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【発明の名称】 成形方法、成形用金型、成形品及び成形機
【発明者】 【氏名】滝川 直樹
【住所又は居所】千葉県千葉市稲毛区長沼原町731番地の1 住友重機械工業株式会社千葉製造所内

【要約】 【課題】型締の後にわずかに型開された状態で、キャビティ内において成形材の一部を発泡させることによって、単純な構成の金型装置を使用して、寸法の再現性が高く、かつ、表面精度が高い、一部に発泡部を備える成形品を成形することができるようにする。

【解決手段】薄肉部と厚肉の膨出部とを備えたキャビティに成形材を充填し、前記キャビティ37内に充填(てん)された成形材に成形品表面層が形成されると型開工程を開始し、金型装置を型開させることにより前記膨出部の成形材を発泡させ、ある設定された型開位置で発泡した成形材の外形を形成するようにして、一部に発泡部を備える成形品を成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)薄肉部と厚肉の膨出部とを備えたキャビティに成形材を充填し、
(b)前記キャビティ内に充填された成形材に成形品表面層が形成されると型開工程を開始し、
(c)金型装置を型開させることにより前記膨出部の成形材を発泡させ、
(d)ある設定された型開位置で発泡した成形材の外形を形成するようにして、一部に発泡部を備える成形品を成形することを特徴とする成形方法。
【請求項2】
成形品の薄肉部の形状は、金型装置が型閉した際のキャビティ形状で形成され、成形品の膨出部の形状は、金型装置がある設定された型開位置でのキャビティ形状で形成される請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
前記成形材の充填は、金型装置の型閉工程終了前に完了されている請求項1又は2に記載の成形方法。
【請求項4】
(a)パーティング面を備える固定金型と、
(b)該固定金型のパーティング面に押し付けられて密着するパーティング面を備え、前記固定金型に対して進退する可動金型と、
(c)前記固定金型及び可動金型の間に形成され、薄肉部と厚肉の膨出部を備えたキャビティとを有し、
(d)該キャビティの薄肉部の形状は、金型装置が型閉した際に成形品の薄肉部を形成することができる形状であり、
(e)前記キャビティの膨出部の形状は、金型装置がある設定された型開位置で成形品の膨出部を形成することができる形状であることを特徴とする成形品。
【請求項5】
請求項1〜3に記載の方法によって成形された成形品。
【請求項6】
(a)金型装置によって成形品を成形する成形機であって、
(b)パーティング面を備える固定金型と、
(c)該固定金型のパーティング面に押し付けられて密着するパーティング面を備え、前記固定金型に対して進退する可動金型と、
(d)前記固定金型及び可動金型の間に形成され、薄肉部と厚肉の膨出部を備えたキャビティと、
(e)該キャビティ内に充填された成形材に成形品表面層が形成されると型開工程を開始し、金型装置を型開させることにより前記膨出部の成形材を発泡させるように駆動部を制御する制御手段を有することを特徴とする成形機。
【請求項7】
前記制御装置は、ある設定された型閉位置で発泡した成形材の外形を形成するようにして、一部に発泡部を備える成形品を成形する請求項6に記載の成形機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記成形材の充填を金型装置の型閉工程終了前に完了させる請求項6又は7に記載の成形機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形方法、成形用金型、成形品及び成形機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形機等の樹脂成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され、溶融させられた樹脂を高圧で射出して金型装置のキャビティ内に充填(てん)し、該キャビティ内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置によって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。
【0003】
また、成形品の一部又は全部における樹脂を発泡させて成形品を成形する発泡成形方法も行われている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、成形品を軽量化したり成形品の強度や耐熱性を向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特表平11−509490号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の発泡成形方法は、樹脂の発泡を促進するために金型装置の一部を、コアトラクタと通称される装置によって、移動させるようにしたり、金型装置内にヒータを配設するようになっているので、金型装置の構成が複雑化し、コストが高くなってしまう。また、成形品において樹脂が発泡する部分、すなわち、発泡部は、金型装置のキャビティを構成する面に束縛されない状態で発泡するので、寸法の再現性が低く、かつ、表面精度が低くなってしまう。また、そのため、同一の寸法を有し、滑らかな表面を有する均一な品質の成形品を成形することが困難である。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、型締の後にわずかに型開された状態で、キャビティ内において成形材の一部を発泡させることによって、単純な構成の金型装置を使用して、寸法の再現性が高く、かつ、表面精度が高い、一部に発泡部を備える成形品を成形することができる成形方法、成形品及び成形機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の成形方法においては、薄肉部と厚肉の膨出部とを備えたキャビティに成形材を充填し、前記キャビティ内に充填された成形材に成形品表面層が形成されると型開工程を開始し、金型装置を型開させることにより前記膨出部の成形材を発泡させ、ある設定された型開位置で発泡した成形材の外形を形成するようにして、一部に発泡部を備える成形品を成形する。
【0008】
