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【発明の名称】 多成分系ガラス基板の製造方法
【発明者】 【氏名】三谷 一石
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内

【氏名】斉藤 靖弘
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内

【氏名】安宅 功一
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内

【要約】 【課題】磁気ディスク用ガラス基板および液晶用ガラス基板等に用いられるガラス基板表面に潜傷の発生がなく、かつ残留異物のない高い清浄度が得られる多成分系ガラス基板の洗浄方法を提供することを目的とする。

【解決手段】多成分系ガラス基板を酸化セリウムを主成分とする研磨剤により研磨した後、フッ素系溶液で処理する洗浄工程を有する多成分系ガラス基板の製造方法において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分系ガラス基板を酸化セリウムを主成分とする研磨剤により研磨した後、フッ素系溶液で処理する洗浄工程を有する多成分系ガラス基板の製造方法において、
前記フッ素系溶液は、pHが3以上7以下であることを特徴とする多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記フッ素系溶液は、フッ化水素酸溶液にPH調整剤を添加した混合溶液を用いることを特徴とする請求項1記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記フッ素系溶液として、フッ化水素アンモニウム溶液および/または、珪フッ化水素酸溶液を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記PH調整剤がフッ化物であることを特徴とする請求項2記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄工程は、フッ素系溶液で処理した後にアルカリを含む洗浄剤で処理することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記多成分系ガラス基板は、酸に弱い成分を含む多成分系ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
前記多成分系ガラス基板は、アルミノシリケートガラスであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【請求項8】
前記多成分系ガラス基板は、磁気ディスク用ガラス基板又は液晶用ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の多成分系ガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高い清浄度を必要とする磁気ディスク用ガラス基板や液晶用ガラス基板等に好適な多成分系ガラス基板の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板等に用いられる多成分系ガラス基板の応用分野では、ガラス基板は、通常高い平坦性を確保するため、ガラス基板成形後に酸化セリウム等の研磨剤で研磨される。
【0003】
しかし、前記ガラス基板を研磨剤で研磨すると、その表面に研磨剤が強固に付着した状態で残留し、後工程でピンホールの形成等の問題が発生することがあった。このように付着残留する研磨剤は、多くの場合、水や中性洗剤では容易に除去することができないため、フッ化水素酸のようなエッチング作用のある薬液を用いて基板の洗浄が行われてきた(特許文献1:特開昭50−45465号公報)。
【特許文献1】特開昭50−45465号公報
【0004】
また、フッ化水素酸で除去できなかった汚れ粒子を除去するためにフッ化水素酸で洗浄した後に、さらにアルカリを含む洗浄剤で洗浄することもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1:特開昭50−45465号公報に記載されたフッ化水素酸を洗浄に用いた場合、フッ化水素酸中では、ガラス基板は負に帯電する性質を持つのに対し、研磨剤をはじめとする多くの汚れ粒子は、正に帯電する性質を持つため、両者に静電気的引力が働く。そのため、一旦除去した研磨剤等の汚れがガラス基板に再付着して高い清浄度が得られないという問題があった。
【0006】
また、フッ化水素酸で処理した後に、さらにアルカリを含む洗浄剤中で処理する場合においては、アルカリ中では汚れ粒子とガラスの間に静電気的反発力が働くので、汚れ粒子が基板に再付着する問題は解決されるが、潜傷(研磨工程を経た基板ガラス表面に潜在する研磨傷がガラス表面のエッチングにより顕在化した傷)が発生しやすくなるという問題が新たに生じた。
【0007】
