トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般

【発明の名称】 触媒回収方法、及びアルキレンオキサイド付加物の製造方法
【発明者】 【氏名】三富 龍介
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内
【氏名】植村 慎午
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内
【氏名】松尾 隆雄
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内
【課題】繰り返し濾過した場合であっても濾過性と、固体触媒粒子の分離性に優れ、何回でも固体触媒粒子を回収できると共に、廃棄物の削減が可能な触媒回収方法、及び、該回収方法により回収した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて生成物の製造が可能なアルキレンオキサイド付加物の製造方法の提供。

【解決手段】2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法。
【請求項2】
活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液から該固体触媒粒子を回収する触媒回収方法であって、
該触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより前記固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法。
【請求項3】
逆洗浄が、逆洗浄液を、触媒分散液を通した方向とは逆方向から通すことにより行う請求項1から2のいずれかに記載の触媒回収方法。
【請求項4】
ワイヤースクリーンが、巻線状、網目状、格子状、及び平行線状から選択される少なくとも1種のスクリーンである請求項1から3のいずれかに記載の触媒回収方法。
【請求項5】
ワイヤースクリーンのスリット間隔が、触媒粒子における平均粒子径の20〜140%である請求項1から4のいずれかに記載の触媒回収方法。
【請求項6】
固体触媒粒子を繰り返し回収可能である請求項1から5のいずれかに記載の触媒回収方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させることを特徴とするアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒分散液から固体触媒粒子を繰り返し回収する方法、及び該回収した固体触媒粒子を少なくとも用いたアルキレンオキサイド付加物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールやエステル類等の有機化合物にアルキレンオキサイドを付加反応させたアルキレンオキサイド付加物は、溶剤や界面活性剤として幅広い用途に用いられている。近年特に開発が進められている、エチレンオキサイドの付加モル分布を狭くした、いわゆるナローレンジ分布のアルキレンオキサイド付加体(ナローレンジ付加体)の製造などには固体触媒粒子を用いることが多い。しかし、このようなアルキレンオキサイドの付加反応に使用された固体触媒粒子は、反応後に濾過などの方法により生成物と分離され、廃棄されているのが一般的であり、触媒費用や廃棄物の増大などの問題があることから固体触媒粒子の回収が望まれている。
【0003】
アルキレンオキサイド付加反応における固体触媒粒子の回収方法については、固体触媒粒子を濾過、遠心分離等により回収再利用する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、一般に固体触媒粒子は反応缶への仕込み時や、アルキレンオキサイド付加反応時において崩壊や、微粒子化が起こることが知られている。よって、この提案では、濾紙や濾布などを用いて濾過を行っても、これらの濾材に微粒子が吸着して目詰まりが生じ、濾過が困難になるという問題がある。また、濾過助剤を用いることにより、濾過性を改善することも考えられるが、大量の濾過助剤が必要になるばかりか、触媒に濾過助剤が混入するため、次の反応に再利用できないという問題がある。
【0004】
そこで、触媒の濾過回収性を改善する方法として、反応系内でのアルキレンオキサイドの気相部分圧を低減させて固体触媒粒子の崩壊を低減する方法(特許文献2参照)や、反応混合物に水/COを混入して、触媒粒子径を増大させ、濾過などにより分離・回収する方法(特許文献3参照)、更には、仕込み時における崩壊を防ぐために固体触媒粒子を原料液体に予め分散させて減圧で導入する方法(特許文献4参照)が提案されている。しかし、これらの提案では、いずれも微粒子化を完全に抑えることは困難であり、濾過性の改善は充分ではないという問題がある。また、固体触媒粒子は濾布などの繊維に吸着して除去が困難になるため、繰り返し使用した場合、固体触媒粒子の濾過性や排出性は更に悪くなるという問題がある。
【0005】
一方、濾紙や濾布などを使用しない固体触媒粒子の回収方法として、反応器内に濾材としてワイヤースクリーンを設置して固体触媒粒子を分離する方法が提案されている(特許文献5参照)。しかし、この提案では、反応工程と濾過工程とを同一の反応器内で行うため、製造時間が長くなるという問題がある。また、製造品種又は固体触媒粒子の切替時に前記反応器内の洗浄の効率が低下し、更には回収した固体触媒粒子や濾材の管理が煩雑になる等の問題がある。
【0006】
従って、従来の技術においては、前記問題があることから、現状では、固体触媒粒子を用いたアルキレンオキサイド付加体等の工業的な製造においては、固体触媒粒子が1回限りで使い捨てにされており、原料費の増大と共に廃棄物処理という環境上の問題がある。
【0007】
よって、固体触媒粒子を繰り返し回収した場合であっても、濾過性と触媒分離性に優れ、効率的に固体触媒粒子を回収できる方法、及び、回収した固体触媒粒子を再利用して低コストで効率的に生成物を製造する方法は未だ提供されておらず、これらの開発が切に望まれているのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開平9−227451号公報
