外接して設けられる1つの環状のベルト212を有し、図示省略のモータによりベルトローラ211が回転することにより、滑らないようにベルト212上に保持された瓦9が所定の曲線に沿って図2中の(+X)側へと移動する。移載ロボット23は、第1コンベヤ21上において(+X)側へと移動した瓦9をメカニカルチャックにて保持しつつ持ち上げて第2コンベヤ22上へと移載し、第2コンベヤ22により瓦9が(+X)方向へとさらに搬送される。
【0018】
ヘッド部3は、インクジェット方式のノズル部31を有し、ノズル部31にはインクの微小液滴を瓦9に向けて吐出する複数の吐出口がX方向に所定のピッチにて配列形成されている。また、ノズル部31には図示省略のインク供給部が接続されており、インク供給部からノズル部31にインクが適宜供給される。ノズル部31の(+Y)側および(−Y)側の各側面には、紫外線を出射する光源ユニット321に接続された補助硬化部32が取り付けられ、各吐出口に対応する光のスポットを瓦9上に形成する。
【0019】
ノズル部31は、瓦9とは反対側において支持部33に固定されており、支持部33によりノズル部31が瓦9に対して進退可能(すなわち、図2中のZ方向に移動可能)に支持される。また、ノズル部31の(−X)側の側面には、ローラ34がX軸に平行な中心軸を中心として回転可能に取り付けられる。ヘッド部3では、ノズル部31が瓦9上に位置する際にはローラ34およびノズル部31の自重によりローラ34が瓦9の表面に当接する。
【0020】
ヘッド移動機構4は、ヘッド部3をY方向に移動するY方向移動機構41、および、X方向に微小に移動するX方向移動機構42を有する。Y方向移動機構41はモータ411にボールねじ(図示省略)が接続され、モータ411が回転することにより、ヘッド部3がY方向に移動する。X方向移動機構42もY方向移動機構41と同様の構成となっており、ボールねじに接続されたモータ421が微小角度だけ回転することにより、Y方向移動機構41がX方向に微小に移動する。
【0021】
また、ヘッド部3の下方に位置する瓦9の(−Y)側には、瓦9の表面からおよそ連続する面を形成するローラ待避部43が設けられる。印刷装置12では、ヘッド部3がY方向移動機構41により瓦9に対して主走査方向(Y方向)に移動する際にはローラ34は瓦9の表面上を転がって移動し、瓦9が第1コンベヤ21により副走査方向(X方向)に移動する際にはローラ34はローラ待避部43上に停止して瓦9上から待避する。
【0022】
インク硬化部51は紫外線を出射するランプ511を有し、ランプ511から出射された光は、第2コンベヤ22上において下方に位置する瓦9に照射される。また、撮像部52には、それぞれが光学系を有する2つの撮像デバイス521が設けられ、各撮像デバイス521によりインク硬化部51を通過した瓦9が撮像されて瓦9の画像データが取得され、サーバ11へと出力される。なお、撮像部52には、1つの撮像デバイス521のみが設けられてもよい。
【0023】
印刷装置12は、さらに、寄進者の名前を示す名前データ61を受け付ける名前受付部6、および、名前受付部6から名前データ61が入力されるとともに印刷装置12の各構成の制御を担う制御部7を有する。
【0024】
名前受付部6は、具体的には、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ、固定ディスク等により構成されたコンピュータに、用紙上に描かれた画像を読み取って画像データを取得するスキャナが接続された構成となっている。名前受付部6では、実際に寄進者の名前が記入された(例えば、自己の筆跡にて書かれた)所定のラベル(以下、「瓦記名ラベル」という。)の一部がスキャナにて読み取られ、寄進者が記入した名前(文字のみならず、梵字やロゴが含まれてもよい。)の画像データが取得される。そして、寄進者の名前や他の情報に関連付けられた上で名前データ61として受け付けられ、名前データ61の集合である名前データベース610が生成されて固定ディスク等に記憶される。
【0025】
制御部7は、名前受付部6から名前データ61が入力される版下データ生成部71、ヘッド部3の制御を行うヘッド制御部72、および、瓦搬送機構2およびヘッド移動機構4の動作を制御する動作制御部73を有する。版下データ生成部71では名前データ61から各瓦9に対するラスタイメージである版下データ711が生成され、後述する印刷処理においてヘッド制御部72によるヘッド部3のインク吐出制御、並びに、動作制御部73によるヘッド部3および瓦9の移動制御に利用される。なお、名前受付部6や制御部7には図示省略の表示部および入力部も設けられ、名前データ61の入力や各種設定がGUI(Graphical User Interface)により容易に操作可能とされている。