アルカリで洗浄した場合に、上記のように潜傷が発生しやすくなるのは、以下の理由からである。
【0008】
すなわち、多成分から形成されるガラスを酸性水溶液中で処理する場合は、ガラスの各成分毎の溶解は一様ではなく、酸に弱い成分が優先的に溶解する。その結果、酸を含む洗浄剤で処理した後にガラス基板表面近傍に、酸に強い部分からなる多孔質な層(リーチング層)が形成されるために平滑性が悪くなったり、または潜傷が発生しやすくなったりする。
【0009】
また、この潜傷がついたガラス基板に磁性膜や導電膜を積層した場合、この潜傷発生部ではディスクの読み書きができず、エラーが発生したり、電圧がかからず、文字エラー等が発生するという問題が生じた。
【0010】
さらに、磁気ディスク基板に於いては、記録密度の向上を目指し、基板とヘッドとの距離がさらに近づく傾向にあり、基板表面に異物が付着したり、あるいは基板表面の平滑性が悪くなったりすると、読み書き時にヘッドが異物および/または基板の凸部と衝突し、ヘッドクラッシュの原因となる。このため基板表面の清浄度や平滑さがさらに要求されるようになった。
【0011】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、磁気ディスク用ガラス基板および液晶用ガラス基板等に用いられるガラス基板表面に潜傷の発生がなく、かつ残留異物のない高い清浄度が得られる多成分系ガラス基板の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、多成分系ガラス基板の洗浄方法において、前記多成分系ガラス基板を、pHが3以上7以下のフッ素系溶液で処理する工程を含む多成分系ガラス基板の洗浄方法である。
【0013】
また多成分系ガラス基板の洗浄方法において、pHが3以上7以下のフッ素系溶液で処理する工程、およびその後にアルカリを含む洗浄剤で処理する工程を、少なくとも1回含む多成分系ガラス基板の洗浄方法である。
【0014】
さらに前記多成分系ガラス基板を予めアルカリを含む洗浄剤で処理する工程を含む多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0015】
またさらに前記フッ素系溶液として、フッ化水素酸溶液にpH調整剤を添加した混合溶液を用いる多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0016】
また前記フッ素系溶液として、フッ化水素アンモニウム溶液および/または、珪フッ化水素酸溶液を用いる多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0017】
さらに前記pH調整剤がフッ化物である多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0018】
またさらに前記フッ化物をフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム、または珪フッ化アンモニウムのうち少なくとも1種とする多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0019】
また前記洗浄剤中のアルカリが、苛性ソ−ダ、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、またはテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのうち少なくとも1種である多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0020】
さらに前記洗浄剤がアルカリ以外に、界面活性剤および/またはキレ−ト剤を含む多成分系ガラス基板の洗浄方法であることが好ましい。
【0021】
上記構成のうち第1の特徴的な点は、ガラス洗浄時、pHが3以上7以下のフッ素系溶液で処理する点である。この溶液を用いることで耐酸性の低い部分の選択溶解を抑制するのである。
【0022】
また第2の特徴的な点は、pHが3以上7以下のフッ素系溶液で処理する工程、およびその後にアルカリを含む洗浄剤で処理する工程を、少なくとも1回含む点である。これにより、基板表面の高い清浄度を得ると同時に、かつ耐酸性の低い部分の選択溶解を抑制することで基板の平滑性を保つことができる。
【0023】
すなわち、多成分で形成されるガラスでは、酸に弱い成分としてはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、アルミニウム酸化物等が相当し、酸に強い成分にはシリカ酸化物、チタニア酸化物、ジルコニア酸化物等が相当するが、pHが3以上7以下のフッ素系溶液を含む洗浄剤で処理すれば、酸に弱い成分の選択溶解を抑制し、アルカリを含む洗浄剤で洗浄する際の潜傷の発生を抑制することができる。
【0024】
