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【発明の名称】 ワーク表面処理方法
【発明者】 【氏名】松原 亨
【住所又は居所】新潟県長岡市石動町字金輪525番地 マコー株式会社内

【氏名】小方 雅淑
【住所又は居所】新潟県長岡市石動町字金輪525番地 マコー株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する画期的なワーク表面処理方法を提供することを目的とする。

【解決手段】ワーク1の表面に液体2と平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒3との混合物であるスラリ4を噴射して該ワーク1の表面を処理するワーク表面処理方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面に液体と平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒との混合物であるスラリを噴射して該ワークの表面を処理することを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項2】
請求項1記載のワーク表面処理方法において、前記砥粒としてアルミナ若しくはシリコンカーバイトを採用することを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記スラリを約60〜150m/sの噴射速度でワークの表面に噴射することを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記ワークは、表面に薄膜が形成されたシリコンウエハ、ガラス若しくはセラミックなどの脆性材料であることを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記スラリはワークの巾と同一若しくはそれ以上の巾でワークに噴射されることを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記液体に砥粒の塊化を阻止する塊化阻止材を混合したことを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項7】
請求項6記載のワーク表面処理方法において、前記塊化阻止材として界面活性剤を採用したことを特徴とするワーク表面処理方法。
【請求項8】
請求項7記載のワーク表面処理方法において、前記界面活性剤としてリグニンスルホン酸塩やポリカルボン酸を採用したことを特徴とするワーク表面処理方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク表面処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の構成部品であるチップ(ICチップ)の製造は、基板(例えばシリコンウエハ)の表面に研磨加工を行い、この研磨加工面上に、CVD(減圧CVD)、熱酸化若しくはスパッターによるSiO2(2酸化珪素)、Si3N4(窒化珪素)、Si(ポリシリコン)若しくはAl(アルミニウム)などの薄膜形成と、露光、現像及びエッチングによるパターン形成とを繰り返し行うことで回路を形成している。
【0003】
ところで、このICチップは、前述したように複数の工程(薄膜の積層工程)を経て製造される関係上、この各工程の途中において薄膜同志の間にガスやエアーなどが混入した不良品が発生する確率は高い。
【0004】
しかし、従来はこの不良品と判断されたものは直ちに廃棄するのではなく、ウエハのコストを考慮して、薄膜を除去して再利用することが試みられている。
【0005】
この薄膜の除去方法としては、薬品を使用して溶解除去する方法が一般的であるが、この薬品を使用しての溶解処理は、薄膜の材質に応じた薬品を使い分けなければならず且つ薬品が高価なため、非常に処理速度が遅くてコスト高であり(中には毒性の極めて高い危険な薬品を使用しなければならない場合がある。)、その他にも、使用済みの薬品の処理が厄介であるなどの種々の問題点が生じている。
【0006】
そこで、この薬品を使用しての溶解処理が持つ問題点を解消すべく、ドライブラスト装置を利用したウエハの表面処理方法(以下、従来法という。)が提案されている。
【0007】
この従来法は、砥粒を圧縮空気と混合して噴射材とし、この噴射材を吹付けることによりウエハ上に形成された薄膜を除去する方法であり、この従来法であれば、薬品を使用せずとも薄膜を除去することができ、前述した薬品を使用しての溶解処理に比して有効な処理方法になるものと期待される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本出願人は、この従来法について実際に試してみたところ次の問題点があることを確認した。
【0009】
即ち、ウエハ上に形成された薄膜を除去する為には、砥粒をある程度の強さ(衝撃力)で薄膜に衝突させる必要があるが、このノズルから噴射される噴射材は周囲の空気による抵抗を受けて著しく減速してしまう為、径の小さい砥粒(軽量の砥粒)だと勢いのある良好な衝突が行われない。
【0010】
従って、従来法で処理しようとする場合、砥粒として重量のある径の大きな砥粒(10μ以上の砥粒)を採用することになるが、一方、径の大きな砥粒を高速で吹付けた場合、ウエハにクラックやひずみを生じさせてしまうことになる為、径の大きな砥粒と圧縮空気とを混合させた噴射材の場合は、低速で時間をかけて噴射することで薄膜の除去処理を行わなければならず、よって、処理時間を要し、しかも、径の大きな砥粒による処理だけでは処理面が非常に粗く、薄膜の除去が不完全となり、結局は薬品による溶解処理を併用しなければならない。そして更に、砥粒がワーク表面に衝突する際に生ずる摩擦熱がウエハに悪影響を及ぼしたり(再利用品としての価値が低下してしまう。)、砥粒が飛散して清浄が要求される周囲の作業環境を悪化させてしまうなどの問題点も生じることを確認した。
