| 【発明の名称】 |
複合シート |
| 【発明者】 |
【氏名】長原 進介 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
【氏名】豊島 泰生 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
【氏名】内山 泰樹 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】特に、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、特定の方向に液を拡散させやすい複合シートを提供すること。
【解決手段】本発明の複合シート10は、短繊維からなる第1の層1と、一方向に配向した連続フィラメント5からなる第2の層2とを有し、両層1,2は多数の接合部3において部分的に接合されて厚さ方向に一体化されている。連続フィラメント5は伸縮性を有しており、第1の層1が該接合部3間において突出して多数の凸部4を形成している。連続フィラメント5が捲縮しており、複合シート10が連続フィラメント5の配向方向に伸縮性を有している。接合部3は、連続フィラメント5の配向方向と交差する方向に延びる形状を有しており且つ該交差方向に不連続に形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 短繊維からなる第1の層と、一方向に配向した伸縮性の連続フィラメントからなる第2の層とを有し、両層は多数の接合部において部分的に接合されて厚さ方向に一体化されており、第1の層は該接合部間において突出して多数の凸部を形成し、該連続フィラメントの配向方向に伸縮性を有している複合シート。 【請求項2】 前記連続フィラメントが立体捲縮している請求項1記載の複合シート。 【請求項3】 前記接合部が、前記連続フィラメントの配向方向と交差する方向に延びる形状を有しており且つ前記方向に不連続に形成されている請求項1又は2記載の複合シート。 【請求項4】 第1の層は、前記連続フィラメントの配向方向に直交する方向の引張強度が、該配向方向の引張強度の1.5倍以上である請求項1乃至3の何れかに記載の複合シート。 【請求項5】 前記連続フィラメントが熱収縮した熱収縮性繊維であり、前記凸部は第1層と第2層との接合と同時に又は接合後に、該熱収縮性繊維が収縮して形成されたものである請求項1乃至4の何れかの記載の複合シート。 【請求項6】 第1の層に含まれる前記短繊維が立体捲縮している請求項1乃至5の何れかに記載の複合シ−ト。 【請求項7】 前記複合シートは、第2の層側にも多数の凸部を有している請求項1乃至6の何れかに記載の複合シート。 【請求項8】 吸収性物品の表面シートとして用いられ、第1の層が着用者の肌側に向けられ、第2の層が吸収体側に配され、前記連続フィラメントの配向方向が吸収性物品の長手方向と一致するようにシートが配される請求項1乃至7の何れかに記載の複合シート。 【請求項9】 請求項5記載の複合シートの製造方法であって、 一方向に配向した状態の前記連続フィラメントの一面に前記短繊維からなるウエブを重ね合わせ、両者を部分的に接合して厚さ方向に一体化させ、この一体化と同時に又はその後に前記連続フィラメントを熱収縮させて多数の前記凸部を形成する複合シートの製造方法。 【請求項10】 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、 前記表面シートとして請求項1記載の複合シートを用い、該複合シートは、第1の層が着用者の肌側に向けられ、第2の層が吸収体側に配され、 前記連続フィラメントの配向方向が前記吸収性物品の長手方向と一致するように複合シートが配されている吸収性物品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、連続フィラメントの層と短繊維の層とが接合一体化されてなる複合シートに関する。本発明の複合シートは、吸収性物品の表面シートや清掃用シートとして特に好適に用いられる。また本発明は、前記複合シートを備えた吸収性物品に関する。 【背景技術】 【0002】 連続フィラメントを用いた複合シートとして、連続フィラメントの束である下層に、連続フィラメントの束である上層が重ねられて、両層が曲線や直線状の接合線で部分的に融着されているものが知られている(特許文献1参照)。この特許文献によれば、この複合シートは、吸収性物品の表面シートとして用いられるとされている。しかし、肌に対向する上層を構成する連続フィラメントが一方向に配向しているので、吸収性物品の着用者から排泄された液が上層を構成する連続フィラメントの配向方向に誘導されやすく、且つ下層への液の受け渡しがおこり難いため、漏れにつながる表面液流れが起こりやすい。 【0003】 連続フィラメントを用いた他の複合シートも知られている(特許文献2及び3参照)。しかしこれらの複合シートにおける連続フィラメントは、スパンボンド不織布を構成するものであり、一方向に配向していない。