フッ素系溶液は、フッ化水素酸溶液にpH調整剤を添加してpHを3以上7以下に調整したものが好ましい。フッ化水素酸溶液に添加して緩衝効果を出すという観点からは、このpH調整剤は、フッ化物で具体的には、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、ホウフッ化アンモニウム、または珪フッ化アンモニウムのうちから少なくとも1種選ばれるのが好ましい。
【0025】
前記フッ素系溶液としては、フッ化水素アンモニウム溶液および/または、珪フッ化水素酸溶液を用いるのが、ガラスのエッチングの点から好ましい。
【0026】
フッ素系溶液中にpH調整剤をある濃度以上加えると、溶液はpH7の実質上中性になるので、選択溶解を抑制させるためのフッ素系溶液pHとして好ましいpHは、3以上7以下である。フッ素系溶液のpHを3以上に限定するのは、pHが3未満であると実質上pH調整剤が機能せず、耐酸性の低い成分の選択溶解が容易に起こり、潜傷が発生しやすくなるためである。
【0027】
アルカリ性の洗剤は、通常はアルカリ成分、界面活性剤、およびキレート剤を主成分とする水溶液が用いられ、例えば市販されているアルカリ洗剤の中から選ぶことができる。
【0028】
アルカリ成分としては、例えばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(以下TMAHと表記する)、苛性ソーダ、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等があるが、いずれを用いる場合においても、より高いpHで使用するほど静電気的反発力が大きくなるので、良好な清浄度を得るためには潜傷が起こらない範囲でより高いpHにして使用するのが好ましい。
【0029】
アルカリ成分の中でもTMAHはアンモニウムイオンの水素部分をかさ高いメチル基で置換した構造をとっており、アルカリ成分がガラス基板にアタックする際の立体障害因子が大きく、基板に与えるダメージがより小さい。
【0030】
このことからTMAHを用いるとより高いpHで使用することができ、TMAH以外のアルカリ成分を使用する場合に比べてさらに良好な清浄度を得ることができる。したがって、アルカリ成分としてTMAHを用いることがさらに好ましい。
【0031】
界面活性剤は特に限定されないが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体のような非イオン界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのような第4級アンモニウム塩;硬化牛脂アミンのような高級アミンハロゲン酸塩;塩化ドデシルピリジニウムのようなハロゲン化アルキルピリジウム等の陽イオン界面活性剤、アルキル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムのようなアミノ酸塩等の両性界面活性剤が用いられる。
【0032】
キレート剤としては特に限定しないが、例えばジメチルグリオキシム、ジチゾン、オキシン、アセチルアセトン、グリシン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸等が用いられる。
【0033】
アルカリ性の洗剤の界面活性剤濃度やキレート剤濃度は特に限定しないが、例えば界面活性剤0wt%〜1wt%、キレート剤0wt%〜1wt%で用いられる。
【0034】
また、多成分系ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等があげられ、特に限定されないが、磁気ディスク用ガラス基板としては耐候性の面およびコストの面からはアルミノシリケ−ト系ガラスであることが好ましく、アルミノシリケートガラスの組成としてはモル分率で示して、
SiO 63〜70mol%
Al 6〜12.5mol%
LiO 5〜11mol%
NaO 6〜14mol%
O 0〜2mol%
TiO 0〜5mol%
ZrO 0〜2.5mol%
RO 2〜12mol%
ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaOで
MgO 0〜4.5mol%
CaO 2〜7.5mol%
SrO 0〜3mol%
BaO 0〜2mol%
であることが好ましい。
【0035】
また、ガラス基板表面層の改質については、化学強化によって基板表面に圧縮応力層が形成されている場合等も挙げられるが、特に限定はされない。
【0036】
(発明の実施の形態)
以下に、本発明について実例を挙げて詳細に説明する。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
基板組成がSiO 66.0mol%,Al 11.0mol%,LiO 8.0mol%,NaO 9.1mol%,MgO 2.4mol%,CaO 3.6mol%であり、50℃の温度下において0.1重量%フッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが113nm/minであるガラス基板をを、酸化セリウムを主成分とする研磨剤とスエードパッドを用いて研磨した後、純水のシャワーで洗って、基板表面に弱く付着した研磨剤を除去した。
