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【発明の名称】 アルカンをアルケン、およびそれらの対応する酸素化生成物に転化するための触媒系
【発明者】 【氏名】アブラハム・ベンダーリー

【氏名】ニチン・チャッダ

【氏名】アン・メイ・ガフニー

【氏名】スコット・ハン

【氏名】ドミニク・ハング・ニュ・リー

【氏名】マーク・アンソニー・シルバーノ

【要約】 【課題】アルカンを選択的部分酸化/脱水素して、オレフィン、不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸のエステルなどの生成物を得ることは、克服すべき多数の課題を有する重要な工業的問題である。

【解決手段】アルケン、不飽和飽和カルボン酸、飽和カルボン酸、およびそれらのより高級な類似体は、混合床触媒を使用して火炎温度において短接触時間反応器中で対応するアルカンから直接調製される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない触媒系であって、前記触媒が金属酸化物担体上に含浸される前記触媒系。
【請求項2】
プロパン、ブタン、およびイソブタンから選択されるアルカンと、空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が触媒(a)および(b)を含む触媒系と接触することによって、プロピレン、ブチレン、およびイソブチレンから選択される対応するアルケンに転化する請求項1記載の触媒系。
【請求項3】
プロパンおよびブタンから選択されるアルカンと、空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が触媒(a)、(b)、および(c)を含む触媒系と接触することによって、アルケン、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、およびそれらの組み合わせから選択される対応するCおよびC生成物に転化する請求項1記載の触媒系。
【請求項4】
混合触媒床であって、
(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない、
第1の触媒層であって、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される、前記第1の触媒層と、
(b)Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む第2の触媒層であって、第2の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸され、かつ前記第1の触媒層の下流に配置される、前記第2の触媒層と
を含む混合触媒床。
【請求項5】
プロパンおよびブタンから選択されるアルカンと、空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が前記混合触媒床と接触することによって、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される対応するエチレン系不飽和カルボン酸に転化する請求項4記載の混合触媒床。
【請求項6】
混合触媒床であって、
(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない、
第1の触媒層であって、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される前記第1の触媒層と、
(b)V、Nb、Ta、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む第2の触媒層であって、第2の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸され、前記第1の触媒層の下流に配置される、前記第2の触媒層と
を含む混合触媒床。
【請求項7】
アルカン(n=3,4)と空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が前記混合触媒床と接触することと、前記触媒層の間でホルムアルデヒドをステージングすることによって、対応するより高級な類似体(C+C)のエチレン系不飽和酸(n=4,5)に転化する請求項6記載の混合触媒床。
【請求項8】
プロパンと空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が前記混合触媒床と接触することと、前記触媒層の間でホルムアルデヒドをステージングすることによって、メタクリル酸に転化する請求項7記載の混合触媒床。
【請求項9】
アルカンと空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が前記混合触媒床と接触することと、前記触媒層の間でホルムアルデヒドおよびアルコールをステージングすることによって、そのより高級な類似体のエチレン系不飽和酸のエステルに転化する請求項6記載の混合触媒床。
【請求項10】
プロパンと空気との気相混合物が、火炎温度において短い接触時間で前記混合物が前記混合触媒床と接触することと、前記触媒層の間でホルムアルデヒドおよびメタノールをステージングすることによって、メタクリル酸メチルに転化する請求項9記載の混合触媒床。
【請求項11】
触媒を調製する方法であって、
Mo、Te、V、Ta、およびNbからなる群より選択される金属の塩を、最高融点の塩の融点よりも高い温度で混合して、混和性溶融塩を得るステップと、
前記塩の混合物を酸素の存在下で焼成して、混合金属酸化物触媒を得るステップであって、任意に溶媒として金属ハロゲン化物塩または金属オキシハロゲン化物塩を使用するステップとを含む前記方法。
【請求項12】
アルケンを対応するアルカンから調製する方法であって、
気体アルカン、および分子酸素を短接触時間反応器に通すステップを含み、
前記反応器は、触媒系であって
(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含む触媒系を含み、
前記触媒系は前記気体アルカンをその対応する気体アルケンに転化する場合に累積的に効果的であり、
前記反応器は、700℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項13】
不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
気体アルカン、および分子酸素を短接触時間反応器に通すステップを含み、
前記反応器は、混合触媒床であって、
(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、およびそれらの合金の形態の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(ii)金属のCd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ta、および混合金属酸化物の形態のそれらの組み合わせを含む金属酸化物の少なくとも1種類と、
(iii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物改質剤の少なくとも1種類とを含み、
(i)、(ii)、および(iii)の組み合わせは金属酸化物担体上に含浸される、第1の触媒層と、
(b)Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含む第2の触媒層と
を含む混合触媒床を含み、
前記混合床触媒は、前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であり、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項14】
不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
(a)アルカンと分子酸素とを含む気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒系を含む第1の触媒帯域を含む短接触時間反応器に通すステップであって、前記触媒系は、
(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない触媒系であって、
前記触媒は前記気体アルカンを、対応する気体不飽和カルボン酸および飽和カルボン酸を含む気体流に転化する前記ステップと、
(b)前記気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒を含む第2の触媒帯域に通すステップであって、前記触媒はMo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含み、
前記触媒帯域は、前記気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的である前記ステップとを含み、
前記第1の触媒帯域は、前記反応器を通過する前記気体流の流れる方向に対して、前記第2の触媒帯域の上流にあり、前記第1の触媒帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の触媒帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記アルカンの前記気体流は、前記反応器を1回通過するか、あるいは、不飽和カルボン酸の全体の収率を増加させるために、未反応アルカンは、前記反応器に入る前記アルカンの気体流中に再循環され、さらに、飽和カルボン酸は前記第2の触媒帯域中に再循環される方法。
【請求項15】
アルカンをそれらの対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、該方法は気体アルカンと、分子酸素と、気体アルコールとを、短接触時間反応器に通すステップを含み、
前記反応器は、混合触媒床であって、
(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない第1の触媒層であって、
第1の触媒層は前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化させる場合に累積的に効果的であり、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される、前記第1の触媒層と、
(b)前記気体不飽和カルボン酸をその対応する気体エステルに転化させる場合に累積的に効果的である1種類以上の触媒を含む第2の触媒層と
を含む混合触媒床を含み、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項16】
Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含む追加の触媒層が、前記第1および第2の層の間にあり、前記追加の触媒層は、前記気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的である請求項15記載の方法。
【請求項17】
アルカンをその対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルコールを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルコールを使用して、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して、エチレン系不飽和アルコールを、その対応するエチレン系不飽和カルボン酸のエステルに転化するために効果的な第2の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項18】
より高級な不飽和カルボン酸を生成する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸のより高級な類似体に転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記飽和カルボン酸を、前記アルデヒドの存在下で、前記アルデヒドを使用してその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項19】
アルカンをその対応する不飽和カルボン酸にする方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む気体流を反応器に通すステップと、
第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸に転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応するアルケンに転化するために効果的な第1の触媒と、前記アルケンをその対応する飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、前記飽和カルボン酸をその対応する不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、
第2の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項20】
アルカンを対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルデヒドを使用して前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸に酸化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応するアルケンに転化するために効果的な第1の触媒と、前記アルケンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、アルデヒドの存在下で前記アルデヒドを使用して前記飽和カルボン酸をその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、
