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【発明の名称】 アンギュラーベアリングインナーレース鍛造素形品の内周面の旋削仕上げ時の直角度を抑制するチャックの保持方法
【発明者】 【氏名】矢野 宏明
【住所又は居所】兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番地 山陽特殊製鋼株式会社内

【要約】 【課題】アンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内周面の旋削仕上げ時のふれを抑制する回転旋削装置のチャックの保持方法を提供する。

【解決手段】大つば部2と小つば部3を有するアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品1の内径面9の旋削仕上げにおいてに、インナーレース鍛造素形品1を保持するチャック6のチャック長さの1/2〜2/3の部分で軸方向に対し直角方向にインナーレース鍛造素形品1の大つば部2の後端部外周を掴むことで大つば部2の先端方向へ掴み力の軸方向分力13を付与することにより大つば部2の先端を突き当てチャック7に押し付けて保持することからなる旋削仕上げ時のアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品1の内周面のふれを抑制するチャックの保持方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大つば部と小つば部を有するアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内径面の旋削仕上げにおいてに、インナーレース鍛造素形品を保持するチャックのチャック長さの1/2〜2/3の部分で軸方向に対し直角方向にインナーレース鍛造素形品の大つば部の後端部外周を掴むことで大つば部の先端方向へ掴み力の軸方向分力を付与することにより大つば部先端を突き当てチャックに押し付けて保持することを特徴とする旋削仕上げ時のアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内周面のふれを抑制したチャックによる保持方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明はアンギュラーベアリングインナーレース鍛造素形品の大つば部外径をチャッキングして内径面を旋削するための旋削加工機のチャックによる保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車軸支持用ハブ軸受ユニットなどに使用されるアンギュラーベアリングにおいて、そのインナーレースは外径に軸受溝を配設した大つば部と小つば部とを有し、さらにハブ軸を嵌入する内径面を有するアンギュラーな形状からなっている。これらのアンギュラーベアリングのインナーレースの製造は、例えば、鋼素材から据込み加工品とし、さらに、この据込み加工品を熱間鍛造によりアンギュラー形状のベアリングインナーレースのカップ形状素形品に成形し、得られたカップ形状素形品から底を抜いてアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品とする。このアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品は、さらに、適宜方法で旋削加工することでアンギュラーベアリングのインナーレースに仕上げられる。
【0003】
ところで、このようなアンギュラーベアリングは、上記したように自動車の車軸支持用のハブ軸受ユニットなどに使用されるもので、そのためにインナーレースの旋削加工仕上げ精度は±0.05mm以内の精度が要求される。しかしながら、このようなアンギュラーベアリングのインナーレースなどの旋削加工仕上げでは、旋削時のインナーレース鍛造素形品はアンギュラー形状のため、回転旋削装置においてチャックによる保持方法が難しく、精度の高い旋削加工が困難である問題があった。
【0004】
そこで、例えば、ハブ軸の2次旋削を不要にした加工方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法は、インナーレース素形品の外径を加工する方法であり、インナーレース素形品の内径面を旋削加工するものではなく、かつ、複雑な機構装置からなる回転旋削装置を必要とする。
【0005】
【特許文献1】特開2002−66885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に説明したように、アンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品を製品に仕上げるためその内径面を旋削加工する際、インナーレース鍛造素形品は形状がアンギュラーでチャックで精度よく保持することが困難である。
【0007】