【0026】
サーバ11は各種情報を記憶する固定ディスク111、CPUやメモリ等により実現される機能である画像送出部112、および、図1のクライアント81との間で通信網8を介して情報の受け渡しを行う通信部113を有する。サーバ11では、撮像部52から入力される1つの瓦9に対する2つの画像データが1つの瓦画像データ110として取り扱われ、固定ディスク111に記憶される。画像送出部112は、クライアント81からの要求信号に応じて瓦画像データ110を固定ディスク111から読み出し、通信部113を介してクライアント81へと送出する。
【0027】
図3は、瓦記名システム1による瓦9に記名を行う処理の流れを示す図である。瓦記名システム1では、まず、名前受付部6において全国の寄進者から郵送された瓦記名ラベルがスキャナにより読み取られ、寄進者の名前が記入された所定の部分の画像データが名前データ61として受け付けられる(ステップS11)。
【0028】
また、瓦記名ラベルには寄進者が属する末寺である寺院・教会を示す番号が記載されており、この番号はスキャナにより取得された画像データから専用のソフトウェア(いわゆる、OCR(Optical Character Reader))を利用してテキストデータとして読み取られ、分類コードとして取得される。さらに、操作者により寄進者の名前(ここでは主に、氏名または名称)が名前受付部6のコンピュータのキーボードやマウスを介して入力され、全ての名前データ61のそれぞれに寄進者の名前が関連付けられるとともに、寄進者の分類(すなわち、所属する末寺)を示す分類コードが付与される。
【0029】
名前受付部6では既に生成されている名前データベース610が、新たな名前データ61が受け付けられる毎に順次更新される。名前データベース610の更新が完了すると、版下データ生成部71が分類コードを参照して名前データベース610内の名前データ61を末寺ごとに分類し、同一の末寺に属す複数の寄進者(例えば、12〜18人の寄進者)の名前を含む版下データ711が各瓦9に対して生成される(ステップS12)。なお、各瓦9に対する版下データ711は可能な限り同一の末寺に属す複数の寄進者の名前のみにより構成されるが、1つの瓦9に記名される同一の末寺に属す寄進者の名前の数が一定数以下の場合には、版下データ711には異なる末寺に属す寄進者の名前が加えられる。
【0030】
そして、版下データ711に基づいてヘッド部3を瓦9に対して相対的に移動しつつインクが瓦9に向けて順次吐出され、続いて、インク硬化部51により瓦9上に付着したインクが硬化されることにより、寄進者の名前が瓦9に印刷される(ステップS13)。なお、ステップS13における処理については、瓦記名システム1の全体の処理の説明後に詳述する。
【0031】
印刷後の瓦9は、第2コンベヤ22により撮像部52の下方へと移動し、撮像部52により名前が記名された瓦9が撮像されて瓦の画像データが取得される(ステップS14)。瓦の画像データはサーバ11に出力され、その瓦9に記名された複数の寄進者のそれぞれの名前に関連付けて瓦画像データ110として固定ディスク111に記憶される。瓦9は第2コンベヤ22により(+X)方向へとさらに移動し、第2コンベヤ22の端部において取り出されて所定のパレット上に載置され、寺院に属する建物の建築や修復に利用される。
【0032】
瓦画像データ110が固定ディスク111に記憶されると、例えば、寄進者が端末であるクライアント81をブラウザを介して操作することにより、自己の名前が記名された瓦9の画像データの配信の要求信号が生成され、クライアント81から通信網8を介してサーバ11へと送信されて要求信号が受け付けられる(ステップS15)。
【0033】
サーバ11では、画像送出部112によりクライアント81からの要求信号に従って、その寄進者の名前に関連付けられた記名後の瓦9の画像データ(すなわち、瓦画像データ110)が固定ディスク111から読み出され、通信部113を介してクライアント81へと送出される(ステップS16)。そして、クライアント81において通信網8を介して瓦画像データ110が受信され、寄進者が、自己の名前が自己の筆跡にて記名された瓦9の画像を閲覧することができ、これにより、寄進者は満足感を得ることができる。なお、瓦記名システム1では、瓦画像データ110が示す画像が外部の機器(例えば、プリンタ)により印刷され、印刷物が寄進者に郵送されてもよい。
【0034】