第2の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項21】
アルカンを、対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
ホルムアルデヒドなどのアルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップと、
アルコールを含む第3の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルデヒドおよび前記アルコールを使用して、前記アルカンをその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含有し、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記アルデヒドの存在下で前記飽和カルボン酸をその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して、前記より高級な類似体の不飽和カルボン酸を、より高級な類似体のその対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化するのに効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒系は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、前記第3の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法。
【請求項22】
アルカンを、不飽和カルボン酸、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルから選択されるその対応する生成物に転化するための方法であって、前記アルカンの所望の生成物への転化を改善する累積効果を有する温度勾配を生じさせるステップを含む方法。
【請求項23】
アルカンを、不飽和カルボン酸、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルから選択されるその対応する生成物に転化するための方法であって、前記アルカンの所望の生成物への転化を改善する累積効果を有する1種類以上の触媒系をさらに含む触媒カスケードを提供するステップを含む方法。
【請求項24】
前記触媒カスケードが、
(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、
(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、
これらと共に(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む金属酸化物の少なくとも1種類を含むか、または含まない触媒系であり、
前記触媒は金属酸化物担体上に含浸される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記触媒カスケードが、ゼオライトに担持されたTiO/(SO、(SO/ZrO−TiO、(SO/ZrO−Dy、(SO/TiO、(SO/ZrO−NiO、SO/ZrO、SO/ZrOAl、(SO/Fe、(SO/ZrO、CSOH−SbF、CFSOH−SbF、Pt/硫酸化酸化ジルコニウム、HSOF−SOClF、SbF−HSOF−SOClF、MF/AlF(M=Ta、Nb、Sb)、B(OSOCF、B(OSOCF−CFSOH、SbF−SiO−Al、SbF−TiO−SiO、およびSbF−TiOからなる群より選択される1種類以上の超酸を含むエステル化触媒を含む請求項24記載の方法。
【請求項26】
(a)請求項1記載の触媒系を使用して短接触時間反応器中で、アルカンを、アルケン、不飽和カルボン酸、およびより高級な類似体の不飽和カルボン酸から選択されるその対応する生成物に転化するステップと、(b)結果として得られた1種類以上の生成物を第2の固定床酸化反応器の前端に加えるステップとを含む方法であって、前記第1の反応器からの前記生成物は前記第2の反応器への供給材料として作用する方法。
【請求項27】
前記第1の反応器からの未反応アルカンが、前記第1の反応器に再循環されるか、または前記第2の反応器への供給材料として使用される請求項26記載の方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカンの酸化/脱水素触媒と、火炎温度においてアルカンおよび酸素を脱水素生成物および/または酸素化生成物に転化する方法とに関する。より詳細には、本発明は、特定のアルカンを、それらの対応するアルケン、および酸素化物、たとえば不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、およびそれらのより高級な類似体に、短接触時間反応器中で火炎温度において転化するための触媒系と、それらの触媒系の製造方法と、それらの触媒系を使用するアルカンの気相触媒酸化方法とに関する。また、本発明は、飽和カルボン酸を、それらの対応する不飽和カルボン酸、およびより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化するための触媒系と、飽和カルボン酸の気相接触酸化方法とにも関する。また、本発明は、本発明の触媒系を使用して不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、およびそれらのそれぞれのより高級な類似体を調製するための、アルケン、酸素、ホルムアルデヒド、およびアルコールなどの別の供給原料の段階反応を含むアルカンの気相酸化方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和カルボン酸およびそれらの対応するエステルへのアルケンの選択的部分酸化、は重要な工業的方法である。しかし、アルカンを選択的部分酸化/脱水素して、オレフィン、不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸のエステルなどの生成物を得ることは、克服すべき多数の課題を有する重要な工業的問題である。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,705,684号明細書
【特許文献2】特開平06−199731号公報
【特許文献3】米国特許第3,825,600号明細書
【特許文献4】米国特許第3,649,930号明細書
【特許文献5】米国特許第4,339,355号明細書
【特許文献6】特開平09−020700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、複数の異なる種類の金属酸化物触媒を複数段階で使用するプロパンからアクロレインおよびアクリル酸を調製する方法が記載されている。第1の段階では、プロパンはMo−Bi−Fe酸化物触媒を使用して脱水素されてプロピレンになり、これが第2の段階においてMo−V酸化物触媒を含有する酸化反応器への供給材料として使用され、酸素と接触させることによって、アクロレインとアクリル酸の混合物が生成される。しかし、この吸熱反応の方法は、第1の段階における水素の除去に費用がかかり、工業的規模ではこの方法は避けられている。さらに、火炎温度において、記載のMo−Bi−Fe酸化物触媒は熱的に不安定である。本発明者らは、短接触時間反応器中で火炎温度において新規な触媒系を使用して、特定のアルカンを、それらの対応するアルケン、および酸素化生成物、たとえば不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸のエステルに転化するための独特で効率的で工業的に実現可能な解決方法を発見した。さらに、短接触時間反応器中で火炎温度において、飽和カルボン酸を、それらの対応する不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸のより高次の類似体のエステルに転化する触媒を発見した。一方法においては、このような触媒を使用してアルカンの脱水素から生成されるアルケンは、製造過程の化学中間体として意図的に生成され、選択的部分酸化によって酸素化生成物を得る前に単離されない。この方法は費用のかかる水素除去ステップを必要とせず、アルケン供給材料およびアルカン供給材料の間の価格差の利点が得られて好都合である。さらに、触媒系を含む短接触時間反応器は、不飽和カルボン酸およびそれらの対応するエステルの生成のための従来の反応器の代わりに使用することができ、1台以上の反応器が不要になることで製造コストが大いに削減される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、火炎温度において短い接触時間でアルカンを、それらの対応するアルケン、飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸に転化するための触媒系において、(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある触媒系であって、前記触媒が金属酸化物担体上に含浸される触媒系を提供する。
【0006】
別の実施形態によると、本発明の触媒系は、短い接触時間で飽和カルボン酸をそれらの対応する不飽和カルボン酸に転化するための別の触媒であって、Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む触媒を含む。
【0007】
本発明は、火炎温度において短い接触時間でアルカンを、それらの対応するアルケン、飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸に転化するための混合触媒床であって、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む第2の触媒層であって、第2の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸され、対応するアルカンから得られる不飽和カルボン酸の全体の収率を増加させるために前記第1の触媒層の下流に配置される第2の触媒層とを含む混合触媒床を提供する。
【0008】
別の実施形態によると、本発明の触媒床は、短い接触時間で飽和カルボン酸を、それらの対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸のエステルに転化するための別の触媒層であって、V、Nb、Ta、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む触媒層を含む。
【0009】
本発明は、短い接触時間でアルカンを、それらの対応する不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、およびそれらのそれぞれのより高級な類似体に転化するための混合触媒床であって、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の触媒層は前記アルカンをその対応する飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸に転化させるために累積的に効果的であり、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)前記飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸を、アルデヒドの存在下でその対応する飽和したより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化し、アルコールの存在下でその対応する飽和カルボン酸のエステルに転化し、またホルムアルデヒドとアルコールとの両方の存在下でその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的である第2の触媒層とを含む混合触媒床を提供する。
【0010】
一実施形態によると、第2の触媒層は、1種類以上の超酸を含み、かつ自己担持型であるかまたは任意に金属酸化物担体上に含浸されるかであり、対応する不飽和カルボン酸のエステル、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルの全体の収率を増加させるために第2の触媒層の下流に配置される。
【0011】
一実施形態によると、本発明の触媒系を使用して不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、およびそれらのそれぞれのより高級な類似体を調製するための、アルケン、酸素、ホルムアルデヒド、およびアルコールなどの別の供給原料が混入される(ステージングとも呼ばれる)。2つの触媒層の間のステージングホルムアルデヒドによって、対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸(C+C)が生成する。たとえば、ホルムアルデヒドの存在下で、第1の触媒はプロパン(Cアルカン)をプロピオン酸(C飽和カルボン酸)に転化し、第2の触媒はプロピオン酸はより高級な類似体のメタクリル酸(C不飽和カルボン酸)に転化する。
【0012】
別の実施形態によると、2つの触媒床の間でホルムアルデヒドをステージングし、アルコールをステージングすることにより、対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルが生成される。たとえば、ホルムアルデヒドおよびメタノールの存在下で、第1の触媒はプロパン(C)をプロピオン酸(C)に転化し、第2の触媒はプロピオン酸(C)をメタクリル酸メチル(C)に転化する。
【0013】