【特許文献2】特開2002−201151号公報
【特許文献3】特開2000−354771号公報
【特許文献4】特開2003−138008号公報
【特許文献5】特開2002−47245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、繰り返し濾過した場合であっても濾過性と、固体触媒粒子の分離性に優れ、低コストで効率的に何回でも固体触媒粒子を回収できると共に、回収した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を次の反応にそのまま使用でき、しかも廃棄物の削減が可能な触媒回収方法、及び、該回収方法により回収した固体触媒粒子を用いて、低コストで効率よく生成物の製造が可能なアルキレンオキサイド付加物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、アルキレンオキサイドの付加反応に用いた使用済みの触媒分散液を、ワイヤースクリーンを濾材とする逆洗浄型濾過器を使用し、かつ付加反応に用いた原料液体を少なくとも含む逆洗浄液で逆洗浄することにより、繰り返し濾過した場合であっても濾過性と、固体触媒粒子の分離性に優れ、回収した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を次の反応にそのまま使用でき、しかも廃棄物の削減が可能であるという知見である。
【0011】
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 2種以上の反応原料を固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより該固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
<2> 活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物と、該固体触媒粒子とを含む触媒分散液から該固体触媒粒子を回収する触媒回収方法であって、
該触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより前記固体触媒粒子を分離させる分離工程と、前記反応原料から選択される少なくとも1種を含む逆洗浄液を該ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離させた固体触媒粒子を含む前記逆洗浄液を回収する逆洗浄回収工程とを含むことを特徴とする触媒回収方法である。
<3> 逆洗浄が、逆洗浄液を、触媒分散液を通した方向とは逆方向から通すことにより行う前記<1>から<2>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<4> ワイヤースクリーンが、巻線状、網目状、格子状、及び平行線状から選択される少なくとも1種のスクリーンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<5> ワイヤースクリーンのスリット間隔が、触媒粒子における平均粒子径の20〜140%である前記<1>から<4>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<6> 固体触媒粒子を繰り返し回収可能である前記<1>から<5>のいずれかに記載の触媒回収方法である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させることを特徴とするアルキレンオキサイド付加物の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、繰り返し濾過した場合であっても濾過性と、固体触媒粒子の分離性に優れ、低コストで効率的に何回でも固体触媒粒子を回収できると共に、回収した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を次の反応にそのまま使用でき、しかも廃棄物の削減が可能な触媒回収方法、及び、該回収方法により回収した固体触媒粒子を用いて、低コストで効率よく生成物の製造が可能なアルキレンオキサイド付加物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(触媒回収方法)
本発明の触媒回収方法は、分離工程と、逆洗浄回収工程とを含み、適宜選択したその他の工程を含む。
【0014】
−分離工程−
前記分離工程は、触媒分散液をワイヤースクリーンに通すことにより固体触媒粒子を分離させる工程である。
【0015】
−−触媒分散液−−
本発明の触媒分散液としては、固体触媒粒子と、2種以上の反応原料を該固体触媒粒子の存在下で反応させてなる生成物とを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類の少なくともいずれかの反応原料に、固体触媒粒子の存在下でアルキレンオキサイドを付加して得られるアルキレンオキサイド付加物を含む触媒分散液が好適に挙げられる。
【0016】
前記固体触媒粒子としては、例えば、少なくとも金属酸化物を含む固体触媒粒子が好ましく、複合金属酸化物がより好ましい。
前記複合金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、アルキレンオキサイド付加物の合成の場合には、少なくとも酸化マグネシウムを含む複合金属酸化物が好適に挙げられ、具体的には、金属イオン添加酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、天然又は合成のハイドロタルク石を焼成して得られる焼成ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記触媒分散液は、前記触媒以外にも、2種以上の反応原料を該固体触媒粒子により反応させた生成物などを含有していていることが好ましい。
【0018】
−−ワイヤースクリーン−−