従って、これらの複合シートを吸収性物品の表面シートとして用いた場合、シートの平面内での液の拡散を、特定方向にコントロールすることが容易でない。また、清掃用シートとして用いた場合、スパンボンド不織布は平滑な表面を有しているため、ゴミの捕集性に劣る。 【0004】 【特許文献1】特開2002−65738号公報 【特許文献2】特開平7−207567号公報 【特許文献3】特開平9−31821号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 従って本発明は、従来技術の複合シートが有する前述の不都合を解消し得る複合シートを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、短繊維からなる第1の層と、一方向に配向した伸縮性の連続フィラメントからなる第2の層とを有し、両層は多数の接合部において部分的に接合されて厚さ方向に一体化されており、第1の層は該接合部間において突出して多数の凸部を形成し、該連続フィラメントの配向方向に伸縮性を有している複合シートを提供することにより前記目的を達成したものである。 【0007】 また本発明は、前記複合シートの好ましい製造方法として、 一方向に配向した状態の前記連続フィラメントの一面に前記短繊維からなるウエブを重ね合わせ、両者を部分的に接合して厚さ方向に一体化させ、この一体化と同時に又はその後に前記連続フィラメントを熱収縮させて多数の前記凸部を形成する請求項1記載の複合シートの製造方法を提供するものである。 【0008】 更に本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、 前記表面シートとして前記複合シートを用い、該複合シートは、第1の層が着用者の肌側に向けられ、第2の層が吸収体側に配され、 前記連続フィラメントの配向方向が前記吸収性物品の長手方向と一致するように前記複合シートが配されている吸収性物品を提供するものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明の複合シートは、例えばこれを吸収性物品の表面シートとして用いた場合、連続フィラメントの配向方向に液を拡散させやすいので、配向方向と直交する方向への液の拡散が抑えられ、液漏れが効果的に防止されるという利点を有する。また本発明の複合シートは、連続フィラメントの配向方向への伸縮性によって吸収性物品の肌へのフィット性や装着感が良好となる。また、本発明の複合シートを清掃用シートとして用いた場合、汚れの掻き取り性やゴミの補集性に優れ、また手や清掃用具との装着性および操作性、清掃対象面に対する追従性にも良好であり、清掃性に優れるものとなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態は、本発明の複合シートを吸収性物品の表面シートとして用いた例である。図1には、本発明の複合シートを、吸収性物品の一例としての生理用ナプキンに組み込んだ状態を示す該ナプキンの断面図が示されている。図1において、Xで示す方向は連続フィラメントの配向方向を示している。つまり図1は、連続フィラメントの配向方向に沿った複合シート及びそれを備えたナプキンの長手方向に沿った断面図である。 【0011】 生理用ナプキン20は縦長の形状をしており、複合シート10は着用者の肌対向側に配されている。つまり複合シート10は、生理用ナプキン20における表面シートとして用いられている。ナプキン20は、表面シートとしての複合シートの他に、液不透過性の裏面シート21及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体22を有している。裏面シート21及び吸収体22としては、この種の物品に通常用いられている材料を用いることができる。 【0012】 本実施形態の複合シート10は、第1繊維層1及びこれに隣接する第2繊維層2を備えている。第1繊維層1は短繊維の集合体から構成されている。一方、第2繊維層2はX方向に配向した連続フィラメント5からなる。短繊維及び連続フィラメントは何れも親水化処理されている。連続フィラメント5はシート10のX方向へ途切れることなく連続している。X方向は、複合シート10の製造時の機械方向でもある。第1繊維層1と第2繊維層2とは、多数の接合部3によって部分的に接合されている。逆に言えば、第1繊維層1と第2繊維層2とはそれらの全面において接合されていない。 【0013】 接合部3は、第1繊維層1と第2繊維層2とが熱融着されて形成されたものである。接合部3は圧密化されており、シート10における他の部分に比して厚みが小さく且つ密度が大きくなっている。接合部3は連続フィラメント5の配向方向と交差する方向へ延びる形状を有している。具体的には、接合部3は小楕円形であり、その長径方向は、連続フィラメント5の配向方向と直交する方向を向いている。