本発明は、火炎温度において短い接触時間でアルカンを、それらの対応するアルケン、飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸、およびそれらの組み合わせに転化する触媒を調製する方法であって、
Mo、Te、V、Ta、およびNbからなる群より選択される金属の塩を、最高融点の塩の融点よりも高い温度で混合して、混和性溶融塩を得るステップと、
前記塩の混合物を酸素の存在下で焼成して、混合金属酸化物触媒を得るステップであって、任意に溶媒として金属ハロゲン化物塩または金属オキシハロゲン化物塩を使用するステップとを含む方法を提供する。
【0014】
本発明は、アルケンを対応するアルカンから調製する方法であって、
気体アルカン、および分子酸素を短接触時間反応器に通すステップを含み、前記反応器は、(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含む触媒系を含み、前記触媒系は前記気体アルカンをその対応する気体アルケンに転化する場合に累積的に効果的であり、
前記反応器は、700℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法を提供する。
【0015】
本発明は、不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
気体アルカン、および分子酸素を短接触時間反応器に通すステップを含み、前記反応器は、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む第2の触媒層とを含む混合触媒床を含み、前記混合床触媒は、前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であり、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法を提供する。
【0016】
別の実施形態として、本発明は、不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒系を含む第1の触媒帯域を含む短接触時間反応器に通すステップであって、前記触媒系は、(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もあり、前記触媒は前記気体アルカンを、対応する気体不飽和カルボン酸および飽和カルボン酸を含む気体流に転化するステップと、
前記気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒を含む第2の触媒帯域に通すステップであって、前記触媒はMo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含み、前記触媒帯域は、前記気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であるステップとを含み、
前記第1の触媒帯域は、前記反応器を通過する前記気体流の流れる方向に対して、前記第2の触媒帯域の上流にあり、
前記第1の触媒帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の触媒帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記アルカンの前記気体流は、前記反応器を1回通過するか、あるいは、不飽和カルボン酸の全体の収率を増加させるために、未反応アルカンは、前記反応器に入る前記アルカンの気体流中に再循環され、さらに飽和カルボン酸は前記第2の触媒帯域中に再循環されるかである方法を提供する。
【0017】
本発明は、アルカンをそれらの対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
気体アルカンと、分子酸素と、気体アルコールとを、短接触時間反応器に通すステップを含み、前記反応器は、混合触媒床であって、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の触媒層は前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化させる場合に累積的に効果的であり、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)前記気体不飽和カルボン酸をその対応する気体エステルに転化させる場合に累積的に効果的である1種類以上の触媒を含む第2の触媒層とを含む混合触媒床を含み、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0018】
一実施形態によると、第1および第2の層の間に追加の触媒層があり、この追加の触媒層は、Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含み、この触媒の追加層は、気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的である。
【0019】
本発明は、アルカンを対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルコールを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルコールを使用して、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して、エチレン系不飽和アルコールを、その対応するエチレン系不飽和カルボン酸のエステルに転化するために効果的な第2の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0020】
本発明は、より高級な不飽和カルボン酸を生成する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸のより高級な類似体に転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記飽和カルボン酸を、前記アルデヒドの存在下で、前記アルデヒドを使用してその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0021】
本発明は、アルカンをその対応する不飽和カルボン酸にする方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む気体流を反応器に通すステップと、
第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸に転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1以上の酸化触媒は、アルカンをその対応するアルケンに転化するために効果的な第1の触媒と、アルケンをその対応する飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、前記飽和カルボン酸をその対応する不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、
第2の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0022】
本発明は、アルカンを対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルデヒドを使用して前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸に酸化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応するアルケンに転化するために効果的な第1の触媒と、前記アルケンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、アルデヒドの存在下で前記アルデヒドを使用して前記飽和カルボン酸をその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、
第2の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法を提供する。
【0023】
本発明は、アルカンを、対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
ホルムアルデヒドなどのアルデヒドを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップと、
アルコールを含む第3の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルデヒドおよび前記アルコールを使用して、前記アルカンをその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含有し、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記アルデヒドの存在下で前記飽和カルボン酸をその対応するより高級な類似体の不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第2の触媒と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して、前記より高級な類似体の不飽和カルボン酸を、より高級な類似体のその対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化するのに効果的な第3の触媒とを含み、
前記第1の触媒系は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、前記第3の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法を提供する。
【0024】
本発明は、(a)本発明の触媒系を使用して短接触時間反応器中で、アルカンを、アルケン、不飽和カルボン酸、およびより高級な類似体の不飽和カルボン酸から選択されるその対応する生成物に転化するステップと、(b)結果として得られた1種類以上の生成物を第2の固定床酸化反応器の前端に加えるステップとを含む方法であって、前記第1の反応器からの前記生成物は前記第2の反応器への供給材料として作用する方法も提供する。一実施形態によると、これは、第1の反応器からの未反応アルカンを第2の反応器に供給して、アルカンを再循環させることを含む。
【0025】
本発明は、アルカンを、不飽和カルボン酸、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルから選択されるその対応する生成物に転化するための方法であって、前記アルカンの所望の生成物への転化を改善する累積効果を有する温度勾配を生じさせるステップを含む方法も提供する。
【0026】
本発明は、アルカンを、不飽和カルボン酸、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルから選択されるその対応する生成物に転化するための方法であって、前記アルカンの所望の生成物への転化を改善する累積効果を有する1種類以上の触媒系をさらに含む触媒カスケードを提供するステップを含む方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「累積的に転化する」は、特定の反応条件下で本発明の触媒系を使用して1種類以上の特定の反応物質から所望の生成物流が得られることを意味する。説明的な例として、アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸とアルコールとのエステルに累積的に転化することは、使用される触媒によって、指定の反応条件下でアルカンおよびアルコールを含む供給材料流上に作用する場合、加えられたアルカンに対応する不飽和カルボン酸と加えられたアルコールとのエステルを含む生成物流が得られることを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「触媒系」は2種類以上の触媒を意味する。たとえば、アルミナ担体上に含浸された白金金属と酸化インジウムとが触媒系を規定する。別の例は、白金金網上に含浸された(impregnated)酸化ニオブである。さらに別の例は、シリカ上に含浸されたパラジウム金属、酸化バナジウム、および酸化マグネシウムである。
【0029】
したがって、本発明は、酸化/脱水素触媒と、アルカンおよび酸素から短い接触時間で脱水素生成物および酸素化生成物を調製する方法とに関する。好適なアルカンとしては、直鎖または分岐鎖を有するアルカンが挙げられる。好適なアルカンの例としては、C〜C25アルカンが挙げられ、好ましくはC〜Cアルカン、たとえばプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、およびヘプタンが挙げられる。特に好ましいアルカンはプロパンおよびイソブタンである。
【0030】
本発明の触媒系は、アルカンを、それらの対応するアルケン、および酸素化物、たとえば飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、それらのエステル、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、およびそれらのエステルに転化する。本発明の触媒系は、特定のアルケン、酸素化物、およびそれらの組み合わせが得られるように設計されている。アルカンは、短接触反応器中で火炎温度において1回の通過で、触媒作用によって1種類以上の生成物に触媒的に転化する。未反応アルカンまたは中間体は再循環されて、その対応する酸素化物に触媒的に転化する。一実施形態によると、本発明の触媒系を使用して対応するアルカンの脱水素によって生成されるアルケンが、工程中の化学中間体として故意に生成され、単離せずに選択的部分酸化することによって酸素化生成物が得られる。たとえば、アルカンをその対応するエチレン系不飽和カルボン酸に触媒的に転化する場合、生成した未反応アルケンは、回収または再循環され、触媒的に転化して、その対応するエチレン系不飽和カルボン酸生成物流が得られる。