前記ワイヤースクリーンとしては、線材(ワイヤー)からなるものである限り特に制限はなく、例えば、巻線状、網目状、格子状、平行線状等のスクリーンが挙げられ、これらの中でも巻線状のスクリーンが好ましい。
前記ワイヤースクリーンの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状、円筒状、多角柱状等が好適に挙げられ、これらの中でも円筒状、多角柱状が特に好適に挙げられる。
前記線材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、金属ワイヤーが好ましく、耐久性や腐食性に優れる点でステンレス鋼のワイヤーがより好ましい。
前記線材の断面形状としては、特に制限はなく、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、台形等が挙げられ、これらの中でも、円形、楕円形、三角形、台形が好ましい。
前記三角形及び台形の場合には、幅の広い底辺側を固液分離の入口側に配置すると、液の流れ方向に対して流路が広がる方向になるので好ましい。逆に、幅の狭い側を固液分離の入口側に向けると、隣の線材との隙間が、液の流れ方向に対し流路が狭くなる方向になるので、固体触媒粒子が詰まりやすく好ましくない。
【0019】
前記ワイヤースクリーンのスリット間隔としては、特に制限はなく、固体触媒粒子の大きさ等により適宜選択することができるが、例えば、該固体触媒粒子の平均粒子径の20〜140%が好ましく、40〜120%がより好ましく、60〜100%が特に好ましい。
前記スリット間隔が、20%以下になると目詰まりが起こり易くなり、濾過性が悪化することがあり、140%を越えると、固体触媒粒子の濾過洩れが発生し易くなることがある。
【0020】
前記ワイヤースクリーンとしては、単独で使用してもよく、濾過器に組み込んで使用してもよいが、濾過器に組み込んで使用することが好ましい。
【0021】
−逆洗浄回収工程−
前記逆洗浄回収工程は、逆洗浄液を前記ワイヤースクリーンに通して逆洗浄することにより、前記分離した固体触媒粒子を含む逆洗浄液を回収する工程である。
【0022】
前記逆洗浄としては、前記逆洗浄液を前記ワイヤースクリーンに通して行う限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ワイヤースクリーンを有する逆洗浄型濾過器を用いて行うことが好ましい。
【0023】
前記逆洗浄型濾過器としては、特に制限はなく、公知の逆洗浄型濾過器であってもよく、市販品であってもよいが、例えば、MSフィルター(東京特殊電線社製)を用いた逆洗浄型濾過器等が挙げられる。
【0024】
前記逆洗浄液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、流体等が挙げられる。
前記流体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、空気、窒素ガスなどの気体、液体、気体と液体の混合流体などが挙げられ、これらの中でも、前記混合流体、逆洗浄液が好適に挙げられる。これらは、前記固体触媒粒子を回収した逆洗浄液をそのまま次の反応に再利用することができる点で、次の反応に使用する反応原料から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
具体的には、アルキレンオキサイド付加物の合成における逆洗浄液の場合には、前記逆洗浄液は、その反応原料であるアルキレンオキサイド、活性水素を有する有機化合物、及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の触媒回収方法においてこのような逆洗浄液を用いる場合には、低コストで効率的に何回でも固体触媒粒子を回収できると共に、回収した固体触媒粒子(固体触媒粒子を回収した逆洗浄液)を次の反応にそのまま使用でき、しかも廃棄物の削減をすることができる点で有利である。
【0025】
前記活性水素を有する有機化合物及び脂肪酸アルキルエステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常アルキレンオキサイド付加に用いる公知の原料等が挙げられ、具体的には、アルコール類、脂肪酸類、アミン類、アミド類、エステル類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記アルコール類としては、例えば、炭素数6〜22の脂肪族アルコール、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖合成アルコール、ラウリルアルコール、ノニルフェノール、トリベンジルフェノール、スチレン化フェノール、パラオクチルフェノール等のフェノール類、モノグリセライド、ジグリセライド、グリセリン、エチレングリコール等が挙げられる。
【0027】
前記脂肪酸類としては、例えば、炭素数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸等が挙げられる。
【0028】
前記アミン類としては、例えば、ココナッツアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン等の1級アミン;ジステアリルアミン等の2級アミン;ジメチルココナッツアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、及び、トリオクチルアミン等の3級アミン等が挙げられる。
【0029】
前記アミド類としては、例えば、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
【0030】
前記エステル類としては、例えば、低級アルコール、脂肪族アルコール、フェノール等の1価アルコールの脂肪酸エステル;エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0031】
前記脂肪酸アルキルエステル類としては、例えば、一般式RCOORで表される化合物等が挙げられる。但し、R1は、炭素数3〜40、好ましくは、6〜22のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30、好ましくは1〜4のアルキル基を表す。