【0038】
引き続き40℃に保持したpH7のフッ素系溶液(フッ化水素酸 0.01重量%、フッ化アンモニウム 4重量%)浴中に基板を2.5分間浸漬し、約48kHz、1W/cmの超音波を1分間照射した後、引き上げて純水浴中でリンスして薬液を除去した。
【0039】
次いで、40℃に保持した市販のpH11のアルカリ洗剤(pH11、株式会社ケミカルプロダクツ製 RB25)を純水で50倍に希釈した浴中に基板を2.5分間浸漬し、約48kHz、1W/cmの超音波を2.5分間照射した後、引き上げて純水浴中でリンスして薬液を除去した。
【0040】
その後、基板を純水浴に浸漬してリンスする操作を3回繰り返し、最後にイソプロピルアルコールの浴に基板を浸漬して約48kHzの超音波を2分間照射した後、イソプロピルアルコール蒸気中で1分間乾燥させ、実施例1の試料とした。
【0041】
(実施例2〜4)
前記アルカリを含む洗浄剤として、アルカリ成分として水酸化カリウムおよび、界面活性剤としてラウリルトリメチルアンモニウムクロライドを0.5重量%加えて40℃においてpHを11に調整した水溶液を用いた以外は、実施例1と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例2の試料とした。
【0042】
次に、前記アルカリを含む洗浄剤として、アルカリ成分として水酸化カリウムを、界面活性剤としてラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5重量%を、またキレ−ト剤としてEDTAを0.5重量%加えて40℃においてpHを11に調整した水溶液を用いた以外は、実施例1と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例3の試料とした。
【0043】
同様に、前記アルカリを含む洗浄剤として40℃においてpH13に調整したテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を用いた以外は前記実施例1と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例4の試料とした。
【0044】
(実施例5)
フッ素系溶液で処理する前に、あらかじめ40℃に保持した市販のpH11のアルカリ洗剤(pH11、株式会社ケミカルプロダクツ製 RB25)を純水で50倍に希釈した浴中に基板を2.5分間浸漬し、約48kHz、1W/cmの超音波を2.5分間照射する処理を施した以外は、前記実施例1と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例5の試料とした。
【0045】
前記フッ素系溶液として、pH4.2のフッ素系溶液(フッ化水素酸 0.01重量%、フッ化アンモニウム 0.15重量%)を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例6の試料とした。
【0046】
次に、前記フッ素系溶液として、pH3.7のフッ素系溶液(フッ化水素酸0.01重量%、フッ化アンモニウム 0.05重量%)を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例7の試料とした。
【0047】
次に、前記フッ素系溶液として、pH4.1のフッ素系溶液(フッ化水素酸0.015重量%、フッ化アンモニウム 0.15重量%)を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例8の試料とした。
【0048】
次に、前記フッ素系溶液として、pH4.2のフッ素系溶液(フッ化水素酸 0.005重量%、フッ化アンモニウム 0.10重量%)を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い実施例9の試料とした。
【0049】
(実施例10〜11)
基板組成がSiO 65.5mol%,Al 11.5mol%,LiO 8.0mol%,NaO 9.1mol%,MgO 2.4mol%,CaO 3.6mol%であり、50℃の温度下において0.1重量%フッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが160nm/minであるガラス基板を用いて、実施例4と同じ条件で処理を行い実施例10の試料とした。
【0050】
次に、基板組成がSiO 65.0mol%,Al 12.0mol%,LiO 8.0mol%,NaO 9.1mol%,MgO 2.4mol%,CaO 3.6mol%であり、50℃の温度下において0.1重量%フッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが200nm/minであるガラス基板を用いて、実施例4と同じ条件で処理を行い実施例11の試料とした。
【0051】
(実施例12〜13)