【0031】
アルカンは、2つ以上の触媒帯域に通すことによって、その対応する中間体にも触媒的に転化する。たとえば、アルカンは、混合触媒床の第1の触媒帯域または触媒層中で、対応する飽和カルボン酸に触媒的に転化する。この飽和カルボン酸は、別のホルムアルデヒド流の存在下、混合床触媒の第2の触媒帯域または触媒層中で、その対応するより高級な類似体のエチレン系不飽和カルボン酸に転化する。具体例では、プロパンはプロピオン酸に触媒的に転化し、このプロピオン酸はホルムアルデヒドの存在下でメタクリル酸に触媒的に転化する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「より高級な類似体の不飽和カルボン酸」および「より高級な類似体の不飽和カルボン酸のエステル」は、アルカンまたはアルケン反応物質と比較して、最終生成物中に少なくともさらに1個の炭素原子を有する生成物を意味する。前述の例では、本発明の触媒を使用すると、プロパン(Cアルカン)はプロピオン酸(C飽和カルボン酸)に転化し、これはホルムアルデヒドの存在下で、対応するより高級な類似体(C)のカルボン酸であるメタクリル酸に転化する。
【0033】
本発明で使用される好適なアルケンとしては、直鎖または分岐鎖を有するアルケンが挙げられる。好適なアルケンの例としては、C〜C25アルケンが挙げられ、好ましくはC〜Cアルケン、たとえばプロペン(プロピレン)、1−ブテン(ブチレン)、2−メチルプロペン(イソブチレン)、1−ペンテン、および1−ヘキセンが挙げられる。特に好ましいアルケンはプロピレンおよびイソブチレンである。
【0034】
本発明で使用される好適なアルデヒドとしては、たとえば、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、およびブタナールが挙げられる。
【0035】
本発明の触媒系は、アルカンを、それらの対応する酸素化物、たとえば直鎖または分岐鎖を有する飽和カルボン酸に転化する。例としては、C〜C飽和カルボン酸、たとえばプロピオン酸、ブタン酸、イソ酪酸、ペンタン酸、およびヘキサン酸が挙げられる。一実施形態によると、本発明の触媒系を使用して対応するアルカンから生成される飽和カルボン酸は、工程中の化学中間体として故意に生成され、単離せずに選択的部分酸化によって、酸素化生成物、たとえば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、およびより高級な不飽和カルボン酸のエステルが得られる。別の実施形態によると、生成される飽和カルボン酸は、本発明の触媒を使用すると、エチレン系不飽和カルボン酸、それらのエステル、より高級な類似体の不飽和カルボン酸、またはそれらのエステルを含むその対応する生成物流に転化する。
【0036】
本発明の触媒系は、アルカンをそれらの対応するエチレン系不飽和カルボン酸、および直鎖または分岐鎖を有するより高級な類似体に転化する。例としては、C〜Cエチレン系不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、マレイン酸、およびクロトン酸が挙げられる。より高級な類似体のエチレン系不飽和カルボン酸は、対応するアルカンとアルデヒドとから調製される。たとえば、メタクリル酸はプロパンとホルムアルデヒドとから調製される。別の実施形態によると、エチレン系不飽和カルボン酸をそれらの個々のアルカンから調製する場合に、対応する酸無水物も生成される。プロパンをアクリル酸およびそのより高級な不飽和カルボン酸のメタクリル酸に転化するため、またイソブタンをメタクリル酸に転化するために本発明の触媒を使用すると有用である。
【0037】
本発明の触媒系は、アルカンをそれらの対応する不飽和カルボン酸のエステルおよびより高級な類似体に転化するのに使用しても好都合である。特に、これらのエステルとしては、限定するものではないが、ブチルアルコールおよびプロパンからのアクリル酸ブチル、エチレングリコールおよびプロパンからのβ−ヒドロキシエチルアクリレート、メタノールおよびイソブタンからのメタクリル酸メチル、ブチルアルコールおよびイソブタンからのメタクリル酸ブチル、エチレングリコールおよびイソブタンからのメタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ならびにプロパン、ホルムアルデヒド、およびメタノールからのメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0038】
これらのエステル以外に、反応器に投入されるアルコールの種類および/または反応器に投入されるアルカンの種類を変化させることによって、本発明により他のエステルが生成される。
【0039】
好適なアルコールとしては、一価アルコール、二価アルコール、および多価アルコールが挙げられる。特に一価アルコールとしては、限定するものではないが、C〜C20アルコール、好ましくはC〜Cアルコール、最も好ましくはC〜Cアルコールを挙げることができる。一価アルコールは、芳香族、脂肪族、または脂環式であってよく、直鎖または分岐鎖であってよく、飽和または不飽和であってよく、第1級、第2級、または第3級であってよい。特に好ましい一価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、およびターシャリーブチルアルコールが挙げられる。特に二価アルコールとしては、限定するものではないが、C〜Cジオール、好ましくはC〜Cジオールを挙げることができる。二価アルコールは、脂肪族、または脂環式であってよく、直鎖または分岐鎖であってよく、第1級、第2級、または第3級であってよい。特に好ましい二価アルコールとしては、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)、1,2−ブタンジオール、および2,3−ブタンジオールが挙げられる。特に多価アルコールとしては、グリセロール(1,2,3−プロパントリオール)のみが挙げられる。
【0040】
加えられるアルカンに対応する不飽和カルボン酸は、出発アルカンと同じ炭素原子数と、出発アルカンと同じ炭素鎖構造とを有するα,β−不飽和カルボン酸であり、たとえば、アクリル酸はプロパンに対応する不飽和カルボン酸であり、メタクリル酸はイソブタンに対応する不飽和カルボン酸である。
【0041】
同様に、アルケンに対応する不飽和カルボン酸は、そのアルケンと同じ炭素原子数と、そのアルケンと同じ炭素鎖構造とを有するα,β−不飽和カルボン酸であり、たとえば、アクリル酸はプロペンに対応する不飽和カルボン酸であり、メタクリル酸はイソブテンに対応する不飽和カルボン酸である。
【0042】
同様に、不飽和アルデヒドに対応する不飽和カルボン酸は、その不飽和アルデヒドと同じ炭素原子数と、その不飽和アルデヒドと同じ炭素鎖構造とを有するα,β−不飽和カルボン酸であり、たとえば、アクリル酸はアクロレインに対応する不飽和カルボン酸であり、メタクリル酸はメタクロレインに対応する不飽和カルボン酸である。
【0043】
加えられるアルカンに対応するアルケンは、出発アルカンと同じ炭素原子数と、出発アルカンと同じ炭素鎖構造とを有するアルケンであり、たとえば、プロペンはプロパンに対応するアルケンであり、イソブテンはイソブタンに対応するアルケンである(4個以上の炭素原子を有するアルケンの場合、その二重結合は、そのアルケンの炭素−炭素鎖の2位に存在する)。
【0044】
加えられるアルカンに対応する不飽和アルデヒドは、出発アルカンと同じ炭素原子数と、出発アルカンと同じ炭素鎖構造とを有するα,β−不飽和アルデヒドであり、たとえば、アクロレインはプロパンに対応する不飽和アルデヒドであり、メタクロレインはイソブタンに対応する不飽和カルボン酸である。
【0045】
同様に、アルケンに対応する不飽和アルデヒドは、そのアルケンと同じ炭素原子数と、そのアルケンと同じ炭素鎖構造とを有するα,β−不飽和カルボン酸であり、たとえば、アクロレインはプロペンに対応する不飽和アルデヒドであり、メタクロレインはイソブテンに対応する不飽和アルデヒドである。
【0046】
本発明の触媒に使用される金属に関して、周期表に基づく以下の定義が適用される。
【0047】
1族はLi、Na、K、Rb、およびCsを含む。
【0048】
2族はMg、Ca、Sr、およびBaを含む。
【0049】
3族はB、Al、Ga、In、およびTlを含む。
【0050】
ランタニドは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびアクチニド系列のすべての安定な元素を含む。
【0051】
4A族はC、Si、Ge、Sn、およびPbを含む。
【0052】
4B族はTi、Zr、およびHfを含む。
【0053】
5A族はN、P、As、Sb、およびBiを含む。
【0054】
5B族はV、Nb、およびTaを含む。
【0055】
6B族はCr、Mo、およびWを含む。
【0056】
7B族はMn、Tc、およびReを含む。
【0057】
8族はFe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、およびPtを含む。
【0058】
したがって、本発明は、短い接触時間でアルカンをそれらの対応するアルケンおよび酸素化物に転化するための担持触媒系を提供する。
【0059】
担体構造体は3次元であり、すなわち担体はデカルト座標系の直交するx軸、y軸、およびz軸に沿った寸法を有し、単位体積当たりで比較的広い表面積が得られる。より少ないおよびより多い量が可能であるが、一実施形態では、担体構造体は表面積が0.01〜50m/gであり、好ましくは0.1〜10m/gである。
【0060】
好ましくは、担体構造体は多孔質構造を有し、細孔容積%が1〜95%であり、より好ましくは5〜80%であり、さらにより好ましくは10〜50%である。したがって、このような担体構造は、わずかな圧力低下で比較的高い供給速度が得られる。
【0061】
さらに、担体構造体は、触媒と担体構造体の合計重量の最大ほぼ100%までの範囲をとりうる触媒の重量下で破壊されない十分な強度を有する。しかしより好ましくは、担体構造体は、合計重量の少なくとも60%である。さらにより好ましくは、合計重量の70〜99.99%である。さらにより好ましくは、担体構造体は、合計重量の90〜99.9%である。
【0062】
前述の一般的基準に適合する限りは、担体構造体の厳密な物理的形態は特に重要ではない。好適な物理的形態の例としては、フォーム、ハニカム、格子、メッシュ、モノリス、織物、不織布、網、穿孔された基体(たとえば箔)、粒子成形体、繊維、繊維マット、およびそれらを混合したものが挙げられる。これらの担体では、典型的には1つ以上の開放セルが構造中に含まれることを理解されたい。セルの寸法は、希望通りに変動させてよく、セル密度、セル表面積、開放前面面積、およびその他の対応する寸法も変動させてよい。たとえば、このような構造の1つは、少なくとも75%の開放前面面積を有する。セルの形状も変動させることができ、多角形、円形、楕円形、およびその他の形状を含んでよい。
【0063】
担体構造体は、触媒反応の反応環境に対して不活性である材料から製造することができる。好適な材料としては、セラミックスおよびそれらの同形体、たとえばシリカ、アルミナ(α−、β−、およびγ−同形体を含む)、シリカ−アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、チタニア、ボリア、ムライト、ケイ酸リチウムアルミニウム、酸化物結合炭化ケイ素、合金モノリス、フリッカー(Fricker)型合金、FeCrAl合金、およびそれらの混合物が挙げられる(あるいは、本発明の触媒は、担体構造自体を画定するように調製してもよく、たとえば「未焼成(green)」圧縮またはその他の好適な技術によって調製してよい)。
【0064】
本発明の触媒は、当技術分野で開示されているあらゆる好適な方法を使用して担体構造体に適用してよい。たとえば、触媒は蒸着してもよい(たとえば、スパッタリング、プラズマ蒸着、またはその他の形態の蒸着によって)。触媒は、含浸させたり表面にコーティングしたりしてもよい(たとえば、触媒の溶液、スラリー、懸濁液、または分散液で担体を浸漬コーティングすることによって)。担体は触媒粉末でコーティングしてもよい(すなわち粉末コーティング)(あるいは、担体構造が触媒自体である場合、触媒の「未焼成」体を圧縮して所望の構造にしてもよい)。
【0065】
本発明の触媒系は、短い接触時間でアルカンをそれらの対応するアルケンおよび酸素化物に転化する。本発明の触媒は、(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤と、これと合わせて使用される場合も使用されない場合もある(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物との3つの成分を含み、本発明の触媒は金属酸化物担体上に含浸される。
【0066】
触媒成分(a)は、アルカンを酸化的に脱水素してそれらの対応するアルケンにするために使用すると有用な促進剤である。この触媒は、広い表面積を有する合金などの微分散金属粒子(数μm〜数nm)の形態で担体上に存在する。あるいは、この触媒は、ナノメートルサイズのワイヤなどの微細な金網の形態となる。この触媒は、金属スパッタリング、化学蒸着、金属酸化物の化学的および/または電気化学的還元から選択される方法を使用して担体上に含浸される。促進剤およびそれらの合金の組み合わせも使用すると有用となる。この触媒系成分は、金属酸化物、および促進剤と併用される金属酸化物を含む。
【0067】