以上のように、瓦記名システム1では、寄進者の名前を示す名前データ61が受け付けられて各瓦9に対する版下データ711が生成され、版下データ711に基づいて瓦9に寄進者の名前が記名される。これにより、多くの作業者が手書きにて長時間を要して瓦に記名することが不要になるとともに寄進者の名前の記名漏れ等が防止され、瓦9への記名を容易かつ確実に行うことができる。また、瓦記名システム1では名前受付部6により複数の名前データ61が受け付けられ、版下データ生成部71において同一分類に属す2以上の寄進者の名前を含む版下データ711が生成されるため、手作業による煩雑な分類作業を行うことなく同一分類に属す2以上の寄進者の名前を1つの瓦9に印刷することができる。
【0035】
図4は、図3中のステップS13において印刷装置12が瓦9に印刷を行う動作の流れを示す図である。印刷が行われる際には、まず、操作者が印刷装置12に備え付けられた移載用バランサ121を操作することにより、先端に設けられるメカニカルチャックによりパレット内に収納された瓦9が保持されて第1コンベヤ21の(−X)側へと移動し、第1コンベヤ21上へと載置される(すなわち、第1コンベヤ21上に瓦9がロードされる)。そして、第1コンベヤ21により瓦9が(+X)側に移動し、瓦9が所定の印刷開始位置にセットされる(ステップS21)。
【0036】
続いて、補助硬化部32からの光の出射が開始され(ステップS22)、動作制御部73およびヘッド制御部72により主走査におけるヘッド部3の移動制御および吐出制御が行われる(ステップS23)。具体的には、Y方向移動機構41によりヘッド部3がローラ待避部43上から(+Y)方向に移動を開始し、ヘッド部3の主走査方向への往復移動に同期しつつ版下データ711に基づいてヘッド部3からのインクの吐出が制御される。
【0037】
図5は、ヘッド部3を移動しつつインクを吐出する様子を説明するための図であり、ノズル部31の下部を(−X)側から(+X)方向を向いて見た様子を示す図である。図5に示すように印刷装置12では、ローラ34が曲面である瓦9の表面に当接して転がるため、ヘッド部3の吐出口311と瓦9との間の距離を(ほぼ)一定に保ってヘッド部3を瓦9に対して(+Y)方向に移動しつつインクジェット方式にて吐出口311からインクの微小液滴が瓦9に向けて順次吐出される。そして、ヘッド部3の進行方向に対して後側((−Y)側)に位置する補助硬化部32により、瓦9上に付着したインク91に光が順次照射され、インク91が仮硬化する。このとき、補助硬化部32は吐出口311近傍に光を照射しない位置に配置されるため、吐出口311近傍のインクが硬化して吐出口311が詰まることが防止される。
【0038】
ヘッド部3が主走査の往路における停止位置(すなわち、瓦9の(+Y)側の端部)に到達すると、X方向移動機構42によりヘッド部3が吐出口311のX方向に関するピッチの半分の距離だけ(−X)方向に微小に移動し、続いて、ヘッド部3が(−Y)方向に移動を開始する。なお、X方向への移動は非常に微小であるため、この移動によりローラ34と瓦9との間に滑りが生じることはなく、ノズル部31とローラ34との間に生じるずれはローラ34の支持部等のいわゆるあそびに吸収される。
【0039】
主走査の復路においても同様に、吐出口311からインクの微小液滴が瓦9に向けて順次吐出され、瓦9上に吐出されたインク91に、ヘッド部3の進行方向に対して後側((+Y)側)に位置する補助硬化部32により光が照射される。そして、ヘッド部3が主走査の復路における吐出停止位置まで到達してヘッド部3の吐出制御が停止され、さらに、ローラ待避部43上まで移動してヘッド部3の主走査方向の移動制御が停止される。続いて、瓦9が第1コンベヤ21により(+X)側に所定の距離だけ副走査し(ステップS24,S25)、ヘッド部3の移動制御および吐出制御が繰り返される(ステップS23)。
【0040】
このように、印刷装置12では、ヘッド部3の主走査の往路と復路との間にヘッド部3がX方向移動機構42により吐出口311のX方向のピッチの半分だけ副走査方向に微小に移動し、さらに、ヘッド部3が主走査方向に1往復するごとに瓦9が第1コンベヤ21により所定の距離だけ副走査方向に移動する。すなわち、第1コンベヤ21によりヘッド部3が瓦9に対して副走査方向に相対的に移動し、X方向移動機構42による副走査方向への移動は補助的に行われる。なお、X方向移動機構42による副走査方向へのヘッド部3の移動は、主走査が行われる毎に繰り返されて1枚の瓦9への印刷が終了した時点でX方向移動機構42が最初の状態に戻されてもよく、主走査が行われる毎にX方向移動機構42が元の状態に戻されてもよい。また、印刷装置12では、ヘッド部3が主走査方向に複数回往復してノズルのピッチ間への吐出が行われ、その後、瓦9が副走査方向に移動してもよい。