連続フィラメント5は、その長さ方向の何れかの部位において接合部3によって接合されている。これによって第2繊維層2の、層としての一体性が保たれている。 【0014】 接合部3は、楕円形の長径方向に、離散的・不連続に形成されており、全体として千鳥格子状の配置パターンを形成している。なお、接合部3を、連続フィラメントの配向方向と交差する方向に連続して延びる曲線や直線状の形状とすることも可能である。しかし接合部3を離散的・不連続に形成する方が、複合シート10を柔軟にすることができるので好ましい。また連続フィラメント5の配向方向への液の優先的な拡散(これについては後述する)が阻害されにくくなることから好ましい。尤も、接合部3を余りにも離散的・不連続に形成すると、複合シート10の強度が低下する。従って、接合部3の形状やシート10の面積に対する接合部3の面積の総和の割合は、シート10の柔軟性と強度とのバランスを考慮して決定される。 【0015】 シート10は、接合部3の間において第1繊維層1が突出して多数の凸部4を形成している。本実施形態においては、シート10が、千鳥格子状の配列パターンからなる接合部3によって取り囲まれて形成された閉じた領域を多数有しており、この閉じた領域において第1繊維層1は、図1に示すように突出して凸部4を形成している。本実施形態における凸部4は、ドーム状の形状をなしている。その内部は第1繊維層1を構成する短繊維で満たされている。接合部3は、凸部4に対して相対的に凹部となっている。一方、第2繊維層2においては、接合部3間はほぼ平坦面を保っているか、若干突出している(図1参照)。複合シート10全体として見ると、その第2繊維層2側が平坦ないし若干突出しており、且つ第1繊維層1側に多数の凹凸部を有している構造となっている。この凹凸部によって、ナプキン20の装着中における、肌への不快感、ムレ、カブレの発生を防止することができる。 【0016】 多数の凸部4を有する複合シート10は低密度な嵩高構造を有し、厚み方向に圧縮させたときの圧縮変形性が十分に大きい。更に詳しくは、シート10は、0.49cN/cm2圧力下での見掛け密度が0.005〜0.05g/cm3、特に0.01〜0.04g/cm3であることが、シート10に嵩高感を付与し、また圧縮変形性、ひいては柔軟性を高くする点から好ましい。更にシート10は、49.0cN/cm2圧力下での見掛け密度が0.01〜0.3g/cm3、特に0.03〜0.2g/cm3であることが、シート10に十分な強度が付与されて凸状の三次元的な立体形状の保形性が高まる点から好ましい。なお、49.0cN/cm2の圧力は、ナプキンの装着中に体圧がかかった場合を想定した場合の見掛け密度である。 【0017】 次に各層1,2の詳細について説明する。第2繊維層2を構成する連続フィラメント5は伸縮性を有している。該連続フィラメント5が伸縮性を有することによって、複合シート10は、連続フィラメント5の配向方向、つまり図1におけるX方向に伸縮性を有している。伸縮性を有する連続フィラメントとしては、素材自体が伸縮性を示す弾性繊維と、立体的捲縮形状等の特定の立体構造を有することにより伸縮性を示す繊維とを挙げることができる。 【0018】 素材自体が伸縮性を示す弾性繊維としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、等のエラストマー材料を溶出、紡糸して得られる繊維や、スパンデックスに代表されるポリウレタンやポリエステル等を組成とする合成繊維が挙げられる。 【0019】 立体的捲縮形状(立体捲縮)とは螺旋状あるいは渦巻き状の三次元的に変形された捲縮状態を示し、一般的には偏芯構造等の繊維によって得ることができる。特に、第2繊維層2の伸張回復性を高くする点から、立体捲縮した繊維は、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維からなることが好ましい。潜在捲縮性繊維はその繊度が1〜7dtex程度であることが好適である。潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号公報に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体(EP)とポリプロピレン(PP)との組み合わせが、複合シート10の柔らかさの点で好適である。潜在捲縮性繊維は、熱によって捲縮が発現して収縮するものである。つまり潜在捲縮性繊維は熱収縮性繊維の一種である。従って、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維とは、熱収縮した熱収縮性繊維の一形態である。なお素材自体が伸縮性を示す弾性繊維に機械捲縮加工等をして捲縮を付与してもよい。 【0020】 第2繊維層2を構成する連続フィラメントは、そのすべてが伸縮性を有する繊維でもよく、或いはその他の連続フィラメントを含んでいてもよい。