触媒成分(b)は、アルカンを部分的に酸化して、それらの対応する飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸にするために使用すると有用な改質剤である。金属酸化物触媒は、2成分、3成分、4成分、またはより多成分の混合金属酸化物の形態である。還元できる金属酸化物は、Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、Y、Sc、La、Zr、Ta、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属の酸化物であってよい。この改質剤は、好ましくは触媒組成物(促進剤+還元できる金属酸化物)の0.0001〜10重量%の量で存在することができ、より好ましくは触媒組成物の0.001〜5重量%、さらにより好ましくは触媒組成物の0.01〜2重量%の量で存在することができる。
【0068】
触媒成分(c)は、アルカンを部分的に酸化して、それらの対応するアルケン、飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸にするために使用すると有用である。金属酸化物触媒は、2成分、3成分、4成分、またはより多成分の混合金属酸化物の形態である。還元できる金属酸化物は、Cu、Cd、Co、Cr、Fe、V、Mn、Ni、Nb、Mo、W、Re、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Te、As、Se、V、Zn、Y、Zr、Taおよびそれらの混合物からなる群より選択される金属の酸化物であってよい。好ましくは、還元できる金属酸化物は、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ta、V、およびそれらの組み合わせ、およびそれらの混合物の金属からなる群より選択される。この促進剤は、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、およびPtから選択される金属であり、好ましくは、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属である。促進剤は、好ましくは触媒組成物(促進剤+還元できる金属酸化物)の0.0001〜10重量%の量で存在することができ、より好ましくは触媒組成物の0.001〜5重量%、さらにより好ましくは触媒組成物の0.01〜2重量%の量で存在することができる。この触媒は、広い表面積を有する微分散金属酸化物粒子(数μm〜数nm)の形態の担体上に存在する。この触媒系成分は、金属酸化物、および担持された金属酸化物と接触させる促進剤と併用される金属酸化物を含む。
【0069】
一実施形態によると、本発明の触媒系は触媒(a)および(b)を含む。別の実施形態によると、触媒系は、触媒(a)、(b)、および(c)の組み合わせを含む。典型的には本発明の触媒は、3次元構造を有する金属酸化物担体と接触される(好ましくはその上に含浸される)。
【0070】
前述したような本発明の種々の混合金属酸化物は、以下の方法で調製することができる。
【0071】
第1のステップでは、金属化合物(好ましくはその少なくとも1種類は酸素を含有する)を、スラリーまたは溶液を調製するのに適切な量で少なくとも1種類の溶媒と混合することによって、スラリーまたは溶液を調製することができる。好ましくは、触媒調製のこの段階で溶液が調製される。一般に、これらの金属化合物は、前述の定義の個々の触媒に必要な元素を含有する。
【0072】
好適な溶媒としては、水、アルコール類、たとえば、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、およびジオールなど、ならびに当技術分野で公知のその他の極性溶媒が挙げられる。一般に、水が好ましい。水は化学合成での使用に適したあらゆる水であり、たとえば、限定するものではないが、蒸留水および脱イオン水が挙げられる。存在する水の量は、調製ステップ中に成分および/または相の分離を回避または最小限にするために十分長い時間溶液中に元素を実質的に維持するのに十分な量であることが好ましい。したがって、水の量は、混合される材料の量および溶解性によって変動する。しかし、前述したように、水の量は、混合時に水溶液が形成されるのに十分な量であることが好ましい。
【0073】
たとえば、式MoTeNbの混合金属酸化物が調製される場合、それぞれの金属元素の原子比が所定の比率となるように、テルル酸水溶液、シュウ酸ニオブ水溶液、およびパラモリブデン酸アンモニウムの溶液またはスラリーを、所定量のメタバナジン酸アンモニウムを含有する水溶液に順次加えることができる。
【0074】
水性スラリーまたは水溶液(好ましくは水溶液)が調製された後、当技術分野で公知のあらゆる好適な方法によって水を除去することによって、触媒前駆体が得られる。このような方法としては、限定するものではないが、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、回転蒸発、および空気乾燥が挙げられる。一般に減圧乾燥は10mmHg〜500mmHgの圧力で実施される。典型的には凍結乾燥は、液体窒素などを使用してスラリーまたは溶液を凍結させ、凍結したスラリーまたは溶液を減圧下で乾燥させる。噴霧乾燥は、一般に窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で実施され、入口温度は125℃〜200℃の範囲であり、出口温度は75℃〜150℃の範囲である。回転蒸発は一般に浴温度25℃〜90℃、および圧力10mmHg〜760mmHgで実施され、好ましくは浴温度40℃〜90℃および圧力10mmHg〜350mmHgで実施され、より好ましくは浴温度40℃〜60℃および圧力10mmHg〜40mmHgで実施される。空気乾燥は、25℃〜90℃の範囲の温度で実施することができる。一般には回転蒸発または空気乾燥が使用される。
【0075】
触媒前駆体が得られると、これは焼成される。焼成は通常は酸化性雰囲気中で実施されるが、非酸化性雰囲気、たとえば不活性雰囲気または減圧下で焼成を実施することもできる。不活性雰囲気は、触媒前駆体に対して実質的に不活性、すなわち反応または相互作用が起こらないあらゆる物質であってよい。好適な例としては、限定するものではないが、窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウム、またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、不活性雰囲気はアルゴンまたは窒素である。不活性雰囲気は、触媒前駆体表面を流れてもよいし、流れなくてもよい(静止環境)。不活性雰囲気が触媒前駆体表面を流れる場合、その流速は広範囲で変動してよく、たとえば空間速度が1〜500hr−1となってよい。
【0076】
焼成は、350℃〜1000℃の温度で実施され、たとえば400℃〜900℃、たとえば500℃〜800℃の温度で実施される。焼成は、前述の触媒を得るために好適な時間をかけて実施される。通常、焼成は0.5〜30時間実施され、好ましくは1〜25時間、より好ましくは1〜15時間実施されて、所望の混合金属酸化物が得られる。
【0077】
一操作方法では、触媒前駆体は2段階で焼成される。第1の段階では、触媒前駆体は、酸化性雰囲気(たとえば空気)中、200℃〜400℃、たとえば275℃〜325℃の温度で、15分〜8時間、たとえば1〜3時間焼成される。第2の段階では、第1の段階で得られた材料は、非酸化性環境(たとえば不活性雰囲気)中、500℃〜900℃、たとえば550℃〜800℃の温度で、15分〜8時間、たとえば1〜3時間焼成される。
【0078】
任意に、アンモニアや水素などの還元性気体が、第2の段階の焼成中に加えられる。
【0079】
別の操作方法では、第1の段階の触媒前駆体を、室温の所望の酸化性雰囲気に置き、続いて第1の段階の焼成温度まで上昇させ、所望の第1の段階の焼成時間その温度を維持する。次に雰囲気を、第2の段階の焼成に望まれる非酸化性雰囲気に入れ替え、続いて所望の第2の段階の焼成温度まで上昇させ、所望の第2の段階の焼成時間その温度を維持する。
【0080】
加熱炉などのあらゆる種類の加熱機構を焼成中に使用することができるが、指定の気体環境の気流下で焼成が実施されることが好ましい。したがって、所望の気体の連続流が固体触媒前駆体粒子の床を通過する床中で焼成が実施されると好都合である。
【0081】
焼成によって、それぞれの元素が化学量論量または非化学量論量である混合金属酸化物触媒が得られる。
【0082】
本発明は、短い接触時間でアルカンをそれらの対応するアルケンおよび酸素化物に転化する金属酸化物および混合金属酸化物触媒を調製する方法であって、
Mo、Te、V、Ta、およびNbからなる群より選択される金属の塩を、その最高融点の塩の融点よりも高い温度で混合して、混和性溶融塩を得るステップと、
前記塩の混合物を酸素の存在下で焼成して、混合金属酸化物触媒を得るステップであって、任意に溶媒として金属ハロゲン化物塩または金属オキシハロゲン化物塩を使用するステップとを含む方法も提供する。
【0083】
上記混合金属酸化物の出発材料は、前述の材料に限定されない。たとえば、酸化物、硝酸塩、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物、アルコキシド、アセチルアセトネート、および有機金属化合物などの広範囲の材料を使用してよい。たとえば、七モリブデン酸アンモニウムを、触媒のモリブデン源として使用してよい。しかし、MoO、MoO、MoCl、MoOCl、Mo(OC、モリブデンアセチルアセトネート、ホスホモリブデン酸、およびシリコモリブデン酸などの化合物を、七モリブデン酸アンモニウムの代わりに使用してもよい。同様に、メタバナジン酸アンモニウムを触媒のバナジウム源として使用してもよい。しかし、V、V、VOCl、VCl、VO(OC、バナジウムアセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネートなどの化合物を、メタバナジン酸アンモニウムの代わりに使用してもよい。テルル源としては、テルル酸、TeCl、Te(OC、Te(OCH(CH、およびTeOを挙げることができる。ニオブ源としては、シュウ酸アンモニウムニオブ、Nb、NbCl、ニオブ酸、またはNb(OC、ならびにより一般的なシュウ酸ニオブを挙げることができる。
【0084】
低融点の塩の使用によって、混合金属酸化物触媒を調製する新しい方法が提供される。現在の水性懸濁法に対する利点としては、溶解性の低い金属塩をより多く混入できること、金属の比率の制御が優れること、より均一な触媒系となることが挙げられる。特殊な方法の1つは、所望のMMO金属の低融点ハロゲン化物を使用して、塩溶液を調製することである。この方法の変形を以下により詳細に議論する。
【0085】
所望の金属のハロゲン化物塩を、最高融点の塩の融点より高温で混合する。その溶融塩は、安定で均一な溶融塩溶液を得るために互いに混和性となるべきである。
【0086】
この方法の利点の1つは、水性スラリー系に固有の溶解性の制限が解消されることである。溶融塩を使用することによって、ニオブ、バナジウム、およびパラジウムなど、塩の水性媒体への溶解性が比較的低い金属をより高い含有率で混入することができる。金属塩およびそれらの融点の例を表4に示す。これらの塩は容易に入手可能であり、比較的安価であり、適度な低融点を有する。
【0087】
一実施形態によると、ある種の金属オキシハロゲン化物が、この方法を使用する金属酸化物の調製の溶媒として有用である。四塩化バナジウムVClおよび三塩化バナジル(VOCl)などのバナジウムハロゲン化物は室温で液体であり、これらの極性および低沸点(BP(VCl)=148℃、BP(VOCl)=127℃)のため、他の金属の塩化物塩の理想的な溶媒となる。金属ハロゲン化物は、1種類のこれらの溶媒中に所望のモル比で溶解し、減圧および不活性雰囲気下、エバポレーションで過剰のバナジウムは除去される。この触媒ケーキを次に、O/アルゴン下で焼成すると、塩素酸化物が遊離し、混合金属酸化物触媒が得られる。あるいは、触媒ケーキを湿性アルゴン下で焼成すると、混合金属酸化物(MMO)触媒とHClとが得られる。さらに、以下に詳細に議論するように、混合金属ハロゲン化物(MMH)もMMOに転化する。
【0088】
別の実施形態によると、合成の早期に酸素を導入すると好都合となる。これは、金属酸化物を溶融塩溶液、またはVCl/VOCl溶液のいずれかと混合することによって実現される。この方法は、焼成中に除去する必要がある塩素量が減少し、最終触媒の所望の特性の一部を既に有する混合オキシ塩化物前駆体が得られる。一調製方法では、ニオブ、テルル、およびモリブデンの酸化物をVCl/VOClに溶解する。結果として得られる前駆体は、すでに高い酸素含有率を有する。
【0089】
別の実施形態によると、混合金属ハロゲン化物(MMH)もMMOに転化する。混合金属ハロゲン化物(MMH)および混合金属オキシハロゲン化物(MMOH)を混合金属酸化物(MMO)に転化するための3つの方法を説明する。
【0090】
(A)MMH前駆体は、湿式(1%)アルゴン下、高温(600℃)で焼成される。排出気体を苛性洗浄すると生成物HClが捕捉される。
【0091】
(B)MMH前駆体は、Oを低濃度で有するアルゴン下で焼成される。この低O濃度によって、反応が穏やかになる。オキシ塩化物の気体は苛性洗浄される。
【0092】
(C)MMH前駆体は、穏やかな条件下で金属アルコキシドに化学的に転化した後、O/アルゴン下で焼成することによってMMO触媒が得られる。アルコキシド中間体を使用することによって、最終触媒の結晶構造を変えることができる。
【0093】
溶融塩法で調製されるMMOは、金属酸化物担体を含む担体材料上で調製することができる。溶融塩またはVCl/VOCl中の塩溶液を使用することの利点の1つは、アルミナ、ジルコニア、シリカ、または二酸化チタンなど担体材料への含浸が比較的容易であることであり、パール法または逐次充填のいずれかを使用することができる。溶液中の金属濃度が比較的高いので、担体材料上への金属の充填量を増加させることができ、ミリ秒の接触時間の反応に理想的な触媒が得られる。
