| 【発明の名称】 |
中空品の成形方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】間瀬 佳昭 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】鳥海 真幸 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
【氏名】片桐 秀明 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地 豊田合成株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】大径筒部のヒケを防止するとともに、金型によるパリソンの挟み込みを防止し、かつ形状面での自由度を飛躍的に向上させる。
【解決手段】リング状キャビティ50と、リング状キャビティ50から径方向内方へ延びるドーナツ円板状ランナ部51とをもつ射出成形型5を用い、ノズル型4からドーナツ円板状ランナ部51を介して溶融樹脂をリング状キャビティ50に射出して大径筒部を成形し、射出成形型5をノズル型4から引き上げ、ノズル型4から溶融樹脂を引き出してパリソン6を形成して蛇腹部2をブロー成形する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大径筒部と、該大径筒部から連続し該大径筒部から遠ざかるほど径が小さくなる異径筒部と、を含む熱可塑性樹脂中空品の成形方法であって、 該大径筒部を成形するリング状キャビティと該リング状キャビティから径方向内方へ延びるドーナツ円板状ランナ部とをもつ射出成形型を用い、ノズル型から該ドーナツ円板状ランナ部を介して溶融樹脂を該リング状キャビティに射出して該大径筒部を成形する射出成形工程と、 該射出成形型に該大径筒部を保持しかつ溶融樹脂が供給され続けている状態で該射出成形型を該ノズル型から引き離し、該ノズル型から溶融樹脂を引き出して該大径筒部から延びるパリソンを形成するパリソン形成工程と、 該パリソンを側方からブロー成形型で挟み該パリソン内に加圧気体を導入して該異径筒部を成形するブロー成形工程と、をこの順に行うことを特徴とする中空品の成形方法。 【請求項2】 前記ドーナツ円板状ランナ部は、前記射出成形型と前記ノズル型とで形成されている請求項1に記載の中空品の成形方法。 【請求項3】 前記パリソン形成工程では、前記射出成形型が上方へ引き上げられ、前記ドーナツ円板状ランナ部で形成されたランナがパリソンの一部を構成する請求項1又は請求項2に記載の中空品の成形方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、樹脂製中空品の成形方法に関する。本発明の成形方法は、前輪駆動車のドライブシャフト用ジョイントなどに不可欠な等速ジョイントに被覆されるブーツなどの製造に利用することができる。 【背景技術】 【0002】 等速ジョイントのジョイント部は従来より蛇腹形状のブーツで覆われ、水や埃の侵入を阻止することによって大角度で滑らかな回転が維持されている。この等速ジョイント用ブーツは、ジョイントアウターレースに保持される大径筒部と、大径筒部から延び他端の小径筒部がドライブシャフトに保持される蛇腹部とから構成されている。そして使用時には、ジョイントアウターレースとドライブシャフトのなす角度の変化に応じて蛇腹部が変形するため、その角度が大きくなってもブーツによってジョイント部を確実にシールすることができる。 【0003】 この等速ジョイント用ブーツでは、蛇腹部は略円錐台形状であるので、一般に特許第 2556647号公報に記載のような方式で、熱可塑性エラストマなどからブロー成形によって形成されている。ところが大径筒部が締結されるジョイントアウターレースなどは、表面にローラーなどを有しているために、大径筒部の内周形状は真円ではなく凹凸を有する異形とされている。したがって大径筒部を蛇腹部とともにブロー成形にて一体成形することは一般に困難であり、大径筒部は射出成形によって形成された後に、ブロー成形で形成された蛇腹部と一体化されていた。 【0004】 しかしながら、蛇腹部と大径筒部をそれぞれ成形した後に一体化する方法では、工数が大きく生産性が低い。そこで特開2002−361715号公報などには、熱可塑性プラスチックから大径筒部と蛇腹部を一体成形する等速ジョイント用ブーツの成形方法が開示されている。 【0005】 これらの成形方法では、大径筒部を成形するとともに上方に開口するリング状キャビティをもつ射出成形型に溶融樹脂を供給し、リング状キャビティに充填した後にリング状キャビティから押出し、溶融樹脂を上方へ引出して筒状のパリソンを形成する。