【0011】
本出願人は、上述した問題点に着目し、種々の実験・研究を重ねた結果、従来にない画期的なワークの表面処理方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
ワーク1の表面に液体2と平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒3との混合物であるスラリ4を噴射して該ワーク1の表面を処理することを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0014】
また、請求項1記載のワーク表面処理方法において、前記砥粒3としてアルミナ若しくはシリコンカーバイトを採用することを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記スラリ4を約60〜150m/sの噴射速度でワーク1の表面に噴射することを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記ワーク1は、表面に薄膜12が形成されたシリコンウエハ、ガラス若しくはセラミックなどの脆性材料であることを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記スラリ4はワーク1の巾と同一若しくはそれ以上の巾でワーク1に噴射されることを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0018】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載のワーク表面処理方法において、前記液体2に砥粒3の塊化を阻止する塊化阻止材5を混合したことを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0019】
また、請求項6記載のワーク表面処理方法において、前記塊化阻止材5として界面活性剤を採用したことを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【0020】
また、請求項7記載のワーク表面処理方法において、前記界面活性剤としてリグニンスルホン酸塩やポリカルボン酸を採用したことを特徴とするワーク表面処理方法に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したから、良好なワークの表面処理が行えることになるなど従来にない画期的な作用効果を発揮するワーク表面処理方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好適と考える本発明の最良の形態を、図面に基づいて本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0023】
本発明は、ワーク1の表面に液体2と平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒3との混合物であるスラリ4を噴射して該ワーク1の表面を処理する。この際、スラリ4を構成する砥粒3は、液体2により運ばれてワーク1の表面に衝突せしめられる。
【0024】
従って、液体2と砥粒3との混合物であるスラリ4を採用する本発明は、砥粒3が液体2により運ばれる為、周囲の空気による抵抗を受けにくく(減速しにくく)、微粒子砥粒3であっても薄膜12に勢い良く衝突して十分該薄膜12を除去することができ、よって、高速で微粒子砥粒3を衝突させることができるから、薄膜12を除去する処理速度を飛躍的に向上させることができ、しかも、微粒子砥粒3は、ワーク1にダメージを与える事が可及的に少なく、また、液体2と砥粒3との混合物であるスラリ4を採用する為、ワーク1に衝突させた際に生じる摩擦熱を抑制する冷却効果が得られ、更に、砥粒3は液体2と共に流れ落ちることになるから周囲に飛散することが可及的に防止され、ワーク1表面の残留も少なくなり、よって、本発明に係るワーク表面処理方法を、例えばワーク1の表面に薄膜12が形成されたシリコンウエハ、ガラス若しくはセラミックなどの脆性材料における当該薄膜12の除去処理に適用した場合、良好な処理が行われることになる。
【実施例】
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例は、ワーク1の表面に液体2と砥粒3との混合物であるスラリ4を噴射して該ワーク1の表面を処理する方法であり、後述するワーク表面処理装置を使用して行われる。尚、本実施例では、ワーク1は、表面に薄膜12が形成されたシリコンウエハ、ガラス若しくはセラミックなどの脆性材料(半導体の構成部品であるICチップ)であるが、これに限られるものではなく、本実施例の特性を発揮し得るワーク1であれば適宜採用するものである。
【0027】
具体的には、このワーク表面処理装置は、図2に図示したようにワーク搬送機能を具備した処理本体6の下方位置に配設されるスラリ貯溜部7と、このスラリ貯溜部7からポンプ装置8を介して処理本体6内へスラリ4を搬送するスラリ搬送部9と、処理本体6内に配設され、スラリ搬送部9で搬送されたスラリ4を噴射するスラリ噴射部10とで構成されており、このスラリ噴射部10から噴射されたスラリ4が処理本体6の下方開口部6aからスラリ貯溜部7へ排出されて再利用される構成である。
【0028】
スラリ貯溜部7は、所定量のスラリ4を貯溜することができ、この内部に貯留されるスラリ4を常時撹拌するスラリ撹拌機能が設けられている。
【0029】
スラリ噴射部10は、図3に図示したようにワーク1の進行方向(図3中矢印a方向)に対して直交する方向(図2,3中矢印b方向)に移動自在に設けられるスラリ噴射本体10Aと、このスラリ噴射本体10Aから下方へ向けて突設されるノズル体10Bとで構成されている。