【0094】
あるいは、担持されたMMO触媒を調製するための別の方法は、酸化アルミニウムなどの微粉砕された担体材料を塩溶液(溶融塩またはVCl/VOCl溶液)に加えて、懸濁液/スラリーを調製することである。濃縮および焼成の後、調製された最終触媒は、非常に広い表面積を有する担持MMO触媒である。
【0095】
こうして得た混合金属酸化物は、それ自体優れた触媒活性を示す。しかし、混合金属酸化物は、粉砕によってより高い活性を有する触媒に変化させることができる。
【0096】
粉砕方法には特に制限はなく、従来方法を使用することができる。乾式粉砕法として、たとえば気流粉砕機を使用する方法を挙げることができ、この方法では、高速気流中で大きな粒子が互いに衝突して粉砕される。粉砕は機械を使用するだけでなく、小スケール操作の場合は乳鉢などを使用してもよい。
【0097】
水または有機溶媒が上記混合金属酸化物に加えられて湿潤状態で粉砕が実施される湿式粉砕方法としては、回転円筒型メディアミルまたはメディア撹拌型ミルを使用する従来方法を挙げることができる。回転円筒型メディアミルは、粉砕される物体が投入される容器が回転する種類の湿式ミルであり、たとえばボールミルおよびロッドミルが挙げられる。メディア撹拌型ミルは、容器に入れられた粉砕される物体が撹拌装置によって撹拌される種類の湿式ミルであり、たとえば、回転スクリュー型ミル、および回転円盤型ミルが挙げられる。
【0098】
粉砕条件は、前述の混合金属酸化物の性質、湿式粉砕の場合には使用される溶媒の粘度、濃度など、または粉砕装置の最適条件に適合するように適宜設定することができる。しかし、粉砕された触媒前駆体の平均粒径が通常で最大20μm、より好ましくは最大5μmとなるまで粉砕を実施すると好ましい。このような粉砕によって触媒性能が向上しうる。
【0099】
さらに、場合によっては、粉砕した触媒前駆体にさらに溶媒を加えて溶液またはスラリーにしてから、再び乾燥させることによって触媒活性をさらに向上させることができる。この溶液またはスラリーの濃度に関しては特に制限はなく、通常は、粉砕された触媒前駆体の出発材料化合物の全量が10〜60重量%となるように溶液またはスラリーが調整される。続いて、この溶液またはスラリーを、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発乾固、または減圧乾燥などの方法によって乾燥させる。さらに、湿式粉砕が実施される場合にも同様の乾燥を行うことができる。
【0100】
上記方法によって得られる酸化物は最終触媒として使用してもよいが、通常は200℃〜800℃の温度で0.1〜10時間さらに熱処理することもできる。
【0101】
こうして得られた混合金属酸化物は、通常はそれ自体が固体触媒として使用されるが、シリカ、アルミナ、チタニア、アルミノケイ酸塩、珪藻土、またはジルコニアなどの好適な担体を使用して触媒に成形してもよい。さらに、反応器の規模およびシステムに依存して好適な形状および粒径に成形してもよい。あるいは、本発明で考慮される触媒の金属成分は、従来の初期湿潤法によって、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの材料上に担持してもよい。典型的な一方法では、金属を含有する溶液を乾燥担体と接触させて担体をぬらし、続いて結果として得られるぬれた材料を、たとえば室温〜200℃の温度で乾燥させ、続いて前述のように焼成する。別の方法では、典型的には3:1(金属溶液:担体)を超える体積比で金属溶液を担体と接触させ、その溶液を撹拌して、金属イオンを担体上でイオン交換させる。次に、金属を含有する担体を乾燥させ、前述のように焼成する。
【0102】
2種類以上の触媒を含む触媒系が使用される場合、その触媒は、数種類の触媒を物理的に混合した形態であってよい。好ましくは、触媒の濃度は、第1の触媒成分が反応器入口で濃縮されやすく、後の触媒は反応器出口まで延びる連続する帯域で濃縮されやすくなるように変動させることができる。最も好ましくは、触媒は層状床の形態であり(混合床触媒とも呼ばれる)、その第1の触媒成分は反応器入口に最も近い層を形成し、後の触媒は反応器出口まで続く複数の層を形成する。これらの層は互いに接しているか、または不活性材料の層または空隙によって互いに分離されてもよい。
【0103】
短接触時間反応器は、反応物質の気体流と接触させる固定触媒床を使用する場合に好適な種類である。たとえば、シェル型およびチューブ型反応器を使用することができ、1本以上のチューブには触媒が充填され、そのため反応物質気体流をチューブの一端に通し、チューブの反対側の端から生成物流を抜き取ることができる。チューブはシェル内に配置されるので、チューブ周囲で熱伝達媒体を循環させてもよい。
【0104】
1種類の触媒または触媒系を使用する場合、アルカン、分子酸素、および別の反応物質供給材料、たとえば限定するものではないが、アルケン、酸素、空気、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒド、およびアルコール、蒸気、および窒素、アルゴンなどの希釈剤を含む気流は、ともにチューブの前端に供給されてもよい。あるいは、アルカンおよび分子酸素を含有する気体はチューブの前端に供給し、追加の反応物質、蒸気、および希釈剤を(ステージングとも呼ばれる)、所定の下流位置(典型的には、チューブを通過する気体流中に存在する生成アルケンが特定の最小濃度、たとえば3%、好ましくは5%、最も好ましくは7%となるように選択される)でチューブに供給することができる。
【0105】
2種類以上の触媒を含む、たとえば前述の第1の触媒成分および第2の触媒成分を含む触媒系が使用される場合も、アルカン、酸素含有気体、および追加の反応供給原料、たとえば限定するものではないが、アルケン、酸素、空気、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒド、およびアルコール、蒸気、および窒素、アルゴンなどの希釈剤を含む気体流は、一緒にチューブの前端に供給される。あるいは、そして好ましくは、アルカンおよび分子酸素含有気体はチューブ前端に供給され、別の追加の反応物質供給物、蒸気、および希釈剤は所定の下流位置(典型的には、前述のようにチューブを通過する気体流中に存在する所望の生成物がある最小濃度となるように選択されるか、あるいは前述のように触媒の層状の床が使用される場合、2つの層状触媒床の中間)からチューブに供給される。
【0106】
本発明の実施のために使用される、プロパンまたはイソブタンのアクリル酸またはメタクリル酸(それらのエステルを含む)への酸化のための典型的な反応条件としては以下のものが挙げられる:反応温度は、300℃〜1000℃を変動することができるが、通常は火炎温度の範囲(500℃〜1000℃)であり、触媒との平均接触時間(すなわち反応器滞留時間)は100ミリ秒以内であり、たとえば80ミリ秒以内、たとえば50ミリ秒以内であり、反応帯域中の圧力は通常0〜75psigの範囲であり、たとえば50psig以下である。
【0107】
本発明は、不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
気体アルカン、および分子酸素を短接触時間反応器に通すステップを含み、前記反応器は、混合触媒床であって、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、およびそれらの合金の形態の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む第2の触媒層とを含む混合触媒床を含み、前記混合床触媒は、前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であり、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法を提供する。
【0108】
別の実施形態として、本発明は、不飽和カルボン酸を対応するアルカンから調製する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒系を含む第1の触媒帯域を含む短接触時間反応器に通すステップであって、前記触媒系は、(a)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(b)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(c)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もあり、前記触媒は前記気体アルカンを、対応する気体不飽和カルボン酸および飽和カルボン酸を含む気体流に転化するステップと、
前記気体流を、金属酸化物担体上に含浸させた触媒を含む第2の触媒帯域に通すステップであって、前記触媒はMo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含み、前記触媒帯域は、前記気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であるステップとを含み、
前記第1の触媒帯域は、前記反応器を通過する前記気体流の流れる方向に対して、前記第2の触媒帯域の上流にあり、
前記第1の触媒帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の触媒帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記アルカンの前記気体流は、前記反応器を1回通過するか、あるいは、不飽和カルボン酸の全体の収率を増加させるために、未反応アルカンは、前記反応器に入る前記アルカンの気体流中に再循環され、さらに飽和カルボン酸は前記第2の触媒帯域中に再循環されるかである方法を提供する。
【0109】
プロパンまたはイソブタンと分子酸素とを含む気体流を反応器に通すことが好ましい。さらに、供給材料は、別の反応物質、蒸気などの補助剤、または窒素、アルゴン、または二酸化炭素などの不活性気体などの希釈剤を含んでよい。
【0110】
別の実施形態では、アルカンの気体流は、反応器を1回通過するか、あるいは、不飽和カルボン酸の全体の収率を増加させるために、未反応アルカンは、反応器に入るアルカンの気体流中に再循環され、さらに飽和カルボン酸は第2の触媒帯域中に再循環される。
【0111】
本発明は、(a)本発明の触媒系を使用して短接触時間反応器中で、アルカンを、アルケン、不飽和カルボン酸、およびより高級な類似体の不飽和カルボン酸から選択されるその対応する生成物に転化するステップと、(b)結果として得られた1種類以上の生成物を第2の固定床酸化反応器の前端に加えるステップとを含む方法であって、前記第1の反応器からの前記生成物は前記第2の反応器への供給材料として作用する方法も提供する。たとえば、開示される触媒系を使用して短接触時間反応器中でプロパンはプロピレンに転化される。つぎに、このプロピレンは、第2の酸化反応器に供給されて、アクリル酸に転化する。一実施形態によると、これは、第1の反応器からの未反応アルカンが第2の反応器に供給されてアルカンが再循環されることを含む。たとえば、未反応プロパンは第1のSCTRで再循環されるか、あるいは第2の酸化反応器に供給材料として加えられる。第2の酸化反応器は、より長い滞留時間(数秒)でアルケンを不飽和カルボン酸に転化するために使用される従来の工業規模のあらゆる酸化反応器を含む。あるいは、第2の酸化反応器は、ミリ秒の滞留時間で操作される第2のSCTRを含む。
【0112】
この方法にはあらゆる分子酸素源を使用することができ、たとえば酸素、酸素富化気体または空気を使用することができる。空気は、再循環を行わない場合に特に、最も経済的な酸素源となりうる。
【0113】
あるいは、金属酸化物触媒成分または第2の触媒層は以下のものを含んでよい
【0114】
(A)実験式
Mo
を有する混合金属酸化物触媒、式中、
Mは、TeおよびSbからなる群より選択され、
Nは、Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、B、In、As、Ge、Sn、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、およびPからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、
a、b、c、d、およびeは、元素の相対的な原子の量を表し、
a=1の場合、b=0.01〜1.0、c=0.01〜1.0、d=0.01〜1.0であり、eは酸素以外の元素の酸化状態に依存する。火炎温度において、混合金属酸化物触媒のMoおよびTeなどのある金属成分は気化して、異なる種類の混合金属酸化物触媒、金属間触媒、およびそれらの複合触媒が残留する。
【0115】
(B)実験式
MoSb
を有する混合金属酸化物を含む触媒、式中
a、b、およびcは元素の相対的な原子の量を表し、
a=1の場合、b=0.01〜1.0であり、cは酸素以外の元素の酸化状態に依存する。火炎温度において、混合金属酸化物触媒のある金属成分は気化して、異なる種類の混合金属酸化物触媒、金属間触媒、およびそれらの複合触媒が残留する。
【0116】
(C)実験式
MoSbBi
を有する混合金属酸化物を含む触媒、式中
a、b、c、およびdは、元素の相対的な原子の量を表し、
a=1の場合、b=0.01〜1.0、c=0.01〜1.0であり、dは酸素以外の元素の酸化状態に依存する。火炎温度において、混合金属酸化物触媒のある金属成分は気化して、異なる種類の混合金属酸化物触媒、金属間触媒、およびそれらの複合触媒が残留する。
【0117】
あるいは、触媒は、触媒(A)、(B)、および(C)の組み合わせを含んでよい。
【0118】
さらに別の酸化触媒は、
(A)担持触媒であって、元素周期表の5B族、6B族、7B族、および8族からなる群より選択される少なくとも1種類の元素を含み、元素周期表の1B族から選択される少なくとも1種類の元素と、酢酸酸化ビスマスとによって促進される担持触媒、または、