【0041】
以上の動作が繰り返され(ステップS23〜S25)、版下データ711に対応する瓦9上の全ての領域に対するインクの吐出(および、インク91の仮硬化)が終了すると(ステップS24)、補助硬化部32からの光の出射が停止される(ステップS26)。そして、瓦9は第1コンベヤ21により(+X)側へとさらに移動し、移載ロボット23により第2コンベヤ22上へと移載される(すなわち、第1コンベヤ21上から瓦9がアンロードされる)。
【0042】
第2コンベヤ22上の瓦9は(+X)方向へと搬送され、瓦9がインク硬化部51を通過する際に常時点灯しているランプ511からの光が瓦9に付着したインク91に照射され(ステップS27)、瓦9上のインク91が硬化する。すなわち、印刷装置12では、瓦9上に付着したインク91は補助硬化部32により仮硬化した後、インク硬化部51により本硬化する。なお、印刷装置12では、ヘッド部3による瓦9上へのインクの吐出および仮硬化と、インク硬化部51によるインク91の本硬化とが異なる瓦9に対して並行して行われる。
【0043】
このようにして、印刷装置12では寄進者の名前が瓦9上に、例えば、作業者が手書きにて記名する場合の10倍の処理速度(毎時約40枚)にて高速に、かつ、300dpi(dot per inch)程度の解像度にて鮮明に印刷することが実現される。
【0044】
以上のように、印刷装置12では、ローラ34を有するヘッド移動機構4によりヘッド部3の吐出口311と瓦9との間の距離を一定に保ちつつヘッド部3が瓦9に対して主走査方向に移動し、インクの微小液滴が瓦9上に吐出される。そして、瓦9上に付着した直後のインク91に補助硬化部32から光が照射されてインク91が仮硬化され、その後、インク硬化部51から光がさらに照射されてインク91が本硬化する。これにより、印刷装置12では、インクが滲みやすい特殊な表面処理が施されるとともに曲面を有する瓦9上であっても、インク91が滲むことなく適切に印刷を行うことができる。また、印刷装置12では、スクリーン印刷方式のようにフィルムやスクリーン等の廃材が生じることなく印刷を行うことができ、環境への負荷を軽減することができる。
【0045】
図6は、他の例に係る瓦記名システム1aを示す図である。図6の瓦記名システム1aでは、図2に示す2つの印刷装置12が並列に設けられ、名前受付部6が2つの印刷装置12の間で共有される。
【0046】
図6の瓦記名システム1aでは、1つの名前受付部6から2つの制御部7のそれぞれへと異なる複数の名前データ61が入力され、2つの印刷装置12において版下データ711がそれぞれ生成されて瓦9上に記名が行われる。そして、各撮像部52にて記名後の瓦9が撮像され、取得された画像データが1つのサーバ11に入力されて瓦画像データ110として記憶される。これにより、図6の瓦記名システム1aでは図2の瓦記名システム1の簡単な拡張により、より多くの瓦9に記名を行い、瓦画像データ110を取得することが可能となる。
【0047】
図7は、他の例に係る印刷装置12aの一部を示す図である。図7の印刷装置12aでは、図2の印刷装置12と比較して、ローラ34およびローラ待避部43が取り除かれ、瓦9の表面の高さを検出する距離検出部35が設けられるとともに、支持部33がモータを有する進退機構33aとされる点で相違する。他の構成は図2と同様であり同符号を付している。
【0048】
距離検出部35は、半導体レーザからのレーザ光を瓦9に向けて出射する発光部、瓦9上のレーザ光のスポットを撮像するカメラ、および、カメラにより取得される画像中のスポットの位置から三角測量によりスポットの高さ(すなわち、インク吐出位置における瓦9の表面の高さ)を求める演算部を有する。なお、距離検出部35は非接触にて瓦9の表面の高さを測定することができるのであれば他のどのような手法が用いられてもよく、例えば、ズームレンズを備えたカメラのオートフォーカス機能を利用して瓦9の表面の高さが測定されてもよい。
【0049】
ノズル部31を主走査しつつインクが吐出される際には、距離検出部35からの信号に基づいて進退機構33aにより吐出口311と瓦9の表面との間の距離が一定に調整される。また、図5に示すヘッド部3の場合と同様に吐出直後のインクには補助硬化部32から光が照射されて仮硬化が順次施される。これにより、印刷装置12aでは、ヘッド部3の主走査に応じて、吐出口311と瓦9の表面との間の距離が一定に調整されつつインクの吐出および光照射が行われ、瓦9上に寄進者の名前を滲みなく適切に印刷することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0051】
