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【発明の名称】 スチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法
【発明者】 【氏名】小林 茂
【住所又は居所】大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学工業株式会社内

【氏名】池田 和之
【住所又は居所】大阪府摂津市鳥飼西5−1−1 鐘淵化学工業株式会社内

【要約】 【課題】スチレン系樹脂積層発泡シートの成形時の加熱ヒーター条件を調整する事により、成形性、形状の出方等の品質を確保し、強度が優れた成形容器を提供する。

【解決手段】スチレン系樹脂発泡シートにスチレン系樹脂フィルムを積層したスチレン系樹脂積層発泡シートの二次発泡成形方法で、同一の加熱時間で発泡シート面及びフィルム面に焼けが発生し始める様に調整した時のフィルム面側と発泡シート面側の加熱ヒーター温度の比に対し、1.0〜1.2倍の範囲になる様にフィルム面側と発泡シート面側の加熱ヒーター温度を設定し、フィルム面側の加熱が発泡シート側の加熱よりも相対的に等しいか高い状態で成形する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系樹脂発泡シートにスチレン系樹脂フィルムを積層したスチレン系樹脂積層発泡シートを加熱二次発泡させて成形体を成形する方法であって、フィルム面側の加熱ヒーター温度Tと発泡シート面側の加熱ヒーター温度Tの比R(=T/T)が、同一加熱時間で発泡シート面とフィルム面の両面に焼けが発生し始めるフィルム面側の加熱ヒーター温度Tf0と発泡シート面側の加熱ヒーター温度Tp0の比R(=Tf0/Tp0)に対し、下記式(1)
1.0×R≦R≦1.2×R・・・(1)
の関係を満たす条件で成形することを特徴とするスチレン系樹脂積層発泡シート成形体の成形方法。
【請求項2】
スチレン系樹脂積層発泡シートを最高二次発泡厚みの85〜95%厚みまで加熱二次発泡させて成形する事を特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法。
【請求項3】
加熱二次発泡させたスチレン系樹脂積層発泡シートを雌雄勘合金型内で成形することを特徴とする請求項1または2記載のスチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインスタントらーめん容器等に使用される軽量で、強度の優れたスチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インスタントらーめん容器等の容器には、スチレン系樹脂発泡シートの表面にスチレン系樹脂フィルム層を積層したスチレン系樹脂積層発泡シートが軽量で、断熱性が高く、高強度の割れ難い容器が得られる事より、多量に使用されている。しかし、これら食品は価格が安いことから容器価格の低減が課題であり、発泡シート層の軽量化やフィルム層の薄肉化が進められている。しかし、これらの手段は品質上、生産技術上限界があり、新規な容器強度向上による軽量化手段の開発が望まれている。
【0003】
スチレン系樹脂発泡シートからのインスタントらーめん容器等の成形は、容器形状が深型であるため、成形伸びを中心に、容器形状の出方、成形品後変形等を考慮した条件設定がなされ、フィルムを積層していない発泡シート側を中心にシート表面に焼け現象が見られる寸前までヒーターで加熱して必要とする厚みの二次発泡シートを得て成形する方法が取られている。
【0004】
成形による容器の強度向上策は、容器の形状改善、金型条件調整による肉付きの改善、多数個取り成形品の均質化等で進められている。
【0005】
一方、加熱ヒーター条件の選定による発泡スチレンシートの成形品強度向上に関し、トレー等の浅型容器の両面真空成形において最大二次発泡厚みの75〜90%まで発泡させて成形する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、容器強度のみに着目しただけで成形性、形状の出方等への配慮がなされておらず、深型容器の成形に適用できない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−52795
【0007】
【解決しようとする課題】
本発明は、スチレン系樹脂積層発泡シートの成形時の加熱ヒーター条件を調整する事により、成形性、形状の出方等の品質を確保し、強度が優れた成形容器を得る事を目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明は、スチレン系樹脂発泡シートからの深型容器の成形にあたり、必要とする厚みの二次発泡シートを得るためのフィルム積層面とフィルムを積層していない発泡シート面の加熱ヒーター温度を調整する事により成形性良好で、容器強度が向上する事を見出すと共に、成形性、強度を確保する上で適正な二次発泡度合いが存在する事を見出したものである。