(b)ルテニウムを含む触媒、または、
(c)担体上のPdおよびBiを含む触媒、または、
(d)Pdと、元素周期表の3A族、4A族、5A族、および6B族の元素からなる群より選択される少なくとも1種類の元素と、元素周期表の3B族および4B族の元素からなる群より選択される少なくとも1種類の元素とを含む担持触媒、または、
(e)Pdと、元素周期表の1B族の少なくとも1種類の元素とを含む担持触媒、
(f)PdおよびPbを含む担持触媒、または、
(g)Pdと、少なくともBa、Au、La、Nb、Ce、Zn、Pb、Ca、Sb、K、Cd、V、およびTeからなる群より選択される少なくとも1種類の元素とを含む担持触媒、または
(h)それらの組み合わせを含んでよい。
【0119】
別の触媒は、Mo、V、Nb、および/またはTaを含有するホスフェート触媒を含む(特許文献2を参照されたい)。さらに別の触媒は、任意の公知のモリブデン、ビスマス、鉄系の混合金属酸化物を含み、たとえば、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に開示されている。
【0120】
本発明は、不飽和カルボン酸のエステルを生成する方法であって、
気体アルカンと、分子酸素と、気体アルコールとを、短接触時間反応器に通すステップを含み、前記反応器は、混合触媒床であって、(a)(i)Ag、Au、Ir、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種類の金属と、(ii)Bi、In、Mg、P、Sb、Zr、1〜3族金属、ランタニド金属、およびそれらの組み合わせの金属を含む金属酸化物の群から選択される少なくとも1種類の改質剤とを含み、(iii)Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Nb、Ta、V、Zn、それらの2成分の組み合わせ、それらの3成分の組み合わせ、およびそれらのより多成分の組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含む場合も含まない場合もある第1の触媒層であって、第1の触媒層は前記気体アルカンをその対応する気体不飽和カルボン酸に転化させる場合に累積的に効果的であり、第1の層の触媒は金属酸化物担体上に含浸される第1の触媒層と、(b)前記気体不飽和カルボン酸をその対応する気体エステルに転化させる場合に累積的に効果的である1種類以上の触媒を含む第2の触媒層とを含む混合触媒床を含み、
前記第2の触媒層は、前記第1の触媒層から下流に距離をあけて分離され、前記反応器は500℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0121】
一実施形態によると、第1および第2の層の間に追加の触媒層があり、この追加の触媒層は、Mo、Fe、P、V、およびそれらの組み合わせの金属を含む少なくとも1種類の金属酸化物を含み、この触媒の追加層は、気体飽和カルボン酸をその対応する気体不飽和カルボン酸に転化する場合に累積的に効果的であり、次に、この不飽和カルボン酸は、アルコールの存在下で、対応するエステルに触媒的に転化する。
【0122】
本発明は、アルカンを対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化する方法であって、
アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、
アルコールを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、
前記反応器は、前記アルコールを使用して、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸のエステルに転化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、
前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応する不飽和カルボン酸に転化するために効果的な第1の触媒系と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して、エチレン系不飽和アルコールを、その対応するエチレン系不飽和カルボン酸のエステルに転化するために効果的な第2の触媒とを含み、
前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、
前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、
前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、
前記第2の気体流は、前記第1の反応帯域および前記第2の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、
前記第1の反応帯域は500℃〜1000℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、
前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である方法も提供する。
【0123】
さらに別の実施形態によると、アルカンをそれらの対応するより高級な不飽和カルボン酸に触媒的に転化し、続いてそれらを特定のアルコールの存在下で対応するエステルに触媒的に転化する方法が提供される。
【0124】
本発明の触媒系を使用してエチレン系不飽和カルボン酸のエステルおよびそれらのより高級な類似体を調製する場合、プロパンまたはイソブタンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通し、さらに独立して、アルコールを含む第2の気体流を反応器に通すことが好ましい。さらに、供給材料は、別の反応物質、蒸気などの補助剤、または窒素、アルゴン、または二酸化炭素などの不活性気体などの希釈剤を含んでよい。任意の追加の反応物質供給材料としては、限定するものではないが、アルケン、酸素、空気、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、およびホルムアルデヒドが挙げられる。
【0125】
プロパンまたはイソブタンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通し、さらに独立して、アルコールと任意の追加の供給材料とを含む第2の気体流を反応器に通すことが好ましい。さらに、この供給材料は、蒸気などの補助剤、または窒素、アルゴン、または二酸化炭素などの不活性気体などの希釈剤を含んでよい。
【0126】
この方法にはあらゆる分子酸素源を使用することができ、たとえば酸素、酸素富化気体または空気を使用することができる。空気は、再循環を行わない場合に特に、最も経済的な酸素源となりうる。
【0127】
別の第1の触媒は、実験式
Mo
を有する混合金属酸化物を含んでよく、式中、
Mは、TeおよびSbからなる群より選択される元素であり、
Nは、Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、B、In、As、Ge、Sn、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Hf、およびPからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、
Qは、元素周期表の8族から選択される少なくとも1種類の元素であり、
Xは、PbおよびBiからなる群より選択される少なくとも1種類の元素であり、
a、b、c、d、e、f、およびgは、元素の相対的な原子の量を表し、
a=1の場合、b=0.01〜1.0、c=0.01〜1.0、d=0.01〜1.0、e=0.001〜0.1、f=0.001〜0.1であり、gは酸素以外の元素の酸化状態に依存する。火炎温度において、混合金属酸化物触媒のMoおよびTeなどのある金属成分は気化して、異なる種類の混合金属酸化物触媒、金属間触媒、およびそれらの複合触媒が残留する。
【0128】
さらに別の第1の触媒は、Mo、V、Nb、および/またはTaを含有するホスフェート触媒を含む(特許文献2を参照されたい)。
【0129】
さらに別の第1の触媒は、式PMoBiを有する混合金属酸化物を含み、式中、XはAs、Sb、Si、B、Ge、またはTeであり、YはK、Cs、Rb、またはTlであり、ZはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Ga、In、Sn、Zn、Ce、Y、またはWであり、a、b、c、d、e、f、g、およびhは、元素の相対的な原子の量を表し、b=12の場合、0<a≦3、c=0〜3、0<d≦3、0<e≦3、f=0〜3、g=0〜3であり、hは他の元素の酸化状態に依存する(特許文献6を参照されたい)。
【0130】
さらに別の混合金属酸化物触媒も使用すると有用であり、それらは本明細書で前述している。
【0131】
第2の触媒は、エチレン系不飽和カルボン酸をその対応するエステルに触媒的に転化する場合に有用である。
【0132】
第2の触媒は超酸を含む。超酸は、ギレスピー(Gillespie)の定義によると、100%硫酸より強い酸であり、すなわちハメット(Hammett)酸性値H<−12である。代表的な超酸としては、限定するものではないが、ゼオライトに担持されたTiO/(SO、(SO/ZrO−TiO、(SO/ZrO−Dy、(SO/TiO、(SO/ZrO−NiO、SO/ZrO、SO/ZrOAl、(SO/Fe、(SO/ZrO、CSOH−SbF、CFSOH−SbF、Pt/硫酸化酸化ジルコニウム、HSOF−SOClF、SbF−HSOF−SOClF、MF/AlF(M=Ta、Nb、Sb)、B(OSOCF、B(OSOCF−CFSOH、SbF−SiO−Al、SbF−TiO−SiO、およびSbF−TiOが挙げられる。好ましくは、固体の超酸が使用され、たとえば、硫酸化酸化物、担持されたルイス酸、および担持された液体超酸が使用される。ZrO、TiO、HfO、Fe、およびSnOを含むごく少数の酸化物のみが硫酸化によって超酸部位を形成する。これらの酸部位は、これらの元素の非晶質オキシハイドレートをHSOまたは(NHSOで処理し、その生成物を500℃〜650℃の温度で焼成することによって形成される。焼成中、酸化物は正方晶相に変化し、これが少数ののサルフェート基によって転化する。HMoOまたはHWOも酸化物の活性化に使用することができる。
【0133】
さらに別の触媒は、任意の公知のモリブデン、ビスマス、鉄系の混合金属酸化物を含み、たとえば、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に開示されている。
【0134】
別の実施形態では、不飽和カルボン酸のエステルを生成する方法が提供され、この方法は、アルカンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通すステップと、アルコールを含む第2の気体流を前記反応器に通すステップとを含み、前記反応器は、前記アルコールを使用して、前記アルカンを、その対応する不飽和カルボン酸のエステルに酸化するために累積的に効果的な1種類以上の酸化触媒を含み、前記1種類以上の酸化触媒は、前記アルカンをその対応するアルケンに酸化するために効果的な第1の触媒と、前記アルケンをその対応する不飽和アルデヒドに酸化するために効果的な第2の触媒と、前記アルコールの存在下で前記アルコールを使用して前記不飽和アルデヒドをその対応する不飽和カルボン酸のエステルに酸化するのに効果的な第3の触媒とを含み、前記第1の触媒は第1の反応帯域内に配置され、前記第2の触媒は第2の反応帯域内に配置され、前記第3の触媒は第3の反応帯域内に配置され、前記第1の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第2の反応帯域の上流にあり、前記第2の反応帯域は、前記反応器を通過する前記第1の気体流の流れる方向に対して、前記第3の反応帯域の上流にあり、第2の気体流は、前記第2の反応帯域および前記第3の反応帯域の中間で前記反応器に供給され、前記第1の反応帯域は500℃〜900℃の温度で操作され、第1の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、前記第2の反応帯域は300℃〜400℃の温度で操作され、第2の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内であり、前記第3の反応帯域は100℃〜300℃の温度で操作され、第3の反応帯域の滞留時間は100ミリ秒以内である。
【0135】
本発明のこの態様では、プロパンまたはイソブタンと分子酸素とを含む第1の気体流を反応器に通し、さらに独立して、アルコールを含む第2の気体流を反応器に通すことが好ましい。さらに、供給材料は、蒸気などの補助剤、または窒素、アルゴン、または二酸化炭素などの不活性気体などの希釈剤を含んでよい。
【0136】
この方法にはあらゆる分子酸素源を使用することができ、たとえば酸素、酸素富化気体または空気を使用することができる。空気は、再循環を行わない場合に特に、最も経済的な酸素源となりうる。
【0137】
適切な第1の触媒は、前述の触媒から選択される。別の第1の触媒成分は、還元できる金属酸化物を含み、元素周期表の8族から選択される金属で促進され、3次元の担体構造体上に担持されうる。
【0138】
担体構造体は3次元であり、すなわち担体はデカルト座標系の直交するx軸、y軸、およびz軸に沿った寸法を有し、単位体積当たりで比較的広い表面積が得られる。より少ないおよびより多い量が可能であるが、一実施形態では、担体構造体は表面積が0.01〜50m/gであり、好ましくは0.1〜10m/gである。
【0139】