瓦記名システム1では、必ずしもインクジェット方式のヘッド部3により瓦9に印刷が行われる必要はなく、他の手法により瓦9上に寄進者の名前が記名されてもよい。例えば、マスクを介してインクを付与したり、マスクを介してサンドブラストを施すことにより記名が行われてもよい。
【0052】
マスクの作成方法の一例としては、まず、トレーシングペーパに寄進者の名前が印刷され、トレーシングペーパ上に下側フィルムを被せて感光性樹脂が塗布される。樹脂層上には上側フィルムがさらに重ねられるとともに上側フィルムを下にしてトレーシングペーパ側から紫外線が照射される。続いて、トレーシングペーパおよび下側フィルムを剥離して水で現像することにより、樹脂層のうち光が照射されなかった部分が取り除かれて上側フィルム上にパターンが形成される。上側フィルムのパターン側を瓦上に貼着し、サンドブラスト法を利用して上側フィルムのパターンが存在しない部分を除去することにより瓦上にマスクが形成される。そして、引き続きサンドブラスト法で瓦の表面を削る、または、マスクが形成された瓦上にインクを付与することにより瓦上に寄進者の名前が記名されることとなる。また、さらに他の手法としては、転写紙等を利用して瓦上に記名されてもよい。
【0053】
名前受付部6では、瓦記名ラベルのうち寄進者の名前を示す部分が専用の文字認識ソフトウェアによりテキストデータとして読み取られ、テキストデータ自体(またはテキストデータから生成された画像データ)が名前データ(正確には名前データ中の瓦に記名される情報の部分)として取り扱われてもよい。また、サーバ11により通信網8を介してクライアント81から寄進者の名前を示すテキストデータが取得され、名前データとして受け付けられてもよい。このように、名前データがテキストデータとされる場合には、名前データに間違いが見つかったときでも、名前データを容易に訂正することができる。
【0054】
また、名前受付部6は必ずしもコンピュータおよびスキャナにより構成される必要はなく、上述のように、サーバ11によりクライアント81から名前データが受け付けられる場合には、サーバ11が名前受付部6としての役割を果たしてもよい。
【0055】
分類コードは、必ずしも寺院・教会の分類を示すものである必要はなく、例えば、寄進者の職業や地位等、寄進者の分類を示すものであればいかなるものであってもよい。瓦記名システムは、寺院以外に神社に用いられる瓦9に記名を行うものであってもよい。すなわち、瓦記名システムでは、社寺に用いられる瓦に記名を行う用途に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】通信網に接続されたサーバおよびクライアントを示す図である。
【図2】瓦記名システムの構成を示す図である。
【図3】瓦に記名を行う処理の流れを示す図である。
【図4】瓦に印刷を行う動作の流れを示す図である。
【図5】ヘッド部を移動しつつインクを吐出する様子を説明するための図である。
【図6】瓦記名システムの他の例を示す図である。
【図7】印刷装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1,1a 瓦記名システム
6 名前受付部
8 通信網
9 瓦
12,12a 印刷装置
52 撮像部
61 名前データ
71 版下データ生成部
81 クライアント
110 瓦画像データ
111 固定ディスク
112 画像送出部
113 通信部
711 版下データ
【出願人】 【識別番号】000207551
【氏名又は名称】大日本スクリーン製造株式会社
【住所又は居所】京都府京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神北町1番地の1
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
【住所又は居所】東京都千代田区飯田橋二丁目18番3号
【出願日】 平成15年11月20日(2003.11.20)
【代理人】 【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘

【公開番号】 特開2005−145026(P2005−145026A)
【公開日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願番号】 特願2003−390226(P2003−390226)