本発明の他の成形方法においては、さらに、成形品の薄肉部の形状は、金型装置が型閉した際のキャビティ形状で形成され、成形品の膨出部の形状は、金型装置がある設定された型開位置でのキャビティ形状で形成される。
【0009】
本発明の更に他の成形方法においては、さらに、前記成形材の充填は、金型装置の型閉工程終了前に完了されている。
【0010】
本発明の成形品においては、パーティング面を備える固定金型と、該固定金型のパーティング面に押し付けられて密着するパーティング面を備え、前記固定金型に対して進退する可動金型と、前記固定金型及び可動金型の間に形成され、薄肉部と厚肉の膨出部を備えたキャビティとを有し、該キャビティの薄肉部の形状は、金型装置が型閉した際に成形品の薄肉部を形成することができる形状であり、前記キャビティの膨出部の形状は、金型装置がある設定された型開位置で成形品の膨出部を形成することができる形状である。
【0011】
本発明の他の成形品においては、請求項1〜3に記載の方法によって成形された。
【0012】
本発明の成形機においては、金型装置によって成形品を成形する成形機であって、パーティング面を備える固定金型と、該固定金型のパーティング面に押し付けられて密着するパーティング面を備え、前記固定金型に対して進退する可動金型と、前記固定金型及び可動金型の間に形成され、薄肉部と厚肉の膨出部を備えたキャビティと、該キャビティ内に充填された成形材に成形品表面層が形成されると型開工程を開始し、金型装置を型開させることにより前記膨出部の成形材を発泡させるように駆動部を制御する制御手段を有する。
【0013】
本発明の他の成形機においては、さらに、前記制御装置は、ある設定された型閉位置で発泡した成形材の外形を形成するようにして、一部に発泡部を備える成形品を成形する。
【0014】
本発明の更に他の成形機においては、さらに、前記制御装置は、前記成形材の充填を金型装置の型閉工程終了前に完了させる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の成形方法は、各種の装置や用途に適用することができるものであるが、本実施の形態においては、説明の都合上、射出成形機に適用した場合について説明する。
【0016】
図2は本発明の実施の形態における射出成形機の構成を示す概略図である。
【0017】
図において、30は射出装置であり、加熱シリンダ31、該加熱シリンダ31の前端に配設された射出ノズル32、前記加熱シリンダ31の内部に配設されたスクリュ33、及び、前記加熱シリンダ31に取り付けられた材料供給ホッパ34を有する。ここで、前記スクリュ33は、図示されない駆動手段によって、前記加熱シリンダ31の内部において、回転させられ、かつ、進退(図における左右方向に移動)させられる。
【0018】
ここで、前記射出成形機においては、加熱シリンダ31内において加熱され、溶融させられた成形材としての樹脂を高圧で射出して後述される金型装置のキャビティ37内に充填し、該キャビティ37内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。この場合、前記スクリュ33の進退は 図示されない制御装置によって制御されるが、本実施の形態においては、射出される樹脂又はキャビティ37内に充填される樹脂の圧力、すなわち、樹脂の充填圧が所定値となるようにスクリュ33の進退を制御する複雑な圧力制御でなく、樹脂の充填圧とは無関係に進退するスクリュ33の位置を制御する簡単な位置制御が行われる。これにより、所定量の樹脂がキャビティ37内に充填される。ここで、前記所定量は、例えば、キャビティ37の型閉状態における容積の約100〜150〔%〕、望ましくは、約120〔%〕に相当する量である。なお、前記位置制御に代えて充填開始からの充填時間を制御する方法であってもよい。
【0019】
また、前記金型装置は固定金型24及び可動金型23から成り、型締装置によって前記可動金型23を進退させ、前記固定金型24に対して接離させることによって、型開閉、すなわち、型閉、型締及び型開を行うことができるようになっている。そして、前記型締装置は、固定金型24を保持する固定プラテン22及び可動金型23を保持する可動プラテン21を有し、該可動プラテン21を進退させる油圧シリンダ装置11を駆動することによって作動させられる。
【0020】
そして、前記射出装置30に対向して固定金型支持装置としての前記固定プラテン22が配設される。該固定プラテン22は、図示されない射出成形機のフレームに固定され、金型取付面に固定金型24が取り付けられている。さらに、前記固定プラテン22には、複数、例えば、四本のタイバー27の一端が固定されている。
【0021】
また、可動金型支持装置としての可動プラテン21は前記固定プラテン22と対向して配設され、前記タイバー27に沿って進退自在に配設される。さらに、前記可動プラテン21における前記固定プラテン22と対向する金型取付面に前記可動金型23が取り付けられる。
【0022】
そして、前記可動プラテン21の背面に対向して駆動源支持部材26が、前記タイバー27に位置調整可能に取り付けられる。ここで、前記駆動源支持部材26の背面(図における左側面)には、射出成形機の型締装置の駆動源として、油圧シリンダ装置11が取り付けられている。この場合、該油圧シリンダ装置11は、ヘッド側油圧室11a、ロッド側油圧室11b、ピストン11c及びロッド11dを有する。ここで、前記ヘッド側油圧室11a及びロッド側油圧室11bは、前記ピストン11cにおけるロッド11dの反対側及びロッド11dの側に、それぞれ、配設される。また、前記ロッド11dは、駆動源支持部材26に形成された貫通孔(こう)に挿入され、その端部が前記可動プラテン21に接続されている。
【0023】
なお、本実施の形態において、型締装置及び該型締装置の駆動源はいかなるものであってもよく、例えば、型締装置は、図に示されるような直圧方式のものであってもよいし、トグルリンクを利用したトグル方式のものであってもよいし、リンク機構とシリンダ装置とを組み合わせた複合方式のものであってもよい。また、駆動源も図に示されるような油圧シリンダ装置であってもよいし、電動モータとボールねじとを組み合わせたものであってもよい。
【0024】
図3は本発明の実施の形態における成形品の斜視図、図4は本発明の実施の形態における成形品の断面図である。
【0025】