すなわち、本発明は
(1)スチレン系樹脂発泡シートにスチレン系樹脂フィルムを積層したスチレン系樹脂積層発泡シートを加熱二次発泡させて成形体を成形する方法であって、フィルム面側の加熱ヒーター温度Tと発泡シート面側の加熱ヒーター温度Tの比R(=T/T)が、同一加熱時間で発泡シート面とフィルム面の両面に焼けが発生し始めるフィルム面側の加熱ヒーター温度Tf0と発泡シート面側の加熱ヒーター温度Tp0の比R(=Tf0/Tp0)に対し、下記式(1)
1.0×R≦R≦1.2×R・・・(1)
の関係を満たす条件で成形することを特徴とするスチレン系樹脂積層発泡シート成形体の成形方法。(請求項1)
および、
(2)スチレン系樹脂積層発泡シートを最高二次発泡厚みの85〜95%厚みまで加熱二次発泡させて成形する事を特徴とする(1)記載のスチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法。(請求項2)
(3)加熱二次発泡させたスチレン系樹脂積層発泡シートを雌雄勘合金型内で成形することを特徴とする(1)、または(2)記載のスチレン系樹脂積層発泡シートの成形方法。(請求項3)
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
スチレン系樹脂発泡シートとは、ポリスチレン単独重合樹脂、スチレンを主成分とする(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル、アクリル(メタ)アクリレート等のビニル系モノマー及びブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマーとの共重合樹脂、及びこれらの樹脂間、並びに、これら樹脂とポリフェニレンオキサイド等との混合樹脂よりなるポリスチレン系樹脂と、タルク等の造核剤、並びに、必要に応じて流動パラフィン等の可塑剤、エチレンビスステアリルアミド等の滑剤等を押出機内で混合・溶融した後ブタン等の発泡剤を圧入し、発泡適正温度に冷却後、サーキュラーダイより押出発泡させた物である。
【0010】
発泡シート表面に積層するスチレン系樹脂フィルムとは、上記スチレン系樹脂発泡シートに使用されるスチレン系樹脂が使用され、発泡シートと同種の樹脂でも異種の樹脂でも良いが、スチレンモノマーとジエン系モノマーとの共重合樹脂よりなるゴム成分を含有するスチレン系樹脂フィルムである事が好ましい。
【0011】
発泡シート表面へのフィルムの積層は、Tダイを使用してフィルム樹脂を発泡シート表面上にフィルム状に押出し積層する方法、及び、発泡シート表面に樹脂フィルムを熱接着させる方法、並びに、発泡シートと樹脂フィルムの間に接着剤や溶融樹脂を介在させて積層する方法等の各種方法が適用される。
【0012】
この様にして得られたスチレン系樹脂積層発泡シートは、浅野研究所製FLC成形機等の汎用の連続式シート成形機にて、シートの上下面より赤外線ヒーターで加熱、加熱時間・温度を調整して必要な厚みまで二次発泡させた後、雌雄嵌合金型で25〜40個/ショット程度の多数個取り成形がなされる。
成形機へのシート供給は、容器の形状、成形工程の都合で発泡シート面、フィルム面のどちらを上面としても良いが、一般には、フィルム面を上面として成形機に供給する。フィルム面側の加熱は発泡シート面側よりも強くする必要があり、フィルム面を加熱する上ヒーターの温度を下ヒーター温度より高くする事になり、ヒーター温度制御上好ましい。
【0013】
加熱ヒーターの温度条件は、加熱成形するシートの種類、成形機の特性等で異なり特定できない。そのため、目標とする実際の成形時の加熱時間(成形サイクル)の1.1〜1.3倍程度の加熱時間でフィルム面及び発泡シート面の表面に焼け現象(表面がケロイド状になったり、大きな気泡が出来たりする現象)が同時に発生し始めるフィルム面側の加熱ヒーター温度Tf0と発泡シート面側の加熱ヒーター温度Tpoを選定し、R(=T/Tp0)を特定する。このヒーター温度Tf0、Tp0に対し、フィルム面側のヒーター温度を高めるか発泡シート面側のヒーター温度を下げて、R(=Tf0/Tp0)に対して相対的に同じか、高くなる様に変更し、目標とする加熱時間で成形する。成形を行うためのフィルム面側ヒーター温度Tfと発泡シート面側ヒーター温度Tpの比R(=Tf/Tp)はが、フィルム面側ヒーター温度Tf0と発泡シート面側ヒーター温度Tp0の比R(=Tf0/Tp0)に対し、1.0から1.2倍の範囲であること、即ち下記式(1)を満たせばよい。
【0014】
1.0×R≦R≦1.2×R・・・(1)