基板組成がSiO 66.0mol%,Al 9.7mol%,LiO 7.4mol%,NaO 9.6mol%,MgO 2.9mol%,CaO 4.3mol%,KO 0.2mol%であり、50℃の温度下において0.1重量%フッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが47nm/minであるガラス基板を用いて、実施例9と同じ条件で処理を行い実施例12の試料とした。
【0052】
次に基板組成がSiO 67.3mol%,Al 7.1mol%,LiO 6.2mol%,NaO 11.3mol%,MgO 2.4mol%,CaO 3.6mol%,KO 0.2mol%,SrO 2.0mol%であり、50℃の温度下において0.1重量%フッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが14nm/minであるガラス基板を用いて、実施例9と同じ条件で処理を行い実施例13の試料とした。
【0053】
(比較例1)
フッ素系溶液のpHを低くしたときの潜傷を実施例と比較するために、前記フッ素系溶液として、pH2.4のフッ素系溶液(フッ化水素酸 0.01重量%、フッ化アンモニウム 0.001重量%)を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い比較例1の試料とした。
【0054】
(比較例2)
pH調整剤を入れなかったフッ素系溶液を用いたときの潜傷を実施例と比較するために、前記フッ素系溶液として、0.01重量%のフッ化水素酸を用いた以外は前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い比較例2の試料とした。
【0055】
(比較例3)
フッ素系溶液での処理を施さなかったときの基板清浄度を実施例と比較するために、フッ素系溶液での処理を施さなかったこと以外は、前記実施例4と同じ組成の基板を、同じ条件で処理を行い比較例3の試料とした。
【0056】
上記方法で作製した実施例試料1〜13と比較例試料1〜3のエッチングレートと処理工程の関係を表1に、また実施例試料1〜13と比較例試料1〜3のガラス表面を、光学顕微鏡を用いて観察し、200倍の倍率で1視野内(1mm)に観察される高さ約0.2μm以上の異物の平均個数を数えた結果、潜傷の有無、および走査型プロ−ブ顕微鏡であるAFM(デジタルインスツルメンツ製NanoscopeIIIa)を用いて100μm×100μm視野中(0.01mm)に観察される高さ10nm以上の異物の平均個数を数えた結果を表2にまとめた。
【0057】
【表1】


【0058】
【表2】


【0059】
表1、2から明らかなように、実施例1〜4と比較例3を比較すると、アルカリ処理の前にフッ化水素酸とpH調整剤からなるフッ素系溶液による処理を施せば、1mmの観察エリア内での0.2μm以上の異物個数が3個以下(比較例3の1/20以下)に減少しており、0.01μmの観察エリア内での10nm以上の異物数も8個以下(比較例3の1/10以下)に減少しており、基板の清浄度は良好で、潜傷も発生していないことが分かる。また、アルカリ処理で用いるアルカリ溶液としては、アルカリ成分単独で用いた場合、界面活性剤を添加した場合、あるいはキレ−ト剤を添加した場合のいずれにおいても基板の清浄度は良好であるが、実施例4のようにpHがより大きいアルカリ溶液を用いた場合の方が基板の清浄度がさらに良くなることが分かる。
【0060】
また、実施例4、6、7、8、9と比較例1の比較から明らかなように、フッ素系溶液のpHが3よりも小さいと、フッ素系溶液処理後のアルカリ溶液処理で潜傷が発生するので、フッ素系溶液のpHは3よりも大きくすることが重要であることが分かる。
【0061】
また、実施例1と実施例5を比較すると、フッ素系溶液での処理を施す前にアルカリで処理すると、基板の清浄度がさらに良くなることが分かる。
【0062】
また、実施例4、10、11と比較例4の比較から明らかなように、耐酸性の指標である、50℃の温度下における0.1重量%のフッ化水素酸溶液によるエッチングレ−トが200nm/min以下の基板を用いると、潜傷の発生もなく良好な清浄度が得られることが分かる。
【0063】
(発明の効果)
以上から明らかなように、本発明によれば、アルミノシリケートガラス等の多成分系のガラス基板に対し、pH3以上のフッ素系溶液を用いた処理とアルカリ処理を組み合わせた処理を施すことで、潜傷がない良好な清浄度の基板を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区中落合2丁目7番5号
【出願日】 平成16年12月2日(2004.12.2)
【代理人】 【識別番号】100103676
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 康夫

【公開番号】 特開2005−144452(P2005−144452A)
【公開日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願番号】 特願2004−349357(P2004−349357)