本実施の形態において、成形される成形品はいかなる形状のものであってもよいが、成形方法及び成形機は、図3及び4に示されるように、立体的な形状を有し、薄肉化された側壁の一部に樹脂が発泡した部分、すなわち、発泡部としての側壁発泡部41aを備え、開口部のフランジに発泡部としてのフランジ発泡部41bを備え、全体として深底凹状の容器のような形状を有する成形品41の成形に適用することができる点に特徴を有するものである。したがって、ここでは、立体的な形状を有し、薄肉化された側壁(薄肉部)の一部に該側壁より厚肉の側壁発泡部41a及びフランジにフランジ発泡部41bを備え、深底凹状の容器のような形状を有する成形品41を成形する場合について説明する。
【0026】
図4に示される例において、側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bには、内部に空洞が存在するように示されているが、これは説明のための模式的な図であって、側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bの内部の状態を正確に表現したものではない。通常、樹脂が発泡した場合には、微細な気泡が多数形成されるが、該気泡を正確に図示することは困難である。そのため、図4においては前記気泡が存在する領域を空洞として図示したものである。また、気泡が存在する領域と気泡が存在しない領域との間に明確な境界線を引くことが実際には困難であるので、図4における空洞の輪郭線は、気泡が存在する領域と気泡が存在しない領域とのおよその境界を示している。
【0027】
なお、立体的な形状を有し薄肉化された側壁の一部に側壁発泡部41a及びフランジにフランジ発泡部41bを備えた深底凹状の容器のような形状を有する成形品41としては、ゼリー、プリン、コーヒー、紅茶等の食料品の容器、カップ、コンテナ等である。そして、本実施の形態において成形される成形品41は、例えば、深さが10〔mm〕以上であり、側壁発泡部41a以外の側壁の厚さが0.2〜3〔mm〕程度のものであり、通常は、1〔mm〕前後のものである。
【0028】
また、本実施の形態において成形材の材質はいかなる材質であってもよいが、本実施の形態における成形方法及び成形機は、成形材として発泡剤が混合された樹脂を使用して一部に発泡部を備える成形品を短時間に高精度で成形することができる点に特徴を有するものである。したがって、ここでは、発泡剤が混合された樹脂による成形品を成形する場合について説明する。なお、樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等であるが、いかなる種類のものであってもよい。また、発泡剤は、通常、化学発泡剤であり、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタンメチレンテトラミン等の熱分解型発泡剤であるが、いかなる種類のものであってもよい。さらに、金属酸化物等の発泡助剤、シビニルベンゼン等の架橋促進剤、ケイ酸カルシウム等の気泡調整剤等を補助材料として、前記樹脂に混合することもできる。
【0029】
次に、金型装置の構成について詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施の形態における金型装置の構成を示す断面図である。
【0031】
図1において、12は可動プラテン21の金型取付面に取り付けられた可動金型23の金型コア、及び、14は前記成形品41を可動金型23からエジェクトする(突き出す)エジェクタ(成形品突き出し部材)として機能するストリッパプレートである。該ストリッパプレート14は可動金型23の一部を構成する可動部材である。また、15は固定プラテン22の金型取付面に取り付けられた固定金型24のキャビティ型板であり、16は該キャビティ型板15の内部に嵌(は)め込まれたゲートブロックである。金型コア12は、深底凹状の成形品41の内側側壁及び内側底面を形成する凸部12aを有し、キャビティ型板15は、成形品41の外側側壁を形成する凹部15aを有し成形品41の周縁下面を形成し、ストリッパプレート14は、成形品41の周縁上面を形成し、ゲートブロック16は、成形品41の外側底面を形成している。そして、型閉した状態においては、前記金型コア12及びストリッパプレート14と、キャビティ型板15及びゲートブロック16との間に前記成形品41に対応するキャビティ37が形成される。
【0032】
また、前記固定プラテン22には、加熱シリンダ31の前端に配設された射出ノズル32から射出された樹脂の流通するスプルー等の樹脂流路28が形成され、ゲートブロック16には、前記キャビティ37の内部と樹脂流路28とを連通するゲート孔(あな)39が形成されている。これにより、前記射出ノズル32から射出された後述される溶融樹脂42がキャビティ37内に充填されるようになっている。なお、前記樹脂流路28はホットランナである。また、加熱装置を備えているホットランナであってもよい。
【0033】
ここで、前記ストリッパプレート14とキャビティ型板15とが互いに接触する面、すなわち、可動金型23及び固定金型24のパーティング面には、インロウ結合するように、凹凸が形成されている。これにより、キャビティ37内に充填された溶融樹脂42が前記パーティング面の隙(すき)間から漏れ出してバリが発生してしまうことが防止される。
【0034】
さらに、キャビティ型板15のパーティング面には、インサートリング17が、ボルト、皿ねじ等の固定手段によって着脱自在に固定されている。そして、前記インサートリング17は、キャビティ型板15のパーティング面に固定される基部と前記ストリッパプレート14のパーティング面に向かって突出する突出部とから成り、断面L字形状を有している。なお、前記キャビティ型板15のパーティング面には、図1に示されるように、溝が形成され、該溝に前記インサートリング17の基部が収納されるようになっていることが望ましい。
【0035】
また、前記ストリッパプレート14のパーティング面には、リング状の凹溝であるインサートリング収納溝18が形成され、図1に示されるように、該インサートリング収納溝18に前記インサートリング17の突出部が嵌(かん)合するようになっている。そして、前記インサートリング17及びインサートリング収納溝18は、前記可動金型23及び固定金型24のパーティング面に形成された凹凸と同様に、キャビティ37内に充填された溶融樹脂42が前記パーティング面の隙間から漏れ出してバリが発生してしまうことを防止する。
【0036】