好ましくは、担体構造体は多孔質構造を有し、細孔容積%が1〜95%であり、より好ましくは5〜80%であり、さらにより好ましくは10〜50%である。したがって、このような担体構造は、わずかな圧力低下で比較的高い供給速度が得られる。
【0140】
さらに、担体構造体は、触媒と担体構造体の合計重量の最大ほぼ100%までの範囲をとりうる触媒の重量下で破壊されない十分な強度を有する。しかしより好ましくは、担体構造体は、合計重量の少なくとも60%である。さらにより好ましくは、合計重量の70〜99.99%である。さらにより好ましくは、担体構造体は、合計重量の90〜99.9%である。
【0141】
前述の一般的基準に適合する限りは、担体構造体の厳密な物理的形態は特に重要ではない。好適な物理的形態の例としては、フォーム、ハニカム、格子、メッシュ、モノリス、織物、不織布、網、穿孔された基体(たとえば箔)、粒子成形体、繊維マット、およびそれらを混合したものが挙げられる。これらの担体では、典型的には1つ以上の開放セルが構造中に含まれることを理解されたい。セルの寸法は、希望通りに変動させてよく、セル密度、セル表面積、開放前面面積、およびその他の対応する寸法も変動させてよい。たとえば、このような構造の1つは、少なくとも75%の開放前面面積を有する。セルの形状も変動させることができ、多角形、円形、楕円形、およびその他の形状を含んでよい。
【0142】
担体構造体は、触媒反応の反応環境に対して不活性である材料から製造することができる。好適な材料としては、セラミックス、たとえばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、アルミノケイ酸塩、ジルコニア、チタニア、ボリア、ムライト、ケイ酸リチウムアルミニウム、酸化物結合炭化ケイ素、およびそれらの混合物が挙げられる(あるいは、本発明の触媒は、担体構造自体を画定するように調製してもよく、たとえば「未焼成」圧縮またはその他の好適な技術によって調製してよい)。
【0143】
本発明の触媒は、当技術分野で開示されているあらゆる好適な方法を使用して担体構造体に適用してよい。たとえば、触媒は蒸着してもよい(たとえば、スパッタリング、プラズマ蒸着、またはその他の形態の蒸着によって)。触媒は、その上にコーティングしたりしてもよい(たとえば、触媒の溶液、スラリー、懸濁液、または分散液で担体を浸漬コーティングすることによって)。担体は触媒粉末でコーティングしてもよい(すなわち粉末コーティング)(あるいは、担体構造が触媒自体である場合、触媒の「未焼成」体を圧縮して所望の構造にしてもよい)。
【0144】
適切な第1の触媒は、前述の触媒から選択される。別の第1の触媒も前述の触媒から選択される。別の第1の触媒は、2成分、3成分、4成分、またはより多成分の金属酸化物であってよい。還元できる金属酸化物は、Cu、Cr、V、Mn、Nb、Mo、W、Re、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、Te、As、Se、Zn、Y、Zr、Ta、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属の酸化物であってよい。好ましくは、還元できる金属酸化物はCu、Cr、V、Mn、Zn、およびそれらの混合物からなる群より選択される。促進剤は元素周期表の8族の金属(Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、およびPt)であり、好ましくはPt、Pd、Rh、Ir、Ru、およびそれらの混合物からなる群より選択される金属である。促進剤は、好ましくは触媒組成物(促進剤+還元できる金属酸化物)の0.0001〜10重量%の量で存在することができ、より好ましくは触媒組成物の0.001〜5重量%、さらにより好ましくは触媒組成物の0.01〜2重量%の量で存在することができる。
【0145】
適切な第2の触媒は、前述の触媒から選択される。別の第2の触媒は、任意の公知のモリブデン、ビスマス、鉄系の混合金属酸化物を含んでよく、たとえば、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に開示されている。
【0146】
適切な第3の触媒は、前述の触媒から選択される。第3の触媒は超酸を含む。超酸は、ギレスピーの定義によると、100%硫酸より強い酸であり、すなわちハメット酸性値H<−12である。代表的な超酸としては、限定するものではないが、ゼオライトに担持されたTiO/(SO、(SO/ZrO−TiO、(SO/ZrO−Dy、(SO/TiO、(SO/ZrO−NiO、SO/ZrO、SO/ZrOAl、(SO/Fe、(SO/ZrO、CSOH−SbF、CFSOH−SbF、Pt/硫酸化酸化ジルコニウム、HSOF−SOClF、SbF−HSOF−SOClF、MF/AlF(M=Ta、Nb、Sb)、B(OSOCF、B(OSOCF−CFSOH、SbF−SiO−Al、SbF−TiO−SiO、およびSbF−TiOが挙げられる。好ましくは、固体の超酸が使用され、たとえば、硫酸化酸化物、担持されたルイス酸、および担持された液体超酸が使用される。ZrO、TiO、HfO、Fe、およびSnOを含むごく少数の酸化物のみが硫酸化によって超酸部位を形成する。これらの酸性部位は、これらの元素の非晶質オキシハイドレートをHSOまたは(NHSOで処理し、その生成物を500℃〜650℃の温度で焼成することによって形成される。焼成中、酸化物は正方晶相に変化し、これが少数のサルフェート基によって転化する。HMoOまたはHWOも酸化物の活性化に使用することができる。
【0147】
本発明のさらに別の実施形態では、不飽和カルボン酸のエステルを生成する方法が提供され、この方法は、不飽和アルデヒドをアルコールと反応させてアセタールを生成するステップと、生成したアセタールと分子酸素とを含む気体流を反応器に通すステップとを含み、前記反応器は、前記アセタールをその対応するエステルに酸化するために効果的な少なくとも1種類の触媒を含み、前記反応器は、300℃〜1000℃の温度で操作され、反応器滞留時間は100ミリ秒以内である。
【0148】
本発明の別の実施形態では、アルコールを不飽和アルデヒドと反応させてアセタールが生成される。このような反応は、アルデヒドを過剰の無水アルコールと、少量の無水酸、たとえば無水HClの存在下で接触させることによって実施することができる。好ましくは、アルデヒドおよびアルコールは、酸触媒を含有する床、たとえば、強酸性イオン交換樹脂の床、たとえばアンバーリスト(Amberlyst)15に通すことができる。
【0149】
このように生成したアセタールと分子酸素は、アセタールを対応するエステルに酸化するために効果的な少なくとも1種類の触媒を含む反応器に供給される。このような触媒の例としては、PdおよびBiを担持するアルミナまたはV酸化物が挙げられる。
【0150】
本発明のこの態様において、この方法にはあらゆる分子酸素源を使用することができ、たとえば酸素、酸素富化気体または空気を使用することができる。空気は、再循環を行わない場合に特に、最も経済的な酸素源となりうる。
【0151】
本発明のこの態様の別の実施形態では、不飽和アルデヒドは、アルカンをその対応する不飽和アルデヒドに酸化することによって生成される。この酸化は、PdおよびBiを担持するアルミナまたはV酸化物などの触媒の存在下で、アルカンの気相酸化として行うことができる。
【実施例】
【0152】
実施例1
(PtをMo上に含浸、アルミナフォーム上に浸漬コーティング)
70℃の水に対応する塩を溶解することによって調製した七モリブデン酸アンモニウム四水和物(1.0MのMo)、メタバナジン酸アンモニウム(0.3MのV)、およびテルル酸(0.23MのTe)を含有する水溶液(200ml)を、2000mlのロタバップ(rotavap)フラスコに加えた。続いてこれに、シュウ酸アンモニウムニオブ(0.17MのNb)、シュウ酸(0.155M)、硝酸パラジウム水和物(0.01MのPd)、および硝酸(0.24MのHNO)の水溶液200mlを加えた。温水浴を使用して50℃および28mmHgにおいてロータリーエバポレーターで水を除去した後、固体材料を25℃の減圧オーブンでさらに終夜乾燥し、続いて焼成した(焼成は、固体材料を空気雰囲気に置き、続いて10℃/分で275℃まで加熱し、空気雰囲気下275℃で1時間維持し、続いて雰囲気をアルゴンに変えて、2℃/分で材料を275℃から600℃まで加熱し、材料をアルゴン雰囲気下600℃で2時間維持することによって行った)。最終触媒は、公称組成がMo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.0であった。30gの触媒を粉砕し、これを30%のシュウ酸水溶液100mlに加えた。それによって得られた懸濁液をパー(Parr)反応器中125℃で5時間撹拌し、次に重力ろ過で固形分を回収し、25℃で終夜減圧オーブンで乾燥した。
【0153】
上記の乾燥した材料を、≦75μmのサイズにしたものに、白金酸水溶液を初期湿潤法によって含浸して、Moに対して0.01MのPtが充填された。温度50℃および圧力28mmHgにおいてロータリーエバポレーターで過剰の水を除去し、続いて、石英管中600℃において100cc/分のAr気流下で2時間焼成した。得られた材料を粉砕し、≦75μmのサイズにし、アセトン中に懸濁し(1g/10cc)、そして30分間超音波処理した。45ppiのαアルミナフォーム(直径12mmおよび厚さ0.5cmのベスビアス・ハイテック(Vesuvius Hi−Tech))を、撹拌している触媒/アセトン懸濁液中に浸漬し、続いてN下で室温乾燥し、浸漬コーティングしたフォームのさらなる重量増加が見られなくなるまでこれを数回繰り返した。浸漬コーティングの各サイクルでフォームの面を交互に変えて向かうようにして、フォームの孔隙がつまるのを防止した。浸漬コーティングしたフォームの重量は0.112gであり、この20重量%が触媒であった。
【0154】
実施例2
(αアルミナフォームモノリス上に担持したPt/In酸化物)
α−Alフォームモノリス(1インチ当たりの孔隙数45)を、2組の触媒の調製の担体として使用した。第1の組は、表1に示す種々の比率の白金およびインジウムの酸化物で作製した6種類の触媒を含む。8%のHPtCl(白金酸)の5つの水溶液を、種々の量のIn(NO・5HOと混合して、表1に示される白金:ニオブ比の混合物を調製した。これらの混合物は、均一な溶液が得られるまで40℃で撹拌を続けた(〜30分)。5種類の混合物のそれぞれに、3つのモノリスを加えた。触媒調製は、モノリスを対応する溶液に周囲温度で1時間浸漬した後、乾燥ステップ(100℃、1時間、N)を行い、最後に焼成ステップ(600℃、4時間、空気)を行うことによって実施した。この方法を2回繰り返した(「パール」(pearl)手順)。上記シリーズの触媒の1つ(Pt:In=1:1.78)は、異なる方法の「連続コーティング法」によって作製した。この手順では、最初にモノリスを硝酸インジウム溶液で1時間処理した後、上記の乾燥および焼成ステップを実施した。この後に、白金コーティングステップを実施した。充填された金属の重量および%を表1にまとめている。
【0155】
【表1】


「連続法手順」
**3つのモノリスの重量
【0156】
実施例3
(αアルミナフォームモノリス上に担持したPt/Nb酸化物)
α−Alフォームモノリス(1インチ当たりの孔隙数45)を、2組の触媒の調製の担体として使用した。第1の組は、表2に示す種々の比率の白金およびインジウムの酸化物で作製した6種類の触媒を含む。8%のHPtCl(白金酸)の5つの水溶液を種々の量のシュウ酸アンモニウムニオブ水溶液(0.17MのNb)と混合して、表2に示される白金:ニオブ比の混合物を調製した。これらの混合物は、均一な溶液が得られるまで40℃で撹拌を続けた(〜30分)。5種類の混合物のそれぞれに、3つのモノリスを加えた。触媒調製は、モノリスを対応する溶液に周囲温度で1時間浸漬した後、乾燥ステップ(100℃、1時間、N)を行い、最後に焼成ステップ(600℃、4時間、空気)を行うことによって実施した。この方法を2回繰り返した(「パール」手順)。結果を表2にまとめる。
【0157】
【表2】


【0158】
実施例4
(αアルミナフォームモノリス上に担持したPt/Nb/V酸化物)
α−Alフォームモノリス(1インチ当たりの孔隙数45)を、Pd−Nb−V触媒の調製の担体として使用した。8%のPd(硝酸パラジウム水和物)、2%のIn(硝酸インジウム水和物)、0.4%のV(メタバナジン酸アンモニウム)、シュウ酸(5重量%)から調製した溶液を40℃で撹拌した。濃硝酸を加えて、pH2.0の均一な溶液を得た。触媒調製は、モノリスを対応する溶液に周囲温度で1時間浸漬した後、乾燥ステップ(100℃、1時間、N)を行い、最後に焼成ステップ(600℃、4時間、空気)を行うことによって実施した。この方法を2回繰り返すと、4.7%ロードされた。
【0159】
本発明の短接触時間反応器(SCTR)中で触媒系を使用したプロパンの転化における反応器のデータを表3に示す。
【0160】
【表3】


すべての触媒は、45ppiのαアルミナフォーム(長さ5mmおよび直径12mm)上に浸漬コーティングした
【0161】
表4は、混合金属酸化物触媒および触媒系の調製のための溶融塩法の物理的性質をまとめている。
【0162】
【表4】


【出願人】 【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【出願日】 平成16年3月26日(2004.3.26)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔

【識別番号】100112586
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 幸治

【公開番号】 特開2005−144432(P2005−144432A)
【公開日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願番号】 特願2004−93680(P2004−93680)