【0032】
前記アルキレンオキサイドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の低級アルキレンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記アルキレンオキサイド付加反応における諸条件(温度、圧力)としては、該付加反応が円滑に進行し、生成されるアルキレンオキサイド付加体の品質が劣化しない範囲であれば、特に制限はなく、通常実施される公知の条件などが挙げられる。
前記付加反応における温度としては、特に制限はなく、例えば、80〜230℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、150〜190℃が特に好ましい。
前記温度が、80℃を未満であると、触媒活性が低くなり好ましくないことがあり、230℃を超えると、原料や生成物の分解が起こることがある。
前記付加反応における圧力としては、特に制限はなく、反応温度や用いる固体触媒粒子の活性、及び措置設計等の面から通常実施される公知の条件などが挙げられ、具体的には、0.1〜2.0MPaが好ましく、0.2〜1.5MPaがより好ましい。
【0034】
前記逆洗浄の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記触媒分散液を通した方向とは逆方向から前記逆洗浄液を通すことにより行うことが好ましい。具体的には、前記触媒分散液を前記逆洗浄型濾過器内に設置した前記ワイヤースクリーンに通すことにより固体触媒粒子を分離させた後、前記逆洗浄液を前記触媒分散液の流れ方向とは逆方向から該ワイヤースクリーンを通すことにより、前記分離した固体触媒粒子を前記逆洗浄液と共に回収することができる。
【0035】
(アルキレンオキサイド付加物の製造方法)
本発明のアルキレンオキサイドの製造方法は、本発明の前記触媒回収方法により回収された固体触媒粒子を含む逆洗浄液を用いて、アルキレンオキサイドと、活性水素を有する有機化合物及び脂肪族アルキルエステル類から選択される少なくとも1種とを反応させる。
前記アルキレンオキサイド、前記活性水素を有する有機化合物、及び脂肪族アルキルエステル類、更には前記アルキレンオキサイドの付加反応における反応原料、固体触媒粒子、反応条件などについては上述した通りである。
【0036】
本発明の前記アルキレンオキサイドの製造方法においては、前記回収した固体触媒粒子を1種単独で使用してもよく、他の触媒と併用して使用してもよい。
【0037】
前記逆洗浄液に該反応原料を含有させる場合には、回収した固体触媒粒子を含む該逆洗浄液をそのまま本発明の前記製造方法に用いることができるため、低コストで効率よくアルキレンオキサイドの製造が可能である点で有利である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
−固体触媒粒子の調製−
硝酸マグネシウム6水和物 68.03g、硝酸アルミニウム9水和物 47.69g、及び硝酸マンガン6水和物 24.33gを脱イオン水450gに溶解させた溶液と、炭酸ナトリウム 13.47gを脱イオン水450gに溶解させた溶液とを、予め脱イオン水 1800gを仕込んだ触媒調製槽に、2NのNaOHによりpHを9、温度を40℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間熟成させた。
これを濾過した後、脱イオン水で洗浄し、噴霧乾燥して30gの複合水酸化物を得た。この複合水酸化物を、窒素雰囲気下800℃で3時間焼成して、Mg/Al/Mnの複合酸化物の固体触媒粒子を調製した。なお、触媒平均粒子径は50μmであった。
【0040】
−アルキレンオキサイド付加物の製造−
ラウリルアルコール 930gと、前記調製した固体触媒粒子 0.93g(0.1質量%対原料)を圧力反応器中に仕込んだ。その後、圧力反応器内の気相部分を窒素で置換し、圧力反応器内を減圧、昇温することにより、ラウリルアルコール(原料)の脱水を行った。次に、エチレンオキサイド 440gを前記圧力反応器内に投入し、温度180℃、圧力0.5MPaの条件下で付加反応を行った。所定量のエチレンオキサイドを導入後、同温度で30分熟成し、80℃まで冷却し、生成物スラリーを反応液から抜き出した。
【0041】
−分離工程−
前記ワイヤースクリーンとしての巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(スリット間隔30μm)を濾材とする逆洗浄型のキャンドル型フィルターの濾過器(東京特殊電線社製、MSフィルター)を用いて、前記生成物スラリーを抜き出した触媒分散液を80℃、濾過圧力0.05MPaの定圧条件下で前記巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(ワイヤースクリーン)を通すことにより濾過を行った。この結果、前記触媒分散液中に含まれる固体触媒粒子を効率よく分離することができた。
【0042】
−逆洗浄回収工程−
逆洗浄は、0.29MPaの窒素圧下で、前記逆洗浄液としてのラウリルアルコール100gを前記触媒分散液の流方向とは逆方向に前記巻線状のワイヤースクリーン式エレメントに通して行った。同一の操作を再度繰り返し、前記分離させた固体触媒粒子を回収した回収触媒分散液を得た。
得られた回収触媒分散液について、触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性についての評価を以下のようにして行った。結果を表1に示した。
【0043】
<触媒分離性>
濾過による触媒分離性は、固体触媒粒子の回収率を計算し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
回収率97〜100% ◎
回収率90〜96% ○
回収率70〜89% △
回収率0〜69% ×
【0044】
<触媒排出性>
触媒排出性は、前記ワイヤースクリーンからの固体触媒粒子の剥離し易さを目視で確認し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