1.0倍未満の時は、発泡シートの強度が低下したり、フィルム面の表面粗さが粗く印刷性等の問題が生じる。又、1.2倍を越える範囲では発泡シートの成形伸びが低下し、シャープな形状の容器の成形が難しくなる。 加熱時間の調整は、設定したフィルム面側及び発泡シート面側のヒーター温度でフィルム面に焼け現象が見られる範囲まで、加熱時間を変えて加熱時間と二次発泡厚みの関係を把握し、得られた最高二次発泡厚み(両面に焼け現象が現れない加熱時間内で得られる最高の厚み)の85〜95%範囲の二次発泡厚みが得られる加熱時間を選定するのが好ましい。最高二次発泡厚みの85%未満の二次発泡厚みしか得られない場合、成形伸びが不十分であったり、成形容器の肉厚みが確保できないことがある。又、95%を越える場合、容器強度が低下することがある。
【0015】
【実施例】
以下に具体的な実施例を掲げて発明を説明する。
(実施例−1〜3,比較例−1,2)
市販サンポリマー(株)製スチレン系樹脂積層発泡シートL−320(220g/Mの発泡スチレンシートに、100g/Mのハイインパクトポリスチレンフィルムを積層した厚み2.1mmのシート)を使用し、フィルム面を上面として浅野研究所製のFLC3型連続成形機に供給、フィルム面が容器の外面になる様にして140mmφ×75mmHの丼型容器を36個/ショット取り雌雄嵌合金型で成形した。成形に先立ち加熱時間5.5秒でフィルム面及び発泡シート面に焼け現象が少し見られる(焼け現象が出始める)ヒーター温度を調べた。その結果、フィルム面を加熱する上側ヒーター温度は330℃、発泡シート側を加熱する下側ヒーター温度は270℃であった。この結果を基にフィルム面側及び発泡シート面側のヒーター温度を変更し、表−1に示すヒーター温度で二次発泡厚みが4.8mm程度になる様に加熱時間を調整し成形した(実施例1〜3、比較例1,2)。尚、各ヒーター条件で加熱時間を変更して最高二次発泡厚みを求めた。得られた容器の天地圧縮強度、リップ部80mm圧縮強度は島津製作所製オートグラフDSS−1000で測定した成形1ショット36個の容器の平均値を示す。又、成形性は36個取り成形全体での成形伸び不良の有無で、容器の形状の出方は目視で良否を判定した。結果を表−1に示す。
【0016】
同一加熱時間(5.5秒)でフィルム面及び発泡シート面に焼け現象が出始めたヒーター温度比330℃/270℃(=1.22)よりも1.02倍(335℃/270℃=1.24:実施例−1)、1.09倍(345℃/260℃=1.33:実施例−2)、1.16倍(355℃/250℃=1.42:実施例−3)フィルム側の温度を高くして成形した実施例−1〜3は、成形伸び、成形容器の形状の出方とも良好であつた。又、容器天地圧縮強度及びリップ部80mm圧縮強度も各80N以上、8N以上の基準値を充たし良好であった。しかし、フィルム側の加熱を相対的に下げた比較例−1では、実施例−1〜3とほぼ同一二次発泡厚みが容易に得られ、成形伸び、成形容器の形状の出方は良好であったが、容器の天地圧縮強度、リップ部圧縮強度とも低く、容器全体が柔らかく感じられ、不良であった。又、比較例−2の如く、フィルム側の温度を同一加熱時間でフィルム面及び発泡シート面に焼け現象が出始める温度比よりも1.25倍とフィルム側の温度を上げすぎた場合、必要二次発泡厚みが出にくいばかりか、成形性、形状の出方も不良であり、容器の強度もリップ部圧縮強度は非常に高いが、天地圧縮強度は不良であった。
これらより、同一加熱時間でフィルム面及び発泡シート面に焼け現象が出始めたヒーター温度比よりも1.0〜1.2倍の範囲でフィルム側の加熱ヒーター温度を高くして成形する事により、成形性良好で、強度の優れた容器が得られる事が判る。
(実施例−2,4、比較例−3,4)
上記実施例−2と同じシート、金型、ヒーター温度を使用し、加熱時間を変えて二次発泡厚みが異なるシートを得て成形し、容器の品質を評価した。結果を表−2に示す。
【0017】
成形時の二次発泡厚みが、最高二次発泡厚みの87.5%(実施例−2)及び92.5%(実施例−4)になる加熱で成形した時、成形性、形状の出方、容器強度とも良好であった。しかし、最高二次発泡厚みの82.9%厚みで成形した比較例−3では、成形伸び、形状の出方も悪く、更に、容器の天地圧縮強度も不良であった。他方、最高二次発泡厚みの96.9%厚みで成形した比較例−4では、形状の出方、天地圧縮強度は満足出来たが、リップ部圧縮強度が弱く柔らかい容器であった。又、加熱を強めているにも拘わらず成形伸び不良が発生した。これらの結果より、最高二次発泡厚みの85〜95%範囲の発泡厚みで成形する事が好ましい事が判る。
【0018】
【表1】


【0019】
【表2】


【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中之島3丁目2番4号
【出願日】 平成15年7月15日(2003.7.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−35019(P2005−35019A)
【公開日】 平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願番号】 特願2003−197361(P2003−197361)