なお、前記ストリッパプレート14のパーティング面にインサートリング17を固定し、キャビティ型板15のパーティング面にインサートリング収納溝18を形成するようにしてもよい。
【0037】
ここで、前記インサートリング17は、ストリッパプレート14及びキャビティ型板15の材質よりも軟質の材質から成ることが望ましい。この場合、金型装置を長期間に亘(わた)り使用すると、前記ストリッパプレート14及びキャビティ型板15は摩耗せず、専らインサートリング17が摩耗することとなるが、該インサートリング17は、ボルト、皿ねじ等の固定手段によって着脱自在に固定されているので、容易に交換することができる。
【0038】
なお、前記可動プラテン21には、ストリッパプレート14を駆動する図示されないエジェクタ装置が取り付けられている。前記ストリッパプレート14は、図示されないエジェクタロッド、エジェクタプレート等の部材を介して、エジェクタ装置の駆動源に接続され、前進又は後退(図1における右方向又は左方向に移動)させられる。これにより、前記エジェクタ装置が作動すると、エジェクタプレート14が前進して金型コア12から離れて、キャビティ型板15に向けて突出するようになっている。また、前記エジェクタ装置が逆方向に作動すると、ストリッパプレート14が後退して、図1に示されるように、金型コア12に密着した状態となる。
【0039】
さらに、図1においては、前記樹脂流路28にゲートピンとしてのバルブゲートピン38が進入した状態が示されている。ここで、該バルブゲートピン38は、その基部が固定プラテン22に取り付けられている駆動機構としての図示されない空圧シリンダ装置に取り付けられ、金型装置の開閉方向、すなわち、図1における横方向に移動させられる。なお、図1に示される状態においては、バルブゲートピン38の先端がゲート孔39内に進入して該ゲート孔39を閉塞(そく)し、空圧シリンダ装置は所定の力でバルブゲートピン38をゲート孔39の方向に押し付け続ける保圧状態となっている。一方、バルブゲートピン38の先端は、キャビティ37内の樹脂の圧力によって、前記バルブゲートピン38を空圧シリンダ装置の方向に押し付ける力を受けている。そして、キャビティ37内の樹脂の圧力が所定値以上となるとゲート孔39を開放する。すなわち、キャビティ37内の樹脂は、圧力が所定値以上になると、バルブゲートピン38をゲート孔39の方向に押し付ける力に打ち勝って、バルブゲートピン38を空圧シリンダ装置の方向に移動させる。これにより、バルブゲートピン38がゲート孔39を開放するので、樹脂がキャビティ37から樹脂流路28に漏れ出し、キャビティ37内の樹脂の圧力が低下する。そして、該樹脂の圧力が所定値未満になると、バルブゲートピン38をゲート孔39の方向に押し付ける力が樹脂の圧力に打ち勝つので、バルブゲートピン38の先端がゲート孔39を再び閉塞する。
【0040】
このように、前記バルブゲートピン38は、キャビティ37内の樹脂の圧力を所定値未満に維持する定圧弁、又は、リリーフ弁として機能する。しかし、キャビティ37内の樹脂の圧力が所定値以上にならない限り、バルブゲートピン38の先端はゲート孔39内に進入して該ゲート孔39を閉塞した状態を維持する。そのため、キャビティ37内に充填された溶融樹脂42は、加圧され圧縮されても、前記ゲート孔39から漏れ出すことがない。
【0041】
そして、キャビティ37は、成形品41の形状にほぼ対応した形状を有し、側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bに対応する膨出部としての側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bを備えている。ここで、側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bの容積は金型が型閉状態において、対応する側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bよりもそれぞれ小さいが、溶融樹脂42の内部が発泡可能な温度を維持できる程度に大きくなっている。すなわち、前記側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、溶融樹脂42の外側の部分は、キャビティ37の内面に接触して速やかに冷却されるが、溶融樹脂42の内部は、キャビティ37の内面から離れているので、冷却が遅れ、ある程度の時間、発泡可能な温度を維持することができるようになっている。
【0042】
次に、前記構成の成形機の動作について説明する。
【0043】
図5は本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり型閉を開始する状態を示す図、図6は本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり溶融樹脂が充填される状態を示す図、図7は本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり型閉された状態を示す図、図8は本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり発泡のためにわずかに型開された状態を示す図、図9は本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり成形品を取り出す状態を示す図である。
【0044】
まず、成形を開始する前には、油圧シリンダ装置11のピストン11c及びロッド11dが後退(図2における左方向に移動)した状態になっているので、金型装置は、図5に示されるように、型開された状態になっている。また、バルブゲートピン38の先端がゲート孔39内に進入して該ゲート孔39を閉塞した状態になっている。
【0045】
続いて、型閉工程が開始されると、前記油圧シリンダ装置11が駆動してピストン11c及びロッド11dが前進(図2における右方向に移動)し、可動プラテン21が前進させられる。これにより、可動金型23が固定金型24に接近する。そして、図6に示されるように、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法aになった時点で、前記油圧シリンダ装置11が停止し、型閉工程が一時中断される。ここで、前記寸法aは、樹脂の圧縮量であり、成形品41の側壁の肉厚の3〜100倍程度であり、通常は、1〜15〔mm〕程度の寸法である。なお、前記圧縮量は、成形品41の側壁の肉厚及び成形材としての溶融樹脂42の粘度に基づいて決定される。ここで、前記成形品41の肉厚が1.5〜3.0〔mm〕の場合、前記圧縮量を3〜10倍とし、前記成形品41の側壁発泡部41a以外の側壁における肉厚が0.2〜1.5〔mm〕の場合、前記圧縮量を10〜100倍とすることが望ましい。