【0030】
スラリ噴射本体10Aは、その側面部に前述したスラリ搬送部9が接続されるとともに、上面部に別回路で設けられる圧縮空気搬送部11が接続されており、スラリ搬送部9から供給されるスラリ4を圧縮空気搬送部11から供給される圧縮空気により加速して、約60〜150m/sの噴射速度でノズル体10Bから噴射させるように構成されている。(尚、液体2と平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒3とを混合したスラリ4を約60〜150m/sの噴射速度でワーク1に噴射させると、該ワーク1の表面の薄膜12が良好に除去されることを確認している)。
【0031】
ノズル体10Bは、ノズル開口部が方形状となる巾広ガンタイプに構成されており、このノズル開口部は、ワーク1の巾と同一若しくはそれ以上の巾となるように設定されており、よって、スラリ4はワーク1の巾と同一若しくはそれ以上の巾でワーク1に噴射されることになる。
【0032】
また、本実施例で使用するスラリ4は、液体2と微粒子砥粒3との混合物であり、この液体2には砥粒3同志の塊化を阻止する塊化阻止性が具備せしめている。
【0033】
具体的には、液体2としては水が採用され、この液体2に塊化阻止性を有する塊化阻止材5としてのリグニンスルホン酸塩やポリカルボン酸などの界面活性剤が混合せしめられている。この塊化阻止材5としての界面活性剤は砥粒同志の塊化を阻止する性質の他にも、スラリ4としてワーク1に噴射した際、加工面を清浄化する性質も有するものである。
【0034】
尚、砥粒3の塊化を阻止する塊化阻止性を具備する液体2として、この塊化阻止材5を混合する他にも、例えば水を電気分解して得られるアルカリ性電解水でも良く、このアルカリ性電解水を使用することでも同様の効果が得られることを確認している。
【0035】
また、砥粒3としては、微粒子のアルミナ若しくはシリコンカーバイトが採用される。
【0036】
以上の構成からなるワーク表面処理装置を使用し、以下のような加工条件下でワーク表面処理を行った。
【0037】
砥粒・・・アルミナ♯2000
ノズル巾・・・250mm
エアー圧力・・・0.25MPa
ノズル移動速度・・・5mm/s
噴射距離・・・30mm
加工回数・・・4回
【0038】
尚、ワーク1として薄膜12が形成された8インチのワーク1(ウエハ)を使用し、スラリ4として、平均粒径7μの砥粒3(アルミナ)が液体2(水)に対して体積比15%となるスラリ4を使用した。
【0039】
前記加工条件で処理した場合、その加工量(削りの厚さ)は2.5μで、ワーク1の表面の薄膜12は一様に除去され、ムラのない均一な加工表面が得られた。
【0040】
また、本出願人は、その後条件等を変えた種々の実験により、このワーク表面処理方法であれば、加工量や表面粗度の要求次第では平均粒径が1μ以下の砥粒3でも使用可能であり、平均粒径が約7μ以下の微粒子砥粒3が適することを確認している。尚、平均粒径が約7μよりも大きな砥粒3であると、衝突させた勢いでクラックやひずみを生じさせてしまうなどワーク1にダメージを与えてしまう。
【0041】
本実施例は上述のように構成したから、従来のように薬品を使用せずとも安全で低コストな処理が迅速に行えることになり、しかも、シリコンウエハのみならず、各種ガラス、セラミックなどあらゆる脆性材料や、薬品に対する耐性が悪くて溶解処理が行えない材料の表面加工などにも積極的に適用させることができる。
【0042】
また、本実施例では、スラリ4はワーク1の巾と同一若しくはそれ以上の巾でワーク1に噴射されるから、均一な処理面が得られる。
【0043】
また、本実施例は、液体2として砥粒3の塊化を阻止する塊化阻止性を具備した液体2を採用しており、より一層良好な表面処理を達成している。
【0044】
具体的には、例えば液体2と混合する砥粒3として径の小さな砥粒3を採用した場合(砥粒3が微細になればなる程)、砥粒3同士が付着して塊化することで安定した砥粒3の噴射が達成されないなど不具合が生じる可能性が懸念されるが、この点、本発明は、液体2が砥粒3の塊化を阻止する塊化阻止性を具備して砥粒3同士は可及的に塊化しない為、この径の小さな砥粒3を均一に安定して噴射させることができることになり、よって、スラリ4の一部を液体2とすることで径の小さな砥粒3を採用し得ることになったことに加え、この径の小さな砥粒3を使用することによるメリットを最大限に発揮させることが可能となり、極めて良好なワーク1の表面処理が行われることになる。
【0045】
以上から、本実施例は、特に微粒子砥粒3を噴射させて処理を行うことを要求される場面のワーク表面処理方法として有効と言える。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例に係るワーク表面処理方法の説明図である。
【図2】本実施例に係るワーク表面処理装置の概略説明図である。
【図3】本実施例に係るワーク表面処理装置の概略動作説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ワーク
2 液体
3 砥粒
4 スラリ
5 塊化阻止材
12 薄膜
【出願人】 【識別番号】591205732
【氏名又は名称】マコー株式会社
【住所又は居所】新潟県長岡市石動町字金輪525番地
【出願日】 平成15年9月30日(2003.9.30)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛

【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄

【公開番号】 特開2005−103716(P2005−103716A)
【公開日】 平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願番号】 特願2003−341901(P2003−341901)