そして形成されたパリソンをブロー成形型で挟持し、加圧気体を導入することでパリソンを拡張し、ブロー成形によって小径筒部をもつ蛇腹部を成形する。それと同時に、リング状キャビティで蛇腹部と一体的に大径筒部が成形される。 【0006】 したがってこれらの成形方法によれば、大径筒部は射出成形により成形されるため、内周に異形な凹凸を有する場合でも容易に成形することができる。そして大径筒部は蛇腹部と一体成形されるため、接合などの二次加工が不要となり、生産性が向上するとともに工数も低減され安価な等速ジョイント用ブーツとすることができる。 【0007】 ところがこれらの成形方法では、パリソンを形成して蛇腹部をブロー成形するまでの間、リング状キャビティ内では樹脂が溶融状態を維持している必要がある。そのため射出成形型の温度は高めの設定となるために、成形される大径筒部では厚肉の部分にヒケが発生するという問題がある。 【0008】 またパリソンの径は、蛇腹部の小径筒部の径より小さくする必要があるが、そうするとリング状キャビティから径を小さくするように溶融樹脂を案内する案内路が必要となり、案内路の長さによっては蛇腹部の形状が成立しない場合がある。さらに案内路で形成された部分もパリソンの一部としてブロー成形されるが、リング状キャビティに近いほど径が大きいために、ブロー成形型で挟持したときにパリソンの一部がブロー成形型に挟み込まれるという問題もあった。 【0009】 さらに、得られたブーツを離型する際には、大径筒部と蛇腹部との境界部がアンダーカットとなり易く、形状面での制約が大きいという不具合がある。 【0010】 一方、特開平09−300436号公報には、大径筒部を成形するリング状キャビティをもつ射出成形型と対向するブローダイヘッドから溶融樹脂を射出成形型に注入して大径筒部を成形し、その後、溶融樹脂を押出しながら射出成形型を下方へ移動させることでパリソンを形成し、そのパリソンをブロー成形型で挟持してブロー成形することで蛇腹部を成形する方法が記載されている。 【0011】 この方法によれば、射出成形型の温度を低めの設定とすることができるので、大径筒部にヒケが発生する問題を回避することができる。しかしながら、径の大きなリング状キャビティから径が小さなパリソンに滑らかに連続させるために、大径筒部からパリソンへ連続する部分に内側へ傾斜する環状案内樹脂路(17)を設けている。そのため環状案内樹脂路(17)の部分が余分なものとなり、蛇腹部の形状が成立しない場合がある。そこで環状案内樹脂路(17)もブロー成形して蛇腹部の一部とすることが記載されているが、環状案内樹脂路(17)の大径筒部に近い部分は径が大きく、ブロー成形型で挟持したときにブロー成形型に挟み込まれるという問題が生じやすい。また割型テーパ状ダイ(14)を完全に退避させたうえで、ブロー成形用金型と入れ替える必要があり、型構造が複雑になるという問題もある。 【特許文献1】特許第 2556647号 【特許文献2】特開2002−361715号 【特許文献3】特開平09−300436号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、大径筒部を射出成形により成形するとともに異径筒部を大径筒部と一体成形する方法において、大径筒部のヒケを防止するとともに、金型によるパリソンの挟み込みを防止し、簡単な型構造で成形でき、かつ形状面での自由度を飛躍的に向上させることを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 上記課題を解決する本発明の中空品の成形方法の特徴は、大径筒部と、大径筒部から連続し大径筒部から遠ざかるほど径が小さくなる異径筒部と、を含む熱可塑性樹脂中空品の成形方法であって、 大径筒部を成形するリング状キャビティとリング状キャビティから径方向内方へ延びるドーナツ円板状ランナ部とをもつ射出成形型を用い、ノズル型からドーナツ円板状ランナ部を介して溶融樹脂をリング状キャビティに射出して大径筒部を成形する射出成形工程と、 射出成形型に大径筒部を保持しかつ溶融樹脂が供給され続けている状態で射出成形型をノズル型から引き離し、ノズル型から溶融樹脂を引き出して大径筒部から延びるパリソンを形成するパリソン形成工程と、 パリソンを側方からブロー成形型で挟みパリソン内に加圧気体を導入して異径筒部を成形するブロー成形工程と、をこの順に行うことにある。 【0014】 ドーナツ円板状ランナ部は、射出成形型とノズル型とで形成されていることが望ましい。そしてパリソン形成工程では、射出成形型が上方へ引き上げられ、ドーナツ円板状ランナ部で形成されたランナがパリソンの一部を構成することが望ましい。 