【0046】
そして、図6に示されるように、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面とが開いた状態で、バルブゲートピン38が後退(図6における右方向に移動)し、該バルブゲートピン38がゲート孔39を開放する。続いて、加熱シリンダ31の前端に配設された射出ノズル32から射出された溶融樹脂42が、樹脂流路28を通って型開状態における金型コア12とゲートブロック16との間のキャビティ37内に充填される。そして、所定量の溶融樹脂42がキャビティ37内に充填されると、バルブゲートピン38が前進して、該バルブゲートピン38の先端がゲート孔39に進入して該ゲート孔39を閉塞する。
【0047】
この場合、金型装置の開閉方向に対してほぼ垂直な底部のすべてには溶融樹脂42が充填されるが、金型装置の開閉方向に対して傾斜する側壁部のゲート孔39から離れた部分には溶融樹脂42が充填されていない。すなわち、本実施の形態において、所定量の溶融樹脂42の充填完了時に、前記側壁部の少なくとも一部には溶融樹脂42が充填されていないようになっている。
【0048】
ここで、図6示されるように前記底部の容積が比較的大きいので、前記溶融樹脂42は、金型コア12とゲートブロック16との間のキャビティ37内において、主として前記底部に留まっている。また、型閉工程が一時中断される時間は極めて短くなっている。そのため、型閉工程が一時中断されている間、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間から外部に漏れ出すようなことがない。なお、型閉工程が一時中断される時間をできる限り短くするために、溶融樹脂42の充填速度をできる限り高くすることが望ましい。また、前記型閉工程での一時中断をなくしてもよい。これにより、一ショットの成形時間を短縮することができ、成形機のスループットを向上させることができる。
【0049】
なお、キャビティ37内に充填される際の溶融樹脂42は、その温度が、例えば、樹脂の種類がポリプロピレンの場合、約220〜240〔℃〕の高温になっているが、数百〔kgf/cm〕程度の高い圧力を受けた状態にあるので、発泡していない。
【0050】
続いて、前記油圧シリンダ装置11が駆動を再開して可動金型23が固定金型24に向けて前進し、型閉工程が再開される。なお、前記溶融樹脂42の充填は、再開された型閉工程中に継続されていてもよい。また、再開された型閉工程は、溶融樹脂42を圧縮するコンプレッション工程である。これにより、溶融樹脂42の充填速度を高くすることができない場合であっても、一ショットの成形時間を短縮することができ、成形機のスループットを向上させることができる。
【0051】
そして、図7に示されるように、型閉が行われることによって、金型コア12とゲートブロック16との間のキャビティ37内において、主として前記底部に留まっていた溶融樹脂42は、前記キャビティ37が狭められるので、加圧されて該キャビティ37内を図7における左方へ移動し、前記側壁部のゲート孔39から離れた部分にも充填され、前記キャビティ37の全体に万遍なく行き渡る。この場合、型閉によって、インサートリング17の突出部がストリッパプレート14のパーティング面に形成されたインサートリング収納溝18に嵌合するので、前記溶融樹脂42は、インサートリング17によって遮られ、可動金型23及び固定金型24のパーティング面の隙間から漏れ出すことがない。
【0052】
続いて、型閉が終了した後も、前記油圧シリンダ装置11によって可動金型23が固定金型24に押し付けられ、型締が行われる。なお、型締工程においては、ゲートブロック16に形成されたゲート孔39がバルブゲートピン38によって塞(ふさ)がれている。このように、溶融樹脂42は、型締工程において圧縮されるので、キャビティ37の全体に万遍なく行き渡るだけでなく、内部における圧力分布が均等になり、樹脂の分子の配向が改善され、金型表面の転写性が向上し、樹脂のひけが防止され、残留応力が低減し、変形が防止される。
【0053】
本実施の形態においては、前述されたように型閉工程終了前にキャビティ37内への所定量の樹脂の充填を完了するようになっているので、前記側壁部における金型コア12の表面とキャビティ型板15の表面との間隔が型閉工程終了時の間隔よりもわずかに広い時点で溶融樹脂42が流動することが分かる。そのため、側壁部が金型装置の開閉方向に対して傾斜している場合、前記側壁部における金型コア12の表面とキャビティ型板15の表面との間隔が狭くても、溶融樹脂42の流動が前記間隔が広い際に行われるので、溶融樹脂42はスムーズに流動し、側壁部の全体に充填される。したがって、図6に示されるように、キャビティ37内への所定量の樹脂の充填が完了した時点で、前記側壁部のゲート孔39から離れた部分に溶融樹脂42が充填されていなくても、型閉工程終了時には、図7に示されるように、前記側壁部のゲート孔39から離れた部分にも溶融樹脂42が充填される。なお、キャビティ37内に余分な樹脂が充填されている際は、樹脂流路28側に逆流させる。具体的には、バルブゲートピン38を空圧シリンダ等の駆動源でゲート孔39の方向に所定の圧力で押し付け、キャビティ37内の樹脂が所定以上の圧力になると、バルブゲートピン38が前記圧力に負けて後退する。これにより、バルブゲートピン38がゲート孔39を解放するので、樹脂がキャビティ37から樹脂流路28に漏れ出し、キャビティ37内の樹脂の圧力が低下する。そして、キャビティ37内の樹脂の圧力が所定値より低くなると、バルブゲートピン38がゲート孔39を解放するので、バルブゲートピン38がゲート孔39の方向に押し付けられ、再び、ゲート孔が閉塞する。
【0054】