特に第2繊維層2を構成する連続フィラメントが、立体捲縮した繊維を含んでいると、連続フィラメントがその配向方向にらせん状に延び、得られる複合シートに配向方向への伸縮性と厚み方向の柔軟性が付与されることから好ましい。その上、第2繊維層2を構成する連続フィラメントが、捲縮が発現した潜在捲縮繊維を含んでいると、それに加えて配向方向への伸張回復性が高まり、複合シート10への凹凸形成が容易となることから更に好ましい。その他の連続フィラメントとしては、例えば前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では実質的に熱収縮しない連続フィラメントが挙げられる。具体的には、熱収縮性を有するが、前記潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度では実質的に熱収縮しない連続フィラメントや、熱収縮性を実質的に有さない連続フィラメントが挙げられる。特に熱融着性の連続フィラメントが含まれていることが、第2繊維層2の強度向上の点から好ましい。第2繊維層2に捲縮した連続フィラメント以外の連続フィラメントが含まれる場合、捲縮した連続フィラメントの量は、第2繊維層2の重量に対して50重量%以上、特に70〜90重量%であることが好ましい。 【0021】 第2繊維層2はその坪量が15〜50g/m2、特に25〜40g/m2であることが、第1繊維層1に十分な隆起を与えるに足る収縮性を有し、また液を保持しにくい繊維量である点から好ましい。 【0022】 第2繊維層2と異なり第1繊維層1を構成する繊維は短繊維である。その繊維長は、カード法を用いた場合における繊維の開繊性等の点、及びエアレイド法を用いた場合における繊維の搬送性等の点から20〜70mm程度であることが好適である。短繊維としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)などの材料からなる単繊維、ポリエチレン(PE)、PP、PET、エチレン−プロピレン共重合体(EP)などの材料からなる芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を用いることができる。更にレーヨンやコットンなどの天然繊維を用いることもできる。 【0023】 第2繊維層2と同様に、第1繊維層1も捲縮した繊維、特に立体捲縮した繊維を含んでいてもよい。第1繊維層1に含まれる立体捲縮した繊維としては、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維等が好適に用いられる。この潜在捲縮性繊維は、第2繊維層2に含まれる潜在捲縮性繊維と、繊維長が異なる以外は同種のものでもよく、或いは異種のものでもよい。第1繊維層1に含まれる潜在捲縮性繊維の詳細については、第2繊維層2に含まれる潜在捲縮性繊維に関する説明が適宜適用される。 【0024】 前述した通り、凸部4は第1繊維層1から構成されているから、第1繊維層1が立体捲縮した繊維を含んでいるということは、凸部4が立体捲縮した繊維を含んでいることを意味する。凸部4が立体捲縮した繊維を含んでいることによって、凸部4を圧縮したときの回復性が高くなる。また、シート10に液が排泄されたときの凸部4のへたりが小さくなる。その上、第1繊維層1はそれを平面方向へ伸張させたときの回復性が高くなる。 【0025】 第1繊維層1は、捲縮した繊維100%から構成されていてもよく、その他の繊維を含んでいてもよい。その他の繊維としては、第2繊維層2に含まれるその他の繊維と同様のものが挙げられる。特に熱融着性繊維が含まれていることが好ましい。これによって凸部4の表面強度が高まり、毛羽立ちが効果的に防止される。第1繊維層1に捲縮した繊維以外の繊維が含まれる場合、捲縮した繊維の量は、第1繊維層1の重量に対して30重量%以上、特に50〜90重量%であることが好ましい。 【0026】 先に述べたように、第1繊維層1はカード法やエアレイド法で形成される。これらの方法のうち、第1繊維層1の表面強度を高めたい場合には、繊維の絡み合いの度合いを大きくし易い方法であるカード法が好ましく用いられる。第1繊維層1の見掛け密度を低くしたい場合にはエアレイド法が好ましく用いられる。 【0027】 第1繊維層1はその坪量が15〜50g/m2、特に25〜35g/m2であることが、十分な凸部4が第1繊維層1に形成されるため、当該層の肌触りや滑らかさが良好になる点から好ましい。 【0028】 前述した通り、第1繊維層1及び第2繊維層2の何れにも好ましくは捲縮した繊維が含まれているので、これらの層は何れも平面方向へ伸長させたときの回復性が高いものとなる。特に、第2繊維層2を構成する連続フィラメントが一方向に配向しているので、シート10全体として当該配向方向への伸縮性が高くなる。従って、シート10を備えたナプキン20は、着用者の動作に対する追従性が良好となり、吸収性物品のフィット性が向上し、液漏れが効果的に防止される。 【0029】 図1において、Xで示す方向はナプキン20の長手方向でもある。