そこで、本願の発明が解決しようとする課題は、このアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品のチャックによる保持方法を工夫することで、被加工物であるアンギュラーベアリングのインナーレースの熱間鍛造素形品の内径面の旋削加工による仕上げ精度を±0.05mm以内とすることでアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内周面の旋削仕上げ時のふれを抑制するチャックの保持方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、大つば部と小つば部を有するアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内径面の旋削仕上げにおいてに、インナーレース鍛造素形品を保持するチャックのチャック長さの1/2〜2/3の部分で軸方向に対し直角方向にインナーレース鍛造素形品の大つば部の後端部外周を掴むことで大つば部の先端方向へ掴み力の軸方向分力を付与することにより大つば部先端を突き当てチャックに押し付けて保持することを特徴とする旋削仕上げ時のアンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の内周面のふれを抑制したチャックによる保持方法である。
【0009】
上記手段の作用を説明すると、アンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品の大つば部は、熱間鍛造時に金型で拘束されているので、直角部精度が出やすい。そこで、鍛造素形品を旋削仕上げする際にこの直角部精度が出ている大つば部を掴むものとし、大つば部端面と大つば部外径部を上記手段の方法で掴むことにより、小つば側の製品のふれを抑制して旋削仕上げ寸法精度を±0.05mm以内にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、アンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品から旋削装置により旋削仕上げ加工してインナーレース製品とする際に、旋削装置におけるアンギュラーなインナーレース鍛造素形品を掴むチャックの位置を一部大つば部後端から後方にはみ出させることによりインナーレース鍛造素形品に軸方向の大つば部前端側へのチャッキング力の分力を付与して大つば部前端の突き当てチャックにインナーレース鍛造素形品を押し付けることでインナーレース鍛造素形品の保持をふれの無いものとしたので、内径面の旋削仕上げ寸法精度が±0.05mm以内の高精度に向上したインナーレースを得ることができ、本願発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。アンギュラーベアリングのインナーレース鍛造素形品1は、鋼素材から据込み加工品とし、さらに、この据込み加工品を熱間鍛造によりアンギュラー形状のベアリングインナーレースの大つば部2と小つば部3を有するカップ形状素形品に成形し、このカップ形状素形品から底を抜いて予め製造し、図2の(a)に示すインナーレース鍛造素形品1の形状としておくものとする。
【0012】
次いで、このインナーレース鍛造素形品1を図示しない回転旋削装置にセットする。このセットでは、熱間鍛造時に直角精度の出ている大つば部2の先端を回転旋削装置の突き当てチャック7に当接し、インナーレース鍛造素形品1にチャック6により中心方向に力を加えて大つば部2の後端を掴んで保持するものとする。この場合、チャック6のチャック長さ11の1/2〜2/3の部分により大つば部2の後端部のa点を掴み、チャック長さ11の残余12である1/2〜1/3の部分を大つば部2の後端部のa点より後方にはみ出す状態とする。このように後方にはみ出させることで、チャック6の掴み力は、大つば部2の後端部のa点において、図2の(b)に示すように、中心方向分力13と軸方向分力14になり、軸方向分力14により大つば部2の先端を突き当てチャック7を押圧することとなる。なお、残余12の部分をチャック長さ11の1/2〜1/3としたのは、残余12の部分が1/2超の場合は軸方向分力不足となるためであり、また残余12の部分が1/3未満では掴み力不足となるためである。
【0013】
この結果、インナーレース鍛造素形品1に強い緊締力が働き、インナーレース鍛造素形品1を回転方向8に回転させてもインナーレース鍛造素形品1の小つば部側の軸芯がふれることが阻止される。従って、インナーレース鍛造素形品1を回転方向8に回転させながら内径旋削部5をバイトで旋削するとき、インナーレース製品4の内径面9の仕上げ精度を±0.05mm以内とする極めて精密な旋削加工を行って内面仕上げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アンギュラーベアリングのインナーレースを示す断面図である。
【図2】(a)は旋削装置のチャックで保持したインナーレース鍛造素形品を示す模式的断面図で、(b)はa点におけるチャック保持力の中心方向分力と軸方向分力を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1 インナーレース鍛造素形品
2 大つば部
3 小つば部
4 インナーレース製品
5 内径旋削部
6 チャック
7 突き当てチャック
8 回転方向
9 内径面
10 ボール溝部
11 チャック長さ
12 残余
13 中心方向分力
14 軸方向分力
【出願人】 【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
【住所又は居所】兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番地
【出願日】 平成16年2月13日(2004.2.13)
【代理人】 【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至

【公開番号】 特開2005−224911(P2005−224911A)
【公開日】 平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願番号】 特願2004−37422(P2004−37422)