【発明の効果】 【0015】 本発明の中空品の成形方法によれば、大径筒部と異径筒部とを一体成形しているので、接合などの二次加工が不要となり、生産性が向上するとともに工数も低減され安価な中空品とすることができる。 【0016】 そして大径筒部の厚肉部のヒケが防止されるため、等速ジョイント用ブーツの製造に適用すれば、得られるブーツのシール性が向上する。また金型によるパリソンの挟み込みが防止されるので、不良率が低減でき、かつ形状面での自由度が飛躍的に向上する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 本発明の成形方法では、先ず射出成形工程において、大径筒部を成形するリング状キャビティとリング状キャビティから径方向内方へ延びるドーナツ円板状ランナ部とをもつ射出成形型を用い、ノズル型からドーナツ円板状ランナ部を介して溶融樹脂をリング状キャビティに射出して大径筒部を成形する。 【0018】 リング状キャビティは閉じられたキャビティであり、次のパリソン形成工程ではドーナツ円板状ランナ部で形成されリング状キャビティから離れたドーナツ円板状のランナの内周面からパリソンが延びるため、射出成形型の温度を低めに設定することができる。これにより、異形の大径筒部であっても、厚肉部にヒケなどの不具合が発生するのを効果的に防止することができる。 【0019】 ドーナツ円板状ランナ部は、内径はノズル型の環状吐出口の径で決まり、外径は大径筒部の内径で決まるが、外径と内径との差ができるだけ小さいことが望ましい。したがって、ドーナツ円板状ランナ部の延びる方向と大径筒部の中心軸とのなす角度は特に制限されないものの、直角であることが望ましい。なおドーナツ円板状ランナ部の内径は、異径筒部の最小径より小さくすることが望ましい。これによりブロー成形時の金型による挟み込みを確実に防止することができる。ドーナツ円板状ランナ部の外径は、特に制限されない。 【0020】 続いてパリソン形成工程では、射出成形型に大径筒部を保持しかつ溶融樹脂が供給され続けている状態で射出成形型をノズル型から引き離し、ノズル型から溶融樹脂を引き出して、大径筒部から延びるパリソンを形成する。このときパリソンの径は、ドーナツ円板状ランナ部の内径で決まるため、大径筒部の径より著しく小さな径のパリソンを形成することができる。したがって次のブロー成形工程において、金型によるパリソンの挟み込みを防止することができる。 【0021】 そしてドーナツ円板状ランナ部の存在によってパリソンの径を十分に小さくでき、また大径筒部と蛇腹部との境界部がアンダーカットとなることも回避できるので、異径筒部の形状の自由度が飛躍的に向上する。 【0022】 射出成形型をノズル型から引き離すには、どちらを移動させてもよいが、ノズル型には射出プランジャなどが連結されるのが一般的であるので、射出成形型を移動させるのが好ましい。また移動方向はパリソンが延びる方向であるので、パリソンの自重を利用するためには上方向又は下方向であるのが好ましい。 【0023】 ドーナツ円板状ランナ部は、射出成形型とノズル型とで形成されていることが特に望ましい。このようにすれば、パリソン形成工程において射出成形型がノズル型から離れる方向へ移動したときに、ドーナツ円板状ランナ部で形成されたランナを射出成形型から離型することができ、ランナをパリソンの一部とすることができる。したがって大径筒部の近傍まで異径筒部を形成することができ、形状の自由度がさらに高まる。また射出成形型の構造が簡単になるという効果も得られる。 【0024】 上記したように射出成形型からランナを離型してパリソンの一部とするには、射出成形型を上方へ移動させることが好ましい。ノズル型から上方へ移動することでランナがノズル型から離型されるとともに、自重によってランナが下降し、形成されるパリソンと滑らかに連続するからである。 【0025】 なお大径筒部及び異径筒部は、中空品が等速ジョイント用ブーツである場合には、TPE,TPOなどの熱可塑性エラストマーを原料とすることが好ましい。 【実施例】 【0026】 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。 【0027】 図1及び図2に本実施例の成形方法で成形された中空品である等速ジョイント用ブーツの断面図と、側面図を示す。この等速ジョイント用ブーツは、大径筒部1と、異径筒部としての略円錐台形状の蛇腹部2と、小径筒部3とから構成されている。この等速ジョイント用ブーツはトリポードタイプのものであり、大径筒部1の内周面には厚肉部10と薄肉部11とが交互にそれぞれ3ヶ所形成されている。 【0028】 この等速ジョイント用ブーツを成形するにあたり、先ず図3に示す成形装置を用意する。