続いて、該溶融樹脂42の外側の部分がキャビティ37の内面に接触して冷却され、ある程度固化した成形品表面層としてのスキン層が形成された時点で型開が行われる。この時点で、前記スキン層の温度は、例えば、樹脂の種類がポリプロピレンの場合、約130〜140〔℃〕にまで低下し、発泡不能な温度になっている。また、この時点で、前記キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、溶融樹脂42の内部は、キャビティ37の内面から離れているので、固化しておらず、ある程度の時間、発泡可能な温度、例えば、約200〔℃〕を維持しているが、溶融樹脂42に高い圧力がかかっているので、内部で発泡することはない。そして、図8に示されるように、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法bになった時点で、型開工程が一時中断される。なお、前記寸法bは、キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bの形状が、成形品41の側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bに対応する形状となる寸法である。
【0055】
そして、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法bになるように可動金型23と固定金型24とが開いたことによって、型開方向のキャビティ37内の空間が拡大されるので、該キャビティ37内において溶融樹脂42の受ける圧力が低下する。そのため、前記キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、内部の溶融樹脂42が発泡して膨張する。これにより、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bが形成される。なお、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部41bのスキン層は、内部の溶融樹脂42の温度が高いのでその影響により完全には固化せず、伸長可能な状態にある。そのため、前記キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、スキン層は、内部の溶融樹脂42が発泡して膨張するに連れて伸長するので、破断することなく維持される。
【0056】
この場合、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bの表面は、膨張してキャビティ37の内面に押し付けられる。すなわち、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bはキャビティ37を構成する面に束縛された状態で発泡する。そのため、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bの形状及び寸法は、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法bになった時点におけるキャビティ37の形状及び寸法に規定され、常に均一なものとなる。すなわち、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bの形状及び寸法は、再現性が高いものである。また、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bのスキン層は、破断することなくキャビティ37の内面に押し付けられるので、キャビティ37を構成する面が高精度で転写され、表面精度が高く、滑らかで手触りが良く、美観の高いものとなる。さらに、前記キャビティ37を構成する面に模様が形成されている場合、該模様が前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bの表面に忠実に再現される。
【0057】
一方、キャビティ37における側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37b以外の部分では、前述されたように、溶融樹脂42の厚さが0.2〜3〔mm〕程度と薄くなっているので、内部まで速やかに冷却され、溶融樹脂42全体がもスキン層と同程度の発泡不能な温度にまで低下する。そのため、キャビティ37における側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37b以外の部分の溶融樹脂42は、受ける圧力が低下しても発泡することがない。そのため、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42b以外の部分における溶融樹脂42は薄肉化された状態を維持するようになっている。
【0058】
続いて、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bにおける発泡が終了して、溶融樹脂42全体がある程度冷却されて固化し、側壁発泡部41a及びフランジにフランジ発泡部41bを備えた成形品41が形成されると、型開工程が再開され、可動金型23と固定金型24とが大きく開いた状態となる。続いて、成形品41の取り出しが行われるが、前記成形品41が金型コア12の外面に付着している場合、図9に示されるように、ストリッパプレート14が金型コア12に対して相対的に前進させられる。これにより、成形品41は金型コア12から離れて落下する。なお、落下することによって、成形品41が損傷する恐れがある場合には、図示されない成形品取り出し機を使用して、成形品41を落下させることなく、金型コア12から取り外すこともできる。
【0059】
次に、成形機の動作シーケンスについて説明する。
【0060】
図10は本発明の実施の形態における成形機の動作シーケンスを示す図である。
【0061】
本実施の形態において、可動金型23の位置は、図10に示されるように変化する。なお、図10において、横軸は時間を示し、縦軸は可動金型23の位置を示している。この場合、金型装置が型開された状態において、型閉工程が開始されると、型締装置によって加えられる型締力が上昇し、可動金型23は、前進を開始し、位置(1)を通過して固定金型24に接近する。なお、位置(1)は図5に示される位置に対応する。
【0062】
そして、可動金型23が固定金型24に接近し、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法aになった時点で、型締装置の作動が一時停止して、可動金型23の動きが位置(2)で一時停止する。なお、位置(2)は図6に示される位置に対応する。この時点において、バルブゲートピン38が後退させられる。これにより、バルブゲートピン38がゲート孔39を開放する。そして、それまでスクリュ33が回転して溶融樹脂42の計量工程を継続していた射出装置30において、射出工程が開始され、スクリュ33が前進させられる。これにより、射出ノズル32から溶融樹脂42が射出され、キャビティ37内への溶融樹脂42の充填が開始される。