つまり複合シート10は、連続フィラメント5の配向方向がナプキン20の長手方向と一致するように配されている。これによって、複合シート10に排泄された液は、該複合シート10における第1繊維層1を透過後に、連続フィラメント5からなる第2繊維層2においてその配向方向、即ちナプキン20の長手方向に優先的に拡散される。その結果、ナプキン20の幅方向への液の拡散が抑えられて、いわゆる横漏れが好適に防止される。このような複合シート10の配し方は、表面シートにおける吸収体により近い側の層によって液の拡散をコントロールすることが有効であるという知見に基づいている。なお、背景技術の項で述べた特開2002−65738号公報に記載の表面シートのように、表面シートにおける肌対向側に、一方向に配向した連続フィラメントの層を配することも考えられるが、その場合には、表面シートの内部に液が透過するよりも、表面シートの表面を液が伝って連続フィラメントの配向方向へ流れ出てしまいやすくなってしまう。即ち、いわゆる表面液流れが生じてナプキンの前後方向から液漏れが起こりやすくなってしまう。 【0030】 本実施形態において、第2繊維層2による液の拡散を一層効果的に生じさせるために、第2繊維層2の繊維密度は第1繊維層のそれよりも高いことが好ましい。具体的には、第2繊維層2の繊維密度、つまり第2繊維層2の見掛け密度は0.05〜0.5g/cm3、特に0.1〜0.3g/cm3であることが好ましく、第1繊維層1のそれは第2繊維層2の10〜80%、特に30〜60%であることが好ましい。 【0031】 第2繊維層2を構成する連続フィラメント5が一方向に配向していることによって、配向方向と直交する方向における複合シート10の柔軟性が高くなる、つまり配向方向を折曲軸としたときの複合シート10の曲げ剛性が低くなるという利点もある。その結果、複合シート10を備えるナプキン20は、フィット性が高くなり、また装着感が良好となる。 【0032】 複合シート10においては、その機械方向と幅方向とでの引張強度等の機械的強度がバランスしていることが好ましい。ところで、本実施形態の複合シート10における第2繊維層2を構成する連続フィラメント5は機械方向に配向しているので、複合シート10は機械方向における引張強度が、幅方向に比較して高くなりがちである。そこで、機械方向と幅方向とでの引張強度をバランスさせるために、第1繊維層1は、その幅方向の引張強度が機械方向の引張強度の1.5倍以上、特に1.5〜3.0倍、とりわけ1.7〜2.5であることが好ましい。第1繊維層1における機械方向及び幅方向の引張強度をこのような関係にするためには、例えば(イ)第1繊維層1の繊維配向を均一にする、(ロ)第1繊維層1の坪量を第2繊維層2の1.2倍以上とする、(ハ)斜め方向において互いに隣接する二つの接合部3を、シート10の長手方向からみたときに、重なり合うう部分が生じるように該接合部3を配置するなどの手段を用いればよい。 【0033】 次に、図1に示す複合シート10の好ましい製造方法について説明する。先ず、連続フィラメントの収束体であるトウを、幅方向に均一な嵩となるようにばらばらに開繊して、一方向に配向した連続フィラメントの層を形成する。これとは別に、カード法やエアレイド法等を用いて短繊維を開繊してランダムウエブを形成する。連続フィラメント層の一面に短繊維のランダムウエブをそのままの形態で、或いはエアスルー方式で熱処理されたエアスルー不織布の形態で重ね合わせ、両者を部分的に接合して厚さ方向に一体化させる。このようにして複合シートの前駆体を形成する。この前駆体の一部破断平面図を図2に示す。 【0034】 図2に示すように前駆体10’は、短繊維からなるランダムウエブ1’と、一方向に配向した連続フィラメントの層2’とからなる。両者は多数の接合部3によて厚さ方向に一体化されている。小楕円形の接合部3は、その長径方向が連続フィラメントの配向方向と直交する方向に延びている。この状態においては、連続フィラメントに捲縮は発現しておらず直線状となっている。 【0035】 ランダムウエブ1’と連続フィラメントの層2’との接合を、連続フィラメントの捲縮発現温度以上で行う場合には前駆体10’は形成されず、接合一体化と同時に連続フィラメントの熱収縮に起因する捲縮が生じる。従って、連続フィラメントの層2’は、連続フィラメントの配向方向に熱収縮する。しかしランダムウエブ1’は収縮しない。従って、連続フィラメントの層2’の収縮に見合う分だけ、接合部3間に位置するランダムウエブ1’が厚さ方向に突出して多数の凸部4(図1参照)が形成され、複合シートが得られる。一方、接合を連続フィラメントの捲縮発現温度未満で行った場合には、図2に示す前駆体10’が得られる。 【0036】 前駆体10’は次に連続フィラメントの捲縮発現温度以上の温度に加熱される。加熱には熱風の吹き付けや赤外線の照射等が用いられる。これによって連続フィラメントの熱収縮に起因する捲縮及び収縮が生じ、接合部3間に位置するランダムウエブ1’が隆起して多数の凸部4(図1参照)が形成され、複合シートが得られる。 