剥離しやすい ○
やや剥離しやすい △
剥離しにくい ×
【0045】
<濾過性>
前記回収触媒分散液に、前記調製したMg/Al/Mnの複合酸化物触媒を新たに加え、触媒濃度を0.1質量%対原料に調整し、再度アルキレンオキサイド付加物の製造、固体触媒粒子の濾過・分離、及び逆洗浄を行った。更に、前記濾過・分離と逆洗浄との一連の操作を計10回繰り返し、10回目の濾過性を以下のようにして評価した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
【0046】
<濾過性>
前記濾過性は、濾過速度を観察し、以下の評価基準により評価した。
−評価基準−
濾過性良好 ○
濾過性やや劣る △
濾過性悪い ×
【0047】
(実施例2)
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を50μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
【0048】
(実施例3)
実施例1において、触媒濃度を0.2質量%対原料に変えたこと、及び、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を50μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を10μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
【0050】
(実施例5)
実施例1において、ワイヤースクリーン式エレメントのスリット間隔を70μmに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
なお、繰り返し製造したアルキレンオキサイド付加物は、固体触媒粒子を再利用して製造しているため、低コストで効率よく製造することができ、更には廃棄物を低減することができた。
【0051】
(比較例1)
実施例1において、前記ワイヤースクリーンとして巻線状のワイヤースクリーン式エレメント(スリット間隔30μm)を濾材とする逆洗浄型のキャンドル型フィルターの濾過器を、濾布(25cc/cm/sec通気度、ポリプロピレン製)を濾材とする逆洗浄型キャンドル型フィルター(ミクロセップ2)に代えたこと、及び、濾過圧力を0.15MPa、逆洗浄の窒素圧を0.29MPaに変えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0052】
(比較例2)
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを、掻き取り式スクリーンフィルター(ハイパーフィルター)に代えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0053】
(比較例3)
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを、バッグフィルターに代えた以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0054】
(比較例4)
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、液体サイクロンを用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0055】
(比較例5)
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、高濃縮タイプ液体サイクロン(ラコスセパレーター)を用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0056】
(比較例6)
実施例1において、逆洗浄型のキャンドル型フィルターを用いた濾過に代えて、スクリューデカンターを用いた遠心分離による固体触媒粒子の分離を行った以外は実施例1と同様にして触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性の評価を行った。結果を表1に示した。
【0057】
【表1】


表1の結果から、ワイヤースクリーンを用いた実施例1から5の触媒回収方法では、比較例1から6の触媒回収方法と比較して、触媒分離性、触媒排出性、及び濾過性のすべてにおいて優れ、繰り返し効率よく固体触媒粒子を回収することができるころが判った。また、比較例1から6の触媒回収方法では、繰り返し効率よく固体触媒粒子を回収することができなかったため、アルキレンオキサイド付加物を低コストで効率よく製造することができず、廃棄物も増大することが判った。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の触媒回収方法は、繰り返し濾過した場合であっても濾過性と、固体触媒粒子の分離性に優れ、低コストで何回でも固体触媒粒子を回収できるため、該固体触媒粒子を利用した各種反応分野において広く利用することができる。また、本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法は、本発明の回収方法により回収した固体触媒粒子を少なくとも用いるため、各種分野の化学合成による製造に広く利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号
【出願日】 平成15年12月25日(2003.12.25)
【代理人】 【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一

【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広

【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子

【公開番号】 特開2005−185963(P2005−185963A)
【公開日】 平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願番号】 特願2003−430822(P2003−430822)