【0063】
この場合、前記スクリュ33を前進させる動きは 図示されない制御装置によって制御されるが、射出ノズル32から射出される溶融樹脂42又はキャビティ37内に充填される溶融樹脂42の圧力が所定値となるようにスクリュ33の進退を制御する複雑な圧力制御でなく、溶融樹脂42の圧力とは無関係に前進するスクリュ33の位置を制御する簡単な位置制御が行われる。これにより、所定量の溶融樹脂42がキャビティ37内に充填される。
【0064】
一方、前記溶融樹脂42の充填が継続されている間に、前記型締装置が作動を再開し、型閉工程が再開される。そして、型閉工程が継続されている間に、溶融樹脂42の充填が完了する。すなわち、前記キャビティ37内へ、充填されるべきすべての量の溶融樹脂42が充填される。すると、バルブゲートピン38が前進して、該バルブゲートピン38の先端がゲート孔39に進入して該ゲート孔39を閉塞する。なお、溶融樹脂42の充填が完了した後には、前記スクリュ33はわずかに後退させられる。これにより、樹脂流路28内に残存する溶融樹脂42の量が減少するので、キャビティ37内の溶融樹脂42の圧力が所定値以上となり、バルブゲートピン38がゲート孔39を開放し、溶融樹脂42がキャビティ37から樹脂流路28に漏れ出した場合、漏れ出した溶融樹脂42は樹脂流路28内に収容される。
【0065】
続いて、位置(3)において、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面とが接触して型閉工程が完了して、型締装置は型締力を増大させる。なお、位置(3)は図7に示される位置に対応する。そして、前記型閉工程によって、キャビティ37の容積が収縮され、該キャビティ37内の溶融樹脂42が加圧され圧縮される。そのため、該溶融樹脂42はキャビティ37の全体に万遍なく行き渡り、該キャビティ37全体に溶融樹脂42が充填された状態となる。さらに、型閉工程の後の型締工程によっても、キャビティ37内の溶融樹脂42が加圧され圧縮される。そのため、該溶融樹脂42はキャビティ37の全体に万遍なく行き渡り、該キャビティ37内に溶融樹脂42が完全に充填された状態となる。
【0066】
続いて、前記溶融樹脂42の外側の部分がキャビティ37の内面に接触して冷却されスキン層が形成されると、型開が行われ前記型締装置が作動して、可動金型23が後退する。そして、ストリッパプレート14のパーティング面とキャビティ型板15のパーティング面との間隔が寸法bになった時点で、型締装置の作動が一時停止して、可動金型23の動きが位置(4)で一時停止する。なお、位置(4)は図8に示される位置に対応する。これにより、キャビティ37内の空間が拡大されるので、該キャビティ37内において溶融樹脂42の受ける圧力が低下する。そのため、前記キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、充填された溶融樹脂42の内部が発泡して膨張し、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42がが形成される。
【0067】
続いて、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bにおける発泡が終了して、溶融樹脂42全体がある程度冷却されて固化し、側壁発泡部41a及びフランジにフランジ発泡部41bを備えた成形品41が形成されると、型開工程が再開され、可動金型23は、さらに後退して位置(5)に到達する。なお、位置(5)は図9に示される位置に対応する。そして、ストリッパプレート14が金型コア12に対して相対的に前進させられ、成形品41は金型コア12から離れて落下する。
【0068】
このように、本実施の形態においては、溶融樹脂42の外側の部分が冷却され、スキン層が形成された時点で、キャビティ37の側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bの形状が成形品41の側壁発泡部41a及びフランジ発泡部41bに対応する形状となるまで、型開が行われる。
【0069】
これにより、キャビティ37内の空間が拡大されるので、該キャビティ37内において溶融樹脂42の受ける圧力が低下し、前記側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37bにおいて、溶融樹脂42の内部が発泡して膨張し、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bが形成される。この場合、該側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bは、キャビティ37を構成する面に束縛された状態で発泡するので、形状及び寸法がキャビティ37の形状及び寸法に規定され、常に均一なものとなる。また、前記側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bのスキン層は、破断することなくキャビティ37の内面に押し付けられるので、キャビティ37を構成する面が高精度で転写され、表面精度が高く、滑らかで手触りが良く、美観の高いものとなる。なお、キャビティ37における側壁膨出部37a及びフランジ膨出部37b以外の部分では、溶融樹脂42の厚さが薄く、溶融樹脂42全体が発泡不能な温度にまで低下しているので、圧力が低下しても発泡することがない。そのため、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42b以外の部分における溶融樹脂42は薄肉化された状態を維持する。
【0070】
したがって、立体的な形状を有し薄肉化された側壁の一部に側壁発泡部41a及びフランジにフランジ発泡部41bを備えた深底凹状の容器のような形状を有する成形品41のように、所定部分だけを発泡させた成形品41を成形することができる。
【0071】