【0037】 本発明の別の実施形態として、接合部3間において複合シート10を構成する繊維が、該複合シート10の厚さ方向に突出して、該複合シート10の上下面それぞれに多数の凸部を形成している実施形態が挙げられる。即ち図1に示す実施形態においては第1繊維層1の側にのみ凸部4が形成されていたが、本実施形態の場合には第2繊維層2の側にも凸部が形成されている。第2繊維層2の側に形成される凸部は主として第2繊維層2の構成繊維から構成されている。複合シート10をこのような形態にすることによって、該シート10を吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、表面シートの下面と吸収体の上面との間に一定の空間が保たれるようになる。その結果、吸収体に一旦吸収された液が表面シートに逆戻り(いわゆるウエットバック)しにくくなるという有利な効果が奏される。更に、表面シートが着用者の動きに対して高い追従性を有するようになり、その結果該表面シートを備えた吸収性物品は装着中に位置ズレが起こりにくくなるという利点もある。このような形態の複合シート10を製造するためには、第1繊維層1及び第2繊維層2に配合する捲縮繊維の量を調整して、複合シート10の各面に形成される凸部の隆起の度合いをコントロールすればよい。 【0038】 本発明は前記実施形態に制限されない。前記実施形態は複合シートを生理用ナプキンの表面シートとして用いたが、これ以外の吸収性物品、例えば使い捨ておむつや失禁パッド等の表面シートとして本発明の複合シート10を用いることができる。 【0039】 また複合シート10を、吸収性物品における表面シート以外の繊維シートとして用いることもできる。例えば、表面シートと吸収体との間に配される中間の繊維シート(一般に中間シートやサブレイヤーシートと呼ばれる)として、複合シート10を用いることができる。そのような用い方をすると、液吸収性が良好で、ウエットバック量の少ない吸収性物品が得られるという利点がある。 【0040】 また複合シート10を、対人・対物用のワイパーとして用いることもできる。複合シート10が伸縮性を有するので、清掃対象面の凹凸に対する追従性が良好になる。また手や清掃道具への装着性および操作性も良好になる。更には、凸部4間の凹部に、パン粉などの比較的大きなダストが保持され易い。また、凸部4に捲縮した繊維、特に立体捲縮した繊維が含まれていると、繊維状のダストの捕集性が一層高くなる。 【0041】 また第2繊維層2は、繊維の自由度が高い捕集性を有していることから、複合シート10を清掃用シートとして用いる場合には、接合部3以外では繊維同士があまり結合していないことが好ましい。 【0042】 前記実施形態の複合シート10においては凸部4の内部が繊維で満たされていたが、凸部4の内部は中空となっていてもよい。 【0043】 また、連続フィラメントとして、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維に代えて、通常の熱収縮性繊維を用いてもよい。つまり、第2繊維層2を構成する連続フィラメントはそのすべてが捲縮繊維以外の繊維であってもよい。第1繊維層1についても同様であり、第1繊維層1を構成する短繊維はそのすべてが捲縮繊維以外の繊維であってもよい。 【図面の簡単な説明】 【0044】 【図1】本発明の複合シートを生理用ナプキンの表面シートとして用いた例を示すナプキンの断面図である。 【図2】図1に示す複合シートを製造する過程で得られる前駆体を示す一部破断平面図である。 【符号の説明】 【0045】 1 第1繊維層 2 第2繊維層 3 接合部 4 凸部 5 連続フィラメント 10 立体シート材料 20 生理用ナプキン 21 裏面シート 22 吸収体
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
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| 【出願日】 |
平成15年11月20日(2003.11.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076532 【弁理士】 【氏名又は名称】羽鳥 修
【識別番号】100101292 【弁理士】 【氏名又は名称】松嶋 善之
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| 【公開番号】 |
特開2005−145020(P2005−145020A) |
| 【公開日】 |
平成17年6月9日(2005.6.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−390086(P2003−390086) |
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