この成形装置は、ノズルコア40とノズルダイス41とで構成される環状ノズル4と、環状ノズル4の上面に密着した射出成形型5とから構成されている。射出成形型5には大径筒部1を成形するリング状キャビティ50が形成されている。また射出成形型5とノズルダイス41との界面には、環状ノズル4の吐出口からリング状キャビティ50まで延びるドーナツ円板状ランナ部51が形成されている。そして射出成形型5の中心には、加圧空気が供給されるノズル孔52が形成されている。 【0029】 そして環状ノズル4から上方へ向かってTPOの溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂はドーナツ円板状ランナ部51を介してリング状キャビティ50を充填し、大径筒部1が成形される。射出成形型5は低めの温度に設定されているので、リング状キャビティ50を充填した溶融樹脂は冷却されて凝固を始める。 【0030】 次に図4に示すように、環状ノズル4からの溶融樹脂の供給を続行しながら、大径筒部1を保持した射出成形型5を環状ノズル4から分離して上方へ引き上げる。するとドーナツ円板状ランナ部51で形成されたドーナツ円板状のランナ60は、環状ノズル4から離型され、自重によって射出成形型5から下降する。それと同時に環状ノズル4から溶融樹脂が円筒状に引き出され、ランナ60と滑らかに連続するパリソン6が形成される。パリソン6はドーナツ円板状ランナ部51の内径に対応した径を有しているので、小径筒部3の径より小さい径となっている。なお、ノズルコア40はノズルダイス41に対して僅かに上下動することで開口の大きさが変化され、それによってパリソン6は目的とする蛇腹形状に応じて部分的に厚さが異なっている。 【0031】 その後、ノズルコア40とノズルダイス41とでパリソン6を食い切り、図4,5に示すように、蛇腹形状の型面をもつ一対のブロー成形型7でパリソン6を挟んで、ノズル孔52から加圧空気を供給してパリソン6を拡張してブロー成形型7の型面に押圧し、冷却して型面形状に賦形することで蛇腹部2及び小径筒部3をブロー成形する。 【0032】 最後に一対のブロー成形型7を除去し、射出成形型5から大径筒部1を離型して不要部をトリミングすることで、等速ジョイント用ブーツが製造される。射出成形型5を図示しない所定の分割構造としておくことで、大径筒部1はアンダーカットが生じることなく安全に離型することができる。 【0033】 得られた等速ジョイント用ブーツでは、大径筒部1の厚肉部10にヒケなどの不具合がなく、良好な形状を有していた。 【産業上の利用可能性】 【0034】 本発明の中空品の成形方法では、大径筒部及び異径筒部の形状に大きな規制が無いので、等速ジョイント用ブーツばかりでなく、各種の樹脂成形品に応用することが可能である。そしてその樹脂成形品を、小さな工数でしかもヒケなどの不具合なく成形することができるので、不良率が低減できコストの低減を図ることができる。 【図面の簡単な説明】 【0035】 【図1】本発明の一実施例で成形された等速ジョイント用ブーツの断面図である。 【図2】本発明の一実施例で成形された等速ジョイント用ブーツの側面図である。 【図3】本発明の一実施例において、射出成形工程を行っている状態を示す断面図である。 【図4】本発明の一実施例において、パリソン形成工程を行っている状態を示す断面図である。 【図5】本発明の一実施例において、ブロー成形工程を行っている状態を示す断面図である。 【符号の説明】 【0036】 1:大径筒部 2:蛇腹部(異径筒部) 3:小径筒部 4:環状ノズル(ノズル型) 5:射出成形型 6:パリソン 7:ブロー成形型 50:リング状キャビティ 51:ドーナツ円板状ランナ部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000241463 【氏名又は名称】豊田合成株式会社 【住所又は居所】愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1番地
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| 【出願日】 |
平成15年7月18日(2003.7.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2005−35247(P2005−35247A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月10日(2005.2.10) |
| 【出願番号】 |
特願2003−276944(P2003−276944) |
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