また、可動金型23と固定金型24とが開いて、キャビティ37内において溶融樹脂42の受ける圧力が低下した状態で、溶融樹脂42を発泡させるので、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bの発泡倍率を大きくすることができる。そのため、側壁発泡部42a及びフランジ発泡部42bを大きく膨張させることができ、任意の形状とすることができる。
【0072】
さらに、通常の構成の可動金型23と固定金型24とを使用することができるので、金型装置のコストを低減することができる。
【0073】
前記成形品41は、例えば、ゼリー、プリン、コーヒー、紅茶等の食料品の容器、カップ、コンテナ等として使用することができる。この場合、側壁発泡部41a、フランジ発泡部41b等の発泡部は、内部に微細な気泡が多数形成されているので、断熱性が高く、また、手触りが柔らかくなっている。そのため、例えば、高温のコーヒー、紅茶等の食料品のカップとして使用する場合、側壁発泡部41aを素手で把持しても、火傷をしたり熱く感じたりすることがない。さらに、側壁発泡部41aが素手の形状に合わせて変形するので、感触が良く、かつ、滑り落ちにくくなるので、把持しやすい。また、フランジ発泡部41bに口を付けた場合に、唇や歯が触れたときの感触が良い。
【0074】
さらに、側壁発泡部41aの形状及び寸法が均一なので、成形品41の内部の容積も均一となり、内部に収容する食料品等を正確に計量することができる。また、蓋(ふた)を付ける場合、フランジ発泡部41bの形状及び寸法が均一なので、常に、同一の蓋を使用して密閉することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、凹状容器を成形する場合について説明したが、これに限定されることはなく、薄肉部と厚肉の膨出部とを備えた成形品であればどのような形状をしていてもよい。要するに、型締した状態で成形品の薄肉部を形成し、型開工程で膨出部の成形材を発泡させて成形品の膨出部を形成するようにしている。また、可動金型23と固定金型24とののパーティング面が互いに離れた状態でキャビティ37内に溶融樹脂42を充填し、その後、型閉及び型締を行う場合について説明したが、可動金型23と固定金型24とのパーティング面が接触した状態で、すなわち、型閉が行われた状態でキャビティ37内に溶融樹脂42を充填してもよい。すなわち、本実施の形態は、いかなる成形方法にも適用することができるものである。しかし、可動金型23と固定金型24とのパーティング面が互いに離れた状態でキャビティ37内に溶融樹脂42を充填し、その後、型閉及び型締を行う場合には、立体的な形状を有し側壁が薄肉化された深底凹状の容器のような形状を有していても、高粘度の樹脂による成形品を短時間に高精度で成形することができるという効果も得ることができる。また、成形品におけるゲートブロックからの樹脂の流動長Lと成形品の肉厚Tとの流動長/肉厚比としてのL/Tを大きくすることができる。
【0076】
さらに、前記の実施の形態においては、型締装置を油圧式の場合について説明したが電動の型締装置の方が望ましい。また、可動プラテンが横方向(水平方向)に移動する横置型の射出成形機について説明したが、本発明の成形方法、成形品及び成形機は、可動プラテンが縦方向(垂直方向)に移動する縦置型の射出成形機にも適用することができる。さらに、本発明の成形方法、成形品及び成形機は、射出成形機の他に、ダイプレス等の成形機にも適用することができる。
【0077】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0078】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、型締の後にわずかに型開された状態で、キャビティ内において成形材の一部を発泡させることによって、単純な構成の金型装置を使用して、寸法の再現性が高く、かつ、表面精度が高い、一部に発泡部を備える成形品を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における金型装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出成形機の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における成形品の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における成形品の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり型閉を開始する状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり溶融樹脂が充填される状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり型閉された状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり発泡のためにわずかに型開された状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における金型装置の断面図であり成形品を取り出す状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における成形機の動作シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
37 キャビティ
37a 側壁膨出部
37b フランジ膨出部
41 成形品
41a 側壁発泡部
41b フランジ発泡部
42 溶融樹脂
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号
【出願日】 平成15年7月17日(2003.7.17)
【代理人】 【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明

【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守

【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠

【公開番号】 特開2005−35086(P2005−35086A)
【公開日】 平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願番号】 特願2003−198423(P2003−198423)